自立活動の内容
-区分と項目-
健康の保持
1
( ) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること1
( ) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。2
( ) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。3
( ) 健康状態の維持・改善に関すること。4
2 心理的な安定
( ) 情緒の安定に関すること。1
( ) 状況の理解と変化への対応に関すること。2
( ) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。3
3 人間関係の形成
( ) 他者とのかかわりの基礎に関すること。1
( ) 他者の意図や感情の理解に関すること。2
( ) 自己の理解と行動の調整に関すること。3
( ) 集団への参加の基礎に関すること。4
4 環境の把握
( ) 保有する感覚の活用に関すること。1
( ) 感覚や認知の特性への対応に関すること。2
( ) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。3
( ) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。4
( ) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。5
5 身体の動き
( ) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。1
( ) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。2
( ) 日常生活に必要な基本動作に関すること。3
( ) 身体の移動能力に関すること。4
( ) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。5
6 コミュニケーション
( ) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。1
( ) 言語の受容と表出に関すること。2
( ) 言語の形成と活用に関すること。3
( ) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。4
( ) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。5
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 (平成21年3月告示)
1 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること
<観 点>
生命を維持し、日常生活のために必要な健康状態の維持・改善を図ること
<具体的な指導の項目>
体温の調節、生活のリズム、睡眠、食事、排泄などの生活習慣の形成、衣服の調
節、室温の調節や換気、感染予防のための清潔の保持など、健康な生活環境の形
成を図ること
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること
<観 点>
自分の病気の状態を理解し、その改善や、進行の防止に必要な生活様式について
の理解を深め、自己管理ができるようにすること
<具体的な指導の項目>
自分の病気に関する症状や、その治療、服薬、生活上の課題などに関する理解、
通院、検温、体重測定、検尿、血糖値の測定など病気の管理に関すること、体調
や病状に合った生活のコントロールを自身で行えるようにすること
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること
<観 点>
病気や事故等によって障害を受けた身体各部の状態を理解し、適切に保護したり、
症状の進行を防止したりできるようにすること
<具体的な指導の項目>
目や耳の構造や働き、自分の視覚や聴覚の状態と適切な対処方法に関すること、
手や足の切断部位の衛生、義肢の管理など、自分の身体を養護する力を育ててい
くこと
。
(4) 健康状態の維持・改善に関すること
<観 点>
病気や障害のため運動量が少なくなったり、体力が低下したりすることを防ぐた
めに、日常生活における適切な健康の自己管理ができるようにすること
<具体的な指導の項目>
適切な運動を取り入れること(あるいは病気に応じて運動を制限すること 、食生)
活と健康についての学習、乾布摩擦などの刺激や,新鮮な空気、水、太陽光線を
利用して皮膚や粘膜を鍛えること、血行の促進や呼吸機能の向上を図るなど、健
康状態の維持・改善に努めること
2 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること
<観点>
自分の感情をコントロールすることが難しく、情緒が不安定な児童生徒を、安定
した情緒の下で生活できるようにすること
<具体的な指導の項目>
本人の心理に影響する病状や、他者との関係、睡眠や生活のリズム、体調、天気、
家庭生活などの要因を明らかにし,情緒の安定を図る指導をするとともに,必要
に応じて環境の改善を図ること
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること
<観点>
場所・場面の状況や、その変化を理解して適切に対応したりするなど、行動の仕
方を身に付けること
<具体的な指導の項目>
場所や場面の変化で不安を生じたり,不適切な行動をとる児童生徒への適応向上
のための指導、ロールプレイや予行練習のような擬似体験、本人が安心して参加
できる集団構成や活動内容などの工夫など
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること
<観点>
自分の障害の状態を理解したり、受容したりして、学習や生活の困難を積極的に
改善、克服しようとする意欲の向上を図ること
<具体的な指導の項目>
自分のもつ新しい可能性や、趣味、生きがいの発見、能力の拡大を図る補助的な
道具や機器の利用(電動車いすで移動が可能になるなど 、学習方法の工夫、)
成功体験の蓄積などにより、病気や障害による困難や不得意に積極的に立ち向か
う意欲や姿勢を育てること
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
<観点>
人に対する基本的な信頼感をもち、他者からの働き掛けを受け止め、それに応ず
ることができるようにすること
<具体的な指導の項目>
人との関係を意識すること、身近な人と親密な関係を築き、その信頼関係を基盤
として周囲の人とのやりとりを広げていくこと、教師と安定した関係を形成する
こと、人との関わり方を増やしていくこと、積極的にかかわろうとする態度や習
慣を養うこと
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
<観点>
他者の意図や感情を理解し,場に応じた適切な行動をとることができるようにす
ること
<具体的な指導の項目>
相手のことばや表情などから立場や考えかたを推測、把握し、適切にかかわる具
体的な方法を身に付けること、視覚や聴覚、触覚など自分に適した感覚やコミュ
ニケーションの方法を選択し、会話の内容や他者の意図を把握できるようにするこ
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
<観点>
自分の得意なことや不得意なこと、自分の行動の特徴などを理解し、集団の中で
状況に応じた行動ができるようになること
<具体的な指導の項目>
自分自身を客観的に見つめ、できること、できないこと、本当にやりたいこと、
学習や生活の課題などについてを考え、自己理解を進める一方、自己肯定感(自
分の存在を肯定的にとらえる 、自己効力感(自分が有用な存在であると感じる))
を高めること、自己対話の能力(自分に問いかけて行動をコントロールする力)
を養うこと
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
<観点>
集団の雰囲気に合わせたり,集団に参加するための手順やきまりを理解したりし
て,遊びや集団活動などに積極的に参加できるようになること
<具体的な指導の項目>
集団に参加するための手順やルール,必要な情報を得るための質問の仕方などを
身につけ、積極的に参加できるようにすること、遊びに加わるために適切な行動
を具体的に学習すること、うまく参加できないときや参加の方法が分からないと
き不安を静める方法を学習すること
4 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
<観点>
視覚、聴覚、触覚などの感覚を十分に活用できるようにすること
<具体的な指導の項目>
保有する視覚や聴覚、触覚を活用して、障害のある感覚や自分の弱い部分を補い、
学習や日常生活に必要な情報を収集すること
(2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。
<観点>
情報を適切に処理できるようにすること、感覚の過敏や認知の偏りなど個々の
特性に適応できるようにすること
<具体的な指導の項目>
まぶしさに遮光眼鏡を利用することや、聴覚、触覚などの過敏に順応を図ること、
不快な刺激を観察により把握すること、認知特性に応じて教材を工夫すること
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
<観点>
保有する感覚により情報を得やすくするため補助的な機器や道具を活用できるよ
うにしたり,他の感覚で代行できるようにすること
<具体的な指導の項目>
拡大読書器、弱視レンズ、補聴器などの機器や道具の活用、読話、手話、指文字、
キュード・スピーチ、点字など、他のメディアによる情報の利用を図ること
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
<観点>
感覚器官やその補助及び代行手段を総合的に活用して,情報を収集したり,環境
の状況を把握したりして,的確な判断や行動ができるようにすること
<具体的な指導の項目>
視覚,聴覚,触覚など様々な感覚から得られる情報や、白杖、補聴器など補助・
代行手段を総合的に活用して、周囲の状況を的確に把握すること
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
<観点>
概念形成を図り、認知や行動の手掛かりを増やして、活用できるようにする
<具体的な指導の項目>
感覚を通して得られる様々な情報を基に、記憶、思考、判断、決定、推理、イ
メージの形成など心理的活動を促進し、行動の手がかりとして活用すること
5 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
<観点>
姿勢のコントロールや、手足の運動・動作の改善、関節の拘縮や変形の予防,筋
力の維持・強化を図ること
<具体的な指導の項目>
姿勢の保持や変換、移動、手足の粗大・微細運動などの基本動作、生活や作業に
必要な動作の習得と改善を図ること、筋の緊張緩和、筋力の維持、動作の模倣等
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
<観点>
姿勢の保持や運動・動作の困難を補うため補助的な用具や手段を活用すること
<具体的な指導の項目>
座位を安定させるいす、移動のための白杖や車いす、筆記具や食器の改良、
着脱しやすい衣服、コンピュータ入力を容易にするスイッチなどの導入や指導
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
<観点>
日常生活の上で他者の介助を必要とする場面を減らし、身の回りのことを自分
の力で行えるようにして、自立した活動の場面を増やしていくこと
<具体的な指導の項目>
食事、排泄、衣服の着脱、洗面、入浴などの身辺処理、書字、描画等の学習の
ための動作など、日常生活の基本的な動作を身に付けること
(4) 身体の移動能力に関すること。
<観点>
自力での室内や屋外での歩行、歩行器や車いすによる移動など、日常生活に必要
な移動能力の向上を図ること
<具体的な指導の項目>
寝返りや、座位から立位への動きの獲得、階段昇降、車いすの操作、白杖歩行等
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
<観点>
多様な作業や活動に必要な基本動作を習得し、巧緻性や持続性の向上を図り、作
業を円滑にすすめる能力を高めること
<具体的な指導の項目>
各種作品の制作を通して細かな運動の正確さや速さの向上を促すこと、持続性を
養うこと、道具を使う体験を積み重ねること、スポーツにより機敏さを養うこと
6 コミュニケーション
(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
<観点>
表情や身振り,各種の機器などを用いて意思の伝達が行えるようにするなど、
コミュニケーションに必要な基礎的な能力を身に付けること
<具体的な指導の項目>
話し言葉だけでなく、発声や表情、身振りなど非言語の表出を観察によって理解
することや、相手に伝えようとする内容を広げ、伝えるための手段を育てること
(2) 言語の受容と表出に関すること。
<観点>
話し言葉や各種の文字・記号等を用いて、相手の意図を理解したり、自分の考え
を伝えたりするなど、言語を受容し表出することができるようにすること
<具体的な指導の項目>
発音や発語の指導、書字の指導、音韻の知識、会話の練習など言語の理解と表現
(3) 言語の形成と活用に関すること。
<観点>
コミュニケーションを通して、事物や現象、自己の行動等に対応した言語の概念
形成を図り、体系的な言語を身に付けること
<具体的な指導の項目>
具体的な事物や体験と言葉の意味を結び付けて理解すること、語彙を増やすこと、
文法など体系的な言語の習得、かけ声や擬音語により自発的な発声を促すこと
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
<観点>
話し言葉のほかにも、各種の文字・記号、機器等のコミュニケーション手段を適
切に選択・活用し、コミュニケーションが円滑にできるようにすること
<具体的な指導の項目>
音声の会話が困難な児童に、筆談や文字板、ボタンを押すと音声が出る機器、
コンピュータ等を適切に選択して活用し、コミュニケーションを拡大すること
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。
<観点>
相手や場の状況に応じて主体的なコミュニケーションを展開できるようにする
<具体的な指導の項目>
友人や家族、初対面の相手など自分との関係、性別、年齢などの条件、電話やメ
ールなど方法の違い、公共の場など場面に応じて適切に対話や行動ができること