平成28年度 特 定の課題 についての学修の成果
小 学 生 の 自己有用感 を高 め る
算数科 における話 し合い活動
― ワー ル ド・ カ フ ェ を取 り入 れ て―
兵 庫 教 育 大 学 大 教育実践高度化専攻P14088
学 院 学 校 教 育 研 究 科 小学校教員養成特別 コースG
田村
陽
目次
は じめに 問題の所在 と研究 目的・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1章
「数量関係」領域の内容 と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第1節 「数量関係」領域の学習内容 口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第2節 小学校段階における「関数の考 え」の単元内容・・ ・・・・・・・・・・・11 第3節
関数の捉 え方 と関数指導の留意 点・・・・ ・・・・ ・・・ ・・・・・・・・14 第4節
全国学 力・ 学習状況調査か ら見 る課題・・・・・・・・・・・・・・・・・19 第2章
自己有用感の高 ま りによる参加意欲 向上・・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・・・27 第 1節 自己有用感の捉 え方・・・・・・ 口・・・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・・・28 第2節
自己有用感 に関す る先行研究・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・32 第3章
話 し合 い活動 と しての ワール ド・ カフエ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・39 第1節 ワール ド・ カ フエとは・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・40 第2節
ワール ド・ カ フエの原理 と効果・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・・43 第3節 学校教育 におけるワール ド・ カ フエの実践例・・・・・・・・ ・・ ・・・・49 第4章
ポー トフォ リオ評価 について 。・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・51 第1節 ポー トフォ リオ とは・・ ・・・・・・・ ・ ・・・・・・・ ・・・・ ・・・・52 第2節
一枚ポー トフォ リオの捉 え方 と活用の効果・・・・・・・・・・・・・・・55 第5章
話 し合 い活動 を主 と した授業案の提案・・・・・ ・・ ・・・・・ ・・・・・・59 第1節 授 業の立案 と概要・ ・・ ・・ ロロ・・ ・・ ・・・・ ・・ 口・ ・・・・・ ・・60 第2節 本研究の成果 と今後の方向性・・・・・・・・ 0・ ・・・・・・・・・・・70 引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 おわ りに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75は じめ に 近年
,児
童 生徒 の不登校 が問題 となってい る。文部科学省 の 「児童生徒 の問題行動等生 徒指導上 の諸 問題 に関す る調査」(文部科学省,2016)で
は,不
登校児童数27,581人
で あ る と報告 してい る。その中の原 因で,「無気力」と考 え られ てい る児童 は 7,895人 であつた。 この数字が不登校児童 の 28.3%を 占めてい ることか らも「無気力」問題 の対策 を とる必要性 がある と言える。 まず,な
ぜ無気力が起 きるのかについて述べ る。杉原(20H)は
運動能力 について,無
力感 のプ ロセ スについて述 べてい る。 「うまくできない,他の子 よ り下手,負けることが多 い とい った経験が重 なる と, そ ういつた子 どもは,逆
に無力感 を もつ よ うになる。」(杉原,20H,p.85)
杉原(20H)が
述べ る よ うに,子
どもは失敗経験 に よる 自信 の喪 失 が大 き く影 響す る。 失敗や敗 北の経 験 とともに,他
者 への劣等感や 消極性 が生 まれ る。 そ こか ら,運
動機会 の 減少 し,能
力が低 下す る こ とに よつて,再
び失敗経験 につ なが る とい う負 の連続性 がで き あが る。 そのサイ クル を杉原 (2011)は,以
下 の図 1-1の よ うに示 してい る。 この図の中で,杉
原(20H)は ,重
要 な他者 か らの フ ィー ドバ ックを重要視 してお り, この 「重要な他者 」の対象 が幼児期 と児童期で異なる ことを指摘 してい る。幼児期では重 要な他者 の対象 を親や 先生 と してい るの に対 し,児
童期 では仲 間 を対象 として い る。 この ことか ら,児
童 に とつて最 も評価や承認 が欲 しいのは友達 で ある こ とが言 える。 その評価 や承認 が無かつた り,否
定的 であつた りす ると,図
1-1に
あるよ うに消極性や劣等感 が生 図1-1
運動経験 と自己概念 と運動能 力の関係 につ いての模式図 (杉原12011,p.85)
まれ る以外 に
,居
場所 をつ くれ ない,他
者 に対 して,安
心感 が持 てない,等
のデ メ リッ ト が起 きる と考 える。 この負 のサイ クルは運動 だけに限 らず,学
習 面にお いて も同 じこ とが言 え る と考 え る。 筆者 の実地研 究において も,苦
手な教科 の授業では 自信 が無いため消極 的 にな つて しまい, そ のため発言 で きない, 自分 の考 えを上手 く整理 で きないな どの児童 の様子 が見 られ た。 そ の児童 は,授
業 内で行動 が表 出 しなか ったため,他
の児童か ら共感や 同意 な どの評価 を 得 ることがで きていなか つた。 これ らの無気力 による不登校 の現状や,筆
者 の実地研 究 での経験 か ら,小
学校教 育 で, 児 童 の 自己有用感 を育む教 育 が必要 で ある と考 える。 自己有用感 について,北
島 (1999) は以下の よ うに述べてい る。 「自己有用感 とは 「自分の所属す る集団の中で,自
分 が どれ だ け大切 な存在 で あ るか とい うこ とを 自分 自身で認識す る こと」です。」(北島,1999,p.3)
この定義 を学校教育 に当てはめる と,学
級 内にお いて 自分 の存在価値 を実感す る とい う ことになる。 さらに,図
1-1の
重要 な他者 か らの フィー ドバ ック=友
達 か らの評価 になる と言 える。 この ことか ら,学
習者 の相互評価 に よる 自己有用感 の向上が必要 であ る と考 え る。 また, 自己有用感 の向上 の必要性 は,神
戸市で行 われ た,平
成 27年度 の 「児童生徒質問 紙調査の結果」(神戸市教育委員会,2015)か
らも述べ るこ とがで きる。小学5年
生 を対象 に「人の気持 ちが分か る人間にな りたい」とい う質問に,当てはま る と回答 した児童が76.1%, 「人の役 に立つ人間にな りたい」とい う質問に当てはまると回答 した児童が75,2%と い う結 果 が示 され てい る。 この回答結果 か ら多 くの児童 が他者 の役 に立 ちたい と思 つて い る こと が明 らか となつている。 しか し,上
述 した筆者 の実地研究での経験 にあ つた よ うに児童の 自己有用感 が低 い と, 自分 の無力感 と他者へ の貢献 との間 で葛藤 が起 きて しま うのだ と考 える。そ して,上
手 く人 間関係 を構 築で きない,授
業 が分 か らないな ど様 々な失敗経験か ら,自
己有用感が さらに低 下 して しま うのだ と考 える。 自己有用感低 下の原 因 と して コ ミュニ ケー シ ョン能力の問題 も挙 げ る こ とがで きる。 文 部科学省 は 「子 どもた ちの コ ミュニ ケー シ ョン能力 を育む た めに∼ 「話 し合 う 。創 る 。表 現す る」 ワー クシ ョップヘ の取組 ∼の審議経過報告 の と りま とめ」(文部科学省,20H)の
中で,子
どもの コ ミュニケー シ ョン能力の現状について,次
の よ うに指摘 してい る。 「コ ミュニケー シ ョンを とつているつ もりが,実
際 は相 手の話 を聞かず に 自分 の 思い を一方的 に伝 えてい るにす ぎない場合,ま
たは同意や反対の意思 を伝 えるだ,20H,p.3)
子 どもの コ ミュニケー シ ョンの現状 につ いて文部科学省
(20H)は
,「気 の合 う限 られ た 集 団の中でのみ コ ミュニケー シ ョンを とる傾 向が見 られ る。」 こ とを指摘 してい る。 自分 と 価値観や年齢 が似 た ものだ けで コ ミュニー ケー シ ョンが, 自己表 現や他者理解 の機 会 を減 少 させ てい る と考 える。 また,思
いや考 えを表現 で きない原因 として,複
数 の考 えつ な ぎ,整
理す るこ との弱 さ が あ る と筆者 は考 える。筆者 は実地研 究 において,問
題や課題 に対 して 自身 の考 えを述ベ る こ とがで きるが,友
達 の考 え と関係 づ けて考 えるこ とがで きなか った り,複
数 の考 えを ま とめるこ とが苦手 な児童 の様子 が見 られ た。 これ らの よ うな複数 の考 えを関係 づ ける力 が不足 していることも,児
童 の表現力不足の原 因の一つではないか と考 える。 この よ うな現状の改善 を図 るために,本
研 究では次の2点
を 目的 とす る。 ① 自己有用感 を育むた めの活動 を取 り入れ た授業案 の作成 ②複数 の関係 づ け る力 を伸 ばす ための算数科 の授 業案 の作成 本研 究 において,算
数科 の学習 を扱 う理 由 として次 の点 が あ る。 神 戸市学力定着度調査 の 「児童生徒質問紙調査の結果」(ネ申戸市教育委員会,2015)で
,「算数 の勉強 は大切 だ。」 とい う質問項 目に対 し,小
学4年
生は80。1%,小
学5年
生は78.3%と , どち らの学年 も他の 教科 よ り高い数値 を示 してい る。 しか し,「算数 の授業が分か る」 に 当てはまる と回答 した 児童 は,小
学4年
生で51.4%,小
学5年
生で47.0%と い う結果であつた。 さらに,「算数 の 勉 強が好 きだ」に 当てはま る と回答 した児童 は,小
学4年
生で45.8%,小学5年
生で40.0%
とい う結果 であつた。 この よ うな児童の現状 と意識 となってい る算数科 において,現
状 を 改善す るために授 業案 を考 える必要性 があ る。 その中で,上
述 した関係 づ け る力 を育成す るた めに,算
数科 の 中で 「数 量関係 」領域 を 取 りあげ る。「数 量関係 」領域 は算数科の学習内容 を活用 し,理
解 を深 め るこ とや,表
や グ ラフ,式
を用いて,問
題解決 を行 うことをね らい としている。 したが つて,「数量 関係 」領 域 の学力 を高 める ことは,本
研 究で問題 と してい る,「複数 の考 えをつなげ る弱 さ」への効 果 を示す と考 える。 続 いて,本
研 究の 目的 の1つ
で ある自己有用感 の育成 について述べ る。上述 した よ うに 算数科 は学力差 が大 きい教科 であ る。 そ の算数科 にお いて,学
力 の高い児童,学
力 の低 い 児童,両
方の意欲 を高 め る こ とは重要 とな る。 その中で,児
童一 人ひ と りの 自信 を高める ために,本
研 究では 自己有用感 を取 りあげ る。 自己有用感 とは, 自己 と集 団 との関係 の中 で生 まれ る 自尊感情 の一つである。集団 との関係 を意識 した 自己有用感 は本章で述べた, 問題 点の改善につ なが る と考 える。 自己有用感 について詳 しくは,3章
で述べ る。 本章で述べ た,子
どもの現状 を解決す るためには,考
えの交流 を行 い,他
者 と話 し合 いを行 うこ とが必要 と筆者 は考 える。 算数科 では
,表
や グラフ,式
を書 く とい つた 自分 の考 えを表現す る活動がある。 また,測
定 を した り,具
体物 を用 いた りな どの算数 的活 動 を授 業 の 中で行 う。 これ らの活動 を個別 で行 うのではな く,友
達 と考 えを交流 した り,思
考の 根 拠 につ いて説 明 した りな どの,他
者 と交流が必要 で ある と考 え る。 そ のた め,本
研 究の 授 業立案 において も,話
し合 い活動 の場 を取 り入れ る。 そ して,話
し合 い活動 の手法 とし て,ワ
ール ド・ カフェを取 り入れ る。 ワール ド・ カフェを取 り入れ る理 由 と して以 下の 2 点 を示す。 1点 目は,ワ
ール ド・カフェは通常の話 し合い活動ではな く,模
造紙 を使用 しなが ら話 し 合 いを行 う。そのため,言
語 だ けでな く,図
や絵 での 自己表現 が可能 とな る。それ に よ り, 話す ことが苦手 な児童 に対 して も,自
分 の考 えを伝 えやす くな る。 また,学
力 が低 い児童 に とつて も視覚的な情報 を取 り入れやす くなるため,学
習 内容 の理解 を深 め る こ とにつな が ると考 える。2点
日は,ワ
ール ド・カフェの特徴の一つである 「移動」の有効性 である。 ワール ド・カ フェはグループを固定 して話 し合 いを行 うのではな く,話
し合 いの 中で,メ
ンバー を交替 す る。 そ して,交
替 した先 で,前
の グループで話 していた内容 を新 しいメンバー に伝 える 役割 を各 自が担 う。 そ うして,話
し合いの活動の中で全員が役割 を持つ ことで,主
体的な 参加 を促 す こ とにつ なが る と考 え る。 そ して, 自身 の役割 を実感 した り,活
動 に主体的 に 参加 した りした体験 は 自己有用感 の高める と考 える。 ワール ド・ カフェについての詳 しい内容 は4章
について述べ る。 話 し合 いを通 して 自己有用感 を高 め る授業案 の立案 が本研 究の 目的 とな る。しか し,自
己有用感 の よ うに,学
習者 の内面 を表す情意 面は変化 が実感 しづ らい,評
価 が難 しい とい うこ とが挙 げ られ る。 そ こで,本
研 究は,学
習者 の情意 面 を可視化す るために,ポ
ー トフ ォ リオ を活用す る。学習活動 を通 して分 か つた ことや,話
し合い活動の中で,気
づ いた こ と良かつた ことな どをポー トフォ リオにま とめて,学
習履歴 を可視化す る。 そ こに学習者 の相互評価 を入れ ることで,情
意 面 の変化 に気づ ける こ とをね らい とす る。 ポー トフォ リ オについては5章
で詳 しく述べ る。 第6章
では,そ
れ までの内容 を取 り入れ た授業案 の提示 をす る。 学習内容 は第6学
年・ 算数科の 「比例 と反比例」 を取 りあげ る。 理 由 と して,本
単元は 「数 量関係 」領域 の学習 内容 であ る こと,実
地研 究や ス クールサ ポー ター の経験 の 中で,比
例 の学習 は児童 の間違 いが多かった こと,本
単元 は グラフや表,式
な ど表現す る方法が多様 で児童 の様 々な考 え を引き出す ことが可能 である こと,の
3点
である。次章か ら本研 究の内容 について述べて い く。第
1土早
「数量関係」領域の学習 内容 とその困難点
本研 究で対象 とす る,「数 量 関係 」領域 のね らいは算数科 の各領域 の内容 を理解 した り, 活用 した りす る際 に用 い られ る数学的 な考 え方や 方法 を身 に付 け る こ とにあ る (文部科学 省,2008)。 本章 では,「数 量関係 」 の学習内容 を概観す る。 そ して,小
学校段 階 の 中で, どの よ うに関連 。発展 してい くのかを把握す る。 さらに,その中で数 量や 図形 について取 り扱 う際に必要 となる「関数 の考 え」に着 日し, その指導 の留意 点 と全 国学力・ 学習状況調査 問題 の分析 か ら見 る理 解へ の困難 点につ いて 考察 を行 う。 第 1節では,学
習指導要領解説算数編 にお ける 「数 量関係 」 につ いて概観 す る。 第2節
では,小
学校 での関数 の考 えの発展 と関連 について概観 す る。 第3節
では,関
数 の捉 え方 と指導について,先
行研 究か ら考察す る。 第4節
では,全
国学力・学習状況調査 の問題分析 か ら 「関数 の考 え」か ら比例 について 困難点 を分析す る。 第1節
「 数 量 関 係 」 領 域 の 学 習 内 容 第2節
小 学 校 段 階 に お け る 「 関 数 の 考 え 」 の 単 元 内 容第
3節
関数の捉え方 と関数指導の留意点
第
4節
全国学力・学習状況調査か ら見る課題
第
1節
「数 量 関 係 」 領 域 の 学 習 内 容 本節 では 「数量関係 」の学習 内容 をお さえるために
,小
学校学習指導 要領解説算数編 (文 部科学省,2008)の
中で,「数 量関係 」領域の学習 内容 を述べてい く。 そ して,小
学校学習 指導要領解説算数編 にお いての 「数量 関係 」のね らい について整理 を行 う。 この領域のね らいについて,小
学校学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)に
お いて次の よ うに記述 され てい る。 「この領域のね らいは,「A数
と計算」,「B量
と測定」及び 「C図
形」の各領域の 内容 を理解 した り,活
用 した りす る際 に用 い られ る数学的 な考 え方や方法 を身 に 付 けること,ま
た,数
量や 図形 について調 べた り,表
現 した りす る方法 を身 に付 けることであ る。」(文部科学省,2008,p.47)
上述 の内容 を整理す る と数量関係 においてのね らいは次の2点
とな る。 ① 各領域 の内容 の理解 と活用 をす る際 に用 い られ る数 学的 な考 え方や 方 法 を身 に付 ける ②数量や 図形 につ いて調べ た り,表
現 した りす る方法 を身 に付 ける 現行 の学習指導要領 は,言
葉,数 ,式
,図 ,表 ,グ
ラフな どを用 い た思 考力,判
断力, 表現力等 を重視す るた め,低
学年 か ら 「D数
量 関係 」の領域 を設 け各学年 にお いて充実を 図 つてい る。 小学校学習指導要領解説算数編 (文部科 学省,2008)に
お いて, この領域 では,①
「関 数 の考 え」② 「式 の表現 と読み」③ 「資料 の整理 と読み」の3点
を学習内容 と して示 して い る。 また,そ
れ らにお いて,数
量や その関係 を数,式
,図
,表 ,グ
ラフな どに表 した り 調 べ た りす る力,言
葉 を用 いて表 した り調 べた りす る力,判
断 した り,説
明 した りす る力 の習得が大切 であることを述べている。 平成10年
度版学習指導要領算数編 (文部科学省,1998)に
お いて,低
学年 では,「数量 関係」領域 は設定 され ていなかつた。 しか し,平
成20年度版 学習指導要領算数編 (文部科 学省,2008)で
は,低
学年 か ら 「数 量関係 」の領域 が取 り入れ られ てい る。 これ らの こと か ら 「数量関係」の重要性 を示 してい ると言える。 この 「数量関係 」の領域 は上述 した よ うに,「関数 の考 え」,「式 の表 現 と読み」,「資料 の 整理 と読み」 を主な内容 として分類分 け してい る。 これ らの学習内容 を小学校6年
間で, どの よ うに学習 してい くのか を確認す る。 小学校学習指導要領解説算数編 (文部科 学省,2008)の
中で,「数量 関係 」の各学年の主 な学習内容を表にま とめてい る。 この領域の各内容 を表 に学年別 に分類 し,整
理 した ものが以下の表2-1と
な る。横の軸を1年生か ら
6年
生 の学年 ごとに,縦
の軸 をそれぞれ,「関数 の考 え」,「式の表現 と読み」, 「資料の整理 と読み」 と 「数量関係」の学習内容に分 けた ものを示 している。 表2-1
「数量関係」領域の学習内容 学 年 関数 の考 え 式の表現 と読み 資料 の整理 と読み 第1学年 もの と もの との 対応 数 の 大 小 や 順 序 一つ の数 を ほか の数 との和や 差 と して み る こ と 加 法及び減法の式の表現 と読み ものの個数を絵や図な どを用い て表 した り読み取 つた りす るこ と 第2学年 数 の大小や1頂序 一つ の数 をほかの数の積 として み る こ と 乗数 が1ずつ増 える ときの積 の 増 え方 加 法と減法の相互 関係 乗法の式 の表現 とその読み( )や
□な どを用いた式 身 の回 りにある数量 を分類整理 し,簡単な表や グラフを用 いて 表 した り,読み取 つた りす るこ と 第3学年 乗数 また は被乗 数が0の場合 を 含めての,乗数 が1ずつ増減 し た ときの積 の変化 除法の式 の表現 とその読み 数量 の関係 を式 に表 し式 と図 を 関連付 け ること □な どを用いた式 資料 を分類整理 し,表や グラフ を用 いて分か りやす く表 した り 読み取 つた りす ること 棒 グラフの読み方や書 き方 第4学年 二つ の数量 の関係 と折れ線 グラ フ 四則 の混合 した式や( )を用 い た式 公式 につ いての考 え方 と公 式の 活用 □,△な どを用いた式 四則 に関 して成 り立つ性 質のま とめ 。資料を二つの観点から分類整理し て特徴を調べること 。折れ線 グラフの読み方や書 き方 第5学年 。簡単な場合 についての比例の関 係 数 量 の 関係 を表 す 式 ・百分率 。資料の分類整理 と円グラフや帯 グラフ 第6学年 上ヒ 比例 の 関係 を式,表 ,グラ フ を 用 い て調 べ る こ と 比例 の 関係 を用 いて,問題 を解 決 す る こ と 反 比 例 の 関係 文字 α,xな
どを用 いた式 資料 の平均 度数分布を表す表や グラフ 起こり得る場合を調べること縦軸 にあ る 「数 量 関係 」領域 の学習内容 につ いて小学校 学習指 導要領解 説算数編 (文部 科学省
,2008)で
の記述 をもとに説明を してい く。 まず,関
数 の考 えにつ いてである。小学校学習指導要領解 説算数 編 (文部科学省,2008) では関数 の考 えについて次の よ うに述べている。 「関数の考 え とは,数
量や 図形 について取 り扱 う際 に,そ
れ らの変化や 対応 の規 則性 に着 日 して問題 を解決 してい く考 え方で ある。 関数 の考 えに よって,数
量や 図形 についての内容や 方法 を よ く理解 した り,そ
れ らを活用 した りで きるよ うに す るこ と,ま
た,伴
つて変わ る二つの数量の変化の関係 を考察 し,特
徴や傾 向 を 表 した り読み取 つた りで きる よ うにす ることが大切 なね らいで ある。(文部科学省, 2008, pp.49-50) 文部科学省 は小学校 学習指 導要領解説 算数編 (文部科学省,2008)に
お いて,関
数 の考 え方 を生か してい くための配慮 と して3点
を挙げている。 「第一に,あ
る場 面での数 量や 図形 についての事柄 が,ほ
か の どん な事柄 と関係 す るか に着 目す る こ とであ る。 そ うした関係 に着 目す る こ とで,二
つの事柄 の間 の依存 関係 を調べ るこ とがで きるよ うにな る。 これ が関数 の考 え方 の第一歩であ る。その際,考
察の対象 とな る事柄 の範 囲 を明確 にす るこ とも大切 であ る。 第二 に二つ の事柄 の変化や 対応 の特徴 を調 べてい くこ とで あ る。 伴 つて変 わ る 二つの数量の間には,変
化や規則性 な どの関係 を見付 け られ る こ とがあ る。 数 量 やその関係 を言葉,数 ,式
,図 ,表
,グ
ラフを用いて表 し,そ
の よ うに表現 され た ものか らさらに詳 しく変化や対応 の規則性 の様子 を読み取 る こともで きるよ う になる。 第二 に,上
の よ うに して見いだ した変化や対応 の規則性 を,様
々な問題 の解決 に活用 し,そ
の思考過程や結果 を表現 した り,説
明 した りす るこ とであ る。」 (文部科学省,2008,p.50)
続 いて,式
の表現 と読みについてである。小学校学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)で
以 下の よ うに述べてい る。 「日常の事象の中に見 られ る数量やその関係 を表現す る方法 と して,言
葉,数
, 式,図
,表 ,グ
ラフがある。その中で も式は,事
柄や 関係 を簡潔,明
瞭,的
確 に, また,一
般 的 に表す こ とがで きる優れ た表現方法で あ る。 式 の指導 にお いては,,事
さらに
,式
を通 して場面 な どの意味 を読み取 り言葉や 図 を用 いて表 した り,式
で 処理 した り考 えを進 めた りす るこ とが大切 である。 さらに,式
を,言
葉,図 ,表
, グラフな どと関連付 けて用 いて 自分の考 えを説 明 した り,分
か りやす く伝 え合 つ た りで きるよ うにす る ことが大切 であ る。」(文部科学省,2008,pp.50‐ 51) 小学校 学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)の
中で,式
の働 きについて以下の 点 を挙げてい る。 (ア)事
柄や 関係 を簡潔,明
瞭,的
確 に,ま
た,一
般的 に表す こ とがで きる。 (イ)式
の表す具体的 な意味を離れ て,形
式的 に処理す るこ とがで きる。 (ウ)式
か ら具体的な事柄や 関係 を読み取 つた り,よ
り正確 に考 察 した りす る ことが で きる。 (工)自
分 の思考過程 を表現す るこ とがで き,そ
れ を互 いに的確 に伝 え合 うことがで きる。 次に式 の読み方 と して,次
の よ うな場合 がある。 (ア)式
か らそれ に対応す る具体的な場面を読む。 (イ)式
の表す事柄や 関係 を一般化 して読む。 (ウ)式
に 当ては ま る数の範囲 を,例
えば,整
数 か ら少数へ と拡 張 して,発
展 的 に読 む。 (工)式
か ら問題解決 な どにお ける思考過程 を読む。 (オ)数
直線 な どのモデル と対応 させ て読む。 最後 に資料 の読み と整理 についてである。小学校 学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)で
以下の よ うに述べ てい る。 「目的に応 じて資料 を集 めて分類整理 した り,そ
れ を表や グラフな どを用 いてわ か りやす く表現 した り,特
徴 を調べ た り,読
み取 つた りで きる よ うにす るこ とが ここでのね らいである。 そ うした活動 を通 して,的
確 な判 断 を した り合理的 な予 測 を した りす るよ うな態度 を育て るこ とも大切 であ る。 それ は,多
くの情報があ ふれ る現代 の社会 の中にあつて,特
に重要 な意味を持つ もので ある。 この よ うに 算数 が活用 され る こ とに気付 くこ とに よつて,算
数 の価値 を実感 で きる こ とに も なる。」(文部科学省,2008,p.52)
小学校学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)で
は, 目的 に応 じた資料 の分類整 理 を し,表
現,読
み取 りの能 力 を伸 ばす ためには,以
下の学習活動 を通 して,知
識及び技 能,考
えや表現の仕方,活
用 の仕方 を児童が身 に付 け られ るよ うにす るための配慮 を述ベ ている。(ア
)目
的 を明確 に し,そ
れ に沿 った資料 を収集す るよ うにす る。 (イ)資
料 を分類整理 し,そ
れ を表や グラフを用いて表 した り,百
分率や 平均 な どを求 めた りして,資
料 の特徴や傾 向を読み取 る。 (ウ)こ
れ らの資料 の特徴や傾 向に着 目す ることに よつて,事
柄 の判 断や 予測 を した り, 様 々な問題 の解決 に活用 し,そ
の思考過程や結果 を表現 した り,説
明 した りす るよ うにす る。 小学校学習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)の
中で,算
数科 の 目標 と して 「算 数 的活動 の楽 しさ」や 「数理的 な処理 の よさ」 に気付 くこ とを挙 げてい る。 また,筆
者 の 実地研 究 の経験 にお いて文章問題 で どの数 量が関係 してい るのか, どの数量が問われ てい るのか読み取れ ない児 童がいた。 そ のた め この領域 にお いて,児
童 に最 も身 に付 け させ る べ き能力 は 「数量の変化や対応 の関係 に気づ くことがで きる能力」 である と考 える。 その 力 を身 に付 ける こ とで,数
量 の変化や,関
係性 に気 づ くこ とがで きる と考 え る。 そ うして 身 に付 けた力 をベ ー スに,式
に表現す る力,必
要 とされ る資料 を選択 す る力, 自分 の思考 過程 を表 現す る力 な どの力 を身 に付 けて い くこ とが で きる と筆者 は考 える。 そ のた めに, 「数量関係」の領域で 「関数 の考 え」を取 りあげる。 その理 由 と して,小
学校 学習指導要 領解説算数編 (文部科 学省,2008)で
も述べてい る通 り,数
量や 図形 を取 り扱 う際に関数 の考 えを必要 としてお り,そ
れ を立式で あった り,資
料 の読 み取 りであつた りと問題 解決 に活か してい る。 その ことか ら,算
数 を学習す る上で,「関数 の考 え」 を身 につ けることが 学習内容 の土台にな る と考 える。 そのため,本
研 究では 「関数 の考 え」の中で も,「数量の変化や 対応 の関係 に気づ くこと ができる能力」を身 につけるための単元 と して6年
生での 「比例 と反 比例」を取 りあげる。 比例の関係 は一方の数量 に合わせ て, も う一方の数 量 も変化 してい く。 その変化 は どち らも規則的に変化す る性質が ある。変化 が規則的であるため,変
化 の特徴 を児童 に とつて も読み取 りやすい と筆者 は考 える。 また,2つ
の数量は同時 に変化 してい くため,2つ
の数 量 の対応 について も気 づ くこ とは児童 に とつて も分か りやす い と考 える。しか し,変
化 の 中には比例 ではない変化 も存在す る。 そ の よ うな変化 と,比
例 の変化 とを区別 で きるため の指導を授業づ く りの中で取 り入れ る必要が考 えられ る。 次の章では,6年
生 で 「比例 と反比例」を学習す るまでに,関
数 の考 えを形成す るために どの よ うな学習を行 うのか,教
科書 の内容 と合 わせ て,概
観 してい く。 そ して,「比例 と反 比例」を学習す るまでに重要 となる学習内容 を確認す るとともに,「比例 と反比例」につい ての学習内容の概観 も行 う。第
2節
算 数 科 教 科 書 に お け る 「 関 数 の 考 え 」 に 関 す る 単 元 前節 では 「数量関係 」の学習 内容 を概観 し,そ
の 中での,「関数 の考 え」 について焦点 を 絞 つた。本節 では 「数 量関係 」領域 の中で,「関数 の考 え」の学習 内容 が 「新 しい算数」(東 京書籍,2015)の ,単
元 との関連 を整理 してい く。前節 で述べ た数 量関係 の 「関数 の考 え」 は各学年で設定 されている単元があ り,指
導が行われ てい る。以 下の表2‐2は
学習指導要領 にお ける 「関数の考 え」領域の内容 と 「新編 新 しい算数」(東京 書籍,2015)の
内容 で, 第 1学年か ら第6学
年 の対応 を表 にま とめた ものであ る。 表2-2
各学年における「関数の考 え」 と「新 しい算数」 との関連表 学 年 学習指導要領 の関数 の考 え と 「新 し い算数」(2015)と の関連 「新 しい算数」での単元 第 1学年 もの ともの との対応 1「なかまづ くりとかず」 ・数の大小や順序2「
なんばんめ」 。一つの数 をほかの数 との和や差 と してみ るこ と 3「い くつ とい くつ」 第2学
年 数 の大小や順序5「
100よ り大 きい数 を しらべ よ う」 。一つの数 をほかの数の積 としてみ る こと12「
九九をつ くろ う」 ・ 乗数が1ず
つ増 えるときの積の増 え方12「
九九をつ くろ う」 第3学
年 ・乗数 または被乗数が0の
場合 を含 めての,乗
数 が1ず
つ増減 した とき の積の変化 1「九九を見なおそ う」 第4学
年 二つの数量の関係 と折れ線 グラフ 1「グラフや表 を使 つて調べ よ う」第
5学
年 。簡 単 な場合 につ いての比例3「
変わ り方 を調べ よ う」 第6学
年 。歩ヒ8「
割合 の表 し方 を考 えよ う」 。比例 の関係 を式,表
,グ
ラ フを用 い て調 べ る こ と 「比例 を くわ しく調べ よ う」 ・比例 の関係 を用いて,問
題 を解決 す ること 。反比例 の関係 表2‐2か
ら,本
研 究で,取
りあげ る 「比例 と反比例」の学習 までの学習内容 についての関 連 と発展 を読み取 るこ とがで きる。 低学年 で乗法 を学習 し,乗
数 と積 との関係 についての 学習か ら,比
例 関係 の理解 について の素地 を養 つてい る と考 え られ る。 そ して,中
学年 で グラフや表 といつた表現方法 についての学習 を行 う。 それ らを踏 まえて高学年 にな り,比
例 の原理 についての学習や,比
例 関係 の事象 についての学習 を行 つてい る。 続 いて,比
規則的 な数量の変化が用 い られ る第6学
年 で取 り扱 う 「比例 と反比例」の指 導 について考 えてい く。 まず,比
例 (正比例)に
ついてお さえてお く。 比例の意味を 日本 数学教育学会 (2009)は次の よ うに述べている。 「二つの数量△。口があつて,△ の値が2倍
,3倍
,・ ・・ にな ると,そ
れ に対応す る日の値 も,2倍 ,3倍
,・ ・ 。とな り,ま
た,△ の値が1/2,1/3,1/4,・
・・ にな る と,そ
れ に対応す る国の値 も1/2,1/3,1/4,・
・・ にな る とき,「□は△に比例す る」 とい う。」(日 本数学教 育学会,2009,p.255)
この比例 を学習す る上で児童が間違 いやすい問題 と して,2つ
の数量が両方 とも変化す る 場合 は全 て比例 で ある と考 えて しま うこ とにある。 比例で はない 関係 の例 と して,身
長 と 体重の関係 で ある。2つ
の数量の変化が一定で もなけれ ば,関
係性 もない。 この例 の よ うに 両方に変化 が見 られ る場合 で も比例 を してい る場合 と比例 を して いない場合 の違 いを児童に気づかせ ることが指導 にお いて配慮すべ き点 とな る。 続 いて反 比例 で あ る。反 比例 の意 味 を 日本数学教 育学会 (2009)は次 の よ うに述べ てい る。 「二つの量 xと
yが
あって, るyの
値 は1/2, 1/3, にな り, 応す るyの
値 は4/3,2倍
,・ ・ (日本数学教育学会,2009,p.
xの
値 が2倍
,3倍
,・ ・・ にな る と,そ
れ に対応す また,xの
値 が 3/4,1/2,・ ・・ にな る と,そ
れ に対 。になるとき 「yは
xに
反比例す る」 とい う。」 258) 反 比例 の大切 な点 は 「xy=一
定」であることである。 この一定の数 を 「比例定数」 と小 林 は述べ てい る。 この こ とに注意 を して指導 を行 わな けれ ば,児
童 が反 比例 について 「一 方が増加 して他方 が減少す るものが反比例」 とい う勘違 い を生み出す こ とに繋 が る。 小学校段 階で比例・ 反 比例 の関係 を理解 してお くこ とが 中学校 以上 に あが つてか らの 1 次関数や2次
関数 な どの関数 の学習での生徒 のつ まず きを防止す る,小
学校 第6学
年 の理 科 で学習す る`てこ'の原 理 に理解 に繋が るな どの効果が ある と筆者 は考 え る。 また,比
例 と 反 比例の関係 を理解す るこ とは,移
動時 間の推測や仕 事量の推測 な ど, 日常生活 において も見通 しを立て る こ とに役 立つ と考 える。 そのため,小
学校段 階 にお いて比例 。反比例 の 関係 を見つ ける力 を身 につ けるこ とは非常 に重要な こ とで ある と筆者 は考 える。 次節 では,本
節 で整理 した 「関数 の考 え」の 「関数」 に着 目 し,捉
え方 と関数 の指導に お ける留意点について考察 を行 う。そ して,関係 づ ける力 を育成 す る授 業づ く りに活かす。 13第
3節
関 数 の 捉 え 方 と 関 数 指 導 の 留 意 点 本節 では,本
章 の第1節
,第 2節
で整理 を行 つた,「数量 関係 」領域 の中で,「関数の考 え」についてよ り深 く考察 してい く。「関数」の捉 え方 を概観 し,関数 に関す る示唆 を得 る。 そ して,そ
の理解 を授 業づ く りに活かすための留意点について考察 を行 う。 小学校 の算数科 の 中で,数
量 と数量 を関係 づ けるこ との学習 と して,「数 量関係」領域 が あ る。 これ らの内容 においては,数
量そ の ものだけでな く,そ
の関係 を表 した り,調
べた り,判
断 した り,説
明 した りとす ることが大切 である と してい る。 「数量関係」領域においては,前
節 で述べ た通 り,関
数 の考 えが重要 と筆者 は考 え る。 関数 の考 えについては,本
章第 1節 で述べた とお りである。 この考 え方の中で重要な要素 となるのが,「関数」である。この関数 について述べてい く。 関数 の定義 につ いて,2つ
の考 え方があ り,國本 (1990)は その2つ
を「対応 に よる定義」, 「関係 による定義」 としている。 まず,対
応 による定義 につ いてで ある。 國本 (1990)は次の よ うに述べ てい る。「集合
A,Bが
あつて,Aの
各要素aに
対 して,Bの
各要素bが
ただ1つ
だ け対応 す る とき,こ の対応 (一意対応)をAか
らBへ
の関数 といい,f:A→ Bま
たはA→
B
と表す。」(國本
,1990,p.104)
続 いて, も う一方の定義 で あ る 「関係 に よる定義」 で あ る。 國本 (1990)は次の よ うに 述べてい る。
「集合
A,Bあ
つて,直積A×Bの
部分集合 をAか
らBへ
の関係 とい う。この場合,関係 に属す る どの
2つ
の順序対 を とつても第 1要素が同 じものはすべてその第2要
素 も同 じである とき,順
序対(a,b)を
要素 とす る集合 を関数 とい う。」 (腫日本,1990,p.104)
これ らの2つ
を関数 の定義 と して捉 え,本
研 究 を述べてい く。 そ して,こ
の関数の定義 にあるよ うに,「対応 」や 「関係 」 につ いて考 えてい くこ とが 「関数 の考 え」 につなが る。 この関数の考えの必要性 について 日野 (2002)は,算
数 を実際の場 面 に適用す るためには, 必ず数量関係 の判断や推理が必要 であることを述べている。 関数 の考 えにつ いて, 日本 数学教育学会 (2009)は,関
数 の考 えにつ いて次の よ うに述 べている。「ある数量について調べ よ うとす るとき,それ と関連 の深 い ほか の数量 を見つ け, それ らの数量 の間 に成 り立つ対応 の関係 を明 らかに して
,そ
の関係 を利用 して考察 してい くことが関数の考 えの基本である。」(日本数学教育学会,2009,p.9)
関数 の考 えには様 々な側 面が ある。 國本 (1990)は,関
数指 導 にお いて方法的側 面 を も りこんだ 「関数的見方・ 考 え方」の必要性 を示 してい る。 この 「関数 の見方・考 え方」は, 文部科学省が学習指導要領解説で述べてい る 「関数 の考 え」 と同義 と して本研 究では捉 え る。 この 「関数的見方・ 考 え方」は,関
数 の定義や性 質 な どの内容 的側 面 を作 り上 げ る基 本 にな る考 え方で あ り,そ
の 「関数的見方・考 え方」 として國本 (1990)は,次
の6つ
の 考 え方 を示 してい る。 (1)集合 の意識 を もつ こと (集合 の考 え)(2)2つ
の数量の依存関係 に着 目す ること (関係 づ け る考 え)(3)数
量 を変化 させ て考 える (変数 の考 え) (4)「決 めれ ば決 ま る」 とい う考 え (対応 の考 え) (5)対応 の きま りや変化 の特徴 をみつ ける (帰納的 な考 え) (6)対応 の きま りや変化 の特徴 を利 用す る (応用 の考 え) これ らの考 え方 を統合 した ものを國本 (1990)は 「関数的見方 。考え方」 としている。 一つの数量関係 に対 して,6つ
のそれぞれの考 え方を組み合わせ て取 り組む ことが関数的見 方 ・考 え方」 を育 て る こ とにな り,そ
れ は,活
用す る ことに よつて他 の学習 内容 の理解 の 深 ま りや 問題 解決 に役 立て ることがで きる。 そのため,國
本 (1990)は 「関数的見方 。考 え方」 を小学校か ら系統的に育成す ることの重要性 を指摘 している。 関数 の表現 にお いて は表・ グラフ・式 を用 いて考 え るこ とが多い。 これ らの表現手段 を 用 い る理 由 と して対応 の きま りや 変化 の特徴 を見出 した り,考
察 した りす る ことに活用 を で きるか らである。日野 (2002)は この ことに加 えて,「グラフをか く技能ばか りでな く, それぞれ の表現の特徴 を理解 し,有
効 に活用 してい く仕方 を学 んでい くべ きである。」 とも 述べてい る。 日野 (2002)の述べ てい る通 り,表
現方法 を活用す る力 は関数 にお いて重要 であ る と筆 者 も考 える。 しか し,そ
れ 以上 に表現 され てい る表や グラフ,式
か ら情報や考 え方 を読み 取 る力 を身 につ け るこ とが必要 ではないか と筆者 は考 える。 そ のた め,筆
者 は小学校段階 の算数では,グ
ラフや 表 をか くとい う活動 ではな く,グ
ラフや 表,式
につ いて児童同士で 読み取 り,交
流 し,そ
れ らの情報か ら何 を読み取 ることが出来 るのか, どんな ことが分か つた り,気
づ けた りす るのか とい うことについて話 し合い,考
えをま とめてい くとい う学 習活動が重要 とな つて くる と考 える。 そのためにはそれ ぞれ の表現手段 に どの よ うな特徴 があ るのか とい うこ とを理解 してお く必要がある。 それ ぞれ の特徴 を理解 し,活
用方法 を理解 していなけれ ば,適
切 でない表 15現方法 を用い るこ とにな り
,か
えつて学習 に対す る理解 を妨 げるこ とになるおそれがある。 そ のた め,グ
ラフ・ 表・ 式それ ぞれ の利 点や特徴 を理解 す るた めに,
日野 (2002)の説明 を もとに考察 してい く。 まず は表 についてで あ る。 表 の よ さにつ いて 日野 (2002)は 「表は,有
限個 の数値 につ いての対応や変化が表 され る とい うよさがある。」 と述べている。 表では,二
つの数量の間 の規則が見出 され る。表 には縦 にみ る見方 と横 にみ る見方の2種
類 があ り,そ
れ ぞれ,縦
にみ る見方 を「数量の対応 に着 目す る見方」,横 にみ る見方 を「数量の変化 に着 目す る見方」 とな る。子 どもは数量の変化 である 「横 にみ る見方」 に着 目しが ちにな るため,表
を考察 す る際 には,縦
と横,両
方 の見方がで きるよ うに指導 を してい く必要性 が あ る。 続 いて,グ
ラフについてで ある。 グラフの特徴 と して,対
応 す る値 その ものが1つ
の点 と しては っき り表 され,無
現個 のサ ンプル を表せ る とい うこ とで あ る。 さ らに グラフの よ さ として 日野 (2002)は 「視覚的に訴 えることができ,値
の対応す る様子や変化 の特徴が 一 日でわかるとい うよさがある。」 と述べている。 最後 に式についてであ る。式の特徴 は対応 のきま りを示 してい る こ とにあ る。日野 (2002) は,「式は,手
続 きを示 していてわか りやす く,代
数的 な変形がで きる とい うよさがある反 面,数
量の変化 をそ こか ら読み取 るのは難 しい。」 と説明 してい る。例 えば (速さ)×
(時 間)=(距
離)と
い う式がある時,速
さが一定の場合,時
間が2倍
にな る と,距
離 も2倍
にな る とい うことが計算式 で数字 を代入 してい くと式の結果か ら理解す ることができる。 しか し,式
だけでは,時
間の数字 が1増
加 した時,距
離 は速 さの数値分 だ け変化す る とい う対応 には気づ きに くい。 これ らの 日野の説 明か ら,数
字 の変化 を視覚的 にわか りやす くで きるのは グラフ,1つ
ひ とつの対応 と変化 を読み取 りやす くす るのは表,立
式 に よつて対応 の きま りを見つ け,代
数 に よって数値 を見つ けやす いのは式, とそれ ぞれ活用 され てい る場 面 を考 え る必要があ る とい うことが改 めて分か る。 これ らの特徴の理解 と問題 に適応 した表現手段 を児童が把 握 できることが関数 に関す る児童 の理解 を深 め ることがで きるのだ と筆者 は考 える。 実際 に,児
童 に関数の考 えの力 を身 につけ させ るためには どの よ うに指導 をす ると良い のか。その指導のポイ ン トについて 日野 (2002)の 指導のポイ ン トを基 に考察 を行 う。 日野 (2002)は関数 の考 えについての指導 のポイ ン トと して4点
挙げてい る。 その4点
は 以下の通 りである。 ①パターンや関係に関わる活動を,就
学前の早い時期から始めるべきである ②パターンや関係に関わる活動は,徐
々に見出したパターンを言葉や記号を用いて数 学的に表現することへと進んでいくべきである ③実世界での異なる状況,実
験的な状況を含めて,量
の関係を表 した り,理
解 した り, 予測 した り,結
論を導いた りするために,数
学的モデルを使 うことである,学
,記
述 した り,予
測 した りす る活動 を取 り入れ るこ とで ある それぞれ のポイ ン トについて詳 しく説 明 してい く。 日野
(2002)は
第1の
ポイ ン トとし て次の よ うに述べてい る。『「音や形,簡
単な数 の列 の よ うな様 々なパ ター ンつ い て気 づい た ことを挙げた り,記
述 した り,続
きを考 えた りす る」「1つ
のパ ター ンを,絵
や 図な どの 色 々な表現で記述 してみ る」』 これ らの活動 を通す こ とが,規
則性 を見 出 した り,予
想 した りす る とともに,様
々な種類のパ ター ンがあることの認識 につ なが ってい くとされ ている。 次に第2の
ポイ ン トと して, 日野(2002)は
『 中学年辺 りか らは,パ
ター ンの構造化や 変化 の仕方 を解析 し,得
られ た情報 を うま く使 つて,パ
ター ンの 中にある数学的 な関係 を 一般化 していけるよ うに したい』 と述べている。 続 いて第3の
ポイ ン トである。 量の関係 を表 した り,理
解 した り,予
測 した り,結
論 を 導 いた りす るために数学モデル の活用 をお こな うことであ る。 日野 (2002)は「現実では, 様 々な理 由か ら必ず しも予測 と観測結果 が一致 しない こと,よ
いモデルに基づいた予測は, 結果 に近 い値 にな る こ と,同
じ状況 を違 うモデルで探究で きるこ とな どに対す る理解,な
どを中学年か ら理解 を徐 々に深 めていきたい。」 と述べてい る。 最後に第4の
ポイ ン トである。 日野(2002)は
「様 々な文脈 での変化 に注意 し,学
年 に 応 じその特徴 を調 べ た り,記
述 した り,予
測 した りす る活動 を取 り入れ るこ と」 と述べて い る。身 の回 りに浴れ てい る変化への記述 の仕方に,質
的 な もの と量的 な もの とが あ り, 表や グラフな どの道 具 を使 うこ とで,よ
り変化が見えやす くな る。 そ うした変化 に注 目し てい くこ とで,中
学,高
等学校 で学ぶ様 々な関数 を理解す る上 での素地 にな る こ とを述ベ てい る。 この よ うに段階分 けてい くことで,よ
り指導の充実 を図 るこ とが児童 の関数 の考 え方の 理解 を深 めることに繋が る と筆者 は考 える。そのためには,様
々なパ ター ンを教師側 が用 意 し,そ
のパ ター ンにつ いて児童 同士で どの よ うな見方がで きるのか,変
化 の特徴 は どこ にあるのか といった こ とを,お
互 い に見比べ る活動が必要 と考 える。 そ うす ることで,関
数 の考 え方 に対 して,よ
り広 い視野 をもつて考 えることがで きる素地 を養 うことがで きる と考 える。 本節 では,学
習指 導要領 に記 され てい る 「関数 の考 え」 を起 点 と して,関
数 の捉 え方, 関数 の考 え及 び関数的見方・考 え方 につ いての考察,そ
して関数指導 にお ける在 り方 につ いて國本 (1990)と 日野 (2002)の 考察 を参考に考察 して きた。関数 について考えるとき, 集 合 してい る とい う広 い視 野 を持 つ必要性 は もちろんの こ と,様
々な試行錯誤 を して どの よ うな条件が関数 関係 にあるのか を児童 に探究 させ てい くことが指導 において必要な こと と筆者は考 える。 そ うす ることで,関
数 にお いて 「変化 と対応 」 を児童 が見つ ける力 を身 につ ける ことがで きるのではないか と考 える。 そのためには, 日野 は消極的 であったが, グラフや表 を書 くとい う活動 も活用 してい く必要がある と筆者 は考 える。 なぜ な ら,説
明 す ることが苦手 な児童 が 自分 の考 えを説 明す るために,表
や グラフな どの視覚的資料 が活 17用 で きる こ とに よつて説 明 しやす くな る とい うこと
,ま
た,現
在 増 えて きてい る特別 な支 援 を必要 とす る児童 には 日に見 えて分 か る資料 をつ くる 。読む 。考 える とい う思考 に大 き な手助 けにな る と考 えるか らである。その資料 を話 し合い活動 の 中で,活
用 してい くこ と で,学
級 内 にお いて学習 内容 の理解 を相 互 に深 める こ とがで きる と考 え る。 その理解 の深 ま りは,学
習意欲 の向上 に もな る。 また,本
節 で述べ た通 り,読
み取 りにつ いての指導 も重要 で あ る と考 え る。授 業 の中で それ ぞれ が作成 した グラフや表,式
な どを題材 と して,そ
の表現方法が何 を表 しているの か とい うことについて話 し合 いが行われ る必要がある と考 える。 その活動 に よつて,児
童 の情報 を読み取 る力 が身 につ き,読
み取 つた情報 を基 に活用 してい くとい う展 開が 自然 と 行 われ てい くと考 え られ るか らで ある。 そ の時,活
用す るた めに,児
童 は 自然 と関数の定 義や性質 に対 して無意識 の うちに考 えてい くこ とにな る と筆者 は考 える。 本節 で,述
べ た 「関数 の考 え」は児童 に とつて どの よ うな困難 点が見 られ るのか。その 困難点 を把握す るために,次
節 で全 国学力・学習状況調査 問題 の分析 か ら,児
童が どの よ うな認識や 間違 いがあ るのか考察 を行 う。第
4節
全 国 学 力 ・ 学 習 状 況 調 査 か ら見 る課 題 本章では,第
1節
か ら第3節
にかけて 「数量関係 」 と 「関数 の考 え」 について小学校学 習指導要領解説算数編 (文部科学省,2008)や
日本数学教育学会(2009),國
本 (1990) や 日野(2002)の
考 え方 に基づいて考察 を行 つて きた。本節 では,平
成26年
度 か ら28年
度 の全国学力・学習状況調査 の算数B問
題 の中で,関
数 に関す る問題 を取 り上 げ る。 そ し て,児
童 の回答類型や 正答率な どの分析結果か ら,関
数 にお いて,児
童 に どの よ うな困難 点があるかを考察 してい く。 関数 の問題 に関 して,子
どもが どの程度 の力が身 についてい るのか を確認す るために, 平成26年
度か ら平成28年
度 にか けての 「全国学力・ 学習状況調査」 の算数B問
題 か ら関 数 に関す る問題 を ピックア ップ して取 り上 げ,正
答率,無
回答 率,学
習指導要領 の領域 を 合 わせ て表 に ま とめた ものが表2‐3と なる。 全部で3間
と関数 に関す る問題数 自体 は少ないが, どの問題 も正答率が50%台
∼60%台
と正答率は約 半分 と低 くなつてい る。 しか し,無
回答率は5%未
満 と大 半の児童が何か しら 回答 を書 くことはで きてい る。 そ こで,問
題 の内容 を児童 の誤答例 と合 わせ て 見てい き, 児童 に とつての困難点 が どこにあ るのか を考察 してい く。 まず問題番号①についてである。問題を図2-1と して,児
童の回答例を表24と
して以 下の図に示す とお りである。 表2-3
全国学 力・学習状況調査算数B問
題26年
度∼28年
度関数 に関す る問題 No. 出題年度・問題 番 号 正答 率 無 回答 率 学習指導要領領域 ①平成
26年
度□
(1)62.4%
1.7% lA (1)イ/4D(1)
ア ②平成
28年
度□
(1)56.3%
3.0%
3D(2)ア
/4D(2)ア
③平成
28年
度□
(2) 50.0%4.2%
3A(5)イ
/4D(2)ア
/5A(3)ア
19春 棄 の 時 饉 ほ.打 楽 器 で リ ズ ム の 線 響 を し て い ま す 。 t寒1 ま さ る さ ん は, ダ ン プ :メ ン で で の4 rf囀の リ ズ ム を何 霧 か く `J鑢 し ま す. ま さ る さ ん が :rき、藤 彗 穫〔漆 壽 す る リ ズ ム を
.●
の リ ズ ム と し ま す 。 1小節 鶏 の ① の リ ズ ム を2霧
餞 に 演 棗 す る の は 、5小
節 墨 で す 。 こ の よ で す か り4小
節 の リ ズ ム う:1考え る と,①
の リ ズ ム を30壺
!=漆奏 す る の1ま.何
小 節 薗 答 え 警書 き 壼 し よ う。 F葛 、難 群│ を 1・簑 g 3′ :ヽ野 日 「 =■・締 目]も ,1,飾 鐵 ■ 卜 辞 獲 ― ・ ⑭ の り 策 ム 図2-1
平成26年
度全国学 力・学習状況調査算数B問
題日 (1) 表2-4
図2-1の
問題の児童 の回答例 区 闘種 番 号 解 警 蟻 型 薇専 率 (ヽ〉 霊 答 国 ¨1 2 , t騨 客 していうt,・rl 62.4 ◎ t3 と解答 してい る ヽ,の 05 3 10 お騨答 してい うt,の 15.■ ■ 一 9 13 と騨 答Lてい7●1,の 嗜 〓 L記以 外の解 審 116 0 澪解答 この問題では⑦ の リズム と4小
節のまとま りとの対応関係 を理解することが,問
題を理 解する上で重要な部分であると筆者は考える。⑦の リズムと4小
節のまとま りとの対応関 係を表 してまとめたものが下記の表25と
なる。表
2-5
問題番号①の内容を表に表わしたもの
4小
節 の ま とま り 0 1 2 3 5 ⑦の リズムがくる 小節 1 5 9 13 17 9 “ 表25で
は,⑦
の リズムと⑦の リズムが来た時点で4小
節のまとま りが何回あるかを対 応関係 として示 している。例 として⑦の リズムが1回目に くるのは1小
節 目なので,「1」。4小
節のまとま りは, この時点でまだひ とつも完成 していないので 「0」 となっている。 こ の表の2つ
の数量の関係 を式に表わそ うとした場合,次
のように立式す ることができると 考える。「(4小 節のまとま り)×4+1=(⑦
の リズムがくる小節)」。この式を使用 して問題 に当てはめると,聞
かれていることは 「3回
目の⑦の リズムが くる小節」なので,こ
の時点 で4小
節のかたま りは2で
きていることになる。この 「2」 を先程の式に当てはめて 「2×4 +1=9」 とな り,答
えは9小
節 目と回答することができる。 この問題では,児
童の誤答例 として 「10」 や 「12」 とい う回答が見 られた り,回
答類型9 では 「8」 とい う回答 も見 られた りした。 これは,⑦
の リズムと4小
節 との関係 を把握でき てお らず,⑦
の リズムを4小
節 と分けて考えて しまった り,4小
節の中の4小
節 日で数えて しまつた りと⑦の リズムと4小
節 との関係性 を文章だけの情報では児童が理解することが できなかつたからであると筆者は考える。これは推測であるが,表 2‐4で
筆者が示 したよう に表が提示 されていれば,た
とえ虫食いの形であつた としても正答率は大きく変化 したの ではないか と考える。 この問題か ら,児
童は対応する2つ
の数量に対 して,そ
れぞれの変化だけを考えること はできるが,2つ
の数量の対応関係が どのようになっているのか とい うことを文章か ら読み 取ることは児童にとつて困難点であるのではないか と筆者は考える。表や グラフなどの視 覚的な資料があればそ こか ら2つ
の数量の対応関係 を読み取ることができるが,文
章だけ であるとそれができない。 このことか ら, さらに文章から読み取れ る情報か ら表を作成す る力 も弱いではないか と推測する。 続いて,問
題番号② についてである。問題番号②は以下図2-2のよ うになっている。 9 “俸 書 の 時 間│■
,40鋼
′ヽ一 ドル 走 を17います, 次 の 圏 の よ う│■.͡
一 ド '卜 と′ヽ一 ド″ 'の聾 が そ れ ぞ れ.5翔
、 │=なる よ う1■― ― ド苺 を4台
ず つ 鑽 ヽく,40翻
の 議 一 ス1■ A, の フ ー ス をつ く り ま す 。5.5111.6m
き,Cの 3つ
40轟
の コ ー ス に ノヽ一 ドル を 置 い た 鋼 ス ター ト ゴ ー ル Aフー ス B「― ス C'― ス こ う ピ さ ん │ま,^一 軒 轟 と ′ ヽ 一 ド 「 =の 間 が 5 rTlで あ る AF一 ス 昴 ・ ス タ ー ト 地 点 か ら4台
口 の ハ ー ドル を 鑽 き ま す 。(1)Aコ
ース│ま,ス
ダー ト地点から 1台 目の′ヽ一 ドルまでが12mで
,ハ
ー ド・L とハー ドl♭の轟が5口
です。 ス ター ト地 点11,巻
き尺の「0贈
」の ところ をあわせ る と,Aコ
ー ス の4台
日のハー トルを置 くのは,巻
きRの
何 錮0と
二轟になりますか。 求め る式 と答 え を書 きま しょ う。 図2-2
平成28年
度全国学 力・学習状況調査算数B問
題E211(1)表
2-6
図の2-2の
問題の児童の回答例 躊艤 灘 野 騨 等 艤 型 腱応峯 (鳴〕 =等 回 (簿鸞) 式1こついて1ま,答鳥鎌 質樺や 警ゑの工難霧調 わ叢い。 彙驚 と鐘彙無 さ入れ檸 鳥た式孝 ギ1,鉾害す 薔. 式 警 鳥 l Fず朦一 千 ン イト デー=Jレ件 鞣鰻 む青 :=〔 正L年ヽベ キ騨 率 燦 i■+3と 3 霧 ミ営+5+議 ■5 ,薔.3 02 ◎ ◎ 2 7ゴ蒙― チ とイ ン デー ス な命 雛鰺 を合 わせ ■正 しい 式 を解 警 糠 ヨ ■IX2 驚 ,7■ 5+5rF
≧繹 檬 して し るもの 3 藤葉ヽ'奮真れ る式 を鱗 寄 擁 ≧2■ 5ヽ /ヽ― ド│●礫麟帝織 0 邁 一 ■ 簸T_・ 1)t,機髄Sr.Fl式を解響 51,11 と解 修 じ Iいるt轟 ■7, 51, ■3 1■ 'ト を解檬 してい る 場ギl 舞零 警 軌 ] 5 懸繁1から餞 漂5碁諄準式 を解 薔 難解糠 =T 鷺解 修 いで ヽ も もの as 鳥X3
崚■lt穣してヽヽ壕ふ砕5+5+5
と騨糠 しているもの ヽ1+5×・各 よ鮮答 じtいるもの 12+3+■+鳥■5 彙ぶ等 して事ヽ壕1)の 3● l と駆 暮 して淳`るt:秦 3+3+3+5 と警謳警こでヽヽも も√I II_4 9 三織以 外Q籍等 l=_1 0 摯騨 答 正 薔 黎 5ふう この問題では,4台
目のハ ー ドル が置 かれ てい る場所 は何mな
のかを聞かれている。「4 台 目」 とい う記述か ら 「×4」 と考 えて しまいがちであるが,ハ
ー ドルが4台
なので間のイ ンターバルは3つ
しか な く 「×3」 と考 えなけれ ばな らないのが注意 点 とな る と筆者 は考 え る。 実際に児童 も誤答例 としてその勘違い を多 くしている。 その ことを示 しているのが下 の表26に
な る。表26は
問題番号② の児童 の回答例 を表 に示 した もので ある。 上の児童の回答類型 か ら見て,回
答類型8が
17.4%と 多い ことか ら分か るよ うに,5を
4 回足 してお り,ハ
ー ドルの台数 とイ ンターバルの数 を同 じと考 えて しま う児童が多い。 ま た,回
答類型4,5に
あるよ うに立式 は正 しいが,解
答 が間違 つてい る とい う児童 の回答 も 見 られ る。 これ らの こ とか ら,今
回 のハー ドル とイ ンターバル との関係 の よ うに,式
の具 体的 な場面 を読む とい う力や 式の意 味理解 とい った力 に課題 が見 られ る と考 える。 23よ11.40 FTI走の 「 イム を もと
11,40隣
′ヽ一 討略走 碑 輔轟nfィ
ム を 決轟ます。 40 ol,ヽ一 ぎ心麦籍 檬穣壽 ダイムは,次
曇式で求める こと:〔 します。40酷
「 ヽ一 ドJI走の 目標● タイムを求める式40覇
た鉾タイム + 0,41貸
2キハー ドメ
レの歌
=戯
機めタイム
こCPI式 で 演鱒 (……)曇
銀 分1ま,40mハ
ー ド′ヨ走 参 と な│ミ 増 え轟分0時
Fenです ね。{2)ま
な轟 さん│ま、40m走
の ダイムボ3.l摯
で 彗た.・ ヽ― ドキ●鐘ポ4釜
の とき,ま
な基 さんの 餞機め 'イ ム:ま質砂Iミな 警産す苺`。 求める式 とまなみ さんの 轟攣鉾 ダ《ムを書 きま しょう, まなみ 最後に,問 題番号③についてである。問題番号③は問題番号② と同 じ場面の問題である。 それが図2‐3と なる。 図2-3
平成28年
度全国学力・学習状況調査算数B□
(2) この問題 において も問題番号② と同 じよ うに,40m走
のタイム とハー ドルによるタイム ロス (0.4(秒)×ハー ドル の数)と
の関係 を把握 してい ること,そ
の上で足 し算 とかけ算が 混合 しているた め,四
則 計算 の順 序 を正 しく理解 してい ることが必要 と筆者 は考 える。 そ うした,問題 の特徴 を理解 した上で,こ の問題 に対す る児童 の回答類型 を確認 してい く。 児童 の回答類型 を表 に示 した ものが,下
の表27と
な る。 回答類型4,5か
ら見て も分か るよ うに計算式 を立て るこ とがで きてい るが,解 答 を「34」 として しまい,「8.1+0.4」 を先 に計算 して しまつてか ら,ハ
ー ドル の台数 である 「4」 をか けて しまつてい る と考 えてい る児童が約15%見
られ る。 これ は,式
の中の一つひ とつの数 字 の意味 を理解 で きてい ない児童 が多 くいるのだ と推 測す る こ とがで きる と筆者 は考 える。 この ことは無回答率が 4.2%と い うことか らも基 とな る言葉 の式があつた として も,式
か ら 場面を想 定す る こ とが難 しいのではないか と考 える。表
2-7
図2-3の
問題の児童の回答類型 熙 隣嘩 蘇 号 鮮 等 簸 霊 襲慮華 〈争3) 正 機 回 {簗き, 式意こ幸いては,響真の奪鶴 や譲えの工鰈くま親 れない. 無獣 と紋鸞 難 を入れ 捧ム =式な ども酢寄す る。 真 創樺 崎 すで■ l ξ.を+L4ス =E と鱗燎 511_0 ◎ 一 0 一 〇 E §.蕉+i゛ξ む解等 3_= 0ヽ0 鵞葉■1驚義れ0式を解警 輝 40震ない ずイム,0,lXバー ド`“郵欺 弾 き^1+3_4ヽ …― ド・│"拳:崚 制 10撻おの 'イ ふ■■1× 4 9.7 と騨 襟 じてヽ 桑 ちみ .■ ¨ 一 ● 艤鸞],議搬3の式 を攀擦 濃総 幸撃 鏃 して い 碁 七薇 ]T,31 票 外 を解 薔 して い る も暴 無解 終 苗 餞 壁2中式 を報 簑 な_T,■i 翠 苺 を解 暮 してい る 主,0 簗黎 黎 議黎1浄ゝら檬難 幕摯ヽ拳式 を解壌 摯解 幕 ,.= と黎 書LIい も ヽカ 8磋 =騨 機 しヽ い る も申 1_1 9 キ1難以 外 俸 騨 答 0 警解 等 嬌.1 霊等攀 3■ = この問題 を解決す るためには,ス
モール ステ ップになるが,普
通 の40m走
の タイムか ら 順 にハー ドルの台数 を一台ずつ増や して,タ
イ ムが どの よ うに変化 してい くのか を表 も し くは折れ線 グラフを活用 して,視
覚的 に分 かるよ うに してい くこ とが最初 に必要 ではない か と筆者 は考 える。 そ うして,表
や グラフを作成 か ら,変
化 を読 み取 る力 を児童 に身 につ け させ た うえで,対
応 を読 み取 る力 を身 につけ させ る よ うに順序 を踏 んでい くこ とが課題 解決 になるのではないか と筆者 は考 える。 本章では,小
学校 算数の 中で 「数 量関係 」 を取 りあげて きた。 さらに,「数量関係」の学 習 内容で 「関数の考 え」に焦 点を絞 り,「数量関係 」領域 にお いて,重
要で ある と考 える「関 数 の考え」 が小学校 教 育の 中'でどの よ うに育 まれ るのか,ま
た,関
数 の捉 え方 について考 察 を行い,そ
の こ とを踏 まえて,全
国学力・学習状況調査 問題分析 の考察 を行 い,そ
こか ら,子
どもの現状 の困難点 を考察 した。 本章で 「数量関係 」,「関数 の考 え」の考察 を行 い,教
材分析 を行 つた。 また,全
国学力 ・ 学習状況調査 問題 の分析 か ら,関
数 にお ける子 どもに とつて の困難 点 を分析 した。 その こ 25とを踏 まえ