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急性リンパ性白血病細胞における酸性ホスファターゼの電顕細胞科学的研究

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(1)

原 著

〔書淫蔑。9第臨3劉骨〕

急性リソバ性白血病細胞における

酸性ホスファターゼの電顕細胞化学的研究

東京女子医科大学 第一内科学教室(主任:滝沢敬夫教授, アカ ホシ マサコ

赤 星 雅

指導:溝口秀昭教授) (受付 昭和63年3月9日)

Ultracytochemical Studies of Acid Phosphatase in Acute Lymphoblastic Leukemia Cells

Masako AKAHOSHI

Division of Hematology, Department of Medicine I(Director:Prof. Takao TAKIZAWA and Leader:Prof. Hideaki MIZOGUCHI)Tokyo Women’s Medical College

The ultrastructural localization of acid phosphatase has been studied in tumor cells from four patients with adult T−cell leukemia, one patient with T−cell chronic lymphocytic leukemia(T−CLL), four patients with T・cell acute lymphoblastic leukemia(T−ALL), six patients with common ALL, one patient with pre−B ALL and eight patients with unclassified ALL. Tumor bells from all cases of T−cell malignancies showed cluster of dense bodies(CDB)or scattered dense bodies(SDB), and reactivity in Golgi apparatus was also present. Leukemic cells showing differentiation toward B cells, that is, B4−positive unclassified ALL cells and common ALL antigen−positive common ALL cells, had neither CDB nor reactivity in Golgi apparatus. Of unclassified ALL, CDB was present in cells from three patients. Detailed immunoiogical analysis performed in one of the three patients did not reveal the

lineage of the tumor cells.

緒 言

従来,リンパ球はT,B, non−T non・Bに分類 され,急性リンパ性白血病(ALL)も表面マーカー からはT−ALL, B−ALL, nQn−T non−B ALLに分 類されてきた.しかしながら,モノクローナル抗

体の開発等に伴い正常T,Bリンパ球の成熟,分

化過程が明らかにされ,従来non−T non−B ALL

と分類されてきたALLもその多くはT系, B系

の幼若細胞の腫瘍化であることが明らかになって

きた.すなわち,non−T non−B ALLはB系の pre−BALL, common(pre−pre−B)ALL, T系の pre−T ALLと,これらのいずれにも分類できない

unclassi丘ed ALLに分類されるようになっ

た1)∼3) 一方,リンパ球の胞体内に検出される酸性ホス ファターゼの分布のパターンが,リンパ球の表面 マーカーに対応することは従来から知られてき た4)5).すなわち,Tリンパ球では光顕レベルで胞 体の一部に局在性に陽性であることが特徴的であ るが,Bリンパ球では陰性かあるいはびまん性散 在性陽性であることが知られている.さらに,リ ンパ系腫瘍細胞でも,酸性ホスファターゼの分布 は正常T,Bリンパ球の各分化段階に対応する分 布を示すことが報告されてきた6)7).ALLにおい てはT−ALLでは局在性に陽性, B−ALLでは陰性 かあるいはびまん性に陽性のことが知られてい

る6)∼17).しかし,non・T non−B ALLでは局在性に

陽性の場合とびまん性散在性陽性の場合が報告さ

れており11)13)16)17),このような分布パターンの差

異がT細胞やB細胞の分化過程に対応して起

(2)

表1 症例の白血病型と

ACPase

Cases Sex Age Type of leukemia Origin of the cells TdT Ia B4 Lysosomes Golgi

①1.T.

M

37

ATL

Mature・T ⑭CDB*

e

②M.Y. F 63

ATL

Mature−T ⑱CDB ㊥ ∈)

③T.T.

M

49

ATL

Mature−T ⑰CDB ㊦ θ

e

④K.K.

M

63

ATL

Mature.T ⑱CDB

e

⑤S.M.

M

34 T−CLL Mature−T ⑪SDB** ㊦ ∈)

⑥Y.T.

M

41 Pre−T ALL Early thymocyte ⑭CDB ㊦ ∈D

o

∈)

⑦M.H.

M

19 T−ALL Common thymocyte ⑭CDB

e

e

e

⑧M.K.

M

37 T−ALL Common thymocyte ⑱CDB ㊦ (D

e

e

⑨K.S.

M

9 T−ALL Late thymocyte ⑳CDB ∈)

e

⑩Y.S.

M

63 Common ALL Pre・Pre−B

e

⑪S.G. F 31 Common ALL Pre−PreB ㊥

e

㊦ ① ⑫T.K. F 59 Common ALL Pre・Pre−B ㊦ ○ ㊦ ㊦ ⑬M.K.

M

15 Common ALL Pre−Pre,B (∋

⑭J.U.

M

20 Common ALL Pre,Pre.B ㊦

e

㊦ ㊥ ㊥ ⑮Y.K. F 47 Common ALL Pre・Pre−B ①

e

① ㊦ (∋

⑯T.H.

M

18 PreB ALL Pre・B

e

e

㊦ ㊦ ⑰K.N. F 40 Undassified ALL Lymphoid stem cell

e

e

㊦ ㊦ ○ ⑱1.T,

M

77 Unclassi負ed ALL つ (∋

e

∈)

⑲K.1. F 60 Unclassi血ed ALL Pre・Pre−Pre BP

e

⑳M.M. F 30 Unclassi且ed ALL Pre−Pre−Pre BP ㊦ ∈) (D

⑳K.H. F 50 Unclassi且ed ALL Pre−Pre−Pre B∼ ㊦

e

e

㊤ ㊥ ⑫Z.T。

M

70 Unclassified ALL Pre−Pre T? ⑱CDB

e

o

e

⑬M.S. F 15 Unclassi員ed ALL P

⑰CDB ① ㊦ ○

⑳J.1. F 81 Unclassi且ed ALL P ⑭CDB

*Cluster of dense bodies

**rcattered dense bodies

こってきているのか否かは明らかではなかった. さらに,T−ALLでも分化段階の異なるT−ALL間

で酸性ホスファターゼの分布に差があるのか否か は明らかにされていない.そこで,我々は今回リ ンパ性白血病細胞,特にnon−T non−B ALL細胞 を中心に電顕細胞化学の手法を用いて検出した酸 性ホスファターゼの分布パターンが,Foonら1)が 示す基準に従い分類した免疫学的特徴とどのよう に対応するかを,比較検討したので報告する. 材料および方法 1.酸性ボスファターゼの電顕細胞化学 電子顕微鏡でペルオキシダーゼ陰性と判定した 白血病細胞で,芽球が80%以上の症例を対象とし た.末梢血あるいは骨髄液をヘパリン採取し, 2,000回転10分間,遠心分離した後血漿を除去し, 2%パラホルムアルデヒド,2.5%グルタールアル デヒドの混合固定液で0℃30分間の固定を行っ た.円盤状に固定された白血球層をクリオスタッ トで40μの切片とし,Gomoriの反応液18)中で 37℃30分一落祝し,さらにオスミウム酸で後固定 の後,アルコールで脱水,酸化プロピレンを通し て,PolyBed812に包埋した.雄町切片を作成し, 電子染色を施行後,日立H−700H透過型電子顕微 鏡で観察した. 2.白血病細胞の免疫学的検索

Terminal deoxynucleotidyl transferase (TdT), cytoplasmicμchain,モノクローナル抗 体のanti−B1, anti−B4, Leu−1,0KTシリーズに

よる検索を行った.ヘパリン添加骨髄液あるいは 末梢血からFicoll−Conray法にて単核細胞を分離

した.TdTとcytoplasmicμchainの同定には細 胞数を5×106/mlに調整し, Cytospin(Shandon,

(3)

酸性ホスファターゼ活性

B1 Leu.1 OKT10

OKT9

Common ALL≠獅狽奄№? Cμ OKT3 OKT4

OKT6 OKT8

OKTI1 E−rosette

e

㊥ ㊦ ○ ㊥ ㊥ ㊦ . θ

e

e

㊥ ㊦ ∈)

e

e

㊦ ㊤

o

e

θ

e

e

θ

e

θ

e

e

e

e

e

e

e

∈)

e

0

e

e

θ ① ㊦ ㊦ θ

e

θ ㊦ ㊦ θ ∈) θ

e

㊦ ㊥

e

e

e

e

e

e

e

∈)

e

㊦ ㊦ ∈) ∈) θ

e

∈)

e

(∋ ①

e

e

㊥ θ

e

e

e

e

e

㊦ (∋

e

e

㊦ θ ①

e

e

e

㊦ ㊥

e

θ θ ㊦

e

e

∈)

e

e

e

(∋

e

e

e

e

θ ㊥

e

e

e

e

e

e

e

e

θ

e

e

θ

e

θ ∈)

e

LL

e

e

θ ㊦ ㊥

e

e

e

e

e

e

e

e

e

Southern Sewickley, Pa)でスライドグラスに塗

結果

抹.した.TdTは塗抹標本を4℃メタノール中で30 症例は成人T細胞白血病(ATL)4例, T−CLL

分間固定し,子牛胸腺TdTに対するウサギIgG .1例, T−ALL 4例, commgn ALL 6例, pre−B 抗体(Bethesda Research Laboratories, Inc., ALL 1例, unclassi丘ed ALL 8例であった.表1 Gaithersburg, Md)を反応させ,次にFITC標識 にはそれぞれの症例の免疫学的検索の結果と電顕

抗ウサギIgG抗体を添加反応させ,蛍光顕微鏡に 細胞化学による酸性ホスファターゼの観察結果を

より観察を行った.モノクローナル抗体のanti一 まとめてある.

B1, anti−B4, J5(抗common ALL抗原抗体), 1. AT正およびT・CLL細胞の酸性ボスファ OKM1,0KIal, Leu−1,0KT 3,4,6,8,9,10, ターゼ活性

11を用いた検索は,白血病細胞の濃度を2∼4× ATLは4例経験した.酸性ホスファターゼの

107/mlに調整したのち,50μ1に上記の.モノク 局在を示すリン酸鉛の反応産物は,高電子密度の

ローナル抗体を反応させ,次にFITC標識抗マウ 沈着として観察された.酸性ホスファターゼ陽性 スIgG, A, M抗体(Coulter Immunology, であるライソゾームが細胞質の一部に集合して認

Hialeah, Fl)を添加してフローサイトメーターで められている.この構造はcluster of dense 観察した.30%以上陽性の場合に陽性とみなした. bodies(CDB)とよぼれており, T細胞に特徴的

(4)

では集塊状局在性陽性の断見と対応する.また酸 性ホスファターゼはゴルジ装置にも活性が認めら れた.写真1は症例4の電顕像である.この症例 はE−rosette陰性, OKT11はうすく反応が認めら れ,OKT3,0KT4陽性, OKT8陰性であったが, 症例1と同様の所見が認められた.この細胞は培 養することによってE−rosette, OKT11がはっき りと陽性を示すようになった.T−CLL(症例5) の電顕像を写真2に示す.この症例はOKT11陽 性でありながらOKT3陰性のT−CLLである21>. 酸性ホスファターゼ陽性であるライソゾームが胞 体内に散在性に認められた.この構造はscat−

tered dense bodies(SDB)と呼ばれており,渡

辺らがEAC receptor陽性細胞に高率に認められ ること,E−rosette陽性細胞にも一部認められると 報告している19).我々の経験した末梢性T細胞由

来の腫瘍細胞ではCDBあるいはSDBが認めら

れ,ゴルジ装置にも活性が認められた. 2.T・A旺細胞の酸性ボスファターゼ活性 T−ALLは4例(症例6,7,8,9)経験した. 症例6は免疫学的検索からearly thymocyte,症

例7と8はcolnmon thymocyte由来,症例9は

late thymocyte由来であった.写真3は症例6の 電顕像である.CDB構造を有しており,ゴルジ装 置も酸性ホスファターゼ陽性であった.また, nuclear pocketなど核の異常も観察された.写真 4は症例9の電顕像で,酸性ホスファターゼ陽性 のCDBとゴルジ装置を有している.症例7,8も

同様の所見であり,early thymocyte, colnmon thymocyte, Iate thymocyteでは酸性ホスファ

ターゼ活性の局在に差は認められなかった.

3.B細胞系のA旺細胞の酸性ボスファター

ゼ活性

J5陽性のcommon ALL(pre・pre−B ALL)の6

例およびcytoplasmicμchain陽性のpre−B ALL の1例について述べる.

写真5は症例10,common ALLの電顕像であ

るが,酸性ホスファターゼ陽性のライソゾームが 1∼2個存在した.ゴルジ装置には活性は認めら れなかった.他のcommon ALLの5症例も同様 の所見であった.pre−B ALLの症例16の電顕像で は,酸性ホスファターゼ陽性のライソゾームは認 められず,ゴルジ装置も活性陰性であった.発達 した粗面小胞体がB細胞への分化を示唆してい た. 4.Unclassi丘ed A■L細胞の酸性ボスファター ゼ活性 Unclassi丘ed ALLの症例8例中5例(症例17, 18,19,20,21)でcommon ALLの症例と同様 の所見が得られた.症例17の酸性ホスファターゼ 活性の電顕像では,酸性ホスファターゼ陽性のラ イソゾームが1∼2個程度認められた.ゴルジ装 置には活性はみられない.写真6は症例19の電顕 像であり同様の所見であった.症例20,2!も同様 の電顕像であった.これらの症例のうち,症例17 の細胞はTdT, Ia抗原, OKT10は陽性だが, B1, B4, common ALL抗原は陰性であり,その帰属 は明らかでない.症例18の細胞はTdTは陽性だ

が,Ia, Leu−1,0KT10,0KT9, common ALL 抗原は陰性であり,やはりその帰属は明らかでな い.症例19,20,21はIa抗原とB4抗原だけが陽性

であった.B4はB細胞系のごく初期から発現する 表面抗原であり,この3例はB細胞系へ分化して

いると考えられる.酸性ホスファターゼの活性も Ia, B4だけが陽性の群とIa, B4およびcommon

ALL抗原陽性の群とは差がなくこの点からもB

系へ分化していることが推定される. Unclassi丘ed ALLのうちCDBの認められた症 例が3例(症例22,23,24)であった.写真7は 症例22の電顕像である.CDBを有するがゴルジ装 置には活性は認められなかった.この症例はIa, B1, B4, Leu−1陰性であり,T細胞系へもB細胞 系へも分化を示唆する所見は認められなかった. しかし,皮膚浸潤,髄膜浸潤があるなど臨床所見 はT−ALLに類似していた.またOKT9,10を同時 に有していることなどからT細胞系の腫瘍と考 えられLeu−1陰性のことからpre−Tよりも前の段 階と考えられた.写真8は症例23の電顕像である. CDBを有しゴルジ装置にも活性が認められた.残 念ながらB1, B4, Leu−1,0KTシリーズの検索は 行っていないがIa陰性であり,酸性ホスファター ゼの結果からT細胞系の腫瘍と思われる.症例24

(5)

赤星論文附図1

写真1 E−rosette陰性のATL(症例4)の酸性ホスファ.ターゼの電顕像

写真2 T・CLL(症例5)の酸性ホスファターゼの電顕像 酸性ホスファターゼ陽性のSDBとGolgi装置(G).

(6)

赤星論文附図II

四糊

写真3 Pre−T ALL(症例6)の酸性ホスファターゼの電顕像 酸性ホスファターゼ陽性のCDBとGolgi装置(G).

(7)

赤星論文附図HI

写真5 Common ALL(症例10)の酸性ホスファターゼの電顕像 酸性ボスファタ一拝陽性のライソゾーム(矢印). 写真6 Unclassi五ed ALL(症例19)Ia, B4陽性群の酸性ホスファターゼの電顕像 酸性ホスファターゼ陽性のライソゾーム(矢印). 一605一

(8)

赤星論文附図IV

写真7 T細胞系への分化が示唆されたunclassi且ed ALL(症例22)の酸性ホスファ ターゼの電顕像 酸性ホスファターゼ陽性のCDB. 蒙 糊満 騨 ∼ 層俺\ ∼ 、騰 覧篶癒.、 ・粋 .建 ∼ひ

示 沸

幽織ず欝.

♂、 噸 集㌧..

曝璽 禽’

騰騰

写真8 T細胞系への分化が示唆されたunclassi且ed ALL(症例23)の酸性ホスファ ターゼの電顕像 酸性ボスファターゼ陽性のCDBとGolgi装置(G).

(9)

も同様に,CDBを有し,ゴルジ装置にも活性が認 められT細胞系の腫瘍と思われる. 考 察

従来から,正常のT細胞とB細胞の酸性ホス

ファターゼ活性の差が光顕および電顕レベルで報

告されてきた.酸性ホスファターゼは,β一

glucuronidaseやα一naphthyl acetate esterase (ANAE)に比べて,発生のごく初期の段階からT 細胞系に認められることから,T細胞マーカーの 一つとされている22).Sφndergaard−Petersen ら23)は光顕レベルで,白血病細胞の酸性ホスファ ターゼ活性を検索しているが,それには3種類の パターンに分類されている.(1)focal, granular, (2)universal, granular,(3)(1)と(2)のmixed patternである.(1)と(2)は電顕レベルではそれ

ぞれCDBとSDBに対応すると思われる.

末梢性T細胞由来であるATLとT−CLLにつ

いて考察すると,我々の経験したATLは全例

CDBおよびゴルジ装置に酸性ホスファターゼ活 性を有していた.Matutesら24>はATLの2例に おいて酸性ホスファターゼ活性を電顕レベルで観 察しているが,いずれの例も一つの細胞に1∼9 個のCDBと思われる反応陽性の顯粒を認めてい るが,ゴルジ装置の酸性ホスファターゼ活性には 言及していない.一方,我々の経験したT−CLLで

はSDBを認め,ゴルジ装置にも酸性ホスファ

ターゼ活性が陽性であった.Matutesら24)はT−

CLLの例でSDBと思われる反応陽性の穎粒を認

め,ゴルジ装置に活性があると述べている.ATL において彼らがゴルジ装置の活性について述べて いない理由は明らかでない.我国のATLと西イ

ンド諸島のATLの細胞に質的な差異があるの

か,彼らが単に気付かなかったのかは明らかでな い.

我々の経験ではATLの全例にCDB,1例の

T−CLLでSDBを認めたが, CDBあるいはSDB

を有することがT細胞の亜集団と関係があるか 否かは症例が少なく明らかではない.Shamoto ら25)はATL 13例を検索しているが,全例CDBが

認められており,ATLにはCDBが特徴的な所見

であると思われる.Amitageら26)はE+μFcR+細 胞は集塊状局在性,E+γFcR+細胞は散在性に酸 性ホスファターゼが陽性であると報告している が,Bernardら27>はT細胞の亜集団には関係なく すべて局在性に陽性であると異議をとなえており 一定した見解は得られていない.T℃LLはさまざ まな細胞の集団であり,今後SDBあるいはCDB の有無,ゴルジ装置の酸性ホスファターゼ活性と の関係を明らかにしていきたい. T−ALLの3例において全例, CDB構造が認め られ,ゴルジ装置にも活性が認められた.これは Catovskyら15)の報告に一致しているが,彼らは T−ALLをさらに各分化段階に分類して観察して いない.我々の結果ではearly thymocyte由来, common thymocyte由来とlate thymocyte由来

では酸性ホスファターゼ活性の局在に差を認めな かった.

B−ALLは経験しなかったが, B細胞系由来の common ALL, pre−B ALLまたはunclassified

ALLの中でB4陽性の症例では, CDB構造を有す る症例やゴルジ装置に活性を有する症例は認めら れなかった. pre−B ALLでは酸性ホスファターゼ陽性のラ イソゾームが認められず,この所見がpre−B ALL の細胞に特異的かどうかは1例のみのため不明で ある.Unclassified ALLのうち1例において TdTとIa抗原のみ陽性でB1, common ALL抗 原,B4は陰性であった. Nadlerら3)はIa, B4陽性

ALL, Ia, B4, common ALL抗原陽性ALL, Ia,

B4, common ALL抗原, B1陽性ALLで免疫グ ロブリン遺伝子の再構成の検索を行っているが, Ia単独陽性ALLの検索は行っておらず, Ia単独 陽性ALL細胞の1ineageは不明としている.我々 の検索した酸性ホスファターゼ活性の結果からこ の細胞起源はB細胞系であることが示唆される. しかし,この症例は.TdT陽性,ペルオキシダーゼ の電顕細胞化学は陰性であるが,myeloid antigen の検索を行っていないのでmyeloid系の可能性 も否定でき.ない.また血小板ペルオキシダーゼ, 抗血小板抗体の検索も行っておらず,巨核球系も 否定できない.今後このような症例の細胞起源を 決定するためにはそれらを総合して決定する必要 一607一

(10)

があると思われる.

現在1ymphoid stem cellからpro−T cellさら にearly thymocyteへの分化の過程は詳細には 明らかにされていない.酸性ホスファターゼが β一glucuronidaseやANAEに比べ発生のごく初 期の段階から認められることから23),免疫学的に はunclassi且ed ALLとされる症例のなかにCDB を有する症例が3例あったことは,これらの症例 ではT細胞へ分化していた可能性が考えられる. しかし,残念ながらこのうち症例21でしか詳しい 免疫学的検索が行われなかった.本例はB1, B4, Leu−1はいずれも陰性で, B細胞系, T細胞系への 分化を示すマーカーは有していなかったが,Ia抗 原陰性である点とOKT9,0KT10の両方が陽性で ある点と,臨床的に皮膚浸潤,髄膜浸潤が認めら れた点からT細胞系由来の細胞である可能性が 示唆された.したがって,酸性ホスファターゼの 活性が,免疫学的に認識できるT細胞の最も幼若 な細胞,すなわち,pre−T細胞よりもさらに幼若な 細胞を認識している可能性が考えられた.このよ うな症例が,T細胞への分化段階の細胞に由来す るか否かは,遺伝子レベルでの解析28)29)や,より詳 細な免疫学的解析30>が必要と考えられる. 総 括

ATL 4例, T−CLL 1例, T−ALL 4例, common ALL 6例, pre−B ALL 1例, unclassi丘ed ALL 8

例で電顕細胞化学の手法を用いて検出した酸性ホ スファターゼ活性を検討した.T細胞のマーカー

をもつものは9例全例,CDBあるいはSDBが認

められた.またゴルジ装置にも活性が認められた。 Unclassified ALLのうちB4が陽性の場合,ある いはcommon ALL抗原, B1などが陽性の場合, すなわち,B細胞系へ分化している症例ではCDB は認められず,またゴルジ装置も活性が陰性で あった.Unclassi丘ed ALLと分類された症例の中

で3例でCDBを認めた.その中の1例でさらに

詳しい免疫学的検索がなされたが,細胞起源は不 明であった. 稿を終えるにあたり,御助言を賜りました滝沢敬夫 教授に感謝の意を表します.また,直接御指導,御校 閲を賜りました溝口秀昭教授,押味和夫助教授に心よ り感謝申し上げます. 文 献

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参照

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