九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
木材の接着性におよぼすコロナ放電処理の効果とセ ルロ-スへの作用機構
上原, 徹
https://doi.org/10.11501/3056765
出版情報:Kyushu University, 1991, 農学博士, 論文博士 バージョン:
権利関係:
第1章 コ ロナ放電処理による木材の接着性改善
1 .
1
緒言本研究では, 難接着性木材の接着性改善を試みるため
に , 薬剤などを用いる湿式処理法を用いず, 装置の製造
および操作の容易な コ ロナ放電処理を行 った。
一般に, 木材は含水率の変化にともない誘電率が変化
し, その電気的性質が変化する 4 2 )。 それ故, コ ロナ放電 処理効果におよぽす木材含水率の影響に ついても検討し
た。
また, 放電処理を行 う と オ ゾン が 発 生する。 このオゾ ンの影響とともに, 木材の表面特性におよぼす コ ロ ナ放
電処理雰囲気の影響について検討した。
1 . 2 実験方法
1 . 2. 1
供試材アル コ ール
・
ベンゼン抽出成分量3.3%のアピトンから,両面プレ ーナ ー仕げ2 . 5 m m厚柾目鋸断単板を調製し, 2 OoC
で, 相対湿度6.33.60.85および93%で調湿し, 含水率を
4,9,12,17および21 %に調整した。
アル コ ール
・
ベンゼン抽出成分量平均6.3% , 気乾比重平均o . 6 2のクロ マツ( P inus thunbergi i Parl)を用いて,
厚さ2 . 5 rn mの両面ス ー パーサー フ ェ ーサー仕上げ柾目板
( 100 >ぐ100 mm)を調裂し, 2 0 oc , 相対湿度60%で調湿した。
木理通直, 無欠点でそりの無い板を接着試験用として
選別した。 さらに, この板を透過光により観察し, 抽出
成分の存在による光透過部分の分布に より次の5種類に
分類した。
I . 光透過部分の存在は認められない。
I
1 .光透過部分は全体的に分布し少量である。
1 I I . 光透過部分は全体的に分布し多量である。
IV-l. 光透過部分は局部的に集中しているがその量は
少ない。
IV-2. 光透過部分は局部的に集中しており, その量は
多い。
残りのクロ マツを半径方向25mmに鋸断し, 無欠点材を表
面張力用とし, 比重により3種類に分類した。
以上, 全ての条件において6回以上試験が行えるよう
に試験片を準備した。
1 . 2. 2 コ ロナ放電処理
春日電気製HFSS-IOl型コ ロナ放電処理装置(
30kHz, 34 k V
0 - 0 •1 k W )を用い, 一次電流(2---- 4A)および試料送り速
「hd
度(5�40m/min)を設定し処理を行った。 電極はFi g. 1に 示したように幅30cmのナイ フエ ッ ジ型であり, 発生した
オゾンの除去および試料の冷却のために排気を行った。
試料の送り方向は繊維平行方向とした。 コ ロナ放電処理 量は次に示した方法で算出した。 この場合, 昇圧トラン スでの電力損失は無視している。
T
- 一 R
E一W
、、tsJ 11A r4ek
T: コ ロナ放電処理量(Wmin/m2)
E : 一次電圧(DC 200V)
1 : 一次電流( A )
W; 電極幅(
0 . 3 m )
R; 送り速度( m/min)
なお, 含水率の影響に ついての実験においては, O. 533 kWmin/がの放電処理量(試料送り速度 5 m/min, 一次電 流4A )で放電処理後, 試料を2
OoC
, 相対湿度60%で24時間調湿した。
放電雰囲気調整を行うコ ロナ放電処理はF i g. 2に示し た平板電極をデシケ ー タ内に設置して行 った。 雰囲気調 整は, デシケ ー タを10分間減圧後乾燥空気あるいは窒素
Lf、
\
Unit: 11111
F ig. 1 D i ag r am 0 f e 1 e c t r 0 d e s .
Legend: 1. Bar electrode, 2. Silicon-rubber coating,
3. Metal-roll electrode which is grounded.
7t
105
Fig. 2 Test cell.
Legend: 1. Electrode 2. Glass plate 3. Spec imen
4.5-15.0kV
60Hz
を導入し , 再び10分間減圧後雰囲気気体を導入する こと
により行 った。 昇圧トラン スに は市販のネオントラン ス (一次慣IJ 1 0 0 V, 6 0 H z, 二次{�IJ 1 5 k V, 20m A, 1 6 5 V A )を用い,
一次miJ電圧を調整することに より, 処理電圧を制御した。
放電は4.5r--..-15.0kV, 極板間隔7mmで行い, 火花放電防止
のため, 電極上にガラス板(1.8mm厚)を設置した。 なお,
極板が円板状であるため, 処理効果の試験は中央部直径 約 6 0
m
m以 内の
領 域につ いて 行 った。1 .
2 . 3 接触角
コ ロナ放電処理後の試料に ついて, 液滴法による接触 角をエルマ光学製ゴニオメー タ式接触角測定装置G -111に
より測定した。 用 い た液体は再蒸留水, グリセリン(市販
特級), フ ェ ノ -ル ・ レ ゾルシノ ール共結合樹脂( P R F)お よびユリア樹脂( U F )である。 液体 2 0 μ lを試験片表面
に滴下し , 5秒後, 繊維直交方向より液滴の角度を写真
j去により測定した。
表面張力の異なる液体を用いて接触角を測定し,
Zissmannプロ ッ トから, 放電処理された試料の臨界表面
張力を求めた。 45%エチレ ングリコ ール水浴液, 20%お よび10% tÆイヒカルシウム水浴j夜, および水を用いた。
nHd
滴下後20分まで, 繊維直交方向から接触角, 液滴の高 さおよび幅を測定した。 さらに , 液滴の長短軸比も測定
した。
1. 2 .
4表面張力および粘度
接触角測定に用いた液体の表面張力を木屋製作所製du
N 0
tJ y式表面張力計を用いて20 OCで測定し,
実演IJ値に対してHarkins-Jordanの補正4 3 )を行った。
東京計器製B型粘度計B
8
Mを用いて液体の粘度を20℃で測定した。
1 . 2 .
5
赤外吸収スペクトル試料表面(30 x 65mm)から均一に約5 mgの木粉をナイ フにて削り取り, 島津製作所製IR-27G赤外分光光度計を 用いてKBr錠剤法によりスペクトルを求めた。 ベンゼン核 (1600cm-1)に対するカルボニル基(1730cm-1)の吸光度比
で示した。
1 .
2 . 6
接着試験フ ェ ノ ール ・ レ ゾルシノ -ル共結合樹脂(PR f )は住友化 学製スミプライPR-150Eを, 常温硬化型ユリア樹脂( U f )は 住友ベー クライト製ヰゲタライムUA-104を使用した。 放 電処理24時間後, 塗布量200g/m2, 圧締圧 10 kgf/cm2,
2 0
cC,2 4時間の条件で, 滋佐平行に接着した。 2 0
OC , 相対湿度60%で調湿したのち, DIN 53254に準じた引張せん
断試験片を作成し, 接着力を求めた。 また, U Fに ついて は温冷水浸漬試験およびPR F に ついては煮沸繰り返し試験 もDIN型試験片を用いて行 った。 同一条件, 12試片引張し
た。
1 . 2 . 7 光学顕微鏡観察
フ ェ ノール ・ レ ゾルシ ノ ール共縮合樹脂20μ lを滴下し,
浸透の経時変化を見るために , 滴下後, 2,5,10, 20, 6 0お よび120分後に10 5 oc で 乾燥させ, ホルマリン気相中で処
理して硬化させた。 ミク ロト - ムにより厚さ3 0 � 40μ mの 木口切片を得, 常法に従い永久プレ パラ ートを作成し,
光学顕微鏡読察に供した。 接眼ミクロ メ ー タに より木材 表面の長さ1.15mm当たりの浸透深さを測定した。
1. 3
結果および考察1. 3. 1 広葉樹材の接着性改善
1 .
3.
1 . 1 湿潤性コ ロナ放電処理では, 湿潤性の経時変化が考えられる
ため,
F
i g. 3に放電処理後の湿潤性の経時変化を示した。図から明らかなように , 接触角 コサイン値は放電処理後
令lム司''ム
50
。
10
。
20 30 40 Time (hr)
。
0.4
0.2
。
。 0.5
0.3 0.6
ω-mcd'←υσ←cou ωC一ωou
Effect of time after corona treatment on cosine contact-angle.
Note: Degree of treatment: 0.533 kWmin
/
m2•Fig. 3
減衰し一定値を示す傾向を示した。 それ故, 経過時間の
変化にあまり左右されない放電処理後2 4時間経過後の試 片に ついて各物性の評価を行うことにした。
湿潤性と放電処理量との関係に ついて検討し, その結
果をF
i
g. 4に示した。 ガスフラズマエ ッ チ ングの場合,エ ッ チ ング深さが処理時間の平方根と関係していたため
横軸は放電処理量の平方根とした。 未処理材の湿潤
.1 t. )
性はU F, グリセリン, 蒸留水, P R Fの)1債で高くな った。 た だし, グリセリンと蒸留水の値はほとんど等しか った。
2 OOCでの, 用いた液体の表面張力および粘度の測定値を
Table 1に示した。 一般に , 国体の
表面白白
エネルギ
ー よりも表面張力の小さい液体はその固体を濡らすとされて
いる。 Fi g. 4の未処理材での湿潤性の)1匿と液体の表面張
力問に ほぼ相関性が認められた (Fig. 5) 0 Z i smannプロ ッ トを考えると , アピト ン材表面は30dyn/cm以下の低エ
ネルギ-状態であると考えられる。 また, U FはPRFに比べ
て湿潤性の良くない ことが明らかである。 コ ロ ナ放電処 理量の増加にともない,
P R
Fを除、 く液体では湿潤性の向上 が認められ,その程度の順序は蒸留水,
UF
グリセリンとな った。 また, その湿潤性がほぼ平衡に達したときの
円、U1lム
0.6 0.4 0.8 1.0
0.2
。 国0.2
ω-mc
ct←υロ←cou
ωC一ωO〕
1 2 3
of treatment (ゾkWmin/m2) -0.4
0
Degree
Effect of corona treatment on cosine contact-angle.
ロUF.
• PRF,
o glycerine,
• water,
Legend:
Fig. 4
Table 1 Surface tension and viscosity of liquids.
200C
Surface tension Viscosity (dyn/cm (poise)
Water 71. 1 0.01
Glycerine 64.0 9.93
PRF 40.3 5.26
UF 66.1 13.45
Fhd 1i
0.5
。
ω)印COB←υσ←cou
ωC一ωou
40 50 60 70 80 Surfa仁e十ensíon (dyn/仁m)
Zismann plot of liquid used.
ー0.5 30
Fig. 5
湿潤性と液体の粘度との間に相関性が認められた ( F ì g .
6 )
本来, 接触角は平滑, 非多孔質および非膨潤性固体上
での値を用いるべきであるが, 木材の場合その条件は満
足されていない。 しかし , これまでの木材分野での研究
、 .1 5 - 4 8 )におい て,
みかけの値である接触角が接着性の
指標と な ることが 明 ら か に さ れてきた。 また, 液体 の表 面張力と粘度がみかけの接触角に寄与する比率も現在の と こ ろ明 らかで はないが, 放電処理量 が 少ない場合 に は
表面張力が支配的 で あり, 放電処理量が多くなると浸透 の影響が現われてくるものと考えられる。 浸透も湿潤性
の指標となるため, 今回もみかけの値である接触角を指 標 として用 いた。
1 . 3. 1 .
2 表面白 白 エ ネ ル ギ -コ ロ ナ放電処理により, 木材の表面は酸化され, カル
ボニル基の増加することが知られている 1 1 . 4 9 - 5 1 )。 また,
エレ クトレ ッ トが形成されるとする説8 )もある。 これら のことより, 放電処理にともない木材表面の極性が増大
していると考えられるため, 木材の表面白由エネルギー を算出したT.Nguyenら<1
8
)の方法により, 蒸留水とグリセ円,,-EEA
5 10 15 Vis仁051十y (poise) 0.4
0.2
。 。 0.8 0.6 1.0
ωC一ωou
Eコ一L2二一コσU ω)mcσー←υσ←c
ou
Relationship between equilibrium cosine contact-angle and viscosity of liquid.
Fig. 6
リンの表面張力値を用い て木材の表面白白エネルギ ーを 算出した。 算出方法は次のとおりである。
4 γ s d γ d 4 γ s D γ
。γ L (
1+ COS θ)
== + ,,ーもも、 円/'u )γ S d
+ γ d γ s
0 + y 。γ L (
1+ COS θ)
==2 J γ s d γ L d + 2 J γ s o γ L
0( 3 )
ただし ,
γ s γ S d + γ S 0. γ
し 一一γ L
d+ γ
。こ こ で, γ L , 液体の表面張力, γ s ) 固体の表面白由工 ネルギ , θ; 接触角, γ s d; 固体の表面白白エネルギ ー の分散力成分, γ s o; 自体の表面白白エネルギー の極 性力成分, γ L d; 液体の表面張力の分散力成分,
γ LO;
液体の表面張力の極性力成分である。
2 0 OCに おける蒸留水およびグリセリンの γぃ γ L d ,
γ L Oをそれぞれ72. 4, 21.8, 50.6 dyn/cm および63 . 1 .
37.0. 26.1 dyn/cmとした 1) 8 )。 表面白白エネルギーの算
出方法として謂和平 均 (式2 ) S 2 ) と 相 乗 平 均 (式 3
)
S 3 )の 2種類がある。調和平均による結果をF i g. 7に , 相乗平均による結果
ハ可d市14
をF i g. 8に示した。 相対的に調和平均より相乗平均によ
る表面白白エネルギーが高い値を示した。 また, どちら の方法に よ っても極性力成分が表面白白エネルギー の大 部分を占めており, 分散力成分は極めてわずかであ った。
さらに, 放電処理にともな って木材の表面白由エネルギ ー は増加しており, その増加は極性力成分に依存し, 分 散力成分に変化は認められなか った。 F i g. 9に示したよ うに , カルボニル基の増加A 9 )が極性力成分の増加をもた らせたものと思われる。 一方, 放電処理量8.53kWmin/m2 で両算出法ともに表面白白エネルギ一値が低下したのは,
処理により木材中への液体の浸透が過剰となり, その影 響が出たものと考えられる。
これらのことより, コ ロナ放電処理により, アピトン 材の各液体に対する湿潤性は改善されるが それにとも ない多孔質である木材中への液体の浸透が激しくなり,
その浸透性は液体の粘度に支配されてい る ことが明らか とな った。
1 . 3. 1 . 3 接着力
1 . 3. 1 . 3. 1
フ ェ ノ - )レ ・ レ ソノレシノ - )レ共縮合樹脂
。 120
90
60
30
(NEU\mLω)kAmLωcω
ωωLヤωυロ』Lコω
1 2 3
of treatment (ゾkWmin/m2 )
Ts,
Effect of corooa treatment on surface-free energy by
γs d.
口
γs D,
。
- 21- harmon i c-mean method .
•
。
。
Degree
Legend:
Fig. 7
150
100
(NEU\mLω)λmLωcω
50
ωωLヤωud』Lコω
1 2 3
of treatmen十(ゾkWmin/m 2 )
O O
Oegree
Effect of corona treatment on surface-free energy by : Fig. 8
I Sd.
口
I S O.
geometric-mean method.
IS . 。 Legend: •
1 2 3 of十rea十ment (VkWmin/m2-)
。
Effect of corona treatment on absorbance ratio.
- 23-
o o
Oegree
Fig. 9
。
1.0
0.6 0.4 0.2 0.8
(00ご〈\omト「〈)O王ロL
ωUC02LOω心
〈
PRFの常fiE, 湿潤接着力および木部破断率(木破率)と 放電処理室の関係をFig.10, 12にそれぞれ示した。 放電 処理にともなう接着力の変化はほとんどみられず, r.:竺土z土I I J ー 台じ"Lよ,、,門じ 湿潤接着力およびその木破率はわずかに増加してほぼ一 定の{直とな った。 こ のことは, P R Fの湿潤性が放電処理に かかわらずほぼ一定であ った こと (Fig. 4 )とよく一致 する。
PRFは他の木材用接着剤jと比較して, 木材に対して湿潤 性が良いため, 今回の抽出成分3.3%のアピト ン材では放 電処理効果が現われなか ったものと考えられる。
1 . 3. 1 . 3. 2 ユリア樹脂
UFの常態、, 湿潤接着力およびその木破率と放電処理量 の関係をFig.11および12に示した。 常態、接着力は コ ント ロ ールの52.2kgf/cm2に対し, 放電量0.533 kWmin/m2で
80.8 kgf/cm2の極大値を示した。 木破率も同じ条件で9%
の極大値が現われ, コ ロ ナ放電処理に よる接着性の改善 が認められた。 温冷水浸漬試験でも常態、試験の結果と同 様, 同じ0.533 kWmin/m2で接着力の極大値が認められた。
しかし, 木破率はすべて0%であ った。
常態試験の場合につい て, その破断状態を実体顕微鏡
。 。
•
•
。
•
。 。
•
。 。
θ
・・8 -
。 0 0
120
80 100
60 40
(NEU\』mv一)こ←mcωL←ω←c
一o?ωコ)U
1 2 3
of treatment (ÝkWmin/m 2) O O
Degree
Effect of corona treatment on strength of joint glued with PRF.
• wet.
- 25-
o
dry,Legend:
Fig. 10
80 60 40 20 1 00
(Nευ\Lmv+)「←←m
cωL←ω←c
一oアωコ-u
1 2 3
of trea↑men十(ゾkWmin/m2) O O
Oegree
Effect of corona treatment on strength of joint glued with UF.
• wet.
o dry,
Legend:
Fig. 11
\
n U100 80
� 60
コ
ロ
刀40
03
020
0 o
-1 2 -3
Degee of treatment (ゾkWmin/m2 )
Fíg. 12
Effect of corona treatment on wood fai
1ure.
Legend: 0 PRF dry, . PRF wet, 口UF dry, 圃UF wet.
一27-
を用いて検討した結果, コ ント ロ ールでは接着剤と木材 間の界面破壊であ ったが, 放電処理にともない接着層の 凝集破壊の割合が増加し, 極大を示した0.533
kWmin/m2
以上の放電処理量ではすべて凝集破壊(木部破断および 接着層破壊) であった。 その後, 接着剤jの凝集破壊が主 体となり, 接着層内の気泡も多くなった。 この破断部の観察により, コ ロナ放電処理によ っ て接着剤!と木材間の 親和性が向上した ことは明らかであり, 過剰処理に よる 接着力低下は主として接着剤jの木材中への過剰浸透によ るものである。 一方, 温冷水浸漬試験の場合は全条件で 接着剤!と木材間の界面破壊であった。 それ故, 接着剤jと 木材間の親和性は向上してい るものの温冷水浸漬試験で 木破率が生じる程度の強い親和性を得るまでには至って
いなか ったと考えられる。
1 . 3. 1 . 4
接着力と湿潤性の関係UFの常態、 および湿潤接着力と蒸留水およびUF主剤によ る接触角 コ サイン値との 関係を F
i
g . 13, 14に示した。 用いた 液体にかかわらず , 傾向 は ほぼ似 て いた。 すな わち ,
放電処理により接着力が改善される範囲に ついてのみ正 相関が認められた。 このように接着力と接触角 コサイン
100 80
40 60
(NEU\』mx)戸土m
cωι←ω
←c
一o?ωコ-u
•
20
o 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Cosine仁onta仁トロngle O -0.2
Relationship between strength of joint glued with UF and co sine Fig. 13
contact-angle with water.
• wet.
一29-
o
dry,Le gend:
100 80 60
(NEU\』mX)工+m
cωL←ω
40 20
←c
一o?ωコ)U
ー0.4 -0.2 0 0.2 O.ら Cosine仁ontaけ-angle O -0.6
Relationship between strength of joint glued with UF and cosine Fig. 14
contact-angle with UF.
• wet.
o dry,
Legend:
値が比例する ことは有機溶媒で抽出成分を除去する方法
3 7 )の場合などでも認められている。 蒸留水による傾向は,
これまでのパッ チ式処理4 9 . 5 13 )と同じであ った。 放電処 理 量が増 加する と , 過 剰 処理にと も な う 接着力低下によ
り, 接触角コサイン値は高いが接着力の低いプロ ッ トが
現われ始める。 これらのプロ ッ トは負の相関を有する第
二の直線沿形成していると考えられるD この第二の直線
を生じる原因は, 先に述べた接着剤の過 剰 浸透である。
そのため, 湿潤 性 ( 接触角コサイン値) は これま でのよ
うに接着性の明確な指標として用いる ことはできず, 他
の新たなる指標を模索する必要がある。
1 . 3. 1 .
5 接着力と表面白白エネルギ-一般に固体の表面白白エネルギーと液体の表面張力が 近づくほど良好な接着が可能になるとされているい)。 木
材を用いた場合, 接触角はみかけの値であるにもかかわ らず, 木材接着においても指標として利用されているの で4 8 ・ 48), 本研究でもその検討を行い, その結果をFig.
1 5, 1 6に示した。 これらの 図 の傾向は, 接触角コサイン
値との関係を示した Fig.13, 14とほとんど同じで正相 関と負相関の2直線から成っている。 接着力が極大(直を
句BBムqtu
100 80 60
(NEU\』mv→)「主?」ωL←ω
40
20 タごd
←c一o?ω2u
30 60 90 120
Surfa仁e-free energy (erg/仁m2) 0 0
Relationship between strength of joint glued with UF and surface-free energy by harmonic-mean method.
• wet.
o dry,
Legend:
Fig. 15
100
80
60
(NEU\』OX)戸土mcωL←ω
40
少 す
20
← c 一o?ω コ5
100 150
energy (erg/仁m2) 50
Surfa仁e-free
。 。
Relationship between strength of joint glued with UF and surface-free energy by geometric-mean method.
• wet.
円ベuntu
o dry,
Legend:
Fig. 16
示すコサイン値から何らの情報を得る ことはできなか っ たが, これらの図から明らかなように , 接着力が極大値 を示した処理条件での木材の表面白白エネルギーとUfの 表面張力(66.1dyn/cm)がほぼ一致した。
Fig. 7, 8のように放電処理によ って木材の表面白由
エネルギーが増加した後, 減少するとは考えられない。
液
体
の浸透により接触角が真の値からずれたため, 計算 上値が低下したものと考えられる。 しかし, 浸透も湿潤 性向上の結果であるこ とから, とのことを承知で接触角を用いることも一つの方法である。
この図の結果, みかけの値ながらも接触角から表面白 由エネルギーを算出し, 用いる接著剤の表面張力と一致 する点を与える処理条件を最適条件とする方法が好まし い ことが明らかとな った。 なお, 表面白白エネルギーの 算出方法に, 調和平均と相乗平均を用い る方法があり,
この両者間に決定的な優劣は現在のと こ ろ見あたらない が, 今回の結果からは相乗平均の方がよく一致した。
1 .
3.
2 針葉樹材の接着性改善1 . 3. 2 . 1 湿潤性
接着試験用試験片を透過光により観察したところ,
抽
出成分が存在しているために光を透過する部分があり,
抽出成分の偏在が認められるもの, また全体に存在する ものがあ った。
この結果, 抽出成分の影響(量および偏在)を検討す るため, その分布状態、により分類し, それぞれについて
アル コ ール ・ ベンゼン抽出成分量, 気乾比重および接触 角コザイン値を求め, Table 2に 示した。
上述の抽出成分量と接触角 コサイン値との関係をFig.
1 7に示した。 接触角コサイン値は抽出成分の増加ととと
もに減少した。 0.533 kWmin/m2の放電処理55)でその値は 全体的に約o . 1程度増加したが, 未放電の場合と同じ傾き であ った。 木材表面で水の接触角におよぼす放電処理の 効果は抽出成分量に依存しなか った。 抽出成分量o %に 外挿した時のコサイン値の変化から, 抽出成分の無い木 材実質のみでも放電処理の髭響を受けると考えられる。
また, 抽出成分の分布状態に応じて試片を選別したが,
この図の結果から, 単に抽出成分量で論じれば良い こと が明らかである。
1 . 3 . 2 . 2
臨界表面張力臨界表面張力測定に用いた試験片を気乾比重によ って
Fhu qベU
Table 2 Extractives. specific gravity. contact angle and glue-joint strength of classified specimen for gluing.
Cosine Glue-joint Extractives Specific
Class contact strength
(%)
gravltyangle (kgf/αn2
)
Control 0.58 46.2
2.5 0.60
Discharged 0.66 43.9
Control 0.48 41. 3
2 4.7 0.67
Discharged 0.66 42.1
Control -0.05 25.3
22.9 0.73
Discharged 0.02 31. 7
Control 0.65 41. 5
4-1 5.1 0.65
Discharged 0.68 42.6
Control 0.04 21. 5
4-2 18.1 0.83
Discharged 0.17 28.7
0.4 0.8
0.2 0.6
。
ω)mcロ
←υロ←cou
ωC一ωO〕
25 10 15 20
Ex trQC t Îves (今ら)
ハU 勺/ι ハU 5
Relationship between cosine contact-angle and Fig. 17
extractives content of specimen for gluing.
• Discharged.
o Control,
- 37- Legend:
3種類に分類し , それぞれの抽出成分量と臨界表面張力 を求め, その関係を Fig.18に示した。 接触角と同様,
未放電材では負の相関が見られた。 0.533 kWmin/m2の放
電処理により, 抽出成分の少ない部分では臨界表面張力 は減少していたが, 多い部分では増加していた。 臨界表 面張力におよぼす放電処理量の髭響をFig.19に示した。
放電処理量が増加するに つれて臨界表面張力は未放電試 料の32"-' 5 3dyn/cmの広がりから40"-' 50dyn/cmに少し収束 した。 すなわち, 抽出成分量の少ない材では放電処理に より臨界表面張力は低下し, 多い材では増加していた。
この結果を説明するモデルを仮定すると次の様になる と考えられる。
コ ロナ放電処理されると, マツの抽出成分自身の臨界 表面張力は増加するが, それ以外の構成成分の臨界表面 張力は少し低下する。 抽出成分の存在量と材表面を占有 する抽出成分の面積が比例する。
この仮定に従えば, Fig.19のように放電処理の効果が 抽出成分量により異な ったものと考えられる。 なお, 臨 界表面張力と接触角コサイン値での結果が異なることに ついては後でふれる。
40
30
20 60
50
(EU\亡、(勺)CO一ωcω←
ωυ ロ
℃コω
)ロυ一←一L〕
25 10 15 20
Extractives {今令) 10 0 5
surf ace tension and Relationship between critlcal
Fig. 18・
extraxtives content of specimen for surface tension.
• Discharged.
o Control,
- 39- Legend:
60
50
40 (Eυ\CK〈℃)CO一ωcω←
30
20 ωυロ u←」 コω )ロυ 一←一 」〕
0.4 0.6 0.8 1.0
o f trea tment (kW min/m2) 必iES ハHV ハU nu nuJ O」 Fl 0.2 。」凸」
Effect of corona treatment on critical surface Fig. 19
tension of specimen for surface tension.
o
20.3%.
口5.8%,
ム2.4%,
Legend:
1 .
3 . 2 . 3
接 着 力これまでの知見から, 抽出成分のために疎水性とな っ たアピトン材 に ついて, 0.533 kWmin/m2の放電処理を行 うと, 接 着 力の最も増加する ことが明らかにされている
5 5 )。 今 回 用 い た ク ロ マツで
も放電 に よ る
接 着力 の 増
加が
期待されるため, 放電処理材の常態、接 着 力を抽出成分との 関 係に お いて F ig. 2 0に示した。
抽出成分が比較的少な い5 %付近では処理による接 着 力の増加は認められな か っ た。 抽出成分量が多くな ると 放電処理により, 接 着 力は増加傾向を示した。 また, 抽 出成分o %に外挿した場合, すな わち, 抽出成分が存在
しないと考えられる場合, 未放電材は47.3 kgf/cm2, 処 理材は45.5 kgf/cm2と放電処理により接 着 力が低下する と考えられる。 放電処理により, 抽出成分を除いた材実 質の接着力は表面張力の減少にともない低下し, 抽出成 分の存在する部分の接 着 力は表面張力の増加とともに増 加する。 この結果, 先の仮定がFig.20においてもよく適 合していると考えられる。
また, 本試料の場合に は, 比重の違いは 抽出成分量の 差異によるものと考えられるので, 試験、 片個々の比重と
- 41-
60
50
40
30
20
(NEU\』mv→)こ←ocω」←ω
← c 一O下 ω コ己
20 25
10 15
Extractives (今乞) 5
10 0
Relationship between glue-joint strength and Fig. 20
extractives content of specimen for gluing.
• D i s charged.
o Control,
Legend:
接着力との関係を未放電材に つい てFig.21�ご, 放電処理 材についてFig.22に示した。 未放電材では, 負の相関が 見られ, 抽出成分量の増加とともに接着力の低下するこ
とが認められた。 比重と接着力の一般的な関係、 は正相関 であるが56), 本デー タでの比重増加は単一樹種での抽出
成分量の増加によるため, 負相関にな ったものと考えら れるoJ 一方, 放電処理により, 比重O. 60� 0.75の抽出成 分の少ない試験片では平均強度が低下した (Fig.22)。
しかし, 比重o . 8以上の抽出成分の多い放電処理試験片で は接着力が向上し20 kgf/cm2以下の値は存在しなか った。
これは, 抽出成分の多い部分では放電処理による湿潤性 改善A 9・5 ø・55.57 )の結果接着力が増加し, 少ない部分で
は湿潤性のわずかな減少に加えて材の表面劣化が強く影 響したものと考えられA 9・58 55i, F i g.20での仮定を支持 する結果であると考える。
そご で湿潤性と接着力の関係について検討し, 結果を
F
i g
. 2 3に示した。 未放電材では接触角コサイン値が増加 すると同時に接着力も増加した。 放電処理材の場合も同 様であるが, 傾きは小さくな っていた。 接触角コサイン 値が小さく, 試料がぬれにくい場合, 接着力は放電処理一43-
60 。
。
。
060。 �
。
。 。 争。
40
トー。
。
θ
(NEU\』ov→)こ←ocωL←ω
。 。
。
1.0
。
」 ω
aFl vyd
vv G Fl 門UJ
。
0.8
。
_l
0.7 Specifj(
0.6
ト-
「、J ハU ハU
←c 20
一o下ωコ己
Relations hip between glue�joint strength and specific gravity of non-treated specimen.
Fig. 21
60 にb
。
8
。。
o
f't00
c9 (00 ceo 0 0
0
L O
40
。
0 00 0
。 。
も
(NEU\』mv一)こ←
m cωL←ω
1.0
。
Qノ 1
・
一ハU
一 vy 一 E?i
聞 ・ !
一ハUPt 」8ω
門ud 0.7
Specifi仁 0.6
トー
0 0.5
←c 一O下ωコ)U 20
Relationship between glue-joint strength and specific gravity of corona treated specimen.
- 45- Fig. 22
30 20 60 50 40 (NEυ\』mv一)こ←o
c ωL←ω
←c 一O下ω2u
0.6 0.8 angle 0.4
contact 0.2
0
Cosine
勺乙 ハU ハU ペl・
Relati onship be tween glue-joint strength and Fig. 23
cosine contact angle of specimen for gluing.
• D ischarged.
o Contr ol,
Legend:
により増加した。 しかし , 接触角コサイン値が大きいも のでは接着力が減少していた。 湿潤性改善の結果, 接着 力が増加するならば, コ ロナ放電処理の有無にかかわり なく同一の直線上にプロ ッ トが乗らなければならない。
この結果, 湿潤性の指標として接触角コサイン値は適当 ではないと考えられる。
本研究で求めた臨界表面張力と接着力との関係につい てFig.24に示した。 未放電, 放電材を問わず直線になり,
高い相関を示した。 この結果, 被着体表面の湿潤性を良
く表現できるものは単なる接触角よりも多くの液体での 接触角から算出したZissmannの臨界表面張力である。
以上のごとから, 抽出成分の少ない材については, 放 電処理に より 接着力は一定か減少し, 臨界表面張力は 低下したが, 接触角コサイン値は増加した。 抽出成分の 多いものについては, 放電処理により, 接着力と臨界表 面張力は増加し, 接触角コサイン値も増加した。
抽出成分を含まない細胞壁実質(以下, 壁実質と略) と抽出成分は, 放電処理によりそれぞれ異なる変化をす ると仮定すると, 壁実質では, 水に よる接触角コサイン 値は増加するものの, 接著力および臨界表面張力は低下
- 47-
40 30 20 60 50
(NEυ\』mv→)工←m
cω」←ω
←c一0「tωコ-u
50 60 70
tension (dyn/cm) 40
surface 10 20 30
Critical
Relationship between glue-joint strength and Fig. 24
critical surface tension of specimen for gluing.
• Discharged.
o Control,
Legend:
し, 抽出成分では接触角 コサイン値は増加し, 接着力,
臨界表面張力とも増加することが考えられる。
木材表面での材と抽出成分の存在形態について, 壁実 質が抽出成分に覆われた部分と, 壁実質部分そのものが 表面に存在する部分があると考える。 その抽出成分が木 材表面において占有する面積が抽出成分量に ほぼ比例し ていたと考えると, 抽出成分量と放電処理に ついて, 湿 潤性と接着力の挙動が説明できる。
抽出成分そのものに対する放電処理の影響を検討する ために, マツ抽出成分のキ ャ ストフ ィルムの成型を試み たが, 糖類、 であろうと思われる物質に阻害されフ ィルム 調製は困難であ った。
抽出成分が放電処理によ って変化したとする報告ら7 )が なされていることから, 今後, マツの抽出成分のキ ャ ス トフ ィ ルムの作成方法を検討し, このような関係を確認
することが必要であろう。
1 .
3. 3
コ ロナ放電処理効果におよぼす木材合水率の影響
1. 3. 3. 1 湿潤性
1 . 3. 3. 1 .
1 接触角- 49-
コ ロナ放電処理が木材表面の湿潤性に与える影響に つ
い て, 接触角の面から検討し , (夜滴滴下1 0秒後の処理材 表面上のフ ェ ノ ール
・
レ ゾルシノ -ル共結合樹脂(P R F),ユリア樹脂( U F ) , グリセリンおよび蒸留水を用いた時の 接触角の コサイン値と放電時の合水平の関係をFig.25に 示した。 なお, 湿潤性に およぽす木材含水率の影響を一 定にするために, 放電処理後に木材の含水率を12 %に調 湿後, 接触角の測定を行 った。
PRFでは放電時含水率12%付近を頂点とするゆるやかな 山なりの曲線とな っていた。 UFの傾向も良く似ているが 放電時含水率9 %で頂点とな っていた。 グリセリンおよ び蒸留水ともに, 放電時含水率12%を頂点とする山形を 示した。
PRFの値が高く山なりの傾向がその他の液体よりも少な
いのは, P R Fの表面張力が他の液体より{まくらい, 湿潤性
が良好であるためと思われる。
木材は多孔質であるため, 真の接触角を求めることが できない。 それ故, 接触角の測定におい て, 液体の木材 への浸透などを考慮する必要があるため, 蒸留水の接触 角コサイン恒におよぼす滴下後の放置時間の影響に つい
0.4 0.6
0.2 0.8
。
ω)mcロ
七σ←cou
ωC一ωO〕
- 0.2
0 25
Effect of moisture content at corona discharge on cosine
20 (0/0) 15
content 10
門oisture 5
Fig. 25
口町.
OPRF,
.Glycerin,
- 51- contact angle.
.Water,
Legend:
て検討し , その結果をFíg.26に示した。
放電処理木材では放置時間とともにコサイン値が増加 していた。 また, 非多孔質であるため浸透の生じないガ ラスやポリエチレ ン ではそのような現象は認められなか った。 このように放置時間とともに接触角コサイン値が 増加するのは水の試料への浸透のためである。
未放電処理木材は, 非極性で多孔質ではないポリエチ レ ンと値はよく似ていた。 しかも, 多孔質であるにもか かわらず, 浸透の影響によるコサイン値の増加があまり 見られなかった。 ガラスは非多孔質なのでほぼ一定値を 示すはずであるが, 水の蒸発あるいは拡張濡れに基づく わずかな増加が認められた。 放電処理木材では, {直の増 加が大きく, 浸透の影響が大きく現われていた。
液滴にグリセリン, P R FおよびUFを用いた場合でも, 放 電時含水率12 %で最も良い湿潤性を示した。 滴下後の放 置時間の増加にともないFíg.25とほぼ同様の傾向が現わ れた。
初期浸透の様子を詳しく検討するため に, 放置時間l 分までの接触角コサイン値の傾向を放置時間の平方根と の関係においてFíg.27に示した。 <夜滴の幅に変化が少な
0.8・
0.4
0.2 0.6 1.0
。
ω)mcロ
←υロ←cou
ωC一ωou
20 10 15
Time (min) 5
ー0.2 0
Effect of time after contact on cosine contact angle with water.
fig. 26
012%,
.Control.
口9%,
‘) PE,
ム4%,
.À21%,
円ぺUFhd
⑩Gl ass,
.17%,
Legend:
0.9
0.6
。3
。
ω)mcd
←υロ←cou
ωC一ωou
1.0 1.5
げ市百)
0.5 Time
。 -0.1
Effect of time after contact on cosine contact angle with water.
Fig. 27
012%,
.Cont rol.
口9%,
‘) PE,
ム4%,
Â21%,
()Gl ass,
.17%,
Legend:
く, 高さが減少した ことから, 直線の傾きは主として蒸 留水の試料中への浸透速度を現わしている。 未放電処理
木材は, ポリエチレ ンやガラスとよく似た傾向を示し,
傾きが小さく浸透が非常に少ない ことが明らかである。
それに比べて放電処理木材では, 放電時の含水率の違い
にもかかわらず直線の傾き, すなわち浸透速度が同じで
あった。
蒸留水に替わってグリセリンを用いた場合をFig
.28に
示した。 ガラスで, 値の増加を示していた。 これはガラ
ス板上でグリセリンの拡張濡れを生じたため, 液滴が横
に広がり, コサイ ン値の増加をもたらせたと考える。
未放電材では コサイン(直の増加が小さく, 多孔質では
ないポリエチレ ンに近い傾きであり, グリセリンを用い
た場合でも浸透性が低い ことを示している。 しかし, コ
ロナ放電処理により, 傾きが増加し, 浸透性が良好にな
ることが明らかである。
このように , 木材の初期浸透性は放電処理により増加
するが, 放電時の含水率にあまり影響されない ことが明
らかとなった。 すなわち, 滴下後の放置時間1分までの
状態においては, 液体の木材への浸透がまだ少なく, 木
Fhd 「hu
0.9
0.3 0.6
。
ω)mcロ
←uロ
←co uωC一ωO〕
1.5
Effect of time after contact on cosine contact angle with
げ市百)
0.5 Time
。 - 0.1
fig. 28
gl ycer i n.
012%,
.Control.
口9%,
() PE,
ム4%,
.A.21%,
⑩Glass,
.17%,
Legend:
材の極性の影響が現われていな. いため, 同じような傾き
が得られたものと考える。
1. 3. 3. 1. 2
液滴の体積接触角測定において, 滴下後の放置時間が長くなると,
液滴の高さが減少した。 このように , 液滴の形状が変化
する原因はt, 先の接触角コサイン値の結果から, 木材内
への液体の浸透であ った。 そのため, 液滴の木材内への
浸透をより明確に把握するために, 浸透が生じた後の液
滴の体積を算出する方法を検討した。
先の結果から, 液体の体積の減少部分が木材内に浸透 したと考えてよい ことから, 液滴の高さ( h )と幅(
2
a )および長短軸比( r )を求め, 形状が楕円体の一部であると仮定
して体積( v )を算出した。
t
v
== (t 2- x 2)d x
ただし, 七 == (h 2+ a 2)/2h
滴下後1 0秒後の体積の値を1として体積比を求め, F i g.
2 9にその結果を示した。 なお, 横軸は滴下後の放置時間 である。
- 57-
dlEE - AIS-
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
。一←ロL ωE三o>
15 20
nu m
10 Time 5
0.5 0
Effect of time after contact on volume of water droplet.
.17%,
012%,
.Control.
ム4%, 口9%,
.Â21%,
Legend:
Fig. 29
未放電処理木材では, {本漬減少が少なく, 放電処理に よ って体積減少が著しくなる ことが明らかである。 なか でも, 放電時含水率12%で減少が最も著しい。 次いで,
9. 17%が著しくなっており, 接触角コサイン値の結果と 非常に良く一致していた。
なお, 液滴にPRFを用いた場合をFig.30に示した。 水の 場合と傾向は良く似ていたが, 全体的に変化の幅が小さ
くなっていた。 PRFの良好な浸透性の結果 , 変化の幅が少 なくなったものと考える。
接触角コサイン値あるいは液滴の体積減少の方法によ っても, 放電時の木材含水率12%で最大値を示す傾向が 得られた。 コ ロナ放電処理の場合, 木材含水率の変化に よって大きく影響される因子は誘電率であると考えられ る。 誘電率は合水率の増加とともに増加しており, 不連 続点が現われることもない 4 2 )。 また30kHzの高周波を用
いているために誘電体損失(tan 8 )も生じているが, この
t a n 8もまた, 合水率の増加にともない増加するのみであ るけ)。 ただ, ta n 8と含水率の関係図において含水率15
%付近で極大値が得られている場合があり59)' この場合 に該当するのかもしれない。
nu.u phd
バ11' λ1Ea
1.0 0.9 0.8
。一←σL
0.7
ωE三o>
10 15 20 ( min ) Time
5 0.6
0.50
Effect of time after contact on volume of PRF droplet.
.17%,
012%,
.Control.
ム4%, 口9%,
.Ã21%,
Legend:
Fig. 30
1. 3 . 3.
2浸透深さ
これまで接触角コサイン値や液滴の体積減少から推測
し て 来た木材への液体の浸透性 に つ い て , P R Fを用いた場
合 に つ い て実測 し , そ の結 果 をFi g . 3 1 に 示した。 なお,
縦軸は木材表面1.15mm (繊維横断方向)長さ当たりの最 大浸透深さである。 横軸は, 未放 電 木材の場合はPRF滴下 時の含水率であり, 放電処理木材の場合は放電時の合水 率である。
未放電木材では含水率12%までは12μ m付近であ ったが,
合水率が12%を越えると, 21 %での3 0μ mまで, 急激に増 加していた。 この大きな浸透は良好な接着をもたらせる
のではなく, そ の粘度が低下 して, 接着剤浸透が過大と なり, 欠跨接着等の悪影響をもたらせるためである6810
放 電処理木材では放 電時の含水率の影 響は比 較 的 少な く25'""'-' 3 0μ mの浸透であ ったo P R F滴下時の木材含水率が 12 %であ ったことから, 未放電木材の場合の12%に比べ て, 浸透性が向上しており, 放電処理の効果は歴然とし ている。 しかし , 放電時含水率の影響は今一つ明確では なか った。
1 .
3. 3. 3
赤外吸収スペクトル- 61-
30
20
斗-
0 口こ←巳ωω巳co一←ロL←ωc
(E「『)
1 0
0 25
Effect of moisture content at corona discharge on depth of
20 仁ontent(ろ今)
1 5 10
門oisture 5
pe netr at í 00.
Fig. 3r'
peoetration time was 20 min,
Legend: 0 Discharged,
peoetration time was 60 min,
口Discharged,
penetration time was 20 min,
peoetration time was 60 mi n.
• Control,
• Control,
空気雰囲気下での コ ロナ放電によりオゾンが発生する。
また, これまでの研究結果から, 放電処理によって木材 表面の酸化される ことが知られているため 49.55), 木材 表面から削り取った木粉の赤外吸収スペクトルを得た。
ベンゼン核(1500cm-1 )に対するカルボニル(1730cm- 1)の 吸光度比を求め, Fig.32に放電時含水率と の 関係を示し
た。
放電時含水率12 %でカルボニルの増加は認められるが,
他の含水率では放電処理による増加は認められなかった。
含水率21 %においては, カルボニルの吸光度比は減少し ていた。 コ ロナ放電処理を含めて, 非平衡プラズマ処理 では, ラジカルの発生, 二量体化および多量体化, およ び出発物質の完全破壊を含む様々な反応が生じる6 1 )。 と
く に 出発物質の破壊を 積極的 に 利用 し た も の が, プラズ マドライエ ッ チングである6 2 )。 プラズマ処理中では様 々 な反応が生じているため, 特定 の 反応だけを行なう の は
困難であり, またこれが欠点とな っている。 それ故, ヵ ルボニルが消失することも十分に考えられる。
一方, 放電時含水率 1
2
%で最大値を示す傾向は, 接触 角コサイン値等の傾向と類似していた。 このことから,- 63-
2
(oom←《\omト←《)
。一←ロL
ωUCロ2LOω心《
。
25
Effect of moisture content at corona discharge on absorbance ratio.
(号令) 20
content 10 15
門OIS↑ure
。 5
Fig. 32
カルボニルの生成が, 放電処理による湿潤性の増加の一 因である ことが明らかである 1) 9 . 5 5 )。
1 . 3. 3. 4 接着力
これまでの結果, 合水率12%のアピトン材に ついて,
コ ロナ放電処理量と接着力の関係は最大値を示した 4 9 .
5 5 )。 同じ木材に ついて, 放電時の含水率が接着力に及ぼ
す影響を, P R Fを用いた場合に ついてFig.33に示した。
未放電の場合, 常態、接着力は接着時の木材合水率の増 加と共に減少していた。 湿潤接着力もよく似た傾向であ るが傾きはかなり小さくな った。 木材中の水による接着 剤jの希釈の結果, 接着剤jの凝集力が低下したためである と考えられる。 合水率が20%を越えても, 常態、接着力で 100 kgf/cm2付近, 湿潤接着力で55kgí/cm2の値であり,
PRF接着剤jが高含水率木材の接着に利用可能であることを 示している。
放電処理木材の場合, 常態、 接着力は放電時含水率17%
で最大とな った。 湿潤接着力ではわずかに増加するのみ であ った。
接着剤jにユリア樹脂( U F )を用いた場合を, Fig.34に示 したc 未放電木材では, P R Fの場合と同様の傾向であり,
- 65-
120
110
100
90
(NEU\mvここ←m c ωL←ω
80
ロ
70
60
← c
一oアωコ)U
50
0 20 25
(今色) 15
仁ontent 10
トイoisture 5
Effect of moisture content at corona discharge on joint strength Fig. 33
glued with PRF.
dry str ength,
Legend: 0 Discharged,
wet strength,
口Discharged,
dr y s trength,
• Control,
50
40 30
20 10
(NEU\mvここ
←mcωL←ω
←c
一oアωコ-u
• E
口一・
•
。
富一。 20 25
(0/0) 15
content 10
門oisture 5
Effect of moisture content at corona discharge on joint strength
Fig. 34gl ued
with UF.
d r
ys t r e n g th,
Legend: () Discharged,
wet strength,
口Discharged,
dr
ys tr ength,
we t s tr ength.
- 67-
•
Contro 1,
• Control,
接着時含水率の増加にともない接着力は減少した。
一方, 放電処理木材の場合, {直が極端に低いため放電 時含水率の影響は認められない。 また PRF. UFどちらの
場合も, 木破率と放電時含水率の関係は認められなか っ
。
た湿潤性および赤外吸収スペクトルで認められてきた傾 向が, 接着力の場合に認められない原因として, 接着に 彫響する因子が多すぎるためであると考えられる。 木材 接着に関する因子は, 数多く存在するが63), 本研究では,
接着剤に ついての因子と接着操作(塗布, 圧締など)を 一定とした。 それでも, まだ, 合水率の他に影響する因 子がまだ多く存在するため, 接着力からは明確な傾向が 得られなか ったものと考える。 なお, 接着力と接触角コ サイン値や赤外吸光度比の関係は既報4 9 ・ 5 5 )と同じであ
り, 今回だけが特異なデー タではなか った。
1 . 3. 4 放電雰囲気の影響
1 . 3. 4 . 1 湿潤性
前節までのコ ロナ放電処理装置では雰囲気調整を行う ことは困難なので, 本節では, ネオントランス(15kV)を 電源、 とする平板電極をデシケー タ内に設置して処理を行
った 49 )。
空気雰囲気下コ ロナ放電処理において , 処理後の経過 時間とともに湿潤性が減少したことから 49), 窒素雰囲気
下コ ロナ放電処理でも, 処理後の経過時間の影響に つい て検討し, その結果をFig.35に示した。 比較のために空 気雰囲気下での値49 )も示した。 放電直後で コサイン値が
1に達していない こと, および経時変化の比較的少ない ことが特徴的であ った。 平衡状態、は3 8時間以後で現われ ていたが, 前節の空気雰囲気下での処理と比較検討する
乙とを目的として, ほぼ平衡に達した 2 4時間後に各物性 の評価を行うことにした。
放電処理後,
2
4時間経過後の接触角コサイン値と処理 時間の関係をFi g . 3 6に示した。 未処理試片でO. 090であ っ たものが, 窒素雰囲気下放電処理により約O.9�1.Oに改善される ことが明らかとな った。 放電に よる接触角の初
期増加速度は処理電圧 に比例 して おり, 平衡{直 も 比例 し た。 4 . 5 k Vに ついては既報49)と同様, コ ロナ発光が見ら れず, 値も低いことから窒素中においてもコ ロナ放電は 生じなか った。 この図の全体的な傾向は, 既報� 9 )と同様 であ った。 しかし, 9.0kV, 13.5kVとも, 1
2
0分処理を行n可uphU
1.0
0.9
ω一mcロ
0.8
←υロ
←cou
0.7
0.6
ωC一ωO〕
40 50 20 30
Time (hr) 10
。
。
Effect of time after corona treatment on cosine Fig. 35.
contact angle.
20 m i n.
。in air.
Conditions of discharge were 13.5kV,
o in ni trogen,
Legend:
1.0 0.8 0.6
ω)mcロ
←u d←co u
む
0.4 0.2
ωC一ωou
120
Effect of nitrogen corona tre atment on cosine
nH m刈 m ρ」 m '+l ハけV 門UJ 〆hu nH 門ud pi G 'hH FL ハU 〈) 「コ ・11 nu
4.5 kV.
o 13.5 kV,
‘〉
9.0 kV,
、64 勺I・
• 15.0 kV,
() contact angle.
Legend:
。 。
Fig. 36
っても, コサイン値1 . 0に達しなか った こと, および接触 角の改善速度がやや遅い ことが空気雰囲気下の場合と異
なっていた。
1 . 3.
4 . 2 赤外吸収スペクトル窒素雰囲気下の場合には, 空気雰囲気下の場合に比べ て, 酸素が存在しないため, オゾンの発生はないものと 考えられる。 そのため, 放 電処理後の木材表面の赤外吸
光度比が空気雰囲気下と大きく異なると予想されるため,
その吸光度比を求め, Fig.37に示した。 比較のために空
気 雰囲気下での結 果 4 9 )も示した。 予想、 どおり, 放 電によ る増加はかなり少なくな っていた。 しかし, 値のバラツ キはあるものの若干の増加が認められ, とくに15
.
0 k V放電の100 . 120分処理で増加が認められた。 木材は多孔体で
あり, 特有の組織構造を有しているため, 細胞内腔中の 空気を除去するのは容易ではない。 それ故, この原因と して木材細胞内腔中に含まれていた空気中の酸素からの
オゾン生成によるものと考えられるために, 放電後, セ
ル内のオゾン濃度の測定を検知管を用い て行 った。 セル
内に試料 を装填した場合の オゾン濃度の測定結果をF i g.
3 8に示した。 13. 5kV. 1
2 0
分処理で
は 1 . 4ppmであり, 1 0分
‘〉
0.8
(・1.2
0.6 0.4 1.0
(oom「 《 \omト「〈)0一←ロL
ωUCロ2LOmw{]
《
nu ・i 「コ ハHv rL〈) tn FI Q nuJ n fo nu.d ハu Li m ρ」 m刈 m nH 120
。 。
Effect of nitrogen corona treatment on absorbance ratio.
Fig. 37
9.0 kV,
() o 13.5 kV,
。13.5 kV in air.
• 15.0 kV,
4.5 kV,
- 73-
‘〉
Legend:
1.5
•1.0
(E巳〔])CO工ロL←cωucou
ωCONO 0.5
30 60 90 120 Dis仁hQrging time (min)
。 。
Effect of nitrogen corona treatment on ozone Fig. 38
o 13.5 kV.
concentration in c ell.
• 15.0 kV,
Legend: