金沢大学 十全 医 学 会雑 誌 第10 0巻 第3号 445 −464 く1 991う
肝十二 指腸 間膜の郭 清を と も な っ た胃切 除後の 胆道 運 動機能異常に関する実験 的研究
金 沢大 学 医学 部 外 科 学 第二講座 く主任二宮 崎 速 夫教 掛
角 谷 直 孝
く平 成3年3月2 9 日 受付う
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肝 十二指 腸 間膜の郭 清を と も なった胃切 除後の病 態を, 特に胆 道 運 動 機 能の面から解 明す る た め, 雑種の成 熟イヌを も ちいて, 胆 道 系に分布す る神 経を温存し た胃切 除 俳 郭 清 瓢 と. 肝 十二指 腸 間 膜の郭 清を加え た胃切 除 く郭 清 瓢 の 2群を作 製し, 胃 切 除 軋 直 後. 4 遇 後, 8 週 後に胆 嚢 運 軌 O d d i 筋運 動, 胆 道の病理組 織を含む形 態学 的な ら びに細 菌学 的 検 索を行う と同 時に,C hole cystok inin
くC C Kl 分 泌の検 索を, 胃 切 除後4週 後に無 処 置のイヌを対 照 群と し て, 非 郭 清 瓢 郭 清群につい て行っ た0 胆 嚢 基 礎圧, セ ルレイン負 荷 後の胆 嚢 絶 対 収 縮圧 は非 郭 清 軌 郭 清 群と もに 4 過 軋 8週後に胃 切 除前に比 べ低い値を 示 し た が, 両 群 間に差を認め なかっ た. 一方, セ ルレイン負荷 後の胆 嚢収 縮圧 は非 郭 清 群, 郭 清 群と もに全経 過を通じ て変 化な くt 両 群 間にも差を認め な かった− O d d i 筋基 礎圧 は郭 清 群
に お いて 4 遇 後, 8週 後に胃切 除 前に比べ低い値を 示 し, 非 郭 清 群に比 べ有 意に低か った, し か し,
O d d i 筋 振 幅, 収 縮回数は非 郭 清 群, 郭 清 群と もに全経 過を通じ て変 化な く, 両群 間に差を認め なかっ
た■ セ ルレイン負 荷 後の O d d i 筋基礎圧, 振 幅は非 郭 清 瓢 郭 清 群と もに 4 週 後, 8週 後に胃切除 前に 比べ低い値を 示 し た が, 両 群 間に差を認めず, セ ル レイン負 荷後の O d d i 筋 収 縮回数は両 群と もに全経 過を通じ て変 化な く, 両 群 間にも差を認め な かった. 空 腹 時 胆 嚢 面 積は非 郭 清 群, 郭 清 群と もに 4 過 敏 8 週後に胃切除 前に比べ高い値を 示 し, 両 群 間に差を認め な かった が, 胆 管 径は4 過後. 8遇 後に 非 郭清 群, 郭 清群と もに胃 切 除 前に比べ高し掘 を 示 し, さ らに郭 清 群に お しユて は非 郭 清 群に比べ有 意に
高い値を 示 し た. 胆 嚢 胆 汁 培 養 陽 性 率は非 郭清 猟 郭 清 群の両 群 問に差を認め なかった が, 病理組 織 学 的所 見で は非郭 清群に比べ , 郭 清 群に お いて胆 嚢リン パ液胞の形成が高 頻 度かつ高 度に観 察さ れ ト胆 管 で は非 郭 清群に お いて変 化を認め な かっ たの に対し, 郭 清群に お いて は胆 管 炎を 示唆す る所 見が観 察さ れ た. 空腹 吼 な ら びに食 餌 負 荷 後の血中C C K 濃 度は対 照群に比 べ, 非 郭 清 群, 郭 清群と もに高い値 を 示 し, 両 群 間に差を認め なかっ た. 以 上 よ り, 肝 十二指腸 間 膜の郭 清を と も なっ た胃 切 除 後には, O d d i 筋の基 礎圧の低 下, 胆 管 径の拡 張が認め ら れ. 胆汁のうっ滞や 胆道 内の逆 行 性 感染が郭 清を加え
ない場合に比べ高 度と な ることから, 胃 切 除 後の結石形 成が促進さ れ る ものと推 論し た.
E ey w o rds ga stre cto my, dis s e ctio n of the hepatodu odenal liga m e nt,
biliary m oto r a ctivit y,b ilia ry sta sis, bilia ry infe ctio n
胃 切除後, あ るいは迷 走神 経切離 後には胆石 症 を は 能の評 価が 比較 的 容 易と な り, 胃切除 後の胆 嚢運 動 機 じ め と す る胆 嚢 病 変が発 生し や すい こと が従 来よ り報 能異 常に関す る知見 が集 積さ れつ つ あ る 州 一 方,
告さ れてき た1I−3I, 近 年,腹 部 超 音 波を は じ め と す る画 胃切除 後の胆道 運動機能を解明 す る際, 胆 嚢運 動 と と 像診断法の発 達によ り, 特に胆 嚢を中心 と し た運動 機 もに O d di 筋運動の解明も 重要な問題であ る が. こ の
A b br e viatio n s ニC C K , Chole cystok inin三E R C P , e nd o s c opic retr ogr ade chola ngi 0.pa n C r e a− tic ogr alphy 三O d di筋, O d d i 括 約 筋 ニ R I A , r adioim m u n o a s s ay ニ胃 切 後 胆 石, 胃 切 除 後 胆 石 症二 部 清 群, 肝 十二指 腸 間膜の郭 清を と も なっ た胃 切 除 二 非 郭 清 群, 肝 十二指 腸 間 膜の郭 清を と も な わ ない胃 切 除
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点に関す る臨 床 的, 実験 的な知 見はいま だ少ない川 1 2 , ところ で, 最 近では良性 潰 瘍に対す る胃切除 術が減 少 し, その 一方で胃 癌に対す る胃 切 除 術が広く行わ れて いる. と り わ け進 行 胃癌に対しては, 肝 十二指 腸 間 膜 を は じ め と す る広 範な郭 清を と も なっ た胃切除 術が 一 般 的と なって お り, 肝 十二指 腸 間膜の徹 底 的な郡 清に ょ り術 後の急性 胆 嚢 炎や胆石 症 が高 率に発 症す る と の 報 告も あ る即 3,. こ のよ うに, 郭 清を と も なっ た胃切 除 後の胆道 運 動 橡 能を解 明す ること は臨 床 的にも き わ め て 重要な問題であ る が, こ の間 題に関す る実 験 的な研 究はいま だ み ら れ ない−
そこで今 臥 著 者は雑種の成熟イヌ に肝 十二指 腸 間膜 の郡清を と も なった胃切除をお こない, 胃切 除に おけ る肝 十二指陽間瞑郭 清の胆 道運 動 機能に与え る影 響を検討し た ところ. いくつか の興味あ る知 見を得たので報 告す る.
対 象およ び方法 I . 実 験動物およ び作 製法
体 重9−1 4kg の椎 種の成熟イヌを使用 し た. 術 前 約 24時 間絶 食の後. 塩 酸ケタミ ン1 5m gJkg,硫 酸ア トロ
ピン0.0 2 5m gノkg を筋 注し, チ オペ ンタ ー ル7−5m gl kg 静 注にて導入後, た だ ちに気 管 内 挿 管をお こなっ た. そ の後, ミオ ブロ ック 0.1m gノkg に て筋 弛 緩を 得, 酸 素, 笑 気にて調節 呼吸 をお こなっ た.
1 . 非 郭 清群の作 製 法
上腹 部正中 切 開に て開 腹 後, 大 網を膵 下 線にて結 蘇, 切 離 線を脾臓 側, 十二指 腸 側にす す め1 右 胃大 網 動 脈を結 染, 切離し た. なお . 胃 切 除 範 囲を 一定にす る た め. 左胃 大 網 動 脈の胃 壁への 血 管2 本を温 存し た. つづい て右 胃 動脈を胃壁流入部で結 紫, 切 離, 十
二指 腸 断 端を閉鎖 後, 左胃 動 脈 下 行 枝を 2 本. 結 勢,
切 離し, 胃の切離 線を決 定し た. 以 上の操 作によ り胆 道 系に分 布す る神経を温存し た胃切除をお こない,
ビ ルロ ー ト 2 法によ り残 胃と 空腸を全 層一 層縫 合に て再 建し た. 術 中の輸液は乳 酸 加リンゲル液5 0 0mlノhr を 使用 し, 術 後には 5 %ブ ド ウ糖 加 電 解 質 液10 0 0−1 5 0 0
mllday を使用 し た. 術 後の輸 液は, 外頸静脈よ り中 心静 脈 内に留 置し た カテ ー テ ルよ り 4 − 7 日間お こな
い. 抗 生 剤くフ ルマ リンRo.5gノdayl を4 日間 投 与し た. 経口摂取は 3 −5 日目よ り徐々 に分 量をふや し て
1 日1 回お こない, 鶏 頭や肉 缶 詰を適量与え た. 以 上 の手術 後, 耐 術し4 週 間以 上経 過し た ものを非 郭 清群 く4 週 間 経 過 n ニ5, 8 週 間経 過 n ニ51 と し, 各 時 点に
お いて再 開腹し, 以下に述べる種々 の測 定をお こなっ た. な お, 今回の実験の測 定に際し. 総 胆 管の切 開を お こな う が, 測 定 後に総胆 管切開創を閉 鎖, 修 復す る
谷
こと は, イヌ の総 胆 管が き わ め て細いた め技術 的に困 難で あ り, た と え修 復で き たに せ よ, 胆汁うっ滞の原 因と な る可 能性が あ り本 実 験には適さ ない■ 以 上のよ う な 理由で1 頭のイヌを経 時 的に追 跡す ること が不可 能なこと か ら, 胃切 除 前な ら びに胃 切 除 直 後のデー タ の測 定は 以下の よ うにおこなった. 開腹 後, た だ ちに
胆 嚢, 総 胆 管を同 定し, 胆 蛮 管を結 繁, 総胆 管を切開 し測 定をお こなっ た もの を非 郭 清 群の前 値と し た. つ づいて胃切 除を おこない , 測 定し た もの を非 郭清群の
直後の値と し たくn ニ5ト つ ま り, 前な ら びに直 後の デ ー タ は同一 のイヌ によ る変 化を, 4 週 間 後, 8 週間 後のデ ー タ は異な る イヌ のものであるく図1ト
2 . 郭 清 群の作 製 法
上 記の胃 切 除に加え, 肝 十二指腸 間膜を中心こ郭清 を追 加し た ものを郡 清 群と しだ. す な わ ち, 総胆管,
門脈, 総 肝 動 脈, 胃 十二指 腸 動 脈, お よ び腹腔 動脈周 囲のリン パ節や リン パ管, 神 経, 結 合 組 織を完全に摘 除し, 小網を肝 十二指腸 問膜左緑よ り食 道 裂 孔に いた る まで肝 下 面付 着部で胃と と もに切 除し た. 本操 作に よ り ト胆 道 系に分布す る迷 走 神 経 肝 枝は も と よ り交感 神 経 系の成 分も ほ ぼ完 全に切 離さ れ たことにな る■ 術 中, 術 後の管理 は非 郭 清 群と同様に お こない, 耐術し 4週 間以 上経 過し た もの を郭 滞群 く4 週間経 過n 二5,
8週 間 経 過 n こ引と し て, 非 郭 清 群と同様の測 定をお こなっ た. ま た, 前な ら びに直 後の デー タ も非郭清群 と同様にも と め たくn ニ 引く図11,
H . 測定項 目 な ら びに方法 1 . 胆 道 内圧 か らの検 討
実 験 動 物 作 製と同 様の方 法で全 身麻 酔 下に開 腹後,
以下の測 定を おこな った. 11 胆 嚢 運 動
開 腹 後 卜 胆 嚢を同 定し, 胆嚢 管を結 軋 胆 嚢を閉鎖 系と し た. 胆嚢底部にタバ コ縫 合をかけ, 中心にあけ た 小孔よ り 7 フ レ ンチの マイ クロ チッ プ 庄 トラ ン ス デュ ー サ ー く日本 光 電社, 東 副 を胆 嚢 内に挿入, 固定 し た. ト ラン スデュ ー サ ー は アンプ を内臓し た ポ リ グ ラフ R M 6 0 0 0 く日本 光 電 社, 東 剰 に接 続し,大 気圧 を ゼロ と して, 胆嚢 内の 基 礎圧 を測 定し た. つ づい
て, 外 因性 負荷に対す る胆 嚢 収 縮 能を検 討す る目的 で, セ ルレイ ン0.2声 gノkg を静 注し, 5 分後の収縮 圧, な ら びに絶 対収 縮圧く基礎圧+収 縮 酎 を測 定し た. これ らの測 定を非郭 清群, 郭 清 群の前, 直後, 4 過 後, 8 週 後に行っ た く図2I .
21 0 d d i 筋 運 動
総胆管を同 定 後, 長 軸に対し て横 方 向に胆 管に切開 を加え, こ の切 開 孔よ り十二指腸 側に6 フレンチのマ
胃切 除 後の胆道 運動 機 能 異 常に関す る実 験 的 研 究
N o n − d isse cted g r o up Dis sected g r ou p
F ig.1− Sche m a of ope r ativ e pr o c edu r e si No n.d d is s e cted gr o up m e an S Simple ga str e cto my witho ut d is s e ctio n of the hepatodu ode n al liga m e nt. D is s e cted gr o up m e a n s ga str e cto my with dis s e ctio n of the hepatodu ode n al liga m e nt.
Re c o n str u ctio n of B i11r oth II m ethod w a s pe rfo r m ed afte r ga str e cto my in e a ch gr o up. T he shaded a r e a r epr e s e nts the po rtio n of d is s e ctio n ofthe hepatodu o.
de n al liga me nt. Ce− A, C elia c a rte ry 三S M A,S upe rio r m e s e nte ric a rte ry.
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A bso l u t や contractile
Pr 8さS Ur e
F ig−2. Pr e s s u r e r e c o rd fr o m gall b lad de r a nd sph in cte r of O d diニIntr a v e n o u s
inje ctio n of c a e r ulein O .2JJ gl kg indu c e s to nic c o ntr a ctio n of gall blad de r.
Sm all sha rp w a v e s o n gallb lad de r ba s al pr e s s u r e r epr e s e nt w a v e s by r e spir atio n. Re c o rd fr o m sph in cte r of O d di ind ic ate s ir r egula r pha sic C O ntr a Ctio n. Intr a v e n o u s inje ctio n of c a e r ulein O .2JL gl kg indu c e s in c r e a s ed ba s alpr e s s u r e a nd a m plitude of sphin cte r of O d di,
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