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Wnt Signaling as a Possible Promoting Factor of Cell Differentiation in Pleomorphic Adenomas

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Academic year: 2021

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142 【緒言】  本研究では,腫瘍実質細胞の分化について着目 し行った.今回使用した Wnt シグナルは,分化 および抑制に関与することから,多形腺腫の多様 な分化に関与しているとの仮説を立て,免疫染色 について Wnt–1を 選 択 し,β–catenin とともに 免疫組織学的に検討をし,さらに細胞分化につい ては,CK ₇ と CK13についての免疫組織化学的 検討をあわせて行い,若干の文献的検討を加えた のでその概要について報告する. 【材料・方法】  研究材料は,愛知学院大学歯学部口腔病理学講 座にて取り扱われ,WHO の分類に基づく典型的 な組織像を呈する30症例(平均年齢は51.5歳,男 性13 症 例,女 性1₇ 症 例)である.Wnt–1 とβ– catenin の免疫組織化学的検討を加えたのち, CK ₇ と CK13との蛍光染色による重ね合わせに て比較検討した. 【結果】  Wnt では,充実性に増殖した腫瘍胞巣を形成 する細胞のほとんどが陽性を呈した.とくに最外 層の小型の立方形細胞の細胞質膜は,細胞膜部位 に強い陽性反応を示した.胞巣内部の扁平上皮化 生を示す間質側の基底細胞様細胞では,Wnt は 強く発現しており,角化傾向の強い部位には反応 を示さなかった.また,胞巣内に認める形質細胞 様細胞の細胞膜部位に陽性であった.腺腔様構造 を形成する腫瘍細胞では,腺腔の外層に分布する

〔学位論文要旨〕

松本歯学 41:142~143,2015

Wnt Signaling as a Possible Promoting Factor of Cell

Differentiation in Pleomorphic Adenomas

(多形腺腫における細胞分化の促進因子としての

Wnt シグナルの可能性)

奥田 優貴子

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 硬組織疾患制御再建学講座 (主指導教員:川上 敏行 教授) 松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文 Wnt signaling as a possible promoting factor of cell

differentiation in pleomorphic adenomas

Y

UKIKO

OKUDA

Department of Hard Tissue Research, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Professor Toshiyuki Kawakami)

The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph.D. (in Dentistry)

(2)

松本歯学 41⑵ 2015 143 多角形ないし紡錘形の腫瘍細胞の細胞膜部位とそ の細胞質に陽性反応がみられた.  β–catenin では,充実性の腫瘍胞巣で最外層の 小型の立方形細胞では,細胞質内に強く陽性反応 があり,その一部では核内に陽性反応を示した. 充実性胞巣内部の多くの扁平上皮様腫瘍細胞や, 形質細胞様細胞の細胞外形を縁取るように強い陽 性反応があったが,細胞質内や核は一部陽性反応 を呈した.とくに間葉方向の基底様細胞では強く 反応を示し,角化部位に移行するに従って,反応 は弱くなっていた.腺腔様構造を形成する腫瘍細 胞では,腺腔外側に分布する小型立方形細胞で は,腫瘍細胞の細胞質内が強く陽性反応を呈し, 核内にも陽性反応が観察された.  蛍光染色で確認したところ,Wnt と CK ₇ およ び Wnt と CK13の陽性部はほとんどが一致して いた. 【考察】  Wnt は充実性の腫瘍胞巣内の小型立方形の細 胞が集簇している領域に強い陽性反応を示してお り,CK ₇ と比較すると Wnt が濃染されている部 位は CK ₇ の発現と一致しており,腺管様構造の 形成が多数存在していた.同部位のβ–catenin で は導管様構造の外側に分布する小型立方形細胞に 核内移行が強く観察された.腺管様構造の周囲に 認 める 紡 錘 形 細 胞 では,Wnt は 淡 色 でありβ– catenin も同様であった.これより,腺管を形成 する細胞,とくに小型立方形細胞では,Wnt シ グナルがβ–catenin 経路を介して働いており,い わゆる間質方向へと索状に配列する紡錘形細胞で は Wnt やβ–catenin の発現がほぼ認められない ことから,充実性の腺管様構造を形成する小型立 方形細胞は Wnt が関与し,分化していることが 考察される.  扁平上皮様細胞の部位では,Wnt は陽性反応 を呈し,とくに胞巣辺縁に配置する基底細胞様細 胞に強陽性反応を示した.しかし,分化の進んだ 部位における陽性反応は弱くなっていた.同様 に,β–catenin では,扁平上皮化生を示す部位は 陽性反応を認めた.多くは,細胞膜周囲に濃染を 認め,細胞質及び核内への移行は認めなかった. とくに胞巣周囲に認める基底細胞様細胞にはその 傾向がみられたが,ごく一部で核内移行像を認め る部位もあった.胞巣を形成する扁平上皮様細胞 の中でも,胞巣周囲の基底細胞様細胞の一部では Wnt はβ–catenin 経路を介して働いている事が 示唆されたが,多くの細胞では Wnt が発現して いるものの,β–catenin の核内移行はなされてお らず,このような部においては Wnt 経路の相違 があるのであろう.以上,多形腺腫では,充実性 に増殖した腫瘍細胞の中で,腺管様構造を呈し, とくに立方形細胞の部位で,Wnt が細胞分化に 関与しており,Wnt で現在確認されている 3 つ の経路のうち,β–catenin 経路を介して働いてい る事が考察される.また,充実性に増殖した腫瘍 細胞の中でも,扁平上皮化生しており,基底細胞 様細胞では,Wnt はβ–catenin 経路以外で働い ていることが示唆される.以上のことより,多形 腺腫の特徴である,様々な組織への分化には,大 きく Wnt が関与しているが,β–catenin 経路を 介して分化に関与するものと,それ以外での経路 で分化に関与しているものと,細胞形態,部位に よって変化していると考察される. ★本文41-2.indb 143 2016/03/07 16:53:47

参照

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