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「主桁−横桁取合い部」損傷の補修検討

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Academic year: 2022

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(1)

「主桁−横桁取合い部」損傷の補修検討

首都高速道路(株)    正会員    ○中村    充  首都高速道路(株)    正会員      増井    隆

(財)首都高速道路技術センター    正会員      仲野  孝洋 法政大学    正会員     森  

1.はじめに 

近年,道路構造物の老齢化は社会的な問題として注目されているが,昭和37年に供用開始した首都高速道路 も例外でなく,管理延長全体の約4割が30年以上経過している.都市内高速道路であるため橋梁が多く,特に 鋼橋が全体の7割を占め,継続的な管理が重要と考えられる.首都高速道路では構造物の安全性能を維持する ため,日常点検の他に5年に1回の頻度で接近点検を実施しているが,溶接継手部のき裂や腐食が大部分を占め る鋼橋の損傷は毎年膨大な件数が報告されてきている.発見された損傷は,優先度の高いものから順次補修等 の対応を行ってきているが,膨大な損傷数に対する補修体制は必ずしも十分とは言えず,今後供用延長の増大 やさらなる老齢化の進行に伴い,累積していく可能性も懸念される.特に,鋼橋の疲労損傷は,足場設置や交 通規制等を必要とする都市内特有な施工条件の厳しさもあり補修に時間がかかる傾向にあるが,疲労損傷に対 する補修設計の知見が乏しいこと,施工者は高い技術力を必要とすることなどの特殊性も大きな原因と考えら れる.累積傾向にある現状を改善していくため,簡易で標準的な補修方法が求められている.本稿では,鋼橋 における損傷のうち重大事故に発展する可能性の高い主桁‑ 横桁取合い部に発生した疲労き裂を対象とし,そ の損傷状況と施工性の改善に着目とした補修検討の結果について報告する. 

 

2.損傷の現状  

  首都高速道路の鋼橋において疲労損傷は多数発見されているが,一次 部材に発生し優先度の高い損傷を B0 ランクと定義しており,損傷発見 後に 1 年以内の着手を規定している.この B0 ランク損傷は損傷全体の 約 2 割(鋼床版損傷を除く)であり,さらに本検討で対象とする損傷は B0 ランク損傷の約半数を占める.主桁−横桁取合い部は,荷重分配を 目的とした横桁が主桁と交差する箇所であり,主桁の面内曲げに起因す る主桁ウェブ応力と荷重分配作用による横桁フランジ応力が作用する 2 軸応力状態の部位である.また,当該箇所は,主桁ウェブに横桁フラン ジ貫通用のスリットを設け,横桁フランジを貫通させ,溶接にてスリッ ト内を埋め戻すディテールが採用され,疲労等級の低いH 等級の継手 である.き裂の多くは,主桁ウェブ側止端を起点にウェブ鉛直方向へ進 展するものであり,首都高速道路で確認されたき裂最大長さは約 40 ㎜ 程度である(図 1 参照).しかし,き裂の多くは止端部付近に留まって おり,今後の早期,確実な補修により十分機能を回復できるものと考え られる. 

 

3.補修設計 

  補修設計は,き裂そのものの処理と処理後の補強に大別される.本検討では力学上の改善は勿論のこと,損    キーワード  主桁‑横桁取合い部,疲労き裂,補修 

  連絡先      〒103‑0015  東京都中央区日本橋箱崎町 43‑5  首都高速道路株式会社  TEL03‑5640‑4867 

主桁U−Flg 横桁U−Flg

横桁Web

主桁L−Flg 損傷箇所

主桁Web

主桁U−Flg 横桁U−Flg

横桁Web

主桁L−Flg 損傷箇所

主桁Web

図 1  損傷部位および状況 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑279‑

Ⅰ‑140

(2)

傷数の累減を大きなテーマとして施工性に着目した.これまでの設計方針は,き裂は完全に除去し,その後継 手に生じる応力低減を目的とした補強を基本としていた.しかし,当該埋め戻し溶接は,完全溶け込み溶接に も係わらず多数の溶接欠陥および内在き裂が残存し,き裂処理において除去範囲の特定が難しい状況であった.

また,損傷ごとに個別の判断を必要とするため多くの時間と高い技術力を必要とした.さらに,補強構造は,

主桁ウェブと横桁下フランジを工場製作の伴うL型部材で接合する構造を採用しており,補強着手までの部材 調達,製作期間に多くの時間を要していた.これらの課題に対し,本検討では以下の方針で進めることとした. 

① き裂除去は原則実施せず,応力集中箇所に生じる応力を開放し,新たな応力集中部位を評価する. 

② 補強構造は,可能な限り簡易かつ標準的な構造とする. 

③ 補修後も継手部を監視可能な構造とする.

  廻し溶接止端部に生じている応力集中点の応力開放は,図 2に示す ように,主桁ウェブを切断する方法を採用した.標準切断位置の基準 線は,応力開放が必要な回し溶接止端部とした.ただし,き裂が既に 母材へ進展している場合は,母材き裂の先端とした.また,新たな応 力集中点と考えられる切断線の先端(貫通孔)の応力集中が危惧され るため,応力集中の緩和に有効と考えられる添え板のボルト締め(板 厚 9 ㎜,ボルト径 M22)を採用した. 

 

4.補修効果の確認 

本補修の評価は,補修前後における実橋梁応力計測とした.なお, 安全側の評価を行うために添え板ボルト締め施工を実施する前の状態

(図 2補修状況①)について計測を行った.対象橋梁は,損傷が多く 発見され,首都高速道路において最も重交通路線である 3 号渋谷線と した.また,応力計測は,応力性状の把握しやすい荷重車(20t)を 用いた動歪計測と 24 時間の頻度計測により実施した.最大応力範囲の 結果概要を図 3に示す.なお,補修前後の交通条件(交通量,大型車混 入率)はほぼ同様である.実橋計測の結果,本補修構造の有効性が以 下の通り確認された. 

 

・  溶接部付近の主桁に生じる応力は主桁面内力が支配的であり,応 力比は2:1であった.なお,主桁下フランジ応力は,48MPaである. 

・  廻し溶接止端部周辺の応力は,補修前54MPaが補修後10MPaとなり,

補修により応力がほぼ開放されたことを確認した.また,当初溶 接部止端部に流れていた主桁面内応力は,貫通孔周辺へ迂回して いることを確認した. 

・  補修後の主桁ウェブ板曲げがほぼ確認されないことから主桁ウェ ブ切断による主桁面外方向の影響は,少ないと考えられる. 

・  補修後迂回した応力により新たな応力集中点となった貫通孔周辺 の応力は113MPaであり,疲労設計指針に規定している円孔を有す る母材疲労等級C(125MPa)以下であった.しかし,孔壁面の応 力が最大で230MPaと高い値を示していることから,応力緩和を目 的とした添え板ボルト締め補強を実施することとし,その疲労耐 久性を別途疲労試験により評価することとした.

Φ24.5貫通孔 Φ24.5貫通孔

切断ライン 主桁Web

切断ライン

50mm 50mm

Φ24.5貫通孔 Φ24.5貫通孔

切断ライン 主桁Web

主桁Web

切断ライン

50mm 50mm

②54MPa

水平

①40MPa 鉛直 13MPa

斜め 17MPa

①▼横桁U-Flg(主桁面外)17MPa 補修前

②54MPa

水平

①40MPa 鉛直 13MPa

斜め 17MPa

①▼横桁U-Flg(主桁面外)17MPa 補修前

②10MPa

③④表113MPa

③④裏104MPa

78MPa

③▼230MPa 補修後

②10MPa

③④表113MPa

③④裏104MPa

78MPa

③▼230MPa 補修後

図 2  補修概要と補修状況

図 3  計測結果

補修状況①  補修状況② 

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑280‑

Ⅰ‑140

参照

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