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多発性硬化症治療選択バイオマーカーSema4A の検討

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Academic year: 2021

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多発性硬化症治療選択バイオマーカー Sema4A の検討

分担研究者 中辻裕司1,2)

共同研究者 奥野龍禎1)、甲田亨1)、南波明子1)、清水幹人1)、山下和哉1)、宮崎雄生3)、 新野正明3)、深澤俊之4)、木下允5)、熊ノ郷淳6)、佐古田三郎7) 、望月秀樹1)

研究要旨

血清セマフォリン Sema4A の著明高値を示す多発性硬化症(MS)患者は約 3 割存在し、その多くは IFN- β治療抵抗性を示すことを報告している(1,2)。今回 Sema4A 高値 MS 患者の臨床的特徴の解析と IFN-β治 療を受けた患者の完全寛解(NEDA)達成率の推移を解析した。Sema4A 高値患者の特徴としては若年発症 で重症度の進行が早く、年間再発率が高いことが明らかになった。高値患者では IFN-β治療による完全 寛解(NEDA)率が低値患者に比べて低いことも明らかになった。また IFN-βは現在 MS の第一選択の疾 患修飾薬(disease-modifying drugs、DMD)であるが、Sema4A 高値 MS 患者に対して第二選択薬である フィンゴリモドが有効かどうかを検討する必要があった。そこでフィンゴリモドによる治療歴のある MS 患者を対象に後方視的解析をおこなったところフィンゴリモドは Sema4A 高値 MS 患者に対しても有効で あることが示された。

研究目的

これまで血清 Sema4A が再発寛解型 MS(RRMS)

患者の約 3 割で著明に高値を示し、Sema4A 高値 MS 患者は IFN-β治療抵抗性であり(1、2)、MS の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎

(EAE)でも IFN-βの治療効果が Sema4A によっ て阻害されることを報告している(3)。血清 Sema4A を治療選択マーカーとして確立するため に、より多くの患者コホートにて Sema4A 高値患 者の臨床的特徴を明らかにし、IFN-β治療効果 を完全寛解(NEDA)達成率の観点から検証する。

また第二選択 DMD とされているフィンゴリモド

が Sema4A 高値患者に有効かどうかを後方視的に 検討する。

研究方法

1)大阪大学と全国 54 施設から送付いただいた 計 201 名の RRMS 患者血清を対象とし、Sema4A 値を ELISA 法で測定し、患者臨床情報と統合し Sema4A 高値例の臨床的特徴を解析した。

2)大阪大学で 6 か月以上 IFN-β 治療を受けた 48 名の RRMS 患者に関して NEDA 達成率の推移を 経時的に解析した。

3)大阪大学、北海道医療センター、さっぽろ神 経内科クリニックにてフィンゴリモドによる加 1)  大阪大学大学院医学系研究科神経内科

2)  富山大学附属病院神経内科

3)  国立病院機構北海道医療センター 4)  医療法人セレス さっぽろ神経内科クリニック 5)  大阪府立急性期・総合医療センター 6)  大阪大学呼吸器・免疫アレルギー内科学 7)  国立病院機構刀根山病院

(2)

-  76  - 療を受けた 56 名の MS 患者で、フィンゴリモド

の有効性を検討した。

研究結果

1) MS 患者の血清 Sema4A 値を 2,500 IU/ml をカッ トオフ値とし、高値群(n=63, mean 16,003 IU/ml)

と低値群(n=138, mean 440 IU/ml)に分けて性比、

発症年齢、オリゴクローナルバンド陽性率、罹病 期間、臨床的再発回数、重症度(EDSS)の変化率 を解析したところ、高値群で有意に若年発症し、

EDSS 増悪率が高いことが明らかとなった。

2) IFN-β 治療を受けた MS 患者を高値群(n=13, mean 14,416 IU/ml)と低値群(n=35, mean 586 IU/ml)に分けて臨床的再発、EDSS 変化、新規 MRI 病巣出現について解析したところ、いずれも高 値群で有意に増悪傾向を認めたが、有意差には 至らなかった。臨床的再発がなく、EDSS1 以上の 進行がなく、かつ新規 MRI 病巣も認めない NEDA 達成率を 5 年間解析すると、全期間で低値群で 達成率が高い傾向を示し、5 年目は有意差を持っ て高いことが明らかになった。

3)フィンゴリモド加療を受けた MS 患者を高値 群(n=39, mean 9,233 IU/ml)と低値群(n=35, mean 517 IU/ml)に分けて末梢血リンパ球数、再 発率、EDSS 変化を解析した。両群で加療後のリ ンパ球数減少が認められ、また再発率、EDSS 増 悪率も有意に抑制された。

考察

血清 Sema4A 高値 MS 患者は、若年発症で重症化 しやすく、IFN-β治療抵抗性であり、NEDA 達成率 が低いことが確認された。Sema4A 高値 MS 患者に フィンゴリモドが有効であることが示唆された ことは、Sema4A 高値 MS 患者に対してはフィンゴ リモドを第一選択薬として考慮して良いと考え る。

結論

血清 Sema4A は IFN-βとフィンゴリモド加療の 治療選択に有効なバイオマーカーである。

文献

1)  Nakatsuji Y, Okuno T et al. Elevation of Sema4A  implicates Th cell skewing and the efficacy of  IFN­β therapy in multiple sclerosis. Journal of  Immunology 188: 4858­65, 2012. 

2)  Nakatsuji Y, Okuno T et al. Roles of Sema4A in  Multiple Sclerosis and IFN­β Therapy Efficacy. 

Clin Exp Neuroimm    4: 274­282, 2013. 

3)  Koda T, Okuno T et al. Sema4A inhibits the  therapeutic effect of IFN­β in EAE. Journal of  Neuroimmunology 268:43­9, 2014. 

健康危険情報 なし

知的財産権の出願・登録状況 特許出願:なし

実用新案登:なし

参照

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