九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
純氷の破壊じん性値に及ぼす負荷速度・試験温度お よび結晶軸方位の影響
内田, 武
https://doi.org/10.11501/3065583
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
3. 5 破壊じん性値のバラツキとJ法効果
本研究で使用した氷試験片の結品粒径は l----lOmm程度のものを含むの が普通であって, 切欠き先端に存在する結品粒数は一般金属材料の場合
と比較するとかなり少ない. その上, 切欠き先端にある各結晶の結晶軸
方位ならびに結晶粒界の位置は個々の氷試験片で異なっており, 特に寸 法の小さな試験片ではそれが顕著である. この事が, 実験により得られ
る破壊じん性値のバラツキの原因の一つになっている. ここでは, 破壊
じん性値に及ぼす負荷速度の影響がほとんど認められない, 負荷速度が
IOOkPaJ而/5以上の高負荷速度領域での結果について, 破壊じん性値のバ
ラツキとその寸法効果について検討する ここで言う寸法効果とは, 氷
試験片の厚さでみた効果である.
�3.11(a)は, 25 x 25mmLG 1試験片における試験温度一lOOC, 負荷速度氏I
二178kPaJ而/5 の試験条件で得られた破壊じん性値をワイブルプロ ッ卜し
たものである. これによると, Kc値は 76kPaJ而から182kPaJ而までばらつ
いており, 得られたデータは二本の直線で近似できることがわかる. こ
の場合の破壊じん性値の算術平均値は 105kPaJ而, 中央値は93.5kPaJ市で
あった. 一方, 図3.11(b)に50x 50mmLGI試験片での結果を示しているが,
先ほどの 25x 25mmLGI試験片の場合よりバラツキが小さくなりデータは
本の直線により近似できていることがわかる. この場合の破壊じん性 値の算術平均値は86.2kPaJffi, 中央値は83.8kPaJ而であった. なお, この
ようなデータのバラツキは, 負荷速度の低下と共に大きくなるのは先述
の通りである.
64
試験),-厚さが大きくなると, 切欠き底に存在する欠陥数がよ首加するた め, 個々の試験片における故弱音I�での破壊じん性値は低くなると考えら れ, このことが試験片寸法の大型化によるKc仙の低下と/くラツキの減少
を導いている. この考えは, 広く “最弱リンク説" (5 7 ). (5 8 ) として知
られている. ここでは, その試験片寸法による影響を最弱リンク説に従
って統計的に検討した結果について述べる. これには, 内部に欠陥が分
布した平滑試験片の強度分布についての手法(5 6 )をき裂先焔の線上に欠 陥が分布している場合の強度問題に置き換えて適用すればよい.
まず, 切欠き底に存在し得る欠陥の破壊じん性値xの分布がワイブル
分布に従うとすると, 分布関数Fo(x)は次式で表される.
Fo(x) = 1 - exp (- ( x - C a
b ( 3. 1)
ここで a は形状母数 bはパj支母数 c は位置!手数である また, 切
欠き底の単位長さ当りの欠陥の数をαとすると, 切欠き先端部の長さB の聞に存在する欠陥数はα Bである. そして, xの母集団の中から任意 に選んだαB個のxの内の最小値の分布が, 試験片の破壊じん性値Kcの
分布関数となる. この最小値の分布関数は次式(2 6 ). (5 6 )で与えられる.
Fs(x) = 1 一 {l - Fo(x)}
s = αB
65
( 3. 2)
Fj(x) = 1 - {1 Fo(x)}
( 3. 3)
1 = αBI
ここで, Fs(x) , F1(x)は小形, 大型それぞれの個々の試験片のき裂先端
部の線上に並んでいる欠陥部の強度の最小値の分布関数, すなわち試験 片の破壊じん性値の分布関数である B s およびBIは, それぞれ 小型,
大型試験片のき裂先端部の長さ , すなわち試験片の厚さの寸法である.
式(3. 2)と(3. 3)から, Fo(x)を消去すると次式が得られる
BI/Bs
F1(x) = 1 - {l - Fs(x)} ( 3. 4)
この式 は小型, 大型試験片の破壊じん性値Kc ( == x )の 分布関数の換算
式 である.
図3.12は, 寸法効果の例としてccrの50x50mm試験片(試験片 厚さ 50
mm)および200x 50mm試験片(試験片厚さ200mm) で得られた破壊じん性 値を示しており, それぞれ を式(3. 4)で示した小型試験片および大型試験
片 として取り扱う. また, 実線は50x 50mm試験片の試験データを直線に
より近似した破壊確率分布関数であり, 破線は式(3. 4)によって 計算した 200 x 50mm試験片の破壊確率関数である. これ によると , 200x 50mmCCI試
験片の実験結果は高Kc値域では計算値とほぼ一致して いるが, 低Kc値域
66
では一致しておらず実験値の方が高い値となっている. これは次節の破 断面観察でも述べるが, き裂発生についての破断面レプリカの調査およ
び試験I� Iの観察からみると, 200 x 50mm試験日ー の場介切欠き先焔に先生し
た l個のき裂が試験片の最終破 断に到るのではなく, 複数個の部分的破 壊のき裂が発生した後最終破断に到っており, このことがKc値の最小値 を引き上げた原因と考えられる この点からみても, 今の場合, 最弱リ
ンク説はそのままでは適用し難し1
67
nS e
j m
一m kmh
勾m
k にJFしQU Tiフ』0ワ'
|」 Ghω斗 勺''ι -・μ円 99.9
99
70 50 30
10 5 3 90 LL
φ」コザυの」←←。
\ご一-一心の心O」止
、、。
。
0.5
150 200 300 0.2 100
50
kPal而 Kc
25x25mm試験片の場合
(a)
しG.I. specimen 50x50 mm
-100(
K=884kPal市Is 70
50
10 5 3 99.9 99
30 90
、、、。
。
1J_
φLコ
ザυのよヤO
\ハザ一一一心の心O」仏
0.5
0.2 50 100 150 200 300
kPaJ而 Kc
ト
50 x 50mm試験片の場合
LGI試験片の破壊じん性値のワイブルプロ ッ
68
、、,ノ、hufk
図3. 1 1
Ol50x50mm
一一一 I Experiment
・; 200x50mm Experiment 一一一:200x50mm
Calculated
C.G.I. specim en -100C
K主200 - 5000 kP副市/s
99.9 99
5 3 70
50 30 90
10
0.5
坤ー。
、C一一一心 の心O」仏 LL
。」コ一←υ
の」ヤ
100 150 200 kPaゾ而
Kc 0.2
50
破壊じん性値の寸法効果
69 図3. 12
3. 6 破断面観察
50 x 50mmCGI試験片 1 2例から得られた, 破断面のマクロレプリカと切 欠き先端直下部分での薄片偏光写真よりき裂発生状況を調べた. これら の試験片は, 負何述皮肉坦233kPaJ而/ Sで行ったものであり, 得られた破 壊じん性値は最大値95.3kPaJ而, 中央値89.6kPaJ而, 最小値78.3kPaJ而 であった. これによると, 1 2個の試験片の内11個は切欠き先端と結晶粒 界の交点から結晶粒内に向かつて貫粒型のき裂が発生しており, き裂発 生点のごく近傍でのき裂の進行方向は切欠き面に平行ではないのが普通 であり, これは発生点に接した結晶粒子のへき界面に沿ってき裂が進展 したものと考えられる. 残りのl個だけは粒界型のき裂が生じており,
この試験片の場合は氷結品主軸( c車111 )の方位が異なる2個の結品粒聞 の粒界 I幅約4mmがほぼ完全に切欠き底の線上にあった. また, 図3.1 3 の模式図に示すように柱状結晶の粒界面に沿った帯状の粒界破面(図の
C部分〉が, 長さ約14mmにわたって生じており, それから先は粒内破面 となっていた. このような粒界破面は粒界面に沿ったなだらかな起伏の あるきわめて滑らかな而であって, 観察に用いた倍率10倍程度の拡大鋭 ではき裂進展の跡を見いだすことが困難なため, 他の�皮面とは比較的容 易に識別ができる. また, 他の場合にはき裂の発生点が明瞭であったの に対し, この粒界破面の場合は切欠き底に沿った約4 mm幅の中でどの位
置が発生点であるかは識別ができなかった. 結品粒界が切欠き底の線上 に一致したケースはこれ以外でもみられたが, 最初のき裂の発生はそこ からは生じていなかった. このように, き裂の発生は単に切欠き先端に
70
存在する結晶粒子の結晶車111方位だけではなく, 結ー品粒JNの仔在とおそら くはその位置などにも支配されているようである
氷試験片は透明なので切欠き先端付近を注意深く制察していると, 低 負荷速度領域での試験においては, 全面的な破壊の前段階において切欠 き先端付近での部分的な破壊のき裂が発生するのが目祝できることがあ る. このき裂は, 結晶粒wから先生して粒界をはさむ2つの結品粒チの内 の一つもしくは両方の結晶粒子の幅いっぱいに広がって停留したもので あって, 深さは3'"'"' 5 mm程度, 観察時の負荷荷重は最終破断荷重の65'"'"' 80
%であった. この現象は, ポッフ0 ・ ィンの一種であると考えられるが,
荷重~時間の記録紙上での荷重低下は検出されなかった
200x 50mmCGI試験片のように, 試験片寸法が大きくなるとポッフo ィ ンはほとんどの試験片で観察されるが, その数は一つではなく複数個発
した後初めて試験片全体が破断した. 一方, 試験片寸法の小さい25x 50mm試験片あるいは50x50mm試験片の場合, ポッフo ィンは目視では観 察されないまま破断することが多かった. なお, ここで述べたような低 負荷速度領域でのポップ ・ イン現象は, 高負荷速度領域においても有り 得るものと思われ, 筆者らが行ったアコースティ ック ・ エミ ッシ ョ ン法 を利用した実験の結果, その存在の可能性が高いことがわかってきた.
このポッフ0・ インの詳細な観察結果は第5章で, またポッフ0 ・ インとア コースティ ック ・ エミ ッシ ョ ンとの関係については第6章で説明する.
71
D
B C
A:切欠き面
B カミソリ刃先端部切欠き面
C :粒界破面
D : Aに平行な破面
図3. 13 粒界破面の模式図
72
図3. 1 5は, 50x50mmLGI試験片で得られた破断面のマクロレプリカの代 表例で, LG 1試験片の場合も基本的にはCGI試験片の場合とほとんど同じ であった.
色々な破断面の内で, 低主l何j主度領域の試験で得られた破断面の場合 も基本的には高�何述度領域での場合のものと大きなぷはなく, 破断面 の凹凸の程度が幾分大きくなる傾向がみられた. この中で, 比較的高い 破壊じん性値で破断した試験片では, き裂が切欠き先端の線に沿って進
展せず, 小高い丘陵面を形成するように進展し特徴のある破断面を示す 場合がしばしば見受けられた. これは, 筆者らが “丘陵型破断面" (26 )
と呼んでいるもので, 図3. 1 6はその代表例を, 図3. 1 7にはその模式図を 示している. 図の切欠き底の中央付近で発生したき裂は, その左右では 切欠き底を伝播せずに丘陵回を形成しながら矢印方向に進行している.
また, 丘陵の頂上から両側の麓方向に広がったき裂の内, 片方のき裂は 切欠き面へと抜けている. 丘陵の上部はきわめて滑らかであって, 余程 注意深く観察しないと拡大鏡を用いてもき裂進展の痕跡を見いだすこと が難しい場合が多かった. また, 結晶粒界も他の破断面のように鋭い断 差などがなく比較的平担で, なだらかな起伏として認められる泣反であ った. なお, この丘陵は低負荷速度領域ほど, また破壊じん性値の大き いほど高い傾向にあった.
このような丘陵型破断面が認められた結晶について, 結晶軸方位を調 べてみると, その起点にある結晶の主軸は切欠き先端直下部分の水平断 面のほぼ面内にあり, 切欠き先端の線と600 '"" 90。 の角度をなすのがほ
74
破断面のマクロレプリカの例について, 図3. 14に CGr試験片の場合を 示す. 同図(a) , (b)および(c)は, それぞれ 25x 50mm試験片, 50x50mm 試験片および200x 50mm試験片における代表例である. 同図(b)で切欠き
町にみられる断差は, カミソリ刃抜取りの際の滞刃ノコギリによる切込
みの跡であり, 同図(c )の場合はカミソリ刃に5長り付けたビニルシートの
跡である. 図中の矢印は観察されたき裂発生点を示しており, 25x50mm
試験片の場合は全てが切欠き先端の一点から, 50x50mm試験片の場合は
ほとんどのものが切欠き先端の一点(一部で複数点) から, 200x50mm 試験片の場合は全てが切欠き先端の複数点から発生していた. 発生した
き裂は, 切欠き底に沿って進展しながら方向を変えて行き, 最終的に切
欠き面にほぼ平行な破断面を形造った状況が見られる 200x 50mm試験
片の場合にき裂発生点数が多いのは, 特に試験片サイズの大きな試験片
では, 最弱部に発生したき裂が隣接部分の結品粒子の拘束を受けて, あ る程度の大きさで進展が停止してしまい, それ一点では試験片全体の破
壊にはつながらず, 複数個の同じようなき裂が蓄積してから全面破断に
到るものと考えられる. また, これらの破断面に共通してき裂進展の履
歴を示す横筋がき裂の進展方向と直交して幾筋も認められる. これは,
氷試験片の破壊現象は時間(1なに滑らかな連続的なものではなく, き裂が
進展と停留を繰り返す間欠的な破壊を起こしていることを示すものであ
る. また, 詳細にみるとその横筋はCGr試験片を構成している個々の柱状 氷毎に少しずつズレを生じているのが普通であって, これは結晶粒子毎
の結晶判l方位の差によるものと考えられる.
円ベUワt'
とんどであった. また, 丘陵町は氷 結晶の主 車1I1と垂直方向, すなわちぷ 底面に治って進行している場合が多かった
低負荷速度領域での試験においてこのような丘陵型破断面が生じやす いことは, 切欠き先端の降伏域と関連があるのではないかと考えられる が, まだ想像の域を!Hていない
75
σコ-J
(a) 25 x 50mm試験片
(氏r=1. 7 x 1 0 3 k P aJ而/s,
K c = 8 9. 7 k P aJ而)
(c) 200 x 50mrn試験片 ( Kr = 2. 1 x 1 0 3 k P aJ而/s, K c = 8 3. 4 k P aJ而)
図3.14 CGI試験片の破断面マクロレプリカの代表例
(b) 50 x 50rnrn試験片
(氏1= 4. 0 x 1 0 3 k P aJ而/s,
Kc二86.9kPaJ而)
図3.15 50x 50mmLGI試験片の破断面マクロレプリカの代表例 ( }くr= 880 k P aJ而/s, Kc=75.0kPaJ而)
図3. 16 丘陵型破断面の見られたレプリカ(代表例〉
(氏r=17kPaJ市/s, Kc= 132kPaJ而〉
77
切欠き面
II : Iと平行になった破断面部分
田 :丘陵型破断面
図3. 1 7 丘陵型破断面の模式図
78
3. 7 結 日
放置凍結法で作った断回寸法が25x 25mmおよび50x 50mmの粗大結品氷 試験片, ならびに種氷法で作った断面寸法が25x 50mm, 50 x 50mmおよび 200 x 50mmの柱状多結品氷試験片を用いて, 破壊じん性値に及ぼす負荷速 度ならびに試験片寸法の影響について調査した. 試験は, 温度 -1 OOC •
負荷速度約0.8'""1.0x 10" kPaJ而/sの広範囲のもとで, 中央に人工切欠 きをつけた氷試験片を使用し 3点曲げにより実施した. さらに, 各種 断面寸法の氷試験片の破断面レプリカ観察を行い, 破壊の状況やき裂の
発生状況, ポップ ・ インなどについて調査した. 以下に, 結果を示す
( 1 )氷試験片の種類および寸法によらず, 破壊じん性値は負荷速度の増 加にしたがって減少する傾向がある. 但し, 破壊じん性値は単調に減少 するのではなく, 負荷速度が10'"" 100kPaJ市/sにかけて遷移領域があり,
この領域では負荷速度の増加と共に破壊じん性値が急激に低下するが,
それ以上の高負荷速度領域においては破壊じん性値に及ぼす負荷速度の 影響はほとんどなくなる.
( 2)断面寸法の小さな試験片の場合には, 破壊じん性値に大きなノぐラツ キが見られるが, 断面寸法が大きくなるに従って破壊じん性値の最大値
・ 中央値(累積破壊確率が50児での破壊じん性値)はともに減少し, 同時 にバラツキも著しく減少する. また, 破壊じん性値の最小値は氷試験片 の種類および寸法によらず70'"" 80kPaJ而の狭い範囲内にあり, 負荷速度の 影響をほとんど受けない.
79
( 3)柱状多結晶氷試験片の寸法効果に関連して, 最弱リンク説に従い試 験片厚さ 50mrnから200mmの試験片の強度を導いたところ, 累積破壊確率 の低い領域では実験値の方が高い破壊じん性値を示した. これは, 試験 片寸法が大きい場合には最弱部に小き裂が発生しても, 残りの断面の拘
束のために破断には到らず, より大きな負荷に耐えられることによると 考えられる. 破断面レプリカによる観察結果は, これを裏付けている.
( 4)破断面観察の結果によると, き裂の発生は切欠き先端に存在する結
晶粒子の結晶軸方位だけではなく, 結品粒界の存在などにも支配されて
いるようである. 低負荷速度領域の試験で得られた破断面は, 高負荷速 度領域での場合のものに比べ破断面の凹凸の程度が幾分大きいことを除
けばそれほど大差はない. また, ほとんどの試験片の破断面に共通して,
き裂が進展と停留を繰り返す間欠的な破壊を起こしていることを示す横
筋が, き裂の進展方向と直交して幾筋も認められた.
( 5 )低負荷速度領域での試験の場合に, しかも比較的高い破壊じん性値
で破断した試験片の中には, き裂が切欠き先端の線に沿って進展せず小
高い丘陵面を形成するように進展する特徴のある破断面を示すものがみ られた. その部分を含む結晶の結晶軸方位を調査したところ, き裂は氷
結dillの基底面に沿って進行している場合が多かった.
80
第4章 純氷の破壊じん性値に対する負荷速度効果の数式化
4. 1 緒 一
知l章でも述べたように, これまで報告されてきた他研究者の報告を
みた限りでは, 純氷の破壊じん性値は負待速度氏r (破壊じん性値の時間
変化率〉の増加につれて単調に減少する(2 ). (3仁 川). (1 1 ). (1 2 ) . (1 5 ) •
( 16)・ ( 1 7 ) とするものがほとんどであって,
このことは幾分定説化した
感さえあった. しかしながら, 筆者らが行った広範囲の負荷速度領域
( Kr � O. 8 "'" 1 x 1 0 4 k P a J而/s) での実験を通して, 純氷の破壊じん性値の
問題に検討を加え(25)ー(2 9 ). (7 0 )ー(72), (i)破壊じん性値がある負荷速 度領域で急激に変化する遷移領域が存在すること, そして ( i i )その遷
移領域以上の負荷速度領域では破壊じん性値は負荷速度の影響をほとん
ど受けず一定となること, ならびに (i i i )破壊じん性値は, 試験片寸法 や試験温度の影響を受けることなどを見い出してきた.
一方, これまでは遷移領域以下の低負荷速度領域での破壊じん性値と 選移領域以上の高負荷速度領域における破壊じん性値との聞の関係につ
いては, 特に議論されてはいなかった. ところが, 筆者らが持つ純氷の
破壊じん性値に関するデータならびに資料を見 ると, これら両者の聞に は何らかの密接な関係があるようにも思われる. そこで, この章ではこ
の問題に着目し, 温度 一1 OOCのもとで試験を実施した, 断面寸法の異な
る2種の粗大結晶氷試験片ならびに3種の柱状多結品氷試験片を対象に して検討を行うものである. 筆者らの研究において, 第3章でも述べた
8 1
通1) , 高負荷速度領域〈氏I >約100kPa府/8)では純氷の破壊じん性値に 及げす負荷速度の影響が認められないことがわかっている. そこで, 各 試!比片について高負荷速度領域での破壊じん性値をそれぞれの試験片に おける基本値として, 試験を実施した広範囲の負荷速度 0.8---6.0x 103 kPé.l!市/8 の全領域を網羅した, 破壊じん性値に及ぼす負荷速度の影響に ついての数式化を試み, 実験値と計算値との比較 ・ 検討を行う
82
4. 2 氷試験片および試験方法
ここで使用した氷試験片は 3. 1節で述べた万法により製作した粗大 結品氷試験片(以下, LG r試験片)ならびに柱状多結品氷試験片(以下,
CGr試験片〉である. CG rの平均結品粒径は約5mm であった. 試験片断面 寸法は, LG 1試験片では 25x 25mmと50x 50mmの2種類(それぞれを25x 25mmLGI試験片および50x50mmLGI試験片), CG 1試験片では 25x 50mm , 50 x 50mmおよび200x50mmの3種類(それぞれを25x 50mmCGI試験片, 50 x 50mmCGI試験片および200x 50mmCGI試験片〉である. 下文点間距離は,
全試験片とも200mmであって, 試験片中央部には厚さO. 1 m m, 先端角11 0 のカミソリ刃を埋め込んだのち, これを引き抜くことにより製作した鋭 い切欠きを有している. 但し, 200x50mmCGI試験片 の場合は, 3. 1節の
通り刃先約5mmを残して刃の両側面に厚さO. 4mmのビニールシートを貼り 付け, それも一緒に引き抜いて切欠きを製作している.
試験方法は第3章と同じであって, 低温室内でMTS万能試験機を用 いて3点曲げ試験で行い, 荷重は氷結晶の成長方向に負荷した. この章 で扱うデータは, 全て- 10 ocのもとで行った試験結果である. 数式化は,
まず25x 25mmLGI試験片で得られたデータについてワイブル確率紙上で の累積破壊確率が1 0児, 30児 , 50% , 70児 , 80児および90%に相当する破壊じ ん性値を対象とし, 高負荷速度領域での各確率の破壊じん性値をこの数 孔化の基本値として, 破壊じん性値に及ぼす負荷速度効果について検討 した. 次に, LG 1試験片とCGI試験片とを合わせた5種類の試験片につい て累積破壊確率 50児での破壊じん性値を対象とし, 先述と同様に高負荷
速度領域での各試験片の破壊じん性値を数式化の基本値として, 破壊じ ん性値に及ぼす負荷速度効果について検討した. なお, 各種寸法の氷試 験片を用いた破峻じん性値の数式化に当たって 25x 25mmLGI試験片の 数式については先に述べた各累積破壊確率について行った数式の中で50
%の数式に相当するので, その結果を使って検討するものである
4. 3 粗大結晶氷試験片 (断面25x 25mm)を用いた数式化
図4. 1は, 25 x 25mmLG 1試験片で得られた破壊じん性値Kcと負荷速度む との関係である. この図は試験泊度 一10 OC, 負荷速度約2.0'"'-'3.0xl03 k PaJ而/8聞の8点で試験した結果であって, 各負荷速度ではそれぞれ 30 本程度の試験片を使用している. 図中には, 各負荷速度での破壊じん性 値Kcの最大値と最小値とを細線で結び, 累積破壊確率が50 %での破壊じ ん性値 (中央値)をO印で記している. これによると, 負荷速度氏I員1 0
'""" 1 00kPaJ而/8付近に遷移領域がみられるが, その領域以上の負荷速度領 域では負荷速度の影響をほとんど受けず一定で, 破壊じん性値の中央値 の平均は 92.7kPaJ而であった.
最大値はねー100kPaJ而/8付近を境として大きな段差が存在することが 分かる. このことは, 低負荷速度領域では切欠き底での塑性域寸法が大 きくなり小規模降伏の条件を満足し なくなり, そのために見かけ上大き めの破壊じん性値が得られたものと考えられる. また, 最小備は全領域 を通して負荷速度の影響をあまり受けないことがわかる.
図4.2(a)および(b)は, それぞれ負荷速度の低い場合(ぬ=2.63kPaJ而/
8 )と高い場合(氏1= 1. 7 x 1 03 k P aJ而/8)での 破壊じん性値をワイブル確 半紙上にプロ ッ卜したものである. 負荷速度の高い方が破壊じん性値の バラツキが小さくなり, データの傾きが急になることがわかる. また,
この 25x 25mmLG 1試験片で得られる破壊じん性値の分布は, 破壊じん性 値の大きな部分と小さな部分の2領域からなっているようである. これ は, おそらくそれら2領域での破壊現象が異なることに起因している
85
350
speclmens
、\ 、 内V 、 、 、、 、、 \ \ \ 、 \ v
v 。 / 。 ハU EJ = ) r、 un ,,,、 C1
25x25mm LGI T
=
-10 V(300
250
200
(恒\FC牛ぷ)
乙2
yこ
104 103
(k Pa v'市/s) 101
KI
-- nu ハu
100-1 OOC ) (25x25mmLGI試験片,
Krとの関係 Kc と
図4. 1
86
。 99.9
99 90
70 50 30
�
LJー
ω」コ干OC」←
10 。
T = -1 0 Oc Kr = 2.63 kPal而/5
。 o 5
3
speClmen5 25x25mm LG 1
0.5
、+ー・
0
k(干一
一一』回』O」止
0.2 50 300
(k Pa I而) Kc
( 1くr=2.63kPal而/s) (a)低負荷速度の場合
T = -10 Oc Kr = 1.7x103
99.9 99 90 70 50 30
10
5 3 診4ミ
〉、
ー+-'
LL
む」コザハ〕伺」平
、+ー ロ
kPaf而/5
一AUAD」止
5peClmen5 25x 25mm LG 1
0.5
0.2 50 300
(k Pa f而) Kc
ト (氏r- 1. 7 x 1 03 k P al而/s)
25 x 25mmLG 1試験片で得られた破壊じん性値のワイブルプロ ッ (b)高負荷速度の場合
図4.2
87
この節では, 図4.2に示したように, 得られた破壊じん性値データの分布 を2つの直線で近似し, 縦軸の累積破壊確率Fがそれぞれ10�, 30九, 50
句, 70児, 80%および90九に相叶するその|町線卜.での破壊じん'�I:伯の読取り 値を用いて数式化を行った. ここで, 先の累積倣壊確率のことをF(Kc),
その累積破壊確率での破壊じん性値をKC]Fとする
表4.1および図4.3は, 先程の破壊じん性値Kc]pと負荷速度氏Iの関係を まとめたもので, 図中の実線は実験値〈読取り値〉を滑らかに結んだ曲 線である. なお, ここでは破壊じん性他の収束領域〈高負術速度領域) のデータ補充の意味で, 負荷速度氏1 =277kPaJ而/8の一点に限って試験温 度-30 ocのデータを使用しているが, 5. 3節でも述べるように負荷速度が 約100kPaJ而IS以上の高負荷速度領域では試験温度の影響はほとんどなく,
バラツキについても試験温度に依存しないため, 本節の数式化への影響 はないものと判断される. これによると, 累積破壊確率F(Kc)が50児以下 の場合, 負荷速度が10"" 100kPaJ而/8にかけて破壊じん性値KCJFが急激に 低下する遷移領域が存在し, この領域以上の負荷速度範囲〈即ち高負荷 速度領域〉においてKc]p値は負荷速度の影響を受けず, それぞれ固有の 値に落ち着くことがわかる. また, 累積破壊確率F(Kc)が50出より大きい 場合, 累積破壊確率が高くなるにつれて遷移領域が図の右側に移動する 傾向が認められるが, それでも高負荷速度領域を見るとKc]p値はそれぞ れ固有の値に収束している.
これまで, 氷の破壊じん性値の負荷速度効果については, 得られたデ ータの算術平均値や中央値(累積破壊確率50 %時の破壊じん性値〉をJTJ
88
いた見解が一般であったが, この結果によるといずれの累般破壊確率の 場合においても負荷速度10--- 100kPa!而/s近辺に破壊じん性他が低下する 遷移領域が存在し, それ以上の負荷速度領域では破壊じん性情はそれぞ れ固有の値に落ち着くという共通の性格があることがわかる. そこで,
高負荷速度領域(氏I孟300kPa!而/s) におけるそれぞれの累積破壊確率で の破壊じん性値KCJF をこれから行う数式化の基本値KCOJFとして, 25 x
25mmLGI試験片の 破壊じん性値に及ぼす負荷速度効果を調査し, 今回対 象とした負荷速度全領域について数式化を試みた. 表4.2は, 各累積破 壊確率F(Kc)における破壊じん性値の基本値KCOJFを示している
今回は, 破壊じん性値データの分布を2つの直線で近似しているが,
その折れ点に相当する値は 表4. 1にも示しているように, 全ての負荷速 度領域で累積破壊確率F(Kc)が50%を越えている. このことより, 破壊じ ん性値の数式化については, 累積破壊確率50児を境にしてそれより上と 下の2領域に分けて検討を行った
89
表4.1 各累積破壊確率での破壊じん性値KcJp (25 x 25mmLGI試験片〉
iくI KCJF [ k P al而] COV of
[ k P al而/sJ 1 0児 30児 50児 70児 80出 90先 knee K c [指]
2. 63 1 1 5 147 168 194 220 262 183 29. 9
13. 3 108 136 156 182 207 240 164 28. 7
70. 8 84 97 102 1 18 152 202 1 1 0 45. 5
132 79 88 92 1 14 131 151 94 27. 7
178 77 86 93 1 1 1 137 168 98 26. 6
277 74 84 9 1 96 1 1 3 139 97 25. 3 1. 6x 103 70 83 93 1 01 108 125 1 1 0 21. 8 1. 7x 103 80 90 95 100 1 1 2 130 104 24. 6 3. Ox 103 71 82 90 94 100 1 0 1 105 18. 2
表4.2 各累積破壊確率での破壊じん性値の基本値KCOJF (25x25mmLGI試験片〉
F(Kc)[出] KCOJF [ k P al而]
90 118. 7
80 1 06. 7
70 98. 3
50 92. 7
30 85. 0
10 73. 7
Kr > 300 k P aJ而/sの平均値
90
300
speclmens T
=
-10 Oc25x 25mm LG 1 F(Kc)
=
900/。300/。
700/。
500/。
100/。
800/。
250
200
150
100
(倍、回止さ ょ。〉一
50
104.
103
(kPav而/5)
101
KI
'l nu nu
100一lOOC ) (25 x 25mmLG
1試験片,
Krとの関係 KcJp と
図4.3
91
( a )累積破壊確率10児, 30%および50児についての数式化
表4.3は, 累積破壊確率F(Kc)が 10出, 30%および50九の場合における負 荷速度わが l戸" 60kPaJ而/s 問での任意の負荷速度に対する破壊じん性値 K c J p, ならびにそのKcJp値と各累積破壊確率での破壊じん性値の基本値 KcoJpとの差δKcJp (=KcJp-KcoJけ であり, 図4.4はδKCJFとKcoJpとの 関係を示したものである. この表中の KcJp値は, 図4.3に示した各累積 破壊確率での実験値を滑らかに結んだnl!級ヒでの値である 区I4. 4には
表4.3の値を示しているが, δKcJpとKCOJFとの聞には比例関係が認めら れるため, この関係を次式で表すことにする.
δKcJp A (}くr) 'Kco]p 一 日(氏r) ( 4. 1)
この式の左辺δKcJpは KcJp-KcoJp であって, この値はすなわち負術:ìÆ 度が約100kPaJ而/s以下の低負荷速度領域での破壊じん性値の上昇分を示 している. 右辺の第一項および第二項は, それぞれ低負荷速度領域にお ける破壊じん性値 に及ぼす強度増加項と強度低下項である. なお, 式 ( 4. 1)中のAならびにBはともに負荷速度氏Iの関数とするが, 任意の負荷
速度に対するそれらの値は図4.4に示した δKcJpとKCOJF との関係を最 小自乗法により直線回帰を行って求めており, それらの値は表4.3 に記 載している. 低負荷速度領域において, 破壊じん性値を高める原因とし ては切欠き先端での降伏による応力緩和, 低下させる原因としては降伏
による欠陥の発生などが考えられる.
92
図4.5のO印と・印は, それぞれ表4.3のAおよびBと負荷速度の関係 をプロ ットしたものである. さらに, これらの点を滑らかに結ぶ曲線を 最適に表現する関数として次式(4. 2)を導入した
A ( 氏1) B (Kr)
a .exp (-f l(氏1 ) )
b .exp (-f 2(氏1 ) )
ーllkrllJ 〆f\ A斗A 円/M 、、』ノ
但し, aおよびbは定数, f 1 ( }勺〉およびf 2 (氏1)は共に負何速度の関数で ある. また, AとBの関係を調べてみると, 図4. 6に示すように Bニ50A という関係が存在するのが認められた. そこで, 以上の関係と実験値と を照らし合わせ, AならびにBの点を最適にフィ ットさせる, a, b f 1 (氏r)ならびにf 2 (氏r)を以下のように決定した.
f 1 ( }くr)=f 2(}くr )ニ0.0059}えr1 . 3 5 a =1.84
b = 50 a
、1j nペU d川吉
ーlllkrillJ ft\
従って, 式(4. 1)に式(4. 2)および式(4. 3)を代入することで, 25X25mm LGI試験片の累積破壊確率50%以下についての破壊じん性値に対する負荷 速度効果を数式的に表現する次式を導き出せる.
KcJp= KcoJp+ 1. 84・(K c 0 ] F
-
5 0) e x p (-
O. 0 0 5 9 Kr 1・ 3 5 ) ( 4. 4)但し, F(Kc)壬50出
93
表4.3 KcJp, δ KcJp, A, Bの値
(25 x 25mmLGI試験片, F(Kc)=10, 30, 5 0%の場合)
KCOJ1096二7 3.7kPaJffi, KcoJ3096=8 5. 0kPaJ而, KCOJ5096二92.7kPaJ而
iくI KcJp [ kPaJ而] δKcJp [ kPaJ而]
A B
[ kPaJ而/8J 10児 30児 50出 10児 30出 50児
1. 0 114. 7 149.0 168.7 41. 0 64. 0 76. 0 1. 86 95.2
3.0 113. 7 146. 0 166. 7 40. 0 61. 0 74.0 1. 79 92.0
6. 0 112. 7 144.0 163. 7 39. 0 59. 0 71. 0 1. 69 85.3
10. 0 109. 7 140. 0 158. 7 36.0 55. 0 66.0 1. 59 80.6
20. 0 103. 7 130. 0 148. 7 30. 0 45. 0 56. 0 1. 37 70.8
I
30. 0 98. 7 122.0 138. 7 25. 0 37. 0 46. 0 1. 10 56.4 40.0 93. 7 115. 0 128.7 20.0 30. 0 36.0 O. 85 42. 2
5 O. 0 88. 7 107. 0 119. 7 15. 0 22.0 27.0 O. 63 31. 5
60. 0 85. 7 101. 0 112. 7 12. 0 16. 0 20. 0 O. 42 18. 9
94
Kr
(kPaJm/s)
speclmens F(Kc) = 10
,
30,
50 0/。25x25mm LG 1 120
100
(倍、回止さ
1 0
30 80
60
VL勺 L{U
4.050 20
100
( k Pa .J市)
|くCO) F 0 70
50先の場合〉
(F(Kc)=lO, 30,
KcoJpとの関係 δKcJp と
図4. 4
2.5
speclmens F(Kc) = 10
,
30,
50 0/。25x25mm LGI
。
(医32)
∞
50 2.0
1.0
0.5
〈工 1.5
100
103
(k Pa I而/s)
10'
KI
100
。
50%の場合) 30,
(F(Kc)=lO,
Krとの関係 と
AおよびB 図4. 5
95
15 0
speclmens 25x25mm LGI
F(Kc)
=
10 , 30 , 50 0/。100
(催、回ハエ)
5 0
αコ
B
=
50 A2.0 2.5 A
1.0 0.5
。
。
50児の場合) (F(Kc)=lO, 30,
96 Bとの関係 と
A 図4. 6
( b )累積破壊確率70児 , 80児および90%についての数式化
累積破壊確率F(Kc)が70九, 80児および90児の場合の数式化は, 基本的に は(a)の方法と同様である
表4.4は, 負荷速度iえIが 1"'600kPaJ而/8での破壊じん性値Kc J r , ならび に基本値との差δKcJr (=KcJr-KcoJr) である. 図4. 7は δKcJrとKcoJr との関係について表4.4の一部を示しているが, 累積破壊確率50%以下の 場合と同じく δKcJrとKcoJrとの間には比例関係が認められるため, 次 式のように表す.
δKcJr C (1くr ) .KcoJr - D (1勺〉 ( 4. 5 )
式(4. 5)中のCならびにDはともに負荷速度ぬ の関数であって, 任意の 負荷速度における各値は表4.4に記載している通りである.
図4.8のO印と・印は, それぞれ表4. 4のCおよびDと負荷速度の関係 をプロ ットしたもので, それらの関係 を次式(4. 6)のように表現する.
c ( 氏r) D ( 氏1 )
c .exp(-f3(}む))
d .exp (-f 4(氏1 ) )
、11〉IlllJ ノ't\ 』斗A 円hU 、、Jノ
但し, cおよびdは定数, f 3 (氏1)およびf4 (氏1)は共に負荷速度の関数で あるが, cとDの関係 は, 累積破壊確率50%以下の場合〈図4. 6) のよう な単純な関係 はみられなかった. 以上のことより, cならびにDの点を 最適にフィ ットさせる ことで, c , d, f 3(氏1)ならびにf 4 (氏1)を以下
勺,ln同υ
のように決定した.
c = 2.384
d = 146.56
f 3 ( 1え1)=0.0012氏11・ 28 f 4 (氏1)= 0.00011七11・ 60
( 4. 7)
従って, 式(4.5)に式(4. 6 )および式(4. 7)を代入することで, 25X25mm LGI試験片の累積破壊確率が50児より大きい場合についての破壊じん性値 に対する負荷速度効果を数式的に表現する次式を導出できる
K c ] F = ここでF
K co ] F +
C (氏1 ) D (氏1)
C 〈氏1) .KCOJF 一 D (氏1) 2.384xexp (-0.00121え11
=146.56xexp (-0.00011むi 但し, F(Kc) > 50%
( 4. 8 )
図4.9は, 図4.3中に式(4. 4)ならびに式(4.8)による計算曲線を加えた ものである. 計算曲線は破線にて記しているが, これによると今回対象 とした 累積破壊確率全てについて, 広い負荷速度範 囲で実験 値とよい
致を示しており, 氷試験片の低負荷速度領域での破壊じん性値KCJFが高 負荷速度領域での破壊じん性値KCOJF と深い関わりがあり, その関係は 数式的表現が可能であることが理解できる.
98
表4.4 Kc J7, δ Kc ド, C, Dの値
( 2 5 x 2 5mmLG 1試験片, F(Kc)=7 0, 80, 9 0九の場合〉
KcoJ7096=9 8.3k P a J而, KcoJ8096=1 0 6 .7kP a J而, K c 0 ] 9 096- 1 1 8. 7 k P a J而
iくI KcJp [ kPaJ而] δKcJp [ kPaJ而]
C D R
[kPaJ而/sJ 70% 80児 90% 70児 80% 90児
1.0 195.5 221. 0 264.5 97. 2 114.3 145.8 2.40 139.7 O. 995 3. 0 192.0 220. 0 261. 0 93. 7 113. 3 142.3 2. 38 140.9 1. 000
6. 0 188.5 216.0 257. 0 90. 2 109. 3 138.3 2. 36 142.2 1.000
10. 0 185.0 212.0 252. 0 86. 7 105. 3 133. 3 2. 29 138.4 1. 000 20. 0 175.0 201. 5 240. 0 76. 7 94.8 121. 3 2. 19 138.5 1. 000 30. 0 167.0 194.0 231. 0 68. 7 87.3 112. 3 2. 13 140.8 1.000 40. 0 161. 0 185.5 223. 0 62. 7 78. 8 104.3 2.05 138.7 1. 000 50.0 155. 0 178.0 216.0 56. 7 71. 3 97.3 2. 00 140.9 O. 996 60. 0 150.0 172.0 210.0 51. 7 65. 3 91. 3 1. 96 141. 7 0.994
I
80. 0 142.0 160.0 198.0 43. 7 53.3 79. 3 1. 77 132.6 O. 975 100 129.0 151. 0 182.0 30. 7 44. 3 63. 3 1. 60 126.2 1.000 150 114. 0 131. 0 158.0 15.7 24.3 39.3 1. 16 99. 1 0.997 200 106.0 120.0 141. 0 7. 7 13.3 22.3 O. 72 63. 0 O. 999 300 101. 0 113. 0 130.0 2. 7 6.3 11. 3 0.42 38. 7 1.000 400 100.0 110. 0 124.0 1.7 3. 3 5. 3 O. 18 15.5 0.999
600 99. 0 107.5 120.0 O. 7 O. 8 1.3 O. 03 2. 3 0.931
99
25x25mm LGl specimens F(Kc) = 70 , 80 , 90 0/。
200
Kr (kPal而15)
10 30 60 100 150
100 (医、回止さL(O〉一句
120
(k Pa
J而)100
Kco)
F0 200 90
90児の場合〉
(F(Kc)=70, 80,
KCOJFとの関係 δKCJF と
図4.7
2.5
。
E
r刀Q_
100
。
150 50
speclmens 25x25 mm LG r
F( Kc) = 70 , 80 , 90 0/。 200 2.0
1.0
仁J 1.5
0.5
103 (kPa ..j市/s)
101 KI
。 100
90犯の場合) (F(Kc)=70, 80,
Krとの関係 CおよびD と
図4. 8
100
speclmens T
=
-10 Oc25x 25mm LG 1 F(Kc)
=
900/。700/。
300/。
800/。
300
250
200
150
100
(恒LPC仏ぷ) よυ〉一
Experiment Calculated
50
10'"
103
(kPsv而/s)
101
Kl
‘lo ハUv ハυ
10025 x 25mmLG 1試験片の破壊じん性値に対する
負荷速度効果の数式化
図4.9
ーIAAHU 噌'PEa-
4. 4 各種寸法の氷試験片を用いた数式化
図4.1 0は, 破壊じん性値と負荷速度の関係であって, 組大結晶氷では 断面寸法が25x 25mmと50x 50mmの2椛類の試験片(それそれを25x 25mm LGI試験片および50x50mmLGI試験片〉について, 柱状多結品氷では断面
寸法が25x 50mm , 50 x 50mmおよび200x50mmの3種類の試験片(25x50 mmCGI試験片, 50 x 50mmCGI試験片および200x50mmCGI試験片〉について の結果である. 試験は, 試験温度 一100Cで行い, 負荷速度氏Iは各試験片 について0 .8--- 6.0 x 103kPaJ而/8の中で7 --- 8点で実施し, 小型の試験片で は15--- 30個, 中型 ・ 大型の試験片では6 --- 10個の試験片を使用した. こ こでの破壊じん性値は, 試験結果の代表値として累積破壊確率が50 %で の値KCJ5096 を使用しており, 各試験片毎に記号を変えて記しているが,
結果のバラツキについては 3.4節に述べた通りである. それぞれのデー タを結ぶ実線は実験値を滑らかに結んだ曲線である. これによると, 負 荷速度ぬが 10--- 100kPaJ而/8付近で破壊じん性値KCJ5096 が急激に低下す る遷移領域が存在し, この領域以上の高負荷速度領域においては破壊じ ん性値は負荷速度の影響をほとんど受けず, 各試験片で固有の一定値に なっていることがわかる. なお, 図中の 25x 25mmLG 1試験片についての 曲線は, 前節で検討した累積破壊確率F(Kc)が 50%に関する数式を描い ている.
表4.5には, 各試験片における破壊じん性値への負荷速度の影響が認め られない約200kPaJ市/8以上での破壊じん性値の平均値KCOJ5096 を示して いる 5種類の試験片について KCOJ5096の大きい順に記しているが, こ
102
れによると試験片断面寸法が大きくなるにつれて破壊じん性値 KCOJ5096 は減少し, また同じ厚さを持つ試験片では粗大結品氷より柱状多結晶氷 の方が破壊じん性値KCOJ5096 が小さいことがわかる. さらに図4. 1 0をみ ると, 各試験片においても遷移領域以下の低負荷速度領域では破壊じん 性値KCJ5096 は上昇しているが, 高負荷速度領域(氏!と200 kPaJ而/s)で みた破壊じん性値KCOJ5096 の大小関係はそのまま成り立っていることが わかる
ここで, 25x25mmLGI試験片については, すでに前節で検討した数式が あるのでそれを基準とし, また高負荷速度領域での破壊じん性値 KcoJ 5096 をそれぞれの氷試験片の破壊じん性値における基本値として, 各試 験片の破壊じん性値に及ぼす負荷速度効果の調査を行い, 今 回対象とし た全負荷速度領域について数式化を試みた.
103
200
T
=
-10 Oc二色必ー
v
&;,三記ニ
25x25mm LGI
150
(恒kp伺止v一)
50x50 mm
100
H o m { Q )羊
104 103
(kPa{市/s)
101
KI
100 50
10-'
( -1
OOCの場合〉
Krとの関係 各種氷試験片におけるKCJ5096 と
図4. 10
104
表4.5 各種氷試験片における破壊じん性値の基本値KCOJ5096
Specimen KCOJ5096 [kPal而]
25 x 25mmLGI 92. 7 25 x 50mmCGI 90. 0 50 x 50mmLGI 88. 0 50 x 50mmCGI 83. 4 200x 50mmCGI 81. 3
K1 > 200 k P al而/8の平均値
105
表4.6は, 図4. 10に示した曲線上での読取り値について, 各氷試験片 に おける負荷速度ぬが1 "-' 300kPaJ而/s間での任意の 負荷速度での破壊じん 性値KCJ5096 ならびに25x25mmLGI試験片の破壊じん性値KCJ50%, LS と各 氷試験片での破壊じん性値KCJ5096 との差δKCJ5096 (= KCJ5096・Ls-KcJ 5096) である. また , 図4. 1 1 は表4. 6に示したδKCJ5096 と負荷速度 が2 00
k PaJ市 S以上の高負荷速度領域での破壊じん性値の基本値の 差δKCOJ5096
(= KCOJ5096, LS- KCOJ5096) との関係である. 図4. 11には表4.6に示した
データの一部を示しているが, これによ るとδKCJ5096 と δKCOJ5096 と の聞には比例関係 が認められるため, この関係を次式のように表す.
δKCJ5096 = G (氏1 ) ・δKCOJ5096 + 日(氏1 ) 但し, δKCJ5096 = KCJ5096, LS - KCJ5096
δKCOJ5096= KCOJ5096, LS- KCOJ5096
、、』ノ 円同d -A斗A
、111111111、rl'I11tE『tJ ft\
式(4. 9) 中のGならびに日はとも に負荷速度む の関数であって, 任意の 負荷速度 におけるそれらの値は表4.6に記載した通りである.
図4.1 2のO印と・印は, それぞれ表4.6の GおよびHと負荷速度の関 係をプロ ットしたもので, これらの負荷速度依存を最適に表現する関数 を次式の ように表現する.
G (氏r ) H (Kr)
1 + g
•
exp (- f 5 (氏r ) )h .exp (-f 6(氏r ) ) (4.10)
106
但し, gおよびhは定数, f 5 ( KI )およびf 6 (氏1 )は共に負荷速度の関数 である. 以上のことより, Gならびに日の点を最適にフィ ットさせる式 (4.10) 中のg, h, f 5(氏1 )および f 6 (氏1)を次式のように決定した.
g = 4. 040 h=18.126
f 5 ( fむ)=0.0001221勺2・27 f 6 ( }勺)= 0.00 1489}勺1・55
( 4. 11)
従って, 式(4. 9)に式(4.10)および式(4. 1 1 )を代入することによって, 各 種類の氷試験片における破壊じん性値に対する負荷速度効果を数式的に
表現する次式を導出できる
KC]5096ニKC]5096.しS- G (氏1)・(KCO]5096. Ls-Kco]5096) - H (ね) ここで, KC]5096. LS= 92.7+ 78. 57x exp(-O. 0059tえ1 1・35 )
G (}く1 ) H ( 氏1 )
1 +4.040xexp(-0.000122}え1 2・27 ) 1 8. 1 2 6 x e x p ( -O. 0 0 1 4 8 9 KI 1・55 )
(4.12)
図4. 13は, 図4.10中に破線によって式(4.12)による計算曲線を加えた ものである. これによると, ここで対象とした粗大結品氷で2サイズ,
柱状多結晶氷で3サイズという, 氷の種類ならびに試験片寸法の具なる 5種類の氷試験片で得られた破壊じん性値に及ぼす負荷速度の影響は,
107
上述の手法によって広い負荷速度範囲で実験値とよい一致を示しており,
各種氷試験片においても低負荷速度領域での破壊じん性他KCJ5096と高負 荷速度領域での破壊じん性値KCOJ5096 との悶には深い関わりがあり, そ の関係は数式的表現が可能であることが理解できる.
108
表4 .6 各種氷試験 片におけるK CJ50 96, δK CJ50 96, G, Hの値
③: 25 x 25mmLGI試験片 KCOJs096=92.7kPal而,
。: 50 x 50mmLGI試験片 KCOJ5096=88.0kPal而,
⑤: 200 x 50rnmCGI試験片 Kco J 5 096=81. 3kPal而
⑤: 25 x 50mmCG 1試験片 Kco Js 096=90. OkPal而,
@ : 50 x 50mmCGI試験片 KcoJs 096ニ83.4kPal而,
25 x 25rnrnLG 1試験片のデータは, KCJF=50% の計算値(曲線カーブ〉より算出.
Kr Kcho96 [kPaJ市] δKcho96 (=Kcho96.LS-Kc]5U96) [kPaJ而]
G H
kPal而/s ③ ⑤ 。 。 ⑤ ③ ⑤ 。 。 ⑤
1.0 170.8 138.0 128.8 104.2 95. 0 O. 0 32. 8 42. 0 66.6 75. 8 5.031 18.96 3.0 169.3 137. 0 128.0 103.0 94. 0 O. 0 32.3 41. 3 66. 3 75.3 5. 050 18.33
6. 0 166.2 133.7 125.0 99. 0 90. 0 O. 0 32. 5 41.2 67.2 76. 2 5. 160 18.02
10.0 161. 6 129.5 120.5 93. 8 86. 5 O. 0 32. 1 41. 1 67.8 75. 1 5. 130 17.99 20. 0 148.8 121. 5 112.0 87. 8 83. 2 。。 27. 3 36. 8 61. 0 65. 6 4. 587 15.45 30.0 136.6 119.0 105.5 85. 0 81. 8 O. 0 17.6 31. 1 51.6 54. 8 4.310 8. 50 40.0 126. 0 108.0 100.8 84. 0 81. 5 O. 0 18.0 25. 2 42. 0 44. 5 3. 176 10. 12 50. 0 117.3 102.0 97. 0 83. 8 81. 3 O. 0 15.3 20. 3 33.5 36. 0 2. 485 8. 82 60. 0 110.5 98. 2 94. 0 83. 5 81. 3 O. 0 12.3 16.5 27. 0 29. 2 2.016 7. 09 80. 0 101. 5 93. 0 90. 0 83. 4 81.3 O. 0 8. 5 11.5 18. 1 20. 2 1.364 4. 99 100.0 96. 8 90. 4 88. 5 83. 4 81. 3 O. 0 6. 4 8. 3 13.4 15.5 1.060 3.46 150.0 93. 2 90. 0 88. 0 83. 4 81. 3 O. 0 3.2 5.2 9.8 11. 9 1. 000 0.50 200.0 92. 7 90. 0 88. 0 83. 4 81. 3 O. 0 2. 7 4. 7 9.3 11. 4 1.000
300.0 92. 7 90. 0 88. 0 83. 4 81. 3 O. 0 2. 7 4. 7 9.3 11. 4 1.000
109
100
Kr (kPa.'而15)
30 50 100 150
O A
‘' ..
マ
80
60
4-0
20
(恒KFUnLU4) Hom {0〉一 のJHO的(O 〉一
1 4-
( k Pa v'而)
6
1くCO) 50%
8 2
1くCO) 50%. LS
。 4
。
δKCOJ5096との関係 と
各種氷試験片におけるδKCJ5096
図4. 1 1
(佐古ハ三)
工
。
5 6
広,u
3 4
2
<.9
20
•
100 103
(kPa ..j市/s)
101
KI
。
Krとの関係 各種氷試験片におけるGおよびH と
図4. 12
ハHU-EEEA 噌E『E-.
200
T
=
-10 O(Experiment Calcu lated
二色ωー
v
&:二与ヨニ
25x25mm LG I
150
{倍、回牛ぷ)
50x50 mm
100
un o m { Q 〉一
10'"
103
(k Pav市/s)
101
KI
50 100 10-1
各種氷試験片の破壊じん性値に対する負荷速度効果の数式化
図4. 13
-EaEA 句EEEA --EA
4. 5 結
にコ
断面寸法25x 25mmおよび50x 50mmの粗大結品氷試験片ならびに断面寸 法25x 50mm, 50 x 50mmおよび 200x 50mmの牧状多結!日氷試験片について,
試験温度- 10 oc, 負荷速度i勺が 0.8,..., 6.0 x 103kPaJ而/8の範囲で三点曲げ 試験により得られた破壊じん性値に対する負荷速度効果の数式化を試み た. その結果を以下に示す.
(1) 25 x 25mrnLGI試験片の破壊じん性値への負荷速度効果の数式化
①各累積破壊確率(10, 30, 50, 70, 80および90% )においても, 品 負荷速度領域では破壊じん性値KcJpが負荷速度の影響をほとんど受
けない, それぞれ固有の値となることがわかった.
②低負荷速度領域での破壊じん性値KcJpと高負荷速度領域での破壊じ ん性値KcoJp との聞には密接な関係がある. また, 今回対象とした 全て の累積破壊確率について, 試験 を実施した負荷速度範囲におい て破壊じん性値に及ぼす負荷速度の影響がほとんど認められない局 負荷速度領域での破壊じん性値KcoJp を基本値とすることで, 全負
荷速度領域を通して破壊じん性値 を数式的に表現できた.
( 2)各種氷試験片の破壊じん性値への負荷速度効果の数式化
①累積破壊確率50% での破壊じん性値について整理したところ, 破壊 じん性値への負荷速度の影響が認められない高負荷速度領域での破 壊じん性値KCOJ5096 は, 試験片断面寸法が大きくなるにつれて, ま
112
た同じ厚さを持つ試験片では, 粗大結晶氷より柱状多結品氷の方が 小さくなることがわかった. また, この関係は低負荷速度領域にお
ける破壊じん性値にも同様に成立してい た
②各種氷試験片においても低負荷速度領域での破按じん件値KCJ50%と 高負荷速度領域での破壊じん性値KCOJ50% との聞には密接な関係が あるようである. また, 高負荷速度領域での破壊じん性値KCOJ5096 を基本値とした破壊じん性値の数式化を行ったところ, 今回実施し た負荷速度範囲において各氷試験片とも実験値と良い一致を示した.
113
第5章 純氷の破壊じん性値に及ぼす試験温度の影響
5. 1 緒 日
氷の強度は, 試験温度 ・ 負荷速度 ・ 試験片寸法および結品粒寸法など,
試験条件や試験片構造の影響を受けることがわかっている. その中で,
氷の破壊じん性値Kcに対する試験温度の影響については, これまでにも
いくつか報告されている. ところが, それらは比較的狭い負荷速度範囲
についての結果がほとんどで, 試験温度が低くなると破壊じん性値が上 昇するものほし (11 ) ・ ( 1 5 ) と, 反対に下降するもの(6 )・ (2 0 )の相反する
2通りの報告があり, この点について検討の余地がある. そこで, 筆者 らは, まず粗大結晶氷(25 ) による平滑部断面寸法が25 x 25mmの試験片 (以下, 25 x 25mmLG 1試験片〉を用いて, 試験温度一10 , -3 0 oc (一部 -5 ,
-5 0 oc )の条件下で破壊じん性値に及ぼす試験温度の影響を調べた(28)
それによると, 負荷速度ぬが約100kPaJ而/sより高い領域では試験温度の 影響はほとんどなく, それより低い領域では試験温度の低い方が破壊じ ん性値が小さくなることがわかってきた.
なお, 他の研究者は, ほとんどが柱状多結晶氷を用いているので, 比 較検討のため筆者らもそれらと同種類の氷で製作した試験片を用いて実 験を行った. 試験片寸法は, 平滑部断面がそれぞれ25x 50mm , 200 x 50 mm の2種類を用いた. 試験温度は-5 , -1 0 , -3 0 oc (一部-5 OOC )とし,
負荷速度iむは約 0.7""3.5 x 103kPaJ而/s の広い範囲で試験を行い, 破壊 じん性値Kcおよび得られた破断面様相に及ぼす試験温度の影響について
114 -
調べた.
また, 試験温度-1 0 OC, 負荷速度むとモ0.8 kPaJ而/sの低負荷速度領域で みられたポップ ・ インについても検討を加えた.
115
5. 2 氷試験片および試験方法
ここで使用した氷試験片は, 3. 1節 で述べた方法により製作した粗大 結晶氷試験片(以下, LG 1試験片) ならびに柱状多結晶氷試験片(以下,
CGr試験片〉である. CG 1の平均結晶粒径は約5mmであった. 図5.1は 25 x 25mrnLGI試験片の形状および寸法, 図5.2(a), (b)は平滑部断面寸法がそ れぞれ25 x 50mm, 200 x 50mmであるCGr試験片〈以下, 25 x 50mmCGI試験片 および200 x 50mmCGI試験片〉の形状および寸法を示す. 下支点間距離は,
全試験片とも200mmである. また, 試験片中央部には, 厚さO. 1 m m. 先端 角1 1 0 のカミソリ刃を埋め込んだのち, これを引き抜くことにより製作 した鋭い切欠きを有している. 但し, 200x50mmCGI試験片の場合は, 3.
2節でも述べた ように刃先約5 mmを残して刃の両側面に厚さO. 4mmのビニ ールシートを貼り付け, それも一緒に引き抜いて切欠きを製作した(26) 試験方法は , 第3章の場合と同じ であって, 低温室内でMTS万能試 験機を用いて3点曲げ試験 で行った. 支点間距離と試験片高さとの比は LGI試験片の場合が8, CG 1試験片の場合が4とし, 荷重は氷結晶の成長 方向に負荷した. また, 高負荷で破壊した場合, 小規模降伏の条件が満
足されない場合も生じている可能性は あるが, 便宜的に線形破壊力学の 応力拡大係数の計算式(5 4 ) . (5 5 ) を用い, 試験片破断時の最大荷重から 求めた値を破壊じん性値Kcとした. 荷重の検出には, 長円形のばね銅製
ロードセル〈ばね定数: 1. 90 x 105N/m) をおもに用いた. 試験温度は,
LGI試験片の場合 一10, 一300Cの2種類(一部の 負荷速度で - 5 , -5 0 oCを 加えた4種類) とした CGI試験片の場合は, -5 , - 1 0 , -3 0 oCの3種類
116
( KI二1� 3kPa!而/sでは- 5 0 ocを加えた4種類〉とし, 負荷速皮肉が30kPa j市/s 以上の領域では200x 50mm試験片を, それ以下の領域では25x 50mm
試験片を用いて破按じん性他および何られた破断而様相に及ぼす試験温 度の影響について調べた. 試験片は, 試験予定温度の灯油中に一昼夜以 上保存して残留応力を除去したものを使用し, カミソリ刃は試験直前に 引き抜くことで切欠きとした. また, 負荷速度i七I全O.8kPa府/s , 試験温 度 -1 OOCの条件下において, 25 x 50mmCGI試験片 を用いた切欠き先端で の部分的破壊, すなわちポップ ・ インの観察を行った. 氷試験片では,
ポップ ・ イン発生時に荷重~時間の曲線記録上での変化は検出できない が, 無色透明という利点を利用して, 目視によるポッ フo ィン観察を行 ったものである.
破断後, 切欠き先端直下部分の薄片を作り, 結晶粒の分布状況を偏光 を通して観察した. 一方, 破断面のマクロレプリカ(26 )も採取して, こ れらにより, 破壊発生位置およびポップ ・ イン発生位置とその発生状況 についても検討を行った.
11 7
己 ヰ !日亙
� 凶
図5.1 LGI試験片の形状 ・ 寸法
o p、J
(a) CGI-25x 50mm 試験片
o r、J
(b) CGI-200x 50mm試験片
200
図5.2 CGI試験片の形状 ・ 寸法
118