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ラットの実験的肝発癌に期する分子病理学的研究

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Academic year: 2021

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Title

ラットの実験的肝発癌に期する分子病理学的研究( 内容の要

旨 )

Author(s)

今井, 俊夫

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 乙第014号

Issue Date

1997-09-26

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1998

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 鼻 今 井 俊 夫 (京都府) 博士(獣医学) 獣医博乙第14号 平成9年9月26日 学位規則第4条第2項該当 ラットの実験的肝発癌に関する分子病理学的研究 主査 岐 阜 大 学 教 授 副査 岐 阜 大 学 教 授 副査 東京よ工大学 教 授 副査 岩 手 大 学 教 授 副査 帯広畜産大学 教 授 副査 目立竃生弐I所 柵 木 利 昭 鈴 木 義 孝 桐 生 啓 治 岡 田 幸 助一 西 村 昌 数 三 森 国 敏 論 文 の 内 容 の 要 旨 近年,実験的発癌過程の病理学的研究から,腫瘍は多段階の過程を経て発生することが 明らかにされた。しかし,発癌過程における中間病変である前療病変と,反応性の可逆的 増殖性病変との区別が困難な場合がしばしば見受けられる。したがって,的確な病理組織 診断を行う上で,発症過程における初期病変あるいは前癌病変の生物学的特性を明らかに することは極めて重要である。本研究では,ラットの肝臓の発癌過程にみられる前療病変 および腫瘍性病変の生物学的特性をより明らかにする目的で,分子病理学的手法を用い, 代表的な特異的マーカー酵素および細胞増殖因子に関する検討を実施した。実験には,ジ エチルニトロサミン,2-アセチルアミノフルオレンおよび肝部分切除による化学発癌モ デルを用いた。 1.グルタチオンS-トランスフエラーゼーPおよびY一グルタミルトランスフエラーゼ mRNAの発現および分布 ラットの肝臓に前療病変である変異細胞巣および腫瘍性結節を誘発し,Y-グルタミルト ランスフエラーゼ(GG¶に対する組織化学およびグルタチオンS-トランスフエラーゼーP (GST-P)mRNAに対する血血ハイプリダイゼーション(ISH)を行った。その結果,比較 的小型の細胞巣および結節においてGGTの発現が消失し,GGTが消失した病変の一部に おいてGST-PmRNAの発現が低下あるいは消失することを見出した。また,肝細胞痺に おいては,GST-PmRNAの発現の程度は高かったが,GGTmRNAの発現は多様であった。 このことから,ラット肝発癌の全過程においてGST-Pは蛋白レベルのみならず,mRNA レベルにおいても前療病変および腫瘍性病変の安定したマーカー酵素であることが示され た。さらに,ラット肝臓の前療病変の発育は,GST-PおよびGGTの持続的な発現と関連

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一206-性があると考えられた。 2・肝細胞増殖因子に関する産生細胞の同定および分布 ラット肝臓の発癌モデルを用いて,前療病変が発育する時期の肝組織における肝細胞増 殖因子(HGF)産生細胞を同定し,さらにその分布を免疫組織化学およびISHにより検索 した。その結果・HGF産生細胞は主に星状大食細胞であることが示された。また同細胞 は,前療病変の内部にははとんど存在せず,病変周囲の肝実質,特に0V山α山の増生がみ られた領域に多数認められた。このことから,=GFは前療病変における変異肝細胞の増 殖には関与していないと考えられた。 3・肝細胞増殖因子およびc一皿α汀瓜NAの発現レベルの推移 ラット肝臓の前癌病変および肝細胞癌の発育過程における=GFおよびその受容体のC一 皿ばのmRNAレベルをノザンプロット法およびドットプロット法を用いて測定,解析した。 その結果・肝掛こおいてOValo畑が増生する時期にはHGFおよびc-metmRNAの発現は 著明な上昇を示したが,前癌病変の発育との関連性はみられなかった。また,肝細胞痺に おいてHGFおよびc-metの過剰発現はみられなかった。このことから,HGFおよびc-met は正常肝細胞およびov山α皿の増殖に関与するが,前癌性および腫瘍性肝細胞には関与し ないことが示された。 本研究により,ラットの実験的肝発癌モデルを用いて,前療病変および肝細胞痺におけ る特異的酵素および増殖因子の発現について分子病理学的に検討し,前療病変および腫瘍 性病変の発育との関連性を明らかにした。今回の研究成果は,ラットを用いた痺原性試験 により医薬品など化学物質の発癌リスクを評価する上で,その確度を高めるために重要な 役割を果たすであろう。さらに発癌メカニズムの解明のためにも大きく寄与すると考えら れた。 審 査 結 果 の 申請者はエーザイ株式会社安全性研究所において,げっ歯類を用いた医薬品の癌原性試 験などでみられる腫瘍性病変の病理組織学的検査を通し,ラットの発癌過程にみられる中 間的病変としての前療病変の生物学的特性をより明らかにする必要性を痛感し,この研究 に取り組んだ。 1・グルタチオンS小ランスフエラーゼーPおよびY-グルタミルトランスフエラーゼ mRNAの発現および分布 Solt-Farberモデルによりラットの肝臓に前療病変である変異細胞巣および腫瘍性結 節を誘発し・Y-グルタミルトランスフエラーゼ(Gのに対する組織化学およびグルタチ オンS小ランスフエラーゼーP(GST-P)mRMに対するh"1[uハイプリダイゼーショ ン(ISH)を行ったQその結果,比較的小型の細胞巣および結節においてGGTの発現が 消失し・GGTが消失した病変め一部においてGST-PmRNAの発現が低下あるいは消 失することを見出した0また・肝細胞癌においては,GST-PmRNAの発現の程度は高 かったが・GGTmRNAの発現は多様であった0このことから,ラット肝発癌の全過程

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-207-においてGST-Pは蛋白レベルのみならず,mRNAレベルにおいても前席病変および腫 瘍性病変の安定したマーカーセあることが示された。さらに,ラット肝臓の前療病変の 発育は,GST-PおよびGGTの持続的な発現と関連性があると考えられた。 2.肝細胞増殖因子に関する産生細胞の同定および分布 ラット肝臓の発癌モデルを用いて,前療病変が発育する時期の肝組織における肝細胞 増殖因子(HGF)産生細胞の分布を免疫組織化学およびISHにより検索した。その結束, HGF産生細胞は,前療病変の内部にはほとんど存在せず,病変周囲の肝実質に多数認 められた。このことから,HGFは前療病変における変異肝細胞の増殖には関与してい ないと考えられた。 3.肝細胞増殖因子およびc-metmRNAの発現レベルの推移 ラット肝発癌過程におけるHGFおよびその受容体であるC-metのmRNAレベルを ノザンプロット法およびドットプロット法を用いて測定,解析した。その結果,肝臓に おいてOValce11が増生する時期にはHGFおよびc-metmRNAの発現は著明な上昇を 示したが,前療病変の発育との関連性はみられなかった。また,肝細胞痺において HGFおよびc-metの過剰発現はみられなかった。このことから,HGFおよびt-met は正常肝細胞および飢血cellの増殖に関与するが,前癌性および腫瘍性肝細胞の増殖に は関与しないことが示された。 本研究により,ラットの実験的肝発痛モデルを用いて,前療病変および肝細胞痺におけ る特異的酵素および増殖因子の発現について分子病理学的に検討し,前療病変および腫瘍 性病変の発育との関連性を明らかにしたことは高く評価される。今回の研究成果は,医薬 品など化学物質の発癌リスクを評価する上で,その確度を高めるために重要な役割を果た すであろう。さらに発痺メカニズムの解明のためにも大きく寄与すると考えられた。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値あるものと認めた。

参照

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