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博 士 ( 医 鞘 能 登 啓 光

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 鞘 能 登 啓 光

    学 位 論 文 題 名

Effect ofHigh concentr甜 onsofMeAcids     on(MturdHepatoCyteS

    鰭 養 肝 細 胞 に 対 す る 高 濃 度 胆 汁 酸 の 影 響 冫

  高濃度の胆汁酸の肝細胞障害性については数種類の個々の胆汁酸についての報告が 有る。MTT assayによる生存率低下、培養液中に逸脱したAST.LDH.蛋白・培養液 濁度による膜障害、形態学によるapoptosis.necrosis、ミトコンドリアのATP量、ミ トコンドリアの電子伝達系機能、細胞内胆汁酸量の測定などがなされているが、胆汁 酸が臨床上間題となるか否かは明らかにされていない。肝不全患者の血清中には多数 の胆汁酸が増加し、そのうち特にコ―ル酸(C)、ケノデオキシコール酸(CDC)、デオキ シコール酸(DC)及びその抱合体は肝細胞障害性を来すと報告されている。ラッ卜肝細 胞を用いた培養胆汁酸の膜障害の報告では、夕ウ□ケノデオキシコール酸(TCDC)投与 による培養液中LDHの逸脱がO.lmMから容量依存性に出現、臨界ミセル濃度の2mMに なると障害は急激に増強、また胆汁酸投与によりMTT値が急激に低下する濃度から検 討した臨界ミセル濃度は各種胆汁酸によって異なるとされる。しかしこれらの報告は 単一胆汁酸の障害性を検討したものであり、実際の血清中には様々な種類の胆汁酸が 様々の比率で混合していることから、複数を混合した胆汁酸の障害性を検討すること が重要である。また臨床例では、総C/CDC比(遊離および抱合型コール酸の和と、遊離 および抱合型ケノデオキシコール酸の和との比)が上昇しない肝不全症例は予後不良で あり、C/CDC比は劇症肝炎と急性肝炎を鑑別する鋭敏な指標であり死亡する症例では C/CDC比が上昇しない、など予後判定の指標としての報告がある。しかし現在まで添 加する胆汁酸の総C/CDC比が培養肝細胞の肝特異的機能に与える影響は検討されてい ないため、本検討ではこれらを明らかにすることを目的とした。胆汁酸のうちGC(グ リココ―ル酸)、TC(夕ウ□コ―ル酸)、GCDC(グリコケノデオキシコール酸)、TCDC は肝不全時に血清中において正常の40ー100倍に上昇し、ヒトとラットは胆汁酸組成に 差があ るがともに 肝細胞障害 で血清GCDC、TCDCが 増加する。 そこでこの4種の胆 汁酸から2種を混合した培養液6群について、総胆汁酸(TBA) 2mMでラット肝細胞を5 日間培養し、培養肝細胞に対する肝細胞障害性をMTT assayと肝特異的機能から検討 した。初代培養肝細胞はコラゲナ―ゼ灌流法により、8から9週齢、250‑300gの雄性ウ

(2)

イ ス夕 ―ラ ット から得た肝実質細胞をWilliams|E(WE)培地で24時間培養し、その後胆 汁 酸を 含むWE培 地に置 換し 培養 を継 続し た。 肝細 胞の 生存 率は 胆汁 酸添 加の1日目に MTT assayを用いて測定した。MTT値=(測定値.パックグラウンド値)/(コント□−ル値‐

パックグラウンド値)xi00とした(値は吸光度)。肝特異的機能の障害の指標として胆汁 酸 添 加 の1、3、5日 目 に 糖 新 生 能 、 尿 素 合 成 能 、DNA量、 培養 液中ALT値を 測定 、形 態 を 観 察 し 、 胆 汁 酸 構 成及び 総C/CDC比と の関 連を 検討し た。 測定 結果 は、MTT値は Mann‑Whitney|SUtestで 、 そ の 他 はrepeated measures analysis of variance

(Scheffe'sF) で 解 析 し 、Pく0.05を有 意 と し た 。MTT値 はGCDC+TCDC群 はTBAlmM で は 低 下 せ ず 、TBA2mMで 低 下 し た 。 他 の 群 はTBAlmMで も2mMで も 低 下 し な か っ た 。 ま た 過 去 の 単 独 胆 汁 酸(GC、TC、GCDC、TCDC)の 研 究 で はTBAlmMお よ び 1.5mMで は ど の 群 もMT1‐ 値 の 低 下 が 無 く 、TBA2mMで はGCDC、TCDCで 低 下 、GC、 TCでは低下が無かった(未発表)。以上の所見より、MTT値からみたviabiIiツに対する障 害 度 はGCDC与 TCDC冫GC与 TCで あ り , GCDCとTCDCは 単 独 で も 一 緒 で もTBA2mM で は 同 程 度 の 生 存 率 の 低 下 を 来 た し て い た 。DNA量 はGCDC十TCDCで はDay3よ り 低 下 し漸 減し たが 、他の 群は 実験 経過 中は 高値 を保 って いた 。培 養液 中ALTは、GCDC十 TCDC群 卩BA2mM) で 上 昇 し 膜 障 害 を 起 し て い る と 考 えら れる が、 他の 群は 有意 な上 昇 が 無 く 膜 障 害 は 軽 度 と 考 え ら れ た 。糖 新 生 能 は 、GCDC十TCDCはday1に お い て 著 明 に 低 下 し た 。GC十TCは対照 とほ ぼ同 じで あっ た。Day3から 他の 群も 有意 差は 無い が 種々 の程 度に 低下し たが 、特 に胆 汁酸 種に よる傾向は無かった。尿素合成能につい て は 、GCDC十TCDCで 著 明 に 低 下 し 、Day1か ら ほ ぼ0に 等 し い 値 であ っ た 。1mMの GCDCを 含 む そ の 他 の 群 す な わ ちGC十GCDC、TC十GCDC群 で も 尿 素 合 成 能 が 軽 度 低 下 し た 。 し か し こ れ ら の群で はALTの 上昇 やDNA.糖 新生 能の 低下 を認 めな かっ た。

っ まり これ らの 群ではALTの上 昇が ない こと 、またDNA量が維持されていることより、

細 胞膜 障害 が無 〈、細胞は生きているが尿素合成能が選択的fこ障害されたと考えられ る 。 ― 方GCDCを 含 ま な い 群 、 す な わ ちGC十TC、TC十TCDC、GC十TCDCで は 、AL.T の 上 昇 やDNA. 糖 新 生 能 ・ 尿 素 合 成 能 の 低 下 は 無 か った 。GCDCに よる 尿素 合成 能の 障 害は 糖新 生能 よりも 低濃 度か ら出 現し やす く、尿素サイクルの酵素は糖新生経路の 酵 素よ り容 易に 障害さ れる 為と 考え られ る。 以上 より 、2mMでは 、尿 素合 成能から見 た 障 害 度 はGCDC冫TCDC冫GC与TCで あ っ た 。 劇 症 肝 炎 を 含 め 臨 床 例 で はTBA2mMと い う濃 度は まれ である が、 実際 の組 成に 近い 胆汁酸の、臨界ミセル濃度における、肝 特 異的 機能 に与 える影響について検討した。胆汁酸は肝細胞のapoptosisをきたすと言 わ れ 、GCDCは0.1mM以 下で肝 細胞 のapoptOSiSを、0.25mM以 上でnecroSisを来 すと し て い る 。 自 験 例 で1mMのGCDCを 含 む 群 に つ い て 調 べ る と 、GCDC十TCDC群 で は 形 態 的 にnecrosisを 来 たし、 糖新 生能 、尿 素合 成能 、DNAも低 下、 培養 液中ASTは上 昇 レ て お り 、 そ の 機 序 は 細 胞 壊 死 に よる 肝 機 能 の 廃 絶 と 考 え る 。TC十GCDC、GC十 GCDCで は 軽 度 のnecrosisが あ っ た 。 ま た1mMのTCDCを 含 むGC十TCDC、TC十TCDC も 軽 度 のnecrosisを 来 た し て お り 、1mMのTCDCもnecrosisを きた すと 考え られ た。

GC十TCはControIと同 様でnecrosisを来 たし ていな かっ た。 投与 胆汁 酸の 総C/CDC比

125

(3)

と肝細胞障害の関係を見ると、総

C/CDC

比が0の場合、

MTT

値、糖新生能、尿素合成 能 、

DNA

量、 培 養液 中

ALT

は全 て 悪化 し た 。総C/CDC比が1で

1mM

GCDC

を含 む場 合、尿素合成能のみ障害された。総

C/CDC

比が無限大ならば肝細胞障害は無かった。

TBA 2mM

の 場合、GCDCと

TCDC

は混 合しても単 独でも、著 明な肝細胞障害を来して いた。

(4)

学 位 論文審 査の要 旨

主 査 教 授 浅香正 博 副 査 教 授 加藤紘 之 副 査 教 授 藤堂    省

     学位論文題名

Effect of High concentr 加 onsofMeACids     on (MturedHepatoCytes

     僻瀁肝細胞に対する高濃度胆汁酸の影響)

  

高濃度の胆汁酸の肝細胞障害性については数種類の個々の胆汁酸についての報告が これまでなされていた。肝不全患者の血清中に増加する胆汁酸の一部に肝細胞障害性 が報告されているが、複数を混合した胆汁酸の障害性は検討されていない。臨床例で は総C/CDC比(遊離型および抱合型コール酸の濃度の合計と,遊離型および抱合型ケ ノデオキシコール酸の濃度の合計の比)の予後判定の指標としての報告があるが、総

C/CDC

比が培養肝細胞の合成能に与える影響は検討されていない。そこで申請者は、

胆汁酸を2種混合した培養液でラット肝細胞を培養し肝の合成能に与える影響を検討し た。コラゲナーゼ灌流法により雄性ウィスターラットから得た肝実質細胞をWnliams.

E(WE)

培地で24時間培養し、その後劇症肝炎時に増加するグリココール酸(GC)、夕ウ 口コール酸

(TC)

、グリコケノデオキシコール酸(GCDC)、夕ウロケノデオキシコール 酸

(TCDC)

のうち

2

種を等量添加し総胆汁酸量

(TBA) 2mM

としたWE培地で培養を継続 した。肝細胞の生存率は胆汁酸添加の1日目にMTT assayを用いて測定した。胆汁酸 添加の

1

3

、5日目に糖新生能、尿素合成能、細胞内DNA量、培養液中ALT値を測定 し 、 同 時 に 形 態 を 観 察 し た 。

MTT

値 は

GCDC+TCDC

TBA ImM

で は 低 下 せ ず 、

TBA 2mM

で低 下した 。他 の群 はTBA ImMで も

2mM

で も低下 しな かっ た。 糖新生 能 は

GCDC+TCDC

day1

に お い て 有 意 に 低 下 し た 。 尿 素 合 成 能 は

GCDC

TCDC

GC+GCDC

TC

GCDC

day1

day3

に お い て 有 意 に低 下 し た 。 細 胞 内

DNA

量 は

GCDC+TCDC

clay3

に お い て有 意 に 低 下 した 。培 養液中

AI

汀 は、

GCDC

TCDC

で 有意に上昇し膜障害を起していると考えられたが、他の群は有意な上昇が無く膜障害 は 軽度 と考 えられ た。 形態 的に は、

GCDC

TCDC

では 著明な形態変化を来した。

GC

十TCはControlと同様であり、その他の群では中等度の形態変化を来した。胆汁酸 の肝障害性は個々の濃度が低くても複数混合すると出現し、総C/CDC比の低い胆汁酸 の組み合わせは培養肝細胞に対する障害が高度であった。

(5)

  公開発表にあたって副査の第2外科加藤教授から胆汁酸2種を等量混合した理由、高 度肝障害がある場合の4種胆汁酸の濃度、人工肝応用時の高濃度胆汁酸への対処法、

本実験モデルの中でapoptosisを来す条件についての質問があった。申請者は混合は一 番基本的な1:1の混合実験から施行したこと、正常時と劇症肝炎時の今回検討した4種 胆汁酸の値、人工肝のバイオリアクターに肝不全血漿を通す前の吸着を検討している こと、今回の濃度ではnecrosisを来たしておりapoptosisに留まる条件は検討出来なか ったことを回答した。続いて、主査の第3内科浅香教授から急性肝炎ならびに劇症肝炎 症 例でのGCDCとTCDCの血中濃度、2種混合実験における障害性の原因は濃度と比率 のどちらか、3種以上組み合わせた場合の障害性、ウルソ添加による障害性の軽減効果、

肝癌細胞への胆汁酸の添加についての質問があった。申請者は劇症肝炎時のTBAと個々 の胆汁酸濃度について数値を示し、障害性の原因は濃度と比率の両方が関与しており TBA 2mM以上かつ 構成成分と してCDC群 を多く含む ことが障害性を来す条件である こ と 、TCDC添 加 によ る 培養 液 中LDH逸脱と 細胞内TCDC上昇 がUDCの同 時添加で抑 制されること、肝癌細胞への添加は今後の課題であることを回答した。続いて、副査 の 第1外科 藤堂教授か ら総C/CDC比と劇症肝炎の病態との関係、G/T比についての質 問があった。申請者はコール酸合成に至る酵素の活性低下により合成障害が起ること、

並びにG/T比の意味について回答した。再び主査の第3内科浅香教授から、本研究の結 果は診断と治療のどちらに使用するのか、胆汁酸が劇症肝炎治療のdominant factor になりうるか、障害性が強く濃度の高い胆汁酸の抑制による劇症肝炎の治療について の質問があった。申請者は診断と治療の両方に成り得ること、胆汁酸の抑制は今後の 課題であることについて概ね妥当に回答した。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受ける のに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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