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『怪醜夜光魂』の成立について

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. 『怪醜夜光魂』の成立について 樫澤, 葉子 九州女子大学文学部助教授. https://doi.org/10.15017/9386 出版情報:語文研究. 86/87, pp.129-138, 1999-06-04. 九州大学国語国文学会 バージョン: 権利関係:.

(2) ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の成 立 に つい て. 樫 享 保 一 一年. 享 保 一二年. 澤. 葉. 子. ※ ﹃怪 談 諸 国 物 語 ﹄ ( 正 徳 二 年 ﹃一夜 船 ﹄. の改 題 本 ). ※ ﹃御 伽 大 黒 の 槌﹄ ( 天 和 三 年 ﹃新 御 伽 埠. ﹃太 平 百物 語﹄. 子 ﹄ の改 題本 ) 享 保 一七 年. ﹃御 伽 厚 化 粧 ﹄. 江 戸 時 代 を 通 じ て︑ いわ ゆ る 怪 談本 ・奇 談本 の類 が数 多 く 成 った こと に つい ては言 を要 し な い であ ろ う︒ そ れ は浮 世 草. 享 保 一九 年. であ り ︑ 二十 年 間 で新 作 は 三︑ 改 題 本 を 入 れ ても 五 ︑ と い っ. 子 の時 代 に つい ても勿 論 例 外 では な く︑ 近 年 ︑ 木 越 治 編 ﹃叢 てい る︒. 書 江 戸 文 庫 三 四 ・浮 世 草 子 怪 談 集 ﹄( 平 六 ・ 一0 )も 刊 行 され. し か し︑ こ の享 保 年 間 の新 作 三作 ︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ ﹃太 平 百. た 程度 であ る︒. ただ し︑享 保 年 間 に限 って言 え ば︑﹁享 保 の浮 世 草 子 ︑そ れ. 物 語 ﹄﹃御 伽 厚 化 粧﹄ は︑ いず れ も ﹃徳 川 文 藝 類 聚 四 ・怪 談 小. 説﹄( 大 四 .七 ) に翻 刻 さ れ てい て︑早 く か ら 知 ら れ た 怪 談 本. も 前 述 の享 保 初 年 の未 練 な ど の作 を 除 く と ︑ 其 磧 の作 以外 に は ほ ん の 一握 り の作 し か な い︒﹂(長 谷 川強 ﹃浮 世 草 子 の研 究 ﹄. であ った︒. ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄. 〇 ) に 一項 が あ る O. 古 書 解 題 ﹄ (昭 二 ・ = ︒ ﹃水 谷 不 倒著 作 集 ﹄ 七 ︑ 昭 四九 ・ 一. こ のう ち ︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ に つい て は︑夙 に水 谷 不倒 ﹃選択. 昭 四 四 ・三 ) と あ るよ う に︑ 怪 談本 も さ ほ ど多 く は出 てい な い︒ 長 谷 川 強 ﹃浮 世 草 子 考 証年 表 ‑ 宝 永 以降 ﹄ ( 昭 五九 ・ 一. 二年. 二 ) か ら拾 ってみ ても︑ 享保.

(3) 怪醜夜光魂. 読 本 ・奇 談 ・絵 入 ・半 ・五 巻 (略 ) 享 保 二. も っと も ︑ 木越 治 ﹁﹃多 満 寸 太 礼 ﹄ を め ぐ って﹂ (﹃秋 成 論﹄. な がら いつ れ も 敵 討 の趣 に異 色 が あ る ︒ 併 し 幼 弱 の主 人. 的 のも のと 違 ひ︑何 か 一つ異 色 を帯 び て ゐ る︒ ( 略 )短篇. 敵 討 の多 い事 は︑偽 ら ざ る所 であ る︒ ( 略 )其 敵 討 が 一般. わ か る︒ い わば ︑ 敵 討 が 一種 の奇 諌 と し て受 け 取 ら れ て. (元禄 九 年 刊)︑﹃御 伽 人 形﹄ ( 宝 永 二年 刊)な ど を み ても. ら し く な い こ と は︑ ﹃玉 櫛 笥﹄ (元 禄 八 年 序 )︑ ﹃玉 箒 木 ﹄. の期 の怪 異 小 説 に敵 討 諌 の含 ま れ る こと が それ ほど め ず. 討 諌 であ り︑ い わ ゆ る怪 異 諌 か ら は はず れ る︒ し か し こ. ま た︑ 巻 六 ノ 一 ﹁片 岡 主 馬 之 亮 敵 討 事 ﹂ は︑ 純 然 た る敵. 平 七 ・五) で ﹃多 満 寸 太 礼 ﹄ (宝 永 元 年 刊) に つい て︑. 公 に奇 を 求 あ た 跡 が 見 え る︒(略 )奇 話 に富 み︑又 仏 教 思. はあ る が︑ 怪 談 と い ふ程 凄 味 のあ るも のは な く ︑ 比 較 的. 丁 酉 歳 晩 夏 ︑京 四條 坊 門 泉 正 寺 町水 田太 助 版 ︒ ( 略 )奇 で. 想 の感 化 を 受 け る こと が 濃 厚 で︑ 因 果 応 報 ・発 心 ・得 脱. いる わ け で︑ こ の点 は︑ 西 鶴 の武 家 物 を 考 え て いく 際 の. と あ る如 く︑ 敵 討 諌 を 混 じ る こと が さ ほど に特 徴 的 だ と も 思. ヒ ント に な る かも しれ な い︒. 等 に関 す る話 題 が ︑ 殊 に多 い︒. え な い が︑ 内 容 に つい て は こ こ で は触 れ 得 な い︒. 縁 や筋 立 て に趣 向 性 を も た せ る 作 柄 であ る︒ ( 略) この. に特 色 が 窺 え る︒( 略 )いず れ も 敵 と め ぐ り あ う ま での因. 世 草 子 の 一つであ るが ︑ こと に敵 討 にか ら め た怪 異 奇 談. に述 べ た如 く ︑ 一貫 し て ﹁享 保 二年 刊﹂ と いう こと に な って. 詳 細 に検 討 され た こと はな か った︒ そ の成 立 に つい ても ︑ 既. 述 し た よ う に い わ ゆ る辞 書 類 には 記 述 が 見 え る が︑ これ ま で. ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ に つい て は︑ 早 く に翻 刻 さ れ た た め か︑ 前. 一130一. ま た︑ ﹃日本 古 典文 学 大 辞 典 ﹄ (昭 五 八 ・ 一〇 ︒ 浅 野 晃 執 筆 )︑ ﹃日本 古 典 文 学 大 事 典 ﹄(平 一〇 ・六 ︒堤 邦 彦 執 筆 ) にも 項 目. 察 し た も の で あ る︒. ﹃怪醜 夜 光 魂 ﹄ に つい て︑ そ の成 立 にお け る 問 題 に つい て考. 本 稿 は︑ 享 保 期 の怪 談 本 と し て 比 較 的 よ く 知 ら れ て い る. が立 てら れ て い るが ︑ 内 容 に大 差 は な い の で︑ 最新 の ﹃日本. 浮 世 草 子 ・怪 異 小 説 ︒五巻 五 冊︒全 二〇 話︒. 古 典 文 学 大 事 典 ﹄ を 適 宜 引 用 す る︒ 怪醜夜光魂. 花 洛 隠 士 音 久 著 ︒ 享 保 二年 京 都 水 田 太 助 刊 ︒ 序文 に よ れ. やし き 事 いぶ か し き う は さ ︑ あ る ひは 敵討 な ど の物 語 ﹂. ば ︑ 春 雨 の徒 然 に朋 友 の埋 口 ・素 白 等 と 語 り合 った ﹁あ. 他 ︑ 神 仏 の利 生 や 因 果 応 報 ・発 心 ・得脱 に ま つわ る話 柄. お り︑ 長 谷 川 強 ﹃浮 世 草 子考 証年 表 ﹄ でも︑ 享 保 二年 六 月 の. を 筆 録 し た も のと いう ︒ 諸 国 に題 材 を も と め た奇 談 物 浮. を多く収めた内容︒. 二.

(4) 項 に︑ 怪醜 夜光 魂 ( 序 ・目 ・内 ・外 ・尾 ) 半 紙 本 五 巻 五 冊 久. 音. 水 田太 助 / 蔵 版 ﹂︒. 序 ﹁花 洛 隠 士 音 久 ( 印 )﹂︒ 刊 記 ﹁享 保 二丁 酉 歳 / 晩 夏 吉 辰 / 花 洛 四条 坊 門 泉 正 寺 町 / 書 林 所 見 本 は こ の刊 記 の前 ︑ 本 文 末 に ﹁京 寺 町 通松 原上 ル町 / ひし や治 兵 衛 板 ﹂ と 入 れ る ︒水 田初 印 ︑ 菱 屋 後 印 の関 係 にあ る の であ ら う︒ と 記 載 さ れ る︒ と こ ろ で︑ 同 じ ﹃浮世 草 子考 証年 表 ﹄ の享 保 十 四年 の項 に は︑. 五. で は︑享 保 二年 の項 に︑ と︒ 樫 澤 注 ). ○怪醜 夜光魂. 花洛 隠士音 久. 同 (享 保 二 年 の こ. 序 に朋 友 埋 口素 白 の物 語 を う つす 云 々︒ 五. 音久. 同 (享 保 十 四 年 の こと︒ 樫 澤. とあ るも の の︑ 同 書 の享 保 十 四年 の項 にも ︑ 注). ○怪醜夜光魂. 享 保 二年 刊 の再 版 ︒. であ る た め に ﹁誤 認 ・誤解 ﹂ が生 じ た の で はな いか と いう 推. と 載 る こと を 指 し て いる ︒ 享 保 二年 と享 保 十 四年 は同 じ酉 年. ま た ︑ 山崎 麓 ﹃日本 小 説 書 目 年 表 ﹄ を 書 誌 研 究 会 が 改 訂 し. 測 であ る ︒. ﹃補 訂 版 国 書 総 目 録 ﹄﹃古 典 籍 総 合 目 録 ﹄に よ って現 在 所 蔵. が確 認 さ れ る ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の諸 本 は︑ 国 立 国 会 図 書 館 と 新. 潟 県 北 蒲 原 郡 黒 川 村 公 民 館 のも の の み であ り︑ 非 常 に少 な. 一131=. 怪醜夜光魂. た ﹃改 訂 日本 小 説 書 目 年 表 ﹄ (昭 五 二 ・ 一〇 ) では ︑前 述 し た. 享 保 十 四年 の ﹃怪 醜 夜 光 魂﹄ の再 版 本 の項 に頭 注 を 付 け ︑﹁刊. ﹁日本 小 説 書 目 年 表 ﹂ に ﹁享 保 二年 刊 の再 版 ﹂ と いふ が 未 見 ︒ 但 し ﹁新 修 日本 小 説 年 表 ﹂ に は二 年 の項 に本 書 を. 年 は誤 問 説 あ り﹂ と す る のも ︑ 同 じ 見 解 であ ろ う︒. 享 保 二年 刊 と いう のが 定 説 であ る ︑ と いう こと に な る︒. 以上 整 理 す れ ば ︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の刊 年 に つい て は︑や は り. 登 載 せず ︑ 二年 と 十 四年 は同 支 な る 事 に不 審 が 残 る︒ 誤 認 ・誤 解 が あ る の であ ら う ︒ と あ り ︑ ﹁小 説 年 表 ﹂ に お い て︑ ﹃怪 醜 夜光 魂 ﹄ の 刊年 に ﹁誤 認 .誤 解 ﹂ が あ ると し て いる ︒ つま り︑ 朝 倉 無 声 ﹃新 修 日本. 音久. 同 ( 享 保 十 四年 の こと ︒ 樫 澤. 小 説 年 表 ﹄(大 一五 ・九 )には ︑享 保 二年 の項 に ﹃怪 醜 夜 光 魂﹄. 五. が な く ︑ 享 保 十 四 年 の項 に︑ ○ 怪 醜 夜光 珠 注) と あ る こ と︑ ま た︑ 山 崎 麓 ﹃日本 小 説 書 目 年 表﹄ ( 昭 四 ・七 ). 三.

(5) ︹図 1 ︺ A. い︒ し か も ︑ 五 巻 揃 い の完本 は国 会 図 書 館 蔵 本 の み であ り︑. 自 序 の末 には ﹁花 洛 隠 士 音 久 ﹂とあ り︑作 者 名 が知 れ る が︑. 黒 川 村 公 民 館 蔵 本 は 巻 二 を欠 い た端 本 で あ る︒. こ の花 洛隠 士音 久 に つい て は詳 細 は不 明 であ る︒た だ ︑﹃補 訂. 版 国 書総 目 録 ﹄ ﹁著 者 別 索 引 ﹂ の ﹁花 洛 隠 士音 久 ﹂ の項 に は︑. ﹃怪醜 夜 光 魂 ﹄ の他 に ﹁新 怪 談 三 本 筆 ︿享 保 二﹀﹂と 記載 さ れ. てお り︑音 久 には ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の 刊年 と さ れ る享 保 二年 に︑. こ の ﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄は ︑﹃浮 世 草 子 考 証 年表 ﹄に も そ の名. 同 じ く ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ と いう 著 作 が あ る こと が わ か蕪 ). が見 えず ︑ ま た ︑ これ ま で触 れ ら れ た こと を知 ら な いも のだ. が︑ ﹃補 訂版 国 書 総 目 録 ﹄ 等 に よ って所 在 が 確 認 でき る のは ︑. 一132一.

(6) 名 古 屋 大 学 附 属 図書 館 岡谷 文 庫 蔵 本 の み であ る︒ と こ ろが ︑ 本 )︒. 国 立 国 会 図 書 館 蔵 本 ︑ C は ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ 黒 川 村 公 民 館 蔵. では ︑﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄は ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の改 題 本 か と いう. こ の ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄を 見 て み ると ︑ [ 図 1] に 一例 を あ げ た. こと が ま ず考 え ら れ る が︑ [ 図 2]にあ げ た それ ぞ れ の序 文 の. (注 5 ). にし た だ け の 同板 であ る こ と が わ か った (A は ﹃新 怪 談 三 本. 如 く ︑匡 郭 等 板 面 の状 態 か ら ︑﹃怪 醜 夜 光 魂﹄と は内 題 等 を 異. C. 部 分 を参 照 さ れ た い︒. B. 筆 ﹄名 古 屋 大 学 附 属 図 書 館 岡 谷 文 庫 蔵 本 ︑B は ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄. ︹ 図 2︺ A. 一133「.

(7) は そ の 一部 が欠 け てい る こと が わ か る︒. のが 見 え る︒ 序 末 の署 名 の中 の ﹁花 ﹂ も ︑ A に比 べ て Bと C. 旬 ﹂ が B と C に は な く︑ 特 に B に は それ を 削 った 跡 ら し き も. こ れ を見 る と︑ A に はあ る序 末 の年 記 ﹁享 保 二丁 酉 弥 生 中. 入 れ て六 字 にし た も のと考 え ら れ る︒. あ った ﹁新 怪 談 三本 筆 ﹂ の ス ペー スを 考 慮 し て︑﹁の﹂ の字 を. を 前 述 の よ う に ﹁怪 醜 夜 光 の 魂 ﹂ と 記 し た の も ︑ も と も と. は な ら な い︒ ま た︑﹃怪醜 夜 光 魂 ﹄ の序 文 に お い て︑ そ の書 名. が ﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄な の では なく ︑﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ の改 題 本. 以 上 それ ぞ れ の序 文 か ら だ け でも︑﹃怪醜 夜 光 魂 ﹄の改 題 本. が ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ であ る こと は 明白 であ る︒ ま た︑ 全 体 の匡. ま た ︑ ﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄ の序 文 で は︑ いと 淋 し き 折 か ら ︑ 朋 友 の埋 口 ・素 白 ︑ 是 も春 雨 の徒 然. 郭 等 板 面 の状 態 か ら も ︑ こ の こと は 同様 に言 え る︒. 管 見 の ﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄ 名 古 屋 大 学 附 属 図書 館 岡 谷 文 庫 蔵. の咄 染 て︑. を ︑ 僕 に写 さ し む. を わ す れ ん と の同 じ 心 に入来 り ︑ む か し く. はさ ︑ 或 は敵 討 な ど の物 語 のか ず く. 怪 談 か た ら ず と い へど も ︑ 或 は あ や し き 事 いぶ か し き う. 刊 記 に つい て は不 明 であ るが ︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の国会 図書 館 蔵. 本 は︑ 最 終 の巻 五 を 欠 いた 端 本 であ る た め ︑残 念 な が ら そ の. げ た︒ C に は B の 丁裏 にあ る ﹁享 保 二丁 酉 歳 / 晩 夏 吉 辰 / 花. 本 と黒 川村 公 民 館 蔵 本 の刊 記 ・奥 付 に つい ては ︑[ 図 3]にあ. れ ば 五 巻 と 成 ぬ︒ 有 の ま ゝ に新 怪 談 三 本 筆 と 外 題 し 侍. と述 べ られ ︑ こ の作 品 は︑ 作 者 音 久 と 朋 友 の三 人 が 語 り 合 っ. り︑ 書 林 見 て梓 にせ ん と 乞 ︒ て作 ら れ た と い う設 定 にな って い る︒ 本 文 中 にも ︑ 巻 三ー 二. 洛 四 条坊 門泉 正 寺 町/ 書 林 水 田太 助 / 蔵 版 ﹂ の奥 付 を 欠 い て. いる が ︑ 匡郭 等 板 面 の状 態 か ら︑ B よ りC が 後 印 であ る こと. ﹁但 馬 の古 塚 / 湯 本 の与 八 と い ふ者 に盛 継 が 霊 つき し 事 ﹂ の. に相 応 し い書 名 と い ふ 外 に意 味 は あ る ま い︒﹂ と 述 べた が︑. 択 古 書 解 題 ﹄ の中 で︑ ﹁怪 醜 夜 光 魂 ﹂ の名 称 に つい て︑ ﹁奇 談. のと ころ が︑ ﹁怪 醜 夜 光 の魂 ﹂と な って いる︒水 谷 不 倒 は ﹃選. が わ か った︒. 原 上 ル町 / ひし や 治 兵 衛 板 ﹂ の刊 記 を加 え た も の であ る こと. 末 の ﹁享 保 二 ﹂ 年 の年 記 を 削 り︑ 巻 五本 文 末 に ﹁京 寺 町 通 松. 録 題 ・内 題 ・尾 題 ︑ お よ び序 文 中 の書 名 の記 述 を 改 変 し ︑ 序. 要 す る に︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ は︑ ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ の序 題 .目. がわかる︒. ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の序 文 にあ る よ う に︑ 友 人 と 三人 で語 り合 っ. ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の序 文 では︑ 右 の文 中 の ﹁新 怪 談 三 本 筆 ﹂. 中 に︑ ﹁素 白 語 りけ る は﹂ と いう 記 述 が 見 え る︒. た結 果 でき たも のを ︑﹁有 のま ゝに怪 醜 夜 光 の魂 と外 題 し﹂た と い う の で は意 味 が 通 ら な い︒ こ こは や は り︑ 三人 の話 の結 果 ︑﹁有 の ま ゝに新 怪 談 三本 筆 と 外 題 し ﹂た と いう の でな く て. 「134一.

(8) ︹図 3 ︺. 四. (. 最 後 に︑ そ れ ぞ れ の お お よ そ の印 刷 の時 期 を 考 え てみ た. ﹃補 訂 版 国 書 総 目 録 ﹄そ の他 に よ って︑﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄と. い︒. ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の刊 年 が︑同 じ享 保 二年 と さ れ た のは︑﹃新 怪. 談 三 本 筆 ﹄(名 古 屋 大 学 附 属 図 書 館 岡 谷 文 庫 蔵 本 )が 刊 記 を も. つ巻 五 を 欠 く 端 本 であ った にも か か わ ら ず︑ 序 末 の年 記 を残. 一135う.

(9) いた こと によ る︒. そ の序 末 の年 記 は 削 ら れ て いた が ︑享 保 二 年 の奥 付 が残 って. し て いた こと︑ ま た︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ (国会 図書 館 蔵 本 ) では. あ った と思 わ れ る︒た だ し ︑﹃浮 世 草 子 考 証 年表 ﹄ にも あ った. この こと か ら︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の改 題 の時 期 は享 保 十 四年 頃 で. ま た︑先 に︑朝 倉 無 声 ﹃新 修 日本 小 説 年 表 ﹄が ︑ ﹃怪 醜 夜 光. 如 く︑ そ う し た刊 記 を も つ本 に つい て は未 見 ︒. と を述 べた︒ それ が享 保 十 四年 の刊 記 を も つ本 を 実 際 に見 て. 魂 ﹄ を 享 保 二年 の所 に記 載 せず ︑ 享 保 十 四年 の所 に載 せ る こ. し か し ︑﹃新 怪 談 三 本 筆 ﹄の序 文 の年時 が享 保 二年 三月 であ. こと を 考 え る と ︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ に付 され た奥 付 は︑ ﹃新 怪 談. と こ ろ で︑ ﹃浮世 草 子考 証年 表 ﹄ の正 徳 二年 ︑ ﹃近 士武 道 三. し か った こ と にな る︒. て言 えば ︑ こ の記 述 は ﹁誤 認 ・誤 解 ﹂ で はな く ︑ 結 果 的 に正. の こと であ った のか ど うか は不 明 だ が ︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄に関 し. り︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄に残 った奥 付 の年 時 が享 保 二年 六 月 であ る. 作 者 であ る花 洛 隠士 音 久 に つい ては未 詳 であ る こと は前 述. 三本 筆 ﹄ 初板 の時 点 か ら のも の であ った と 思 わ れ る︒ し た が ︑序 末 の署 名 の下 の印 は ﹁永 昌坊 住﹂ と読 め る︒ 永 昌. い て述 べら れ て い る︒ こ の目 録 は ︑ ﹁略 縁 記 出 家 形 気 ﹂ ﹁傾 城. 国 志 ﹄ の項 で︑ 菱 屋 治 兵 衛 の蔵 版 目 録 二 丁 を 付 す 後 印本 に つ. 坊 は京 都 左京 三条 か ら 四条 ま でを指 す が︑ 奥 付 にあ った水 田 ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ の作 者 音 久 と書 騨 水 田太 助 と は︑ あ る程 度. 川 文 藝 類 聚 ﹄ や ﹃選 択 古 書 解 題 ﹄ が 参 照 し た の は︑ 国 会 図 書. 中 に享 保 二年 の奥 付 を 有 す る こと か ら は︑ 冒頭 に触 れ た ﹃徳. 何 時 頃 出 さ れ た のか は わ か ら な い︒ た だ︑ そ の翻 刻 や引 用 の. され たも の であ った こと は 既 に述 べた が ︑奥 付 を欠 い た本 が. 末 の菱 屋 の刊 記 のみ で奥 付 を 欠 く 黒 川村 公 民館 蔵 本 が後 に出. 田太 助 の奥 付 を 残 し て いる 国 会 図 書館 蔵 本 が よ り早 く︑ 本 文. ま た ︑ 管 見 の ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の諸本 のう ち︑ 享 保 二年 の水. 兵 衛 の蔵 版 であ った こと が わ か る ︒. ことか ら︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄は︑少 な く と も 天 明頃 ま では菱 屋 治. され て い るが ︑ こ こ に ﹁怪 醜 夜 光 魂 ﹂ の書名 も 見 え る︒ この. 禁 短 気 ﹂ の書 名 を 載 せ ると こ ろか ら ︑ 天 明 前 後 のも のと推 定. 太 助 の所 在 地 ﹁四条 坊 門 泉 正 寺 町 ﹂も こ の中 にあ る︒ よ って︑. の地 縁 が あ った と いう こと も想 像 でき る︒ 以上 の こと か ら ︑ ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ の出 板 の時 期 は享 保 二 年 ︑板 元 は 水 田 太 助 であ る と 言 え る の では な いだ ろ う か︒. 作者. ﹁割 印 帳 ﹂ の享 保 十 三年 十 二月 の項 に︑次 のよ う な記 述 が. 次 に︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ と改 題 さ れ た時 期 を 考 え て みた い︒ あ る︒. 板元 ひしや治兵衛 怪醜 夜光珠 五冊 花洛隠士洛音久 売出し 出雲寺和泉 此 両所外題直 シ故割印取 返 シ. 売出し 出雲寺和泉 板元 同 人. う136一.

(10) 館 蔵 本 そ のも のか ︑ あ る いは ほ ぼ 同 じ時 期 に出 さ れ た も の で. 明 ら か に し て おき た い︒. が︑ 実 は ﹃新 怪 談 三本 筆 ﹄ の改 題 本 であ った こと は ︑ こ こ に. (注 9). 最 後 に︑ ﹃浮 世 草 子 考 証 年 表 ﹄ の享 保 二年 ︑ ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄. 注. 木 村 八 重 子 ﹁﹃日本 小 説 年 表 ﹄考 ー 黒 本 ・青 本 を 中 心 にー ﹂(﹃江. 戸 文 学 ﹄ 一五 ︑平 八 ・五 ) で は︑黒 本 ・青 本 に限 って では あ る が ︑. 1. あ った こと が 知 ら れ る︒ の項 に︑. 全 五 冊﹂ あ り︒. 文 政 元年 正 月 求板 ︑ 大坂 の京 屋 浅 治 郎 奥 の ﹁一休 和 尚 法 語 ﹂所 掲 同 店 蔵 板 目 録 に ﹁怪醜 夜光 魂. 朝 倉 無 声 と 山 崎 麓 が 共 に参 照 し た カ ード を 作 成 し た漆 山 天 童 が︑. ﹂注 10). 自 身 で ﹁年 表 ﹂を 編 まな か った理 由 に つい て︑﹁お そ ら く 刊年 を確. 5. ﹃補 訂 版 国 書 総 目 録 ﹄ には ︑ 所 蔵者 と し て他 に大橋 図書 館 が あ 鶉骸堵年. ・( 和 本 の こと ︒樫 澤 注 ) 半. 五. 二 五七. ﹃黒 川 村 公 民 館 所 蔵 和 書 分 類 目録 ﹄ ( 昭 六 0 ・三 )や ﹃ 古典籍総. 三 一﹂ と 記 載 さ れ る ︒ た だ し ︑ 関 東大 震災 に よ り焼 失 ︒. いわ ゆ る ﹁書 籍 目 録 ﹂ には ︑ ﹃怪醜 夜 光 魂 ﹄ や ﹃ 新怪談三本筆﹄. の書 名 はな いが ︑ 宝 暦 四 年 刊 ﹃ 新 増書 籍 目録 ﹄ (﹃江戸 時 代 書 林 出. 柱 刻 の右 縦 線 半 ば に︑ A ・B ・C と も切 れ が見 られ る︒. 明︒. これ が ﹃新 怪 談 三 本筆 ﹄ と ど の よ う な関 係 に あ る のか ︑ 詳 細 は不. ﹁宝 暦 書 籍 目 録 によ る ﹂ と のみ 記 さ れ︑ 原 本 未 詳 のも の であ る︒. 怪 談 三 本 筆 ﹂と 載 る ︒ これ に つい ては ︑﹃ 補 訂 版 国 書 総 目 録 ﹄ にも. 版 書 籍 目 録 集 成 ﹄三 ︑昭 三八 ・ 一0 ) に は︑ ﹁奇 談 ﹂ の中 に ﹁五. 4. 合 目 録 ﹄ で は ﹁巻 三 欠 ﹂ と し て いる が ︑ ﹁ 巻 二欠 ﹂ の誤 り で あ る︒. 3. 醜夜光魂. げ ら れ てお り︑ ﹃大 橋 図 書 館 和漢 図 書分 類 目録 ﹄ (明 四 0) に ﹁ 怪. 2. と 述 べ られ て いる ︒. 記 され て い る例 は少 な く ︑ 十 二 支 では 判定 に 苦 し む こと が あ り﹂. か った ため で はな いだ ろ う か ︒ 奥 付 目 録 が あ っても ︑ 干支 揃 って. 定 でき な い 作 品 が多 く ︑ カ ー ド に 記 し た 年 代 も 参 考 の域 を 出 な. と あ り︑ さ ら に︑ 文 化 九 年 改 正 ﹁板木 総 目録 株 帳 ﹂ (﹃大 坂 本. 京浅. 焼株. 屋 仲 間 記録 ﹄ = 二︑ 昭 六 二 ・三) には ︑. 怪魂 夜 光 珠 と 記 さ れ て いる こと に触 れ た い︒. 右 の こと か ら は ︑﹃怪醜 夜 光魂 ﹄ は︑少 な く と も文 化 半 ば 頃 には 大 坂 の京 屋 浅 治 郎 の蔵 版 であ った こと が知 ら れ る︒ た だ し︑京 屋 浅 治 郎 の 刊記 を も つも の は未 見 ︒﹁株 帳 ﹂に は ﹁焼 株 ﹂ と あ り ︑ ﹁板 木 の実 物 は火 事 で焼 失 し た が︑ そ の板 権 のみ が ﹁焼株 ﹂ と し て売 買 さ れ て︑ そ れ を 買 い求 め た者 は︑ 以後 そ. 江戸 の板 本﹄ 平 七 ・ 一二) であ った︒. (注 11). の本 の再 板 や 類 板 に関 し て権 利 を 持 つと い う よ う な 事 ﹂ ( 中 野 三敏 ﹃書 誌 学 談 義. こ こま で ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の成 立 の問 題 に つい て述 べ てき た ︒ いさ さ か微 に入 り す ぎ た か も し れ ず︑ ま た︑ そ の内 容 や特 徴 に つい ては ほ と ん ど触 れ得 な か った︒ し か し︑ 享 保 期 の浮 世 草 子 の怪 談 本 と し て比 較 的 よ く知 ら れ てい た ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄. 一137「.

(11) 7. 6 原 文 の引 用 に関 し て は︑ 私 に適 宜 句 読 点 や 濁 点 を 補 い︑ ル ビは. C の黒 川 村 公 民 館 蔵 本 に は︑ 序 末 に書 き 込 みが あ る ︒. に負 ふ 所 が 少 な く な か つた ︒﹂ と 述 べ て いる ︒. 水 谷 不 倒 は ﹃選 択 古 書 解 題 ﹄ の ﹁凡例 ﹂ の中 で︑ ﹁帝 国 図 書 館 本. ﹃享 保 以 後 江 戸 出 版 書 目 ー 新 訂 版 = ﹄ ( 平 五 ・ 一二 ) によ った o. 省略した︒以下同じ︒ 8 9. によ る ) が ︑ 文 政 元 年 の京 屋 浅 治 郎 の求 板 本 であ り ︑ そ れ に付 さ. 10 管 見 で は︑﹃一休 和 尚 法 語 ﹄の北 海 学 園 大 学 北 駕 文 庫蔵 本 と今 治 市 河 野 美 術 館 蔵 本 (いず れ も 国 文 学 研 究 資 料 館 マイ ク ロ フ ィ ルム. 全五冊﹂と載る︒. れた ﹁ 大 阪 書 舗 山 本 文 会 堂 京 屋 浅 治 郎 蔵 版 目 録 ﹂四 丁 の中 に︑﹁ 怪 魂夜光珠. 板 蔵 二﹂ とあ る如 く ︑. ・三︒ 鈴 木 俊 幸 執 筆 )︑ そ の. によ って焼 失 し た板 木 に つい て︑ 把 握 で き た も のを 記 し たも のだ. 11 国立 公文 書館 内 閣文 庫所 蔵 の 写本 ﹃ 釈契沖門人海北若沖蔵書目 録 ﹄ に付載 さ れ る ﹁ 焼 板 目 録 ﹂ は︑ 天 明 八年 正 月 晦 日 の京 都 大 火 が (﹃日本 古 典 籍 書 誌 学 辞 典 ﹄ 平 = 中の ﹁ 本 屋土 蔵 焼 失 ﹂ の項 に ﹁ 菱屋治兵衛. 菱 屋 治 兵 衛 も多 く の板 木 を 失 な った︒﹁焼 板 目 録 ﹂に は ﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄ の書 名 は見 え な い が︑ 前 述 し た通 り︑ 天 明 頃 ま で は菱 屋 治 兵 衛 の蔵 版 であ った こと と︑ 文 化 九 年 改 正 の ﹁株 帳 ﹂ に ﹁焼 株 ﹂ と の京 都 大 火 に よ って焼 失 し ︑ そ の後 そ の焼 株 を 大 坂 の京 屋 浅 治 郎. し て載 る こと を 考 え合 わ せ ると ︑﹃怪 醜 夜 光 魂 ﹄の板 木 は天 明 八 年 が 取 得 し た も のと 思 わ れ る︒. た 関 係 諸 機 関 に対 し ︑ 心 よ り お 礼 を 申 し 上 げ ま す ︒. [ 付 記 ] 本 稿 を 成 す にあ た り︑ 貴 重 な 資 料 の閲 覧 ・複 写 を 快 諾 さ れ. 一138「.

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参照

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