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博 士 ( 理 学 ) 後 藤 俊 一

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 後 藤 俊 一

学 位 論 文 題 名

Generalized motion of hyersurfaces whose growth speed   depends superlinearly on the curvature tcnsor

( 曲率 テン ソルに 関し て優 線形 な成 長速度をもつ超曲面の広義解)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  平 均曲率 流方 程式に したが う超曲 面に関 する 研究は )極小 曲面の 問題 などの 幾何学 的興味 のほかに、自然現 象 として しぱし ばあら われ る界面 の研究 とも関 連し て,多 くの研 究者に よって おこ なわれ てきた 。しかし、初 期 曲 面 が 滑ら かであ っても 有限時 刻で 特異性 があら われて しまう こと は早く から知 られて おり ,実際Grayson は 空 間3次元 の場合 にそ のよう な例を 構成し た(Duke Math. J., 1989年 )。こ のこ とは, 任意に 初期曲 面を与 え たとき に,( 特異性 のあ らわれ る時刻 をこえ て) すべての成長を記述するためには,なんらか方法によって広 義 解を考 える必 要があ るこ とを云 ってい る。

  時 刻t〉 −Oを パ ラ メ ー タと し て も つ,N次 元 ユ ー クリ ッ ド 空 間RNの 超 曲 面 をr(t)とす る ( あ と で 定義 す る 広義解 では, かなら ずし も超曲 面であ る必要 はな い)。r(z)の外向 き単位 法線ベクトルを而,成長速度の外 向 き法線 方向成 分をレ とす るとき ,我々 の考察 する 方程式 は

レ = ア (而I▽めon r(t),t冫0 (1)

で あ る 。た だ し ,/倣与 えられ た関数 で,こ こで は連続 関数と 仮定す る。 法線ベ クトル 龕はr(t)の近傍 に,法 線 方 向 に一 定 で あ る よう に 拡 張 さ れ てい る と す る 。そ れ ゆ え , ▽而 は 通 常 の 意味 で の龕のRNにお ける導 関 数で ある 。′=‑div n/(Nー1)のと き,(1) は平均 曲率流 方程 式と呼 ばれる 。初期超曲面roを任意に与えて,

(1)と 初期条 件     PG)lt=o=r0  (2)

を 満 た す 解 ( 超 曲 面 の 族 ){rG)lt冫oを 求 め る こ とは , も っ と も 基本 的 か っ 重 要な 問 題 の ー っで あ る 。     き きに述 べたよ うに ,滑ら かな時 間大域 解は 平均曲 率流方 程式に 対して さえ 一般に は期待 できな い。これ を解 決す るため に筆者 らはI平均 曲率流 方程式 を含 む一般 の方程式(1)に対して新しい広義解の概念を導入し,

初 期 曲 面roが 有 界で, (1)が退 化放 物型か っ′が 曲率テ ンソル ▽而 につい て線形 の場合 に, 広義解 の一意 的 かっ 時間 大域的 存在を 証明し た(J. DiffrentialGeom. ,1991年 )。

    我 々がー 般的な 方程 式を考 察する のは, それ によっ て問題 の構造 が明解 にな るとい うだけ でなく ,例えば Gllrtinの提 唱する 二相 熱力学 のモデ ル方程 式

    朋Mレ 〓−( 茎轟器 鰰+。 )  (3)

のよ うな ,非等 方的な 現象を とりあ っか うため でもあ る。た だし ,pは 正値 関数, ロ倣正 斉次一 次関数 ,cは定 数と する 。

(2)

    こ こで我 々の いう広 義解はIっ ぎのよ うな考 えか たで定 義する ( 等 高面の 方法 と呼ぶ)。RN上の実数値 連続関数uを

    r(め=tヱERN;u(t)z)〓O),D(t)=tエERN;u(t,ぞ)冫0)  (4)

を満たすものとする(D(t)はr(t)によって囲まれる領域である)。このとき,tr(t))金0が(1)ー(2)の解であ るためには,関数uが初期値問題

    叫十F(▽ ,▽2LI)〓0in(0,oo)×RN,(5)     u(O,x)=a(x)  forzEび  (6)

を満たさなくてはならないことは容易にわかる。ただし,F(pIX)は

    F(p,X)=‑lplア (‑p, ‑Q X )/lpl) ( 戸=pノlpl) , Qq(X)〓(I ‑g〇q)X(J‑g○g) で 定 義 す る(p ̄0で値 が 定 義 さ れ てい な いこ とに注 意すぺ きであ る)。roが有 界の場 合,初 期デ ータa(z)は I'o〓t¢ERN; a(x)〓0),Do〓t¢モRN;a(2)冫0)を 満たす 連続関 数で, ある定 数aく0に対し て,a(2)‑a の 台 が コ ン パ ク ト で あ る よ うに と る ( こ のこ と をaE Ka(RN)と 書 く )。(5)は ▽u=0に 特 異性 を も つ 退 化 放 物型方 程式で ある。(5)―(6)の 粘性解uEKa([O,T]xRN)(VT冫0)に対して,(4)で定まるtF(t))t≧0を,

我々は(1)―(2)の広義解と定義する(もちろん,tr(t))t≧。がa(ヱ)の選びかたによらないことを示さなくては ならない)。この広義解の範疇では,r(t)はもはやRNの超曲面である必要はない。

  粘 性解 を ー 言 で 云うと ,非線 形退 化放物 型方程 式に対 してI解の 比較定 理の 成り立 っよう な弱解 であ る。比 較 定 理 は 解の 一 意 性を 導くど 同時にIア プリオ りな一 様評 価を与 えるの で,解 の存 在証明 にも応 用され る。′

が ▽冠に っいて 線形の 場合に はI F(p)X)は (p,X)=(0,〇)で連続に延長できたので, (5)の粘性解に対して 比較定理が成り立った。

  本 論文 で 筆 者 は ,成 長 速 度 を 与 える 関 数ノ が曲率 テソソ ルに関 して優 線形 な場合 に,先 にえた 結果 を拡張 し た 。 こ れは(3)で云 う と ,pがレ に よ っ て いる 場 合 に 相 当 する 。 と こ ろ が, ´ が ▽ 冠にっ いて 優線形 の場 合 に は,Fは (p)X) 〓 (O, 〇 ) で 連 続 に 延 長 で き な い 。 例 え ぱf=−(div n)3の 場 合 に 計 算 す る とI     F*(O,〇)=―oo)F.(01〇)‑ oo

と な っ て しま う 。 た だ し, 凡 はFの 下半 連 続 拡 張 ,F゛ は 上 半 連続 拡張で ある。 このよ う場 合には ,(5)の勝 手 な粘性 解に対 しては ,比較 定理 が一般 に成立 しない 。そ こで本論文では,関数の等高面の 成長速度 という 概 念 を 導 入しI有 限 な 成長 速 度 を も っよ う な(5)の粘性 解に対 して 比較定 理を証 明した 。有限 な成 長速度 をも っ という 仮定は ,′が ▽而に っい て線形 の場合 には自 動的 に満た されて おり, 連続な 成長 法則に よって 成長す る曲面を考察するという我々の問題においては自然である。

    解 の存在 に関 しては ,粘性 解の理 論で はぺロ ンの方 法を用 いて構 成す るのが 自然で ,先に えた 結果はこの 方 法にし たがっ ていた 。我々 の問 題の場 合,構 成した 粘性 解に対 して比 較定理 を適用 する ために は,そ れらが 有 限な成 長速度 をもっ ていな くて はナょ らない が,従 来の 方法によってえられたものでは,その成長速度を直接 評価することは出来なかった。そこで本論文では・

    凡(pjX)〓(F(p,X)八klpl)V(‑klpl),k=l,2,…

95 ‑

(3)

とおき,(5)―(6)のかわりに,近似された初期値問題     ut十耳(▽¢,▽2 LLh)=0  in (0,00)xRN,(7)     Uk(0,x)=a(x)  forzERl丶r(8)

を考えた。Fk(p】ズ)は(p,X)にっいて連続関数なので,これは既に解決されている場合にあたる。っまり,

(7)―(8)の 粘性 解に っい て は比 較定 理が (無 条 件に )成 り立ち ,解はぺロンの方法で構成さ れる。

  解の構成方法を復習して比較定理を用いれぱ.成長速度は球対称解の場合に評価しておけぱ十分なことが わかる。筆者はI (7)の球対称解の成長速度を具体的に評価し,しかもそれが七に無関係なことを示した。こ の こ と と 粘 性解 の安 定 性定 理に よっ てI近似 解ぴ が(5)−(6)の解uに 収束 する こ とが 証明 され る。

  本論文では,第ー節で我々の問題を定式化するとともに,問題の背景や最近の結果にっいて概括した。第二 節では 成長速度 の概念を導入し,広義解を定義して主定理を述べた。主定理の証明は第三節以降で述べた が,それは大きく四つに分けられる。第三節では読者の便宜をはかって粘性解の定義を述べ,いくっかの予備 定理を証明した。比較定理の証明は第四節で完了する。ただしIそのなかである幾何学的補題を用いたが,そ れは本論文の主題とは異なっているので第六節に補足として置いた。最後に.第五節で枯性解の存在定理を証 明した。

(4)

学位論文審査の要旨

主 査    教 授    儀 我 美 一

副査    教 授    上見練太郎 副査    教 授    久保田幸次 副 査    教 授    岡 部 靖 憲 副 査    教 授    岸 本 晶 孝

学 位 論 文 題 名

" Generalized  mat i on  of  hypers urfaces

    'r,hose grolvth speed depends

    superlinearly on the curvature  tensor

〔曲率テンソルに関して優線形な成長速度をもつ超曲面の広義解冫

物質 の 2 相を 隔て る界 面の 運動は 、非 平衝 ・非 撮形 の現象として学際的な関心を集

め て い る 。 焼 き な ま し に よ っ て 純 金 属 を 作 る 過 程 で み ら れ る 柆 界 の 助 き は 、 外 場 を 無 視 し た 粒 界 の 幾 何 学 的 形 状 の み に よ る と し て も よ い 。  こ の よ う な 界 面 の 運 動 を 紀 述 す .

る 方 程 式 を 、 曲 面 の 発 展 方 程 式 と よ ぷ 。 有 名 な 例 は 、 曲 面 の 法 線 方 向 へ の 成 長 速 度 が

平均曲率に等しい平均曲率流方程式である。   この種の方程式を厳密数学の立場から研 究することは重要である。

   解析 学で は、 与え られた初期曲面に対し曲面の発展方程式の解弦時間大域的に存在

するかということが、   まず問題になる。平均曲率流方程式による運動でも初期曲面が

たとえ滑らかでも、   バーベルがちぎれるように有限時間内で滑らかさを失ってしまう

ことがある。   したがって滑らかな曲面の範囲では大域的には解けない。   そこで特異点

を許すように解の概念を拡張しなけれぱならない。   この点に関して、   申請者らは、   曲

面 をあ る関 数の 等高 面とみなす、いわゆる等高面の方法を確立し、平均曲率流方程式

(5)

を 含 む 多 く の 曲 面 の 発 履 方 程 式 の 大 域 解 を た だ ひ と つ 構 成す る こと に 成 功し た 。    本 研 究 では 、 箸高面の 方法をさら に一般の 方程式に 適用でき るように 拡張した 。従 来 の理 論 で は成 長 速度 が 曲 率テ ン ソ ルに 1 次 的に依 存する場 合は扱え たが、そ れより 大 巻な 増 大 度を もっと きは、鍵と なる比較 原理が従 来の意味 の解に対 して成立 せず、

扱えな かった。    これに対 し、各等 高面が有限速度をもっという条件を導入することに より、   その性質をもつ解に限定することで比較定理を示した。   また、   このような解の 存在も示した。以前の結果の拡張になっている。

   比 較 定 理に 対 し、より 詳しく述べ る。等高 面の方法 では、未 知関数の 各等高面 が同 一 の曲 面 の 発展 方程式 に従って動 くことを 要請する 等高面方 程式とよ ぱれる偏 微分方 程式が 基礎にな っている 。    この方 程式性等高面に垂直な方向に拡散効果がない退化放 物形方程式である。   また勾配がゼロになるところに特異点がある。   このような特異退 化放物 形方程式 に対して は、ー般 に滑らか な大域解は望めず、微分できナよい弱い解の 概念が 必要であ る。  l  o 年前 にハミル トン・ヤコピ方程式に対して導入された連続性 し かな い 粘 性解 がここ でも重要で ある。本 研究の基 礎である 比較原理 とは、初 期値の 大小関 係がずっ と保存さ れている というも のである。、もとの曲面の発展方程式が本研 究のよ うな仮定 の場合、 等高面方 程式の特 異性が大きす ぎ、申請者らの以前の比較定 理が適 用できな い。本研 究では、 粘性解で あるだけでなく、    さらに各等高面のスピー ドにも制約を与えれぱ比較原理が成立することを示している。、

     このよ うな制限 をっけて しまうと 、等高面方程式に対して制限付きの解が一般の初 期値に対して存在するかという問題が生じる。   この点に対して本研究では、   もとの発,

展方程 式を近似 すること により、 解の構成 をしている。   この場合、近似の精度によら ずに等高面の速度が有限であることを示すのが鍵となる。

     以上申 請者は、 非線形偏 微分方程 式である曲面の発展方程式の解析の基礎となる、

等高面の方法におい`て著しい研究成果を挙げた。

     ナよお 学位綸文は、   このままの形で微分方程式の国際誌であるDifferential  and   Integral Equations に掲載されることが決まっている。

     審査員一同は、   申請者が博士(理学)の学位を受けるに十分な資格を有するものと

認める。

参照

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