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第二部機械工学教室中島克洋 高 藤 和 樹

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(1)

パーソナルコンピュータによる流体潤滑問題 の有限要素解析

(昭和58年11月29日 原稿受付)

第二部機械工学教室中島克洋

       高   藤   和   樹

Finite Element Analysis of Lubrication Problem

      by Personal Computer

      by Katuhiro NAKASHIMA

       Kazuki TAKAFUJI

Abstract

   The application of 6nite element method to lubrication problem has already been achieved and it shows advantage for analysis of irregular shaped bearing or discontinuous oi161m thickness.

   In this paper, the 6nite element analysis is tried by using personal computer, since there will be

unnecessary so many memories in most cases for calculation of bearing perfbrmance considering rather

simple shape compared with other mechanical parts or structures required to analyze stress or strain by

same method. Also, the composite elements of triangle and rectangle are adopted fbr convenience of

apPlication to any arbitrary shaped bearing.

   The effectiveness and accuracy of present analysis are examined for both in6nitely and血nitely long thrust pad, nd athe results obtained are compared with the results of 6nite di鉦erence method. The

6nite element analysis gives more accurate results than 6nite di鉦erence analysis under conditions of

same mesh, and the bearing perfbrmances of load capacity, now rate, center of pressure and friction force calculated agree approximately with the analytical values in spite of fewer elements.

   As practical test of this analysis, the validity of i面nite short bearing theory and the perfbrmance of sector thrust pad comparing with rectangular pad are investigated. If the ratio of bearing length to width becomes 8:1, then error of the short bearing theory reduces reasonably small one without load capacity. The sector pad having same area and the ratio of length to width is 1:1but varing radius shows about same perfbrmance with rectangular pad when the ratio of radius to width reaches 5:1.

      の部分の取り扱いがはなはだ面倒となる。そのため差分

 1・まえがき      法のプログラムは単純な形状以外のものについては,間

 数値計算法の一つである有限要素法は,構造解析の分  題に応じたものが必要となり,汎用性にとぼしい。

野では今や日常的に使用されるほど普及している。一   一方,有限要素法のプログラムは複雑であるが,一・度 方,非構造分野に対する応用も行なわれており,その  プログラムを完成するとどのような形状,不連続な油膜

うちの一つとして流体潤滑問題への適用も試みられてい  に対しても適用可能である。最近の軸受では静圧利用の る1)2)。      ものにしろ,動圧利用のものにしろ,性能向上や特殊な

 流体潤滑問題の数値解としては,従来差分法がよく用  要求を満足させるため,複雑な構造のものも多くなって

いられている。差分法の計算機プログラムの作製は有限  いる。そのような軸受部の性能解析には有限要素法の方 要素法に比べると一般に容易である。しかし,不定形の  が向いているといえる。

軸受形状や油膜厚さが不連続的に変化する場合には,そ   ところで,流体潤滑問題は軸受等を対象として考える

(2)

と構造解析のように大規模な問題は少ない。そこで,こ こでは近年普及が著しいパーソナルコンピュータを用い

る流体潤滑問題の有限要素解析を試みた。実際の問題に       〃 おいても,パーソナルコンピュータ程度で間にあうもの

は多いと考えられる。

       へ

 完成した有限要素解析プログラムを無限幅,有限幅の       元 傾斜平面軸受に適用し,その結果を解析解と比較したり,      

要素分割数等の影響を検討した。有限幅の場合には差分 法の計算結果とも比較した。

 応用として,細長い軸受に適用される短軸受理論の正 確さ,適用可能な幅長比等を調べた。また,矩形スラス

トパッドと扇形スラストパッドの性能の差異と扇形スラ      x ストパッドが矩形スラストパッドと取り扱ってもよい寸         図一1三角形要素分割

法を明らかにした。

ぽ体㈱題に対する有限要素解析  乃一±rl1司;㍑t

      c   CJ  CA  2.1.基 礎 式

       ただしα ,6 ,c6……は  流体潤滑に適用されるレイノルズ方程式は次式であら

わされる。       α ニX」九一X為乃

☆(乃3 ∂ρ6η ∂x)+島(書紛喋一2λ一・ ll:㌶

      (1)  である。

ただし,  力:油膜厚さ  η:潤滑油粘度

      ρ:流体膜圧力 σ:すべり速度      また・4は三角形の面積である・

カノ

乃丘

各節鑑㌶を__と掌;1κ嶋巴

と隷内圧九油膜厚さは次式で求められる。    b・6・+c・ ・励協6・6・+・…

(5)

    柵部+2λρ]W畦鋼・ (2)汎関数澗する要素の寄鞠を{クPで微分すると

       ∂z

ただし,gは境界C上の単位流量である。       万

叉燃き≧1)㌶…享㌘:(麟器一一聯胡一{ρ}.(6)

関数から変分極値原理によって圧加を求めることは・  蓋

レイノルズ方程式を解くことと等価である。

      ここで

燃餐i藷欝三灘曇i酷{ρ ク」ρ此}   の

されるとする。

ρ一☆llxyl αξ α」  α此

b  6ノ 玩

CJ  CJ  C丘

ρ

ρ」     (4)

ク永

b」6ε+らC 6」63+C」C」b」b丘+C」C瓦 6克b 十c此c b鳶6」十c為らbよ6k十c漁

∫∫が4Wは醸齢表・・より

(8)

(3)

∫∫が4w=岳(研励・+み…乃・+乃・形     炉x +誓+x粂

      +んか玩+ん酩+房+形玩        (4) 摩擦力

      +励1+励       (9)  F=一Σ∫∫(半+』一嘉)4w

       6ξ

{F}・一σ(乃、+乃」+乃丘 @ 6)6・     (10)  =一Σ{乃、』 浩、+☆

       b庇

田}

4

3

4

3

4

3

       (● ρξ十bJρ」十●此ρ鳶)(乃 十乃」十み鳶)}(16)

     2.3.プログラム

(11)   前節で述べた流体潤滑の有限要素法解析にパーソナル      コンピュータを使用してみることにした。それは,最近

    のパーソナルコンピュータの普及により,手軽に使用で

式(6)をすべての要素について求め,要素の合成を行うこ  きること,また流体潤滑問題についてはパーソナルコン

とにより最終方程式がえられ,その連立一次方程式を解  ピュータ程度で十分間にあう場合が多いと思われるから

くことによって節点圧力ρが求められる。このとき圧  である。プログラムにあたり考慮したのは次の3点であ 力ρは未知でも,流量の出入のない境界を考えると,  る。

最終方程式の0の項は0となる。       (1) パーソナルコンピュータのメモリ上の制限,計

2.2.諸特性値の計算      算時間の短縮を考え,全体のマトリックスはバンドマト

 各節点圧力ρが求まると負荷容量,流量,圧力中心,  リックスとして記憶し解くようにした。ただし,本解析 摩擦力等が次の式によって求められる。        を動圧,静圧,そしてハイブリッド軸受に対しても適用

(1)負荷容量       しようとすると,マトリックスに対称性のない場合もあ P一Σ∫∫輌一Σ(、ρ +ρ」+ク鳶   3)・4(12)㌫驚バンド幅は構造解析時等とは違つて全幅を

(2) 流量       (2) 少ない節点数で精度よい結果をうるため,基本   ∫ρ}=叫Kl{ρ}+{F}+{H}       (13)  の要素としては四辺形要素を用いることにした4)。これ

の関係があるから,流量は求めたい境界上の各節点にお  は四辺形の内部に第5の節点を仮想し,四辺形を四つの

ける流量を上式から求め・それを境界全体について和を  三角形要素に分割したものとして処理するもので,同一 とればよい。       節点数の三角形要素に比べかなり精度のよい結果のえら

(3)圧力中心分置       れることが確認されている。

 要素の重心からその要素における圧力中心までの距離   (3) 四辺形要素だけでは,複雑な形状をあらわすの

を元とすると      に無理がでてくる。そこで,そのようなときには三角形   ρ・+苧・・4・元一∫∫岬吻    要素も混合して用いることができるよう}こした・

      図2は作製したプログラムのフローチャートである。

この式より

       .     入力データは節点数,節点座標,油膜厚さ,境界条件,

      x〜十x多十κ1

       流量を計算する軸受辺等の値である。複雑な形状では,

  −     l

  x=8(ρi十ρ」十ρ)μ耐x 、切,  各節点座標は一つ一つ臆することになる力騨純な形

      b、6」b丘 ρ、     状では,節点数,分割数等の入力により自動的に各デー       ρ」 (14)  タは用意される。サブルーチンBWはバンド幅を求め       c茸C」 臼  仇      る部分である。サブルーチンFMDは図3に示すごとく,

全体での圧力中心位置叉は       要素の形状を判断し,各要素についての要素マトリック

  、一Σ当+: 4 (元十XG)   (15):叢鑑㌶鷺㌻三㌻驚;ぷ嘉二‡

ただし       計算したり軸受辺の節点における係数データを保存して

(4)

START

ロ点圧力

NO

ヲ?

@ YES

データ読み込み

ォ界条件

ャ量計算節点等 節点圧力表示

BW

負荷容量P流量Q圧力中心位置天

?C力F等計算

FMD

入力データ及びP.Q天. F.等の印刷

HOZON

ロ点圧力

NO

o刷?

YES

BC

節点圧力印刷

DECOMP

rOLVER STOP

SUB FMD

ロ点圧力  NO       I=1,NE(要素数)

要素の種類 四辺形要素

三角形要素

三角形要素に関

するマトリック スの計算

四辺形要素の 重心の計算

四辺形要素内の三 角形要素のマトリ ックスの計算

四辺形要素に関 するマトリック スの計算

バンドマトリック スに系全体マトリ ックスを組立

STop      RETURN

図一3サプルーチンFMD

        図一2 フローチャート

      η=1 σ=1 ぬo=1 /21=2

おくためのルーチンである.サブルーチンBCは境界   B=4 L=

条件処理の部分,サブルーチンDECOMP・SOLVERは

ガウスの消去法によって各節点圧力を求める部分である。  ペ       ミ 各節点圧力が求まると全負荷容量君流量ρ,圧力中心

位置X摩擦力Fを各々計算し,表示,印刷できるよう      σ にしている。

3.計算結果例

 2で述べた流体潤滑問題に対する有限要素解析の正

しさを確認するために無限幅傾斜平面軸受および有限幅

傾斜平面軸受に同解析法を適用した・使用したパーソナ   図.4無臨傾斜平面軸受

ルコンピュータはNEC−9800, RAM容量は384 Kバイ

トである・計算はすべて単繊(7桁)で行った・  図5は,すべり方向の要素分割数を変えて得られた軸

訂無限幅傾斜平面軸受     受性能値と鞠値・・との誤差を示し抽のである.分

計算に使用した願平面軸受の寸法は図4}・示す・負割数が増すにつれ,計鮪{ま理縮に収束している.負

荷容量等の軸受諸性能値は・単位敵ついて計算した.荷額の誤差澱も大きいが,それでも分割数1。以上で

(5)

ξ 己

巴 よ

δ

ξ 辻 己

0.02

0

メミー0.02 這

 一〇.04

ミ ー0.06

0

一〇.08

  Q−Q仇       η=1 乙1=1 1Zo=1 》21=2

   鋤 分割数M      B=π L=πc=α、一乃。)/B

51015202530

当課・望三

F_F,力    κ/8:圧力中心位置      σ  F仇     F:摩擦力

1)仇=2.5421 Q仇・=0.6667

(三ご/B)zん=0.5687

F仇=3.094

 むコユむ

図与 分割数による解の収束性(無限幅)     」」

誤差は1%以下となっている。

 計算時間はプログラムによって変るが,この場合には 分割数5,10,30でそれぞれ18,28,87秒であった。

 3.2.有限幅傾斜平面軸受

 有限幅の軸受寸法は,ミッチェル6)によって解析解 のえられている図6に示す幅×長さがπ×πなるもの

について計算した。圧力分布は幅方向に対称であり,幅

      _       〃 図一6 有限幅傾斜平面軸受 中央で流量の出入がないことから半幅について計算し,

その結果から軸受全体の性能値を求めた。        両辺の和である。負荷容量.PC2/η〃と側流量をのぞい

 表1は,すべり方向の分割数M,幅方向の分割Nを  た諸性能値は,無限幅軸受のときと同様に分割数が少な

変えたときの軸受諸性能値を示す。比較のため同一分割  いときでもかなり正確な値がでているといえる。

数の差分法でえられた結果も示している。側流量は左右   図7は,ミッチェルの解析解を基準としたときの負荷

之N\→

8/λZ   B

表一1軸受性能に与える分割数の影響(有限要素法,差分法)

分割数 2×4 3×6 4×8

5×10 6×12 7×14 8×16 9×18

10×20 15×30 Michel1

PC2/ηU

0.1964 0.2075 0.2118 0.2139 0.2150 0.2157 0.2161 0.2165 0.2167 0.2172 0,209 ア/B 0.5672 0.5748 0.5778 0.5793 0.5801 0.5806 0.5809 0.5812 0.5813 0.5817 0,580

F

7.1433 7.1643 7.1722 7.1760 7.1781 7.1794 7.1802 7.1808 7.1812 7.1821

有限要素法

入口

2.6144 2.6338 2.6417 2.6457 2.6480 2.6495 2.6505 2.6512 2.6517 2.6530

流量

0.4810 0.5711 0.6204 0.6514 0.6729 0.6886 0.7006 0.7100 0.7177 0.7412

出口

1.9114 1.8876 1.8781 1.8734 1.8706 1.8689 1.8677 1.8669 1.8663 1.8647

PC2/ηU

0.1708 0.1951 0.2045 0.2091 0.2117 0.2132 0.2142 0.2150 0.2155 0.2166 三/B 0.5569 0.5701 0.5751 0.5775 0.5789 0.5797 0.5802 0.5806 0.5808 0.5815

F

5.5921 6.3623 6.7176 6.9153 7.0390 7.1228 7.1829 7.2280 7.2629 7.3610

差分法

入口

2.7724 2.7297 2.7097 2.6981 2.6905 2.6852 2.6813 2.6782 2.6757 2.6687

流量

0.4398 0.5471 0.6047 0.6404 0.6644 0.6820 0.6953 0.7057 0.7140 0.7391

出口

1.6688 1.7135 1.7423 1.7619 1.7762 1.7870 1.7954 1.8021 1.8076 1.8250

L/B=π/π

(6)

L

c

ξ

1

0.05

0

叫 一〇.05

ξ

一〇.10

一〇.15

5      10    15     20     25     30

      分割数M(N一劉     有限要素法とル臨舵11との誤差

    差分法とMπ舵11との誤差         \        込

1

B=π L=π

      0

      0      1

_0.20       κ/B

図一7 分割数による解の収束性(有限幅)        図一8 有限幅傾斜平面軸受の油膜圧力分布

NOO.O う

潤wo

一〇〇.O wo『o 崎o『⇔ Φo『o 卜ooo

昏8 N O

ll

容量計算値の誤差を示すものである。計算値は分割数が  ものと思われる。

増すにつれ一定の値に収束してゆく。しかし,ミッチェ   表2は軸受の幅長比を変えて,負荷容量,圧力中心位 ルの解析解より3.8%ほど大きめの値に収束している。  置を計算し,ミッチェルやマーチンらの解析解7)と比

これは,ミッチェルの計算では油膜圧力を級数で表した  較したものである。分割数N×1V=5×10程度であるが,

際,高次の項を打ち切っているためと思われる。有限要  解析解に十分近い値がえられている。どの幅長比の場合 素法と差分法による値は同一の値に収束していることか  についても両者の違いは±2.3%以内にある。

ら,有限要素法,差分法の結果が正確な値と思われる。

有限要素法と差分法を比較すると,同一分割数において   4・有限要素解析の応用

は有限要素法の方がより正確な値がえられている。同じ   著者の一人は,以前に動圧ねじを開発した8)。その動 ことが表1に示している他の値についてもいえる。    圧ねじの性能の解析に際し,ねじ面をスラスト軸受とみ

 図8はN×M−10×20の場合にえられた油膜圧力の  なし,幅に比べ長さが極端に長いことから短軸受理論を

等圧線である。この圧力分布はミッチェルの得ているも  適用した。またそのときスラストパッド形状は扇形とし

のとほとんど同一である。      て計算したが,計算の簡単化ということからは矩形パッ  表1で流量について注意すると,入口流量一出口流量  ドの方が扱いやすい。そこで,ここではまず幅長比と短

+側流量であるべきところが,要素分割数が少ないとき  軸受理論の有効性の関係を検討してみることにした。次 ほどその差が大きい。これは有限要素法,差分法の結果  に扇形パッドの半径と軸受幅の比を変えて軸受性能を計

とも同じである。入口流量,出口流量は分割数によって  算し,矩形パッドとの相違を調べた。

大きな影響を受けていないが,側流量が変化している。   4.1.短軸受理論の有効性

流量は圧力勾配が関係しているが,すべり方向と直角方   軸受幅Lに比べ軸受長さ8が非常に長い場合,すな

向の圧力勾配は分割数が大きい方がより正確に出ている  わちL《みのときは,式(1)のレイノルズ方程式において

表一2 幅長比の影響

L/B

◎◎

π/0.6 π/1 π/π π/3π

Michell

lartin

PC2/ηU 0,499 0,436 0,398 0,209 0,046

元/8 0.5687 0,580 0,610

有限要素法

@ 5×10

PC2/ηU

0.4931 0.4285 0.3935 0.2139 0.04656 ア/B 0.5666 0.5687 0.5698 0.5793 0.6093

(7)

∂P/∂X《∂P/∂γと見なせる。このとき油膜形状乃はX

のみの関数とし・スクイズ効果を考えないと・式(1)は次 』 式となる。      1

       め

舌(が 4ρ6η 4y)一喋   (17)㎏

式⑰を軸受中央すなわちy=0で4ρ/4y=α軸受辺部     §

      

y−±L/2でρ一・の条件のもとで解くと・圧力分布ρ ぼ

      は次式のようになる。      1        =       渤      臼

ρ一3η〃妄(プー一♀)  (18) 這

式⑱より負荷櫨などの軸受性能が計算される・この短 §

軸受理論による圧力分布は,有限要素法で計算されるも    民

       1

のとは明らかに違うが,軸受性能の計算は簡単である。    ぱ

§

㎏0.7

0.6

 0.5

』。.、

§。.3

0.2

 0.1

§

  0    10   20   30   40   50   60   70

        B/L

そこで短軸受理論による計算結果を有限要素法の結果と  図_9 短軸受理論値と有限要素法による計算値との誤差 比較し,短軸受理論の有効性を検討してみる。

 表3は矩形パッドの長さと幅の比β/Lを1から64ま  限要素法で得られた値に近づいてゆく。B/L=8では負 で変えて,短軸受理論と有限要素法によって各種軸受性  荷容量にまだ12%ほどの誤差があるが,圧力中心位置は

能値を計算した結果をまとめたものである。短軸受理論  3.5%,摩擦力はわずか0.4%程度の誤差になっている。

で計算された負荷容量P,圧力中心元/β,摩擦力Fは有  計算の簡単な短軸受理論でも,β/Lがある程度以上大き

限要素法からえられた値より大きい。      くなるとかなりの程度正しい値に近いものがえられてい

 図9は有限要素法によってえられた値を基準としたと  るといえる。

きの短軸受理論計算値との誤差を示すものである。短軸   次に流量について表3を見ると,入ロ,出口側では,

受理論による値はB/Lが小さいとき大きな誤差となっ  B/L≧8では有限要素法と短軸受理論結果はよい一致を てあらわれるが,B/Lが増すにつれ誤差は急速に減り有  示している。しかし,側流についてはβ/L≧8でも両者

表一3軸受性能に与える幅長比の影響

B/L 1

2 4

8 16 32 64 負荷容量P

0.1875 0.1875 0.1875 0.1875 0.1875 0.1875 0.1875

圧力中心

ハ置元/β

0.6667 0.6667 0.6667 0.6667 0.6667 0.6667 0.6667

単軸受理論計算値

摩擦力F

0.9744 1.5270 2.8429 5.5803 11,108 22,190 44,366 入口 0.7500 0.9375 0.9844 0.9961 0.9990 0.9993 0.9999

流量

0.5000 0.5000 0.5000 0.5000 0.5000 0.5000 0.5000 出口 0.3750 0.4688 0.4922 0.4980 0.4995 0.4999 0.5000

負荷容量P

0.0681 0.1155 0.1473 0.1656 0.1756 0.1787 0.1834 圧力中心

ハ置π/B 0.5793 0.6004 0.6249 0.6434 0.6546 0.6606 0.6636

有限要素法

摩擦力F

0.7271 1.4151 2.7910 5.5556 11,096 22,184 44,363

入口 0.8421 0.9217 0.9632 0.9822 0.9912 0.9955 0.9974

流量

0.2073 0.3202 0.3849 0.4172 0.4335 0.4087 0.4332 出口 0.5963 0.5574 0.5313 0.5164 0.5084 0.5044 0.5025

(8)

にかなりの差が見られる。しかし,鋭2で述べたよう  なわち扇形パッド径が変化しても,パッド面積は一定と に有限要素法による側流は分割数によって不正確になる  なるような条件下で計算した。油膜厚さ乃はθのみの

から注意を要する。       関数とし,どの半径位置においてもカ=ん+(力1一乃o)

 4.2.矩形パッドと扇形パッドの比較         (1一θ/θ。)であらわせるものとした。扇形パッドでは幅  扇形パッドの外半径と軸受幅の比を変えて軸受性能を  の中央で流量の出入がないとはいえないので,矩形パッ

計算し,矩形パッドの性能と比較してみる。    ドのときと違って全幅について計算を行った。また,圧

 計算に採用した扇形パッドの形状を図10に示す。軸受  力中心位置すなわち軸受側のピボット位置に相当すると

幅Lと幅中央における円周長さβは3.2で計算した ころも,幅の中央にくるとは限らないので圧力中心位置

ミッチェル形パッドの寸法と同じくπ×πとした。す は円周方向だけではなく半径方向についても求めた。摩

       擦力としては軸受幅中央における円周方向の力を計算し        た。

      ぺ

       1.5のときの油膜圧力分布を示すものである。最大圧力       ぬ=ぬ。+(ゐ、_煽(1_θ/の      値は図8に示した矩形パッドと同じ程度であるが,その        位置は幅中央よりやや外径側にずれている。

       σ       表4はRo/Lを1.5から20まで変えて,軸受諸性能値

       を計算した結果である。表中には比較のため矩形R。/L        圧力中心位置        =。。)に対する結果と参考までに差分法で計算した扇形

,/ A、 @       R/レ1・5B=・∠ミ

  σ       」→       6

入口      出口

η=1 σ=1 乃o=1 ん1=2 β=αb=π L=π 三=θ /θo y=L /L

図一10扇形パッド      図一11扇形パッドの油膜圧力分布 表r4有限要素法で計算した扇形のパッドの諸性能

R。/L

摩擦力  F 圧力中心位置

流   量   Q

負荷容量

oC2/ηU

入 口

内周側 外周側

出 口

差分法で

v算した

oC2/ηU

1.5

0.2106 8.6513 0.5828 0.5365 2.6335 0.1618 0.4835 1.8715 0.2053

2 0.2124 7.8216 0.5809 0.5248 2.6402 0.2168 0.4318 1.8726 0.2075 3 0.2133 7.4063 0.5798 0.5149 2.6437 0.2606 0.3898 1.8731 0.2086 5 0.2137 7.2468 0.5795 0.5082 2.6451 0.2897 0.3615 1.8733 0.2089

10

0.2138 7.1918 0.5793 0.5033 2.6455 0.3087 0.3427 1.8733 0.2091 15 0.2138 7.1828 0.5793 0.5010 2.6456 0.3146 0.3368 1.8733 0.2091

20

0.2138 7.1798 0.5793 0.4990 2.6456 0.3174 0.3340 1.8733 0.2091

◎。矩形 0.2139 7.1760 0.5793 0.5000 2.6457 0.3257 0.3257 1.8734 0.2091

分割数 N×M=10×10

(9)

パッドの負荷容量を示している。各性能値はR。/Lが  R。/Lが大きくなるにつれ内周側,外周側流量の差は小

大きくなるにつれ矩形のときの値に近づいている。負荷  さくなるが,Ro/L=20でもまだ流量差がある。

容量の値はR。/Lが小さくても,矩形のときの値より   表4全体より,R。/L≧5では内・外周の側流量をの

ごくわずか小さいだけである。       ぞいては,矩形パッドとして計算しても大きな誤差はな  図12は矩形パッドの負荷容量,摩擦力を基準としたと  いといえる。

きの扇形パッドの負荷容量,摩擦力との違いをR。/Lに

対して宗したものである.R。/L−5で負荷容量{ま・.1% 蕊むすび

以下,摩擦力は1%の誤差となる。      流体潤滑問題に適用できる有限要素法解析プログラム  表4で半径方向の圧力中心位置は,図11の圧力分布か  をつくり,パーソナルコンピュータによって計算を試み

らも予想できるようにR。/Lが小さいほど外周側にず  た。

れている。また,円周方向の圧力中心位置もいくぶん後   無限幅,有限幅スラスト軸受に対する適用から,少な 方にずれている。流量は入口,出口では矩形とほとん  い要素分割でも十分な精度で軸受諸性能値を計算できた。

ど変らないが,側流については外径側の方が大きい。  また,ここで採用した要素内の影響も考えた四辺形要素

      によると,同一分割数の差分法より正確な値がえられた。

     0.25      応用として,短軸受理論の正確さと扇形スラストパッ

     0.20      ドの性能をとりあげたところ,短軸受理論でえられる値

 ぜ,

      は長さと幅の比が8以上の場合,負荷容量を除いてかな  1[輪  0.15

 ㎏       り正しい値に近いこと,軸受幅と幅中央における円周方      0 10       向長さとの比が1:1である扇形パッドについては外半      o.05       径と軸受幅の比が5以上のとき,内・外周の流量をのぞ       くと,ほとんど矩形パッドの性能と差がないことがわ       0

       ・ 5 1°R。/Ll5 2° かった。

      0

参 考 文 献

   一〇・005       1)M.M. REDDI, Trans. of ASME, F,91−3(1969)524・

      2)和田・林・右田,日本機械学会論文集,37−295(昭46−3)

      583.

張一。.。1。       3)醗三麺工欄G・(1969)199

民      4)杉田,トヨタ技報,13−3(1972),10・

      5)A.CAMERON, BASIC LUBRICATION THEORY

      2nd ed. JOHN WILEY&SONS(1976)

   −0.015       6)A.G. M. Miche11, Zeitschrift f6r Mathematik und       Physik,52−2 (1905)123.

      7)例えば曽田,軸受,岩波書店(1964)P・47・

      8)坂本・中島・中村,日本機械学会論文集42−364(昭51−12)

   −0.020

図一12扇形パッドの負荷容量,摩擦力に与えるRo/L   4017

   の影響

参照

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