I期非小細胞肺癌に対する
定位放射線治療
山梨大学放射線科における成績 山梨大学医学部 放射線科 斉藤亮 小宮山貴史 大西洋 田中史穂 萬利乃寛 荒木力 山梨県立中央病院 放射線科 栗山健吾 要旨:当科における1期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療の成績、有害事象にっい て検討する。対象は2000年7月から2002年11月、当院にて定位放射線治療を行った35 名。方法は照射装置が一体化したCTガイド下にてSet upを行い、患者自身による自己呼 吸停止下にて多軌道回転原体照射で60Gyを10分割にて照射した。局所効果の奏功率は97% であった。全症例の粗生存率は2年70.4%、原病生存率は2年85.6%、手術適応有の粗生 存率は2年87. 5%であった。再発症例は5例あり、全症例中の14%をしめた。有害事象に おいては放射線肺炎grade3,1例、 grade4,2例を認めるが、 grade3の症例とgrade4の症 例のうち1例ずつは治療以前から酸素吸入を行っていた。当科の治療成績は他施設で報告 されている成績と同等に良好であった。手術可能例の短期粗生存率は良好で手術成績に匹 敵していた。現在手術不能例に対しての定位放射線治療例が大半を占めているが手術可能 例に対しても積極的に選択されるべき治療法になりうると考える。 キーワード:1期非小細胞肺癌、定位放射線治療、手術 はじめに 当科では2000年7月より1期非小細胞肺 癌に対して定位放射線治療を施行し報告し て来た1)∼7)。定位放射線治療は国内で良好 な治療成績を収めている8−10)。当科での定 位照射の方法としては、自走式ガントリCT とリニアックが一体化した装置(CT−Linac) を用い、患者自身による呼吸停止法にて照 射を行うのが特徴である。 報告する。 対象2000年7月から2002年11月までの間に
当科にて定位放射線治療を行った35名で、 内訳を(表1)に示す。Stagingには胸、腹 部CT、頭部MRI、骨シンチを用いて1997年 度UICCにて行った。当科での定位放射線治 療の適応基準を(表2)に示す。 目的 当院におけるt期非小細胞肺癌に対する 定位放射線治療の成績、有害事象について方法
当科では患者自身による呼吸停止法にて 治療を行なっている。まず、毎回同量の吸気下で10秒以上の呼吸停止をできるよう に指導し練習する。次に呼吸停止時に病巣 付近を2㎜間隔でCTを3回撮像し呼吸停止 の再現性の誤差について計測する。標的体 積についてはGTVはCTで確認できる腫瘍、 CTVはGTVと同一とし、 PTVはCTV(=GTV) に辺縁から各方向5㎜加え、それに息止め での再現性の誤差を加えたものとした。PTV の辺縁にて線量評価を行う。1回1軌道で 6Gy照射し、これを1日2回の多分割照射 を5日間、計10回総線量60Gy、6MVX線の 多軌道回転原体法で照射する。患者自身が 呼吸停止の合図を出し、合図が出ている間 照射する。これを繰り返し行う。セットア ップをCTガイド下で行っているためボデ ィv−…一フレームを使わず。EPIにて確認しな がら照射しているので呼吸同期・動体追跡 照射法は使用しない。 治療効果は3ヶ月ごとにCT画像にて評価 した。(評価基準はRECISTにて行った)有害 事象はNCI−CTC ver.2にて評価した。生存
率計算は照射開始日を起算日として
Kaplan−Mayer法を用いた。 結果 観察期間は6ヶ月から28ヶ月(中間値14 ヶ月)。局所効果はCRが31.4%、PRが65.7%、 で奏功率は97%であった。 全体の粗生存率を(図1)、原病生存率を (図2)で示す。全体の粗生存率では1年生 存率は90%、2年生存率は71%、2年目以 降35%となった。それに比べ、原病生存率 では1年生存率は96%、2年生存率は86% であった。患者因子における粗生存率につ いて、手術適応の有無についての比較を(図 3)、stageについての比較を(図4)に示す。 手術適応があった症例での2年粗生存率は 87.5%。 再発症例は(表3)に示すように5例あり、 局所再発が2例、領域リンパ節転移が2例、 遠隔転移2例あり(重複あり)、4例がIB期 の症例だった。他病死症例も5例あり脳梗 塞、脳出血、肝癌、感染性肺炎(2例)が原 因であり、全症例中14%をしめた。 有害事象、重症放射性肺炎としてgrade3 1例、grade42例を認めるが、 grade3の症 例とgrade4の症例のうち1例ずつは治療以 前から酸素吸入を行っていた。食道、骨髄、 皮膚では有害事象を認めなかった。(表4) 考察 1期非小細胞肺癌に対する定位放射線治 療は、有害事象の少なさ、高い局所制御率 が示すように、安全で、かつ効果的な治療 であると報告されている8−10)。また、有害 事象が少ないことから、高齢者、他疾患合 併症例でも、治療可能であるといえる。当 科での1期非小細胞肺癌に対する定位放射 線治療の局所効果、全体の粗生存率、有害 事象はボディーフレーム等を使用している 他施設と比較しても遜色なく8−10)、CTガイ ド下で患者自身の呼吸停止による照射法は 許容されるべき方法であると考える。手術 適応が有った例での短期粗生存率は手術成 績11)と同等の成績である9)。このことから 手術適応が有る症例に対しても積極的に適 応されるべき治療法になりうると考える。 粗生存率に比べ原病生存率が高い値を維持 している理由として、治療対象が高齢者や 他疾患合併症例が多く、他病死例が多かっ たためと考える。領域リンパ節再発は少な く、領域リンパ節に対しての予防照射は必要ないものと考える。観察期間がまだ短い ため他の治療法とのより正確な比較には更 なる症例の増加と長期の経過観察が必要で あるといえる。 結語 中間観察期間14ヶ月間における当科の1 期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療の 成績は他施設で報告されている成績8−10)と 同等に良好であった。現在手術適応が無い 例に対しての定位放射線治療例が大半を占 めているが手術適応が有る例に対しても積 極的に適応されるべき治療法になりうると 考える。
再発症例
対象
症例stage
組織 再発部位 陸別ご男性28、女性7 年齢二 56−−92.歳く中筒値77歳》 stage : T1●●0($tago g A》 IS、 ’V2目0《st劃ge 1助 20 阻織i型:腺癌‘9、篇早上波癌胃3、非小細胞肺癌3 匪痛径:10一纏■1仲閤値3a戚 手術適応:あtJ 9、なし26 )erformance⑤t禽㎞: moO 26、轍e19、精節≒20 1 182 18
3 6A
4 旧
5 e白 S(X 局所、肺 Adeno 局所 Adeno 脳、骨 SCC リンパ節 Adeoo リンパ節 《良笥 (9ss適応基準
1期原発性非小細胞性肺癌《UtCC 1999年度) 腫瘍径SOmgps下 ㎜ perfor願Pt}e statUS 1. 2 10秒以上呼吸停止が司能 患者が患者自身による辱吸停止にて敏射線治療を行う ことを理解可能 息止めの再現性が5胴以内有害事象
評価ctNCg−−CTC ver.2により施行鮪 食道 骨髄 皮膚
9ポade O grade l grade 2 9ロ夷de 3 grade 415
170
12
35
0
0
0 035
0
0
0
0
35
0
0
0
0
{表41 (表2)粗生存率
粗生存率(手術適応の有無)
累 計 生 存 率 0.8 0.6 0.4 O.20 510
202530
時間(月) (図1) u8 累 計 生 存 率 M 0 5 to 時間(月) (図3) 一・“一・I手術適応有り ■■:手術適応無し原病生存率
粗生存率(IA IB)
1 累。s 積生as
存 率02
0e−−N−q−QL,,HN.一一
O S le 時間《月》 《目2, 累゜β 計 生es 存 率α4 時爾(月) (図4)f,B
〔参考文献〕 1)大西洋、栗山健吾、荒木力、ほか:肺 がんに対する山梨医大新放射線治療シ ステムの紹介.山梨肺癌研究会会誌 14(1):22・25,2001 2)本杉宇太郎、大西洋、栗山健吾、ほか: 肺癌定位放射線治療の初期経験.山梨 肺癌研究会会誌 14(2)102・6,2001 3)佐野美香、大西洋、栗山健吾、ほか肺 定位放射線治療・続報∼治療開始から 一年経過して∼.山梨肺癌研究会会誌 15(1):47・50,2002 4)松本敬子、大西洋、栗山健吾、ほか肺 癌定位照射の局所評価と放射線肺炎の