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博士(工学)朴 勝振 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)朴   勝振 学位論文題名

積 層 平板の振動特 性に関する研究

学位論文内l 容の要旨

  複合材 料が 構造材 料とし て使用 され出 した のは, カーボ ン(グ ラフ ァイト )繊維 の開発ととも で あ り , 今 日 で はGFRPやCF'RPな ど の 繊 維 強 化 プ ラ ス チ ッ ク な ど を 代表 的 な も の とし て 挙 げるこ とがで きる。 これ は,力 一ボン などの 繊維 を強化 材とし てー方 向に配 列し ,そのまわりを エポキ シなど のプラ スチ ック系 樹脂( 母材) で固 めたも のであ る。こ のよう な長 繊維強化複合材 料の利 点は, 従来の 慣用 材料に 比べて 比強度 (強 度/密 度)と 比剛性 (剛性 /密 度)が極めて高 いこと であり ,また 所要 の方向 に意図 した材料特性を与えることが可能なことである。そのため,

構造軽 量化か 望まれ る多 くの工 学分野 て使用 され ,その 用途は 増々拡 大の方 向に ある。しかしな がら, 複合材 料は一 般的 に強い 異方性 を示す ため ,その 静的お よび動 的特性 は従 来の等方性材料 とは明 らかに 異なり ,複 合材料 から成 る積層 構造 要素の 設計に おいて は,そ の静 的な特性のみな らず動 的な特 性を正 確に 把握す ること が基本 的に 重要で ある。 特に, 動的荷 重を 受ける主要構造 要素へ の積極 的な利 用に あたっ ては, 構造設 計の 基礎と して振 動特性 を明ら かに することは非常 に大事 である 。また ,積 層構造 要素の 動的特 性を 的確に 把握す るには ,積層 材料 の材料特性,積 層の状 態(配 向角や 積層 数), 板の寸 法(辺 長比 や板厚 比)お よび境 界条件 等, 数多くの考慮す べきパ ラメー タが存 在す る。そ のため ,積層 板の 動特性 を簡便 に,か つ高精 度に 評価出来る実用 的解析 手法の 重要性 も増 々高ま ってい る。

  本論文 では ,この ような 現状を 踏まえ て, 長繊維 強化複 合材料 から 成る積 層平板 の振動特性を 理論 的 に 明 らか にする 。まず ,相対 する2辺が 単純支 持さ れ,他 の辺が 任意な 支持 条件の 逆対称 アング ル・プ ライお よび ク口ス ・プラ イ積層 板の 自由振 動問題 を選点 法によ り離 散化し解析する 近似解 法を提 案し, 本解 析法に よる数 値計算 を実 施し, 各種パ ラメ一 夕がそ の振 動特性に与える 影響を 検討す る。次 に, 従来か ら振動 特性の 理解 に有効 である ことが 知られ てい たが,積極的に 採用さ れるこ とがな かっ たひず みエネ ルギ一 解析 を試み ,各種 パラメ ータの せん 断変形や異方性 の度合 いに及 ばす影 響を 定量的 に明ら かにす る。 さらに ,構造 物に対 する荷 重条 件が次第に厳し くなる 場合へ の積層 板の 適用を 考慮し て,積 層板 の安定 性を検 討する ための 基礎 的資料の蓄積を

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目的に 一方向 に一 定な初 期圧縮 応カが 作用 する場 合の積 層板を 対象に し, その振動特性を明らか にする 。

  第1章 は諸論 であり ,本研 究の目 的と 意義に っいて 述べ, また 積層平 板の自 由振動 問題に 関す る既往 の研究 や各 章の概 要にっ いて記 した 。

  第2章 で は, 第4章 で 取り 上 げ る 無 負荷 の 自 由 振 動問 題,お よび第5章 で取り 扱う 負荷時 の自 由振動 問題を 記述 するの に必要 な基礎 運動 方程式 を示す 。ここ では, 繊維 強化複合材料の積層板 は,強 い異方 性を 示すと ともに ,面内 剛性 と曲げ 剛性に 対して 面外せ ん断 剛性が極めて小さいの が特徴 であり ,等 方性板 に比較 して面 外せ ん断変 形が生 じやす く古典 理論 の適用範囲が制限され る ので , せん断 変形を 考慮し たい わゆる1次 せん断 変形理 論に基 づいて 基礎 方程式 を誘導 する。

特に, 初期圧 縮応 カが作 用する 積層板 の運 動方程 式は, 従来考 慮され るこ とが少なかった曲率項 を取り 入れて 導か れた。

  第3章は, 無負 荷時の 積層平 板の自 由振動 問題 を簡便 で精度よく解く近似解法の確立を目的に,

従来, 積層板 に対 しては 採用さ れるこ とが なかっ た直交 多項式 の零点 を選 点とする選点法による 定式化 にっい て述 べた。

  第4章 では, 初期応 カが作 用しな い場 合の逆 対称ア ングル ・プ ライ積 層板お よび逆 対称ク 口ス

・プラ イ積層 板を 対象に し,固 有振動 数解 析と従 来その 有用性 が指摘 され ていたが,積極的に用 いられ ること が少 なかっ たひず みエネ ルギ ー解析 を実施 し,積 層板の 振動 特性を定量的に把握す ること を試み た。 ここで はまず ,固有 値問 題の解 法に用 いた選 点法の 特徴 を生かし,選点を標本 点,固 有モー ド値 を関数 値とす る補間 型積 分則に よるひ ずみエ ネルギ 一解 析法を示し,その有効 性を明 らかに した 。次に 数値計 算を行 い, 各種パ ラメー 夕(剛 性比, 板厚 比,配向角,積層数)

の固有 振動数 に与 える影 響を調 べると とも に,異 方性の 影響は 剛性比 が大 きい程,板厚比が大き い(薄 い積層 板) 程,積 層数が 少ない 程, また単 純―単 純の支 持条件 で強 く現われること,一方 せん断 変形の 影響 は,剛 性比が 大きい 程, 板厚比 が小さ い(厚 い積層 板) 程,積層数が多い程,

また固 定一固 定の 支持条 件で著 しいこ とを 明らか にした 。

  第5章 では, 一方向 に一定 な初期 圧縮 応カが 作用す る逆対 称ア ングル ・プラ イ積層 板およ び逆 対称ク 口ス・ プラ イ積層 板を対 象にし ,そ の振動 特性を 明らか にした 。こ こでは,各ラミナの密 度が一 定とい う前 提のも とにま ず,無 負荷時の.固有振動方程式,座屈固有方程式および負荷時の 固有振 動方程 式の 相互の 固有値 の近似 性に 着目し ,無負 荷時の 固有振 動数 さえ既知であれば,座 屈応力 係数お よび 負荷時 の固有 振動数 が評 価でき る算定 式を新 たに提 示し た。算定式は曲率項を 考 慮す る 場 合 に のみ 得 ら れ るも ので, その 結果, 負荷時 の任意 の固有 モー ドおよ び作用 応カレ

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ペルに 対する 固有振 動数 の算定 が,無 負荷時 の振動 数デ 一夕を 集積し た設計ハンドブック的な資 料が手 元にあ れば容 易に 行える ことに なった 。さら に算 定式よ り@固 有振動 数の2乗は ,作 用圧 縮応カ に比例 して減 少す ること 。◎作 用応カ の変化 に対する固有振動数の2乗の変化率(変動率)

は,初 期応カ の作用 方向 の波数 が規定 されれ ば,作 用方 向に直 角方向 の波数に依存しないこと,

および ◎変化 率は, 初期 応カの 作用方 向の波 数が座 屈係 数を与 える波 数より大きければ大きく,

逆の場 合は小 さくな る等 の固有 振動特 性が明 らかに なっ た。

  第6章は結 論で, 本論文 で得 られた 研究成 果を取 りま とめて いる。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授

芳村 角田 佐伯 山田

     輿 史雄          7

  長繊 維強 化複合 材料か ら成る ラミナ を積 層して 得られ る積層 板は ,その 優れたカ学特性のため 多く の工学 分野で 使用 されつ っある が,動 的荷 重を受 ける主 要構造 要素へ の積極的利用にあたっ ては ,構造 設計の 基礎 として 振動特 性を明 らか にする ことが 重要で ある。 さらに,積層構造要素 の動 的特性 を的確 に把 握する には, 積層材 料の 材料特 性,積 層の状 態(配 向角や積層数),板の 寸法 (辺長 比や板 厚比 )およ び境界 条件等 ,数 多くの 考慮す べきパ ラメ一 夕が存在する。そのた め, 積層板 の動特 性を 簡便に ,かつ 高精度 に評 価出来 る実用 的解析 手法の 重要性も益々高まって いる 。

  本論 文で は,こ のよう な現状 を踏ま えて ,積層 平板の 振動特 性を 理論的 に明らかにしたもので あ る 。その ため, 相対 する2辺が 単純支 持され ,他の 辺が任 意の 条件に よって 支持さ れる 場合の 逆対 象アン グル・ プラ イおよ びク口 ス・プ ライ 積層板 の自由 振動問 題を選 点法により離散化し解 析す る近似 解法を 提案 し,各 種パラ メータ がそ の振動 特性に 与える 影響を 検討している。次に,

従来 から振 動特性 の理 解に有 効であ ること が知 られて いたが ,積極 的に採 用されることのなかっ たひ ずみエ ネルギ ー解 析を試 み,各 種パ、ラメータのせん断変形や異方性の度合いに及ぼす影響を 定量 的に明 らかに して いる。

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  さら に,構 造物に 対する 荷重 条件が 次第に 厳しく なる場 合へ の積層 板の適 用を考 慮して,積層 板の安 定性 を検討 するた めの基 礎的資 料の 蓄積を 目的に ,一方 向に 一定な 初期圧 縮応カが作用す る場合 の積 層板を 対象に し,そ の振動 特性 を明ら かにし ている 。

  第1章では ,本 研究の 目的と 意義に っい て述ベ ,既往 の研究 や各章の概要にっいて記している。

  第2章 で は, 第4章 で 取り 上 げ る 無 負 荷の 自 由 振 動 問題 ,およ び第5章で 取り 扱う負 荷時の 自 由振動 問題 を記述 するの に必要 な基礎 運動 方程式 を示し ている 。こ こでは 積層板 は強い異方性を 示すと とも に,面 内剛性 と曲げ 剛性に 対し て面外 せん断 剛性が 極め て小さ いのが 特徴であり,等 方性板 に比 較して 面外せ ん断変 形が生 じや すく古 典理論 の適用 範囲 が制限 される ので,せん断変 形 を考 慮 し たいわ ゆる1次せ ん断変 形理 論に基 づいて 基礎方 程式 を誘導 してい る。特 に,初 期圧 縮応カ が作 用する 積層板 の運動 方程式 は, 従来考 慮され ること が少 なかっ た曲率 項を取り入れて 導かれ てい る。

  第3章 は ,無負 荷時の 積層 平板の 自由振 動問題 を簡便 で精 度よく 解くた めの近 似解 法の確 立の ため, 従来 ,積層 板に対 しては 採用さ れる ことの なかっ た直交 多項 式の零 点を選 点とする選点法 による 定式 化にっ いて述 べてい る。

  第4章 で は,初 期応カ が作 用しな い場合 の逆対 称アン グル ・プラ イ積層 板およ び逆 対称ク ロス

・プラ イ積 層板を 対象に し,固 有振動 数解 析と従 来その 有用性 が指 摘され ていた が,積極的に用 いられ るこ とが少 なかっ たひず みエネ ルギ 一解析 を実施 し,積 層板 の振動 特性を 定量的に把握す ること を試 みてい る。こ こでは まず, 選点法の特徴を生かしたひずみエネルギー解析法を提示し,

その有 用性 を明ら かにし ている 。次に 数値 計算を 行い, 各種パ ラメ 一夕( 剛性比 ,板厚比,配向 角,積 層数 )の固 有振動 数に与 える影 響を 調べ, 異方性 の影響 は剛 性比が 大きい 程,積層数が少 ない程 ,ま た単純 ―単純 の支持 条件の 場合 に強く 現われ ること ,一 方せん 断変形 の影響は,剛性 比が大 きい 程,積 層数が 多い程 ,また 固定 一固定 の支持 条件で 著し いこと を明ら かにしている。

  第5章 で は,一 方向に 一定 な初期 圧縮応 カが作 用する 積層 板を対 象とし ,その 振動 特性を 明ら かにし てい る。こ こでは まず, 無負荷 時の 固有振 動方程 式,座 屈固 有方程 式およ び負荷時の固有 振動方 程式 の相互 の固有 値の相 似性に 着目 し,無 負荷時 の固有 振動 数さえ 既知で あれば,座屈応 力係数 およ び負荷 時の固 有振動 数が評 価で きる算 定式を 新たに 提示 してい る。算 定式は曲率項を 考慮す る場 合にの み得ら れるも ので, その 結果, 負荷時 の任意 の固 有モー ドおよ び作用応カレベ ルに対 する 固有振 動数の 算定が ,無負 荷時 の振動 数デ一 夕を集 積し た設計 ハンド ブック的な資料 が手元 にあ れば容 易に行 えるこ とにな った 。さら に,動 的安定 性を 検討す る上で 重要となる座屈 モード を規 定する 波数の 振動特 性に与 える 影響を 明らか にして いる 。

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  これを 要す るに, 本論文 は積層 板の 自由振 動問題 に対す る実用 的解 析法を開発し,それに基づ き,振 動特性 に関 して多 くの知見を得ており,構造力学の進歩に寄与するところが大である。よっ て,著 者は博 士( 工学) の学位 を授与 される 資格 あるも のと認 める。

参照

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