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博 士 ( 工 学 ) 佐 藤 満 弘

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 佐 藤 満 弘

学 位 論 文 題 名

極 異 方 性 を 有 す る 回 転 円 板 の 曲 げ 振 動 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近 年, 科 学技 術の 進展 はめ ざましく,その技術革新には目を 見張るものがある.機 械工学の分野においてもそれは例 外ではない.特に,情報機器産業の分野においては,

情報 化時 代 の到 来と とも に機 器の小形高性能化,高速処理化, 軽量化が急速に行われ てき てい る .そ のよ うな 状況 において,古くから基本的な構造 要素として多種多様の 機械 に用 い られ てき た回 転円 板は,記憶装置の主たる要素とし て使用されている,こ れら回転円板は情報の高密度化, 入出力時におけるアクセス時間の短縮化を図るため,

回転速度は高速となってきており,デ.イスクの振動や不安定現象を生じるようになる.

その 結果 , 記録 再生 の信 頼性 の低下,さらに,ディスクや^ッ ドの破損等の問題が生 じる よう に なっ てき た. また ,rッド が ディ スク 上の1卜 ラッ クを 正 確に 追従 する 位 置決 め制 御 は非 常に 高精 度な 技術を要するため,その母体であ るディスクが振動を伴 わな い安 定 した 回転 状態 を保 つことが不可欠である.それゆえ ,情報機器における回 転 円 板 の 動 的 特 性 を 正 確 に 把 握 す る こ と は 重 要 な 課 題 と な っ て き て い る .   本 論文 で は, この よう な情 報機 器に 用い られ てい る回 転円板,特に,rッドとディ スク が非 接 触で ある 磁気 ディ スク及び,光ディスク,コンパク トディスクに着目し,

その 振動 特 性を 理論 的に 解析 する .ま た, 繊維 強化 プラ スチック(FRP)に代表される 複合 材料 は 高い 比強 度( 強度 /密度)と比剛性(剛性/密度) を有し,機械の高性能 化, 軽量 化 のた め近 年, 先端 工業材料として等方性材料に代わ り多くの構造要素に使 用さ れ, そ の用 途は 急速 に拡 大してきている.このような状況 を踏まえ,現在,アル ミニ ウム や ポリ カー ボネ イ卜 などを用いた等方性材料を母材と して作製されているこ れら ディ ス クが ,複 合材 料か ら成る極異方性材料でその母材が 置き換えられた場合,

すな わち , ディ スク の円 周方 向に強化繊維を入れ,円周方向の 剛性を高めた極異方性 回転 円板 と して モデ ル化 でき るとして,その振動特性について 理論解析を行う.そし て, その 解 析結 果に 基づ き数 値計算を行い,固有円振動数,駆 動点インピーダンス,

振動 モー ド 等を 求め ,角 速度 ,角加速度,内部減衰等をパラメ ータとしたときこれら が回 転円 板 に与 える 影響 を明 らかにすると共に,極異方性を有 する回転円板の動的安 定性に対する有用性について検討 する.

  本 論文 は ,7章か ら構 成さ れて おり , 第1章は 緒言 であ り, 本研 究 の意 義と 目的 に つい て述 べ ると 共に ,回 転円 板に関する現在までの研究動向や 本論文の概要について 説明している.

  2章で は, 極異 方性 回転 円板 の振 動 特性 に関 する 解析を行 うのに際し,回転円板 の基 本的 な 振動 特性 を把 握す るため,等方性回転円板の振動解 析を行う.慣性カとし て遠 心カ を 考慮 した 回転 円板 の半径方向のカの釣り合い方程式 と運動方程式を板厚一 定の 薄肉 回 転円 板に つい ての 弾性理論に基づき求める.これら 方程式で用いる座標系 を円 板と 共 に回 転す る回 転座 標系から空間に固定した静止座標 系に座標変換する.そ のカ の釣 り 合い 方程 式よ り円 板の半径方向及び,円周方向の応 力成分を導く.また,

複素 ヤン グ 率を 用い て内 部( 構造)減衰を考慮した.そして, 運動方程式を導出し,

未知 時間 関 数と 未知 座標 関数 とで変数分離し,近似した面外方 向変位を代入する.そ

ー ー118

(2)

して,ガラーキン法を適用する事によりその解を求め,固有値解析と定常応答解析を 行う.固有値解析では円板に作用する外カを0として,振動数方程式を導く.定常応 答解析では空間に固定された円板上の任意の一点において調和起振カが作用する場合 の応答を導き,駆動点インピーダンス,円板の変位式を導出する.また,一定角加速 度で加速される回転円板の運動方程式を導出し,同様に,固有値解析と定常応答解析 を行っている.

  第3章では,円板の円周方向に強化繊維を入れ,プラスチック等で円板を成形する ことにより,半径方向と円周方向の弾性係数が異なる極異方性回転円板について理論 解析を行う.はじめに,空間に固定された静止座標系でのカの釣り合い方程式をスプ ライン補間法により解き,半径方向と円周方向の応力成分を導出している.運動方程 式は異方性弾性板の古典理論に基づき,直交異方性板の2次元における軸対称問題に 置き換え導出した,そして,内部(構造)減衰を考慮した運動方程式に,面外方向変 位関数を代入し,ガラーキン法を適用して解き,一定角速度と一定角加速度で回転す るニ通りの場合についてそれぞれ,振動数方程式,駆動点インピーダンス,変位式を 導出する.また,極異方性円板の弾性特性として,円周方向繊維強化材の弾性特性を 用いて,各異方軸に関する弾性係数等を決定している.

  第4章では,第2章のでの各基礎式を用いて,数値計算を行い,一般的な等方性回 転円板の振動特性について検討する,振動数方程式を解くことにより,角速度に対す る固有円振動数分布を求め,工学的に重要となる回転円板の振動モードは節円を持た ない振動モードであること,また,回転円板の特性である進行波,後退波,そして・

危険速度の存在を明らかにした.さらに,各パラメータを変化させたときの駆動点イ

  第5章においては,第3章にて導出した各種基礎式を用いて,極異方性円板をガラ ス繊維を巻きエポキシ樹脂で成形した円周方向繊維強化材の円板と仮定し,円板に巻 き込まれたガラス繊維の体積含有率をパラメータとして加え数値計算を行っている.

極異方性回転円板の振動数方程式を解き,得られた固有円振動数分布から,等方性か ら極異方性へとその特性を変化させることによって,固有円振動数と危険速度の分布 状態が変わり,安定領域が広範囲に広がることが認められた.また,一定角速度で回 転する場合と,一定角加速度で加速する場合について,各パラメータを変化させたと きの駆動点インピーダンス,振動モードを計算し,これらのパラメータの違いが極異 方性回転円板の振動現象に及ぼす影響について検討している.また,極異方性の影響 が大きくなると,工学的に関係すると考えられる起振振動数と回転数の範囲内におい ては,振動モードは,節直径数が少ない振動モードに依存すること,共振点となる応 答ピークの数が減少し,安定した回転領域が増えることを明らかにし,極異方性を有 する回転円板を採用することの有用性を明らかにしている.

  第6章においては,回転円板の振動変位を測定するための実験装置を作製し,その 振動変位波形をFFTを用いて周波数分析を行い鋼製円板の固有円振動数を計測する.

一方,第3章で得られた極異方性回転円板の振動数方程式を等方性板に適用すること カゝら固有円振動数を計算している.これらの計算値を実験値と比較した結果,両者は ほぼ一致していることを明らかにし,本論文の理論解析の妥当性を検証している.

  第7章は結論 であり, 本論文に おいて得 られた研究成果を取りまとめている,

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(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

極異方性を有する回転円板の曲げ振動に関する研究

  

近年、科学技術の進展はめざましく、情報化時代の到来とともに情報機器の小形化、

高性能化、高速化、軽量化等が急速に行われている。コンピュータの周辺機器である記 録装置に用いられている回転円板は、情報の高密度化、入出力時におけるアクセス時間 の短縮のため、高速での回転を要求される。このため、円板には振動や不安定現象が生 じるようになり、記録・再生の信頼性の低下、さらには円板やへッドの破損等が実用上 重要な問題となる。

  

本論文は、半径方向と円周方向の弾性係数が異なる、極異方性円板が高速で回転する ときの振動と動応答に関する基礎的な研究を行なったものであり、その主要な成果は次 の点に要約される。

  [1]

回転する極異方性円板の運動方程式を誘導し、ガラーキン法を適用して解を求め、

円板が一定角速度で回転する場合と一定角加速度で加速される場合について、振動数方 程式、駆動点インピーダンスおよび変位を導出している。

  [2]

回転する等方性円板に生じる振動を解析し、動特性の観点から重要なのは節円を持 たない振動モードであること、また、前進波、後退波、あるいは危険速度が存在するこ とを明らかにしている。さらに、板の駆動点インピーダンス、振動モード等を計算し、

円板の振動特性に及ぽす各種バラヌータの影響を論じるとともに、角速度および起振振 動数に対する円板の安定・不安定領域を与えている。

  [3]

回転する極異方性円板の振動数方程式を解き、円板に極異方性を持たせることによ り、その安定領域が広がることを確認している。また、円板が一定角速度で回転する場 合と、一定角加速度で加速される場合について検討し、バラヌータの違いが極異方性円 板の振動に及ぽす影響について論じている。さらに、極異方性の度合いが強くなると、

板の振動は節直径数の少ない振動モードに依存すること、また共振点である応答ピーク の数が減少し、安定した回転領域が増大することを明らかにし、極異方性円板を採用す ることの有効性を示している。

  [4]

さらには、回転する等方性円板に関して振動実験を実施し、測定された振動変位を 周波数分析することから円板の固有振動数を実測している。一方、回転円板の固有振動 数を数値計算から求め、これらが実験値とほぽ一致していることを明らかにし、本論文 の解析法の妥当性を検証している。

  

これを要するに、著者は、極異方性を有する回転円板の曲げ振動に関する振動解析法

元 也

   

   

田 田

山 岸

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

と振動特性を論じ、この種構造要素の振動に関して有益な知見を得たものであり、機械 振動学の進歩に貢献するところ大なるものがある。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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