携帯電話の新しい文字入力方式の検討
日大生産工(学部) ○藤森 翔 日大生産工 中村 喜宏
1.
はじめに近年、携帯電話は持ち運びのできる通信端 末として生活に欠かせないものとなってい る。この研究では多々ある携帯電話の機能の 中で特に文字入力機能に注目する。
現在の携帯電話の文字入力方式は主にかな 入力方式が利用されている。しかし、このか な入力方式は必ずしも効率的な文字入力方式 とは言えず、また携帯電話自体のボタン配置 も文字入力に適しているとは言えない。
そこでより効率的な新文字入力方式とそれ に適したボタン配置を検討する。
2.
既存の文字入力方式 2.1かな入力方式かな入力方式のボタン配置を図1に示す。
現在もっとも多くの携帯電話で導入されてい る文字入力方式である。
入力方法は、例えば「きいろ」と入力する 場合、「か」のキーを2回押し、「あ」のキ ーを2回押し、「ら」のキーを5回押すことで 入力が完了する。
図1.かな入力方式
2.2ポケベル入力方式
ポケベル入力方式の対応表を表1に示す。
入力方法は、例えば「きいろ」と入力する場 合、携帯電話ダイヤルボタンを「22(き)」
「12(い)」「95(ろ)」と押すことで入力 が完了する。
2.3富士通方式
富士通方式のボタン配置を図2に示す。
例えば「きいろ」と入力する場合の操作は、
「き(KI)」は左列「K」ボタンを1回押し て、中央列「I」ボタンを1回押す。「い(I)」
は中央列「I」ボタンを1回押す。「ろ(RO)」
右列「R」ボタンを1回押して、中央列「O」
ボタンを1回押す。これにより「きいろ」と いう文字列の入力が完了する。[1]
表1.ポケベル入力方式対応表
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
1 1 あ い う え お A B C D E
ケ 2 か き く け こ F G H I J タ 3 さ し す せ そ K L M N O 目 4 た ち つ て と P Q R S T に 5 な に ぬ ね の U V W X Y 押 6 は ひ ふ へ ほ Z ? ! - / す 7 ま み む め も ¥ & キ 8 や ( ゆ ) よ * #
| 9 ら り る れ ろ 1 2 3 4 5
0 わ を ん ゛ ° 6 7 8 9 0
2ケタ目に押すキー
図2.富士通方式
A study of new character input method for cellular phone
Sho Fujimori and Yoshihiro Nakamura
2.4携帯ローマ字入力
12個しかないダイヤルキーをローマ字入力 に対応させるため、ダイヤルキーの「や」を シフトキーとして、入力文字を操作する文字 入力方式である。
図3に携帯ローマ字入力の通常画面を示し、
図4に携帯ローマ字入力のダイヤルキーとの 対応図を示す。
図3を基本画面とし、ダイヤルキーの、「あ」
の位置には「A」、「か」の位置には子音「K」、
同様に「さ」には「S」、「た」には「T」、
「な」には「N」、「は」には「H」、
「ま」には「M」(1段シフトを使用)、
「や」には「Y」、「ら」には「R」、
「わ」には「W」(1段シフトを使用) が対応している。[2]
2.5タッチパネルフリック方式
タッチパネルフリック方式の例として「い」
と入力する場合を図5に示す。
図3.携帯ローマ字入力の通常画面
図4.携帯ローマ字入力全体図
→
図5.タッチパネルフリック方式
「あ」ボタンの上に指を置き、左にフリック
(スライド)させることにより「い」の文字 が入力できる。同様に上にフリックすると
「う」、右にフリックすると「え」、下にフ リックすると「お」が入力される。
2.6総括
これらのような既存技術があり、各方式に はメリットとデメリットが存在する。かな入 力方式はユーザが使い慣れていて、受けいれ やすいが打数が多くなり入力速度は遅い。
それに対しポケベル入力方式は基本打数が 2打となり、打数は比較的少ないが入力の対応 表が覚えにくくユーザの習熟に時間を要す る。
富士通入力方式と携帯ローマ字入力は基本 的な入力方法は似ていて双方とも打数が少な く理論的には入力は速いが文字入力方法が直 観的に理解しにくく、ユーザの習熟に時間を 要する。
タッチパネルフリック方式はタッチパネル 入力の特徴を生かした入力方法であり、基本 的な打数は1打となり、打数は他と比べてもも っとも少ない入力方法であるがボタン感触の ないタッチパネル入力ではボタン位置が指の 感覚で把握できなくなり、入力の利便性に欠 けると言える。
3
.提案する文字入力方式現在の携帯電話はメモリ機能の発達により ボタンプッシュによるダイヤルの使用頻度は 減り、携帯電話のボタンは主に文章入力に使 われる。
従来の携帯電話のボタン配置はダイヤル重 視のボタン配置となっており、その形はボタ ンプッシュ式の電話が登場した当初から変化 していない。
このことから本研究ではダイヤル重視のボ タン配置から日本語文字入力に適したボタン 配置を採用している。
さらにこの提案するボタン配置では、将来 的に携帯電話の操作がタッチパネルとなるこ とを予測し、上下左右などの方向操作キーを 排除した形を取る。
提案するボタン配置Aを図6に示す。
ボタン配置Aは両手入力用であり、左手を 本体の左側面上部、右手を右側面下部に位置 し入力操作を行う形式である。
提案するボタン配置Bを図7に示す。
ボタン配置Bは片手入力用である。ボタン配 置Aとは違いボタンを大きくして片手入力を しやすいようなボタン配置を採用した。
本研究ではこの2パターンのハードウェア を作成し、文字入力速度などのテストを行う。
提案する文字入力方式の対応表を表2に示 す。
図6.提案するボタン配置A
「あ」「い」「う」「え」「お」については1 打での入力となり、その他のかなは2打入力と なる。
ボタン配置はかな入力方式に近づけることで ユーザに浸透しやすく、ポケベル入力方式の 打数の少なさを取り入れた効率的で習熟しや すい入力方法として提案する。
図7.提案するボタン配置B 表2.提案する文字入力方式の対応表
a i u e o あ い う え お か行 か き く け こ さ行 さ し す せ そ た行 た ち つ て と な行 な に ぬ ね の は行 は ひ ふ へ ほ ま行 ま み む め も や行 や ゆ よ ら行 ら り る れ ろ わ行 わ ん を 二回目に押すキー
一回目に押すキー
4.
評価実験評価実験に使用する携帯電話型のハードウ ェアを市販のUSBキーボード改造して作成 し、ソフトウェアはJavaScriptを利用し[3]、
キーコードを取得したのちに対応する文字を 出力制御する。
4.1パフォーマンス評価
通常の携帯電話文字入力と本研究で提案し ている文字入力方式で入力速度を比較する。
また、本研究での文字入力方式の習熟度の 早さを見るために被験者に何度か違う文章を 入力してもらう。
4.2主観評価
実際に被験者が装置使用に対してどのよう なことを感じたかをアンケート用紙により採 取する。
5.おわりに
今後は実際に2つのハードウェアを作成 し、実験評価を行い、従来の文字入力方法と の文字入力速度の使いやすさの比較をしてい く予定である。
参考文献
[1] 工藤ひろえ:「富士通、携帯電話で日本 語を簡単に入力する方式を開
発」http://www.watch.impress.co.jp/mobile /news/1999/10/27/fujitsu.htm
[2] 中川圭司:「完全な12キー入力の探索 と「携帯ローマ字入力」」
http://pitecan.com/KBS2004/nakagawa.pdf [3]古籏一浩:「JavaScriptポケットリファレ ンス」