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理科の主張
1 教科で育みたい人間像
5 これまで気にもしなかった自然事象を少し違っ た角度から眺めてみると,人生はより豊かなもの にかわるでしょう。なぜなら,自然事象のしくみ や原因には驚きがあり,それ自体が魅力的でおも しろいことだからです。先人たちが自然事象のし 10 くみや原因を解き明かす過程を積み重ねてきたこ とが,今に事実となって受け継がれてきたことか らもわかります。
その先人たちが解き明かした過去の科学的な「事 実(真実)」を,知識として取り入れていくことは 15 大切なことです。しかし,自分たちなりにそれら をとらえ直したり,自分たちなりの事実を生み出 していったりすることの方が,より大切なことな のではないかと私たちは考えています。それは,
人類がより豊かで安全な社会を築いていくために,
20 科学的な事実を更新し,積み重ねてきたことから もわかります。
そもそも,今,事実とされている(と思われてい る)自然事象のしくみや原因は,身のまわりに起こ る自然事象に疑問をもった人たちが,様々な根拠 25 から矛盾のない説明をした妥当な考えです。だか らこそ,すべての人に「自然事象のしくみや原因 に目を向け,科学的な根拠をもって構築した自分 なりの見方や考え方」を『科学のまなざし』とと らえ,より豊かで安全な社会をきずいていくこと 30 ができる『科学のまなざしをもつ人』を育んでい
きたいと考えています。
子どもたちが理科という教科を通して,「なぜそ うなるのか」「どのような影響があるのか」「それ を生かして何ができるのか」といった視点で自然 35 事象を見つめ,すべての人にとって生活や社会を 今よりもよくしようとする活動につなげていくこ とを私たちは願っています。
40 2 育みたい人間像に迫るために教科で大切にすべきこと
『科学のまなざしをもつ人』を育むために,私 たちは授業において,子どもたちが『科学するこ と』を大切にしています。それは,子どもたち自 45 身が自然事象のしくみや原因を問い,それらを自 分たちなりに導き出していく学びであり,それこ そが理科ならではの学び合いと考えています。
具体的には,自然事象に対して疑問をもち,そ のしくみや原因を解き明かすために予想や推察,
50 推論を立て,様々な実験や観察の結果や資料など 根拠をもとに自分の考えを深めたり広げたりする 学びです。そこには,誰にとっても納得できる妥 当な考えなのかを様々な視点から検証することが 必要でしょう。つまり,仲間との対話は欠かせな 55 いのです。
言うまでもなく,理科の学びは子どもたちが疑 問を解き明かすために主体的に実験・観察に打ち込 むことも必須です。しかし,それ以上に科学する 対話を通して「子どもたち自身が問い,考えをつ 60 くりあげようとする学び合い」が起こることによ って,「理科ならではの文化」を存分に味わうこと ができるのではないかと私たちは考えているので す。その際,対話の内容は3つの要素を満足させ るものでなければなりません。3つの要素とは次 65 の通りです。
・自分の考えが正しいものか実験や観察のようす を通して明確にすること(実証性)
・同じような実験や観察を行った仲間と意見を比
較したり,実験を繰り返し行ったりしても同様 70 の結果が得られること(再現性)
・異なる実験や観察であっても共通している部分 があったり,疑いようのない事実であったりす ること(客観性)
これまでの実践において,3つの要素を共通言 75 語とした対話を引き出すために,子どもたちが切 実感や多様な考え方をもつことができる“題材の 工夫”に取り組んできました。さらに,私たちが 自然事象に対して,子どもたちなりに“イメージ すること”ができるようなかかわりを積み重ねる 80 ことで,「子どもたち自身が問い,考えをつくりあ げようとする学び合い」に主体的に参加する子ど もが増えてくるなどの成果が見られました。一方 で,参画しきれない子どもがいることも課題とし てあげられました。それには,各々の子どもたち 85 が対話の中で「今の自分の考えの立ち位置はどこ か」「議論はどこへ向かうのか」「自分は何を言え ばいいのか」といった“学びの見通しをもつこと
”が鍵になると考えています。そうすることで,
意見や考えをもった子どもが,自分の立場を明確 90 にすることができ,主体的な学びの参加につなが
るのではないかと考えるからです。
今年度の重点としては“学びの見通しをもつこ と”で対話の質を向上させ,教室にいる誰もが「理 科ならではの文化」を味わえる授業を模索してい 95 きたいと考えています。
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