九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
見るに随ひて : 新古今集古寫本の二三
小島, 吉雄
https://doi.org/10.15017/2556535
出版情報:文學研究. 34, pp.43-60, 1945-03-30. The Kyushu Literary Society バージョン:
権利関係:
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猪熊信男氏が鎌倉期の新古今集篤本を持ってゐて︑而もそれには撰者名の書き入れがあるごいふこざは︑拙薪﹁新
古今和歌集の研究﹂にもしるしたこざであるが︑その後︑この本を仔細に調査するこざを得たから︑・その調査結果を
︑
ここに書きごめておかうご忠ふ9
この本は励縦五寸四分︑枇五寸一分ほざの桝型本で︑鳥の子の胡蝶装︑巻第十一から巻第十六の揃牛までしかなく︑
それ以後を炊いてゐる零本である︒しかし︑巻第十一以後で撰者名普さ入れのある本は比較的紗ないから︑たごへ零
本琶は言へ︑この猪熊本は蛍亜な妾料さいふ・べきである9殊・に︑これは鎌倉期頃の罵本と推定せられてゐるものであ
って︑さういふ古い嘉本で︑而も撰者名のあるものは珍しいのである.本文錐付六十六葉︑各面は歌二行杏さの十二
行︑序も賊もなく︑︐勿論︑奥普もなく︑職紙もない9
見るに随ひて四三︵四一一九︶
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丈・皐・研・究節二十凹桝円凹︵四一二○︶〆.︲
︒この本の特色は︑今もいふEほり︑全部にわたり歌頭に撰者名が沓きしるされてゐるこさであるが︑・諜昔方は︑略
字でしるした部分ご然らざa部分Eが混交してゐる︒また︑この本は︑巻弟十六にのみ卿共に合軸がある︒この合鮎
は歌の胴にあるのであるが︑他本の合鮎ご比較してみるざ︑大腿に於て合職ある歌は應岐で後烏調上皇によってゑち
び礎された欲に相街してゐる9
この本は︑前記の如く︑巻第十六の後半以後を炊いてゐるのみならず︑その他にも︑なほ紗なからぬ峡葉がある.
今心念のために︑それをしるしておくさび次のごほりである︒
.︑巻第十一
日一○○七芥﹁わがおもひ﹂の歌から︑一○一三稀﹁つくば山﹂の歌の作者名まで︑六首︑一葉分を峡く︒
目○一八帝﹁おく山の﹂の歌の作者名から︑一○四一幕詞ごごに﹂の歌の作者まで︑一千四吋四葉分を峡く.
︑目一○四八裾﹁みくまのの浦より﹂の歌から︑一○五八稀﹁冬の夜の﹂の歌の詞沓まで︑十首︑一葉分を炊く︒
巻第十二・
回巻頭から一○九一番﹁人しれぬ﹂の歌の上旬まで︑十三背牛︑二葉分を緋人︒
︑︑巻第十三
・燭二九一番﹁待つ脊に﹂の作者名から二九七番﹁たのめずは﹂の作者名まで︑六汁︑一葉分を縦く︒
︲巻第十四︑
㈹二三三稀﹁袖のつゆも﹂の御歌の第四句から巻末まで︑十二首牛︑二葉分を欲く︒
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巻第十五
㈹一三五二審﹁色かはる﹂の歌から︑一三六一番﹁忘るらむを﹄の歌まで︑十首︑一葉分を峡く︒
㈹一三九四稀﹁流れ出でむ﹂の歌の詞書から︑一三九八恭﹁おのづから﹂の歌の上旬塾で︑四首半︑一葉分を峡:︒
伽一四一︐三稀.﹁恩ひやる﹂の歌の詞普から︑一四二四稀の﹁数ならば﹂の作者名まで︑十一首︑二葉分を縦く.
㈹巻末の一葉分諺一四三四折﹁さしてゆく﹂の歌の下旬を峡く.
巻第十六
︑/閏一四三九秀﹁赤くれば﹂の欲の作詩名から一四五四番﹁春を經て﹂の歌まで︑十六首︑三葉分を峡く︒
閨一四六六番﹁春くれば﹂の歌の詞替の中の﹁合に﹂.以下b一四七七稀﹁春の雨の﹂の歌まで︑十二首︑二葉分を
峡く︒
F1閨一四八九群﹁五月剛の﹂の歌の詞普の中の﹁明く侍りけるに﹂以下︑一五○二稀﹁月をなぎ﹂の歌の詞書まで︑
・十三打︑三葉分を峡く.
j㈱一五○七群﹁忘れじよ﹂の歌の荊書﹁月をみてよみ侍ける﹂の﹁ける﹂以下︑巻銘二十の維りまで緋葉.
以上は︑峡葉の部分について述べたのであるが︑この外にも︑他本にあって︑この本にのみ紙けてゐる歌が二背ある︒
すなはち︑巻鋪十三︑一一五三悉﹁あふこざを﹂の歌ざ巻第十六︑一四八二恭﹁から衣たちかはり胆る﹂の歌琶が︑
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それである9.
・一綴︑新古今集中では︑巻の十一から巻の十五までの懸歌の部は︑藤原定家が査任を以て校訂したためであらうか︑
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せる小異同をあぐれぱ︑祁備の数に雄するのである︒但し︑それらは︑いづれも重大なる問題を提供する性質のもの
ではない︒
さて︑次は︑この猫熊本の岐大の特色たる撰者名の書き入れについてであるが︑各歌の歌頭に番さ入れられてゐる
/〃撰者名を緋細に調査して︑他の撰者名背き入れのある本の撰者名さ校合してみるぜ︑大略︑次のやうなこどになる︒︻︒多
︲務熊本の巻第十二︑二一六稀﹁もしぼやく﹂の撰考名が︑﹁二︑牙﹂さ稗苔しるされてゐる︒﹁牙﹂は他本の例に
一戸︐〆よれば︑﹁雅經﹂の雅の字の略字である︒また︑撰者名を﹁一や二︑三﹂等の符號を以てしるしてゐる烏丸本に於て
︲・は︑﹁二﹂は﹁定家﹂を示す符號であ︾︒︒猯熊本の︒こも︑多分︑︑烏丸本のヨー﹂ど同じで︑﹁定家﹂を意味するも
のではないか芭思はれる9今︑他の諾本が︑皆︑﹁定︑雅﹂さ替苔しるしてゐるのから老へても︑淵熊本の﹁二︑牙﹂
は︑﹁定︑雅﹂であるき言って莱支へなささうである︒では︑ざうして︑淵熊本が︑ここのどころだけ︑﹁二﹂ごいふ
やうな符號を使ったのであるか︑他の部分にはさういふこごが︑一つもないのである9現在︑老へ得られるここは︑
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猪熊本は︑烏丸本のやうに撰者名を符號で書いた本からその符號を撰者名に脈課してうつし來つたものであり︑この
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二︲一六稀の歌の﹁一こは釧詳し忘れたものであらうごいふこどである9︒もし︑猫熊本が烏丸木ご同一の本から撰者
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一ハ名をうつして來たものだこすれば︑術熊本の撰者名は︑烏丸本の撰者名返全部にわたって一致すべきである9どころ
見るに随ひて.四七︵四一二三︶ 1
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第三に注意すべきは︑一四二六稀の歌が︑﹁わがこひは表へゆけば﹂どなってをb︑その﹁こひは﹂の泊傍に︑﹁ヨ
ハヒィ﹂さしるされてゐるこさである︒杵通は︑﹁わがよはひ﹂こめる筈の歌であって︑蔑葉集に田てゐろ歌であるCf
以上は︑この本のみにあって︑他本には兄出だし得ない軸だけをあげたのであるが︑なほ他のどの本かにも見出だ︑︲
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.丈雛研究.擁三十凹枇四八︵四一二四︶
が︑いま︑細杏一したごころによれば︑その大部分は一致するのであるが︑たさへば︑・烏丸本が巻第十四の大部分虐巻〃
第十五這に撰者名・の北いき太れを有しないのに︑猫熊本には︑その部分にも撰薪名がある︒また︑その外へ十九仙所に・
わたって︑猟熊本ご階丸本己に相迷がある.これでみるぜ︑猟熊本は烏丸本ご同じ本を直接に蕊したものでない這いノ
ふこどが断一両出来る.烏丸本系の本からしごつたものならば︑巻第十四や巻第十五には撰考名がない椿であるが︑
それらにも撰者名のあるごころを兄れば︑烏丸本系以外の本によってゐるもの返老へねばならぬ9烏丸本よりも古く︑
撰者名を符號でしるした本があり︑それには巻第十四や巻第十五にも撰者の符號が韮Ⅱきこまれてゐて︑猫熊本はそれ./
に振ってゐるのかごも思はれる9
現存の拙者名ある窟本のうぢで︑猫熊本は︑鳥丸本以外では︑前剛家本もしくは川北吋寮合靴本に一致する部分が多
い9しかし︑前川家本には撰者名のない部分でも猫熊本には撰者名があつ一て︑それが合鮎本の撰考名に一致するごい
︑ふこさが︑腱及ある︒また︑周知の如く︑川北Ⅱ寮合軸木は︑迦具の名を脱してゐるこざが多いのであるが︑さぅいふ
場合でも︑猟熊本は迩皿︿の名を誰叫さしるしてゐる︒それらの軸からみるぜ︑猟熊本は前剛家本や合黙本ご同一系統だ
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さいふこEが川來ない︒けれざも︑撰者名の大半は︑これらの諾本さ一致するのである︒
猟熊本の撰者名が他の撰者禍ある筋本のごれざも一致しない場合は︑比較的に紗くて︑全機で︑十三に過ぎない.
念のため︑それをあげておくこ︑日九九七番﹁その原や﹂が猫熊本では︑﹁有家︑定家︑雅經﹂さある勺これは︑吉
澤氏・水職本に﹁葎家︑定家︑家隆﹂ごある外︑その他の諸本いづれも﹁有家︑家隆︽雅經﹂己なってゐるものであ
る9口一○六五番﹁すまの浦に﹂が︑猫熊本では﹁有家少定家﹂Eある︒大秘氏︒水享本には撰者名がないが︑その他
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丈梁研究.姉三十門鮴︲五○︵川一二六︶
他の諸本には﹁家隆﹂ごあるものである9閨一四三四稀﹁さして行く﹂には︑猫熊本﹁定家﹂ごあり︑その他の本は
みな﹁定家対家隆﹂Eある︒もつども︑淵熊本は︑歌を二行にしるしてをりぃその二行にわたって撰考名芒普いてゐ
るのであって︑而も︑字嗣歌の場合は︑二行目の方は峡莱のため峡けてゐるからb・或は︑他本にある﹁家隆﹂の名を
その慨けた部分に響きしる・してをつたかごも忠はれ︑もしさうだどすれば︑猟熊本もこの場合に於ては︑他本ど同じで︐
あって︑特に扣述するものでないのである︒閨一四六五稀﹁いまはわれ﹂には猫熊本は﹁定家︑家隆︑雅維﹂︑他本は
みな﹁有家︑定家︑家隆︑雅經﹂ごなってゐる9組じて︑この猯熊本だけが他本さ異なる拙者名をもってゐる部分は︑
前記の如く︑猫熊本に妖葉のあるためごか︑または猫熊本の談嬬がご推定せられる性侭の多分にあるものが多い9
猫熊本は心誤た︑一二○二稀﹁たのめおく﹂の歌の場合の如く︑撰者名が本によって異同のある場合なぎには︑大︲
いに参考ごなるのであって︑殊に一四三二番﹁おほよざの﹂の撰者名なぎは︑猫熊本の撰者名を参考するこ道によっ
て︑ほぼその撰者名の正確などころを推定し得るのである︒すなはち︑前田家本︑合鮎本︑吉澤氏永職本には︑この・
歌の撰薪名を﹁有家︑定家︑家隆︑雅經﹂Eしるしてゐるが︑柳瀬本系統の本には﹁定家︑家隆恥雅經﹄遇あり︑犬・
肪氏永享本には﹁有家︑定家﹂どなってゐる︒Eころが︑猫熊本には﹁祢家︑定家︑家隆勅雅經﹂ざある9淵熊本は
︑罵本Eしては鎌倉期︑ょほざ時代をさげてみても窒町初期を下ら函ものであり︑その撰者名も本文ざ同筆琶見なされ
るから︑!この推考名は古く書かれたものど言はねばならぬQその古い時代に杏かれたものが︑やはり︑合鯲本や前田
1家本ご一致し︑而も糒熊本ご前田家本や合軸本ごはその謄海の祗本を異にするものである這いぶこごは︑﹁有家︑定
家︑家隆︑︲雅維﹂の撰者名の方が︑柳瀬本系統のものよりは︑打力であるごいふ老へに落ちつかせる︒するざゎ永享 一二
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本が﹁有家︑定家﹂どあるのは︑その次の歌の上にある﹁家隆︑雅經﹂ごあはせてこの歌の撰者名ざすべきで︑その・・
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次 の
歌 の
撰 者
名 は
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本 を
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致 し
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水 享
本 の
み ﹁
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て︑愈及碓没性を帯びてくるこをになるわけである︒かういふ風に猫熊本の撰者名を参考するこ・蚤によって︑撰看名
fの腺形を推定し得る便宜を得るこざが︑他にも紗くないのである9
︐.劃・・それから︑最後に︑〃猪熊本の巻第十六にある歌頭の合戦について︑一言燗れておく︒猟熊本に合錨のある歌は︑︲一
〆四三五稀﹁年幕れし﹂︑一四一天番﹁山かげや﹂︑︵.四二九稀から一四五四稀まで峡く︶一四五五稀﹁なれなれて﹂︑一
四五七稀﹁いさやまた﹂︑一四五八番﹁折る人の﹂︑一四六一番﹁さくら花﹂︑︲一四六二稀﹁さもあればめれ﹂︑一四六三稀
﹃さくらぱな﹂︑一四六五番﹁今はわれ﹂︑︵一四六六稀から一四七七番までを峡く︶一四七八番﹁八砿ながら﹂︑一四七
九稀﹁ここのへに﹂︑一四八○恭﹁おのが波に﹂︑一四八一稀﹁からごろも﹂︑︵一四八一幕の歌を峡く︶一四八三稀﹁洲
︑代には﹂︑一四八四稀﹁ほどごぎす﹂︑一四八五稀﹁立ちいづる﹂︑一四八六稀﹁いく千代ご﹂︑一四八七稀﹁梅が枝に﹂︑一
四八八稀﹁うちわたす﹂︑︵一四八九芥から一五○一将までを縦く︶一五○二番﹁月をなぎ﹂︑一五○五稀﹁夜もすがら﹂
︵一五○七番から以下は猫熊本にない︶の二十一青であるが︑猫熊本に峡けてゐる歌を別にして︑淵熊本にある欣の
中では︑一四五六番﹁ふるさざご﹂の一首だけが他本では隠岐で礎された歌になってゐるのに猟熊本には合軸がない #
もので︑それ以外は︑以上列記した猟熊本に合蛾ある歌は︑悉く賑岐で残された歌でかり︑淵熊本に合馴のない歌は
他本でも隠岐ですてられた歌である︒これから兄るざ︑猪熊本の合鯏は隠岐で後鳥羽上皇の礎された歌なるこごを示
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す記號であるご老へられる︒新古今巣の隠岐本の面影を知る餐料は心巻鋪十までには比較的に多いのであるが︑巻鏥.︲.十一からは漸減の慨向にあって︑巻弟十六の如きは︑わたくしの知る範剛では五︑六本の窟本があるに過ぎない・・し︒〃
︸ワロな一︑.・たがつでん猫熊本のは歌数が僅少であるが︑それにもかかはら歩︑隠岐本の而目を明らかにする上に︑好安料を提供
するもの亡いふ︑べきである9︲︑
︲それにしても形この本に峡落の部分の多いこEは︑われわれ价究者には︑かへすがへすも惜しいこどに凪はれる9
|︲.︑︑.| 〃②大夫阿悶梨本
︑や日〃〃﹃
へ
︲武田耐吉博士の﹁應岐本新古今和歌錐の一仰來﹂ごいふ論文の中に︑大夫阿開梨本の歌の排列が他ど迷ってゐるこz
心
琶を表に示してをられるごいふこEを︑拙著﹁新古今利欲集の析究﹂中に述↑ぺ︑自分はその本を未だ兄てゐないが︑
一〆︑ノら︑︑陰厄の本に於ける排列上の鍵総岬何に起因してゐるのか︑よく分らぬごいふこざを譜き・這かでおいたこさであった↑︲/
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︑下二帖の本である.書筋年代は︑犬柵︑室町末期のものご恩はれるが︑筆鰯年月をしるした識語がないから︑正確な
一・.這ころは分らない︒上冊畿付百三十二枚︑下冊墨付百二十九枚︑上珊のはじめに漢序︑和序をおき︑下冊の絶りに左 ゞ一の奥書がある︒︑/
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赤染術川の﹁さみたれの案たにすめる﹂の歌が大夫本には砥い︒秋上の部の切出欣では︑﹁あさつゆの脚のかや瓜﹂・
の太上疋皇御挫が烏丸本にはあって︑大夫本になく︑﹁契りけむほざは知られ華と﹂の宇猜前關向太政大肛の歌は筋詞︸
秤並びに注記の軸で剛本間に州進がある︒烏丸本も大夫本も︑この歌は︑三一四稀﹁このゆふ︑ここ三一五稀﹁年を.
へて﹂どの間にあるのであるが︑烏丸本は三一五稀の詞併をこの歌の詞符亡し︑三一五稀の歌にには制併がない︒し
かし︑大夫本では︑この歌の詞瞥を﹁家に七夕の心を識る﹂↓こ記してゐて︑三一五番の訶苛は流布本ざほりになって
ゐる︒この大夫本E同じきものは︑古梓堂文庫古鰯本︑餌宮川砒本等であるが︑大夫本は︑ここのみならず︑細柵的
に見て︑切川歌の記入については古梓堂文庫古罵本に近似してゐるやうである︒なほ︑大夫本は︑この歌の左注に︑
︑﹁右金葉集に入之山雅經朝臣巾之﹂ごある︒この注記は烏丸本等にはなく心布津本にあるものである︒
︑︑大夫本は︑秋下の部や四四一稀﹁妻こふ&を四四二稀﹁み山べの﹂どの肌に︑切出歌﹁たかさこの尼の上にたて
る﹂があり︑その配列位世は︑他本ざ同じであるが︑﹁右金葉錐に入之山叩之﹂・どいふ左注がある.これは陽丸本等
にはないものである︒烏丸本では︑この歌の初句が﹁たかまきの﹂どなってゐる︒しかし︑それは烏丸本だけのこどで
あって︑その他の本は︑みな﹁たかさこの﹂をなってゐる︒階丸本のこの歌での注記には﹁可除也﹂ごある︒大夫本
︑にはさやうな注記はない︒哀傷部八一二稀﹁うし︑こては﹂さ八一三番﹁はかなし︽ここの問に︑和泉式部の砿﹁たれ
.なりご﹂の歌があるここは︑烏丸本も大夫本も同じであるが︑鳥丸本にはこの歌の注記に﹁被冊丁﹂ごありのまた歌
の初句が﹁たれなれど﹂どなってゐる︒大夫本には注記がない.蛍た︑大夫本には八一三需﹁はかなしど﹂さ八一四
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この歌には﹁被研了﹂といふ注記があり価歌の位世も︑八一四稀﹁ふるさごに﹂ざ八一五稀﹁玉の緒の﹂どの問にな
ってゐる︒次に︑糯族部九○四番﹁するがなる﹂ざ九○五番﹁くさまくら﹂どの間に﹁狼の上にほのかに見えて﹂喧
・いふ凡洲内躬恒の歌が︑ざの本にもある鍔であり︑大夫本も烏丸本も共にこの歌を戦せてゐるが︑鳥丸本には訶普が
あり︑この大夫本には詞神がない9.
巻第十八︑一七八三稀﹁おほぞらに﹂の御製︑一八○一恭﹁水蕊の﹂の歌︑及び巻弟十九︑一九一四稀﹁住みよし︲・
さ﹂の歌︑この三首は大夫本にはない.これは庵丸本にもない歌であるが︑︒ただ烏丸本ざ大夫本さ途ふ鮎は︑大夫本
は 一 九 一 四 稀 の 歌 が ︑ 巻 鋪 十 九 に な く し て ︑ 巻 弟 十 聯 族 歌 の 鍍 後 に 載 せ ら れ て ゐ る 鮎 に あ る . か ぅ い ふ 風 に 切 出 歌 か
︲ ら 眺 め て も
︑ 烏 丸 本 E 大 夫 阿 闘 梨 本 さ は 同 じ で な い の で
︑ 奥 沓 に よ れ ば ︑ 雨 本 は 同 一 普 本 を も こ さ し た ら し く 思 は れ
るのに︑本文の上では︑かういふ風に州進があって︑同じではなくへその振りざころざした普物が違ってゐるも.のの
如く推察せられるのである︒・
大夫阿間梨本は︑更に︑他に獅例を鬼ない︑特殊な歌の排列をもってゐる.すなはち︑最初に一言したやうに︑武︑︐︑|
田疏吉博士も記してとられるEころであるが︐巻第八︑哀傷部の娘後に︑川行の﹁ねがはくば花のもとにて春死なむ︲
その苔さらざのもち月の比﹂ざいふ歌が收められてをb︑巻第十︑砺族部の妓後に津守有基の﹁すみよしご恩ひし宿
は荒れにけり抑のしるしを待つごせしまに﹂の歌を城せてゐる︒﹁ねがはくば﹂の歌は︑普通︑流布本なぎにはない
歌であって︑禰派本や大脇氏永享本等の如き或る種の古浦本にのみ戦ってゐる歌であるが︑何れの本にあっても︑巻
兄るに随びて五九︵四三五︶ I
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弟十八に戦ってゐるもので︑巻の八に戦せられてゐるのは︑夛駒大夫本だけである︒また雅守布韮の﹁すみよしと﹂
の歌は︲流布本には戦ってゐる歌であるが︑烏丸本や柳瀬本その他の堀本熱には腱及狄けてゐるこどのある歌であ
ろ.けれざも︑この歌が︑巻の十に戦ってゐるごいふやうなのは︑やはり︑符兄ではこの大夫本だけである・・かうい
ふ特殊机が︑つまりこの本の特色であるが︑何故かういふ現象があるのであるか︒︑これについては︑二つの解繩が川・
來るご凪ふのであるが︑その一つは︑これらの歌は部狐過程に於て︑はじめはこの大夫本のやうに部数排列せられて
ゐたのが︑のちに他本のやうに排列杵へをさせられたのであるごいふ考へ方である︒また他の一つは︑かういふ特殊〃
な歌の排列は︑大夫本の兼軒のさかしらであって︑新古今本来の排列川でなく︑縦つた排列であるごいふ兄方であ誠
る︒かういふ排列は︑現在笹兄の純剛では︑この大夫本だけである埴いふ事寅さ︑その歌の内容から言って︑またそ
の排列順から言って︑これらの欣は巻第十八や巻第十九に入れられて布津本や流布本に見るが如き排列川になってゐり︑.︑る方が類を以て部減し排列する新古今集本来の部数の仕方に相適ってゐるさいふこど直︑そして︑大夫本に於けるこ
〆れらの歌がいづれも巻末に謀きしるされてゐて︑筆者が後に替さ添へたこ見られる條件を術へてゐるざいふこさ毛か
ら老へて︑今のわたくしは︑︒この大夫本のやうな形は︑新古今集の本来の排列のあむ方でなく︑部獅過程の一つのす
がたでもない︑ただ大夫阿開梨本だけが有する縦つた形であらうごいふ推定に伽いてゐる9けれども︑かういふ推定
は︑責は℃まだ確資性に乏しいのであって︑この大夫本の排列のあり方については筋今後なほよく考究してみようさ︐
思ってゐる9今回はや.この書を調査した結果の報告だけに止めておく︒ゞ︲し
.以上︑拙蒋﹁新古今和歌集の研究﹂の柿迩の意味で︑近ごろ見た本のこ造を備忘に将苔ごめておくのである︒
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