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話 し合い活動の内容 と形式

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(1)

「 語 り

に焦点化 した読みの交流 における

話 し合い活動の内容 と形式

松 本 修

1 読みの交流における内容 と形式

文学教材の読みの交流 とい う活動 において、 どのよ うな内容が認 められれば交流 と言え るのか、 とい うことについて、また、その条件を満たすための話 し合いの話題 とは どのよ うなものか、 とい うことについて考察をすす めてきた。簡潔 にまとめると、次のよ うなこ とが言える。①個々の学習者 において、 自らの読み方を見直す メタ認知的な変容が認 めら れ ることが、読みの交流のもっとも重要な条件である。 (松本 2002 )②話 し合い活動に おける話題 は、テクス ト全体に関わるよ うなマクロなものよりもテクス トの細部に関わる

ミクロなものの方が有効である。 (松本 2003a)

読みの交流のために しば しば行われ る小集団における話 し合い活動では、様 々な話 し合 いの技能が発揮 され るが、その技能が具体的に現れ る話 し合いの特徴があ り、それは会話 分析 において記述 され るよ うな特徴 に対応 している。その特徴 は具体的には会話分析の資 料である会話の トランスク リプ トの記述の要素か ら読み取ることができる。また、話 し合 いが意味あるもの となるには、そのよ うな技能が十分機能 していることが要求 され るが、

そのための前提的条件 として、個々の学習者の意見が十分形成 され、話すべき意見があ り、

他の意見が理解できるとい うことが要請 され る。 (松本 2003b)読みの交流においては、

個々の学習者 において、話すべき読みがあ り、他の読みが理解できるとい うことが重要だ とい うことになる。

話 し合い活動 における話題が、テクス ト全体 に関わるよ うなマクロなものよりもテクス トの細部に関わるミクロなものの方が有効であるとい うのは、共通の解釈の土台に繋留 さ れた形で読みを述べた り理解 した りす るには、マクロな話題 よ りもミクロな話題の方が、

熟達 した読み手 とは言えない段階での学習者 には適切だとい うことを示すのであろ う。

これまで、会話分析 は機能のあらわれである形式面に焦点をあてて行われ、話 し合われ ている内容そのものには二次的な関心 しか向けてこなかった。反面、授業研究においては、

内容の豊か さが追求 され、形式面にはあま り関心が向けられなかった。 しか し、話 し合い の学習活動 においては、内容的な豊か さが形式に支え られていなくては、学習の効果を十 分 に確かめることはできない。 「語 り」に焦点化 した読みの交流 においては、語 りにかか わるテクス トの要素‑の言及 とい う形で内容 を特定す ることが可能である。その内容 と、

話 し合い活動 に現れ る形式的特徴 とが どのよ うに関係 しているかを分析 したい。 このこと によって、読みの授業の分析 において、学習の成果 とい うものについて、内容 ・形式の両 面か らアプローチす ることが可能になる。 これは、他の領域や教科 における学習活動の効 果 をはかる場合 に、内容 と形式 とをどう考えるべきか とい うことについての示唆につなが

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るもの と考 える。

2 「トロッコ」のテクス トと分析

「トロッコ」(芥川龍之介) を教材 とし、その学習過程を トランスクライブ した ものを 資料 とす る.1

話 し合い学習の対象 とす るのは以下の部分である。

A

① ある夕方‑ それは二月の初旬だった。②良平は二つ下の弟や、弟 と同 じ年の隣の 子供 と、 トロッコ の置いてある村外れ‑行 った。③ トロッコはどろだ らけになったま ま、̲̲̲薄明るい甲に並んでいる。④が、そのほか どこを見ても、土工たちの姿は見えなか った。

B

⑤竹やぶのある所‑来 ると、 トロッコは静かに走るのをや めた。⑥三人はまた前のよ

りの ところどころには、赤 さびの線路も見えないほど、落ち葉のたまっている場所 もあ った。⑨その道をやっと登 りきった ら、今度は高いがけの向こうに、広々とうす ら寒い 海が開けた。⑩ と同時に良平の頭には、あま り遠 く来すぎた ことが、急にはっき りと感

じられた。

この二カ所の下線部 について、 「傍線部は誰の 目か ら見た情景で しょうか。根拠 を本文 中の表現か ら説 明 して下 さい。」 とい う学習課題 を与え、それぞれがシー トに記入 したあ と話 し合い活動 を行わせた。

この部分に着 目した理由は、語 りの観点か ら学習者が以下のよ うな点について考察す る ことが可能であると考 えた ところにある。

Aの下線部③は、全体 としては三人称の外的遠近法 としての描 き方をとるテ クス トであ るにもかかわ らず、④の文の 「どこを見ても」とい う視覚動詞が作中人物良平の知覚 とし ても把握できる。 さらに 「見えなかったとい う視覚+可能+打ち消 しの表現が、可能や 打ち消 しとい う要素の追加 によって、より 「作中人物の知覚 としても把握できる」とい う 性質 を強めるため、その効果が照応的にひび くとき、Aの文を良平の知覚の良平による提 示 とみ る解釈が可能である。 また、②の文の 「村外れ‑行った。」 とい う行動の描写 との 連続性 が重視 され ると、 「行って、見たのがこの トロッコが並んでい る情景であるとい う形で良平の知覚の良平による提示 とみる解釈が強化 され る可能性がある。また、③の文 の文末の 「並んでいるとい う継続層の表現が② ・④の文のタ系列の表現 と異なるアスペ ク トであるとい うことを重視すれば、この文だけを独立 させて、あるいは④の文 と連続 し たもの として、語 り手の立場か らの良平の知覚の提示、ない し、良平の立場か らの良平の 知覚の提示 と'みなす こともできる。 しか し、②の文の 「良平は」とい う三人称主語 による 客観的な語 り手による描写の効果が及ぶ と考えるとき、語 り手の立場か らの語 り手の視点 (知覚の起点は物語内容の世界にあるが、語 り手による架空の視点である)か らの知覚の

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提示 と解釈す ることもできる。

この解釈 のパ ター ンを整理す ると次のよ うになる。

・a④ 「どこを見て も」見えなかった」② 「行 った」を重視

‑③は良平の知覚の良平の立場か らの提示 (④ も。①②は語 り手による描写)

・b③ 「並んでいるのアスペ ク トを重視

‑③ は良平の知覚の良平の立場か らの提示 (④は語 り手の立場か らの描写か、少なく とも、良平の知覚の語 り手の立場か らの提示 or④ も良平の知覚の良平の立場か ら の提示。いずれ も①②は語 り手による描写)

C② 「良平は」とい う三人称主語 を重視

‑③ は語 り手の立場か らの描写 (①〜④ まで同 じ)

Bの下線部⑦〜⑨ は、⑦の 「いつか」とい う叙法副詞、⑨の 「今度は」とい うダイクテ ィツクな表現、⑨の 「向こ うに」とい う方向成分が主体を強 く認識 させ る効果 を重 く見る と、良平の立場か らの良平の知覚の提示 と見 ることができる。しか し、⑥の文の 「三人は」、

⑩の文の 「良平」とい う三人称の効果 を認 めれ ば、語 り手の立場か らの語 り手の視点か ら の知覚の提示、ない し、語 り手の立場か らの良平の知覚の提示 と見 ることもできる。ただ し⑩ の文では 「良平の頭 には」「感 じられた」 とい う形で思考の主体、 自発表現 による思 考 の状況が現れ るとい うことによ り、 「良平」の思考が提示 されてお り、その効果 を強 く 認 めると、語 り手の立場か らの良平の知覚の提示 とい う解釈が優勢 となる。また、⑩の 「 とい う三人称主語が、⑨ までの文 との違いを際だたせ るもの として理解 され ると、下 線部 を語 り手の立場か らの描写 とす る解釈が成立す ることになる。

この解釈 のパ ター ンを整理す ると次のよ うになる。

・d⑦ 「いっか」⑨ 「今度は」向 こ うに」の重視

‑⑦〜⑨は良平の知覚の良平の立場か らの提示 (⑤⑥⑲は語 り手による描写)

・e⑥ 「三人は」⑩ 「良平」の重視

‑⑦〜⑨ は語 り手の立場か らの描写 (⑤〜⑩まで同 じ)

‑⑦〜⑨ は語 り手の立場か らの良平の知覚の提示 (⑤⑥⑩は語 り手による描写)

・f⑩ 「頭 には」感 じられた」の重視

‑⑦〜⑨ は語 り手の立場か らの良平の知覚の提示 (⑩ も同 じ。⑤⑥は語 り手による描 写)

・g⑩ 「良平」の重視

‑⑦〜⑨は語 り手の立場か らの描写 (⑤〜⑩まで同 じ)

以上のよ うな解釈 のパ ター ンがあ り、 こ うした解釈 の相違が学習者 の間に現れ る可能性 が ある。そ して、 こ うした内容 が、読みの交流の学習過程 における話 し合い活動 において 言及 され る可能性がある。

J1

3 第一段階の話 し合 い活動における内容 と形式

ここで とりあげるのは、4人のグループ (学習に際 し、無意図的に臨時に作 られたグル

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‑プ)による話 し合いである.その会話記録 を一定の書式に従って トランスクライブ した.り 話 し合い活動の トランスク リプ トに学習者 による解釈の提示があ り、それ を内容 として 話 し合いが行われ る。Aの課題 に対応す る話 し合いは何段階かに分かれて現れているので、

その段階を追いなが ら、内容 と形式の表れ を確認 してい くことにす る0

3. 1 Aの課題についての話 し合い

lY :どうぞ。

2T :え ::誰 の 目か らとい うところ、 ところは良平や二つ下の弟や 隣の子供だ と忠 います。 え ::と根拠は トロッコの置いてある村はずれに行った とき見たことだか ら、

あと 「そのほかは どこを見てそのほかはどこを見てもと書いてあるか ら、え : その他 とい うことはその トロッコを見ている人だ (.) と思いま した。(2)いいですか ?

(9)

3Y :何かわか らないこととかないですか。(2)ではS君 どうぞ。

4S :誰 の 目か らとい うのは良平 と二つ下の弟 と弟 と同 じ年の子供です。(2)この場 面には三人 しかいなかった し、 トロッコを三人 とも見ていたか ら。

5T :なに ? もっかい言ってみ。

(2)

6S :三人 とも トロッコを見ていたか ら。

11Y :はい.Kさん どうぞ0

12K :はいえっ と。私 も :.・S君たちと一緒で、良平 と弟 と隣の子供たちです。根拠 はこの場合は三人 しかいなかった し、そこにいた人たちが見た光景だ と思 うか らです。

(4)

13T :じゃ全 く同 じでいいの ?:

14K :うん。

T、S、Kが同 じ解釈をとっていることが発表 されている。根拠 としてあげ られている 点を整理す る。

T、S、Kは、学習シー トに、以下のよ うに記 している。

T :トロッコの置いてある村外れに行った時に見たことだか ら。あと、そのほかはどこ を見てもと書いてあるか ら、そのほかってことはその トロッコを見ているって ことだ と 思いま した。

S :この場面には、3人 しかいなかった。そ して トロッコを見ていたので

K :この場合は、3人 しかいなかった しそ こにいた人たちがみた こうけいだ とお も う

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(5)

TSKは、 トロッコを見ている人が この三人の他にいない とい う作中人物のおかれ た状況 に注 目している。 ここでは良平を含 めた三人 とも トロッコを見ていたのであ り、そ の場には三人 しかいかなかった と解釈 している。作中人物の知覚の提示 として読む とい う 判断が行われている。ただ し、三人の知覚 とい うことは、三人 とい う複数人格の立場か ら の提示 とは言 えない。 しか し、誰の立場か らの提示であるかは明確 になっていない。三人 の読みは先 に整理 したパ ター ンの うち、aに近いが、明確ではない。12Kの説明も同様 である。また、Tは、④ の 「そのほかは どこを見ても」とい う表現に着 目し、 「その」が

「トロッコを さす もの と見て、 「見て」とい う視覚動詞があるとい うことの効果が前文 に及ぶ とい う考え方を示 しているもの と考え られ る。

これ に対 し、Yが異なる解釈 を述べる。

15Y :私いきま ::す。 え ::とも う発表 しちやったんですけど、孤立 しま したね。

誰 の 目か らは語 り手です。で、根拠はこの小説 にはカギカ ッコ以外に一人称を表す言葉 がなく良平の 目か ら見ている場合 には、 「良平は二つ下の弟やとかい うよ うな文章が

僕は二つ下の弟やとい うよ うな文章に (.)変わるはずなので良平ではあ りません。

で、一人称を表す言葉が文章中に無いのでこれは筆者の 目か ら見たものだ と思います。

(5)わか らないことはございませんか。

16T :あ りません。

(8)

17T :短 くしよ うぜ。

18Y :一人称を表す言葉がないんだよ。

19T :それでいいの ? 20Y :うん。

Yの学習シー トの記述は次のよ うになっている。

この小説 には、たぶん、」以外 に一人称をあ らわす言秦があ りません。良平の 目 か ら見ている場合には、 「良平は二つ下の弟や、〜 」が 「ぼ くは二つ下の弟や、〜 」 なるはずO一人称を表す言葉がないので、それは筆者の 目か ら見たのだ と思います。

Yは、良平の立場か らの発話は、引用表示な しではあらわれず、そのほかは、一人称主 語が明示 されているわけではないか ら、すべて語 り手の立場か らの表現であると考えてい る。語 り手の立場か らの良平の知覚の提示 とい う形 を認めていないわけである。先に整理

したパ ター ンのCに分類できる。

個々の学習者 のテクス ト解釈が、作中場面の状況、 「見てもとい う視覚動詞、人称、

な どの語 りの要素にかかわって提示 されている。ただ、TSKの三人は、Yの解釈の 内容 を理解 していない。17Tの発話は、15Yの 「わか らないことはございませんか。」

(6)

とい う問いかけに,いったん 「16T:あ りませ ん。」と反応 したものの、8秒の沈黙 を は さんで発話 されたもので、Yの説明が十分理解できていないことの表明だ とも言える。

それに応 じた18Yの発言の意味もまた十分理解 に満足できずに19Tの発言 となってい るもの と思われ る。Yの解釈が他の 3名 と異なってお り、Yの解釈 とその根拠の提示が十 分には他 の3名 に理解 されていないものと思われ る。 しか し、この段階では、会話は展開

していない。

以上がこの第一段階での話 し合いにおける内容である。

次に形式上の問題 について触れ る。

個々の学習者 の解釈が次々 と話 し合いの手順に従って順番 に提示 されている。 「lY : どうぞ。」 「3Y:何かわか らない こととかないですか。(2)では S君 どうぞ。」 とい う よ うな発話に見 られ る通 り、司会役のYの指示に基づいて順番取 りが行われている。 フォ ーマルな型 にのっ とった形式になっている。これは、話 し合いの最初の段階であることと、

個 々の学習者がそれぞれの学習シー トを見なが ら発言 しているとい う状況が影響 している と見ることができる。

これ に対 して、次の三カ所の会話は、そ うした形式か らはずれたもの となっている。

5T :なに ? もっかい言ってみ。

(2)

6S:三人 とも トロッコを見ていたか ら。

13T :じゃ全 く同 じでいいの ? 14K :うん。

17T :短 くしよ うぜ。

18Y :一人称 を表す言葉がないんだよ。

19T :それでいいの ? 20Y :うん。

5Tの聞き返 しは、 自分 と同 じ意見のSに対 して、解釈の根拠を再確認 したもの と思わ れ る。13Tの確認は、解釈そのものをKに対 して再確認 したもの と思われ る。 こうした 会話においては、司会役のYの指示を待たずに自発的に会話が始 められてお り、話体 も、

です ・ます」調ではなく、 くだけた 口調 になっている。15Yの解釈 の提示 も、 こうし た流れ を受 けて、あるいは、司会役 としての意識的な試みか らか、他の三人の解釈の提示 よ りは くだけた 口調 になってお り、次第に自然な形でのや りとりに移行 しつつあることが 見て取れ る。

また、すでに触れたように、17Tの発言の前にある8秒の沈黙は、TがYの解釈 を十 分理解できないために現れたものと考えられ、内容 に踏み込んだや りとりがこの段階では 発生 していない ことを示 している。

i

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(7)

3. 2 Bの課題についての話 し合い

続いて Bの課題 をめぐるや りとりが行われ る。 ここでは、次のよ うに再び順序 を追って 個々の学習者 の解釈が提示 され、それが話 し合いの内容を構成 している。

24Y :じゃ ::早 く、も うBに移 ろ うと思います。 じゃB‑ T君 どうぞ

25T :::と、え::Bの誰の 目か らとい うのは、え ::良平です。その根拠は 「と 同時 に良平の頭 には」とあって、 (1) あ ります よね ?そ こは、え ::「と同時に」 い うことはその線 の部分は、え ::良、その線 の部分は、(3)その前 に良平の(2)目か

ら見たことだか ら(1)だ と思いま した。

(4)

26Y :はい、失礼 しま した。次 丁君 どうぞ。あ間違えた。え ?S君 どうぞ。

27S:はい。僕 も良平です。 「良平は〜感 じられた」 と言っているので良平か ら見た ものだ と思いま した。

TもSも、⑩の 「と同時に良平の頭 には、あま り遠 く来す ぎた ことが、急にはっき りと 感 じられた。」とい う 「良平とい う三人称主語 による描出表現の効果が及 んで、良平の 目か ら見た描写だ とい うことが主張 されている。Tはまた、「と同時にとい う文脈指示 が、「海が開けた」とい う情景の知覚 と 「感 じられた」とい う自発的な感覚 との同時性 を 示す とい うよ うな根拠を述べている。海が見えた と同時に自分の位置をさとった とい う表 現 として受け止 めているわけである。 四人の解釈 は、先の分類のfに近いが、む しろ良平 の立場か らの提示 と解釈 している可能性がある。次のように、Kも同様 な意見を述べ、Y は さらに詳 しく理 由を説明 している。 この38Yの発話は、 自らの解釈のAの箇所 との違 いに言及 してお り、良平の立場か らの提示 としている可能性が高い。

3 1K :はい。 え ::と。私 も良平で、最後の文 に〜 と同時に良平の頭 にはあんま り遠 くす ぎた ことが、急にはっき りと感 じられた」 と書いてあるか らです。

38Y :じゃいいですか ?え ::つ と私 も誰の 目か らの所は良平で、その A の所か ら いった根拠か ら筆者ではないかな ::と思いま したが、「と同時に良平の頭 には」か ら

感 じられた」のところで皇並立 感 じたのは良平、そ してそれを見たのも良平なので (1) 良平だなと思いま した。

39S :みんな一緒ですねo

このよ うに、 Bの表現については、グループ内の解釈の提示においては 「良平」か ら見 た情景 とい う意見で一致をみた.それぞれ学習シー トの記述をもとに発表 している039

Sの 「みんな一緒ですね.」とい う確認 によ り、話 し合いは一旦終息す るO

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形式的には、15.Yにおける傾向を引き継いで、他の三名の解釈の提示の発話 も、より イ ンフォーマルな 自然な印象 となっている。た とえば、Tの発話は、2Tの 「‑‑・弟や隣 の子供 だ と思います。」‑‑ とい うことはその トロッコを見てい る人だ (.) と思いま し た。」とい うよ うな 「です ・ます」調の文末か ら、25Tでは発話 中に 「‑州 とあって、(1) あ ります よね ?そ こは、え ::「と同時にとい うことはその線 の部分は、え ::良、そ の線 の部分は、(3)その前に良平の(2)目か ら見たことだか ら(1)だ と思いま した。」とい う よ うな形で問いかけが含まれた り、沈黙 (間)が多 く含まれ るなど、変化 を見せている。

こ うした変化は、学習シー トの記述を単に読み上げるのではなく、 目前の話 し合いでのや りとりにおいて、他の学習者 に理解 してもらお うとす る変化であると思われ る。

3. 3 内容 と形式の関係

第一段階の話 し合い活動の検討か ら、内容 と形式の関係 について簡単にまとめておきた い。

まず、話 し合いには話 し合 うべき話題 ・内容がある。 ここでは、A、 Bのテクス ト中の 表現二カ所 についての個々の解釈の提示 とい う内容の指示がな されてお り、テクス トに関 わる解釈 内容が内容 を構成す るよ うにあらか じめ仕組まれている。話 し合いの冒頭部分で あることもあ り、個々の解釈内容が順番 に発表 されている。

次 に、会話の進行 に沿って、会話の他のメンバーの提示す る解釈 に対 して理解 を示 した り、疑問を呈 した りす る発話が行われ ることにな り、 これがメンバー相互の会話 として機 能す る。そ こでは、 「同意」とか 「質問」とかい うよ うな発話の機能があらわれ ることに なる。単に会話 を進 めるための司会役の lY 「どうぞや 3Y 「何かわか らないこととか ないですか。(2)ではS君 どうぞ」のようなものもあるが、内容 をめぐってのや りとり、

た とえば、5T なに ? もっかい言ってみ。」や、13T 「じゃ全 く同 じでいいの?」

39S みんな一緒ですね。」のよ うな発話 もある。 これ らは、内容 にかかわるや りとり であるとともに、メンバーの特定の人物や全員に向けて 「確認」「質問」のよ うな機能 を 持つ ことになる。

さらに、 トランスク リプ トに見 られ る形式的特徴か ら読み取れ ることが らがある。発話 の途 中や発話 と発話の間に見 られ る 「沈黙」、イ ン トネーシ ョンやス トレス、連続発話、

介入 による同時発話な ど、また 「詩体の変化などは、会話の進行 に対 して何 らかの意味 を持 ち、一定の役割 を果た している。た とえば、16Tと17Tの間の8秒の沈黙は、1

5Yに提示 された解釈 を十分理解す ることができなかったことを意味す ると考 えられ る こ うした、発話の機能や形式特徴の意味は、会話のコンテクス トに関連づけて説 明す る ことがある程度可能である。話題 ・内容の レベル、発話の機能の レベル、形式的特徴の レ ベルの三つの レベルか ら話 し合い全体 を意味づけてい くことができる。そ こには、会話を 包み込む より大きなマクロレベルのコンテクス トや、人間関係や個人的な経験などの状況 の文脈 も作用す るが、ここでのは析対象 としていない。

.

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4 仮まとめ

以上、三つの レベルか らここでの話 し合いを分析す る限 り、テクス トに繋留 され る形で、

解釈 と解釈 の方略に関わる議論が内容的に展開 されてお り、 目立った解釈の変更や、読み の方略の更新 はないものの、内容的にも読みの交流の条件を満た している。また、話 し合 いを推進す る上での機能を果た している発話や形式的特徴 に見 られ るよ うに、話 し合いが 意味あるもの として推進 されているとい う側面を読み取ることができ、 この話 し合いが形 式的にも活発かつ有効なもの となっていることを認 めることができる0

以下、第2段階の話 し合い活動に入 るとより聞達な話 し合いが展開 されているが、それ については稿 を改めて論ず ることとす る。

いずれ にせ よ、話 し合いを、話 し合いの主題 をめぐる内容、話 し合いを推進す るための 発話の機能、発話に見 られ る形式的特徴の三つの レベルか らとらえ、それぞれ検討を加 え てみ ることが、話 し合い活動の内容 と形式 を分析的に論ず る上で意味を持つ とい うことは 一応確認できたか と思 う。 もちろん、内容 と形式は相互に密接 に関係 したものであ り、い わば中間の レベル としての機能 もそれぞれ と緊密な関係にあ り、それぞれ全 く別個の分析 として成 り立っ ものではない。ただ、それぞれの観点か ら話 し合いのテクス トに分析的な 目を向けることで、ナ ラテ イヴ ・アプローチや社会学的な相互作用分析の中にまま見 られ るよ うな大 ざっぱな分析によ り単なる内容だけを悪意的に分析 して しま うことの危険を少 しでも減 じることができるのではないか。

話 し合い活動を分析する標識、枠組みに関す る議論は、実際の話 し合いテクス トそのも のをよ り詳細 に検討す る中で深まるであろ うし、そのような方法に支え られて初 めて話 し 合い活動の学習 としての意義、た とえば読みの学習であれば読みの交流の実質的意義を論

じてい くことが可能になるであろ う。

*1 この授業は、2001 3月、上越教育大学附属中学校1年生を対象に して3時限の授 業 として行われた。授業記録 は、修士課程学生石川陽子によって作成 され、『文学教材 と

しての芥川龍之介作品の読みに関す る研究』 (2002 上越教育大学修士学位論文)におい て分析 されているo ここではそ こでの記録 をもとに トランスクライブを一新す るとともに、

異なる観点か らの分析を加 えるものである。

*2 記述の方法は以下の通 り。

・発話の単位は、間 と内容 (提題表現+叙述表現)によって認定す る。内容的に一連の発 話は連続 して記述す る。

・発話には発話番号を付す。

・発話者をアルファベ ッ トで示す。

(10)

・漢字 ・平仮名 ・片仮名交 じりで表記す る。

記号

// 発話の重な り。直後の//の後の発話が重なっている。

途切れのない発話のつなが り。直後の‑の後の発話がつながっている。

( ) 聞き取 り不能。中に記述のある場合は、聞き取 りが不完全で確定できない内容。

(3) 3秒の沈黙。

(.) 「、」で表記できないごく短い沈黙。

直前の音がのびている。

直前の音が不完全なまま途切れている。

発話中の短い間。プロソデ ィー上の何 らかの区切 りの表示を伴 う。

? 語尾の上昇。

陳述の区切 り。語尾の下降などのプロソデ ィー上の区切 りの表示を伴 う。

下線部の音の強調 (音の大きさ)0

o

o 間の音が小 さい。

( () )

注記

以上の記述方法は以下を参照 して定めた

西坂 仰 『相互行為分析 とい う視点』金子書房 1997

好井裕明 ・山田富秋 ・西坂 仰 『会話分析‑の招待』世界思想社 1999 野村星木夫 『日本語のテクス トー関係 ・効果 ・様相』ひつ じ書房 2000

文献

松本 2002 文学教材の学習における読みの交流 と読みの変容『日本読書学会第46 回研究大会 発表資料集』 日本読書学会 2002.8 pp.7483

松本 2003a 読みの交流における話題 と話 し合いの様相『国語科教育研究 第104 回大会研究発表要 旨集』 全国大学国語教育学会 2003.5 pp.128131 お よび当 日配布 資料

松本 2003b 教室における話 し合い活動の活性化『月刊国語教育研究』No.377 2003.9 pp.49

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