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表面含浸材を用いたコンクリートのスケーリング抵抗性の改善

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Academic year: 2022

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表面含浸材を用いたコンクリートのスケーリング抵抗性の改善

八戸工業大学 ○学生会員 渡邊 浩平

八戸工業大学大学院 学生会員 祐川 真也

八戸工業大学 正会員 迫井 裕樹 八戸工業大学 正会員 阿波 稔

1.はじめに

近年,積雪寒冷地域では,冬季路面の安全性確保 のため、塩化物に由来する凍結防止剤が大量散布さ れており,コンクリート表層部におけるスケーリン グの発生や塩化物イオンの浸透による鉄筋腐食が懸 念されている.また,寒冷地域においても高炉セメ ントの普及が進められているが,高炉セメントを用 いたコンクリートは普通セメントを用いたコンクリ ートと比較して,スケーリング量が多いことが指摘 されている 1).一方で,コンクリート構造物の物質 移動抵抗性の改善や劣化防止を目的とした種々の表 面含浸材が開発されている.

そこで本研究では,4 種類のけい酸塩系表面含浸 材を用いたコンクリート,特に高炉セメントコンク リートのスケーリング抵抗性の改善,および表層透 気試験によるその改善効果を簡易的に評価すること を目的とし,実験的な検討を行った.

2.実験概要

2.1使用材料および配合

本実験に用いたセメントは、普通ポルトランドセメ ン ト(密 度 3.16g/cm3)と 高 炉 セ メ ン ト B 種 (3.14g/cm3)の二種類を使用した。細骨材として石灰 岩細砂(密度2.69g/cm3、F.M.2.59、吸水率0.89%)、

粗骨材として石灰岩砕石(密度2.69g/cm3、F.M.7.59、

吸水率 0.41%)、混和剤としてアニオン系界面活性

剤を主成分とするAE剤を使用した。基準とするコン クリートの示方配合を表‐1 に示す。配合は、水セ メント比を60%一定、空気量5±0.5%、スランプ8±

1cmとした。本研究では 4種類のけい酸塩系表面含 浸材(X, J, C, T)を用いた。含浸材の特徴を表-2

に表わす。

表‐1 示方配合表

表-2 表面含浸材の一覧 表面保護材料 主成分

含浸材X 普通ポルトランドセメント シリカサンド

触媒性化合物

含浸材J 含浸材Xの上澄み液 含浸材T けい酸ナトリウム 含浸材C けい酸ナトリウム

2.2実験方法と養生 1) 供試体の作製

供試体は、220×220×80mm の平板供試体とし、試 験面を200×200mm の側面とした。供試体を材齢 28 日まで水中養生後、恒温室(20℃・60%RH)で2日間の 乾燥を行った。その後,表面含浸材C、表面含浸材T は含浸材を塗布した後、2日間の散水養生と28日間 の水中養生行い、さらに14日間の気中養生後にスケ ーリング試験を開始した。表面含浸材 C、表面含浸 材Tは表面含浸材を塗布し、14日間の気中養生後に 試験開始とする。また、含浸材を使用しない無塗布 の供試体は,28日間の水中養生後,試験開始とする。

2) スケーリング試験

スケーリング試験は,ASTM C 672に準拠して行っ た。温度サイクルは自動制御とし、試験水にはNaCl

W/C s/a

(%) (%) W C S G 60 42 170 283.3 779 1076

単位量(kg/m3) AE剤

C×0.035

キーワード:コンクリート、耐久性、表面含浸材

連絡先:青森県八戸市大字妙字大開88-1 八戸工業大学 環境建設工学科 TEL0178-25-8076

V-3

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

(2)

3%水溶液を用いた。

3)表層透気試験試験(トレント法)

コンクリート表層部をポンプにて真空状態にし、

その後、内部の気圧がどれぐらいの時間で上昇する か測定しKT値(透気係数)を求める。

3.実験結果及び考察 1)スケーリング試験結果

普通ポルトランドセメントおよび高炉セメント B 種を用いたコンクリートのスケーリング試験結果を 図-1および図-2に示す。これらの結果より、表面含 浸材を用いたコンクリートは無塗布の場合と比較し て、スケーリングを抑制する効果が見られた。特に,

含浸材Tについては高炉セメントコンクリートを用 いた場合であっても,スケーリングはほとんど発生 しなかった.高炉セメントは溶出性の高い不安定炭 酸塩相が表層部にあるため、スケーリング劣化を起 こしやすいことが指摘されており,表面含浸材の改 質効果によってコンクリート表層部が緻密化され,

結果としてスケーリング抵抗性を向上させたものと 考えられる.

2)表層透気試験結果

普通ポルトランドセメントおよび高炉セメント

を用いたコンクリートの表層透気係数とスケーリン グ量の関係性を図-3に示す。これらの結果より、表 面含浸材の使用により,いずれのコンクリートにお いても表層透気係数が低下する傾向にあることが確 認される.そして,表面含浸材を塗布したコンクリ ートの表層透気係数とスケーリング量はよい対応関 係にあることが確認される.このことから,表層透 気係数を指標として,表面含浸材によるスケーリン グの抑制効果を簡易的に評価できるものと推察され る.

4.まとめ

けい酸塩系表面含浸材によるコンクリートのスケ ーリング抵抗性の改善に関する検討を行った結果,

本実験の範囲内で以下のことがいえる.

1)けい酸塩系表面含浸材の改質効果により,高炉セ メントを用いたコンクリートの場合であってもスケ ーリング抵抗性を改善できることが分かった.

2)表面含浸材を使用したコンクリートの表層透気係 数とスケーリング量は対応関係にあり,表層透気係 数を指標としてその抑制効果を簡易的に評価できる ものと考えられる・

今後,表面含浸材の長期的なスケーリング抑制効 果も含め,さらにデータを蓄積する所存である.

参考文献

1) 岩城一郎・子田康弘・上原子晶久・諸岡等:塩 分環境下における高炉セメントを用いた蒸気養 生コンクリートのスケーリング抵抗性に関する 研究,第21巻,第3号,pp.23-30,2010

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

0 10 20 30 40 50

ーリ(kg/m2)

サイクル数 無塗布(普通)

含浸材X(普通) 含浸材J(普通) 含浸材C(普通) 含浸材T(普通)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

0 10 20 30 40 50

ーリ/m2)

サイクル数 無塗布(高炉)

含浸材X(高炉) 含浸材J(高炉) 含浸材C(高炉) 含浸材T(高炉)

図-2 スケーリング試験結果

(高炉セメント)

図-1 スケーリング試験結果

(普通ポルトランドセメント)

0 0.05 0.1 0.15 0.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

N 含浸材X(普通) 含浸材J(普通) 含浸材C(普通) 含浸材T(普通) N(高炉B) 含浸材X(高炉B) 含浸材J(高炉B) 含浸材C(高炉B) 含浸材T(高炉B) 表層透気係数(×10-16m2

スケーリング量(kg/m2)

図-3 透気係数とスケーリング量の関係性

土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度)

参照

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