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セメント硬化体の溶出成分と pH の関係に関する基礎的検討

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Academic year: 2022

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(1)

セメント硬化体の溶出成分と pH の関係に関する基礎的検討

電力中央研究所 正会員 ○山本 武志 原子力発電環境整備機構 正会員 藤﨑 淳 原子力発電環境整備機構 正会員 植田 浩義

1.背景・目的

放射性廃棄物の地層処分において,地下施設にセメント系材料を用いる場合,セメント系材料から溶出する高アル カリ成分が,処分システムに影響を及ぼすことが懸念される。この影響を回避するための対策の一つとして,低アルカリ 性セメントの適用が考えられる。低アルカリセメントを適用する場合には,その硬化体のpHが,処分システムに影響を 与えない値であることを実測により示す必要がある。しかし,セメント硬化体の間隙水のpHを測定する手法や条件は報 告事例毎に異なり,特に粉末浸漬法における液固比がpH測定値に及ぼす影響を把握したうえで,測定手順を定めて おくことが重要である。このような背景のもと,本検討では,pHの測定値に影響を及ぼす要因を把握することを目的とし て,異なる測定条件下におけるセメント硬化体のpH測定とその溶液の化学組成分析を実施した。

2.実験概要

(1)試験体作成

低アルカリ性セメント硬化体(Low Alkaline Cement,LAC と表記)はシリカフューム:超微粒子セメント:

水を 1:1:2.5 としたグラウト材として開発された配合 1)を適用した。そして,溶出挙動の比較検討を行う ために低アルカリ性ではないセメント硬化体として,フライアッシュ(JIS-II 種):普通セメント:水を 4:6:

3.5 としたフライアッシュ混和セメントペースト硬化体(Fly Ash Cement,FAC と表記)を用意した。いずれ の硬化体に対しても 20℃湿空養生を 3 カ月間実施した。

(2)試験方法

①ディスクミルを用いて各硬化体を微粉砕した試料を脱気したイオン交換水に対して液/固比 0.5~10 で混合 した懸濁液を 5 分間撹拌する粉末浸漬法を適用した。各懸濁液の pH を電極により測定し,併せてろ過液のイ オン組成を分析した。なお,炭酸化の影響を取り除くために懸濁液の撹拌と pH 測定および懸濁液のろ過は N2 ガスを充てんしたグローブボックス内で実施した。

②細孔溶液を抽出し,ろ過後の溶液の pH をグローブボックス内で電極法および滴定法により測定した。併せ てイオン組成を分析した。なお,ろ過および pH 測定は N2ガスを充てんしたグローブボックス内で実施した。

3.実験結果と考察

(1)粉末浸漬法における液固比と pH・イオン組成の関係 LAC では液固比の増加とともに pH が僅かに増加するが,

FAC では液固比の増加とともに pH は低下する傾向が認めら れた(図-1)。LAC では液固比の増大にともない,全イオンの 濃度が低下する希釈作用が生じたが(図-2,図-3),pH は増傾 向を示した。一方,FAC では液固比の増大にともなう Na と K 濃度の低下と併せて Ca 濃度の増加が認められ,希釈作用と 併せて水酸化カルシウム等の水和生成物の溶脱が生じた。

(2)細孔溶液抽出荷重と pH・イオン組成の関係

載荷重の上昇とともにほぼ全てのイオン濃度が増加した が,pH に変化は認められなかった(図-4,図-5)。イオン組 成に着目した場合は,細孔溶液の抽出では載荷重の影響に留

意する必要がある。なお,載荷重 250MPa とした LAC の細孔溶液の各イオン濃度は,液固比 1 の浸出液濃度(図 -2,図-3)の約 2 倍で構成比率は同程度であった。

キーワード pH,低アルカリ性,セメント,浸漬,フライアッシュ

連絡先 〒270-1194 千葉県 我孫子市 我孫子 1646(財)電力中央研究所 TEL04-7182-1181

0 2 4 6 8 10

9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5

pH(電極法)

液固比(浸漬水/試料比)

LAC FAC

図-1 液固比が pH に及ぼす影響 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑97‑

CS3‑049

(2)

(3)粉末浸漬法におけるイオン組成が pH に及ぼす影響 粉末浸漬法における浸漬液ならびに細孔溶液における SO42- 濃度は FAC に比べて LAC の方が高く(図-3),硬化体中の pH 低下にともなうエトリンガイトの分解が示唆されたが,XRD 分 析によると,LAC では比較的多量のエトリンガイトが存在して おり(図-6),浸漬液における SO42-濃度の高まりはエトリンガ イトの溶脱によるものではないことが判る。LAC では SO42-濃度 が非常に高いために低液固比の浸漬液では pH が低く測定され たと考えられる(図-3)。

5.まとめ

①粉末浸漬法では液固比を 1 以下とすることで細孔溶液のイ オン組成に近づけることができる。しかし,低アルカリ性セメ

ントの pH を評価する場合は,液固比を 1 より大きく設定することで,pH 測定値が細孔溶液のそれより大きく なり,保守的な評価となる。

②シリカフュームを多量に混合する低アルカリ性セメントではシリカフュームに起因する SO42-濃度の上昇に ともない,電極法による pH が低く測定される。

③水酸化カルシウムが残存する非低アルカリ性のセメント硬化体に粉末浸漬法を適用する場合は,溶脱変質が 生じ,細孔溶液と異なるイオン組成になる。粉末浸漬法は簡易であるが,非低アルカリ性セメント硬化体の pH 評価には適切ではないと考えられる。

参考文献

1)地層処分を対象としたグラウト材料の開発,JAEA-Data/Code 2010-005

0 2 4 6 8 10

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

イオン濃度(ppm)

液固比(浸漬水/試料比)

LAC-Na LAC-K LAC-Ca FAC-Na FAC-K FAC-Ca

0 2 4 6 8 10

0 100 500 600

LAC-Cl- LAC-SO42- LAC-HCO3- FAC-Cl- FAC-SO42- FAC-HCO3-

イオン濃度ppm)

液固比(浸漬水/試料比)

図-2 液固比が Na,K,Ca 濃度に及ぼす影響 図-3 液固比が Cl-,SO42-,HCO3-濃度に及ぼす影響

LAC

250MPa LAC

450MPa FAC

300MPa FAC

450MPa 10.5

11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5

細孔溶液-滴定法 細孔溶液-電極法

pH

試料名

LAC 250MPa

LAC 450MPa

FAC 300MPa

FAC 450MPa 0

500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

Na K Ca Cl- SO42- HCO3-

イオン濃度(ppm

試料名

図-4 載荷重が細孔溶液の pH に及ぼす影響 図-5 載荷重が細孔溶液のイオン組成に及ぼす影響

10 20 30 40 50 60

FAC

水酸化シウム

入射角度(2θ°)

1000count/sec

エト

LAC

図-6 水和生成物の比較(XRD 分析)

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑98‑

CS3‑049

参照

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