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九州大学学術情報リポジトリ

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

暑中環境で施工される構造体コンクリートの品質管 理に関する研究 : 強度発現に及ぼす温度と水分の影 響について

中島, 草太

九州大学大学院人間環境学府空間システム専攻修士課程

小山, 智幸

九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門

湯浅, 昇

日本大学

小山田, 英弘

北九州市立大学

https://doi.org/10.15017/26782

出版情報:都市・建築学研究. 22, pp.167-174, 2012-07-15. 九州大学大学院人間環境学研究院都市・建 築学部門

バージョン:

権利関係:

(2)

都市・建築学研究 九州大学大学院人間環境学研究院紀要第22 20127 J. of Architecture and Urban Design, Kyushu University, No.22, pp.167174, July. 2012 

暑中環境で施工される構造体コンクリートの品質管理に関する研究 一強度発現に及ぼす温度と水分の影響について−

Study on Q u a l i t y  C o n t r o l  o f  C o n c r e t e  i n  S t r u c t u r e  C o n s t r u c t e d  i n  Hot Weather Environment 

‑ The E f f e c t  o f  C o n c r e t e  Temperature and Water B e h a v i o r  on S t r e n g t h  ‑

中 島 草 太 ぺ 小 山 智 幸 ぺ 湯 浅 昇 *3,小山田英弘ぺ

V i c t o rSampebulu

ぺ 原田志津男ぺ伊藤是清*7,陶山裕樹ペ松本イ有也*l

S o t a  NAKAJIMA, Tomoyuki KOY  AMA, Noboru YUASA,  H i d e h i r o  KOY  AMADA V i c t o r  SAMPEBULU, S h i z u o  HARADA, 

K o r e k i y o  I T O ,   H i r o k i  SUYAMA and Yuya MATSUMOTO 

This study was carried out to investigate the influence of the temperature and the behavior of internal water  on strength development of the concrete constructed in hot weather environment. On the experiment, using  real size column specimens, timedependent change and distribution of the temperaturethemoisture content,  the rate of hydrated water and the porosity were measured and discussed on the relationship between them  and strength properties.  As a result,  it  was quantitatively clarified that the rate  of hydrated water in  the  concrete placed at summer was lower than that placed at normal season. And even if the values at the both  seasons were same thecompressive sengthof the  hot weather concrete  was lower due to  its  coarse  m1crostructure. 

Keywords : Hot Weαfher Concrete, Quαlity Control, Real Size Specimen, Compressive Strength,  Wαter BehαVi or. 

暑中コンクリート,品質管理,実大模擬試験体,圧縮強度,水の挙動 1 .はじめに

暑中環境下で製造,施工されるコンクリートは,高い 外気温の影響で温度が高くなりやすい.その結果,標準 期と比較して,初期材齢における水和反応が活発になり,

初期強度の発現は大きくなるものの,長期強度の増進が 鈍化する,耐久性が低くなるなどの「わるさ」を生じる.

一方,コンクリート材料は時代とともに変化しており,

例えばセメントは,普通ポルトランドセメントにおいて も初期強度が高くなる傾向にある.また使用されるコン クリートも年々高強度化している.これらは,水和発熱

*l空間システム専攻修士課程

*2都市・建築学部門

*3日本大学

*4北九州市立大学

*5ハサヌディン大学

*6都城工業高等専門学校

*7東海大学

の増大に繋がり,近年の気候変動に伴う暑中環境の過酷 化と相まってコンクリート温度のさらなる上昇を招くこ とになる.結果,先に述べた暑中コンクリートの問題が より顕在化する傾向にある.

高温が暑中コンクリートの性状に及ぼす影響につい てはこれまでも種々検討がなされてきたが,多くは小型 の試験体を用いた実験室実験であり,打込み後の温度の みならず,乾燥や内部での水分移動,水和反応による水 の消費の状況などが実構造物とは異なるため,現象を定 量的に評価できていない懸念がある.筆者らは,これま でに柱や壁の実大模擬試験体を用いて,温度をはじめと する種々の要因が構造体コンクリート強度ならびに耐久 性に及ぼす影響について研究を行っている.その結果,

暑中環境下で施工された構造体コンクリートは,標準期 に施工された場合と比較して,標準養生された管理用試 験体に対する強度低下が大きくなる傾向にあること,対 策として養生期間を長くしても強度に関しては効果が小

(3)

さいことなどを確認している 1)2)など.本研究は,暑中環境 におけるコンクリートの温度ならびに内部の水分の挙動 が強度発現に及ぼす影響について実大模擬試験体を用い て検討を行ったものである.

2.実験概要

1)試験体および曝露方法

本研究では先に述べた目的のため,断面が Imく>Imの 柱を模擬し,図1に示す幅 Im>く奥行lm×高さ lmで上 下面に厚さ 20cmの発泡スチロール断熱材を施したコン クリート試験体(以下,柱試験体)を作成した打込み から養生終了までは側面4面がせき板と直接接すること になる.この構造体の強度管理用の試験体として簡易型 枠に打ち込んだ10ゅ×20cmの円柱型試験体を用いた.

1

に試験体および検討項目の一覧,また,表

2

およ び表3に各試験体の使用材料および調合を示す.いずれ も福岡地域で一般的に用いられる範囲のものである.調 合は2種類で,普通ボルトランドセメント単味の「普通 27‑1820N」 (以下,調合N)と高温対策としてフライア ッシュを使用した「普通30‑1520FA」 (以後,調合FA) とした.両者は既報2)で打込み後の温度履歴がほぼ同程 度となることがわかっている.コンクリートは福岡市近 郊にあるレディーミクストコンクリート工場で製造して 生コン車で九州大学構内に運搬し,コンクリートポンプ を使用して(暑中期のみ)所定の型枠に打ち込んだ.練 上がりから打込み終了までの時間は60分程度である.打 込みおよび材齢91日までの試験体設置場所は,雨および 風が直接当たらない実験室内(以下, 「曝露室」)とし,

常時換気を行った.

荷卸し時のコンクリート温度の目標値は,暑中期にお いては35°C,標準期は20℃としている.表4に,練上が り時および荷卸し時における,コンクリート温度,スラ ンプ,空気量の値をそれぞれ示している.

1,000 

200 

図1 柱試験体と鉛直コア,温度測定位置

2)養生方法

柱試験体の湿潤養生の方法は, JASS5.8.2「湿潤養生」

のa項に示される種々の方法のうち, 「透水性の小さい せき板による被覆」を採用した.以後,湿潤養生の終了 時期として「せき板の脱型時期いあるいは「脱型時期」

を用いる.脱型時期は普通ポルトランドセメント単味の 調合Nでは材齢5日,フライアッシュを用いた調合FA では7日とした.なお,暑中期の調合Nについては養生 期間の影響を検討するため,脱型28日の試験体を設けた.

管理用供試体(10<P×20cm)の養生方法は,標準養生

(20°C水中),現場水中,現場封かん,現場気中養生と

し,柱試験体から得られる構造体コンクリート強度と比 較した.標準養生においてはレディーミクストコンクリ ート工場における生産管理,および施工現場における品 質管理を想定し,それぞれ試験体を作成した.すなわち 前者(以下, 「標準1J)は工場で練混ぜ直後に試験体

表1検 討 項 目 試験体 寸法 荷卸し時コンクリー卜 養生方法

温度目標値(℃) 養生期間(日) 検討項目

せき板による被覆 ・材齢7日まで内部温度測定(10分間隔)

35  調合N:5,  28  −材齢7,28,  91日などで含水率を測定

調合FA:7  −材齢28, 91日, l年で上面から鉛直方向にコア 柱 1.0×1.0×I.Om  抜きし, 圧縮強度,ヤング率,密度,結合水率

同 を測定

20  調合Nのみ: 5 −材齢28,91日で側面から水平方向にコア抜きし,

ポロシティを測定 標準1

, 1

35  標準2

, 1

・材齢1日まで内部温度測定(10分間隔,標準1, 管理用 10×20cm 現場水中, 2,温度追随の一部のみ)

20  現場封かん, ・材齢 7, 28,  91日で圧縮強度,ヤング率,密度

現場気中 を測定

7,28,91日

※l 生コン工場における生産管理と,施工現場における品質管理を想定し2種類の水中養生を設定

(4)

表2 使用材料

種 類 物 性 等

セメント 普通ホ。ルトラントゃセメント 密度: 3.15cm2/g 7ライ了ッシュ S E手重 密度: 2.34cm2/g

水 地下水,上澄水

細骨材 福岡県宮若産砕砂 絶乾密度2.63g/cm3

(ヒン岩) 表乾密度2.65g/cm3 粗粒率2.80 A:福岡県古賀産砕石 絶乾密度2.70g/cm3 粗骨材

(結晶片岩) 絶乾密度2.72g/cm3

−ー・・・・ー・...・・・・・・...・a・・・...・...・・ー"・a・・・・..』・ー・ーー...ー・ー・ー・...・Ea

実積率

69.:.9.'.t?. B:福岡県宮若産砕石 絶乾密度 2.68gfc~:r

(ヒン岩) 絶乾密度2.70g/cm3 実積率60.0%

混和剤 AE減水剤 遅延形I種(暑中期)

標準形I種(標準期)

表3‑1 普通27‑18‑20Nの調合 目 標 か

I

W/C 

I 仇 |

単位量(kg/m3)

70 (cm) 

I  ( % )   I  ( % )   I 

I

混和剤

18±2.5 

5o.o  145.5 

374 

181 

182 

I ; 匁 I

3.74 

表3‑2 普通30‑15‑20Nの調合 目 標 かjWIB

I 仇 |

単位量(kg/m3)

7

°

  (cm) 

I  ( % )  I ( % )  I 

FA 

|混和剤

I  I  I  I  I  I  IA:493 I  ̲  152.5 I 42.3 I 423 I 349 I 87  I 183 I 692 I  I 4.3 

I  I  I  I  I  I  IB:493 I ~

*目標空気量はいずれも 4.5±1.5%

4

フレッシュコンクリートの性状

種類 コンクリー スランプ 空気量 打込み時期 ト温度(℃) (cm)  (%) 

27‑18‑20N  32.5  19.0  4.7  暑中期 2011.8.  34.0  17.5  4.2  30‑18‑20FA  32.5  20.5  4.6  2011.8.  33.5  13.5  3.4  27‑18‑20N  22.5  19.0  5.9  標準期 2011.11.  23.0  17.5  4.8  30‑18‑20FA  23.0  16.0  5.9  2011.11.  23.0  14.5  4.4 

*上段:練上がり時,下段:荷卸し時

を採取し,約20℃の試験室内に材齢 1日まで静置後,脱 型して20℃水中養生を開始した.後者(以下,「標準2」) は打込み現場にて採取し,材齢1日まで現場(曝露室内)

に静置後,脱型して20℃水中養生を開始した.他の供試 体は,標準2と同様,材齢1日まで現場に静置後,現場 水中および現場気中養生供試体は脱型してそれぞれ曝露 室に設置した水槽内ならびに曝露室内に静置した.現場 封かん養生供試体は,打込み直後より曝露室内に静置し

た.いずれも試験体は各々9体で,材齢7, 28,  91日で 強度試験を行い,柱試験体との比較を行った.

3)温度測定

柱試験体においては,図1に丸数字で示す位置でコン クリート温度の経時変化を材齢7日まで測定した.管理 用供試体においてはレディーミクストコンクリート工場 における生産管理用の試験体,および施工現場における 強度管理用の試験体の一部についても,中心部分の温度 を測定した.その際,鋼製型枠に打ち込んだ場合と,プ ラスティック製の簡易型枠に打ち込んだ場合で比較を行 った.いずれも温度測定にはT熱電対を使用し, 10分間 隔で自動測定した.

4)圧縮強度およびヤング率の測定

柱試験体は,材齢28および91日でコア抜きし,圧縮 強度およびヤング率を測定した.各材齢におけるコア抜 き位置を図 2(a)に示す.既報 1)2)でコア抜きした中心付 近(同図中の 1)と表面付近の隅角部(向5)に加え,同 図2〜4のように深さ方向の分布を比較した.コア抜きは 上面から鉛直方向に行い,得られた 10ゅ×lOOcmのコア から,上下端のそれぞれ 15cm程度を切除した残部約 70cmから, 10φ×20cm試験体を3本作成した.また,

この3本に挟まれる2本の10ゅ×4cmの試験体を用いて 次節に示す結合水率などの測定を行った.管理用供試体 の圧縮強度および、ヤング率の測定は,材齢7,28,  91日 で、行った.コア,管理用供試体いずれも強度試験におい ては載荷時の上下面は軽微な研磨仕上げを行った.

500 

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(a)鈴恵コアの篠取綾蜜〈主義佼棚〉

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強度試験熔

(b)コアからの試験体の作成方法(単位mm) 図2 鉛直コアの採取位置と試験体の作成方法

‑169‑

(5)

5)コンクリー卜含水率の測定 構 造 体 コ ン ク リ ー ト 強 度 に 及 ぼ す温度の影響を部材内部における水 分の挙動から検討するため,柱試験 体の中心から表層にかけての含水率 を測定した.含水率は埋込型セラミ ックセンサ 3)の電気抵抗を測定する ことにより求めた.センサの設置位 ! 

置を図3および写真1に示す.測定 は材齢7,28,91日を中心に実施した.

6)結合水率および細孔空隙の測定 先に述べた鉛直方向コアから切り 出した試料を用いて結合水率の測定

を行った.また,材齢7, 28,  91日で柱試験体側面の中 央付近から内部にかけて水平方向にコア抜きし,水銀圧 入式ポロシメータにより試験体の深さ方向の細孔空隙の 分布を測定した.

結合水率の測定にあたっては,まず,コアから切り出 した試料を酸化させないように注意して粉砕作業を行い,

アセトン中で水和反応を停止させ保管した.次に,この 試料を105℃の電気炉内に約24時聞入れて絶乾状態にし て質量(質量 I)を測定した後,電気炉内で500°Cまで熱 して約20分間保ち,温度が下がった後に質量(質量2) を測定した.得られた質量の差(質量I−質量2)から結

500 

Cし

写真1 含水率センサの設置状況 図3 含水率センサの設置位置

合水率の値を出した.

細孔空隙測定用の試料は,所定の位置で破砕したコン クリートから得たモルタル分を 2.5mm〜5.0mmの粒度 に調整した後,アセトン処理およびD‑dry処理を行って 作製した.含まれる細骨材の量が試料により変動するこ となどによる空隙量測定値への悪影響を除去するため,

文献4)と同様に,溶解率,結合水率を測定し,単位セメ ントベースト当たりの細孔量(以下,有効細孔量)を求 めた.なお,フライアッシュには溶解しない成分が含ま れることから,実験に使用したフライアッシュであらか

じめ実測した不溶分量に基づ、き補正を行った.

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4・柱

(鋭型

bJ 800ー ャ一 b)暑中期・FA

一 一

柱(

脱型

7)臼 3 実験結果および考察 70. 0  仲、

! 

n n  ̲  i  1 )柱試験体の温度履歴

図4に,柱試験体の温度の経時変化 を打込み後7日まで示している.同図 a)は,暑中期に打ち込んだ調合Nの ものである.中心部の最高温度は70°C に達している.表層部の最高温度は 60°C程度で,中心部との差は IO℃以上 ある.調合FAは調合Nと同様の温度 履歴となった.標準期も同様の傾向で あるが,柱試験体の中心部の最高温度 は, 60℃程度となった.

2)強度発現性状

図5に強度発現性状を示す.暑中環 境下における調合Nでは,「現場気中j

の強度が最も低く,長期での増進もほ とんど見られない.他の管理用供試体 では,材齢1日以降20°Cで養生される

「標準1」と「標準2」は,暑中期の温 度の影響を受ける「現場水中J' 「現 場封かん」よりも材齢7日での強度が 低いが,以後はほぼ同じ値となった.

図は省略するが材齢l日で脱型される

60.0 

50.0  40. 0 

30. 0 

20. 0  一 品 目 白… 20. 0〕 →‑‑1一 一一 一 一 一 一 … 叫 《 & & し ム ・ >.~→ゐ

材 齢 ( 日 ) 材 齢 ( 沼 )

70

c)標準期・N.校(鋭聖SE)ヨ

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外気遣 外気温

ム…」~- , 10

齢(臼) 齢 (B)

図4 柱試験体の温度履歴

(6)

50  50 

凶器中期 •N• 栓: b)標準期・N・

40 ~--

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︿制ε

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制緩纏出

10,.. 

なっている.このようにフライア ッシュを混合したコンクリートに おいては初期の温度が強度発現に 及ぼす影響が大きいため,管理面 からは注意が必要である.標準養 生の供試体は材齢 24時間以降に は20℃で養生されるが,より長期 間暑中環境で養生される「現場封 かん」はこれらよりも強度が高く なっている.また,同様の環境で 水分の供給も得られる「現場水中」

はさらに強度が高い.一方,高温 で、あっても乾燥下に曝される「現 場気中」の場合には,調合Nと同 様に強度がほとんど増進していな い.構造体強度に関しては,材齢 28日において標準養生と同程度 になっており,それ以降の増進も 大きく,材齢91日における構造体 強度は材齢 28日における標準養 生強度よりも高く, 2sS91の値は O N/mm2とすることが可能であると 考えられる.

一方,標準期の場合には(図

5

d)),管理用供試体強度は材齢7日から28日にわたり暑 中期よりも低い.これも温度が暑中期よりも低いことが 要因と考えられる.また,標準養生の温度と他の養生と の温度も同程度となるため, 「現場気中jを除いて養生 の違いによる強度差が小さい.管理用供試体に比較して 温度が高い柱試験体のコア強度は,材齢28日において,

すべての管理用供試体強度と同程度以上となっている.

このように暑中コンクリートやマスコンクリートなど,

コンクリート温度が高くなる場合には,ポゾラン反応が 活発となるため,フライアッシュの使用が対策として有 効である.しかも,コンクリートの温度が約10°C違うに も関わらず,暑中期と標準期で構造体強度に大きな違い

γ

20  40  60  80  100  材齢{日)

20  40  60  80  100  材齢〈自)

50 I 

。〉暑中期•FA・稔 ; −−−'−:−ご8

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41

4

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  有田集中  .1

間組問コア〈中心務事) j

−骨輔コア(要量繕線引

20  40  60  80  100  材齢(詔)

20  40  60  80  100 

材齢(日)

図5 強度発現性状 までの温度は「標準 1」が25

28°C程度, 「標準2Jは 30〜37℃程度とかなり異なるが,両者の強度に顕著な差 は見られなかった. 「現場水中」と「現場封かんJは全 材齢を通じでほぼ閉じ値となっている.

構造体強度に関しては, 「現場気中」と他の管理用供 試体強度の中間程度の値となっており,コア強度の最低 値を構造体強度の保証値とすると,材齢91日の構造体強 度と 28日の標準養生供試体強度の差は3N/mm2を超え ることとなる.また,対策として養生期間を長くしても,

既報1)と同様,効果が小さいことがわかる.

次に標準期に打込みを実施した試験体の強度発現性 状について述べる.管理用供試体強度は,材齢7日にお いてすでに暑中期と同程度,以後は若干大きくなってい る.また,構造体強度は管理用供試体強度と間程度にな っており,同じ材齢における暑中期の構造体強度よりも 5N/mm2程度大きい.すなわち暑中期と標準期の強度の 差は,管理用供試体よりも構造体強度において顕著とな っている.標準期においては強度増進も暑中期より大き く, 2sS91の値は3N/mm2以下に設定することができる.

図5c)には暑中期に打ち込んだ調合FAにおける圧縮 強度の発現性状を示している.調合Nの場合と異なり,

管理用供試体強度においても養生条件による強度の差が 見られる.まず,「標準lJと「標準2Jとでは,材齢24 時間までの温度が高くなる「標準 2Jの方の強度が高く

は見られない.

3)コア強度の分布

図6に柱試験体から鉛直方向に抜いたコア強度の水平 分布と材齢に伴う変化を示している.既報1)2)では,特に 暑中期に打込んだ場合において,表層部の強度が中心部 の強度に対して大きく低下し,ばらつきも大きく, 2sS91 の値が大きくなる結果となった.今回の結果では,同様 に2sS91の値は3N/mm2を超えているが,深さ方向の分布 は小さい結果となった.要因として,今回,コンクリー ト内部の最高温度が既報時より 10℃程度低かったこと が考えられるが,現時点では明確ではない.なお,調合 FAの柱は,既報同様に表層部と中心部の強度に大きな

(7)

標準養生 28Eヨ強度:皇QJl

28.9 32.2

民 計 協 幅 広 言 i

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様車隣接生 288強度:銀A

33.840.3

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6

柱訟験体のコア強度の分布と絞持変化

8  8 

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a)普通ボルトランドセメント 5 

構卸し鱒遺産35 乾燥開始材齢5

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d)普通ボルトランドセメント 務部し時議寝泊。

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e)フライアッシュセメント 諦却し時譲渡20°C 乾操鶴始材齢7箆 3‑‑r  -s-s自ー@皿 7毘 ~13 毘I

一会−20日 ーφ

27

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O 5 10 15 20 25 30 35 40 45 so  0 5 lb lS 20 25 30 35 40 45 50  表層からの距離(cm) 表層からの距離(cm)

図7含水率分布と経時変化

差は見られず, 2sS91の値は小さい結果であ った.

4)コンクリートの含水率分布

図7に柱試験体の含水率分布を示してい る.材齢28日で脱型した場合(図7b))は, 当然のことながら 5日で脱型した場合(図 7a))よりも材齢28日における含水率が大 きいが,その差は材齢91日ではかなり小さ くなっている.調合FAは調合Nよりも脱 型以後の含水率の低下が著しかった.

いずれの試験体も脱型後に,表層の乾燥 面に近い部分から材齢の経過とともに含水 率が低下する傾向にあった.内部と比較し て表層部の含水率が顕著に低下している範 囲は,材齢91日でも表層から lOcm前後の 範囲であり,調合や打込み時期による差は 小さかった.鉛直方向にコア抜きした試験 体のうち,最も表層側のものがこの領域を 一部包含することになるが,先の図6に示 したように,強度への影響はどの調合,環 境の場合にも顕著には見られなかった.

5)結合水率とポロシティ

図8に柱試験体から採取したコアの結合 水率の材齢に伴う変化を示している.標準 期に打ち込まれた試験体では,材齢4週か ら 13週にかけ 8 

7  6 

c)フライアッシュセメント 荷卸し時温度35°C

乾燥開始材齢7

(8)

量に対して40%程度とされているが,今回の実験で使用 したコンクリートのW/Cは40%を超えており,水和に関 して余剰の水分,すなわち自由水の量も少なくないと考 えられる.先の図 7に示した含水率は,表面から lOcm 程度の深さまで低下が見られたが,深さ lOcm付近の低 下は表面側に比較して小さく,lOcm付近で逸散した水分 の多くは上記自由水で賄われたと仮定すると,この領域 で結合水率が必ずしも低下しなかったことが説明できる.

このことは図9に示す有効細孔量の分布が深さ lOcm以 深で一定となっていることとも合致している.同図は有 効細孔量のうち,強度との相関が高い 50nm以上の細孔 量を示しているが,図6で圧縮強度の深さ方向での変化

20 

15 

10 2(%) 

L.,→〜仏

100 200  300  400 

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20 

が見られなかったことと対応している.今回は,コアか ら求めた構造体強度に及ぼすこれらの水分の影響を検討 したが,中性化をはじめとする耐久性状は,今回検討し た範囲よりも表層近辺の細孔構造や含水性状が影響する ことは自明であり,これらに関しては別途検討を行う.

図 10に結合水率と強度の関係を示している.先に述 べたように,暑中期においては材齢28日以降の長期材齢 における結合水率の向上と構造体強度の増進が小さく,

結果として両者の相関は小さかった.これに対して,標 準期においては,長期材齢における結合水率の増加に伴 って構造体強度が大きくなり,両者に相関が見られた.

また,暑中期と標準期を比較すると両者の結合水率の値 が同程度で、あっても,標準期の方が 強度が高くなる傾向が明瞭に見られ た.そこで図11に示す,径50nm以 上の細孔量と構造体強度の関係をみ ると,暑中期,標準期を含む全デー タにおいて両者は高い相関にあるこ とがわかる.したがって,図12に示 すように,結合水率が同じであって も,両者の細孔構造は異なり,標準 期の方が徽密になる(径50nm以上 の空隙が少なくなる)ために圧縮強 度が高くなることが定量的に示され た.

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4.まとめ

本研究は暑中環境で施工されるコンクリートの温度な らびに内部の水分の挙動が強度発現に及ぼす影響につい て検討することを目的として,実大模擬試験体を用いた 実験を行い,温度,含水率,結合水率,ポロシティを中 心に測定し,強度性状との関係を検討した.主な結果を 以下にまとめる.

1)暑中環境下で打ち込まれたコンクリートは長期材齢に おける強度の増進が鈍化する.この傾向は,サイズの 小さい管理用供試体よりも断面の大きい構造体コン クリートにおいて顕著となった.

2)暑中環境下で打ち込まれた一般的な調合のコンクリ 一トにおいて,材齢91日の構造体強度と 28日の標準 養生供試体強度の差から求められる 2sS91の値は 3 N/mm2を超えた.対策として養生期間を長くしても,

効果は小さかった.一方,フライアッシュを用いたコ ンクリートでは,同程度の構造体温度履歴となる場合 でも良好な強度増進を示し,対策として有効であるこ とが確認された.これは,ポゾラン反応が高温におい て活発となるためであると考えられる.

3)今回検討を行った範囲では,既報で問題となった柱試 験体コア強度の深さ方向の分布と変動は見られなか った.要因としては,コンクリート内部の最高温度が 挙げられるが,現時点では明確ではない.

4)標準期に打ち込まれた柱試験体では,材齢4週から 13 週にかけての結合水率の増加が顕著に見られ,この間 も水和反応が進行したことが窺えた.一方,暑中期の 場合には,材齢4週と 13週の結合水率の変化は小さ く,長期における水和反応が停滞したものと判断され た.コア強度増進の長期材齢における鈍化も,これに 対応する現象と考察された.

5)柱試験体における結合水率およびポロシティの深さ 方向の分布は深さ lOcm以深においでほぼ一定値とな り,圧縮強度の傾向と一致した.一方これよりも表層 側では,含水率,結合水率の低下とこれに伴う細孔構 造の粗大化が顕著に見られた.中性化をはじめとする 耐久性状への影響について別途検討する必要がある.

6)結合水率と強度との聞には若干の相闘が見られ,特に 標準期の場合に材齢の増加とともに両者が向上する 傾向が確認された.一方,暑中期の場合には,結合水 率が同じで、あっても標準期よりも強度が低くなった.

同じ結合水率で、あっても細孔構造,とくに50nm以上 の細孔量が標準期よりも多くなり,強度が増進しにく い傾向が確認された.すなわち暑中コンクリートにお ける硬化体組織の粗大化と強度増進の鈍化の関係が 定量的に示された.

〈謝辞〉本研究の一部は,暑中コンクリート工事に関連 して文部科学省科学研究費補助金基盤 C22560564(研究 代表者小山田英弘)の助成を受けた.また,実験におい て(株)梅谷コンクリート第 3工場の協力を得た.また,

結合水率の測定においては九州産業大学白川敏夫准教授 にご指導頂いた.打込みおよび測定において本学卒論生 の金川和晃君,米谷裕希君,谷村恭平君に多大な協力を 得た.ここに謝意を表す.

〈参考文献〉

1)松本佑幽,小山智幸,小山田英弘,原田志津男,伊藤 是清,陶山裕樹,暑中コンクリート工事における品質 管理に関する研究 一実大柱および壁試験体による 検討ー,都市・建築学研究,九州大学大学院人間環境 学研究院紀要,第20号, pp.129138, 2011.7. 

2)小山智幸,小山田英弘,原田志津男,伊藤是清,陶山 裕樹,暑中期に打設される重要構造物マスコンクリー トに関する研究 その1 実験概要および強度発現 性状,日本建築学会九州支部研究報告,第 49号, pp.157160, 2010.3. 

3)湯浅昇,笠井芳夫,松井勇,埋め込みセラミックセン サの電気的特性によるコンクリートの含水率測定方 法の提案,日本建築学会構造系論文集,第 498号, pp.1320, 1997.8. 

4)湯浅昇,松井勇,笠井芳夫:乾燥を受けたコンクリー トの表層から内部にわたる含水率,細孔構造の不均質 性, 日本建築学会構造系論文集,第 509号, pp.9‑16, 1998年7月.

(受理:平成24年6月7日)

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参照

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