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狭隘部に用いる小型締固め機械の特性について

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Academic year: 2022

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(1)

狭隘部に用いる小型締固め機械の特性について

(独)土木研究所 正会員 ○橋本 毅

(独)土木研究所 正会員 藤野 健一

(独)土木研究所 正会員 小橋 秀俊

(独)土木研究所 正会員 岩谷 隆文 1.目的

構造物近傍の裏込め部や地中埋設物の埋め戻し工などの狭隘部は、構造物や既存地盤との接合部であり、段差を 生じやすい特徴がある。そのため狭隘部の締め固めはより一層慎重に行う必要がある。現在日本国内で狭隘部締固 めに一般的に使用されている小型締固め機械は4種類有り、重量クラスも 50kg~700kg と幅広い。しかしながら、

これら小型機械の締め固め特性は一般的によく知られておらず、機種の選定や施工方法などに関する明確なガイド ラインなども存在していない。

そこで、本研究では、狭隘部の盛土締固め施工時において、施工手法および施工機械の最適な選定手法を明確に することを目的として、小型締固め機械特性に関する基礎データ収集のための実験等を実施した。

2.実験概要

実験は土木研究所構内の土工実験棟試験ピットにて行った。まず十分 に締め固められた地盤をピット内に製作し、その片側の壁を構造物に見 立て、壁際を幅 600~700mm(締め固め機械による)、深さ 300mm、長さ 25m にわたり掘削し、そこへ仕上がり厚さ 300mm 相当の材料を盛り立て て実験フィールドを製作した。使用した材料は、比較的入手が容易な砂 質土を用いた(図-1、表-1)。また含水比は、試験中の値が最適含水比近 傍になるよう調整した。締固め機械は、ランマ・プレートコンパクタ(以 下プレート)・前後進コンパクタ(以下前後進)・ハンドガイドローラ(以 下 HGR)の4機種のうち代表的な機械を用いて実験を行った(表-2)。

実験の計測・確認項目は次の3点である。

(1) 密度・含水比(コアサンプリング)

密度・含水比の測定点は、0,2,4,6,8,12,16 の各締固め回数時にそれ ぞれ 3 点ずつ設定した。測定は内径 100mm、高さ 100mm の円筒形 コアサンプラーを用い、測定点毎に深さ 0mm~100mm、深さ 100mm

~200mm、深さ 200mm~300mm の 3 サンプルを採取した。

(2) 機械走行速度

機械はすべて定格状態にて運転するものとし、速度調整が可 能な機械である前後進、HGR は最高速度に設定した。走行速度 はフィールド中の 10m 区間を通過する時間をストップウォッチ にて測定し速度を算出した。

(3) 機動性・操作性

実際の運用・運転などを通して、評価を行った。

3.実験結果

3.1.密度・含水比

各締固め回数時の、深さ 0~100mm の乾燥密度を図-2 に、深さ 100mm~200mm を図-3 に、深さ 200mm~300mm を図-4 に示す。

キーワード 盛土、締固め、狭隘部、裏込め、締固め機械、小型

連絡先 〒305-8516 茨城県つくば市南原 1-6 (独)土木研究所 先端技術チーム TEL029-879-6757

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0.001 0.01 0.1 1 10 100 粒  径  (mm)

通過質量百分率(%)

図-1粒径加積曲線 表-1 土質材料の物理特性

試験項目 試験地盤

土粒子密度ρs(Mg/m3) 2.675 細粒分含有率 Fc(%) 10 最大乾燥密度ρdmax(Mg/m3) 1.674

最適含水比 Wopt(%) 16.0 突き固め試験:a-A 法

表-2 締固め機械仕様

プレート コンパクタ

ランマ 前後進 コンパクタ

ハンドガイド ローラ 機械質量 66kg 62kg 330kg 600kg 締固め幅 350mm 265mm 445mm 650mm

図-2乾燥密度(深さ 0~100mm)

1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

0 2 4 6 8 10 12 14 16

締固め回数

乾燥密度(g/cm3)

プ レートコン パクタ ラ ン マ 前後進コン パクタ

ハン ドガイ ドロ ーラ 締め方め度95% 締め固め度90%

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑133‑

Ⅲ‑067

(2)

いずれも3測定点の平均で表している。図-2~4 より、プレ ート・ランマ・前後進はすべての深さにおいて、締固め回数が 増加するとともに密度も増加しており、締固め初期で急速に密 度が増加し、概ね締固め回数8回程度で密度増加が収束へ向か っている。HGR においては、深さ 200mm までは同様の傾向を示 すが、深さ 200~300mm では締固めによる密度増加が認められな い。これは、HGR ではこの深度へ、初期状態以上の締固め効果 を与えることが出来ない、ということを示している。

「道路土工-盛土工指針」による締固め管理基準値の目安は、

路体で締固め度 90%以上、構造物取付部で 95%以上となっている。

ランマ・前後進では、すべての深さで締め固め度 90%以上、~

200mm で 95%以上を達成している。HGR では、~200mm で 90%以 上、~100mm で 95%以上を達成している。プレートでは~100mm で 90%以上を達成しているが、95%以上を達成することはできな かった。

3.2.機械走行速度

各締固め回数時の機械走行速度を図-5 に示す。速度は HGR>

プレート>前後進>ランマの順であった。各機械の平均速度と 締固め幅から、単位時間当たりの締固め可能面積を算出すると、

HGR>前後進>プレート>ランマの順であった。(表-4)

3.3.機動性・操作性

(1) 機動性(輸送車から施工現場へ移動)

HGR は振動を切って自走できるため、トラックなどの輸送用 車両から施工現場への移動は容易である。これに対し、ランマ・

プレートは平板式締固め機であるため、コンクリート上などを 自走することはできない。しかし両者は重量が 60kg 程度と比較 的軽量であり、移動用オプションも用意されているため、比較 的機動性は良好である。同様な平板式締固め機である前後進は 重量が 300kg 程度あり、また移動用オプションは用意されてい ないため、運搬には注意が必要である。

(2) 操作性(施工現場でのハンドリング性能)

ランマ・プレート・前後進は平板式締固め機であるため、ハ ンドリングは容易である。ただし、前後進は重量が重く全長も 長いため、構造物近傍での操作には注意が必要である。HGR は 重量が 600kg と重く、操舵するにはローラを引きずるしかない ため、操作性は良好とはいえない。

4.まとめ

実験の結果から、表-4 がまとめられる。この表は、施工現場に即した機種および施工手法(施工厚さ)の選択を する際に参考とすることができる。本報告は 1 種類の土質条件にて代表的な機械を用いた結果である。今後の課題 としては、様々な土質や含水比で実験を行い同様の傾向が得られるか調査を行いたい。また同一種類の機械におい て、重量による性能差がどれほどあるかも、併せて調査したい。

図-3乾燥密度(深さ

100~200mm)

表-4 小型締固め機械性能特性

プレート コンパクタ

ランマ 前後進 コンパクタ

ハンドガイド ローラ

0-100mm

100-200mm

200-300mm

単位時間当り 締 固 め 可 能 面

448 m2/h

175 m2/h

508 m2/h

1563 m2/h

機動性

良 良 可 優

操作性

優 優 良 可

◎:締固め度 95%達成○:締固め度 90%達成

図-4乾燥密度(深さ

200~300mm)

図-5機械走行速度

1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

0 2 4 6 8 10 12 14 16

締固め回数

乾燥密度(g/cm3)

プ レートコン パクタ ラ ン マ 前後進コン パクタ

ハン ドガイ ドロ ーラ 締め固め度95% 締め固め度90%

1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

0 2 4 6 8 10 12 14 16

締固め回数

乾燥密度(g/cm3)

プ レートコン パクタ ラ ン マ 前後進コン パクタ

ハン ドガイ ドロ ーラ 締め固め度95% 締め固め度90%

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00

0 2 4 6 8 10 12 14 16

締固め回数

(km/h)

プ レートコン パクタ ラ ン マ 前後進コン パクタ ハン ドガイ ドロ ーラ

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑134‑

Ⅲ‑067

参照

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