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聽覺に於ける骨傳導に關する研究

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Academic year: 2022

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(1)聽 覚 に 於 け る 骨 伝 導 に 関 す ろ研 究. 1125. 聽 覺 に 於 け る 骨 傳 導 に 關 す る研 究 第. 一. 編. 骨 導 聽 力 に 及 ぼ す 外 聽 道 口 閉塞 の影 響 に 就 い て 岡山大学 医学部 生理 学教 室(主 任 林 中. 根. 香苗 教授). 喬. 〔昭和27年4月15日. 受稿 〕. る が,2000振 Ⅰ. 緒 骨 伝 導 の 際,振. 言. が 起 ら な い 事 を 観 察 し て い る.又 他 方 音 の 空. 動 が 内 耳 に 達 す る経 路 に つ. い て は 古 来 種 々 の 説 が あ り一 定 し て い な い が,Pohlman並 Giraud2)等. 動 以 上 の 高 音 で は,閾 値 の 変 化. 気 伝 導 の 際 に も,伝. 音 系 に 障 碍 の あ る時,. 2000振 動 以 下 の 低 音 で は 気 導 可 聽 閾 値 が 上. びAubry並. に. り,そ れ以 上 の 高 音 で は 閾 値 の 変 化 は 余 り起. は 外 聽 道 口 を 塞 ぐ と,2000振. 動. ら ず,高. にKranz1),及. 以 下 の 低 音 で は 骨 導 可 聽 閾 値 の 下 降 が 見 られ. 音 は 鼓 膜,聽. 小 骨 を 余 り経 ず に,骨. 道 に ょ り直 接 内 耳 に 達 す る との 説 が 古 くか ら.

(2) 1126. 中. 根. あ る,従 つ て 骨 伝 導 の 際 に も,低 音 は 鼓 膜, 聽 小 骨 も関 係 が あ る が,2000振 は 鼓 膜,聽. 動以 上 の 高 音. 小 骨 に 関 係 な く,直 接 内 耳 に 骨 導. 喬. 第1表. 正常骨導可聽閾値 と外聽道 口を 塞 いだ時の骨導可聽閾値の差を dbに て 示 す.数. 値 の 大 な る程 外. に よ う て 振 勘 が 伝 え ら れ る の で あ ろ う との 説. 聽 道 口を 塞 い だ 時 の 骨 導 可 聽 閾. が あ る.. 値 が低 い 事 を 示 す.. 然 るに 橋 本3)は 近 代 式精 密 電 気 聽 力 計 を 用 い て 気 導 聽 力 を検 査 す る と,伝 音 系 障 碍 の あ る者 の 多 くは,全. 音 域 に 聽 力 低 下 が 見 ら れ,. 又 却 つ て 高 音 域 に 主 と し て 聽 力 低 下 の あ る場 合 が 屡 々 あ り,低 音 域 に の み 聽 力 低 下 の 認 め られ る者 が 少 い 事 を 報 告 し て い る.す か ら言 わ れ て い た 様 に,高. る と昔. 音 は骨 導 に よつ で. 内 耳 に 振 動 が 伝 搬 され る とい う説 は 疑 わ し く な る.従 つ て 骨 導 の 際 に,低. 音 と高 音 と で 音. の 伝 達 形 式 に 相 違 が あ る とい う推 論 の 根 拠 が 薄 く な る と思 わ れ る.そ の 上,此 の 食 い 違 い は,聽. 力 計 の 完,不. の実験 成 績. 完に あ るら し. い の で,骨 導 検 査に も橋 本 の 用 い た 様 な近 代 式 聽 力 計 を 使 用 す れ ば,或. は 外 聽 道 口閉 塞 に. ょ る骨 導 可 聽 閾 値 に,Pohlman1)等. が認め た. 昔 範 回 の 差 別 が な くな る か も知 れ な い.す. る. と,音 の 高 低 に よ り骨 導 伝 音 形 式 に 差 異 が あ る とい う説 に 対 す る此 の 方 面 の 実 験 的 根 拠 が ぐ ら つ く と考 え て本 実 験 を 始 め た. Ⅱ. 實 驗 方 法 17〜35才 て,2‑A型. の健康 な聽力 の 正 常 な 者 につ い オ ー デ ィオ メ ー タ ー に よ り,骨 導. 子 を 乳 様 突 起 に 当 て ゝ外 聽 道 口 を 塞 い だ 時 と 塞 が ぬ 時 の 骨 導 可 聽 閾 値 を検 べ た.外 聽 道 口 を 塞 ぐに は 指 を 以 つ て し,他 側 の 耳 は 何 等 の 処 置 を 施 さ な か つ た. 第1図. 外 聽 道 口 を開 放 した ま ゝの 時 と閉塞 し た 時 の 骨 導 可聽 閾値 の 差 をdbで 示 す.図 の. Ⅲ. 實 驗 成 績 C3以. 下 の 低 音 で は,外. 聽 道 口を 塞 ぐ と 著. 明 に 骨 導 聽 力 は増 加 し,5〜15db平. 均 約10db. 上 方 程 ・外 聽 道 口 を塞 い だ 時 の 閾 値 が 低 い 事 を示 す.可 成 リ個 人 差 が あ り,各 例 の 値 を点 〓 して 示 した.○‑○ は之等例 の値 の平均 値 を示 す.. の 骨 導 可 聽 閾 値 の 下 降 が見 ら れ た(第1表, 第1図).C4で. は 外 聽 道 口閉 塞 に ま る骨 導 聽. 力 の 増 加 は 稍 々 少 く な つ た が,な 5dbの 閾 値 の 下 降 が 見 ち れ た.然 C6の. お平均約 るに,C5〜. 高 音 で は,或 者 で は 外 聽 道 口 閉 塞 に ょ. り骨 導 可 聽 閾 値 の 下 降 が 見 られ(第2図).或. 者 で は 逆 に 上 昇 を 示 し た(第3図).干. 均 は従. 来 言 わ れ て い る如 く外 聽 道 口を 塞 い だ 時 と塞 が ぬ 時 の 骨 導 可 聽 閾 値 の 差 が 殆 ん ど 認 め られ な い(第1図).C5,. C6で. 外 聽 道 口 を塞 い だ. 時 に 却 つ て 閾 値 の 上 昇 が 見 られ た の は,骨 導.

(3) 聽覚 に於 け る骨伝 導 た 関 す る研究. 1127. え る 時 は,外 聽 道 口の 閉 塞 に よ り音 が た き く 聞 え る様 で あ るの で,之. 等 高 音 も全 く鼓 膜,. 聽 小 骨が 関与 してい な い とは言 え ない様 に思 わ れ る.之 等 高 音 も低 音 と 同様,骨 膜,聽. 伝導に鼓. 小 骨 に よ る振 動 の 内 耳 へ の 伝 達 も関 係. が あ るが,可. 聽 閾 値 を 検 べ る 時 に は何 等 か の. 理 由 で,外 聽 道 口 を塞 い だ 時 と塞 が ぬ 時 の 骨 第2図. こ の 例 で はO5, C6の 高 音 で も外 聽 道 口 を塞 ぐ事 に よ り骨 導 可 聽 閾 値 の 下 降 が 見 ら れ た.. 導 可 聽 閾 値 の差 が 認 め られ な く な る の で は な い か と 思 わ れ る.而. し て こ の 原 因 は,或. い. は 鼓 膜 張 筋 の 影 響 に よ る もの で は な い だ ろ う か. 加 藤4)は 猫 及 び家 兎 に 就 い て実 験 し,非 常 に 弱 い 音 を 作 用 させ る 時 は 聽 小 筋 は静 止 し て い る が,或. 強 さに な つ て先 づ 鐙 骨 筋 の 反 射 的. 攣 縮 が 起 り,刺 戟 の 高 さ を 増 す と初 め て 鼓 膜 張 筋 が 反 射 性 の攣 縮 を 起 す.同. じ高 さ で 強 さ. を増 す 時 も攣 縮 は 初 め 鐙 骨 筋 に 限 られ,刺 戟 第3図.. この 例 で はC5,C6の. 高音で 外聽 道 口 を. 塞 ぐ時,逆 に骨 導 可 聽 閾 値 の 上 昇 が 見 られ た.. 子 の不 完 全,実. 験 技 術 の 未 熟 等 に よ る誤 差 か. も知 れ な い が,若. 年 者 に 多 く見 られ る傾 向 が. の 強 さが 或 程 度 に 増 し て 初 め て 鼓 膜 張 筋 が 攣 縮 し始 め る 事 を 報 告 し て い る. 高 音 で は 刺 戟 の 強 さが 可 成 り大 き い 時 は, 鼓 膜 張 筋 の攣 縮 に よつ て鼓 膜 が 緊 張 させ ら れ て い る の で,高. あ る様 で あ る. しか し,何 れ の被 検 者 も,可 聽 閾 値 附 近 の. 音 の 伝 導 が 良 好 で あ るが,刺. 戟 が 弱 くな る と,鼓 膜 張 筋 の緊 張 が 取 れ て 鐙. 様 な 弱 い 振 動 で な く,可 成 り強 い振 動 を与 え. 骨 筋 の 攣 縮 の み残 る為,鼓. てお くと,C5,C6の. 緩 み,そ. 高 音 で も外 聽 道 口閉 塞. 膜 の緊 張 が急 激 に. の 為 に 弱 い 音 の 伝 導 が 急 に 悪 くな り,. に よ り明 か に 音 が 大 き くな る感 じが 起 る と言. 刺 戟 音 の 強 き の減 少 よ り も聽 力 低 下 の 方 が 急. つ て居 る.. 激 に 起 り,外 聽 道 の 開 閉 に よ る可 聽 閾 値 の 変 化 は 殆 ん ど認 め られ な く な る も の で は あ る ま. Ⅳ 従 来Pohlman並. 考. 察. にKranz1),. 言 つ て い る様 に,音. い か と思 わ れ る. Aubry2)等 が. の 骨 伝 導 の 際 は,一 般 に. 又,C5,C6の. 高 音 で 若 年 者 に 外 聽 道 口を. 閉 ざ した時 の骨導 可聽 閾値 の上 昇 が 見 られ る. 2000振 動 以 下 の 低 音 で は 外 聽 道 口 を 塞 ぐ と. 傾 向 が あ る様 で あ る が,若. 骨 導 可 聽 閾 値 は 下 るが,C5,C6の. の 働 き が 良 好 で あ る為 に か ゝる 成 績 が 見 られ. 高 音では. 外 聽 道 口閉 塞 に ょ る骨 導 可 聽 閾 値 の移 動 は 殆 ん ど認 め られ に い 様 で あ る.C5,C6の. で な い.骨 導 子 の 不 完 全,実. の理 由 は 明 か. 験 技術 の未 熟等. に よ る誤 差 か も知 れ な い が,若. 年 者 に 多 く見. られ る傾 向 が あ る様 で あ る の で,或. は鼓 膜 張. 筋 の働 きに よ つ て 起 る も の か も知 れ な い. しか し,C5以. る も の で は あ る まい か と考 え られ る.. 音で. は外 聽 道 口閉 塞 に よ り却 つ て逆 に 骨 導 可 聽 閾 値 の 上 昇 す る も の が あ つ た.こ. 年 者 で は 鼓膜 張 筋. 上 の 高 音 で も強 い 振 動 を 与. Ⅴ. 總. 括. 骨 伝 導 の 可 聽 閾 値 を2‑A型 オ ーデ ィオ メ ー タ ー に て 検 査 し,外 聽 道 口を 指 に て塞 い だ 時 と塞 が ぬ 時 との 閾 値 を 比 較 し た.. 従来言われている様た,骨 伝導の可聽 閾値 は 外 聽 道 口を 塞 ぐ と き,C4(振. 動 数2048)以. 下 の 低 音 で は 閾 値 の 下 降 が 見 ら れ た が,C5. ,.

(4) 1128. C6の. 中. 根. 高 音 て は 閾 値 に著 明 な 差 が 認 め ら れ な. か つ た. し か し,C5,C6の. 小 骨 が 幾 分 か は 関 与 し て い る 事 を 示 す もの と 思 わ れ る.然. 高 音 で も刺 戟 音 の 可 成. り強 い 時 は 外 聽 口閉 塞 に ょ り音 を 大 き く感 ず る.こ の 事 は,C5,C6の. 喬. 高 音 で も 鼓 膜,聽. る に 閾 値 を 検 べ る時 に は そ の 差. が 見 ら れ な く な る の は,鼓. 膜 張 筋の影 響 にょ. る も の で は あ る ま い か と思 わ れ る..

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