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原著 :秋 田大学医学部保健学科紀要 1 3( 2 ):1‑7 ,2 0 0 5
更年期女性の生活体験 と愁訴 との関連
渡 遣 竹 美 糠 塚 亜紀子 見 玉 英 也
要 ヒ ユ 日
更年期の女性が知覚す る愁訴 に関与す る生活体験因子を明 らかにす ることを目的に,地域で生活す る更年期女性を 対象に質問紙 による調査を行 った.更年期症状 は,慶鷹式中高年健康維持外来調査表に基づいて評価 し,スコアの合 計点を重症度 とした. 4 5 ‑5 5 歳の女性 5 3 4 名の回答を重回帰分析 した結果,更年期症状の重症度 と相関する生活体験 因子 として ,「 BMI ( 現在の体格 ) 」 「 病気の有無 」 「 仕事の有無 」 「 月経中の不快症状 」 「マタニティ ・ブルーズ 」 「 家 事負担感 」 「 生活 に対す る満足感 」 「ス トレスを感 じている」の 8 因子が抽出された.一方で,現在の月経の状況 と更 年期症状 には関連が認め られなか った.
Ⅰ. は じめ に
更年期 の女 性 は,卵 巣機 能 の低下 に伴 う女性 ホル モ ン ( 主 にエス トロゲ ン) の減少 に加 え,様 々な個人 的, 社会 的 ス トレス に さ らされ る時期 で もあ り, その結 果 様 々 な不 快 な身 体 症 状 を体 験 す る事 が少 な くな い1 ) . しか し,更年 期 に知 覚 され る不快 な症状 の程度 に はか な りの個人 差 が あ り, その症 状 の 出現 に関 わ る要 因 に つ いて は過 去 に様 々 な疫 学 的調査 が行 わ れて きた.更 年期 に起 こるほて りや発汗 な どの血管運動神経症状 は, 血 中 の エス トロゲ ン ・レベ ル に相 関 す る2 )といわ れ る が,一般 的 な更年期 症状 は これ らに とどま らず,抑 う つ感,易疲労感 や不眠 な どの精神症状 も多 くみ られ る.
そ して, このよ うな症状 が女性 の精神 的 ・心理的 なバ ッ クグ ラウ ン ドに強 く依存 して い る ことは, よ く記載 さ れて お り, 凡 帳面 , ま じめ,責任 感 が強 いな どの心 理 的 ・性格 的 な要 因, また子 ど もの成長 や独立 ,パ ー ト ナ ーの理解 不 足,経 済 的 な不安 ,健 康 へ の不安 な どか
ら くる精神 的 ス トレス要 因 な どは, 更年 期症状 と関連 す る と報告 されて い る 35 ) . また, 過去 に月経前症 候 群 な どの性周 期 に伴 う不定 愁 訴 を有 す る女 性 は更年 期 に 至 って精神 症 状 が多 い こと も知 られ て お り, これ らに
は女 性 が本来有 して い る内分泌学 的 な素 因 とで も言 う べ き個 人 の特 徴 が 関与 して い る こ と も推 測 され て い
る 6 ,7 )
今 回我 々 は,我 々の地域 で生 活 す る更年 期 にあ る女 性 を対 象 に,更年 期 に出現 す る愁訴 に関連 す る と考 え.
られ る生活 体験 因子 を明 らか にす る ことを 目的 に,質 問紙 に よ る調 査 を行 ったので報 告 す る.
Ⅱ. 研究方法 1 .対 象
A 県 在 住 の 45‑55 歳 の女 性 9 05 名 で あ り, 調 査 地 域 は以下 の とお りで あ る.
1) B 市 内 の健 康管 理 セ ンターで健康診 断 のた め に 来 所 した 30 0 名 .
2) C 町在住 の女性 3 45 名 .
3)D 町在住 の女 性 2 60 名 .
2. 調 査期 間
2 00 4 年 2 月 〜 8 月.
秋 田大学医学部保健学科看護学専攻
秋田大学医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 2 号
Ke yWo r d s : 更年期 愁訴 生活体験
慶鷹式中高年健康維持外来調査表
1 01
(2) 渡遁竹美/更年期女性の生活体験 と愁訴 との関連
3. 方 法
慶鷹式中高年健康維持外来調査表 に もとづ く更年期 症状 の 4 0 項 目 8 ) および生活体験 に関連す ると考 え られ る 2 1 項 目を加 えた 6 1 項 目で構成 した調査票を作成 した.
調査対象者 には,本研究 の主 旨を書面 および口頭 にて 説明 し,調査 に同意 の得 られた人 に直接配布 し,調査 票記入後回収 した.調査票 に組 み入れた生活体験上 の 項 目は,表 1 に示す よ うに,属性要因, 内分泌要因, 心理的要因,生活習慣要因 の 4 群 に関す る 2 1 項 目と し た.
更年期症状 の 4 0 項 目につ いて は症状 の程度 を, 「な い」, 「弱 い 」,「中 くらい」,「強 い」 の 4 段階で回答 し て もらい, それぞれ 0 , 1 , 2 , 3 と点数化 し合計点 を算 出 して症状 の重症度 の指標 とした. そ して,更年 期症状 の 4 0 項 目の合計点 と相関す る生活体験上 の 2 1 項 目を重回帰分析 によ り更年期症状 に関連す る生活体験 上 の因子 を抽 出 した.
表 1 生活体験上の因子 属 性 要 因 年齢, BM I ,病気,職業 内 分 泌 要 因 現在の月経の状態
月経前の不快症状 月経中の不快症状 妊娠中のつわ り
産祷期のマタニティ・ブルーズ 心 理 的 要 因 家事に対する負担感
子育てに対する負担感
パー トナー トとのコミュニケーショ ンに対する満足感
生活に対する満足感 相談相手 の有無 ス トレスの有無 生活習慣要因 大豆製品の摂取状況
乳製品の摂取状況
運動習慣,趣味,喫煙,飲酒
Ⅲ. 結 果
1 .調査票の回収状況および分析対象
調査票 は 9 0 5 名 に配布 し, その うち 7 8 6 名 よ り回答 を 得 た (回収率 8 9 . 5 %) . 回収 した調査票 の うち更年期 症状 の 4 0 項 目すべて に回答 した 5 3 4 名 のデー タを有効 回答 と し分析 した ( 有効回答率 6 7 . 9 %) .
2. 対象者の背景
対 象 者 5 3 4 名 の平 均 年 齢 は 5 0 . 2±3 . 1 歳 で あ った.
BMI によ る現在 の体格 は, 低体重 2 7 名 ( 5 . 1 %) , ふ つ う 3 8 0 名 ( 7 1 . 2 %) , 1 度肥満 1 1 2 名 ( 2 1 . 0 %) , 2 度 肥満 7 名 ( 1 . 3 %) であ り,肥満者 の占め る割合 は 2 2 . 3
%で あ った.就業状況 は,常勤 3 3 6 名 ( 6 2 . 9 %) ,パ ・ ‑
卜8 9 名 ( 1 6 . 7 %) と 8 割近 くの女性が仕事 を していた.
また,世帯構成 は,単身 1 7 名 ( 3 . 2 %) ,夫婦 のみ 9 7 名 ( 1 8 . 2 %) ,親子 2 0 5 名 ( 3 8 . 4%) ,三世代 2 0 7 名 ( 3 8 . 8 %) , その他 8 名 ( 1 . 5 %) で あ り,核家族世帯 が 6 割近 くを 占めて いた. さ らに,調査時点で通院を要す る何 らか の疾患 を有 している人 は 1 1 7 名 ( 3 3 . 1 %) であ った.
3. 月経 に関連す る体験
調査 時 にお ける対象者 の月経 の状態 は,規則 的 1 6 2
名 ( 3 0 . 3 %) ,不規則 1 4 6 名 ( 2 7 . 3 %) , 自然 閉経 1 7 1 名
( 3 2 . 0 %) , 子 宮摘 出 によ る人工 的 閉経 5 1 名 ( 9 . 6 %)
で あ った. 自然 閉経 1 7 1 名 の閉経年齢 は 4 1 歳 〜5 5 歳 に 分布 し,平均 閉経年齢 は 4 9 . 7 ±2 . 9 歳で あ った. また, 閉経後 5 年以上 を経 過 して いた人 は 4 4 名 ( 8 . 2 %) で あ った.
月経 に関連す る体験 として,月経前 の不快症状,月 経中の不快症状,妊娠期のつわ り,産裾期のマタニティ ・
ブルーズに関す る体験 の有無 の回答状況 を表 2 に示 し た. 月 経 前 の不 快 症 状 を体 験 して い た人 は 3 6 7 名
( 6 8 . 7 %) , 月経 中 の不快症状 を体 験 して いた人 は 4 1 0
名 ( 7 6 . 8 %) , つわ りを体験 して いた人 は 4 1 1 名 ( 7 7 . 0
%), マ タニテ ィ ・ブルーズを体験 して いた人 は 6 6 名 ( 1 2 . 4%)であ った.
表 2 月経に関連する体験
な し 雷滝 壷 P =警 護 票 差 吉 無 回 答 月 経 前 の 不 快 症 状
月 経 中 の 不 快 症 状
つ わ り
マタニティ・ブルーズ
1 2 9( 2 4 . 2 ) 3 0 4( 5 6 . 9 ) 6 3 ( l l . 8 ) 3 1(5 . 8 ) 7(1 . 3 ) 1 0 9( 2 0 . 4) 3 0 8( 5 7 . 7 ) 1 0 2( 1 9 . 1 ) 7(1 . 3 ) 8(1 . 5 ) 8 3( 1 5 . 5 ) 2 5 8( 4 8 . 3 ) 1 5 3( 2 8 . 7 ) 2(0 . 4) 3 8(7 . 1 )
3 8 1( 7 1 . 3 ) 6 5( 1 2 . 2 ) 1(0 . 2 ) 4 9(9 . 2 ) 3 8(7 . 1 )
人数 ( %)
渡遥竹美/更年期女性 の生活体験 と愁訴 との関連
4. 女性をと りまく環境
家庭 内の環境 と して, 家事 に対 す る負担感 が あ る 1 59 名 ( 29. 8%) ,子育 て に対す る負担感 があ る 177 名 ( 33. 1%) と回答 してお り, およそ 3 割 の女性 が家事 や子育てに対する負担を感 じていた.また,パー トナー との コ ミュニケーションに満足 していると回答 した人 は 345 名 ( 64. 6%) ,現在 の生活 に満足 していると回答 した人 は 317 名 ( 59 . 4%) で あ った. さ らに,相談相
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 4
顔
汗 ノ\ や
き
熱 ヽ一カ
が を
腰 や 手
息 切
腰 が
背 中 が
肩
」り
手 足 の 節 々 の
疲 れ
輿 イ 神 不
奮 ラ 経 安 宿 な す ぇ す 痛 あ が あ が み た \ ‑.ヽ す す す あ あ
や ラ で が や
し イ 質 感
る い る る
い
い る る
い い
る る る
頭 が 痛 い
つ ま らな い ことに くよ くよす る 憂 う つ に な る こ と が 多 い 意 欲 が わ か な い 夜 な か な か 寝 っ か れ な い 夜 眠 っ て も 目 を 覚 ま しや す い 手 足 が し び れ る 手 足 の 感 覚 が 鈍 い 心 臓 の 動 博 が あ る
め ま い が あ る
吐 き 気 が あ る
皮膚をア リがはうような感 じがする
物 忘 れ す る
覚 え ら れ な い
皮 膚 の し わ が 気 に な る 髪 の ボ リュ ー ム が 少 な くな る
お 小 水 が 近 い
お お お 腹 膜 性
小 水 が 間 に 合 わ な い
小 水 が 漏 れ る
り も の (帯 下 ) に色 が つ く に 乾 い た 感 じ が あ る
に か ゆ み 交 時 痛 み
が あ る が あ る の どがっかえ るよ うな感 じがす る 目 の 痛 み が あ る 日 の 乾 い た 感 じ が あ る 腹 部 膨 満 感 が あ る
(3)
手 につ いて は, 相 談相 手 が い る と答 え た人 は 458 名 ( 85. 8%) であ った. また, 現在 ス トレスを感 じて いる と回答 した人 は 302 名 ( 56. 6%) と 6 割近 くを占めて い た .
5. 生活習慣の状況
食生活では,大豆製品を積極的に摂取 していると回 答 した人 は 1 99 名 ( 37. 3%) , ふつ うと回答 した人 は 0% 1 0% 2 0% 3 0% 40% 5 0% 6 0% 7 0% 8 0% 9 0% 1 0 0%
⊂=コ ない 匪整 ≡ ヨ 弱 い 国璽 中 ぐ らい 喝 強い N‑5 3 4 図 1 慶鷹式 中高年健康維持外来調査表 40 項 目の回答状況
秋田大学医学部保健学科紀要 第1 3 巻 第 2 号 1 0 3
しい
波速竹美/更年期女性の生活体験 と愁訴 との関連 31 3 名 ( 5 8. 6%) で あ り, 両者 をあわせ る と9 5. 9%で
あ った. また,運動習慣 が あると回答 した人 は1 2 6 名 ( 2 3. 6%) で, 8 割近 くの人 は運動習慣 が なか った.
飲酒 や喫煙 の状況 は, 飲酒 の習慣 が あ る人 は1 83 名 ( 3 4. 3%) , 喫煙習慣があ る人 は 55 名 ( 1 0. 3%)であ っ た.
6. 慶鷹式 中高年健康維持外来調査表40 項 目の回答状 況
慶腹式中高年健康維持外来調査表 にあ る 40 項 目を点 数化 し, それ らの合計点 を算 出す ると 0‑1 2 0 点 とな る.本調査対象者 の合計点 の分布 は 0‑97 点の範囲 に
0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0( 人)
0 〜 9 1 0 〜1 9 2 0 ‑2 9 3 0 ′ ‑3 9 4 0 ‑4 9 5 0 〜5 9 6 0 ′ ‑6 9 7 0 ′ ‑7 9 8 0 ‑8 9 9 0 ‑9 9
N‑5 3 4 図 2 慶鷹 式中高年健康 維持外来調査表4 0 項 目の合計 点の分布
あ り,平均値 は27. 8±1 7. 9 であ った.図 1 は 40 項 目の 回答状況 を示 し,図 2 は 40 項 目の合計点 の分布 を示 し た ものである.
7 .生活体験 と更年期症状 との関連
生活体験上 の因子 ( 表 1 ) と 40 項 目の合計点 の重回 帰分析 の結果を表 3 に示す.有意 な関連性が認 め られ た因子 は, 「 BMI J 「 病気 の有無」 「 仕事 の有無」 「月 経 中の不快症状」「マ タニティ ・ブルーズの既往」「 家 事 に対 す る負担感」, 「 現在 の生活 に対す る満足感」,
「 現在 ス トレスを感 じている」以上 の 8 因子であ った.
Ⅳ. 考 察
今回の研究で調査票 に組み入れた慶鷹式中高年健康 維持外来調査表 にある 40 項 目は,各 々が独立 した症状 であると同時 に2 0 症状群 をな し,1 2 症状群25 症状 まで は,わが国の女性の更年期障害を多い順 に並べてお り, 1 3 症状群2 6 症状以降 は更年期障害 を幅広 くとらえた も の として追加 している.慶庵式中高年健康維持外来調 査表 の更年期症状40 項 目は,本来項 目ごとの点数 の変 化か ら治療効果等 を判定す るものであ り,40 項 目の合 計点を更年期症状の重症度の指標 とす るものではない.
しか し本研究では,40 項 目の合計点を もとに更年期症 状 に影響す ると考 え られる生活体験上 の因子の分析 を 表 3 4 0 項目の合計点と21 因子の重回帰分析
t 値 F 値 P 値
経 前 中
経 経
年 B 病 職 月 月 月 つ 症 症
状 快 決
不 不 の わ の の 齢 Ⅰ 気 業 態 状 状
‑0 . 7 81 2 6 2 . 0 6 1 4 3 1
‑2 . 5 3 8 7 6 2 . 0 61 0 2 1 . 0 8 7 6 8 7 1 . 9 1 5 8 7 1 2 . 6 8 8 4 7 り ‑0 . 1 7 8 4 6 マ タ ニ テ ィ ・ ブ ル ー ズ
家 事 負 担 感
子 育 て 負 担 感
パートナーとのコミュニケーションに対する満足感
に 活 談 卜 豆 製
生 相 ス 大 乳 運 趣 喫 飲 対 相 レ 製 品 る す 八 手 満 足 感
の 有 無
ス の 有 無
品 の 摂 取
の 摂 取
4 . 3 4 6 7 0 9
‑2 . 7 9 5 1 1
‑ 1 . 7 2 6 3 7
‑0 . 0 3 8 1 7 2 . 0 3 81 0 6 0 . 5 1 3 8 3 9
‑4. 4 3 8 2 9 0 . 8 91 0 2 2
‑0 . 6 5 6 7 7 動 1 . 1 8 1 6 7 2 味 1 . 7 5 7 8 5 6 煙 0 . 2 5 4 6 1 酒 0 . 5 7 5 7 1 7
0. 61 0 3 6 2 0 . 4 3 5 01 5 4. 2 4 9 4 9 7
6. 4 4 5 3 2 6 4. 2 4 7 8 0 4
1 . 1 8 3 0 6 2 0 . 2 7 7 2 4 8 3. 6 7 0 5 6 3 0 . 0 5 5 9 41 7 . 2 2 7 8 7 3
0. 0 3 1 8 4 7 0 . 8 5 8 4 3 4 1 8 . 8 9 3 8 8
7 . 81 2 6 3 7
2 . 9 8 0 3 4 4 0 . 0 8 4 8 8 8 0. 0 01 4 5 7 0. 9 6 9 5 6 4 4. 1 5 3 8 7 6
0. 2 6 4 0 3 ユ9. 6 9 8 4 1 0 . 7 9 3 9 2 1 0. 4 3 1 3 4 9 1 . 3 9 6 3 5 3. 0 9 0 0 5 7 0 . 0 6 4 8 2 6 0. 3 3 1 4 5 1
0 . 6 0 7 5 8 8
0. 3 7 3 3 3 8
0 . 5 1 1 6 2 4
0. 2 3 7 8 8 7
0 . 0 7 9 3 7 3
0. 7 9 9 1 2 7
0 . 5 6 5 0 61
渡遥竹美/更年期女性の生活体験 と愁訴 との関連
試みた. この点 については, 4 0 項 目の合計点が更年期 症状 の重症度 の指標 とな りうるのか とい う議論 の余地 は残 されているが,現在, 日本で利用で きる問診表 に おいて項 目の独立性 などの評価が終了 しているため, 今回 は慶鷹式 中高年健康維持外来調査表 の 4 0 項 目の合 計点を更年期症状の重症度の指標 として検討を試みた.
分析 の結果,更年期症状 に関連す る生活体験因子 とし て, 「 BMI J 「病気 有 無 」 「仕事 の有無 」 「月経 中 の 不快症状 の既 往 」 「マ タニ テ ィ ・ブル ー ズの既往」
「 家事 に対す る負担感 」 「 現在 の生活 に対す る満足感」
「 現在 ス トレスを感 じている」以上 の 8 因子が抽 出 さ れた.本研究 のように,更年期症状 と生活体験上 の因 子 との関連性 について調査 した報告 は過去 にも散見 さ れ る. Gut hr i e ら 9 ) は, よ り長 い教育 を受 けた場合, 健康 の自覚が良好である場合,処方等 の必要のない薬 の服用が少 ない場合,現在 の喫煙が無 い場合,対人関 係のス トレスが少 ない場合,少な くとも週 1 回の運動 を している場合,慢性的な病気を有す る場合,教育 レ ベルが低 い場合,閉経 に否定的な感情がある場合,更 年 期 症 状 が 少 な い と記 載 して い る. ま た, Av i s
ら l o ,l l )は上記 の因子以外 に離婚の既往,死別,別居な どを記載 している. さ らに本邦で は Takamat s u ら 1 2 ) が,更年期症状で外来 を訪れ る患者 の心理的因子 とし て,患者 の家族や個人 の健康問題 に関す る心配や不安 が最 も一般的 に観察 された と報告 している.以上 の文 献か らは,本人や家族 の健康状態やス トレスなどの要 因が更年期症状の出現や程度 に影響す ることを示 して いる.
今回の研究では,現在の生活 に関与す る因子 として,
「 家事 に対す る負担感 」 「 現在の生活 に対す る満足感」
「 現在 ス トレスを感 じてい る」 これ ら 3 項 目に相関が 認 め られた. また,「 子育て に対す る負担感 」 「 相談相
手 の有無」 は有意水準 には達 していなか ったが,更年 期症状の出現 に関与す る可能性を示 している.以上 の ことか ら,更年期女性の生活体験 と して,身近 に気軽 に相談で きる相手 に乏 しく,家事,仕事,子育てに追 われているとい う状況が推測 され る.同時に更年期 に おける不快 な症状が,実際の生活 に も大 きなス トレス 要因 として修飾 され ることによ り悪循環 に陥 っている
ことも予測 され る.
一方で今回の検討では,現在の月経 の状況 と更年期 症状 との間に関連が認 め られなか った.月経周期 の有 無 は卵巣機能 に直結 してお り,血中のエス トロゲ ン ・
レベルとも相関 してお り, エス トロゲ ンの低下 は, ほ て りなどの血管運動神経症状 の発症 に関わ ることは周 知 の事実であ る2 ) . したが って,今回の結果か らは, 一般論 として,女性 の更年期症状の背景 には,内分泌
秋田大学医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 2 号
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