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多軸ステージによる自動車振動の高精度再現手法に関する研究

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Academic year: 2021

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目次

第1 章 序論 1.1 研究背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1.2 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第2.章 自動車振動解析 2.1 実走行試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2.2 乗用車とトラックでの自動車振動の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 第3 章 実験機構成とシステム同定 3.1 多軸ステージの構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 3.2 多軸ステージに対するシステム同定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 3.3 同定モデルを用いたフィードフォワード制御・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 3.4 振動再現実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第4 章 XZ ステージへの位置制御系の導入 4.1 制御構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 4.2 実験結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 第5 章 外乱オブザーバ補償の導入 5.1 外乱オブザーバ補償について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 5.2 位置制御付き FF 制御への外乱オブザーバ補償の導入・・・・・・・・・・・・・52 5.3 振動再現実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 第6 章 自動車振動による発電デバイスの評価試験 6.1 発電デバイスについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 6.2 発電デバイスの加振実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61 6.3 発電デバイスを使用したアプリケーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 第7 章 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

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2

1 章 序論

1.1 研究背景

近年,低炭素化社会を目指し,2050 年までに世界全体で温室効果ガス排出量の半減を実 現するためには,主要経済国はもちろん,世界のすべての国々がこの問題に取り組む必要 があり,日本としても2050 年までの長期目標として,現状から 60%~80%の削減を行う 予定である。日本における現在CO2排出量の2 割は運輸関係が占めている。その中の 7 割 は自動車が占めている。具体的には,我が国における運輸部門の CO2排出量は 2009 年に おいて約2.3 億 t であった。日常生活で多くの人が自動車を頻繁に使用して,CO2が必ず排 出される。 世界が低炭素化社会を目指していることにより,様々なエネルギーハーベスティング技 術が注目されている。ここでいうエネルギーハーベスティング技術とは環境発電であり, 自然界に存在するエネルギーを使って発電する技術のことを言う。太陽光,風力,地熱, 津波発電が注目されて効率の良い発電方法が開発されている。自動車業界では,ハイブリ ッド車などエコカーが開発されている。特に TOYOTA が開発したプリウスが代表的で多く の人々が乗っている。そのことからも,人々の関心は,環境問題に向いていることがわか る。このエコカーの出現により,ガソリンだけではなく電気を使用することで以前に比べ てCO2排出量は減ってきている。しかし,電気も少なからず,CO2を発生させて生成され ている。今後はハイブリット車も電気自動車に置き換わるかもしれない。そのために電気 エネルギーを,いかにCO2を排出せずに得るかが重要課題となる。 本研究では振動エネルギーに着目して自動車の走行中に路面から受ける振動エネルギー を電気に変換するデバイスの開発を行っている。既存の製品としては,橋や高速道路に設 置することで自動車振動からエネルギーを得るものや「発電床」といった人が歩くことで エネルギーを得ることで照明などに利用されているものがある。多くは設置型であるもの が多いが,本研究で開発するものは車両に搭載させることで,自動車自身にエネルギーを 回生させて,自動ドアやパワーウインドなどのアプリケーションの動力源として自動車の 低燃費化を図り,低炭素化社会を目指すことを目標として開発を行っている。

(3)

3

1.2 研究目的

本研究では,自動車振動のエネルギーを回生するデバイスの開発を目的とする。自動車 には多くの振動を存在しているが,ゴムやショックアブソーバーなどで振動を吸収してし まい,熱エネルギーとして,無駄に散逸されている。また,新興国向けの低価格自動車や, 日本でも普及の兆しを見せている小型電気自動車は,一般の自動車と比較し構造上発生す る振動が非常に大きい。この振動エネルギーを回生することで,消費されるエネルギーを 活用できる形として取り出す。本研究では,自動車に後付けで導入できる構造を目的とし, 発電素子としてピエゾ式の素子を用いる。ピエゾ素子を用いるメリットとして,構造がシ ンプルであること,質量が軽量であること,大量生産によって安価で入手できる点が挙げ られる。しかし,問題点として,発電エネルギーが少ない,効率的に発電するための振動 周波数が限定されるなどがある。そのため,高出力化・広帯域化するために発電デバイス の多モード化や多軸化が必要となる。そこで,開発した発電デバイスを評価・解析するた め,従来の 1 軸の加振機ではなく,自動車振動を再現可能な多軸の加振装置を開発するこ とが本論文の目的となる。 自動車の振動は3 軸の並進と回転で 6 自由度の振動となるが,鉛直上下方向と水平前後 方向の振動が支配的である。そのため,2 軸での自動車の振動を再現することを第一の目標 とする。 使用するXZ ステージの問題点として,ステージの加速度特性は一定ではない,加速度を 再現しようとするとステージがドリフトしてしまいストローク限界に達する,ステージの ドリフトを考慮して入力をスケーリングし,振幅を下げると,低速域では非線形摩擦の影 響を受けるなどが挙げられる。これらの問題点の改善が本研究の目的となる。 本論文の構成について説明する。まず,第 2 章で実際の自動車の振動を計測・解析した 結果を示す。第3 章で XZ ステージの数式モデルを得るために同定実験と同定してモデルを 構築した経緯を述べる。また,XZ ステージのコントローラを構築して,実験の結果を述べ る。第4 章では,XZ ステージのドリフトを抑制するために位置制御系を導入した実験結果 について述べる。第 5 章では非線形摩擦や制御対象の変動を抑制する外乱オブザーバ補償 を導入した経緯を述べ,各手法での比較を行った結果を述べる。第 6 章では,発電デバイ スを作成し,自動車振動での加振実験の結果について述べる。最後の第 7 章では本論文の 総括を行う。

(4)

4

第 2 章 自動車振動解析

自動車振動を再現するにあたり,自動車の振動を計測する必要がある。これまでに,乗 用車の実走行試験及び解析は完了しているため,本章では,実走行試験によりトラックの 振動を計測し,周波数解析および乗用車との比較を行う。

2.1 実走行試験

2.1.1 実走行試験の計測条件 実走行試験での計測条件を Tab.2.1 に示す。過去の実験より設置推奨箇所となった自動車 のフロント部,バネ下,エンジン付近,リア部の 4 ヶ所に加速度センサを張り付け,セン サからの出力データを取得した。計測条件として,計測時間100s,サンプリング時間 1ms とし,加速度センサからの出力信号を取得した。走行路としては,アップダウンの多い道 であるワインディングロード,舗装の済んでない砂利道である未舗装路,フラットだが信 号のストップ&ゴーの多い道である市街地の3 コースとする。Fig.2.1.1,Fig.2.1.2,Fig.2.1.3 に走行経路を示す。また,加速度センサの写真を Fig.2.1.4,計測器の写真を Fig.2.1.5 に示 す。 計測車種は,三菱ふそう キャンターを使用した。計測車の写真を Fig.2.1.6 に示す。また, 設置場所であるフロント部の写真を Fig2.1.7,エンジン付近の写真を Fig2.1.8,バネ下の写 真を Fig2.1.9,リア部の写真を Fig2.1.10 にそれぞれ示す。 Tab.2.1 計測器 データロガー(キーエンス NR-600) 計測時間 100[s] サンプリング時間 1[ms] センサ 加速度センサ(立山科学工業株式会社) 加速度センサ(昭和測器) 計測方向 鉛直,水平方向 センサ帯域 DC~100[Hz] データ点 100k[point]

(5)

5

Fig.2.1.1 ワインディングロードコース Fig2.1.2 市街地走行コース

(6)

6

Fig.2.1.4 加速度センサの写真

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7

Fig.2.1.6 三菱ふそう キャンターの写真

(8)

8

Fig.2.1.8 加速度センサ設置場所(エンジン付近)

(9)

9 Fig.2.1.10 加速度センサ設置場所(リア部) 2.1.2 実走行試験の解析結果 本節では,普通自動車における,走行路とセンサの設置箇所の計測信号比較を行う。走 行路をワインディングロードとしたときのフロント部での加速度の時間応答を Fig2.1.11 に 示す。同様に,バネ下の加速度を Fig.2.1.12,エンジン付近の加速度を Fig2.1.13,リア部 の加速度を Fig.2.1.14 に示す。設置箇所により,振動の大きさに差があり,バネ下の振動が 最も大きいことがわかる。また同様に,市街地でのフロント部の加速度を Fig.2.1.15,バネ 下の加速度を Fig.2.1.16,エンジン付近の加速度を Fig.2.1.17,リア部の加速度を Fig.2.1.18, 未舗装路でのフロント部の加速度を Fig.2.1.19,バネ下の加速度を Fig.2.1.20,エンジン付 近の加速度を Fig.2.1.21,リア部の加速度を Fig.2.1.22 にそれぞれ示す。市街地では,20~ 50[s]間では信号待ちによる停車状態にあることが確認でき,未舗装路では,路面の凹凸か ら水平・鉛直方向共に振動が大きく検出されていることが確認できる。次に各設置箇所に おけるパワースペクトル密度を示す。フロント部のパワースペクトル密度を,上下方向を Fig.2.1.23,前後方向を Fig.2.1.24 にそれぞれ示す。同様に,バネ下の上下方向を Fig2.1.25, 前後方向をFig.2.1.26,エンジンの上下方向を Fig2.1.27,前後を Fig2.1.28,リア部の上下 方向をFig2.1.29,前後方向を Fig.2.1.30 にそれぞれ示す。走行路によりゲインの違いはあ るものの,共振点や波形の特徴は一致することが確認できる。

(10)

10 Fig.2.1.11 ワインディングロードでのフロント部の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.12 ワインディングロードでのバネ下の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Front 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ] 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Under spring 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(11)

11 Fig.2.1.13 ワインディングロードでのエンジン付近の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.14 ワインディングロードでのリア部の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Engine 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ] 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Rear 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(12)

12 Fig.2.1.15 市街地でのフロント部の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.16 市街地でのバネ下の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] U p /d o w n [ G ] Front 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ] 0 20 40 60 80 100 -5 0 5 Time [s] U p /d o w n [ G ] Unde r spring 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(13)

13 Fig.2.1.17 市街地でのエンジン付近の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.18 市街地でのリア部の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] U p /d o w n [ G ] Engine 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ] 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] U p /d o w n [ G ] Rear 0 20 40 60 80 100 -2 0 2 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(14)

14 Fig.2.1.19 未舗装路でのフロント部の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.20 未舗装路でのフロント部の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Front 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ] 0 20 40 60 80 100 -10 0 10 Time [s] U p /d o w n [ G ] Under spring 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(15)

15 Fig.2.1.21 未舗装路でのエンジン付近の加速度の時間応答波形 Fig.2.1.22 未舗装路でのリア部の加速度の時間応答波形 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] U p /d o w n [ G ] Engine 0 20 40 60 80 100 -4 -2 0 2 4 Time [s] F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

0

20

40

60

80

100

-4

-2

0

2

4

Time [s]

U p /d o w n [ G ]

Rear

0

20

40

60

80

100

-4

-2

0

2

4

Time [s]

F o rw a rd /b a c k w a rd [ G ]

(16)

16

Fig.2.1.23 フロント部での上下方向の加速度のパワースペクトル密度の比較

(17)

17

Fig.2.1.25 バネ下での上下方向の加速度のパワースペクトル密度の比較

(18)

18

Fig.2.1.27 エンジン付近での上下方向の加速度のパワースペクトル密度の比較

(19)

19

Fig.2.1.29 リア部での上下方向の加速度のパワースペクトル密度の比較

(20)

20

2.2 乗用車とトラックでの自動車振動の比較

トラックと乗用車で振動にどのような違いや共通点があるか検証する。トラックと乗用 車のフロント部,バネ下,エンジン,リアの4 カ所で比較する。走行路は砂利道,計測条 件はTab2.1 と同じである。フロント部,エンジン,リア部の振動はミニバン(ホンダ オデ ッセイ)で計測した。バネ下の振動はミニバン(ホンダ エリシオン)の振動である。それぞれ の振動をパワースペクトル密度で比較する。フロント部のパワースペクトル密度を,上下 方向を Fig.2.1.31,前後方向を Fig.2.1.32 に示す。同様に,バネ下の上下方向を Fig.2.1.33, 前後方向を Fig.2.1.34,エンジンの上下方向を Fig2.1.35,前後を Fig.2.1.36,リア部の上下 方向を Fig.2.1.37,前後方向を Fig2.1.38 にそれぞれ示す。共通している点として,上下方 向ではどの場所でも10~14[Hz]に共振点を持っている。しかし,それぞれの場所で異なる 点がある。そのため,発電デバイスを開発するうえで,ターゲットとする設置場所の周波 数特性に注意する必要がある。 Fig.2.1.31 トラックと乗用車のフロント部上下方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

(21)

21

Fig.2.1.32 トラックと乗用車のフロント部前後方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

Fig.2.1.33 トラックと乗用車のバネ下上下方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

(22)

22

Fig.2.1.34 トラックと乗用車のバネ下前後方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

Fig.2.1.35 トラックと乗用車のエンジン付近の上下方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

(23)

23

Fig.2.1.36 トラックと乗用車のエンジン付近の前後方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

Fig.2.1.37 トラックと乗用車のリア部上下方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

(24)

24

Fig.2.1.38 トラックと乗用車のリア部前後方向の加速度の パワースペクトル密度の比較

(25)

25

第3章 多軸ステージの構成とシステム同定実験

本章では多軸ステージに対する実験機の構成と制御系設計を目的とするシステム同定実 験について述べる。

3.1 多軸ステージの構成

まず,多軸ステージ(XZ ステージ)の実験における装置の構成について Fig3.1.1 を用いて 示す。PC に指令入力として,振動のデータを入力する。PC に搭載されている DSP へ入力 され DA 変換により電圧信号として出力される。次に,サーボアンプで電圧から電流に変換 され,XZ ステージに取り付けられたサーボモーターに入力される。その結果,XZ ステー ジが駆動する。その動きをモータに付加されたエンコーダーで位置信号として読み取る。 読み取った出力信号を電圧信号として AD 変換され PC に入力されるという構成となる。実 際の XZ ステージの写真を Fig3.1.2 に示す。 Fig3.1.1 実験機の構成

(26)

26

(27)

27

3.2 多軸ステージに対するシステム同定

ステージを同定するにあたり,今回モデルを ARX モデル,次数の決定法にクロスバリデ ーションを用いた。本節では,これらの特徴について説明する。 3.2.1 ARX モデル システムの入出力関係が,差分方程式

)

(

)

(

)

1

(

)

(

)

1

(

)

(

k

a

1

y

k

an

k

n

b

1

k

bn

u

k

n

e

k

y

・・・

a

a

・・・

b

b

(3.2.1) によって記述される場合を考える。ただし,e(k) は外乱項である。e(k) が差分方程式に直 接,誤差として入っているので,このように記述されるモデルを式誤差モデルと呼ぶ。式 誤差モデルは,外乱項の選び方によって,さらにいろいろなモデルに細分化できる。 (3.2.1) 式において,外乱項 e(k) を w(k) と仮定すると,

)

(

)

(

)

1

(

)

(

)

1

(

)

(

k

a

1

y

k

an

y

k

n

b

1

u

k

bn

u

k

n

w

k

y

・・・

a

a

・・・

b

b

(3.2.2) が得られる。 ここで,ARX モデルの離散時間 LTI システムの一般的な表現とその 1 段予測誤差につい て述べる。 まず,離散時間LTI システムとしては一般的に

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

k

G

q

u

k

H

q

w

k

y

(3.2.3) と表される。ここで,

u

(k

)

は入力,

y

(k

)

は出力,

G

(q

)

は伝達関数,

H

(q

)

は雑音モデル,

)

(k

w

は白色雑音である。また,離散時間 LTI システムにおいて,時刻(k-1)までに測定され た入出力データに基づいた出力 y(k)の一段先予測値

y

ˆ

(

k

|

)

は,

)

(

)

,

(

)

,

(

)

(

)]

,

(

1

[

)

|

(

ˆ

1 1

k

u

q

G

q

H

k

y

q

H

k

y

(3.2.4) と与えられる。ただし,θ はモデルを記述するパラメータより構成されるベクトルである。 このときパラメータベクトルは, T b a

b

bn

an

a

,...,

,

,...,

]

[

1 1

(3.2.5)

(28)

28 となる。データベクトル(あるいは回帰ベクトル) を T b a

u

k

u

k

n

n

k

y

k

y

k

)

[

(

1

),...,

(

).

(

1

),...,

(

)]

(

φ

(3.2.6) と定義すると,出力 y(k) は次式のように表現できる。

)

(

)

(

)

(

k

k

w

k

y

θ

T

φ

(3.2.7) ここで,2つの多項式 a n a

p

an

p

a

p

A

(

)

1

1 1

・・・

 (3.2.8) b n b

p

bn

p

b

p

B

(

)

1 1

・・・+

 (3.2.9) を導入する。ただし,A(p) と B(p) は既約なシフトオペレータ p の多項式である。する と,(3.2.2) 式は

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

p

y

k

B

p

u

k

w

k

A

(3.2.10) と書き直される。このように記述されるモデルを,ARX(Auto-Regressive Xogeneous) モデル といい,これはシステム同定においてしばしば利用される重要なモデルである。また,ARX モデルは後述する最小二乗法にとって都合のよいモデルであるため,最小二乗モデルと呼 ばれることもある。 さらに,ARX モデルの一段先予測値は,以下の[定理] より次式のようになる。 [定理] 離散時間 LTI モデルにおいて,時刻(k − 1) までに測定された入出力データに基づい た出力 y(k) の一段先予測値 ^

y

(k|θ)

)

(

)

,

(

)

,

(

)

(

)]

,

(

H

-[1

)

(

-1 1 ^

k

u

p

G

p

H

k

y

p

k

y

θ

θ

θ

θ

(3.2.11) で与えられる。ただし,θ はモデルを記述するパラメータより構成されるベクトルである。 これより明らかなように,ARX モデルは一段先予測値が θ に関して線形な関係式で記述 できる。このため,ARX モデルは線形回帰モデルとも呼ばれる。ARX モデルのブロック線 図を Fig.3.2.1 に示す。

(29)

29 Fig3.2.1 ARX モデルのブロック線図 3.2.2 クロスバリデーション 同定実験により収集されたデータをモデル構築用のデータセットとモデル検証用のデー タセットに分けてモデル構造を決定するクロスバリデーション法を用いた。データの分け 方には様々あるが今回の実験では全データを半分に分けてモデル及び次数の決定,その検 証を行った。しかし,クロスバリデーションは有効な方法であるが,パラメータの推定に 全データの半分しか利用できないため推定精度が劣化するという問題をもつ。 3.2.3 同定実験 実験条件 X ステージでは入力信号を振幅 0.5[V],オフセット:0.5[V]の M 系列信号を使用した。サ ンプリング時間は 1[ms],実験時間は 3.9 秒,データ数 3900 点,デシメーション 2 を使用。 Z ステージでは入力信号を振幅 0.35[V],オフセット:0.35[V]の M 系列信号を使用した。 サンプリング時間は0.5[ms],実験時間は 2 秒,データ数 4000 点を使用。 入出力信号の一部を Fig3.2.2 と Fig3.2.3 に示す。入力により出力が良く励起されている。

(30)

30 Fig3.2.2 M 系列信号と X ステージの出力信号 Fig3.2.3 M 系列信号と Z ステージの出力信号 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0 0.5 1 Time [s] In p u t v o lta g e [ V ] 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 -2000 0 2000 Time [s] a c c o u tp u t [m m /s 2 ] 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Time [s] In p u t v o lta g e [ V ] 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 -2000 0 2000 Time [s] a c c o u tp u t [m m /s 2 ]

(31)

31 3.2.4 システム同定 同定モデルを ARX モデル,モデル次数を 30 次,次数決定法をクロスバリデーション, デシメーションを2 とする。 まずは,入力と出力の相関性を示したグラフが Fig.3.2.4 と Fig.3.2.5 である。これは入出 力間の相関を表し,値が1に近いほど入力が出力影響して,逆に 0 近いほど入力以外の影 響受けていることがわかる。このことから,制御するには,1 に近い区間が大きいことが望 ましい。4~200[Hz]の区間を同定精度が信頼できる区間とでき,この区間が設計する上で の目安とした。 次に同定した X ステージと Z ステージの 30 次モデルをそれぞれ Pxa(s)と Pza(s)とする。こ れらのボード線図を Fig.3.2.6 と Fig.3.2.7 にそれぞれ示す。ゲイン特性においては低域が低 く,高域では高い特性となった。そして,Fig.3.2.8 と Fig.3.2.9 は,モデルの妥当性評価す るのに重要なグラフである。実線は Fig.3.2.6 と Fig.3.2.7 の出力波形,破線は上の条件もと に作成した30 次のモデルの出力を重ねた図である。両方のグラフを重ね,グラフの重なり 具合を比較することで,モデルが実際の制御対象に近づけたか評価できる。下のグラフを 見る限りでは,よく一致していることがわかる。このことから,モデルを再現できている ことが分かる。 次に 30 次のモデルを用いてコントローラを設計することは困難であるため,モデルの低 次元化を行った。今回は Pxa(s)を 2 次に低次元化したモデルを Pxan(s),Pza(s)を 4 次に低次元 化したモデルを Pzan(s)として,30 次のモデルと低次元化したモデルをそれぞれ比較した。 比較した図を Fig3.2.10 と Fig3.2.11 に示す。比較したボード線図から低次元化したモデルは 30 次モデルにおおよそ近似できていることが確認できる。X ステージの 2 次モデル Pxan(s) と Z ステージの 4 次モデル Pzan(s)の伝達関数を(3.2.12),(3.2.13)式に示す。 𝑃𝑥𝑎𝑛(𝑠) =(𝑠 + 𝑝𝐾𝑥1(𝑠 + 𝑧𝑥1) 𝑥1)(𝑠 + 𝑝𝑥2)[ mm/s2 V ] (3.2.12) ここで,𝐾𝑥1 = 3757500 , 𝑧𝑥1= 4.288 , 𝑝𝑥1 = 36.86 , 𝑝𝑥2 = 877.9 である。 𝑃𝑧𝑎𝑛(𝑠) = 𝐾𝑧1(𝑠 + 𝑧𝑧1)(𝑠 2+ 2𝜉 𝑧1𝜔𝑧1+ 𝜔𝑧12 ) (𝑠 + 𝑝𝑧1)(𝑠 + 𝑝𝑧2)(𝑠2+ 2𝜉𝑧2𝜔𝑧2+ 𝜔𝑧22) (3.2.13) ここで,𝐾𝑧1= 2700700 , 𝑧𝑧1= 8.02 , 𝜔𝑧1= 2.21 × 103 , 𝜉𝑧1= 36.86 , 𝑝𝑧1= 732.8 , 𝑝𝑧2= 48.8 , 𝜔𝑧2= 1.85 × 103 , 𝜉𝑧2= 0.805 である。

(32)

32 Fig3.2.4 X ステージのコヒーレンス Fig3.2.5 Z ステージのコヒーレンス 101 102 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Frequency [Hz] C o h e re n c e 101 102 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 Frequency [Hz] C o h e re n c e

(33)

33 Fig.3.2.6 Pxa(s)のボード線図 Fig.3.2.7 Pza(s)のボード線図 101 102 103 55 60 65 70 75 80 Bode Diagram G a in [ d B ] 101 102 103 -100 -50 0 50 100 Frequency [rad/sec] P h a s e [ d e g ] 101 102 103 55 60 65 70 75 80 Bode Diagram G a in [ d B ] 101 102 103 -100 -50 0 50 100 Frequency [rad/sec] P h a s e [ d e g ]

(34)

34

Fig.3.2.8 X ステージでの実験出力・モデル出力の比較

(35)

35

Fig.3.2.10 X ステージの同定したボード線図の比較

(36)

36

3.3 同定モデルを用いたフィードフォワード制御

本節では,振動再現用加振機のコントローラに用いた制御系について示す。 フィードフォワード制御(FF 制御)とは自動制御の方式の一つであり,出力に変動を起こ させるような外乱を予測し,前もって打ち消してしまう制御方式となる。通常,フィード バック制御に付加して用いられる。しかし今回の目標が振動再現であり,定常偏差補償が 必要ないことから,フィードバック制御に付加せず,フィードフォワード制御(FF 制御)の みで行った。 極零相殺とは,プラントの伝達関数の逆数をかけることで,そのプラントの特性を打ち 消し,出力にその特性の影響を出させないようにすることを目的とする。今回は入力指令 の振動データを加振機でそのまま再現したかったため,これをコントローラとして用いた。 しかし,(3.2.12),(3.2.13)式の逆数はインプロパーとなり不安定になるため,1次のフィル タ F(s)を付加させた。F(s)を(3.3.1)に示す。この T の値は試行錯誤により決定した。FF 制御 のブロック線図の概略を Fig.3.3.1 に示す。Fig.3.3.1 において,P(s)が制御対象,F(s)・Pan-1(s) が FF 制御のコントローラである。

Fig3.3.1 の制御対象を X ステージの制御対象 Pxa(s)とした時の,Pxa(s)と FF 制御を行った

F(s)・Pxan-1(s)・Pxa(s)のボード線図を Fig3.3.2 に示す。同様に,Z ステージの制御対象を Pza(s)

とした時の,Pza(s)と FF 制御を行った F(s)・Pzan-1(s)・Pza(s)のボード線図を,Fig3.3.3 に示す。 この図より一定のゲイン特性が得られたことがわかる。

)

1

(

1

)

(

Ts

s

F

(3.3.1) ここで,

T

0

.

001

である。 Fig.3.3.1 FF 制御のブロック線図の概略

(37)

37

Fig.3.3.2 X ステージでの制御対象と FF 制御のボード線図

(38)

38

3.4 振動再現実験結果

再現実験の評価には,ワインディングロードを走行した時の乗用車のエンジン付近の振 動を使用する。理由として,振動発電を使用した無線送信デバイスの実用化を視野に入れ ているためである。使用する自動車振動の時間応答を Fig.3.4.1 に示す。今回,Fig.3.4.1 に 示した振動をそのまま入力すると,ストローク限界に達してしまうため,X ステージでは 0.15 倍,Z ステージでは 0.1 倍して入力し,振動再現実験を行った。再現実験での入力信号 を黒の細線,ステージの加速度出力を青の太線とした時の X ステージの加速度の時間応答 を Fig3.4.2,時間応答の拡大図を Fig.3.4.3 に示す。パワースペクトル密度を Fig.3.4.4 に示 す。Z ステージの加速度の時間応答を Fig.3.4.5,時間応答の拡大図を Fig.3.4.6 に示す。パ ワースペクトル密度を Fig.3.4.7 に示す。Fig.3.4.3 と Fig.3.4.5 より,自動車振動に対して, 振幅があっていない。また Fig.3.4.5 と Fig.3.4.7 のパワースペクトル密度においても,自動 車振動と一致せず,振動を再現できていないことがわかる。この理由として,スケーリン グし振幅を小さくしているため,摩擦の影響を受けているためである。 Fig.3.4.1 前後方向と上下方向の自動車振動の時間応答 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -2 0 2 Time [s] a c c -v e rti c a l [G ] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -1 -0.5 0 0.5 1 Time [s] a c c -h o ri z o n ta l [G ]

(39)

39

Fig.3.4.2 前後方向の自動車振動と X ステージの加速度出力の時間応答

(40)

40 Fig.3.4.4 前後方向の自動車振動と X ステージの加速度出力のパワースペクトル密度 Fig.3.4.5 前後方向の自動車振動と Z ステージの加速度出力の時間応答 0 20 40 60 80 100 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 Time[s] In p u t s ig n a l[ G ] 0 20 40 60 80 100 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 Time[s] O u tp u t a c c [G ]

(41)

41

Fig.3.4.6 前後方向の自動車振動と Z ステージの加速度出力の時間応答の拡大図

(42)

42

4章

XZ ステージへの位置制御系の導入

FF 制御のみで XZ ステージに自動車振動を入力すると,自動車の加減速によりステージ はドリフトしてしまい,ストローク限界に達してしまうため振動を再現できない。本章で はXZ ステージのドリフトを抑制するために位置制御系を導入したことについて述べる。

4.1 制御構成

XZ ステージに自動車振動を入力するとステージがドリフト(移動)してしまい,ストロー ク限界に達してしまう。Fig.4.1.1 自動車振動を 0.1 倍し,Z ステージに入力した時の位置で ある。この図より,ステージが大きくドリフトしていることが確認できる。そのため,位 置制御系(帯域の狭い比例制御)を導入することでステージのドリフトを抑制する。位置 制御系を導入したブロック線図の概略Fig4.1.2 に示す。Kpは位置制御器のコントローラで ある。 Fig4.1.1 Z ステージに自動車振動(0.1 倍)を入力した時のステージの位置 Fig4.1.2 位置制御系を導入した FF 制御のブロック線図の概略

(43)

43

4.2 実験結果

4.2.1 位置制御系を導入した FF 制御での実験結果 実験条件は3 章と同様に自動車振動の前後方向を 0.15 倍,上下方向を 0.1 倍したものを 使用した。位置制御器𝐾𝑝を変化させたときのX ステージの位置出力を Fig4.2.1,Z ステー ジの位置出力を Fig4.2.2 に示す。位置制御系を入れることでステージのドリフトが抑制さ れていることが確認できる。 Fig.4.2.1 𝑲𝒑を変化させた時のX ステージの位置出力の時間応答

(44)

44 Fig.4.2.2 𝑲𝒑を変化させときのZ ステージの位置出力の時間応答 4.2.2 位置制御系を導入した FF 制御でのスケーリングをしない場合の振動再現 位置制御系を導入したことにより,FF 制御のみではストローク限界に達してしまう振動 もスケーリングせず入力することができる。そのため自動車振動をそのまま入力可能とな った。X ステージの位置出力の時間応答を Fig4.2.3,加速度出力の時間応答を Fig4.2.4,加 速度の時間応答の拡大図をFig4.2.5,パワースペクトル密度を Fig4.2.6 に示す。Z ステー ジの位置出力の時間応答をFig4.2.7,加速度出力の時間応答を Fig4.2.8,加速度の時間応答 の拡大図をFig4.2.9,パワースペクトル密度を Fig4.2.10 に示す。青の太線がスケーリング 無しで加振した出力,赤の破線がFF 制御のみで入力をスケーリングしたときの出力,緑の 点線が𝐾𝑝= 100とし,入力をスケーリングした時の出力波形である。加速度出力でスケー リング(X ステージでは 0.15 倍,Z ステージでは 0.1 倍)したものに関しては,スケーリング した数の逆数をかけている。(X ステージでは 6.67 倍,Z ステージでは 10 倍) スケーリングしてないため,ステージが大きくドリフトするはずだが,Fig4.2.3 と Fig4.2.7 より位置制御系によってドリフトを抑制していることが分かる。また,Fig4.2.5 とFig4.2.9 より,スケーリングしていないためステージの振動が大きくなったため,摩擦 の影響を受けづらくなり,再現性が改善された。しかし,Fig.4.2.6 と Fig.4.2.10 より,摩 擦の影響によりPSD のゲインが一致していない周波数がある。

(45)

45

Fig4.2.3 X ステージでのスケーリング無しでの位置出力の時間応答の比較

(46)

46

Fig.4.2.5 X ステージでのスケーリング無しでの加速度出力の時間応答の比較

(47)

47 Fig.4.2.7 Z ステージでのスケーリング無しでの位置出力の時間応答の比較 Fig.4.2.8 Z ステージでのスケーリング無しでの加速度出力の時間応答 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 Time[s] O u tp u t p o s [m m ] No scaling Kp=0(Scaling) Kp=100(Scaling)

(48)

48

Fig.4.2.9 Z ステージでのスケーリング無しでの加速度出力の時間応答の比較

(49)

49

5 章 外乱オブザーバ補償の導入

位置制御付きFF 制御のみでは,制御対象の変動や摩擦により再現性が劣化する。そのた め,位置制御付きFF 制御に外乱オブザーバ補償を用い,これを補償する。

5.1 外乱オブザーバ補償について

5.1.1 外乱オブザーバ補償について 実システムにおける制御対象は少なからず非線形性や時変性を有し,外乱も存在するた め数学モデルによる完全なモデル化は不可能である。XZ ステージはサーボーモータ駆動で あるため,流せる電流の制限からくる操作量の飽和や,モータ駆動時の摩擦などは非線形 性である。そこで,パラメータの変動や外乱に対して制御性能を保持できるロバスト性を もつ外乱オブザーバ補償を適用する。 外乱オブザーバは,制御入力と出力情報を用いて制御対象にかかる外力を推定し,それ をフィードバックすることで外乱補償を行うものである。外乱オブザーバを用いた制御系 を Fig.5.1.1 に示す。𝑃(𝑠)は実際の制御対象であり,𝑃𝑛 (𝑠)はそのモデルである。実システムに おいては𝑃𝑛 (𝑠)は厳密にプロパーな伝達関数となるため,𝐹(𝑠)は𝑃𝑛−1(𝑠)𝐹(𝑠)をプロパーな伝達 関数とする低域通過フィルタである。𝑃𝑛 (𝑠)の相対次数が𝑛のときには,もっとも簡単な𝐹(𝑠) は時定数 τ の𝑛次遅れとして次式のように与えられる。また,𝑛 は𝐹(𝑠)𝑃𝑛−1(𝑠)がプロパーに なるように決定する。 n d

s

s

F

)

1

(

1

)

(

(5.1.1) u は制御対象への入力信号で,およびは外乱 d とその推定値𝑑̂は外乱オブザーバ補償を行っ た制御対象への入力信号である。ここで𝜔𝑑は外乱の推定速度をあらわし,補償したい外乱 の周波数帯域に設定する。Fig.5.1.1 より以下の関係式が成り立つ。

)

(

u

d

P

y

(5.1.2)

)

(

1

y

u

P

F

P

u

u

r

nn

(5.1.3) (5.1.3)式より

)

(

1

1

1

Fy

P

u

F

u

r

n

(5.1.4)

(50)

50 これを式に代入し,入出力特性として記述すると

d

F

PP

F

P

F

u

F

PP

F

P

y

n r n 1 1

1

)

1

(

1

(5.1.5) となる。ここで,外乱オブザーバ補償の2 つの効果を考える。 外乱抑圧特性 まず,モデル化誤差のない理想的な場合を考える。すなわち,Pn=P の場合,(5.1.5)式よ り,

Pd

F

Pu

y

r

(

1

)

(5.1.6) となる。ここで F=1 とできるならば, r

Pu

y

(5.1.7) となり,理想的に外乱の影響を全く受けない制御系となる。しかしながら,実際に F(s)はモ デル P の相対次数という制約で実現されるため,F≈1 となる周波数帯域に限り外乱の影響 を抑制できる。 ノミナル化特性 次は外乱がない場合を考える(すなわち d=0 の場合) すると,(5.1.5)式より出力は, r n

u

F

PP

F

P

y

1

1

(5.1.8) となる。ここで,F=1 とできれば, r n

u

P

y

(5.1.9) これはすなわち入力信号に対する制御対象は見かけ上のモデル特性はモデル𝑃𝑛 (𝑠)のものと なる。したがって外乱抑圧特性と同様に,𝐹 ≈ 1となる周波数帯域に限り制御対象の特性を ノミナルモデル化することが可能である。 以上のように,制御対象のノミナルモデルとフィルタによる外乱オブザーバを実装するこ とにより,フィルタ帯域内で制御対象に加わる外乱を抑圧し,見かけ上の制御対象をノミ ナルモデルとみなせる。

(51)

51 Fig.5.1.1 外乱オブザーバのブロック線図

y

)

(s

P

d

u

u

r

)

(s

P

n

)

(

)

(

1

s

F

s

P

n

(52)

52

5.2 位置制御付き FF 制御への外乱オブザーバ補償の導入

5.2.1 X ステージへの外乱オブザーバ補償の導入 X ステージには位置ベースの外乱オブザーバを用いた。この理由として,速度ベースの外 乱オブザーバでは,不安定なシステムとなってしまうためである。そのため,位置ベース の外乱オブザーバ補償を用いた。そのブロック線図をFig.5.2.1 に示す。ここで,外乱オブ ザーバに使われるモデルは3 章で行ったシステム同定で導出した。位置モデルPxpn(s)は

)

)(

(

)

(

1 1 xp xp xp xpn

p

s

p

s

K

s

P

(5.2.1) ここで,

p

xp1

0

.

112

,

p

xp2

53

.

96

,

K

xp

5129

となる。また,オブザーバゲイン kx=0.8 とした。 5.2.2 Z ステージへの外乱オブザーバ補償の導入 Z ステージには速度ベースの外乱オブザーバ補償を用いた。速度ベースの外乱オブザーバ を用いた理由として,位置ベースの外乱オブザーバでは,実験後に発生する位置の定常偏 差に対してフィードバックがかかることで,ステージが微小ながら振動してしまうため, Fig.5.2.1 位置ベースの外乱オブザーバを用いた位置制御付き FF 制御のブロック線図

(53)

53 速度ベースの外乱オブザーバを用いた。こちらも同様に,モデルはシステム同定で導出 した。そのブロック線図をFig5.2.2 に示す。速度モデルPzvn(s)は

)

(

)

(

1 zv zv zvn

p

s

K

s

P

(5.2.2) ここで,

p

zv1

38

.

27

,

K

zv

4527

となる。また,オブザーバゲイン kz=0.4 とした。 Fig.5.2.2 速度ベースの外乱オブザーバを用いた位置制御付き FF 制御のブロック線図

(54)

54

5.3 振動再現実験

5.3.1 外乱オブザーバ補償を用いた位置制御付き FF 制御での振動再現実験 外乱オブザーバ補償を用いた位置制御付き FF 制御に自動車振動をスケーリングせず入 力した。そのときのX ステージの加速度出力の時間応答を Fig5.3.1,加速度の時間応答の 拡大図をFig5.3.2,パワースペクトル密度を Fig5.3.3 に示す。Z ステージの加速度出力の 時間応答を Fig5.3.4,加速度の時間応答の拡大図を Fig5.3.5,パワースペクトル密度を Fig5.3.6 に示す。黒の細線が自動車振動,青の太線が外乱オブザーバ補償を用いた位置制御 付きFF 制御,赤の破線が位置制御付き FF 制御,緑の点線が FF 制御に自動車振動をスケ ーリングして入力した時の出力波形である。ここで,各手法での自動車振動に対する加速 度出力に二乗誤差和を Tab.5.3 に示す。二乗誤差和の計算は(5.3.1)式を用いて計算する。

2

))

(

)

(

(

u

i

a

i

e

(5.3.1) ここで,u は自動車振動,a はステージの加速度出力である。X ステージと Z ステージの 100 点間の二乗誤差和を Tab.5.3 に示す。Tab.5.3 より,外乱オブザーバを用いることで二乗誤 差和が小さくなり,再現性が改善されたことがわかる。また,Fig.5.3.2,Fig.5.3.5 より, 摩擦による振動の減衰が改善されていることがわかる。Fig.5.3.3,Fig.5.3.6 より,パワー スペクトル密度においても,100[Hz]以下では自動車振動と加速度出力が一致しているため, 再現性が改善されたことが確認でき,広帯域に自動車振動を再現することが可能となった。 Tab.5.3 100 点間での二乗誤差和 FF+Pos+DO FF+Pos FF X ステージ 5.7 7.4 10.5 Z ステージ 2.0 2.5 5.9

(55)

55 Fig5.3.1 X ステージでの外乱オブザーバ補償を用いた位置制御付き FF 制御の 加速度出力の時間応答 Fig5.3.2 各手法での加速度の時間応答の拡大図 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -1 -0.5 0 0.5 1 Time[s] In p u t s ig n a l[ G ] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -1 -0.5 0 0.5 1 Time[s] O u tp u t a c c [G ] 46.4 46.41 46.42 46.43 46.44 46.45 46.46 46.47 46.48 46.49 46.5 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Time[s] O u tp u t a c c [G ] Vehicle vibration FF+Pos+DO FF+Pos FF

(56)

56 Fig5.3.3 各手法での加速度のパワースペクトル密度 Fig5.3.4 Z ステージでの外乱オブザーバ補償を用いた位置制御付き FF 制御の 加速度出力の時間応答 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 Frequency[Hz] P o w e r S p e c tr u m M a g n itu d e ( d B ) Vehicle vibration FF+Pos+DO FF+Pos FF

(57)

57

Fig5.3.5 各手法での加速度の時間応答の拡大図

(58)

58

6 章 自動車振動による発電デバイスの評価試験

前節で自動車振動を再現できたため,本章では,発電デバイスの実用化を視野に入れる ため,自動車振動をターゲットとした発電デバイスを作成し,正弦波と自動車振動で加振 し,評価を行った。

6.1 発電デバイスについて

6.1.1 圧電セラミックスの基本的性質について 以下に圧電セラミックスの基本的性質を述べる。

(A)圧電体と電歪体の関係

電歪体とは,広義には,結晶に電界を印加した際,電界の二乗に比例した形の歪を示す 物質のことを言う。基本的には,常誘電体でも電界を印加すると,ごくわずかではあるが 電歪効果を示す。しかしリラクサ型誘電体では特に大きな電歪を示すことが知られている。 電歪については,最大誘電率温度付近で電歪も異常に大きくなる。電歪体は圧電体におい て必要とされる分極処理捜査が不要,電界の極性を問わない(歪の形が左右対称),歪のヒス テリシスがほとんどない等の特徴がある。 PZTのキュリー温度は通常350度程度である。よって室温付近では,比誘電率が数百と小 さく,圧倒的に圧電効果作用が大きいことから圧電セラミックスとして利用されている。 一方,電歪体は基本的には常誘電体でも比誘電率が大きければいいので,PZTを含めた強誘 電体なら比誘電率が最も大きくなる温度付近で仕様すると,電歪材料として使用できなく なる。ということは室温付近にキュリー温度があり,比誘電率がとても大きく,電界誘起 歪が大きければ電歪材料として使用できる。

(B)キュリー温度

キュリー温度とは,圧電体の分野において,分極が消失する臨界温度のことをいう。実用 的な圧電セラミックスとしての観点からは,圧電セラミックスの使用温度範囲内にキュリ ー点がいくつもある材料は,相転移によって圧電特性が変化するために使用されない。こ れによりPZTが設置できる場所が限定される。

(C)圧電セラミックの物性

圧電セミラックスは,強誘電性セラミックを分極処理したものである。通常,Fig.6.1.1(a) のように,セラミック全体としては各分域の自発分極による打ち消しにより圧電性は見ら れない。外部からある値以上の電界を加えると,Fig.6.1.1(b)のように結晶軸の揃った単一分 極の結晶(ドメイン・スイッチング)となる。Fig.6.1.1 (c)のように分極処理後は外部からの微 小電界で圧電効果を示す。

(59)

59

(D)圧電セラミックの基本動作

圧電効果には正効果と逆効果とがある。正効果を Fig.6.1.2 に,逆効果を Fig.6.1.3 に示す。 正効果は外部から加えた歪みに対し,打ち消すように電荷が生じる。また,機会的応力に 対しては,応力比例の電界が発生する。反対に逆効果では,外部から電荷が加えられたと き,それを打ち消すように内部に歪みが生じる。また,電界を加えると,電界比例の歪み が発生する。 Fig.6.1.1 圧電セラミックの物性 Fig.6.1.2 圧電効果(正効果) Fig.6.1.3 圧電効果(逆効果)

(60)

60 6.1.2 バイモルフ圧電素子 バイモルフ型エレメントの構造について述べる。バイモルフ型エレメントとは,圧電セ ラミック2 枚を貼り合わせた素子のことである。力 F で屈曲させると,一方が伸び,一方 が縮み,両素子に電荷が発生し,それを電気的に取り出すように結線されている。バイモ ルフ型エレメントにはシリーズ型とパラレル型がある。Fig.6.1.4 にそれを示す。 Fig.6.1.4 バイモルフ型エレメントの構造

(61)

61

6.2 発電デバイスの加振実験

6.2.1 実験条件 今回使用した圧電素子はパラレル型である。使用した圧電素子は,片持ち梁状のクラン プ根元の幅が 25[mm],長さ 35[mm],先端の幅が 5[mm],厚さ 0.2[mm]の圧電セラミックス をリン青銅の厚さ 0.1[mm]のシムプレートに貼り付け作成した。作成した圧電素子を Fig.6.2.1 に示す。圧電素子に重りを取り付け,自動車振動の主な共振点である 13[Hz]に固有 周波数を合わせ,発電デバイスを作成した。作成した発電デバイスの写真を Fig.6.2.2 に示 す。 作成したデバイスの整合抵抗を求めるため,発電デバイスの静電容量を測定した結果 C=79.6[nF]であった。整合抵抗を以下の理論式より求める。

fC

R

2

1

(6.1) ここで,f=13[Hz],C=79.6[nF]である。 (6.1)式より R=153[kΩ]となったため,ここでは負荷抵抗 r=150[kΩ]とした。 実験構成の概要図をFig.6.2.3 に示す。作成した発電デバイスに負荷抵抗を取り付け,負 荷抵抗にかかる電圧を測定する。正弦波加振では,発電デバイスの上下方向を加振する。 自動車振動加振では,発電デバイスの上下方向と前後方向を加振する。入力振動は13[Hz]. 振幅0.5[G]の正弦波とワインディングロードを走行した時の普通自動車のエンジン付近の 振動を使用し,それぞれ100 秒間加振した。正弦波加振の振幅を 0.5[G]とした理由は,自 動車振動の加速度の絶対値平均が0.59[G]だったためである。 Fig.6.2.1 作成した圧電素子の写真

(62)

62

Fig.6.2.2 発電デバイスの写真

(63)

63 6.2.2 正弦波加振と自動車振動加振での実験結果

実験で得られた各値をTab.6.1 示す。また,正弦波加振の PZT の出力電圧 Fig.6.2.4,自 動車振動加振の PZT 出力,入力した自動車振動の上下方向と前後方向の時間応答を F ig.6.2.5 に,パワースペクトル密度を Fig.6.2.6 に示す。Tab.6.1 より,正弦波加振では効率 よくエネルギーが回生されているが,自動車振動加振では回生効率がよくない。 Fig.6.2.6 より,作成した発電デバイスの共振周波数 13[Hz]以外にも,自動車振動と同じ共 振点を確認できる。このことから,複数の共振周波数をターゲットとして,発電デバイス を多モード化し,帯域を広げることで高効率なデバイスを開発できると考える。 Tab.6.1 自動車振動 100 秒間で得られた各値 加振振動 最大電圧[V] 最大電流[mA] 最大電力[mW] 平均電力[mW] エネルギー[mJ] 正弦波 25.4 0.169 4.29 1.43 143 自動車振動 24.6 0.164 4.03 0.136 13.6 Fig.6.2.4 正弦波加振での PZT の出力電圧の時間応答

0

20

40

60

80

100

-30

-20

-10

0

10

20

30

Time [s]

P

ZT

v

o

lta

g

e

[V

]

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64 Fig.6.2.5 PZT の出力電圧と自動車振動の上下方向と前後方向の時間応答 Fig.6.2.6 PZT の出力電圧と自動車振動の上下方向と前後方向のパワースペクトル密度 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -20 0 20 Time [s] P ZT v o lta g e [V ] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -2 0 2 Time [s] a c c -v e rti c a l [G ] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -1 0 1 Time [s] a c c -h o ri z o n ta l [G ]

(65)

65

6.3 発電デバイスを使用したアプリケーション

6.3.1 無線送信 振動発電デバイスの実用化のターゲットの1 つとして,振動発電による無線送信が考え られている。そこで,SPANSION 社のエネルギーハーベスティング評価ボードを使用し, 正弦波加振と自動車振動加振実験を行う。評価ボードをFig.6.3.1 に示す。送信機が左側, 受信機が右側である。概要をFig.6.3.2 に示す。ここで,評価ボードについて説明する。発 電デバイスの出力電圧を評価ボードに入力する。入力された電圧は整流され,キャパシタ に充電される。送信に必要なエネルギーが充電されると,PMIC により降圧され,MCU に 電圧を供給する。供給された電圧により,温度センサの情報を無線モジュールで送信する という構成になっている。 実験条件は6.2 節と同様に,振幅 0.5[G]・周波数 13[Hz]の正弦波とワインディングロー ドのエンジン付近の振動で加振する。充電用キャパシタは1[mF]とする。 Fig.6.3.1 SPANSION 社 評価ボード

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66 Fig.6.3.2 SPANSION 社 評価ボード 6.3.2 実験結果 正弦波加振でのPZT の出力電圧とキャパシタ間の電圧を Fig.6.3.3,自動車振動加振での PZT の出力電圧とキャパシタ間の電圧を Fig.6.3.4 に示す。キャパシタの電圧が大きく下が る時間で温度情報が送信される。Fig.6.3.3 より正弦波加振では 51.6 秒で送信され,その後 12 秒ごとに送信され,実験時間 100 秒間で合計 4 回送信された。しかし,Fig.6.3.4 より自 動車振動加振では,55.7 秒で送信されたが,その後は送信されず,実験時間の 100 秒を終 えた。 現状の発電デバイスでは,自動車振動100 秒間で 1 回送信するのが限界であった。その ため,実用化のために発電デバイスの高効率化や多モード化が必要となる。 Fig.6.3.3 正弦波加振での PZT の出力電圧とキャパシタ間の電圧の時間応答 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -6 -4 -2 0 2 4 6 Time [s] P ZT v o lta g e [V ] 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 Time [s] C a p . v o lta g e [V ]

参照

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