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博士(工学)柴田義光 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)柴田義光 学位論文題名

Ni アルミナイド/ぱ Cr 複層皮膜による NiCr 合金の耐酸化性向上に関する研究

学位論文内容の要旨

    近 年、 ボイ ラー 、ガスタービンなどのエネルギー変換機器では高熱効率化と省   エネ ・炭 酸ガ ス排 出抑制などの環境保全の観点から、稼働温度が上昇しており、

  今後 、材 料の 使用 環境はますます苛酷になることが予想されている。従って、コ   ー テ ィ ン グ 層 に は よ り 一 層 の 耐 食 性 付 与 と 長 寿 命 化 が 望 ま れ て い る 。     Ni一Al系金 属間 化合物は、耐酸化性に優れた耐熱合金として期待され一部実用   化さ れて いる が、 本研究では、Ni―Cr合金への耐酸化性コーティング材としての   応用 につ いて 検討 した 。特 に、Ni、 めっ き後Alパ ック 処理( 高Al活量 )に より   NiZAl3を形成した後、熱処理を行うプロセスで、外層p―NiAl相と内層釘て:r相の   複層 構造 を有 する コーティング層が形成可能であることを見いだした。このプロ   セス はc丶り 、PvDに代表される他のコーティングプロセスと異なり、真空設備を   使用 せず 、ま た工 業的 に導 入が 容易 なこ とを 特徴としている。外層艸iA1相が安   定なA120ユ生 成に よっ て保 護さ れ、 さら に、 内層a℃r層がAl拡散 障壁 層と して   機能すれぱ、コーティング層の長寿命化が期待できる。

    第1章 は 、 工 学 的 背 景 およ ぴDINiAlをAlリ ザー バー 層と する 場合 の拡 散障 壁   層の研究開発の現状にっいてまとめ、本研究で提案した外層p刈iA1相と内層(r℃r   相 の 複 層 構 造 を 有 す る コ ー テ ィ ン グ 層 の 目 的 に つ い て 述 べ た ふ     第2章 ではNi―10〜40at%Cr合 金に 対し て、 上述の複層コーティングを形成す   るこ とを 試み 、cr濃度が20at%より高いNiセ合金に対してD一NiAl/(r℃rコーテ   イン グを 形成 させ ることに成功した。また、母材Cr濃度が20at%以下の合金の場   合 、 (Hr相 は 拡 散 に よ り 消 失 し た が 、Niメ ッ キ 前 にNiCr合金 母材 表面 にCr富   化処理を行うことで、同様のコーティングが得られた。

    第3章 では 、第2章の 酸化 試験 の結 果か ら、 この コー ティン グ層 の耐 酸化 性は   p一NiAl上に形成した保護的Alユ03皮膜の密着性に大きく依存することが明 らかと   なっ たこ とか ら、 耐酸 化性 向上 を目 的に 、第3元素添加による保護的Alユ03皮膜   の密 着性 の向 上と 、a一cr相の安 定化 にっ いて 検討した。特に、Ni−40cr合金に   対して多種の元素(10元素)を添加し、BlNiAl/(r℃rの複層構造を有するコーテ   イン グを 形成 した 。これらの合金について、大気中;1273Kで、2332.8ksまでサ   イク ル酸 化試 験を 実施した。サイクル酸化時の質量増加と表面スケールの剥離、

  等の 観察 から 、添 加元 素に より 、結 果は4つの グループに分類できることを明ら   かにした。(グループ1:酸化皮膜が剥離しないX〓Zr;・グループ2:初期にスケ   ー ル 剥 離 疑V,Re; グ ル ー プ3: 途 中 でス ケ ― ル 剥 離 の た め 質 量 低 下X=Rh,

(2)

Ru; グル ープ4:酸 化量 は増加傾向にあるが一部剥離X= Ir,Pt,Nb,Ta,Ti。)

  第4章 では 、aーCr層の 安定化 と表 面酸 化皮 膜の 剥離 抑制 を同 時に 達成 する こ とを目的として、Ni―40Cr―3Re合金及びCrと全率固溶体を生成する高融点金属で あるWを添 加し たNi―40Crー5wにそれぞれlat962rを添加した合金について酸化挙 動 を 調 べ た 。 この 結 果 、WとReはa一Cr層に 濃化 し、 酸化試 験前 後でa―Cr層 の 厚さ に変 化は 見ら れな いこ とから 、こ れら 元素 の添 加はa ‑Cr相の安定化に有効 であ るこ とが 確認 され た。Zrを添加しない場合、酸化量は酸化時間の経過に伴つ ていったん増加した後、スケールの剥離を伴って減少に転じる。Zr添加合金では、

酸化 試験 終了 時ま で放 物線則に従って増加し、酸化物スケールの剥離は見られな か った 。酸 化試 験後 の合 金表層 のEPMA分 析の 結果 をも とに 剥離 抑制 の要 因を 調 べた 結果 、Al203皮 膜は 試料表面だけではなくロ‑NiAl内部にペッグ状(凹凸)に 形 成し 、さ らにZrはAl203皮膜 と接 して ロ‑NiAlの 粒界 に偏 折し 、一 部は 皮膜 表 層直 下で 内部 酸化 して いる 状況が 確認 でき た。 この 分布形態がAl203皮膜の剥離 抑制にっながったと推定される。

  第5章で は、 保護 酸化 物のコーティング層からの剥離を抑制し、さらに、a一Cr 層 の安 定化 に対 するZrとReの複 合添 加効 果に っい て調 査し た。Zr添 加量 につ い ては、内部酸化が発生しない最適添加量を把握する目的で0. 1〜1. Oat96の範囲で 変化させた。その結果、Ni‑40Cr‑, 3Re合金にO.2at962r以上添加した場合、2400ks の酸 化時 間内 でい ずれ の合金も放物線則に従い、表面のAl203は、ロ‑NiAl内部側 に 食い 込む 形で 剥離 せず に存在 して おり 、そ の範 囲は 最大 で試 料表 面か ら39um であった。一方0. lat962rを添加した場合、短時間側では放物線則に従って重量 増 加を 示し 、2400ks酸化 試験後 もZrの内 部酸 化の 形態 は示 さず 、か つ表 面の 保 護酸 化皮 膜は 剥離 しな かった。このことから、本酸化試験時間範囲で、Zr添加量 は0.lat%が最適であることが示された。

  第6章 で は 、 第2章 か ら 第6章 の 結 果 を 基 に 、Niア ル ミ ナ イ ド7a一Cr複 層 皮 膜を 形成 させ たNiー40at. 96Crの 第3添加 元素 によ る皮膜剥離抑制メカニズムと a‑Cr層 の 拡 散 バ リ ア 能 に つ い て 論 じ 、 そ の 機 構 を 明 ら か に し た 。   第7章 で は 、Niめ っ き 後 に 高Al活 量拡 散処 理に より 形成 したNiZAl3皮 膜が 予 備熱 処理 また は高 温酸 化の 過程で 、p‑NiAl/a‑Crの 複層コーティングに変化する 過程 (自 己形 成コ ーテ ィン グ)を 見出 し、 そのNi‑Cr合金への耐酸化性コーティ ン グ と し て の 可能 性 に つ い て 検 討 し 、 そ れ を 実 証 し た 成 果 を 要約 して いる 。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授   成 教 授   大 教 授   大 教 授   黒 助 教 授  大

田敏夫 塚俊明 貫惣明 川一哉 笹憲一

学 位 論 文 題 名

Ni アルミナイド/ぱCr 複層皮膜による NiCr 合金の耐酸化性向上に関する研究

  近年、 ボイラー 、ガスタ ービンなど のエネル ギー変換 機器では 、高熱効率化と 省エネ ・炭酸ガス排出抑制などの環境保全の観点から、稼働温度が上昇しており、

材料の 使用環境 はますま す苛酷にな ると予想 される。 従って、 コーティング層に はより 一層の耐 食性付与 と長寿命化 が望まれ ている。

  本研究 では、Niめ っき後Alパ ック処理(高Al活量)してNi2Alユを形成した後、

高温で 熱処理す ると、外 層D一NiAl相と内層岱―Cr相の複層構造を有するコーティ ン グ層 が 自然 に 形 成す る こ とを 見 いだ し た 。この プロセスはCVD、PVD等に代 表 される 他のコー ティング プロセスで 必須の真 空設備等 を必要と せず、低コストプ ロセス であると いう特徴 を有する。 外層[3‑NiAl相は 保護的なAl203スケールを生 成 し、 内 層a―Cr層はAlの拡 散障壁層 としての 機能を有 することか ら、長寿 命・

高信頼 性のコー ティング が期待でき る。

  Ni−10〜40at%Cr合 金に対し て、上述 の複層コーティングを形成することを試み た結果 、Cr濃度が20at%より高いNi―Cr合金に対 してD一NiAl/a−Crコーティング を 形成 さ せる こ と に成 功 し た。 ま た、 母 材Cr濃 度が20at%以 下 の 合金 の 場合 、 a‑Cr相 は 拡 散 に よ り 消 失 し たが 、Niメ ッ キ前 にNiCr合金 母 材 表面 にCr富 化 処 理 を 行 う こ と で 、 同 様 の コ ー テ ィ ン グ が 得 ら れ る こ と を 確 認 し て い る 。   コーテ ィング層 の耐酸化 性はp一NiAl上に形成した保護的Al20ヨ皮膜の密着性に 大 きく 依 存す る ことが 明らかと なったこ とから、 耐酸化性向 上を目的 に、第3元 素添加 による保護的Al:0ヨ皮膜の密着性の向上と、a―Cr相の安定化にっいて検討 した。 特に、Ni−40Cr合金に対して多種の元素(10元素)を添加し、p−NiAl/u―Cr の 複層 構 造を 有 す るコ ー テ ィン グ を形 成 さ せた。 これらの合 金につい て、大気 中;1273K;2332. 8ksまでサイクル酸化試験を実施した結果、サイクル酸化時の質 量 増加 と 表面 ス ケール の剥離、 等の観察 から、添 加元素の効 果は次の4つのグル ープに 分類でき ることを 明らかにし た。

(4)

    グループ1:酸化皮膜が剥離しないX=Zr;     グループ2:初期にスケール剥離X=V,Re;

    グ ル ー プ3: 途 中 で ス ケ ー ル 剥 離 の た め 質 量 低 下 X= Rh,Ru;     グループ4:酸化量は増加傾向にあるが一部剥離X= Ir,Pt,Nb,‑ Ta,Ti。   aーCr層の安定化と表面酸化皮膜の剥離抑制を同時に達成することを目的とし て、Ni−40Cr−3Re合金及びCrと全率固溶体を生成する高融点金属Wを添加した Ni―40Cr―5Wにそれぞれlat%Zrを添加した合金について酸化挙動を調べた。この 結果、WとReはa−Cr層に濃化し、酸化試験前後でa−Cr層の厚さに変化は見ら れないことから、これら元素の添加はa―Cr相の安定化に有効であることを確認 している。酸化量は、Zr添加合金を除いて、酸化時間の経過に伴っていったん増 加した後、スケールの剥離を伴って減少に転じた。しかし、Zr添加合金では、酸 化試験終了時まで放物線則に従って増加し、酸化物スケールの剥離は見られなか った。酸化試験後の合金表層のEPMA分析の結果をもとに剥離抑制の要因を調べ た結果、Al203皮膜は試料表面だけではなくロ‑NiAl内部に食い込む形で形成し、

さらにZrはAl203皮膜と接してロ‑NiAlの粒界に偏折し、一部は皮膜表層の直下 で内部酸化している状況が確認している。この分布形態がAl203皮膜の剥離抑制 にっながったと推定している。

  保護酸化物スケールの剥離を抑制し、さらに、a−Cr層を安定させる効果を目 的に、ZrとReの複合添加効果にっいて調査した。Zr添加量にっいては、内部酸 化が発生しない最適添加量を把握する目的で0. 1〜1. Oat%の範囲で変化させた。

その結果、Ni−40Cr―3Re合金に0.2at%2r以上添加した場合、2400ksの酸化時間 内でいずれの合金も放物線則に従い、表面のAl203は、ロ‑NiAl内部側に食い込む 形で剥離せずに存在しており、その範囲は最大で試料表面から39Umであった。

一方O. lat%Zrを添加した場合、短時間側では放物線則に従って重量増加を示し、

2400ks酸化試験後もZrの内部酸化の形態は示さず、かつ表面の保護酸化皮膜は 剥離しなかった。このことから、Zr添加量はO.lat%が最適であることを明らか にしている。これらの結果から、著者はNiアルミナイド7a‑Cr複層皮膜を形成 さ せたNi―40at. %Crの 第3添加元素による皮膜剥離抑制メカニズムの解析と a−Cr層の拡散バリア能にっいて論じている。

  これを要するに、著者は、高Al活量拡散処理によりNi―Cr合金に形成したNi2Al3 皮膜は高温酸化の過程で自然にp一NiAl/a−Crの複層コーティングに変化する過程 を見出し、そのNi−Cr合金への耐酸化性コーティングとしての可能性にっいて実 証したもので、高温材料工学と腐食・防食工学に貢献するところ大なるものがあ る。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。

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