九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
コンクリート充填角形鋼管柱の耐力および変形性能 の評価法に関する研究
中原, 浩之
Graduate School of Human-Environment Studies, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3150874
出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
2.49) Sargin, M., Ghosh, S.K. and Hanada, V.K., : Spiral1y Reinforced High‑Strength Conc陀teColumns, ACI Journal, Vo1.81, No.35, Sept.‑Oc, .tpp.431‑442, 1984.
‑86‑
. . . . . . . ‑
第 3 章 一定軸力下における等曲げ実験
9
3.1 序9
3.2 実験概要 3.2.1 実験計画 3.2.2 試験体3.2.3 加力装置および測定装置
9
3.3 高強度コンクリートを用いた単調等曲げ実験 3.3.1 Stub Columnの実験結果3.3.2 一定軸力下における単調等曲げ実験結果 3.3.3 まとめ
9
3.4 繰り返し等曲げ実験3.4.1 Stub Columnの実験結果
3.4.2 一定軸力下における繰り返し等曲げ実験結果 3.4.3 まとめ
9
3.5 結論第3章の参考文献
‑87‑
. . . . . . . ‑ ・
第3章 一 定 軸 力 下 に お け る 等 曲 げ 実 験
S
3.1 序コンクリート充填鋼管は,軸剛性,曲げ剛性が高いので, 実際の建物にはある程度の長さを持つ柱材 として用いられることが多いと考えられる。この為,
C
円柱に関してはせん断変形挙動よりも曲げ変形 挙動が支配的となり,曲げ性状の把握が重要である。柱材は通常に,軸力と曲げモーメントとせん断力 からなる複合応力を受けるが,曲げ材としてのより基礎的な耐力および変形性状を明らかにするには,軸力と曲げモーメントを受ける柱に関する実験デ}タが必要となる。
柱に軸力と曲げモーメントを載荷する実験には,偏心圧縮実験と一定軸力下で曲げモーメントを加力 する実験とがある。曲げモーメントによる柱の水平変形を無視しうる短い柱の場合は,前者は偏心率が 一定の実験,後者は偏心率が変化する実験となる。軸力のみを載荷すればよい前者の実験は,比較的容
易に実験が行え,角形CFf柱に関しては主に長柱の曲げ耐力および座屈後挙動を明確にすることを目的 とした実験研究3.1)・3.3)に多く採用されている。しかしながら,偏心圧縮実験においては載荷軸力が一定 ではなくモーメントに付随して変動することになる。通常,柱材マは変形がどの程度で軸力を保持でき なくなるかが変形性能の判断基準として採用されることが多いため,偏心圧縮実験は,塑性域を含む断 面の曲げ変形性状を観察するのには適切でない。そこで,より基礎的な断面の耐震性能を得るために,
本章では一定軸力下で曲げモーメントを加力する方法を採用し,単調および繰り返し加力実験を行った。
本章では,これらの実験結果を示し,曲げ性状に関する考察を行う。
複合応力を受ける角形C町柱の実験的研究は数多くなされており,曲げ耐力,変形性能,履歴特性な どの解明が進められている。これら多くの実験結果に対するデータベース研究も数多くなされており,
文 献3.4)や文献3.5)が発表されている。日本建築学会「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針
J
3.6)(以下, CFf指針と称す)に示されている中柱を含む短柱の範囲はせん断スパン比が 12以下とされてお り,文献3.4)では,この範囲における389体の実験結果を収集し,曲げ耐力の検討を行っている。文献 3.4)において検討されている,角形CFf柱の加力形式に関する分布を表3.1に示す。また,表中の加力 形式と曲げモーメントを図3.1に示す。
この表を見ると,加力形式がFの純曲げ(一定軸力下の等曲げ)実験は わずか 11体しか行われて おらず,全体の3%程度でしかない。また,過去の角形CFf短柱の一定軸力下の等曲げ実験としては,
Furlong3.7) ,崎野ら3.8)の実験が挙げられる程度で,この種の実験データは他の加力形式と比較して非常 に少ないのが現状である。なお,これらの曲げ実験は全て一方向単調載荷であり,繰り返しの等曲げ加 力を行った実験は調査した限りでは皆無である。
このような状況なので,角形CFf短柱の弾塑性変形性状を考察する為に 一定軸力下での等曲げ実験 を行うことは大きな意義があると考えられる。
本章では. 1997年および1998年の2年間に九州大学にて実施した等曲げ実験について示す。 1997年 の実験は,主に高強度コンクリートを用いた角形CFf短柱の性状を把握することを目的とした実験で,
3.3節「高強度コンクリートを用いた単調等曲げ実験」に示している。1998年の実験は主に角形CFf短 柱の一定軸力下での曲げ履歴性能の把握を目的としている。この実験に関しては,応力除去焼鈍を施し た鋼管を用いてCFf試験体を作成し,鋼管の塑性加工の影響を取り除いた実験資料を得ょうとするもの で.3.4節「繰り返し等曲げ実験
J
にその詳しい結果を示している。本章で示す実験に使用した試験体 の形状および加力装置はほぼ同一であるので纏めて3.2節「実験概要」に示す。表3.1 文 献3.4)に示されている加力形式と試験体数の関係
角 形CFf 円形CFf A.単純梁形式 142体 62体 B.片持ち梁形式 71体 71体
c.大野式 27体 0体
D.十字型骨組み 13体 0体 E.建研式 104体 21体 F.純 曲 げ 11体 49体 G偏心圧縮 21体 0体
合 計 389体 207体
+吋伽JJJJ1~
N N伊川町九 L N
B.片持寮形式
N
→ + A f l 1 1 ' l h : t J
' ̲ N+ 刊 叫 J J Y Y t
川N N
M C.大野式
可 ) M
N
一一骨・
D.+字型骨組 F.純幽¥f G偏 心 圧 縮 図3.1 表3.1の加力形式図
‑90‑
~
~ 3.2 実 験 概 要
3.3節「高強度コンクリートを用いた等曲げ実験
J
および3.4節「繰り返し等曲げ実験jは何れも,九 州大学500トン実験室にて曲げ実験を実施したものである。試験体の形状および使用した加力装置はほ ぼ同様であるので,これらを纏めて本節に示す。3.3節に示す「高強度コンクリートを用いた等曲げ実 験jは.r
第5回日米共同耐震実験研究J
の「個別プロジェクトJ
に含まれる実験研究で,日本側の担 当校が九州大学,アメリカ側がLehigh大学となっている。両校において,高強度コンクリートを充填 した角形CFf柱の一定軸力下における等曲げ実験が実施された。これらは,計画強度約lOOMPaのコン クリート強度を使用しており,鋼管の幅厚比および、軸力比をパラメーターとして実験が行われている。 加力は一方向の単調載荷である。九州大学および~Lehigh 大学の実験結果は,第 5 回太平洋鋼構造国際 会議 (Fif出PacificStructural Steel Conference)にその概要が報告3.9)3.10)されている。3.4節「繰り返し等曲げ実験jは,せん断力の影響を含まない断面の曲げ履歴性状を観察することを 目的とした実験で,このような実験は調査した限り過去に例が無い。この為,特殊な材料強度ではなく,
現実のCFf柱に用いられると考えられるコンクリート強度と鋼管強度の組み合わせの試験体を作成し,
最も基本的な実験資料を得ることを意図している口また,鋼管の塑性加工の影響をできるだけ取り除く ために,溶接組立鋼管を用いて試験体を作成した後に応力除去焼鈍を施した。この実験もコンクリート 強度を一定として,鋼管の幅厚比と軸力比をパラメ}ターとしたロまた,コンクリートおよび鋼管の応 力一ひずみ関係における除荷および再負荷則に関する検討資料を得るために 大振幅で一回繰り返し載 荷する方法と漸増振幅で繰り返し載荷する方法の2通りの加力を行っている。
上記の二つの実験では,曲げ試験体と同一のパラメーターを持つ試験体の中心圧縮実験と,これら CFf試験体に用いた中空鋼管の中心圧縮実験も行っている。中空鋼管の中心圧縮実験は.CFf試験体と 局部座屈性状を比較するために行っており,局部座屈性状の違いによる耐力と変形性能に及ぼす影響に ついて考察している。また. CFf試験体の中心圧縮実験は,軸力と曲げ耐力に関する相関曲線上の特性 点を知る上でも重要なデータであり,曲げ試験体の耐力評価に関する考察の資料となるD
以下に,上記の実験に関する実験計画と試験体,加力装置について示す。
‑91‑
3.2.1 実験計画
九州大学において1997年に実施した「高強度コンクリートを用いた等曲げ実験J(以下, 97年実施実 験と称す)の全体の実験計画を表3.2に示す。また, 1998年に実施した「繰り返し等曲げ実験J(以下,
98年実施実験と称す)の実験計画を表3.3に示す。
表3.2 97年実施実験の実験計画
Loading Condition AxiíllS:o~pression Uniform Bending Section Hol1ow Steel Tube CFf CFf
N/N
。
0.2 0.4ふ=3J OMPa, B/t=32.5 CR4‑6‑0 CR4‑6‑JO BR4‑6‑10‑02 BR4‑6‑10‑Q4.‑1 BR4‑6‑10‑Q4.‑2
.
σy=310MPa, B/t=63.1 CR4‑3‑0 CR4‑3‑10 BR4‑3‑10‑02 BR4‑3‑10‑Q4.‑1 BR4‑3‑1O‑Q4.‑2 .0"y=78JMPa, B/t=31.3 CR8‑6‑0 CR8‑6‑10 BR8‑6‑10‑02 BR8‑6‑1O‑Q4.
.O"F78JMPa, B/t=64.7 CR8‑3‑0 CR8‑3‑10 BR8‑3‑10‑02 BR8‑3‑1O‑Q4.
B/t : width to wall‑lhickness ratio, N/No : axialload ratio, .o"y : yield stress of st回1tube
表3.3 98年実施実験の実験計画
LoadingSondition Axial空空中P竺ssion Uniform Bending S巴ctlOn Hollow Steel Tube CFf CFf
Loading Pattern Monotonic Cyc1ic NIN
。
B/t=33.7 CRA4‑6‑0 CRA4‑6‑5 B/t=47.1 CRA4‑4‑0 CRA4‑4‑5 B/t=98.0 CRA4‑2‑0 CRA4‑2‑5 B/t : width to wall‑thickness ratio, NlNo : 3Xial load ratio
試験体名凡例:
B R A 4 ‑ 6 ‑ 5 ‑02 ‑ C
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
①:加力方法
c ‑
中心圧縮 B‑曲げ②:試験体形状 R‑角形(正方形)
0.2 0.4 BRA4‑6‑5・02 BRA4‑6‑5‑04 BRA4‑4‑5‑02 BRA4‑4‑5‑04 BRA4‑2‑5‑02 BRA4‑2‑5‑04
@:焼鈍の有無 無し・焼鈍を施していない鋼管,A‑焼鈍を施した鋼管
④:鋼管材料強度 4‑4
∞
MPa, 8‑780MPa⑤:鋼管板厚 6・6mm,4‑4mm, 3・3mm,2‑2mm
⑥:コンクリート強度 0・中空,5‑50MPa, 10‑100MPa
⑦:軸力比 02・N川0=0
ム
04・N川0=0.4③:加力方法 無しー単調載荷,
c ‑
繰り返し載荷0.2 0.4 BRA4‑6‑5‑02‑C BRA4‑6‑5‑04‑C
BRA4‑4‑5‑04‑C BRA4‑2‑5ー02‑C BRA4‑2‑5‑04‑C
~
97年実施実験は,中心圧縮実験試験体が8体(中空鋼管試験体4体),曲げ実験試験体が10体であり,
98年実施実験は,中心圧縮実験試験体が6体(中空鋼管試験体3体),曲げ実験試験体が11体である。 表3.2と表3.3を比較すると, 97年実施実験は鋼管の強度を, 98年実施実験は加力方法を,実験変数 としている点のみが異なるだけで,双方とも鋼管の幅厚比と軸力比を主な実験変数としている。また,
どちらの実験試験体も200X 200mmの正方形断面を持つ鋼管を用いており,鋼管の板厚を変化させる ことで幅厚比の調節を行っている。 二つの実験では,コンクリート強度を実験定数としており, 97年 実施実験の計画強度は103MPaで, 98年実施実験の計画強度は50MPaである。前者はCFT指針の適用 範囲を大きく超える計画強度であり,高強度コンクリートを充填した場合の角形CFT柱の曲げ耐力お よび変形性能を鋼管強度,幅厚比,軸力比を変えて調べようとするものである。一方,後者はより基礎 的な角形C打柱の履歴性状を調べるために,一般的に使用されると考えられる強度のコンクリートを 使用した。強度が50MPaのコンクリートは他のRC,SRC構造に対して用いる場合,高強度の部類に入 るが,文献3.11)に示されている 3棟の施工例を見ると, rエルザタワー 55J は 48~60MPa,
r
センチユ リーパークタワーJは30~ 54MPa,r
西島リバーサイドヒルなぎき街超高層集合住宅」は42~ 60MPa の設計強度のコンクリートが使用されており, CFf構造に関して言えば,計画強度50MPaのコンクリートはそれ程希なものではなく,むしろ積極的に利用されているのが現状である。
このような状況の中で,将来用いられる可能性のある高強度コンクリートを用いた実験と,現状で用 いられている強度のコンクリートを用いた柱の基礎的履歴性状を把握する為の実験は有意義なものと考 えられる。
. . . . . . . . . ‑
A‑section B‑section
図3.3に曲げ実験の試験体を示すo97年実施実験には4
∞ x
380x
4臼nmのエンドプレートを, 97年 実施実験には440X4∞
X22mrnのエンドプレートを上下に溶接して取り付けている。それぞれの試験 体の上部のエンドプレートには中心圧縮試験体と同様にコンクリート打設用の160o
の孔を設けている。また,上下のエンドプレートには加力ピームに試験体を取り付けるための26
o
の孔を設けている。図 3.3 (a)の97年実施実験は,一方向単調載荷(いわゆるPushover)実験であるので,曲げ圧縮側には この26o
の取り付け孔は設けていない。 97年実施実験は,降伏強度781MPaの高強度の鋼管を用いた 試験体を含んでおり,試験体の最大耐力以前に試験体とエンドプレートの溶接部における破断が予想さ れたので,この部分を補強するために,曲げ引張側のフランジに9mmの台形補強プレートを設置して いる。鋼管の製作は冷間プレスによる曲げ加工で,鋼飯を 2つのコ形に加工して継ぎ目を突き合わせ溶 接で接合している。一方,図3.3( b )の98年実施実験は,エンドプレートの孔の位置も含めて点対称な形状としている。
鋼管の製作は溶接組立で, 4枚の鋼飯をコーナ一部で溶接している。 98年実施実験では,鋼管強度は実 験定数で400MPa級としているため,溶接部の補強は必要ないとし, 97年実施実験のような補強スチフ ナは設けていない。
3.2.2 試験体
試験体は,中心圧縮,等曲げ実験共に全て2
∞
X2∞
X6∞
mmの正方形断面短柱である。中心圧縮試 験体の形状を軸方向変形の測定装置と共に図3.2に示す口中心圧縮試験体には250X 250 X 12mmのエ ンドプレートを上下に溶接により取り付けている。上部のエンドプレートにはコンクリート打設用の1604
の孔を設けており,全ての試験体はコンクリート打設面を上として中心圧縮力を載荷した。この孔は,中空鋼管試験体には設けていない。図3.2に示す様に,軸方向変形の測定方法はこれら上下のエンドプ レートに取り付けたボルト問の変形を2つの変位計で計測している。この理由は,エンドプレートの変 形を取り除くためで, 2つの変位量から比例計算により鋼管表面における変形を求めているD この変位 計は向かい合う面に l対設けており,合計4つの変位計で、軸方向の変形を計測している。中心圧縮力は,
建設省建築研究所の 10閲ぜ油圧試験機および九州大学の先制油圧試験機を用いて載荷した。
cm N
cm N
('.1 ..... で‑・E・E・‑
日
lg
P4
、.n「一一
4~
200t~
1 1
250
1 1
Section A‑A・ Section 8‑8'
A D
440 440
90 . 1
∞
l∞
90 ~∞~∞~∞ L 220害
I
BI 泊 1 f 函 1 1 1 司 │ 1 : μ ょ:
¥ 立
BPL・9 A‑C ‑Elevation B ‑Elevation ぞ'‑l
‑
︒暗唱
s :
~L
霊
♀ 江 l
125 . 75
A
︒ ︒ 宙
ま
N
8
N
A'
B
Measuring frarne is syrnrnetrical about the centerline of the specimen. Unit in use (mrn)
( a) 97年実施実験 (b) 98年実施実験
('.1
,
・
・4
図3̲3 曲げ実験の試験体 図3.2 中心圧縮実験の試験体と軸方向変形の測定装置
‑94‑ ‑95‑
~
3.2.3 加力装置および測定装置
等曲げ実験に関しては図3.4に示す加力装置を使用した口実験では,まず軸力を設定値(一定軸力) まで載荷し,それから曲げモーメントを載荷した。一定軸力は5MN油圧試験機により蒲鉾球座を介し て載荷し,曲げモーメントは試験体両端のエンドプレートに取り付けた加力ビームを二つの200kN油圧 ジャッキで押し引きすることにより載荷した。また,曲げモーメントを加える際には,付加軸力を伴う が5MN試験機の載荷軸力を調整して軸力が常に一定となるようにした。
試験体中央の平均曲率と軸縮みは試験体にボルトを押しつけて固定した測定リングに取り付けた変位 計により測定した。また,図には示していないが加力直交方向にも変位計が取り付けてあり,これらに よって面外の曲率も測定している。つまり,試験体中央部の軸縮みは合計4台の変位計によって測定さ れていることになる。平均曲率の検長は97年実施実験でおよそ380mm,98年実施実験でおよそ4
∞
mmとしている。軸力による付加曲げモーメントを求めるため,上下の蒲鉾球座の回転中心を結んだ線から 検長両端の断面中心を結んだ線までの水平変位を測定した。この測定装置では,試験体が縮む(または
伸びる)ことにより,水平変位を測定している変位計がとりつくフレームが移動するので,このフレー ムの移動量を測るため, 14番で示す変位計を設置している。また,図には示していないが上下の蒲鉾球 座の回転中心聞をワイヤーで結び変形量を巻き取り式変位計(WirePod)で計測している。但し, 97年 実施実験の試験体についてはこの巻き取り式変位計を取り付けていないものも数体ある。図中のLmは モーメントアームを示しており,試験体に軸力を導入するときに行う中心あわせの際に若干移動するが,
97年実施実験でおよそ8
∞
mm,98年実施実験でおよそ780mmとしている。具体的に計測値を得る方法を図3.5に示す。曲率は試験体中央の検長LEにおいて一様に分布している ものとし,検長区間の平均曲率を加力方向両面に取り付けた変位計13番から測定された変位量8,およ ぴδcの値から式 (3.1)により求める。材中央断面の曲げモーメントは式 (3.2)を用いて求める。
li e‑ e a
d
一
L一 一 .
f ‑
c δ
一
L一 一
AV
(3.1 )
M=Q(Lm +0
,
キO2)キN(o,
キ0) (3.2)式 (3.2)における 81は検長区間の試験体のたわみによる水平変位 ,8 2は検長区間外の加力ピーム を含めた回転による材中央断面の水平変位を示しており,式 (3.3)により求める。
XU X
Mn Fb
一00・AV
一
& a
(3.3)
ここで,れは水平変位計により測定した柱中央断面の水平変位である。δrは試験体に生じる軸方向 縮み Svの累積による水平変位測定フレームの横方向の移動量で,式 (3.4)により求める。 δvは,巻
き取り式変位計もしくは,後述の式 (3.5),(3.6)を用いて, 14番で示す変位計から得る。
叫 ん
2 ̲( 子 J
‑Lh (3.4)1000 Lm
凶
①Universal丁目tingMachine with Capacity of SMN
③Lo剖ingBeams
⑤Counter Weight
⑦Steel Plates
⑨Rotation Centers
⑫@喝Tra制 U伺 尽
⑪Counter Welght for Me副 司ngFrame
②Hydraulic Jacks
④Twist Pr哩venter
⑥Cylindrical Seats
③Specimen
⑪将t@Measuring Frame
⑮Er凶門ate
14番で示す変位計の測定値δcより,軸方向縮みS を算出する方法は式 (3.5),(3.6)による。
( L ¥
久
=Lν一山い
in‑吐)一ゐ)
(3.5)図3.4 等曲げ実験の加力装置および測定装置
... ー
ここに,式 (3.5)中の
a
eは,s
eより式 (3.6)で得られる。S
3.3 高強度コンクリートを用いた等曲げ実験ゐ~cos- ,(をトco,- ' ( ぞ )
(3.6) 本節では,高強度コンクリートを用いた角形CFf短柱の中心圧縮および一定軸力下における曲げ実験の結果について示す。これは,
r
第5回日米共同耐震実験研究J
の「個別プロジェクト」に含まれる 日本側で担当した実験である。第2
章では, 1997年までに終了した日米共同研究の中心圧縮実験結果 の概要について示したが,本節で示す実験は,第2
章で示した日米共同研究の実験範囲を超える高強度 のコンクリー トを使用している口このことを図3.6に示す。これは,本節で示すCFf柱の中心圧縮試験 体4体を加えて前章の図2.2を表現し直したものである。図中の黒塗りが本節で示す実験である。点塗 りの文献調査より得た実験結果 (ExistingData)には本節で示すものと同程度の強度を持つ試験体が報 告されているが,このヒス トグラムは中心圧縮実験について示したものであり,この程度の高強度コン クリー トを用いた一定軸力下における曲げ実験は,本プロジェクト研究に含まれるLehigh大学の実験3.10)を除けば調査した限り, 例が無い。 また,本実験の特徴としては一般化幅厚比が非常に大きい鋼管 を用いた試験体を含んでおり,この点でも日米共同研究の実験範囲を超えている。このことについて詳 しくは3.3.1rStub Columnの実験結果jに示す。
本節で示す実験は, 既に終了している日米共同研究に高強度コンクリートと大きな幅厚比を持つ実験 資料を追加する意味を持っている。
このようにして材の軸方向縮み Svは独立に
2
通り算出できるようになっており ,計測装置が正常 に作動していたかどうかを確認することができる。本論で示す結果においては, 軸力による付加曲げ モーメントの算定の際にあたって,s
vを14番で示す変位計の測定値と式 (3.5),(3.6)を用いて求 めている。この装置を用いて測定した実験結果を以降の3.3節, 3.4節に示す。81
∞
35ロ S
30. 0
25身
Q) 20ち
15む
10.
。 S
5z ロ
0n
9u
D A
t i g
nhn
ロL
‑ h υ
直
3
・w m図 ‑ 口 CUE
10 20 30 40 50 60 70 80 90100110120
Cσ B
(MPa)
8v/2 図3.6 中心圧縮実験が行われた角形CFT試験体のコンクリート強度に関する分布
図3.5 等曲げ実験における各変形量の測定方法
‑98‑ ‑99‑
. . . . . ‑ ‑
表3.5に実験結果と中心圧縮耐力の算定値を示す。 表中のN。は,単純累加耐力で中空鋼管の場合は鋼
S t u b Column
の 実 験 結 果 3.3.1管の降伏耐力を示している。なお,単純累加耐力の算定にあたっては,鋼管のコーナー部の曲率外半径 同一のパラメーターを持つ中心
一定軸力下で等曲げを受ける試験体の基礎的な性状を調べるために,
コンクリート強度にはシリ を板厚の3倍としてコンクリートおよび鋼管の断面積を求めている。また,
圧縮試験体と
C
Fr試験体に用いた中空鋼管の試験体を作成して中心圧縮実験を行った口使用した鋼材図3.9に示される中空鋼 ンダー強度を寸法効果を考慮せずに用いている。表中のNωlま,
CFrの場合は前章で提案した中心圧縮耐力算定式 (2.22)を用いて 中空の場合,
1号A試験片の引張試験から得 これらは加工前の鋼飯から切り出した,
の機械的性質を表3.4に示す。
管の耐力式(前章の式 (2.14))で,
たデータで,降伏応力sσyは0.2%オフセツート耐力である。
計算した値である。以後,特に断らない限り,単純累加耐力N。の算定には,寸法効果は考慮に入れな これは,す法効果を考慮に入れたNωとの区別を明確にするためである。中空鋼管の場合は, 日米
し
' 0
鋼材の機械的性質 表3.4
コンクリートの寸 C町の場合,
共同研究の実験回帰式(2.14)でほぼ耐力を安全側に評価しているが,
問一
ω
鋼一 鋼一 級一 級一
川一
同一
側一
前一 法効果および鋼管の局部座屈を考慮した前章の提案式でも実験結果を過大に評価する結果となった。特
CR4・3‑10においては,鋼管の負担軸力を無視しても,実験値と計算値との比は0.958となり1.0を 下回った。
この原因としては,次に示すことが挙げられる。
1)文献3.16)において,高強度コンクリートの場合,す法効果によるコンクリートの強度低減係数/u 表中のsE,/Jtは,鋼材のヤング係数および引張強度 ,YRは降伏比, sEt'んは,破断ひずみおよび一
様伸びを示し,んはひずみ硬化開始ひずみを示している。ひずみ硬化開始ひずみんは780N/m m2級鋼で
は観測されなかった。 4ooN/mm2級鋼は,降伏比が0.7程度で十分な伸ぴ能力があることが示されてい を小さく見積もる必要があると報告されており, このす法効果の評価に関する影響。
2)前章で指摘したコンクリートの体積膨張に伴う鋼管の局部座屈が促進される影響。
るが, 780N/mm2級鋼は明瞭な降伏棚を持たない伸び能力の比較的乏しい性質を有していた。
この実験時の載荷状態の 3)脆性的な材料においては実験時の不可避の偏心の影響も顕著に現れるが,
この図には3体の供試体の試験結果を示 コンクリートのシリンダー試験の結果を示す。
図3.7には,
影響。
コンクリートの早期破壊現象。
4) コンクリートの強度時ひずみを
精度良く評価するとされている
P o p o v i c s
の式3凶による計算値も図に示している。高強度の供試体に関 しでもこの式で精度良く強度時ひずみを評価できることが分かる。実験期間中に18体の試験を行って得 しているが,最大応力および強度時ひずみのばらつきは小さい。また,これら高強度コンクリートを用いた角形C打 試 験 しかしながら,
以上のような原因が考えられる。
体の実験データが不足しているため原因の特定はできない。従って,高強度コンクリートの性状に関し られたシリンダー強度の平均値は 119MPaであった。
値一/
一 一
⁝
⁝
一算γJ
r'
⁝ ・
0一・・↑一計一〆
⁝
⁝
⁝ る ) 一
〆一
一 一 一 : ・
よゲOー
﹁: :ぃ ー;':lir‑‑:⁝
⁝式似
⁝
⁝
⁝
/⁝⁝
P
一 一
⁝
〆⁝
てのさらなる考察は今後の課題としたい。
CFr試験体の中心圧縮実験の結果と試験体に用いた中空鋼管試験体の中心圧縮実験の結果を図3.8に 140
示す口実線がCFf試験体,点線が中空鋼管試験体を示している。実験結果は各試験体に対応する表3.5 120
中のN。で無次元化して示している。 C町 試 験 体 は 何 れ も シ リ ン ダ ー 試 験 よ り 得 た コ ン ク リ ー ト の 強 度 時ひずみ近傍で最大耐力を示している。変形挙動に関しては,最大耐力発揮後,急激に耐力低下を起こ 100
80 60
( E
E )
的凶ω
お∞
中心圧縮実験結果
Nexp,州ca1 1.102 1.103 1.098 1.229 0.894 0.823 0.882 0.967
表3.5
Specimen B <mm} t <mm} B/I
r
a Sσy (附a) c <1 B (MPa) ..cu Nexp供向 No (kN) NcaJ仕N) Nexp/No CR4‑6‑0 2∞
6.16 32.5 1.26 310 0 0 1576 1430 1430 1.102CR4・3‑0 2
∞
3.17 63.1 2.45 310 0 0 572 7 ω 5 1 9 0.753 CR8‑6‑Q 2∞
6.39 31.3 1.93 781 0 0 3490 3728 3177 0.936CR8ふo 2
∞
3.09 64.7 3.99 781 0 0 841 1869 684 0目450 CR4‑{ト10 200 6.16 32.5 1.26 310 119 0.917 4695 5603 5255 0.838 CR4‑3‑10 200 3.17 63.1 2.45 310 119 0.913 3899 5215 4737 0目748 CR8ふ10 2∞
6.39 31.3 1.93 781 119 0.917 45 7879 7534 0.843CR8‑3‑10 2α) 3.09 64.7 3.99 781 119 0.913 4910 6332 5077 0.775 B:wid山ofs闘1削除,t:waJl出icknessof s附 ωbe,
r
a : n叩naIized Bft ratio, s <1 y : yield slress of steelωbe,C<1 B:蜘 ngthof concrete cylinder,..Tu : scaJe e釘巴ctfactor, Nexp: ma且imumload of test specimen
0.35 0.3
コンクリートのシリンダー試験結果 0.25
0.2 Strain (%) 0.15
0.1 0.05
図3.7 40
。 。
20
. . . . . . . .
中空鋼管試験体の ひずみが0.5~ 1.0% の大きさになると耐力が安定する現象が見られる。一方,
すが,
NfNo
CR8‑6‑0にお CR8‑3・0は最大耐力後の負勾配は緩やかであるがCR4‑3‑0,
CR4‑6‑0, 実験結果を見ると,
1.2
いては,最大耐力発揮後,急激な耐力低下を示している。
中空鋼管の中心圧縮耐力と一般化幅厚比 (Bft.
, r
(p) s
E))との関係を示す。図3.9は,前章 の図2.25に.印で示す本節の実験結果を追加して示したものである。本実験はコンクリート強度だけで図3.9に,
なく幅厚比に関しても日米共同研究の実験範囲を超えてたものが含まれていることが分かる。前章にお CR4‑6‑IO
NfNo
r
/¥CRι6・0
0.8ト!八、
11 ¥ .'.
aω6μI ¥. 一一こ二三与品
1.2
CR4‑3‑10
‑ 司 ‑
』 』・『ー‑町h・・『・ーーー験阻0.4
0.2
一般化幅厚比が大きくなるほど最大耐力後の劣化が 日米共同研究の中空鋼管の中心圧縮挙動は,
いて,
3.5 4 3 1.5 2 2.5
Axial Strain (別 0.5
3.5 4 3
。 。
激しいという現象が観察されたが,本節で示す試験体の中で最も大きな一般化幅厚比を持つ試験体CR8‑
1.5 2 2.5 Axial S回目(%) 0.5
一般化幅厚比が非常に大きい場合,圧縮力 3・0は耐力発揮後の劣化現象はそれ程顕著でない。 これは,
より大きな荷重を支持できることを示している。一 が座屈荷重に達した後もすぐには崩壊にいたらず,
NfN
。
1.2
3.15)に示され 3,14) ,
般化幅厚比が非常に大きい場合の角形鋼管を用いた他の実験例は,文献3.13), ているが,本節の試験体CR8‑3‑0と同様な挙動を示している。
Cコ
寸N
T '
占/ ¥ ¥ C R B ‑ 6 ‑ o
吋
NfNo 1.2
︒
N門︒
NN事
ON門
l
1 ∞
1. I∞ l
0.8 0.6
nUM L﹄8
一
Rc ‑
d﹄
︑
色 司
︑︑
・
f
'
it
‑‑
u川口
‑‑
‑K
O
︒4 n ν
円u
0.4
CR8‑6‑叩 0.8
0.6 0.4
4 3.5 1.5 2 2.5 3
Axial Strain (%)
中空鋼管およびCFT短柱の中心圧縮実験結果
0.5 3.5 4
1.5 2 2.5 3 Axial Slrain (%)
図3.8
1.5
0.5
CFT試 験 体 ひ ず み ゲ ー ジ の 添 付 位 置
J︑ ︑ 1 ' hu r' E︑︑ 中 空 鋼 管 試 験 体
図3.10 ( a )
1.0
0.5
̲E/!.. N N O
本節で示す中心圧縮試験体には中空鋼管とC円との座屈性状の違いを詳しく検討するために,試験 0.0
0.5
体の材軸方向に連続してひずみゲージを添付している。図3.10にゲージ添付位置を示す。鋼管表面に 4.0
3.5 2.5 3.0
2.0 1.5 1.0
添付したひずみゲージは検長5mmのものを 10mm間隔で 16枚添付している。但し,試験体中央には,
. J a = 子 仔
検長10mmの2軸ゲージを使用している。中空試験体は試験体中央から上下160mmの領域を観測する コンクリートのプリージングにより座屈発生が打設面の CFT試験体に関しては,
ことを目的としたが,
中空鋼管の中心圧縮実験結果 図3.9
ー103‑
‑101‑