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円柱鋼製ラーメン橋脚隅角部の疲労損傷対策の事例

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Academic year: 2022

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(1)

円柱鋼製ラーメン橋脚隅角部の疲労損傷対策の事例

   (株)横河ブリッジ 正会員 ○黒河 武晴*1 首都高速道路公団      正会員 臼井 恒夫*2    (株)横河ブリッジ 正会員  山本  哲 *1 首都高速道路技術センター  正会員 一宮  充

1.はじめに

 首都高速5号線東池袋付近で

1968

年に建設され,約

35

年供 用した鋼製ラーメン橋脚隅角部に疲労亀裂が発見された.補強 には,横梁−円柱間に作用する断面力の一部をバイパスさせる 補強部材を設置し,新たな力の伝達経路を設けることにより,

隅角部の発生応力を低減させる事ができた.

本文は,その補強部材の設計方法とその効果に関する報告で ある.

2.疲労亀裂と補強構造の概要

 鋼製ラーメン橋脚の正面図と隅角部の構造を,図−1に示す.

対象の隅角部は,円柱に梁ウェブを割り込ませたウェブ貫通構 造である.亀裂は主に隅角の端部に発生しており,原因は円柱 と横梁ウェブ上下縁の交差部にある菱形状の不完全溶け込み 部が起点であると考えられる.図−2にウェブ上端に発生した 亀裂の一例を示す.

補強構造は図−3に示すように,環補剛材と当て板から構成 されている.横梁のフランジ力をベースプレートから環補剛材 へ,横梁のせん断力は当て板からリブへ伝達させる構造とした.

既設部材と補強部材の接合には支圧接合用高力ボルト(M22,

B10T)を使用した.

本橋の鋼材は板厚方向引張試験の結果,絞り値が

10%を下回る低い結果

があり,柳沼ら1)の報告により亀裂の処置に溶接補修が困難であると判断 し,ストップホールによる亀裂進展防止対策を施した.

キーワード 円柱橋脚 隅角部 疲労亀裂 FEM 環補剛材 ストップホール

 連絡先  *1 273-0026 千葉県船橋市山野町27番地 TEL 047-435-6277FAX 047-435-6251   *2 〒100-8930 東京都千代田区霞が関1-4-1 日土地ビル TEL 03-3539-9385 FAX 03-3503-1807

図−3 補強図 図−2 亀裂発生状況

梁フランジ

梁ウェブ

図−4 補強部材施工状況

ベースプレート 環補剛材 当て板とリブ 図−1 対象橋脚の概要

  a

(a)正面図

()正面図       ()柱断面図

(b) a 部詳細

亀裂(図−2)

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1087‑

I‑544

(2)

3.FEM解析による補強部材の設計

(1)FEM

解析による応力照査方針

補強による隅角部の応力低減効果を,以下の方針により

FEM

解析にて確認した.

① 母材の応力低減率は,横梁付け根のウェブ上下縁の位置において,梁方向直応 力で

50%程度を目標とする.

② 環補剛材の寸法,ボルト本数などは,道示Ⅱに示される鋼管の格点構造や支圧 接合用高力ボルトに関する規定を満足し,

FEM

解析を用いて照査して構造を決 定する.

③ 円柱と梁の溶接部を全断面有効としたケースで許容応力度以下,円柱と梁の溶 接部を全断面無効(溶接部が破断)と考えた最も厳しいケース

では耐力以下とする.

④ 地震時に隅角部が弱点とならないことを,プッシュオーバー解 析により確認する.

(2)解析条件

解析は汎用有限要素法構造解析プログラム

COSMOS/M

を用い,

弾性解析を行った.モデルを図−5に示す.着目隅角部はシェル要 素で立体的にモデル化し,それ以外の部分は梁要素とした.載荷荷 重は,立体骨組解析により死荷重,B活荷重反力を求め,これを橋 脚の各支承位置に入力した.なお,着目部最小メッシュ寸法は

20

㎜とした.

(3)解析結果

表−1に,FEM 解析による応力低減率を示す.応力低減率は

58.7%,60.1%となった.図−6に梁ウェブと補強部材リブ部分の

直応力分布を示す.補強後の分布は,横梁のフランジ面で不連続と なる重ね梁に近い性状を示した.

4.応力頻度計測による応力低減効果の確認

FEM

解析から得られた応力低減率を検証するため,補強部材の 施工前後に応力頻度計測を実施した.ひずみゲージの設置位置を図

−7に示す.

補強前後における応力頻度計測結果の最大応力範囲の変化を応力低 減率として評価し,表−2に示す.ウェブの上下縁近傍の①,②の位置 においては,いずれも応力低減率が

53.3%と FEM

解析結果に近い応力 低減率を得ることができ,解析の妥当性を確認することができた.

なお,応力頻度計測による最大応力範囲は

FEM

解析による応力の約

30%であった.

5.おわりに

環補強構造により,隅角部母材の活荷重応力を約

50%低減させる

ことができた.既存の隅角角部の亀裂の除去をするとともに,亀裂 先端にはストップホールを設けて対策を実施した.

参考文献

1) 柳沼安俊,平林泰明,澁谷敦,三木千壽:既設構造物の鋼材の年代的な特

徴とその溶接性について,第57回土木学会年次学術講演会講演概要集,I-291pp.581-5822002.9.

2) 首都高速道路公団 鋼製橋脚隅角部の補修・補強の工事進捗状況について 鋼製橋脚補修検討委員会中間報告,2002.10.

図−7 ひずみゲージ設置位置 表−2 最大応力範囲⊿σmaxの変化

補強前 補強後 応力低減率

(MPa) (MPa) (%)

① 16.5 7.7 53.3

② 20.6 9.6 53.3

図−5 FEMモデル図 表−1 FEM解析における応力低減率 補強前 補強後 応力低減率

(MPa) (MPa) (%)

69.8 28.9 58.7

‑66.2 ‑26.4 60.1

図−6 応力分布図 直応力(MPa)

ウェブ高さ(㎜)

-1375 -750 750

0

梁フランジ位置 環補剛材位置

環補剛材位置 梁フランジ位置 1375

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1088‑

I‑544

参照

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