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肺癌放射線治療のための呼吸同期(停止)装置の開発 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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肺癌放射線治療のための

呼吸同期(停止)装置の開発

山梨医科大学 放射線科 栗山健吾 大西洋 荒木力 同上 放射線部 佐野尚樹 相川良人 舘田良仁        論文要旨  目的:呼吸換気量による呼吸同期(停止)装置を開発したので紹介する。  呼吸同期(停止)照射システム:本システムは、呼吸感知器、呼吸制御器、換気量積算計、制御信 号発信器、呼吸モニター、医用リニアックで構成されており、患者の呼吸換気量により呼吸のモニタ リングを行い、呼吸同期照射もしくは呼吸停止照射が可能である。リニアックの照射を同期させる呼 吸の位相は任意に換気Rを設定可能である。  問題点:本装置の換気量の感知には気体流量計を用いており、呼吸は完全な閉鎖回路で行われてい ないため、換気量の絶対量を反映していない。今後、換気量の絶対量をより正確に表示する方法の開 発が必要性である。  結語:今後、実際に臨床上で使用し、その有用性について検討し、さらに改良していく必要があ る。 Key words:respiratory gated radiotherapy, active breathing control, ventilated gas volume       背景  放射線治療において呼吸性移動のある臓器に対して外照射する際に、照射野の縮小化の 目的で呼吸を制御しての照射が多くの施設で検討されている。呼吸制御下での照射には主 に2通りの方法がある1)。1つは自然呼吸状態のままで呼吸のある位相の時に合わせて照射 する呼吸同期照射であり、2つ目は呼吸を一時的に停止させて照射する方法である。一 方、呼吸のモニタリングには、様々な方法が多くの施設で行われているが、当科で過去に 行った基礎的実験で呼吸換気量でのモニタリングがより正確と考えられる2)。そこで、 我々は呼吸換気量によって制御する呼吸同期照射および呼吸停止照射用の装置を開発し た。       目的  今回、我々は呼吸換気量によって制御する呼吸同期照射および呼吸停止照射用の装置を 開発したので、ここに紹介する。

      呼吸同期(停止)照射システム

 呼吸同期(停止)照射システムは、呼吸感知器、呼吸制御器、換気量積算計、制御信号 発信器、呼吸モニター、医用リニアックで構成されている(図1)。  呼吸同期照射をする場合の手順としては主に以下のようになる。放射線治療室の治療寝 台上で患者に自然呼吸させたまま、照射野の位置合わせを行う。その後、患者には呼吸感 知器を通して自然呼吸をさせる。この感知器と患者の口とは閉鎖回路でつながっており、 また、患者の鼻にはノーズクリップをし、呼気、吸気は全て感知器を通るようになってい る。感知器からの呼吸信号はオンラインで操作室にある換気量積算計に入り、モニター上

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に換気量曲線が表示される。その換気量によって、リニアックにbeamのon、 offの信号 が送られる。  呼吸停止照射の場合には、制御信号発信器より呼吸制御器に呼吸停止信号が送られ、呼 吸している閉鎖回路を一時的に閉じて強制的に呼吸を停止させる。この信号と同時にリニ アックにもbeam onの信号が送られ、呼吸停止下で照射されることになる。       呼吸同期(停止)装置  今回、我々はエンジニアリングシステム社との協同開発で呼吸換気量によって制御する 呼吸同期および停止装置を開発した。この装置は呼吸感知・制御器、換気量積算計・制御 信号発信器、呼吸モニターによって構成される(図2)。呼吸感知・制御器はマウスピー スを通して流入および流出される呼吸換気量を2個の流量計にて検出する(図3)。呼吸 停止照射の際には呼吸停止信号により呼吸回路に設けてある電磁式開閉弁が閉鎖し、呼吸 が不能になる。換気量積算計・制御信号発信器は、呼吸感知・制御器からの換気量情報を 積算し、呼吸モニターに換気量曲線を表示させる。呼吸同期照射、呼吸停止照射の照射方 式の選択、基準とする換気量の設定もこの機械で行う。また、各々の照射方式によるリニ アックのbeamのon、 offの信号もこの機械から送られる。  この呼吸同期(停止)装置では、次に示す3通りの呼吸制御パターンで照射可能であ る。 1.呼吸の任意の範囲を設定し、呼吸がこの範囲の時に照射する方法(図4)   この方法は、呼吸の途中の状態に照射する方法である。換気量曲線上で照射  する範囲の吸気位と呼気位を設定し、その範囲内に呼吸換気量がある時にのみ  リニアックのbeamがonの状態になる。 2.設定した範囲以上もしくは以下の時に照射する方法(図5)   この方法は、最呼気位もしくは最吸気位に照射する方法である。換気量曲線  上で任意の呼吸換気量を設定し、その設定値より換気量が多い時もしくは少な  い時にのみリニアックのbeamがonの状態になる。 3.設定した値で呼吸停止下に照射する方法(図6)   この方法は、呼吸を強制的に停止させて照射する方法である。換気量曲線上  で任意の呼吸換気量を設定し、換気量がその設定値になった時に呼吸感知・制  御器内の電磁式開閉弁が閉鎖され、呼吸回路を通して呼吸できなくなる。これ  と同時にリニアックのbeamがonの状態になる。

       呼吸同期(停止)装置の問題点

 今回、我々が開発した呼吸同期(停止)装置は、呼吸換気量で呼吸のモニタリングをし ている。換気量の正確なモニタリングをするには、完全な閉鎖回路を通しての気体の体積 の変化を測定する必要がある。しかし、このような構造では呼吸に対する酸素の供給が困 難である。最近、コンピューターやCTによる治療計画が多く行われ、放射線治療の照射 も複雑化してきている。これに伴い、1回の照射にかかる時間も長くなっている。そのた め、容易にガス交換ができる必要があり、呼吸換気量のモニタリングは完全な閉鎖回路構 造では不可能である。  今回の呼吸同期(停止)装置は、流量計を用いて完全な閉鎖回路ではなく呼吸換気量を

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測定できるようにした。しかし、呼吸していると換気量曲線が上方へ徐々に偏位するとい う現象がみられた(図7)。これは、微量の気体の流れに対する流量計の感度には測定限 界があり、そのため呼気と吸気の流速の違いにより換気量曲線の偏位が生じると考えられ る。現在は、software上で最呼気位をゼロ点補正して基線が偏位しないようにしてい る。  現段階での本装置では換気量の絶対量を反映しておらず、正確な意味での呼吸換気量に よる呼吸のモニタリングはできていない。今後、換気量の絶対量をより正確に表示する方 法の開発が必要性と考えられる。また、実際の呼吸同期照射において、換気量測定の正確 さがどの程度まで要求されているのかについての検討も必要と考える。       結語  呼吸換気量による呼吸同期および呼吸停止装置の開発をし、ここに紹介した。今後、実 際に臨床上で使用し、その有用性について検討し、さらに改良していく必要があると考え る。        参考文献 1)Wong∫W, Sharpe MB, Jaffray DA, et a1. The use of active breathing contro1(ABC)  to reduce margin for breathing motion. Int J Radiat Oncol Biol Phys 1999;44:  911−919 2)栗山健吾,大西洋,曹博信ほか:呼吸同期照射に関する基礎的検討一換気量モニターと  内部臓器の動きに関する検討一.山梨肺癌研究会会誌2000;13(1):47−52

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台療室側

図1.呼吸同期(停止)照射のシステム全体の模式図 感知された患者の呼吸は換気量積算計を通してリニアックに照射信号が送られる。また、呼吸制御器に よって患者の呼吸を強制的に停止させることが可能である。 図2.換気量による呼吸同期(停止)装置 この装置は呼吸感知・制御掃、換気量積算計・制御信号発信器、呼吸モニターからなる. 一29一

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図3.呼吸感知・制御器の構造 呼気・吸気はマウスピース、流量計、電磁弁を通して外気とつながる.マウスピースから 流量ttまでは閉鎖回路となっている. 吸気 換 気 量 呼気 図4.呼吸同期照射法 その1 呼吸換気量が任意の設定範囲の時にのみ照射される. 吸気 換 気 量 呼気 図5.呼吸同期照射法 その2 呼吸換気量が任意の設定値以上もしくは以下の 時にのみ照射される. 吸気 換 気 量 呼気        t        玉   ・殴定値  勺 一照射範囲 、, 図6.呼吸停止照射法 呼吸換気量が倭意の殴定値の時に強制呼吸停止下で 照射される. 図7.換気量曲線の偏位 換気量曲線の上方への偏位がみられる。

参照

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