動物コラージュの継続的作成が自己イメージへの気づきに与える影響の検討
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(2) 目次. 第1章 問題と目的 第1節 コラージュとは・・・・・・・・・・・・・・… 1 第2節 コラージュ療法と自己表現・・・・・・・・・… 2 臨床場面において自己像を表現することの意義 コラージュにおいて自己像を表現することの臨床的意義. 第3節 コラージュ療法における動物の意義・・・・・… 4 実際の動物がもたらす効果 絵を通して動物に関わることの効果. 第4節 コラージュにおいて動物切片を導入する利点・… 7 第5節 動物コラージュ技法について・・・・・・・・… 9 第6節 先行研究からの発展・・・・・・・・・・・・… 10 第7節 本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・… 11. 第2章 予備研究 動物コラージュ技法に用いる,動物の種類の選定 第1節 予備研究の目的・・・・・・・・・・・・・・… 12 第2節 方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 12 第3節 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 13. 第3章 本調査 動物コラージュの継続的作成が自己イメージへの気づきに与. える影響の検討.
(3) 第1節. 本調査の目的・・・・・・・・・…. ・15. 第2節. 方法・・…. 一 一 一 一 一 一 一 一 一 e e. ・15. 第3節. 結果・・…. e 一 一 一 e 一 一 一 e 一 一. ・19. 第4節. 考察・・…. t − e e e t e e “ 一 e. ・30. 第4章 総合考察 第1節 本研究のまとめと臨床的意義・・・・・・・・… 36 第2節 本研究の限界と今後の課題・・・・・・・・・… 37. 引用文献. 添付資料. 1.予備研究で使用した質問紙の見本. 2.本調査で使用した質問紙の見本 3.通常コラージュ技法により作成された作品 4.動物コラージュ技法により作成された作品(1) 5.動物コラージュ技法により作成された作品(2). 6.用意された切片の一部の見本.
(4) 第1章問題と目的 第1節 コラージュとは. コラージュ(Collage)とは,現代美術の技法であり,雑誌・カタログな どの印刷物から写真や絵・文字などを自由に切り抜き,台紙にレイアウトし て貼り付ける方法である.コラージュ療法(Collage Therapy)は,コラー. ジュを心理療法に導入したものであり,日本では1987年より心理臨床の中 に取り入れられてきた.コラージュ療法の方法には,あらかじめセラピスト. が絵や写真から切り抜いた切片を箱の中に入れておき,クライエントがその 中から気に入ったものを選び出す「コラージュ・ボックス法」と,セラピス. トが雑誌やパンフレットなどを用意して,クライエントがそれを切り抜く 「マガジン・ピクチャー・コラージュ法」の二種類がある.. 杉浦・鈴木・金丸(1997)は,コラージュ療法をきわめて簡便で抵抗の 少ない技法であり,近年心理臨床の場のみならず,医療・看護・福祉・司法・. 教育・産業・リハビリテーションなど様々な分野で活用されるようになって きていると紹介している.. コラージュ療法の効果として,以下の5点がある(大和・丸山・大和 田,2001).①自己表現と美意識の満足,②心理的退行,③カタルシス(浄化. 作用),④自己の内面の意識化,⑤関係作りと理解の深まりである.また,. 鈴木・佐藤(2000)は,大学生を対象として,授業中にコラージュを作る ことがどのような効果をもたらすのかを明らかにしている.ここでは,通常 の授業を行なった場合とマガジン・ピクチャー・コラージュ法によりコラー ジュを作成した授業を比較し,後者の方が前者よりも自己理解や自己解放感 1.
(5) 楽しさや熱中,コミュニケーション促進効果が得られたとしている.そして,. コラージュ技法を行ったことにより,通常の授業より自己について見つめる ことができ,また楽しく熱中し,友達どうしが仲良くコミュニケーションで. きたと述べている.さらに,杉浦(1994)は,コラージュ療法の治療的要 因として,①心理的退行,②カタルシスなどの自己表出,③内面の意識化,. ④自己表現と美意識の満足,⑤言語面接の補助的要素,⑥診断材料,⑦ラポ ール・相互作用・コミュニケーションの媒介などを挙げている.また,近喰 (2000)や青木(2001)は,コラージュ作成前後での気分の変容を検討し,緊張. 一不安,抑うつ一落ち込み,怒り一敵意,混乱,疲労の改善が見られ,活気 をもたらすことを明らかにしている.. 第2節 コラージュ療法と自己表現. 臨床場面において自己像を表現することの意義 佐藤;・松田(2005)は,自分自身についての知識やイメージが,個人の行動. やパーソナリティの基盤となると述べている.前田(1992)は,心理臨床 の場において,とくに自己像を描くように指示しなくても,クライエントが 描く描画や造形的な制作物(写真,切り抜き,粘土細工など)の中には,無. 意識のうちに自己が投影されて表現されているものが少なくないとしてい る.さらに,自己像を表現することの臨床的意義について,多くの心理療法 では程度の差はあるが,自我の退行がみられ,治療場面でのある種の退行状 態では,言葉よりもイメージ,夢,描画などの方が感情や欲求を多く伝えや すいと述べている.そこでは,①カタルシス,②自我支持,③自己洞察とい った要因が作用しているとされている. 2.
(6) また,樋口(1992)は,絵の中にいわゆる自我像というべき自分の姿が 現れることはあまり多くなく,むしろさまざまな象徴で表し,「この猫は自. 分である」というように,何らかのイメージと自分とを同一化して描く場合. が多いとしている.例えば,下坂・束原・岡本(1992)は,19歳の神経性 無食欲症により通院していた女性が,最後の面接中に行なった描画で,縁側 のようなところで座り,一匹の魚の骨を足元におく猫の後姿を描き,冬の日. 差しの中でひっそりとしている自分であると表現したケースを紹介してい る.. さらに,村瀬(1987)は,自己像としての「対象」が存在することによ り,自分自身を相対し得ると考えている.すなわち,自己を相対化して捉え ることは,自分の存在を確かめうることであり,自分を突き放して眺め,考 えることを助けることになる.そこでは内省をめぐらし,洞察や自覚の生じ る土壌が培われるとしている.. コラージュにおいて自己像を表現することの意義 心理療法の中でコラージュ療法を用いて自己像が表現された例としては, 間島・岡山・太田・川田・藤井・関口・苅部・石川(2007)が摂食障害入院患. 者を対象とした報告がある.間島らは,自己表現が未熟という特徴をもつ摂 食障害入院患者に対して集団コラージュ技法を実施し,その結果として,自 らの作品を視覚的に理解し,それを通して客観的に自己を見つめ,感じたこ とを言葉にすることが自己表現を促したと考察している.. 市井(1999)は,コラージュ療法における素材を選んで一枚の作品に構 成していくという過程において,素材を吟味したり,あるいは無意識のうち に選択するなどの試行錯誤が,自己表現につながっていくと述べている.さ 3.
(7) らに,作品の完成は,一回限りの独自の作品を生み出す創造性や新たな自分 の発見,作品への美的満足を味わえるなど,自己啓発法としても有効である ことを指摘している.そして,なによりもイメージを媒介として自分を表現. することで,自分への理解を深め,無意識のうちに気持ちや感情の浄化が図 れることをコラージュ療法の大きな特徴としている.. また,杉本(1994)と大和ら(2001)は,コラージュ作品の中に,自分. 自身を表現する自己像の切抜きがある場合が多いと述べている.竹内 (2004)は,マガジン・ピクチャー・コラージュ法の,自分で「選び→切り. (破壊のプロセス)→レイアウトし→貼る(再構築のプロセス)」という製. 作過程が,思春期青年期の「新たな自己像の作り直し」というプロセスと共 通するものがあり,意味が大きいと考えている。さらに,園田・近藤(2006). と園田・片岡(2007)は,コラージュの中に「自分がいる」こと,すなわ ち自分を登場させることについて,以下のように述べている.コラージュの 中に自分を登場させる場合,自分自身の写真はないため,自分のイメージに. 近い写真を選んで自分に置き換えることが必要になる.そのためには現在の 自分のイメージや,こうでありたいと思う自分の人物像を把握できているこ と,自分と他者との類似性の違いが明確に区別されていることなど,自己概 念のあり方が問題になる.. 第3節 コラージュ療法における動物の意義. 実際の動物がもたらす効果 実際の動物がもたらすさまざまな効果について,以下のような研究がある 村瀬(1987)は,クライエントのもつぬいぐるみや飼育しているペット, 4.
(8) クライエントとセラピストが一緒に散歩中に発見した動物など,心理臨床過 程に動物が登場し,なんらかの効果を示した事例を複数紹介している.さら に動物の臨床的意義として,自己像,分身,時に理想像の意味をもつ「自己. 存在感の確かめ」,自分自身についての洞察を得るのを助ける「成長,変容 の助け」,親子の絆の修復や再建を助ける「家族関係の改善」,セラピストと. クライエントの関係の形成を助ける「治療進展の触媒」を挙げている.すな わち,クライエントが動物を自己像や分身とし,その対象と関わる中で,「成 長」や「家族関係の改善」,「治療進展の触媒」などの効果が表れてくるので ある.. また,動物が与えるリラックス効果もある.横山(1996)は,動物介在 療法を紹介し,実際の動物の何気ないしぐさなどが笑いやユーモアを与え,. それによってリラックス効果が生じるとしている.さらに,動物への能動的 なはたらきかけによって得られる肯定的な心理的効果も注目されている.浅. 川・佐野・古川・東・森田(2000)は,動物飼育経験者を対象として,動 物の存在による主観的な心理的苦痛の軽減についての調査を行い,さびしい 気持ちや辛い気持ちを癒し,ネガティブな気持ちの回復を図った経験がある. ものが70%以上いることを明らかにしている.また,動物との触れ合い方 としては,ただ傍観しているよりも能動的にペットにはたらきかけているも のが多くみられた.このことから,動物に能動的にはたらきかけることで, ネガティブな気持ちが肯定的な気持ちに変化することが期待できる.. 絵を通して動物に関わることの効果 それでは,実際の動物ではなく,絵画や写真における動物が与える効果は どうであろうか.動物の絵によるリラックス効果はまだ明確にされていない 5.
(9) が,絵画に対して積極的に関わることにより気分が肯定的に変化するという. 研究がある.高田・黒須(1997)は,絵画鑑賞療法において呈示された絵 画を,言語化する群,模写する群,絵画に語りかけたいことを文章化する群 に分け,その課題の前後で絵に対する印象や対象者の気分がどう変化するか という実験を,SD法を用いて行なっている.その結果,どの群においても,. 提示された絵画が人物画か風景画かに関わらず,肯定的に感じる絵画につい ては「リラックスする」,「気持ちが良い」,「落ち着く」,「安心した」,「楽観. 的になった」などの効果を得ている.また,絵画を肯定的に感じるか否かに 関わらず,「気が晴れた」,「安心した」,「楽観的になった」,「元気になった」. など群によって差はあるが,ポジティブな心理的効果がみられたことが明ら. かにされている.渡邊・島谷(2004)の研究でも,呈示された絵画に対し て印象が良く好みである場合は,絵画鑑賞前よりも能動的な言語的描写法後 の方がリラックス得点は高くなることが明らかにされている。このように,. 絵画への関わりの前後でおこる気分の変化について,高田・黒須(1997) は,漠然と絵画を見るよりも積極的に絵画に関わる方が,鑑賞の水準が高ま り,短時間で絵画の影響によるポジティブな方向への心理的変化が得られる と述べている.また,上述したように動物のしぐさによるリラックス効果は. 明らかにされていることから,コラージュにおいても動物の写真や絵画を見 たり眺めたりするだけでなく,選ぶ,切る,貼るという能動的行為によって,. 作成者はリラックス効果を得やすくなるなどポジティブな心理的変化が生 じることが考えられる.. 一方,杉本(2004)は,対象者に森の中で遊ぶ動物を描かせ,自ら描い た動物のイメージを媒介として自己について語らせることで自己理解を深 めるという「動物イメージ媒介法」を考案している.その研究において,自 6.
(10) 分に似ている動物としてウサギやリスなどの小動物を選ぶ被験者が多かっ た.その理由として「わがままだから」,「要領が悪い」,「ぶりっこ」など否. 定的なものがあげられた.また,自分に似ているか否かに関係なく,小動物 については「かわいい」,「人気者」などのイメージをもつ被験者も見られ,. 被験者によって動物に対するイメージがさまざまであることを明らかにし ている.また,動物家族画に表れる自己像の研究を行った井口(1995)は, 古来より動物は人間の本能・感情・情動などを投影されやすい存在であり,. その表現の手段としても用いられてきたとし,描画においても動物の姿を借 りることにより,心の奥深く感じられている家庭の雰囲気や人間関係を生き 生きと表現することができると述べている.. 以上の研究から,コラージュ療法においても「動物切片」に自己像を投影 している場合,その動物の状態やなぜその動物を選んだのか,あるいはその 動物に対して抱くイメージなどを詳細に聞くことで,自己への気づきをより 促進させることが可能であると推察される.. 第4節 コラージュ療法において動物切片を導入する利点. 中村・小島・藤掛・上野(1994)は,非行少年が作成したコラージュ作 品において,動物切片が一般男子と比較すると1,5倍ほど多く使用されてい ることに触れ,少年達が動物を人間の代替物として使用していると推察して いる.例えば,家族関係に強い葛藤があった少年などは,動物によって家族. を表現したと考えている.また,市井(1999)は,矯正施設にいる15歳の 少女がコラージュにおいて,自己像を大群の中の1羽のペンギンとして表現 し,「少年院の1人だから」と説明した事例を挙げている.他にも,自己像 7.
(11) を動物切片で表現している事例として以下のものがある.. 森谷(1995)は,小学生の男児がコラージュでペンギンを使用した際, いつも「ちびでぶ」とからかわれている彼自身のイメージに似ているとして,. 作品内に表れたペンギンを男の子の自己像であるとしている.また,面接を 何度か重ねた後のコラージュ作品では,サルから人間への変化が4つの切片 に分けて貼り付けられており,男児が「サルから人へ変わるところ」と説明 したことから,徐々に男児の心が進化し,成長しっっあることを意味してい. ると考えている.さらに,森谷(1995)は,中学生の女児のケースにおい ても,魚が卵から艀っている切片や子猫の切片は,入院により急激に退行現 象が始まった女児自身を示すものと考えている. また,石口・島谷(2006)は,「自己への理解」,「自己への解放感」の得. 点が高いほど,「動物部分」切片をほとんど使用せず,得点が低いほど「動 物部分」切片を使用する傾向があることや,「自己への解放感」が高いほど 「動物全体」切片を多く使用していることを明らかにしている.そして,コ ラージュにおける「動物切片」は,人間の本能的な衝動的側面や情緒の表出 と関係があると述べている.すなわち,「自己への解放感」をコラージュ制. 作中に体験できたために,自分自身の本能的な衝動的側面や情緒を総合的に とらえることができ,「動物全体」切片を使用することにつながるというも のである.. 以上のように,動物切片は,人間の本能的な衝動的側面や情緒の表出と関 係があり,また,人間切片では表現しきれない作成者の状態を,動物に対し. てもつイメージや動物特有の艀化や進化などの場面を用いて象徴的に表現 することを可能にしている.つまり,人間切片よりも動物切片の方が表現の 方法が豊富であり,作成者の状態を多面的に表現することが可能であると推 8.
(12) 察される.. さらに,杉浦(1994)は,コラージュにおける動物の切片の有無だけで なく,その種類や姿勢,振舞いを検討していくことが,アセスメントの要素 として重要となると述べている.森谷(2005)は,コラージュ療法の解釈には,. コラージュ作品に表現された絵や写真の,クライエントの連想を聞くことが 重要であると述べており,浦川・管・藤原(2000)は,作品にタイトルをつけ. ることが,作品作りを体験だけのものでなく,作成者にとって意味をもたせ るプロセスになると述べている.よって,コラージュ作成においては,作成 された作品について切片の種類だけでなく,作成者自身の連想などを扱うこ とが重要だと考えられる.. なお,吉田(2001)は,動物切片を使用する者は多いとも少ないともい えないと述べている.自由に作成されたコラージュにおいて動物全体切片の. 使用は成人で28.1%,幼児や高齢者など全ての年代における平均出現率は 37.5%であった.また,動物部分切片は成人で17.5%,全ての年代における 平均出現率は21.5%であり(杉本,1994),人間全体が56.7%,人間部分切 片が64.6%であるのに比べると決して頻度が高いとはいえない.. 第5節 動物コラージュ技法について. 以上のことから,筆者は動物切片を積極的に用いる「動物コラージュ技法 (Animal Collage Technique)」を考案した(山路・石田・内海,2009).. これは,通常のコラージュ技法に加えて,動物の絵や写真などの動物切片を 必ず使用させる技法である.つまり,人間の衝動的側面や情緒の表出と関係 があるといわれている動物切片を積極的に用い,自己像に対するイメージを 9.
(13) 尋ねることによって自己への気づきを促し,結果として自己理解促進効果を 期待した技法である.山路ら(2009)では健常な大学生を動物切片を使用しな. い通常コラージュ作成群と動物切片を必ず使用する動物コラージュ作成群 に分け,コラージュのリラックス尺度(高田・黒須,1997)と自己理解尺 度(鈴木・佐藤,2000)を用いて実験を行った.その結果として,以下の3 つの知見が得られた.①リラックス効果については動物切片を複数使用した. 群と1枚以下使用群の間に5%水準で有意差が見られた.このことから,複 数の動物切片に積極的に関わることが,間接的に多くの動物と触れあうこと につながったのではないかという考察が得られた.②動物コラージュ作成群. の中でも動物切片を用いて意識的に自己像を表現したか否かという点で自 己理解の程度に差は見られなかった.切り貼りの仕方から自分の性格につい て気づきを得た作成者や,コラージュ全体をみて自己像と周りの切片との関. 係から,自分の現在の環境について気づきを得た作成者が見られたためであ る.しかし,動物切片を自己像として使用した群でも,自分を動物に重ねて 比喩的・象徴的に表現することで,現在の自分の状況と自分の願望や気持ち との違いに対する気づきを得ていた.③作成者によって,異なる動物イメー ジをもつことが明らかになった.よって,動物イメージを用いて自己像を表. 現した場合,その動物はどのようなイメージか,あるいはなぜその動物を使 用したかを尋ねることで,作成者が自分自身への気づきを得ることにつなが る可能性が指摘された.. 第6節 先行研究からの発展. 山路ら(2009)の動物コラージュ技法を臨床的に導入するには,さらなるデ 10.
(14) 一タの積み重ねが必要となる.つまり,山路ら(2009)では1回の作成により. 自己理解の促進を図ったが,動物コラージュの継続的作成の意義については 未検討である.コラージュの継続的作成の効果について検討した先行研究と しては,以下のものがある.. 山本・木島・吉岡・宮本(2007)は,慢性統合失調症患者に対して継続的に. 音楽療法とコラージュ療法を行っており,コラージュ療法に関して,作品に その人の心的変化が投影されるため,継続的に関わりながら作品の変化を読 むことが,患者理解に役立つと述べている.また,中島・岡本(2006)は,コ ラージュを継続的に作成する内的体験過程として「拡散」「統合」「再構成」. の3次元の深まりがあることを明らかにしており,継続的な作品の作成が, 作品内容の変容,さらには自己そのものの変容につながると述べている.. 以上のことから,継続的に作品を作成することは,より自己理解の効果が 期待できると推察される.. 第7節 本研究の目的. 本研究では,筆者が考案した「動物コラージュ技法」による継続的作成が,. 自己イメージへの気づきに与える影響を検討するため,大学生を対象として. 以下の研究を行う.まず,自己理解度を検討することを第1の目的とする. コラージュ作成後には作品について語る時間を設け,作成者自身の連想や気. づきを大切に扱い,作品の変化と共に明確化する.次に,動物コラージュを. 継続的に作成することが気分にどのような影響を与えるのかということに ついて検討することを第2の目的とする.以上により,動物コラージュ技法 の有用性を検討する.. 11.
(15) 第2章 予備研究. 動物コラージュ技法で使用する動物の 種類の選定. 第1節 予備研究の目的. 予備研究では,動物コラージュ技法に用いる動物切片の種類の選定を目的. とする.まず,先行研究において自己像を動物に投影するIMQ(lmage Question)(梅本・河合・斎藤・出井・岡田,1972)と「動物画」(Denny,. 1972)から,自分に似ていると思う動物や好きな動物などについて尋ねる質 問紙を作成する.どのような動物に多く自己像を投影するのかを調査し,そ. の上で,質問紙で得られた回答の中から,多く選ばれた動物の切片を準備す る.. 第2節 方法. 調査協力者 A県,B県の大学生,大学院生124名(男性26名,女性98 名)を対象とした.平均年齢は20.1歳(SD=1.19)である.. 調査方法 5月下旬にA大学,7.月上旬にB大学において,質問紙調査を実 施した.筆者が授業の開始前に質問紙を配布,説明し,協力の同意を得た者 のみ回答し,回収した.. 調査内容 IMQ(lmage Question)(梅本・河合・斎藤・出井・岡田,1972) 12.
(16) と「動物画」(Denny,1972)を参考にし,作成した質問紙を配布した.記. 入後回収し,記入者の10%を基準として,それより多く選ばれた動物を動 物コラージュ技法で用いる動物とした.質問紙の構成はTable 1に示したと おりであった.(実際の質問紙は巻末資料1.). Table1予備研究の質問紙構成 参考にした研究 動物画(Denny,1972). IMQ(梅本ら,1972). 質問項目(回答は各質問に付き最大3つ) に似ているようです ・私は動物にたとえると ( ). サれは( )からです. ・私がなりたい動物は(. )です.. E私がなりたくない動物は(. jです.. E好きな動物をあげてください. 第3節 結果. 質問紙より,130種類の動物の回答が得られた(Table2).その中から,. 先行研究(岡田,1984)をもとに,回答の出現率の10%を基準として動物切 片を選定した.. その結果,イヌ,ネコ,ウサギ,ライオン,ナマケモノ,リス,ゾウ,キ リン,ハムスター,ブタ,トリ,ネズミ,パンダ,ヘビ,トラ,カバ,イル カ,サル,クマ,ウマ,牛,ゴリラ,コアラの23種類の動物が選定された.. 13.
(17) Tabb2回答された動物の種類(出現率が396以上のもの) 合計(人) 合計(人) 回答率α) 動物の種類 動物の種類. パンダ. 83 80 45 44 36 28 28 28 27 27 24 23 22. ヘビ. 21. 169. トラ. 20. 16.1. カバ. 19 18 17 16 16 15 13 13. イヌ ネコ. ウサギ ライオン ナマケモノ リス. ゾウ キリン. ハムスター ブタ トリ. ネズミ. サル クマ. 牛. ウマ ゴリラ コアラ. 35.5. カメ. 29.0. ゴキブリ. 22.6. 645. 225. ワニ シマウマ. 22.6. オオカミ. 21.8. キツネ. 21.8 19.4. クジラ ヒツジ. 18.5. カエル. 17.7. コウモリ タヌキ. 虫. イルカ. 36.3. チーター ハイエナ ペンギン. 66.9. 斜. 10 10 10 10 10 9 8 8 8. 1 答率(%). 89 8」 8.1 8.1. 81 8.1. 7.3. 6.5 6.5 6.5. 7 7. 5.6. 7. 5.6. 6 6. 48. 5. 56 4β 4つ. 14.5. アルパカ 魚 ヒョウ. 5 5. 4.0. 13.7 12.9. アライグマ. 4. 129. アリ. 4 4 4 4. 32 32. 15.3. 12.1. 蚊. 10.5. ラクダ. 10.5. レッサーパンダ. 4.0. 3.2 3.2. 32. ※回答率が10%以上の動物を採用. 14.
(18) 第3章 本調査. 動物コラージュの継続的作成が. 自己イメージへの気づきに与える影響の検討 第1節 目的. 動物コラージュの継続的作成が,自己理解をどの程度促進するかを検討す ることを第1の目的とする.また,気分の変化への影響を検討することを第 2の目的とする.. 第2節 方法. 調査協力者 B県の教育大学に通う大学生,大学院生44名(男11名,女33 名)を対象とした.平均年齢は22.09歳(SD=2.34)であった.. 調査方法 授業の前後の時間を利用して調査協力者を募集した.調査日時は 対象者の希望に合わせて設定した.希望する調査日時により,動物コラージ ュ作成群と通常コラージュ作成群に振り分けた.場所は全てB大学内の一室 で行った.. 調査時期・時間 2010年7月から9月にかけて,1名につきおおよそ週1 回の計5回,各回30分∼90分.. 調査内容 各回の調査内容をTable3に示す.1回目のみ作成前に短縮板P 15.
(19) OMS,自己理解尺度(青木,2009b)を行った.1回目と5回目の作成後 にはPOMS,インタビュー後には自己理解尺度,コラージュ用自己理解尺 度(鈴木・佐藤,2000)の回答を求めた.全回とも,20∼60分のコラージュ 作成と作品について尋ねるインタビューを行った.. 使用した質問紙 ①気分に関する質問紙. 短縮板POMSを使用した.緊張一不安(Tention−Anxiety),抑うつ一落 ち込み(Depression・Dejection),怒り一敵意(Anger・Hostility),活気(Vigor),. 疲労(Fatigue),混乱(Confusion)の6感情を測定した.. ②自己理解尺度 青木(2009b)が作成した自己理解尺度36項目について,「全く当てはまら. ない(1)」∼「非常に当てはまる(7)」の7件法で回答を求めた.この尺 度は「現状の自己理解度」,「自分らしさへの欲求」,「自己理解欲求」,「自己. の情緒把握度」の4因子から構成されている.. ③コラージュ用自己理解尺度 コラージュ体験による自己理解促進の程度を検討するために,鈴木・佐藤 (2000)がコラージュの効果として抽出した因子のなかから,「自己への理. 解」因子である8項目を使用し,本研究では「コラージュ用自己理解尺度」 とした.「全くそう思わない(1)」,「少しそう思う(2)」,「多少そう思う(3)」,. 「だいぶそう思う(4)」,「とてもそう思う(5)」の5件法であった.. 16.
(20) Table3各回の調査内容 1 イ査内容. 回数 1. ①質問紙(POMS,自己理解尺度) Aコラージュ作成. B質問紙(POMS) Cインタビュー 塞 質問紙(自己理解尺度,コラージュ用自己理解尺度) コラージュ作成②インタビュー. 2∼4 5. ①コラージュ作成. A質問紙(POMS) ﹂. Bインタビュー C質問紙(自己理解尺度,コラージュ用自己理解尺度). コラージュの教示 「今からコラージュを作っていただきます.コラージュ とは,印刷物から自分の気に入った写真や気になる写真を,自由に切り抜い て台紙の上に好きなように貼るものです.上手,下手を見るものではないの で,気楽な気持ちで思うままに作ってください.ただし,自分を表すものを. 必ず登場させてください.作成時間は最大で1時間です.」動物コラージュ 作成群には,さらに「必ず動物を貼ってください」と教示を加えた.. 動物コラージュで用いる動物切片 予備調査で得られた結果をもとに,イヌ ネコ,ウサギ,ライオン,ナマケモノ,リス,ゾウ,キリン,ハムスター, ブタ,トリ,ネズミ,パンダ,ヘビ,トラ,カバ,イルカ,サル,クマ,ウ. マ,牛,ゴリラ,コアラの23種類を用意した。さらに,夢や箱庭療法にお いてよく出現し,ターニングポイントで重要な役割を果たすとされる(岡田,. 1984),ヘビ,カエル,カバのうち,予備調査で得られなかったカエルを加 え,合計24種類の動物切片を用意した.. 17.
(21) 動物以外の切片 杉浦(1994)や鋤柄(2005)を元に,「人物」「建物」「自然風. 景」「室内」「乗り物」「植物」「食べ物」「物体」のカテゴリーに沿う画像を 用意した.「自然風景」の中には,コラージュ独特の表現とされる「宇宙」(近. 喰,1992)も含んだ.また,それ以外に「文字」として50音字とアルファベ ットの切片も用意した.. コラージュ切片の統制 コラージュ製作に使用する写真などの素材を各作 成群被験者共通に用意した.「文宇」以外の切片は,調査者が切片をあらか じめ切った:コラージュ・ボックス法を用いた.動物切片,その他の切片とも. に,インターネットのフリー画像素材や著作権のない写真を使用し,A4用 紙にカラー印刷した.写真画像が主であり,イラストはほとんどなかった. 周囲に余白を残して切った切片を各カテゴリーに分類してファイルに入れ, 1回につき1冊の冊子にまとめて渡した.各回で冊子は変更した(巻末参照).. コラージュ作成後の半構造化面接 田中(1993),山路ら(2009)に基づき,. 質問項目を作成し,半構造化面接を行った.作品名,自己像はどれか,自己 像を投影した切片にどういつだイメージをもつか,どうしてその切片を自分. として表現したか,など,7項目であった.2回目以降は今までの作品と比 較して今回の作品をどう感じるかが加わった8項目.5回目は作品全体のタ イトルなどを加えて10項目となった.質問の構成についてTable4に示す. (実際の質問紙は巻末資料2.). 18.
(22) Table4各回のインタビューの質問項目 1回目. 2∼4回目 5回目. ①作品名. A制作中に連想したこと B制作後に作品から連想すること C自分を表すものはどれ? Dどうしてそれを自分とした? Eそれに対してもつ印象は? F作っての感想・気づいたこと ①∼⑦は同上 Gこれまでの制作体験と,今日の体験とを比較してみて,なにか エじることは? ①∼⑧は同上 H作品を並べてみて,全体的なタイトルは? I作品を通して,変化している(変化していない)ところはどこ?. 第3節 結果. 各尺度の検討. (1)自己理解尺度について 青木(2009b)の作成した自己理解尺度について因子分析を行った.まず,. 自己理解尺度の各調査項目について天井効果,フロア効果を検討し,天井効 果が見られた5項目を省き(「16 どんなことにも自分らしく取り組みたい」. 「17自分の持っている感じや感覚を大事にしたい」「18自分の人生におい ていつも自分らしい決定をしたい」「19自分の納得できる生き方をしたい」 「20自分の気持ちに正直でありたいと思う」),主因子法プロマックス回転. による因子分析を行った.そこで因子負荷量が.40を下回った1項目(「29 自分が今どう感じているか,あまり注意を払わない(逆転項目)」)を削除した. 結果,最終的に3因子が抽出された(Table5).. 第1因子は,「2自分がやっていることに対して自信がある」「11自分の進 むべき道を十分に認識している」など17項目からなり,「現状の自己理解度」. 因子と命名した.第2因子は「32回分が楽しんでいるかどうかが分かる」「31 19.
(23) 自分が怒っているかどうかがわかる」など6項目からなり,「自己の情緒把. 握度」と命名した.第3因子は「26日頃,自分の存在する意味を自問自答 することがある」「23自分自身について深く考えることがある」など7項目 からなり,「自己理解欲求」と命名した.因子分析から得られたこの3因子 は,ほぼ青木(2009b)の先行研究の因子構造と同様のものであったため,. 各因子名は青木(2009b)に従った.ただし,青木(2009b)では抽出され た「自分らしさへの欲求」因子は,天井効果が見られた5項目が含まれてお り,本研究では削除したため抽出されなかった.. また,自己理解尺度の内的整合性を検討するため,それぞれの下位尺度に. ついてCronbachのα係数を求めた.その結果,「現状の自己理解度」因子 がα=.96,「自己の情緒把握度」因子がα=.87,「自己理解欲求」因子がα. =.84であった.このことから,自己理解尺度の3つの下位尺度には内的整 合性があることが確認された.. 20.
(24) Table5 「自己理解尺度」についての因子分析. 因子1因子且因子皿共通性 第1因子現状の自己理解度 一.144 .094 .696 一.077 一.037 .774. 一.149 .085 .738. .032 .057 .665 一.047 .120 .412 .041 .101 .631 .123 一.079 .527 .112 一.147 .650 .013 一.164 .542. 一.065 .192 .631 .168 一.118 .651 一. 067 . 225 . 631. .152 .045 .539 .377 一.290 .405. 一.224 .358 .706 .278 一.157 .405 .296 一.114 .639 .116. .781. .002. .727. .027 .600 .165 .566. .108. .681. 一. 020 . 530. .O19. .675. .201 .489. 35自分の短所をすぐ言える 36日分が疲れているかどうかがわかる 第3因子 自己理解欲求 26日頃、自分の存在する意味を自問自答することがある 23日分自身について深く考えることがある 25日ごろの自分の姿や特徴に関心がある 27私は誰なのかをはっきり自覚していくことは、私にとっ てとても重要だ 24自分の対人関係のもち方について考えることがある 30自分の行為や考えに矛盾がないかどうかいつも考える 28自分についてもっと知りたい. 因子1 因子2. 因子間相関. 一. 072. .O17. 魔∪貫︾ 直 U5. ている. 009. 2 自分がやっていることに対して自信がある 8 今、自分のことが好きである 11自分の進むべき道を十分目認識している 1 自分のどこに価値があるかを人に説明できる 15自分のするべきことがはっきりしている 3 自分自身に自信を持っている 4 自分の長所をすぐ言える 12自分らしく振舞うことができる 9 自分の思ったとおりの行動ができる 6 現実社会の中で自分の可能性を十分に実現できると思う 10ありのままの自分というのがどういう状態をさすのか自 分で分かる 22自分なりの目標を持って生活している 13自分の行動の動機が分かり、それを人に説明できる 7 自分についてよく理解している 21自分の行動は人に決めてもらうより自分で決めるほうだ 5 自分の特徴を言葉で人に伝えることができる 14日分については自分が一番良く知っている 第2因子 自己の情緒把握度 32自分が楽しんでいるかがわかる 31日分が怒っているかどうかがわかる 34日分に欠けている部分をきちんと把握している 33物事や人物に対して自分の好き嫌いがあることに気づい. 一. Oll . 462. .124 .338. =197. . 022. . 731. .398. 一.109. .244. .693. .643. .188. .005. . 644. .723. .090. .008. .642. . 608. 一. 268. .385. .612. .530. .145. 一. 067. . 595. .394. .199. . 035. .468. .388. .447 .322. .360. ※)天井効果が認められた項目 16どんなことにも自分らしく取り組んでみたい. 17自分が持っている感じや感覚を大事にしたい 18自分の人生においていつも自分らしい決定をしたい 19自分の納得できる生き方をしたい 20自分の気持ちに正直でありたいと思う. (2)コラージュ用自己理解について 鈴木・佐藤;(2000)がコラージュの効果として抽出した「自己理解」因子. 21.
(25) の8項目を「コラージュ用自己理解」尺度とし,因子分析を行った.まず, 調査項目について天井効果,フロア効果の問題を検討したところ,問題のあ る項目は認められなかった.よって,全8項目について,主因子法による因 子分析を行った.その結果,1因子構造であることがわかった(Table7).. Cronbachのα係数はα=.97であるため,コラージュ用自己理解尺度の内 的整合性があることが確認された.. Table7コラージュ用自己理解尺度の因子分析. 因子1 共通性 3 自分を再認識した 2 自分を表現できた 4 自分を分析できた 8 いつも言えないことを表すことができた 7 言葉で表せないものを表すことができた. .765. .586. .757. . 653. .739. .574. .739. .529. 5誰かに語ることによって自分の気持ちがはっきりした. .727. .493. 1 自分の内面を表せた 6 現在自分の考えている思いが表せた. . 704. . 546. . 702. .547. . 808. .496. 各尺度における基本統計量及び動物コラージュの効果の検討. (1)気分に関する質問紙. コラージュの継続的作成がPOMSの6感情に及ぼす影響を検討した.基 本統計量をTable 8に示す.回数(1回目作成前・1回目作成後・5回目作 成後)を従属変数,群(通常コラージュ作成群・動物コラージュ作成群)を 独立変数とする2要因の分散分析を行った.その結果,T−A(緊張一不安)で のみ交互作用が認められた(夙2,41)=5.21,p<.05)(:Figure 1).単純主効果を分. 析したところ,群の要因は1回目作成後において有意な差が認められ (夙1,42)ニ7.52,.ρ<.01),動物コラージュ作成群が通常コラージュ作成群より. も有意に緊張や不安が低減することが認められた.回数の要因については, 22.
(26) 通常コラージュ作成群では1回作成前と5回目作成後の間に有意な差が見 られ(バ2,41)=5.32,p<.01),5回目作成後が1回目作成前より有意に緊張や. 不安が低減することが認められた.動物コラージュ作成群では1回目作成前. と作成後,1回目作成前と5回目作成後において有意であった (F(2,41)=17.98,p<.01).つまり,動物コラージュ作成群では1回目作成後は. 1回目作成前より,5回目作成後は1回目作成後よりもそれぞれ有意に緊張 や不安が低減することが認められた.. D(抑うつ一落ち込み)では群,回数ともに主効果が認められ(群: 夙1,42)=3.90,pく.10,回数:夙2,41)=6.98,p<.01),動物コラージュ作成群のほ. うが通常コラージュ作成群よりも得点が有意に低く,抑うつ,落ち込みの低. 減が見られた.回数においてはTukey法による多重比較の結果,5回目作成 後は1回目作成前より有意に低い得点を示し,抑うつや落ち込みが低減する ことが認められた.. A−H(怒り一敵意)では回数において主効果が認められた (夙2,41)=3.40,p<.05). Tukey法による多重比較の結果,5回目作成後は1. 回目作成前より有意に得点が低く,怒りや敵意が低減することが認められた V(活気)では群,回数ともに主効果が認められ(群:夙1,42)=4.09,p<.05,. 回数:夙2,41)=4.10,p<.05),動物コラージュ作成群の方が通常コラージュ群. よりも得点が有意に高く,活気が高まることが認められた.回数においては. Tukey法による多重比較の結果,5回目作成後は1回目作成前・1回目作成 後よりも有意に高い得点を示し,活気が高まることが認められた. :F(疲労)では群の主効果において有意傾向(夙1,42)=3.57,.iP<.10),回数の主. 効果において有意差が認められた(17〈 2,41)=10.55,p<.01).つまり,動物コラ. ージュ作成群のほうが通常コラージュ作成群よりも得点が低い傾向にあり, 23.
(27) 疲労が低減される傾向にあることが認められた.また回数においては, Tukey法による多重比較の結果,1回目作成後は1回目作成前よりも,また,. 5回目作成後は1回目作成前よりもそれぞれ有意に低い得点を示し,疲労が 低減されることが認められた. C(混乱)では群の主効果において有意傾向(群:F(1,42)=3.66,pく.10),回数. の主効果において有意差が見られた(夙2,41)=8.43,p<.01).つまり,動物コ. ラージュ作成群の方が通常コラージュ作成群よりも得点が有意に低く,混乱. が低減される傾向にあることが認められた.また回数においてはTukey法 による多重比較の結果,1回作成前ようりも1回目作成後・5回目作成後の 方が有意に得点が低く,混乱が低減されることが認められた.. Table8 POMSの基本 計量および ・回数の比較結 主効果 交互作用 多重比較 通常コラージュ作 群 動コラージュ巨群. 1・目曇1回目’5・目後 1回目11回目後5・後 M(SD? M(SD? M(SD2. T−A 2.90(2.39) 2.14(2.05) 1.43(1.89). D 1.76(2.00) 1.81(2.09) O.90(1.7e). M(SD? M(SD? M(SQ. 2.81(1.83) O.62(O.86) 1.19(1.83). 回. 戸阻 ノ「 F旦 1.83** 18.08** 4.12**. 1.29(1.65) O.43(O.87) O.24(O.54). 3.90t 6.98** 1.04. O.53(1.07) O.21(O.54) O.05(O.23). 0.18 3.4* 1.61. V 7.29(3.66) 6.96(4.49) 5.89(2.83). 7.89(2.98) 8.32(4.03) 5.89(2.83). 4.09* 4.10* O.93. F 5.38(4.13) 3.05(3.14) 2.33(2.74). 2.76(3.69) 1.14(1.88) 1.95(2.20). 3.57t 10.55** 2.27. C 5.71(2.45) 4.95(2.42) 4.48(1.94). 4.76(2.74) 3.38(1.94) 4.10(2.17). 3.66t 8.43** 1.78. A−H O.67(1.39) O.52(1.21) O.33(1.32). 1後>5後 1後>5後 1前,1後〈5後 1前>1後,5後 1前>1後,5後. tp〈.10, *p〈.05, **p〈.O1. 24.
(28) 3 2. 1 0. **. 軸. 馬. 隔 噂. 噺 も **. ・→・・通常コラージュ. ー●一動物コラージュ. ** 1回目作成前 1回目作成後 5回目作成後 Figu re 1通常コラージュ作成群と動物コラージュ作成群の. T−A得点の比較. (2)自己理解尺度 自己理解尺度の基本統計量と群の主効果の比較結果をTable9に示す.回 数(1回目作成後・5回目作成後)を従属変数,群(通常コラージュ作成群・ 動物コラージュ作成群)を独立変数とする共分散分析を行った.なお,調査. 前の自己理解度を統制するため,1回作成前における自己理解得点を共変量. とした.その結果,群の主効果は1回目作成後において5%水準で有意差が 見られ(F(1,41)=4.23,1〆.05),5回目作成後において1%水準で有意差が見 られた(夙1,41)ニ9.27,p<.01).どちらも,動物コラージュ作成群の方が,通. 常コラージュ作成群よりも高い自己理解得点を示した. また自己理解尺度の各因子(「現状の自己理解度」,「情緒把握度」,「自己. 理解欲求」)について同様の検討を行った.その結果,「現状の自己理解度」. では,群の主効果が5回目作成後において有意傾向が見られ (F(1,41)=3.15,p<.10),動物コラージュ作成群の方が通常コラージュ作成群. 25.
(29) よりも得点が高いことが示された.「情緒把握度」「自己理解欲求」では,群 の主効果は見られなかった.. さらに,各群内において回数を要因とする1要因の分散分析を行った.そ. の結果,通常コラージュ群においては1回作成後と5回作成後の間に5%水 準で有意な差が見られた(夙2,20)=4.50,p<05).動物コラー・一・“ジュ群において. は,1回目作成前と5回目作成後,及び1回目作成後と5回目作成後におい てそれぞれ1%水準で有意差が見られた(夙2,20)=7.69,p<.01).なお,最も. 自己理解度が上がった通常コラージュの作品をFigure3,動物コラージュの 作品を:Figure4に示す.. Tablo9 計理. ’よぴの主 の比. の. コ7一ソユ. コフーソユ. ロ M(SD?. 一口目t 五回 一回 1 一回目. の. 五・目 二回旦後」廻旦塗. M(SD? F値 F MrSD? M(SD? M(SD2 MrSD? 自己理解尺度 140.23(22.18)135.05(21.78)147.55(19.18)160.09(22.21)152.36(22.33)172.64(17.84) 9.27** 4.23* 現状の自己理解度 75.00(17.45) 情緒把握度 32.00(4.99) 自己理 33.41(7.62. 72.oo(17.60) 78.18(17.13) 88.91(14.02) 86.32(12.69) 94.77(14.oo). 1.15. 3.15t. 31.14(4.18) 34.oo(4.93) 34.68(5.44) 34.32(4.83) 35.55(5.44). 2.81. O.02. 32.62(6.74) 35.36(5.64) 36.95(5.72) 35.82(5.51) 38.68(6.56. 0.43. 0.75. tp〈.10,*p〈.05,**p〈.O1. 06 56 055 04 54 03 53 02 52 0 7. **. * .. 一 一. “一一. 一 一. ・・. 氈E一通常コラージュ作成騨. ’. 一・●一一動物コラージュ作成群. ■ 隔 ’. 1回目作成前 1回目作成後 5回目作成後. Figure2通常コラージュ作成群と動物コラージュ作成群の自己理解得点の比較. 26.
(30) 弼. 墓 .∠. 、鞭峯選 :; ....t−it. Figure3. 通常コラージュ作成群の中で最も自己理解度得点に上昇が見られた作品. (作成者番号;2,女性.40点差) (左:1回目『上と下』自己像:女の子と彗星,右:5回目『もうすぐ来る』自己像:女の子). 嘩』 鍵. P.掴膨 ミ毛一・’s・;.,’J. ;郵 ・ 7 ..4 Figure 4動物コラージュ作成群の中で最も自己理解度得点に上昇が見られた作品 (作成者番号;38,女性.55点差) (左:1回目『自由な気持ち』自己像:ひまわり,右:5回目『私の頭の中』自己像:白クマ). 27.
(31) (3)コラージュ用自己理解尺度 鈴木・佐藤(2000)のコラージュ用自己理解尺度の基本統計量と比較結果を. Table10に示す.動物の有無(動物コラージュ・通常コラージュ)を独立変. 数,回数(1回目・5回目)を従属変数とする2要因の分散分析を行った. その結果,回数において主効果が見られ(夙1,42)=10.95,p<.01),1回目. よりも5回目の方が,自己理解得点が高くなっていた.なお,最も自己理解. 度が上がった通常コラージュの作品をFigure5,動物コラージュの作品を Figure6に示す.. Table 11コラージュ用自己理解尺 の基本 計量及び分 分析結果 通常コラージュ作 群 動 コラージュ作. 群 一匪L. 1回作成後 5回作成後 1回作成後 5回作成後 群 ・数. 自己理解得点. M(SD? M‘SD/ M‘SD/ MrSD? F値 F値 F値 26.27(6.92) 28.59(4.72) 26.55(6.72) 30.18(7.08) O.29 10.95** O.54. **p〈.01. 28.
(32) vt.’:sa.pt,.k e r”・・’ . 鄭. 、晶一一」騨量・・一一シ !ン・ ●. 冨圏螺ノガ “聡{レi旨;. 盛. Figure 5通常コラージュ作成群の中で最もコラージュ用自己理解得点に上昇が見られた作品 (作成者番号;17.女性.21点差). (左:1回目1私の好きな物』自己像:コーヒー豆,右:5回目『学校生活』自己像:女の子). ・醸騨翻 ’C論証ミ 1■■形箱■ ,脇蟹. んt−v. s’: zmeeeg.tw. Figure 6動物コラージュ作成群の中で最もコラージュ用自己理解得点に上昇が見られた作品 (作成者番号;52.女性.16点差). (左:1回目『大地』自己像:女の人,右=5回目『変わるものと変わらないも野』自己像:建物). 29.
(33) 第4節 考察. 「自己理解尺度」について. 青木(2009b)の「自己理解尺度」は「内面からの意識を測定するものと近 く,自己の内面に目を向けて理解する考え方や情緒を測定することに適した もの」であるため,自己イメージへの気づき,理解を測定するものとしては. 適していたと考えられる.本研究で因子分析を行ったところ,5項目におい て天井効果が見られ,全項目が含まれていた「自分らしさへの欲求」因子を. 削除する結果となった.この理由については,以下の2点が考えられる.ま ず,1点目は対象者の特性である.この質問紙は自発的な調査協力者を募っ たものであり,本調査についてはあらかじめ「自己開発に影響を及ぼすコラ ージュを行う」と説明している.そのため,「自己開発」に興味があり,「自. 分らしさへの欲求」が高い対象者が集まった可能性が高いといえる.2点目 は,対象者の発達段階の影響である.本研究の対象者は青年期の大学生であ った.青年期は自己の確立を目指し,自己へ目が向き,模索する時期である (青木,2009a).つまり,自分らしさを模索し,「自分らしさへの欲求」が高 まる時期と言える.. 「コラージュ用自己理解尺度」について 鈴木・佐藤i(2000)の「コラージュ用自己理解尺度」について,本研究で因. 子分析を行った.その結果,天井効果など問題のある項目が見られず,先行 研究と同様の1因子構造であった.この理由として,鈴木・佐藤(2000)がコ. ラージュの効果として抽出した因子の中から「自己理解」という1因子を用 いたためであるといえる.本研究においても内的整合性は確認され,コラー 30.
(34) ジュ用の自己理解を測定するのに適していたと考えられる.. 自己イメージが投影される動物について. どの動物の種類に自己イメージを投影しやすいかということについて予 備調査を行った結果,23種類の動物が選ばれた.とくに回答率が高かった のはイヌとネコである.内閣府による動物愛護に関する調査(2010)では,一. 般家庭で飼育されているペットは「イヌ」が58.6%と最も高く,以下,「ネ コ」(30.9%),「魚類」(19.4%)の順となっている.このことから,イヌや. ネコは日常生活において接する機会が多く,自分を投影しやすいということ. が考えられる.また,投影されるイメージについて以下の2点が明らかにな った.1点目は,投影する特徴についてである.キリンは「背が高い」イメ ージ,リスは「身体が小さい」イメージなど外見的な特徴から自己イメージ を投影する動物や,「さびしがり」のイメージのあるウサギなど,内面的な. 特徴から自己イメージを投影する動物の種類があることが示唆された.梅本 ら(1972)はIMQ(Image Question)の調査において,自分を動物に投影する 理由を,6種類(「外貌によるもの」「身体的活動性,機能性によるもの」「行 動的習性,生活習慣によるもの」「雰囲気によるもの」「能力(知的能力,成 就性も含む)によるもの」「人格,性格などによるもの」)に分類して検討し. ている.「背が高い」キリンなどは外面的なイメージである「外貌」や「身 体的活動性」にあたり,「さびしがり」のウサギなどは内面的イメージであ る「雰囲気」や「人格,性格」にあたるといえる.. 2点目は,山路ら(2009)と同様,対象者によって動物イメージが異なると. いうことである.例えば,同じイヌであっても対象者によっては「従順で素 直」というイメージを持ったり,「人の顔色をうかがって指示に従う」とい 31.
(35) うイメー・一一ジを持ったりしている.本研究において動物コラージュを継続的に. 作成する中でも,使用する動物の種類は同じでありながら,その表情やしぐ さから,異なったイメージが語られることがあった.例えば,下を向いてい. る1匹のウサギに対しては「時間においたてられていっぱいいっぱい」「自 分の世界があって優雅に生きてそうやけど実は必死」というイメージだった ものが,次の回では群れているウサギに対して「群れになるけどそんなに弱 くない」という,強さを感じさせる動物へと変化していた(対象者番号42,. 女性).また,1つの作品に表れた1匹のネコに対して「自由に自分のした いことをすることが自分と同じ」であり,そこがいい面でありながらも「他 人を気遣えないのが悪いところ」と,肯定的なイメージ,否定的なイメージ どちらに対しても自分と重ねあわせる発言が見られた(対象者番号45,女性).. 以上より,本研究では投影する動物が同一のものであっても対象者によっ て動物のどの要素・特徴に自己を投影しているのかは異なり,また,複数の. イメージを持ち合わせている可能性があることが明らかになった.森谷 (2005)はコラージュの作品について,セラピストの勝手な解釈がクライエン. トの気持ちとずれることを危惧し,クライエントの連想を聞くことが大切だ. と述べている.本研究においても,動物の切片に何を投影しているかの意味 を解釈するには,対象者のもつ動物イメージや連想を尋ねることが,対象者 を理解するためには必要な条件であることが示唆された.. 継続的なコラージュ作成による気分の変化について. 通常のコラージュにおいて,これまで1回作成したことによって生じる気 分の変化を検討した研究や,縦断的に作品の変化を報告している事例研究は 複数存在する(青木(2001)など).しかし,筆者が考案した動物コラージュ技. 32.
(36) 法はもちろんのこと,継続的に作成したコラージュによって生じる気分の変 化を数量的に検討した先行研究はまだ少ない.本研究では,5回継続的にコ ラージュを行った気分の変化について,回数という観点と動物コラージュ・ 通常コラージュというコラージュの技法の違いの観点から検討した.. まず回数の点においては,先行研究と同様にV(活気)というポジティブ. な気分については1回目作成前や1回目作成後よりも5回作成後の方が, 得点が有意に上昇し,A−H(怒り一敵意)やC(混乱)などネガティブな気分に. ついては1回目作成前や1回目作成後よりも5回作成後の方が有意に低下 しているという結果が得られた.とくに低下したのはT・A(緊張一不安),D(抑. うつ一落ち込み),C(混乱)である.この理由については以下の2点が考えら. れる.まず1点目として,質問紙の有無にかかわらず,5回調査を実施して いることにより生じた,コラージュ作成の場に対する慣れの影響である.2 点目として,菅野(2007)や山路ら(2009)が報告しているように,コラージュ. 技法自体にリラックス効果があるということである。つまり,1回作成より も5回作成のほうが,動物の有無にかかわらず継続的にリラックス効果が得 られ,結果として緊張や不安,抑うつなどのネガティブな気分の低下が生じ たと考えられる.. 次に技法の違いという点では,T−Aで交互作用が見られ, Vで群の主効果. が見られている.さらにT−Aでは1回目作成後において動物コラージュ作 成群の方が有意に得点の低下が認められることから,動物コラージュの方が 少ない回数でその効果が得られることが示唆された.これらの理由について は,以下のように考える.横山(1996)は動物介在療法について紹介している. 中で,実際の動物の何気ないしぐさなどが笑いやユーモアを与え,それによ りリラックス効果が生じることを明らかにしている.また,笑いやユ・・一・・iモア. 33.
(37) に言及せずとも,魚の動きの観賞についても同じようにリラックス効果が生 じるとされている.つまり,本研究では動物コラージュの継続的な作成によ り,多くの動物の写真と触れることでリラックス効果が促進され,結果とし て緊張や不安が低下したことが考えられる.さらに,動きのない写真などに. おいても動物介在療法のようなリラックス効果を基にした気分の変化が得 られることが示唆された.. コラージュ作成による自己理解度の変化について 本研究では,自己理解度を測定するために「コラージュ用自己理解尺度」 と「自己理解尺度」を用いた.「コラージュ用自己理解尺度」は,鈴木・佐 藤(2000)がコラージュの効果を検討した結果明らかにされた,コラージュを. 作成すること自体から得られる,コラージュ独特の自己理解尺度である.そ れに対し,「自己理解尺度」は青木(2009b)が作成したものであり,コラージ. ュ作成に限らず,自己理解の現状を把握する質問紙である.2種類の自己理 解尺度を使用した理由は,生じた自己理解が動物の有無に関係なくコラージ ュを作成すること自体によるものであるのか,動物コラージュ技法独特のも. のであるのかを比較検討するためである.結果として,「コラージュ用自己 理解尺度」では回数のみに主効果が見られたのに対し,「自己理解尺度」で は群の主効果が見られた.以上から,コラージュの作成自体から得られる自. 己理解は回数を重ねることによって深まると上に,動物コラージュ技法にお いては,さらに自己理解が促進されると言える.これは,動物コラージュ技 法では通常コラージュ以上に動物切片とかかわることにより,通常コラージ ュで得られる以上の自己理解を得ていると考えられる.その理由としては以 下の点が考えられる.河崎(2006)は自己理解について「自己肯定を基盤とし 34.
(38) て自己を多角的に理解し,自己イメージを構築する能力」としている.森谷 (1995)などの事例研究では,動物切片を用いて作成することで,その動物に. 対してもつイメージが活用され,作成者の状態を多面的象徴的に表現するこ とが可能になったと報告している.つまり,動物コラージュ技法では多面的. 象徴的に表現可能な動物切片を用いることで,自己やその周辺を多面的に表 現することが可能となり,結果として自己イメージの構築,自己イメージへ の気づきを促進したと推測される.本研究において動物コラージュを作成し. た作品例を2つ紹介したい.まず1人目は,トリをほぼ毎回「理解者」とし て登場させた対象者である(対象者番号41,男性).回数を重ねるに連れて,. 自己イメージは人間,物体などさまざまに変化するもののトリは毎回様々な. 形で登場し,最後の5回目には自己イメージが雛鳥となり,まだ未熟である もののトリの仲間入りをしたというストーリーの展開を見せた(巻末資料参. 照).2人目は,自分を毎回動物で表現した対象者である.自己イメージは ネコであったりウサギであったりと変化するものの,2回目以降一貫して何 かを作り出す作業がテーマとなっていた.途中で大きな虹を作ろうとするも. のの,最後の5回目には自己イメージを投影したリスは,小さな花びらを集 めて花を作るという「自分の身にあった」ものを作りだし,完成間近という ストーリーを見せた(巻末資料参照).このように,動物切片は自己イメージ. として表現されるかどうかにかかわらず,その動物切片と自己イメージを投. 影した切片やその周りの切片の関係から自己理解を促進する可能性が示唆 された.. 35.
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