博 士 ( 理 学 ) 佐 藤 秀 幸
学 位 論 文 題 名
Crustal and upper mantle resistivity structure in the southwesternmost part of the Kuril islandarCasreVe小dbymagnetoteuu血SOunmngs ( マ グ ネ ト テ ル リ ッ ク 法 か ら 推 定 さ れ た 千 島 孤 島
最 南 西 端 地 域 の 地 殻 お よ び 上 部 マ ン ト ル の 比 抵 抗 構 造 )
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
地 球内 部の 電気 的特 性 (比 抵抗 )を 推定 する 物理 探査 法の ひと つに マグネトテル リ ッ ク (MT) 法 が あ る 。MT法 は 地 表 に お け る電 場( 地電 流) と磁 場 (地 磁気 )の 時間 変動 を測 定し 、その解析から地 下の比抵抗分布を明らかにする方法である。従来 この 方法 は、 大局 的な地質構造や地 下資源を探査するために用いられてきたが、最近 では地球物理学的研究の立場から島弧一 沈み込み帯あるいは安定大陸下の下部地殻およ び上 部マ ント ルの 構造 探 査に も用 いら れる よう にな って きた 。特 に地 下数10kmとぃ う深 部構 造が 対象 となる場合、電磁 波の地中浸透の性質から長周期のデータが必要に なる 。こ の場 合で も、地下浅部の比 抵抗構造は短周期のデータから精度よく決定され てい なけ れば なら ない。従って、地 殻浅部から上部マントルまでの精度のよい比抵抗 構造 を得 るた めに は、短周期から長 周期にわたるより広帯域なデータを取得し解析を 行う 必要 があ る。 本研究では、周期O. 003‑7680秒にわたる超広帯域のデータを用い て、 千島 弧最 南西 端部に位置する北 海道東部地域の地殻浅部から上部マントルまでの 構造を明らかにすることを目的とした。
はじめに、地殻内の比抵抗構造を調査するため周期O. 003 ‑1820秒の帯域をカバーす るMT法に よる 高密 度観測を実施した 。測線は北北西一南南東の方向、すなわち千島島 弧の 走向 とほ ぽ垂 直に な るよ うに3測 線を 配置 した。なお、観測点数は合計31点であ る 。 測 定 は 磁 場3成分 およ び電 場2成分 の 時系 列デ ータ を観 測し た。 デ一 夕取 得は1 測点2日単 位で 行い 、周期0. 003〜O.125秒までを2時間、0.125 ‑1820秒までを15時 間計 測し た。 観測 デー タ に基 づく 構造 解析 は2次元比抵抗構造を仮定し、スタテック シフ ト補 正を 含ん だ平 滑 化制 約付 き最 小二 乗インバージョン法(Ogawa and Uchida, 1996)を適 用し た。 その結果、以下の特徴が得られた。(1)地殻浅部には盆状構造を
な す低比抵 抗層(数
‑10Q‑m
)が広範囲に厚く分布する(最大層厚5km
)。この低 比抵抗層の下底部は、地震探査反射法によって得られた強い反射面の位置とよく一致 す る。(2) 前弧側の 地殻中部から下部に高比抵抗層(5000 ‑1000Q‑m
)が存在す る。この高比抵抗層は最大+227mgalの正の重力異常を示す分布域とよく対応する。以上のように高密度にMT観測点を展開したことにより、地殻上部から中部にかけ て精度の高い比抵抗モデルを得ることがきた。しかし、下部地殻より深部構造に対し ては比抵抗モデルの信頼度が薄い。これは深さ方向に対して分解能が悪くなるとぃう
MT
法のもつ欠点に加えて、扱った周期帯の限界に大きく依存しているためである。次に、下部地殻から上部マントルの比抵抗構造の精度を高めるために、より長周期 のデータを解析に組み入れた。本研究では長周期帯のデータとして、ネットワーク
MT
法によって得られた周期300〜7680秒のデー夕(Uyeshima,1990)を用いた。この日 本 で開発さ れたネッ トワークMT法は、NTT
(日本電信電話株式会社)の電話回線 網を利用した長基線の電位差観測が長期間できるため、長周期のデータを使った平均 的な広域深部構造を得ることに適している。そこで、地殻浅部から上部マントルまで の 精度の高い構造を得るために、従来のMT法とネットワークMT
法で得られたデー タを組み合わせた比抵抗モデリングを行った。この両者の結合が従来にない、本研究 の大きな特徴のひとつである。その結果、(1)背弧側の地殻中部から下部に低比抵 抗層(10
〜30Q
.m
)が存在する、(2
)千島弧下の上部マントルは40‑100Q‑mを示 す 、 (3
) 太 平 洋 プ レ ー ト は700‑ 1000Q
.m
を 示 す 、 こ と が わ か っ た 。最後に、本研究で得られたモデルが島弧に共通して見られるのかどうかを考察する ために、東北日本弧および西南日本弧の比抵抗構造と比較した。東北日本弧はUtada
(
1987)
によって、下部地殻は低比抵抗(10〜 30n.m)を示すこと、太平洋プレートの 上面に薄い低比抵抗層(10Q‑m)が存在する、とぃう特徴が示されている。一方、西 南日本弧は塩崎(1993)によって、下部地殻は高抵抗(10000Q.m)を示すことが報告 されている。これら2つのモデルと比較すると、千島弧は東北日本弧と良く似た構造 を有していることがわかった。以上のことをまとめると、周期O. 003〜7280秒にわたる超広帯域のデー夕解析を行 い、千島弧南西端地域の地殻から上部マントルまでの精度の高い比抵抗構造を得た。
そして、東北日本弧および西南日本弧の比抵抗構造を比較すると、西南日本弧の下部 地殻が高抵抗であるのに対して、東北日本弧および千島弧は低比抵抗を示すとぃう違 いを明らかにした。
学位論 文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
西田 小山 笠原 新井田
泰典 順二 稔 清信
学 位 論 文 題 名
Crustal and upper mantle resistivity structure in the southwesternmost part otheKumiSlandarCasreVemedbymagnetoteuudCSOunmngs ( マ グ ネ ト テ ル リ ッ ク 法 か ら 推 定 さ れ た 千 島 孤 島
最 南 西 端 地 域 の 地 殻 お よ び 上 部 マ ン ト ル の 比 抵 抗 構 造 )
北 海 道 東 部 域 は , 千 島 弧 南 西 端 に 位 置 し て い る . こ の 地 域 は 現 在 の 太 平 洋 プ レ ー ト の 沈 み 込 み 帯 で あ る と 同 時 に , か っ て ( 新生 代 第 三紀 ) オ ホー ツ ク 古陸 が 西 進 にと も な って , ユ ーラ シアプ レート と衝突し た現場 にも位置 している .この ようにテ クト ニ ク ス の 観 点 か ら 見 て 極 め て 重 要 な 地 域 で あ る に も 拘 わ ら ず , 地 球 物 理 学 的 観 点 か ら 十 分 な 構 造 研 究 が な さ れ て き た と は 云 い が た い. そ こ で本 学 位 申請 者 は ,地 磁 気 ・ 地 電 流 法 ( マ グ ネ ト テ ル リ ッ ク 法 :MT法 ) を 用い て 地 殻浅 部 か ら上 部 マ ント ル ま で の 比抵 抗 構 造を , 詳 細に 推 定 する こ と を試 み た .
ま ず 申 請 者 は , 周 期 0.003〜 1820秒 に わ た る 広 帯 域 MT観 測 を 行 っ た . 観 測 点 数 は31に の ば る . 本 研 究 対 象 領 域 の 構 造 の2次 元 性 が ど の 程 度 保 証 さ れ る か を 確 か め る た め , 千 島 弧 に ほ ば 直 交 す る よ う に3本 の 測 線 上 に 観 測 点 を 配 置 し た 結 果 , 観 測 デ ー タ は 海 陸 の 分 布 , 地 質 構 造 の 不 均 質 な ど ,2次 元 性 を 乱 す 要 因 が 認 め ら れ る も の の , 大 略 は2次 元 構 造 解 析 に 耐 え ら れ る こ と が 確 認 さ れ た . 次に 申 請 者 は 観 測 さ れ た 時 間 変 動 磁 場 , 電 場 の ス ペ ク ト ル 解 析 結 果 を デ ー タ と し , そ れ ら の 逆 解 析 を 行 う こ と に よ り,2次 元 比抵 抗 構 造を 推 定 した . し かし な が ら, こ の 観測 で 得 ら れ た 変 動 周 期 範 囲 で は , 電 磁 場 の 表 皮 効 果 の た め , 下 部 地 殻 以 深 の 構 造 分 解 能 が 著し く 乏 しい こ と が判 明 し た. そ こ で申 請 者 はよ り 長 周 期の デ ー タを 取 り あっかう 目的 を も っ て , ネ ッ ト ワ ー クMTデ ー タ を 解 析 し た . ネ ッ ト ワ ー クMTと は , 最 近 わ が 国 で 独 自 に 開 発 さ れ た 方 法 で ,NTT電 話 回 線 網 を 電 場 測 定 用 ケ ー ブ ル と し て 用 い る こ と に よ り , 数 〜 数10 kmス ケ ー ル で の 電 場 測 定 を 可 能 に し て い る . 申 請 者 は 前 記 広 帯 域 MTデ ー タ に , ネ ッ ト ワ ー ク MTデ ー タ (300〜7280秒 ) を 加 え ,l0‑3〜 l04 秒と ぃ う ,超 広 帯 域の デ ー タ解 析 お よび そ れ に基 づ く 構 造解 析 を 行っ た . このよう に,
従 来 のMTデ ー タ に ネ ッ ト ワ ー クMTデ ー タ を 加 え , そ れ ら の 逆 解 析 を 行 っ た の は