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博 士 ( 医 学 ) 吉 本 哲 之

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 吉 本 哲 之

学 位 論 文 題 名

脳 再 潅 流 状 態 に お け る ICAM‑1 と サ イ ト カ イ ン 動 態 の 検討

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

緒畫 :虚 血に よる 細胞 死と いう 不可逆的 な変化を免れ機能障害にとどまった脳組織は、脳血流の 再開 によ り回 復す ると 考え られ るが、実 際には血流の再開にも関わらず、その領域に新たな脳浮 腫や脳出血等の組織障害が生じることがしぱしぱ経 験される。この再潅流に伴う組織障害(再潅流 障害)は心臓、肺や腸管など全身の臓器においてす でに認められており、自血球と血管内皮細胞と の相 互作 用に より 活性 化し た自 血球が組 織内に進入し、組織を傷害するという炎症反応と同様な 機序 によ るも ので ある 考え られ ている。 最近、脳における再潅流障害に関する報告も認められ、

その 細胞 間相 互作 用に つい て関 心が集め られてきている。著者はその再潅流障害の急性期におけ るメ カニズム を検討する目的で、4−vessels occlusion modellこより得られる再潅流状態におい て以下の項目を調ぺた。1) intracellular adhesion molecule (ICAM)―1とleukocyte function− associated antigen (LFA)−1出現の時間 的、空間的特徴、2)ICAMー1を含めた各サイトカインの mRNAの 誘 導 の 経 時 的変 化、3)macrophage migration inhibitory factor (MIF)のmRNA及 び蛋 白レ ベル の動 態と 、臨 床的 に4) 脳虚血性疾患における血清中のsoluble ICAM−1を測定し、虚血 性疾患におけるICAM―1の動態、等を検討した。

竝龜 及亜左法 :250g前後のウィスターラットを用い、Pulsinelliらの 方法に従い、Pentobarbital 腹腔 内投 与後 、両 側の 椎骨 動脈 を凝固切 断し、24時間後、is 01urane麻酔下に両側の総頚動脈を 30分 間 遮 断 し た 。 そ の 後15、30分 、1、6、24時間 と遮 断解 除し 、 再度isoflumeにて 麻酔 後断 頭し 、前 脳を 摘出 し即 、液 体窒 素にて凍 結、ー80℃にて保存した。これらの脳はコント口ール及 び虚 血負 荷の みの グル ープ を含 め、 再潅 流時 間 によ り7つの グループに分類した。まず、凍結し た 前 脳 の 前 頭 極 約8mmの 部位 の7umの 冠 状断 を作 成し 、monoclonalanti一ratIQ゜ 心dー1抗 体、

monOC10nalanti一1.atIFA−1Q、p抗体を使用し、各グループにおけるIQ丶M―1、LFA.ー1の出現を 免 疫 組 織 学 的 手 法 によ り比 較検 討し た 。次 に各 グル ープ の凍 結脳 約300mgをTHz01reagentとと     −73ー

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も に ホ モ ジ ナ イ ズ しRNAを 抽出 し、 各々 のRNAlOVgにつ いてRl'―PCRを 行っ た。 均一 なロactin を基準としてICAMー1、interleukin(IL)−la、IL‑ip、IL‑2、IL‑6、tumor necrosis factor (TNF)

‑a、interferon(IFN)‑y、monocyte chemoattractant protein(MCP)―1のmRNAの 継時 的な 動 態 を 半 定 量 的 に 検 討 し 、 ま たMCID Image Analyzerに より 定量 化し た 。MIFに つい てはRT‑PCR に よるmRNAの動 態の 検討 の 他にWestern blottingによ る蛋 白の 出現 、及 びそ の分 布について免 疫 組 織 学 的 検 討 を 行 っ た 。WestemblotMgは コ ン ト ロ ー ル(grour)l)と24時間 再潅 流(group7) のサンプルを 用い、polyclonalariti一rat MIF抗体とDeroxidase―coniugated anti‑rabbit IgGに反 応 さ せ た 。 バ ン ド の 強 度 はMCID Image Analyzerにて 定量 化し た。MIFの 免疫 染色 はgrouplと group7の凍 結切 片を 用い 、 同時 にMIFの 局在 を検 討す る 目的でpolycloria]  rabbit  anth茎H甜 nbrmaryaCldiCproteln、polyC1〔)rlalrabbitanti―neuronSpeClnCen01aSe、mon()Ck)nalmouSe antll血Crotubuユe―asSOdated  proteln、monoClona亅  mouSe  ant卜SynaptophySin、 monOClonalm( )uSeant卜11umanCD68、 等 の染 色も 行っ た。 また 臨床 的に は脳 虚血 性疾 患を 発 症 した 急性 期の 患者28名 の 血清 中のsICAM―1を測 定し 、虚血性疾患におけるICAM−1の動態を検 討 し た 。 対 象 患 者28名 は脳 梗塞24名 と一 過性 脳虚 血発 作aI心4名 であ り、 すぺ ての 症例 は発 症 よ り24時 間 以 内 に 採血 が行 われ 、血 清に 分離 後、IQ气M−1testkitを 使用 しEuSA法 によ り定 量 化し、健常成 人(23名)の血清中s10丶M−1と比較検討した。

結 果及迩耋塞:I(ニAM―1は 皮質下及び基底核領域の微小血管に再潅流1時間後より強くその染色 が 認められ、またLF、A−1陽 性の自血球は再潅流6時間後 より微小血管周囲に認められた。R1、ー PCRに よ るmRNAの 動 態 の 検 討 で は 、ICAM−1、ILrla、IL「1p、TNF−QやMCP1等 のmRNAは 再 潅 流1時 間 後 に そ の 増 加 が 認 め ら れ た が 、ILも やMIFのmRNAの 誘 導 は 再 潅 流 後24時 間 ま で 徐 々に 増加 する もの であ っ た。 以上 より 再潅 流状 態で は、ICAM―1やサイトカインが早期に誘導 さ れ、 細胞 間反 応が その 急 性期 より 出現 する と考 えら れた。また、MIFは免疫学的検討では再潅 流24時 間 後 にneuropnと思 われ る部 位に そ の出 現が 増強 して おり 、Westemb10ttingによ って も 同 様に その 蛋白 の増 加が 認 めら れた 。こ れよ りMIFは 再 潅流状態における細胞間反応に関与して い る事 が示 唆さ れた 。臨 床 的検 討で はに は虚 血性 疾患 、特 にnAでsICAM一1は コン トロールに比 較し高く認め られた。

結 諭: ラッ トの4ーvesselsoCclusionmodenこよる再潅流 状態では早期にIQ丶M−1の増強が脳微小 血 管上に認められ、またICAM−1やサイトカイン等のm融乢Aも再潅流後早期に誘導された.。これ     ー74ー

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らより再潅流状態の急性期に自血球を中心とした細胞間相互作用が関与することが示唆された。

また、その過程にMIFの関与も考えられた。臨床的には脳虚血疾患、特にTIAの急性期の病態に 再潅流状態と同様なメカニズムの関与が示唆された。

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学位論文審査の要旨

学位論文題名

脳再潅流状態におけるICAM‑1 とサイトカイン動態の検討

  再潅流に伴う組織障害(再潅流障害)は心臓、肺や腸管など全身の臓器で認められて おり、炎症反応と同様に自血球と血管内皮細胞との相互作用を中心として進行すると されている。脳において再潅流障害は急性期の脳梗塞の治療を行う上で大きな問題点 であり、その急性期のメカニズムを検討する目的ことを目的とした。本研究ではラッ トの4‑ve ssel occlusion modelを用い15分より24時間にいたる各種の再潅流状態 を 作成し、 免疫組織 学的にICAM−1とLFA‑1出現の時 間的、空間的特徴とRT←PCR を用いてICAM−1、サイトカインケモカインのrriRTAの誘導の経時的変化を検討し、

また臨床的に脳虚血性疾患における血清中のsoluble ICAMー1を測定し、虚血性疾患 に おけるICAM―1の動態を 検討した。ICAM−1は皮質下及び基底核領域の微小血管 に 再潅流1時 間後より 強くその染色が認められ、またLFA‑1陽性の自血球は再潅流 6時間後より微小血管周囲に認められた。またICAMー1、IL‑la、IL‑ if3、TNF‑cr,や MCP‑1等 のmRNAは 再 潅 流1時 間 後 に そ の 増 加 が 認 め ら れ た が 、ILも やMIFの mRNAの 誘導は再 潅流後24時間まで徐々に増加するものであった。以上より再潅流 状 態では、1時間とい う急性期よりICAM―1やサイ卜カインが誘導されることによ り、次々に細胞間反応が出現すると考えられた。

  臨 床的には 虚血性疾 患,特にnAでsICAM−1は高く認められ、虚血性疾患の急性 期 の 病 態 に ICAM― 1を 含 め た 細 胞 間 相 互 作 用 の 関 与 が 考 え ら れ た 。   以上の結果より、再潅流状態の急性期よりICごWー1やサイトカインなどの誘導が 起こり白血球を中心とした血管内皮細胞や組織との相互作用が働き、早期より再潅流 障 害が誘導 されるこ とが示唆された。また、虚血性疾患、特にTnにおいても、そ の 病 態 に 微 小 レ ベ ル で は あ る が 同 メ カ ニ ズ ム の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。   公開発表において、上出利光教授よりIC問H―1の出現について他の臓器の血管と比 較した脳血管の特異性、再潅流障害に陥りやすい部位の実験動物とヒトとの差について 質問があった。ついで長嶋和郎教授より再潅流障害を起こす虚血のcnticmpointにつ いて、その障害を担う細胞について、sICAMー1の働きについての質問があった。いず れの質問に対しても、申請者は自らの研究に基づく経験や過去の論文の結果を引用し、

豊富な知識に基づぃて明解に回答した。

  本研究により、再潅流障害における自血球を中心とした細胞間相互作用の働きが関与 することが明らかとなり、脳梗塞急性期の治療における再潅流障害の予防として期待さ れる。

  審査員一同はこれらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、申 請 者 が博士( 医学)の 学位を受け るのに十 分な資格 を有する ものと判 定した。

    −76―

光 郎

   

   

部 出

阿 上

授 授

教 教

査 査

主 副

参照

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