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佐久間筆,竹田寛 (三重大学医学部放射線科)

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特別講演

心臓の高速MRIの現状と展望 一核医学と比較して-

佐久間筆,竹田寛

(三重大学医学部放射線科)

キャン,EPI等の方法を用いて呼吸停止下にデー タ収集が行われる。2,-MRAの冠動脈狭窄病変に 対する検出感度は62~90%と報告者によってか なり幅があるのが現状である。2,-MRAのメリッ トは一回の呼吸停止下に画像データを得られ呼吸 性のブレが少ないことである。一方、冠動脈の3D‐

MRAではナビゲータエコー(呼吸同期収集法)を はじめとする撮像技術の改良が日進月歩で進行中 である。冠動脈の3D-MRAでは3Dボリュームデー タが得られるため、検査後に任意断面の冠動脈像 を再構成することができる(図3)。ただし、RF励起 される3Dスライスが厚くサチュレーションの影 響を受けやすいため、将来血管内造影剤の投与が 有用と考えられている。

心筋perfusionMRl

心筋perfusionMRIはEPIを含む超高速MRIの 有用性が最も期待されている領域である。Tl短縮 MR造影剤をボーラス投与すると正常心筋の信号 強度は急速に上昇するが、虚Ⅲ部位では造影剤の 到達が遅延し低信号の領域として認められる(図4,

5)。Gd-DTPAなどのMR用造影剤は心筋細胞に特 異的に集積せず細胞外液に非特異的に分布するた め、正常一虚血心筋のコントラストは投与後時間 とともに急速に消失する。したがって、心筋 perfusionMRIではポーラス投与した造影剤の心 筋firstpassの動態を観察する必要があり、ダイナ ミックMRIに高い時間分解能が要求される。超高 速撮像法であるEPIを利用すると高速GRE法より も時間分解能の高いマルチスライスダイナミック MRIを得ることができる。我々の施設において、

12例の虚血'性心疾患患者を対象として、ジピリダ モール負荷サチュレーションリカバリ(SR)‐EPI による心筋虚血検出能を負荷心筋シンチグラフイ と比較したところ、SR-EPIによる心筋虚血の検出 感度は81%、特異度は100%であった。他施設にお ける検討も含めて、心筋perfusionMRIの心筋虚

Ⅲ検出感度は核医学検査と比較して低い傾向にあ るが、その要因として1)ダイナミックMRIの時間 分解能とスライス枚数がまだ不十分である、2)

心疾患の診断では形態だけでなく心筋壁運動や 血流などの機能的情報を正確に評価する必要があ る。これまで心臓のMRIは先天』性心疾患,心膜疾患,

心筋症などの形態的評価に用いられてきたが、虚 血性心疾患における有用」性は限られていた。最近 のEPIを含む高速MR撮像法の進歩により、冠動脈 の形態と冠動脈血流,心筋perfusion,局所壁運動 など虚血'性心疾患の診断に必要な形態+機能の情 報を非侵襲的に得られるようになりつつある。

高速MRIによる心臓の形態と壁運動の評価 グラデイエントエコー(GRE)法によるシネMRI を用いて心室全体の動画像を撮像することにより、

3次元データに基づく再現性の高い心室容積,駆出 分画,心筋重量などの計測値が得られる。従来のシ ネMRIの欠点は撮像時間がかかることであったが、

90年代初めに登場したk空間分割GRE法は撮像時 間の大幅な短縮をもたらし、呼吸停止下のシネ MRI撮像が可能になった(図1)。呼吸停止シネMRI では呼吸アーチファクトが低減され、心室全体を カバーするシネMRIを10分以内に撮像可能であ り、局所心筋および左室機能,心筋重量の正確な データを短時間に得ることができる。また、ダブル IRファストスピンエコー(FSE)法を用いると血流 と呼吸のアーチファクトの少ない良好な心筋の T2強調画像を得ることが可能であり、急性一亜急 '性期の梗塞心筋を描出することができる。MRIは 核医学検査よりも空間分解能が高く散乱線の影響 のない画像を提供できるため、心臓の形態と心筋 壁運動の評価に適している。

循環器領域のMRアンギオ

大動脈や肺動脈のMRAは、造影剤ボーラス静注 を併用した呼吸停止3D-MRAが導入されて画質と 臨床的有用'性が飛躍的に向上した。造影剤ボーラ ス静注3,-MRAは高濃度の造影剤が目的血管を通 過する際の高い信号増強効果を利用するもので、

DSAにほぼ匹敵するアンギオ像が得られる(図2)。

冠動脈MRAは循環器領域において最も期待され ているMRIの応用分野である。2,法による冠動脈 MRAではk空間分割データ収集,スパイラルス

-1-

(2)

第29回北陸循環器核医学研究会(1997.12)

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△図3

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▲図4 ▲図5

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(3)

態十局所血流+収縮拡張機能を1回の検査で総合 的に評価できるため、長期的にみればMRIが冠血 流および組織pe「fusionの評価に利用される可能 '性は高いと思われる。心筋代謝に関しては、P-

31MRスペクトロスコピーを用いて高エネルギー 燐酸代謝の評価を行うことができるが、P-31 MRSの空間分解能は低く将来的にも解決困難と 思われる。造影剤を用いた心筋代謝,レセプター,

免疫イメージングに関しても、MRI上信号変化を 生じるためには核医学トレーサーの105倍もの造 影剤濃度が必要とされており、副作用等の点から 診断に利用できるMR製剤はかなり限定される。

従って代謝,レセプター,免疫イメージングの領域 においては今後も核医学が主役でありつづけると perfusionMRIでは運動負荷でなく薬物負荷が使

用されることが多い、3)非可逆的障害を受けた心 筋に血流が再灌流した場合、perfusionMRlは正 常所見,核医学検査は異常所見を示す可能性があ

るなどが考えられる。

MRIによる冠動脈血流計測

冠動脈血流予備能(CFR)は安静時冠血流量と冠 血管拡張剤投与後の最大冠血流量の比であり、冠 動脈の機能的狭窄度を反映する。CFRの評価には ドップラフローワイヤ等の侵襲的方法が用いられ てきたが、最近の高速フェーズコントラストシネ MRIを用いて、非侵襲的に冠動脈血流速度やCFR を計測できるようになった(図6)。我々の施設にお ける検討では、冠動脈に有意狭窄を有する患者10 例のMRIによるCFRは正常群10例における予備 能よりも有意に低下していた(L62±0.50vS 3.14±0.59,p<001,図7)。MRIによる冠動脈皿 流計測を用いると、冠動脈バイパスグラフトや PTCA,ステント治療後の再狭窄の診断を非侵襲 的に行うことが可能である。

肥大型心筋症(HCM)では心筋19あたりの血流 量とCFRの低下がみられるが、心筋血流量の計測 にはPETが必要であった。左室心筋血流の約9割 は冠静脈洞を通過して石房に流入するため、MRI による冠静脈洞血流量の計測値は左室全体の心筋

Ⅲ流量のよい指標となる(図8)。さらに、高速シネ MRIから左室心筋重量も計測すれば心筋19あたり の心筋血流量を定量評価することも可能である。

我々の検討では、HCMl7例におけるジピリダ モール負荷後の心筋Ⅲ流量と血流予備能は0.98

±036ml/、in/gおよび1.86±056であり、い ずれも正常9例よりも有意に低下していた(214

±O51ml/min/9,311±137,p<001,図9)。

MRIによる心筋19あたりの心筋Ⅲ流量の評価は肥 大心や拡張型心筋症における病態の評価,治療方 針の決定などに有用性が期待される。

まとめ

心大血管の高速MRIの進歩に伴い、局所心筋壁 運動,冠動脈の形態と血流,心筋perfusionなどを 含む形態と機能両面の評価が可能となってきた

(図10)。MRIは心臓の形態的診断と心筋壁運動の 評価においては核医学検査よりも優れていると考 えられる。心筋perfusionMRIは技術的に発展途 上にあり、心筋シンチグラフイと比較して臨床的 有用I性はまだ低い。しかし、MRIは空間分解能が高 く心内膜下虚血の検出も原理的に可能であり、形

思われる。

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第29回北陸循環器核医学研究会(1997.12)

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▲図8 ▲図9

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▲図10

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参照

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