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博士(工学)國見 均 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)國見   均 学位論文題名

大気シミュレーションによる低排気車導入の大気影響予測 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  大気汚染の問題は古くて新しい問題である。自動車をはじめとして長年にわたる排気 削減の努カにもかかわらず、大都市を中心に世界の多くの都市で環境基準を達成出来な いでいる。その中でも早期から光化学オキシダントに悩まされてきたロサンゼルスにお いては1990年の大気浄化法により2010年までにオゾンの環境基準120ppbの達成を義務づ けられた。そのための施策のひとっとして、自動車排気の大幅な削減を立案し、排気削 減 のた めの大 きな 潜在 能カ を有し ているとして代替燃料車の導入も計画された。

  本研究は、このようなロサンゼルス地区における自動車排気の大幅な削減によるオゾ ン濃度の低減施策に対し、3次元大気シミュレーションモデルによる将来大気環境の予 測を行い、自動車排気の寄与を解析することによる削減施策の評価と排気低減手法に対 する提言を主目的とした。さらに同様な問題を抱えている日本、欧州等への適用できる モデルとするため、国内への適用を第二の目的とした。

  そのための手法としてモデルの選択、入カすべきデータベースの準備を行った。選択 したモデルはCITモデルと称されているものであり、カリフォルニアにおける排気削減 のための手法として採用されたMIR法の検証手法として用いられたものである。自動車 以外の排出源からの排気排出量デー夕、気象条件データはカリフオルニア州政府が準備 したものを用い、市場へは未投入の低排気レベルの排気排出量、排気組成データについ ては、開発途上車のものから市場投入に近い仕様の車のデータを用いることで、将来の 排気データの精度向上を図った。さらに、将来期待されている排気の低減に見合った条 件を基準にして、各種施策の効果を解析するために、計算条件の見直しを行い、境界条 件の新たな設定法を追加した。

  シミュレーション条件を整えたうえで、各種排気削減策によるオゾン濃度低減効果の 解析を実施した。電気自動車、メタノール車、その他低排気レベル車の排気データによ るオゾン濃度の解析により、電気自動車増大に伴う発電所からの排気増加の寄与は小さ いこと、排気組成の大幅に異なるメタノール車の排気データに対するオゾン濃度低減効 果 は 、 MIR法 で 見 積 も る よ り も や や 過 小 評 価 に な る こ と を 示 し た 。   さらに自動車の排気削減によるオゾン濃度低減に対する寄与は削減されるROG[NOx 比率に大きく影響されることを明らかにした。すなわち、ROG削減は常にオゾン濃度を 低減させるが、NOxについては、最高オゾン濃度がfn現する時点におけるROG/NOx比が

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20以下の場合はNOx削減が逆効果になること、20以上では有効に働くことを1刀らかにし た。この傾向については環境基準達成目標年である2010年においても基本的には変化し ないことを示した。それは、現在進められている自動車排気削減策がROG/NOx比を変 化させないことによる。

次に本モデルの国内、関東圏への適用について検討した。その結果、実測データとの 一致性を向上させるため幾っかの改良が必要であることが明らかになった。本研究では そ の 中 で 拡 散 係 数 設 定 法 の 改 良 を 検 討 し、 再 現 性 向 上 を 図 る こ と が でき た 。   本論文は7章より構成されている。

  第1章においては、研究の背景と研究の目的、目標およびプロセスについて述ベ、

1990年の大気浄化法改訂に伴う、自動車排気削減の考え方の変更を基にした大気予測手 法に関する研究の必要性について述ぺた。

  第2章においてはシミュレーションモデルの概要と、データベース、化学反応モデル について述ベ、境界条件設定法の改良検討の結果について述べた。境界条件設定法の改 良は、特に将来の環境改善時点を基準にした自動車排気の大気影響を解析するという観 点からの実施した。

  第3章においては、自動車排気データの処理による入カデー夕作成手法について述べ た。自動車排気データはまだ市場に投入されていない車のデータを用いることから、開 発途上車のデータを用いることとし、入カデー夕作成に関しては汎用性ある手法を確立 した。

  第4章では、低排気車導入によるオゾン濃度低減効果解析結果について述べ、これら を基にした統一的な排気削減によるオゾン濃度低減効果の評価手法について言及した。

この中では、電気自動車、メタノール車という具体的な環境改善のための候補車につい て個別に解析を行うと共に、低排気車全体としてのオゾン濃度低減に対する統一的な解 釈を可能にする手法について言及した。

  第5章では、この解析結果を基に2010年における大気環境改善効果と、その時点にお ける自動車排気削減効果の解析結果について述ぺた。ここでは、自動車排気削減におけ るROG/NOx比が基準とした1987年と異ならないことから、同様な削減効果になること を示した。

  第6章は本モデルの国内への適用検討に関する記述であり、シミュレーション条件の 整備と、拡散係数設定法に関する検討結果、今後の検討課題について述べた。本章では モデルによる計算結果の実測値との再現性を確保するための改良に主眼を置き、拡散係 数設定法の改良が必要であることを示した。

  第 7章 は 本 研 究 の 結 論 で あ り 、 得 ら れ た 成 果 を 総 括 し て い る 。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

大気シミュレ了ションによる低排気車導入の大気影響予測

  大都 市を 中心 に世 界 の多 くの 都市 で大 気環 境基 準の 未達 成が問題となっている。 米国ロ サ ンゼ ルス では2010年 まで にオ ゾン 環境 基準 を達 成す るた めの施策として、電気自 動車、

メ タノ ール 車、 その 他 の低 排気 レベ ル車 の導 入が 計画 され ている。このような低排 気車の 導 入に よる 自動 車排 気 の大 幅な 削減 によ るオ ゾン 濃度 の低 減施策に対しては、その 効果を 適 切に 予測 し評 価す る こと が肝 要で あり 、そ のた めに は信 頼性の高いシミュレーシ ョンモ デ ルの 構築 、適 切な 境 界条 件の 設定 、検 証方 法、 排気 デー タの信頼性の確保など様 々な課 題 をあ らか じめ 克服 す る必 要が ある 。

  本論 文は 、3次 元大 気シ ミュ レー ショ ンモ デル に よる ロサ ンゼ ルス 地区 の将 来大 気環 境 の 予測 を行 い、 自動 車 排気 の寄 与を 解析 し、 削減 施策 の評 価と排気低減手法に対す る提言 を 行 う こ と を 主 目 的 と し 、 さ ら に 我 が 国 へ の 適 用 を 試 み た も の で あ る 。   まず 、シ ミュ レー シ ョン の精 度と 信頼 性を 向上 させ るた め、入カすべきデータベ ースの 整 備、 すな わち 自動 車 以外 の排 出源 から の排 気排 出量 デー タ、市場ヘ未投入の低排 気レベ ル 車の 排出 量を 独自 の 手法 で算 定し てい る。 とく に排 気組 成データについては、開 発途上 車 から 市場投入に近い仕様の 車のデータを用いるこ.とで、将来の排気データの精度 向上を 図 って いる 。さ らに 、 各種 施策 の効 果を 解析 する ため に、 将来の排気低減に見合っ た境界 条 件の 新た な設 定法 を 創出 して いる 。

  解析 の結 果、 電気 自 動車 増大 に伴 う発 電所 から のNOx排気 増加 の寄 与は 小さ ぃこ と、 排 気 組成 の大 きく 異な る メタ ノー ル車 のオ ゾン 濃度 低減 効果 は、MIR法 で見 積も るよ りも 少 な いこ とを 明ら かに し た。 さら に自 動車 排気 削減 によ るオ ゾン濃度低減に対する寄 与は削 減 され る反 応性 有機 化 合物ROGとNOxの比(ROG/NOx)に大 きく 影響 され るこ とを 指摘 した 。 す なわ ち、ROG削 減は 常に オゾ ン濃 度を 低減 させ る が、NOxについては、最高オゾン 濃度が 出 現す る時 点に おけ るROG/NOx比が20以 下の 場合 はNOx削減 が逆効果になること、20以上で は 有効 に働 くこ とを 明 らか にし た。 この 傾向 につ いて は環 境基準達成目標年である2010 に おい ても 基本 的に は 変化 しな いこ とを 示し た。 すな わち 、低排気車導入後の将来 におい て もROGの削 減が オゾ ン低 減の 効果 的で ある こと を 指摘 して いる 。し たが って 排気 低減 策 ROG/NOxを 変 化 さ せ な い こ と が 必 要 で あ る こ と に 言 及 し て い る 。   本モ デル の国 内、 関 東圏 への 光化 学オ キシ ダン ト予 測へ の適用に際しては、信頼 性確保 の ため 、シ ミュ レー シ ョン 条件 の整 備と 鉛直 拡散 係数 設定 法の改良が必要であるこ とを明 ら かに して いる 。

  これ を要 する に、 著 者は 、従 来不 確定 要素 が多 く将 来予 測の 困難 であ った3次元 大気 シ ミ ュレ ーシ ョン を可 能 とす るデ ータ の整 備、 条件 設定 の適 正化を図り、低排気車導 入効果

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一 登

雄 治

献  

  幸

藤 本

田 藤

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の将来予測を行い、その効果を解析・評価したもので、自動車排気削減策の大気影響評価 に有益な新知見を得たものであり、環境工学およぴ燃焼工学に寄与するところ大である。

  よって、著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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