九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
セパレーションを発生する鋼板の鋼構造物への適用 に関する基礎研究
勝田, 順一
https://doi.org/10.11501/3059405
出版情報:Kyushu University, 1991, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 の 銅 構 造 物 へ の 適 用 に 関 す る
基 礎 研 究
平 成
3
年7
月勝 目 順 一
第 1章
1 . 1 1 • 2 1 . 3 1 . 4
第 2章
2 . 1
2 • 2
2 . 3
白 老 欠
序 論 研 究 の 背 景 研 究 の 目 的 本 論 文 の 構 成
本 論 文 で 使 用 す る 試 験 方 向 を 表 わ す 記 号 説 明
唱Eムηfu‑Fhun八
U A H E4i U
セ バ レ ー シ ヨ ン を 発 生 す る 鋼 板 に 関 す る
従 来 の 研 究 1i
つ'Hndnnu
噌t A 4 1 i 4
﹄
4 4
︐i
緒 ョヒヨヨ
セ パ レ } シ ョ ン の 発 生 要 因 と 発 生 条 件 セ パ レ } シ ョ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 法
2 . 4
セ パ レ ー シ ョ ン の 発 生 が鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぽ す 影 響 ・・・
1 7 2 . 4 . 1
引 張 強 度 に お よ ぽ す 影 響 ・・・1 8 2 . 4 . 2
疲 労 特 性 に お よ ぽ す 影 響 ・・・1 9 2 . 4 . 3
破 壊 靭 性 に お よ ぽ す 影 響 ・・・1 9
~
2 . 5
結 言 ・・・2 3
第
3
章 セ パ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 を実 用 化 す る た め の 検 討 課 題 と
セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 法 ・・・ 25
3 . 1
緒 言 263 • 2 セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 に 関 す る
検 討 課 題 ・・・ 27
3 . 2 . 1
セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 要 因 に 関 す る 考 察3 • 2 • 2 セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 が 鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぽ す 影 響 に 対 す る 懸 念 、 と 同 一 化 学 成 分 で セ パ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 が 異 な る 鋼 板 で の
試 験 の 必 要 性 ・・・ 28
3 . 2 . 3
二 相 域 圧 延 鋼 板 の 特 性 に 関 す る 検 討 課 題 ・・・30
3.3
供 試 鋼 板 ・・・30
3 . 3 . 1
評 価 対 象 と し た 鋼 板 ・・・30
273 . 3 . 2
セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 のミ ク 口 組 織 と ビ ッ カ ー ス 硬 さ ・・・ 32 3.4 本 論 文 で 用 い た セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の
定 量 的 表 示 の た め の 計 測 基 懲 ・・・ 34
3 . 4 . 1
セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の定 量 的 表 示 法 の 問 題 点 3 • 4 • 2評 価 対 象 と す る 破 面
3 . 4 • 3 評 価 対 象 と す る セ パ レ ー シ ョ ン の 形 状 3 • 4 • 4 評 価 対 象 と す る セ バ レ ー シ ョ ン の 長 さ 3 . 4 . 5 セ パ レ ー シ ョ ン 長 さ の 計 測 方 法
3 . 4 . 6
セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 の た め の 計 測 基 準 3 • 4 • 7 セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の3.5
第
4
章結 ちヨtコa
定 量 的 表 示 法 に 関 す る 考 察
鋼 板 各 方 向 の 引 張 特 性 , お よ び 破 壊 靭 性 に
34
36
39 414 2
43
44
45お よ ぽ す セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 影 響 ・・・ 48
4 . 1 4.2
緒
引 張 特 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 影 響
4 . 2 . 1
試 験 方 法4 • 2 • 2圧 延 方 向 , お よ び 板 厚 方 向 の 引 張 特 性 に
49
50 50
お よ ぽ す セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 影 響 ・・・ 52
4 . 2 . 3
種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 引 張 特 性 にお よ ぽ す 最 大 セ パ レ ー シ ョ ン 指 数 の 影 響 ・・・
57
4 • 3 衝 撃 特 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の影 響 ・・・
5 9
4 . 3 . 1
試 験 方 法5 9
4 • 3 • 2圧 延 方 向 , お よ び 板 厚 方 向 の 靭 性 に
お よ ぽ す セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 影 響 ・・・
5 9
4 . 3 • 3 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 衝 撃 特 性 に
お よ ぽ す 最 大 セ バ レ ー シ ヨ ン 指 数 の 影 響 ・・・ 64 4 • 3 • 4 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 面 内 靭 性 分 布 に お よ ぽ す
セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 影 響 ・・・ 65
4.4
破 壊 靭 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の影 響 ・・・
6 8
4.4 . 1
試 験 方 法 ・・・68
4 • 4 • 2圧 延 方 向 , お よ び 板 厚 方 向 の 破 槙 靭 性 に
お よ ぽ す セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 影 響 ・・・
70
4 • 4 • 3 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 破 壊 靭 性 に4.5
第
5
章5 . 1
お よ ぽ す 最 大 セ パ レ ー シ ョ ン 指 数 の 影 結
二 相 域 圧 延 鋼 板 の 疲 労 き 裂 伝 播 挙 動 と
緒 ちt=tゴ
伝 擦 寿 命 の 解 析 法
5 . 2
丸 棒 試 験 片 に よ る 疲 労 強 度 に お よ ぽ す75
78
82 83
最 大 セ バ レ ー シ ョ ン 指 数 の 影 響 ・・・
84
5 . 2 . 1
試 験 方 法 ・・・84
5 • 2 • 2圧 延 方 向 , お よ び 板 厚 方 向 の 疲 労 強 度 に
お よ ぽ す 最 大 セ パ レ } シ ヨ ン 指 数 の 影
85 5 . 3
鋼 板 板 厚 方 向 , お よ び 板 幡 方 向 へ の疲 労 き 裂 伝 播 挙 動
8 9
5 .3.1
試 験 方 法 ・・・8 9
5 . 3 . 2
鋼 板 板 厚 方 向 , お よ び 板 幅 方 向 へ の疲 労 き 裂 伝 掻 挙 動 ・・・
90
5 • 4 微 小 セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 影 響 を 考 慮 し た疲 労 き 裂 伝 播 解 析 ・・・
98 5 . 4 . 1
微 小 セ パ レ ー シ ョ ン を モ デ ル 化 し たス リ ッ ト を 通 過 す る 疲 労 き 裂 の 伝 播 挙 動 ・・・
98
5 • 4 • 2微 小 セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 影 響 を 考 慮 し た疲 労 き 裂 伝 播 解 析 ・・・
102 5.5
微 小 セ パ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る 鋼 板 の半 楕 円 表 面 き 裂 の 疲 労 き 裂 伝 播 挙 動 ・・・
108
5 . 5 . 1
試 験 方 法 ・・・109
5 • 5 • 2半 楕 円 表 面 き 裂 の 疲 労 き 裂 伝 播 に お よ ぽ す
最 大 セ パ レ ー シ ョ ン 指 数 の 影 響 ・・・
1 12 5 . 5 . 3
微 小 セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 を 考 慮 し た半 楕 円 表 面 き 裂 の 伝 播 解 析 ・・・
1 17
5.6 結 ち三kヨr
121
第 6章 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 の
向 上 と 脆 性 き 裂 伝 播 経 路 の 解 析 法 ・・・
123 6 . 1
6 • 2
緒 三ヨ.位ゴ
124
二 相 域 圧 延 鋼 板 の 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 の
向 上 に 関 す る 考 察 ・・・
124
6 . 2 . 1
試 験 方 法 ・・・124
6 . 2 . 2
脆 性 き 裂 伝 播 挙 動 と 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 ・・・125 6 . 2 . 3
脆 性 き 裂 折 れ 曲 が り 伝 播 の 原 因 に関 す る 考 察 ・・・
126
6 • 2 • 4脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 向 上 の 原 因 に関 す る 考 察 ・・・
128 6.3
二 相 域 圧 延 鋼 板 に お け る 破 壊 靭 性 の鋼 板 面 内 異 方 性 ・・・
132
布分
LE
且T靭綴破
の 面 肉 川
板
銅
延
法 圧 方 域 験 相 試 二
ηdqo
nono
132 134 6 . 4
面 内 破 壊 靭 性 分 布 に 異 方 性 を 有 す る 鋼 板 の腕 性 き 裂 発 生 方 向 を 推 定 す る 方 法 の 提 案 ・・・
138 6 . 4 . 1
脆 性 き 裂 発 生 条 件 と き 裂 発 生 方 向 を推 定 す る た め の 解 析 モ デ ル ・・・
138
6 • 4 • 2脆 性 き 裂 発 生 方 向 に お よ ぽ す面 内 異 方 性 の 影 響 ・・・
140
6.5 面 内 破 壊 靭 性 分 布 に 異 方 性 を 有 す る 鋼 板 の脆 性 き 裂 伝 播 経 路 を 推 定 す る 方 法 の 提 案 ・・・
143 6 . 5 . 1
脆 性 き 裂 折 れ 曲 が り 伝 播 経 路 を推 定 す る た め の 解 析 モ デ ル ・・・
143
6 • 5 • 2腕 性 き 裂 伝 播 経 路 に お よ ぽ す面 内 異 方 性 の 影 響 ・・・
145
6.6 面 内 破 壊 靭 性 分 布 に 異 方 性 を 有 す る 鋼 板 の腕 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 向 上 に 関 す る 考 察 ・・・
151
6.7 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 脆 性 き 裂伝 播 停 止 特 性 に お よ ぽ す 最 大 セ バ レ ー シ ョ ン
指 数 の 影 響 ・・・
152
6.8
結 言154
第
7
章 総 A 仁1 評 価( 1 )
セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 要 因 と ( 2 )( 3 )
第 8章
セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 法 鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぼ す
セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 影 響 二 相 域 圧 延 鋼 板 に 期 待 さ れ る 特 徴
結 論
謝 辞
参 考 文 献
156
157
158
1 6 1
163
173
174
第雪
5 1
重量序 論
噌Eム
1 . 1
研 究 の 背 景1973
年以来, 引 き 続 い て 起 こ っ た 石 油 シ ョ ッ ク で , エ ネ ル ギ ー を 安価に, か っ 安 定 し て 得 る た め の 努 力 が , 原子力, 水力, 石油, 天 然 ガ ス な ど , あ ら ゆ る エ ネ ル ギ ー 関 連 分 野 へ 傾 注 き れ た 。 な か で も , 石油, 天 然 ガ ス の 掘 削 は , 新 し い 油 田 や ガ ス 田 の 発 見 に 伴 い , 深 海 域, 寒冷地, 強 腐 食 環 境 域 へ と 技 術 的 困 難 を 伴 う 方 向 に 急 速 に 進 ん だ こ と か ら , こ れ ら の 分 野 に 使 用 す る 厚 鋼 板 の 特 性 要 求 が 苛 酷 化 し た。 こ の よ う な 要 求 に は , そ の 使 用 環 境 の 苛 酪 化 や 構 造 物 の 大 型 化 に 対 応 す べ き も の と , 網 構 造 物 を 製 造 す る 過 程 で 要 求 さ れ る 予 熱 や 後 熱 の 省 略 や 大 入 熱 高 能 率 溶 接 な ど に よ る 溶 接 施 工 の 省 力 化 に 対 応 す べ き も の が あ り , 使 用 さ れ る 鋼 板 に 対 し て 多 様 で , し か も 高 度 な 性 能 が 求 め ら れ る よ う に な っ た 。とくに, 北 海 や 北 極 海 な ど の 深 海 域 で , か つ 寒 冷 地 に お け る 石 油 掘 削 で は , 掘 削 設 備 の 大 型 化 に 伴 い , 高 強 度 で , し か も 高 靭 性 で , な お か つ 溶 接 施 工 が 容 易 に で き る 厚 鋼 板 の 要 求 が 高 ま っ た 。 と こ ろ が, 従 来 圧 延 型 高 張 力 鋼 板 で は , 高 強 度 を 得 る た め に ケ イ 素 , マ ン ガン, モ リ ブ デ ン な ど の 合 金 元 素 を 増 加 さ せ , さらに, ニオブ,
パ
ナ ジ ウ ム , チ タ ン な ど の 微 量 元 棄 を 添 加 す る 必 要 が あ り , こ の た め に 炭 素 当 量 が 大 き く な っ て , 低 入 熱 溶 接 時 に お け る 熱 影 響 部 の 硬 化 割 れ や 大 入 熱 溶 接 時 に お け る 熱 影 響 部 の 脆 化 が 問 題 と な っ て い た 。 そこで, 高 張 力 鋼 板 の 溶 接 を 行 う 場 合 に は , 次 の よ う な 施 工 上 の 対 策 が 必 要 で あ っ た 。
* 低 入 熱 被 覆 溶 接 の 場 合
・ 寒 冷 時 の 予 熱 条 件 の 設 定
・ 低 水 素 系 溶 接 棒 の 使 用 , お よ び 溶 接 棒 の 吸 湿 量 の 制 限 シ ョ ー ト ピ ー ド の 制 限
潟 大 入 熱 溶 接 の 場 合 . 入 熱 量 の 制 限
エ レ ク ト ロ ス ラ グ 溶 接 や エ レ ク ト ロ ガ ス 溶 接 な ど の 適 用 範 囲 の 制 限
‑ 片 面 溶 接 の 多 層 化
また, 鋼 板 を 加 工 す る 場 合 に 行 わ れ る 線 状 加 熱 に も 次 の よ う な 規 制 を 設 け る 必 要 が あ っ た 。
・ 最 高 加 熱 温 度 の 厳 し い 制 限 水 冷 開 始 温 度 の 制 限
上 述 の よ う に , 鋼 構 造 物 を 製 造 す る 場 合 に は , 溶 接 割 れ や 溶 接 熱 影 響 部 の 脆 化 を 実 用 上 問 題 が な く , か つ 最 小 限 に と ど め る た め に 溶 接 条 件 の 厳 し い 管 理 が 必 要 で あ る 。 さらに, 昭 和
4 4
年頃, 船 体 用 高 張 力 鋼 板 の 上 向 き 隅 肉 継 手 , お よ び 水 平 突 合 せ 継 手 に 割 れ が 発 見 さ れ, そ れ 以 降 造 船 各 社 で は 炭 素 当 量 を0.41
% 以 下 に 抑 え た 高 張 力 鋼 板 を 用 い て お り , 上 述 の よ う な 厳 し い 溶 接 施 工 管 理 を す る 場 合 に お いても, 使 用 す る 鋼 板 の 炭 素 当 量 が 制 限 さ れ て い た 。 強 度 が 高 い 鋼 板 を 用 い る ほ ど 設 計 応 力 を 大 き く す る こ と が で き , 鋼 構 造 物 の 軽 量 化 を 図 る こ と が 可 能 と な る が , 施 工 上 あ る 程 度 の 高 能 率 溶 接 を 採 用 す る 必 要 が あ る た め に 鋼 板 の 炭 素 当 量 が 制 限 さ れ て , 降 伏 応 力 は3 2
kgf/mm2級 の 鋼 板 を 使 用 す る に 留 ま ら ざ る を 得 な か っ た 。
し か し 近 年 , 鋼 板 中 の 不 純 物 元 素 で あ る リ ン , イオウ, 酸 素 な ど を 大 幅 に 低 減 す る た め の 製 鋼 技 術 , 微 量 合 金 元 素 の 的 確 な 添 加 技 術 , および, 温 度 を 正 確 に 検 知 し て 鋼 板 の 圧 延 時 期 を 制 御 す る た め の 圧 延 技 術 が 確 立 さ れ た 。 そ の 結 果 , 従 来 の 制 御 圧 延 よ り も 低 い 温 度 域 で あ る
A
r 3変 態 点 付 近 や ,A
r 3変 態 点 か らA
r 1変 態 点 ま で の 二 相 域 で 制 御 圧 延 し て も , 均 一 な 材 質 を 有 す る 鋼 板 を 製 造 す る こ と が 可 能 と な っ た 。 こ の よ う な 圧 延 方 法 を 用 い る こ と に よ り , 従 来 の 圧 延 方 法 で 製 造 さ れ た 高 張 カ 鋼 板 よ り も 低 い 炭 素 当 量 で も , 従 来 圧 延 型 高 張 力 鋼 板 と 同 程 度 の 強 度 を 有 し , しかも, 破 壊 靭 性 が 向 上 す る 鋼 板 が 開 発 さ れ た 。 こ の 高 張 力 鋼 板 は , T M C P (Thermo・Mechanical Control Process) 鋼 板 と 呼 ば れ て い る 。こ の T M C P技 術 に よ り , 種 々 の 特 性 を 有 す る 高 張 力 鋼 板 が 出 現 し, 現 在 で は 炭 素 当 量 が 0.36% 以 下 で , 降 伏 応 力 が 40kgf/mm2級 の 低 温 用 鋼 板 が 製 造 さ れ る ま で に な っ た 。 現 在 で は , 石 油 掘 削 設 備 だ け で な く , 船舶, 海 洋 構 造 物 , 橋梁, 低 温 タ ン ク , 建 築 用 鉄 骨 な ど に 使 用 さ れ , 鋼 構 造 物 の 全 重 量 に 対 す る 高 張 力 鋼 板 の 使 用 重 量 比 は 大 き く な り つ つ あ る 。 さらに, 構 造 部 材 の 剛 性 , 振 動 特 性 , お よ び 座 屈 強 度 な ど を 十 分 考 慮 し た 上 で , よ り 高 強 度 の 高 張 力 鋼 板 を 使 用
し て 銅 構 造 物 の 軽 量 化 を 図 る 傾 向 に あ る 。
F i g • 1 . 1 1 . 1 )に, 従 来 の 圧 延 法 と T M C P法 と の 圧 延 温 度 域 の 模 式 図 を 示 す 。 従 来 の 圧 延 法 に お い て も 制 御 圧 延 が 行 わ れ て い た が , 従 来 の 制 御 圧 延 法 で 製 造 さ れ た 鋼 板 は , 材 質 が 不 均 ー で あ る こ と や 破 壊 靭 性 が 不 均 ー で あ る こ と か ら , 焼 な ら し に 換 わ る 圧 延 法 と し て 各 方 面 の 規 格 で 認 め ら れ る ま で に は 至 ら な か っ た 。 しかし,
T M C
‑ 3
・P法 に よ り 製 造 さ れ た 鋼 板 は , 材 質 が 均 一 で , か つ 優 れ た 破 壊 靭 性 が 均 一 に 得 ら れ る こ と か ら , 従 来 の 圧 延 法 に 換 わ っ て 使 用 さ れ る 分 野 が 広 ま っ て い る 。
T M C P
法は,A
r 3変 態 点 付 近 で 制 御 圧 延 さ れ る Non‑AcC type T M C P (Non‑Accelerate Cooling type T M CP
)法と,A
r 3変 態 点 直 前 ま で 制 御 圧 延 し , そ の 直 後 に 制 御 冷 却 を 行 う Acc type T M C P (Accelerate Cooling type T M C P ) 法 がある。T M C P
法 の 冶 金 的 な 特 徴 は , ス ラ ブ の 低 温 加 熱 を 行 う こ と に よ る オ ー ス テ ナ イ ト 粒 の 微 細 化 , そ れ に 伴 う 再 結 晶 温 度 の 低 温 域 へ の 拡 大 , 圧 延 温 度 が 必 然 的 に 低 く な る こ と に 伴 う 再 結 晶 粒 の 成 長抑制, お よ び オ ー ス テ ナ イ ト 未 再 結 晶 温 度 域 の 低 温 部 に お け る 圧 延 を 強 化 す る こ と に よ る 結 晶 粒 の 偏 平 化 に 伴 う 粒 界 面 積 の 増 加 , さらに, 制 御 冷 却 を 行 う こ と に よ る パ ー ラ イ ト の ベ イ ナ イ ト 化 , お よ び ブ エ ラ イ ト 粒 の 細 粒 化 を 図 る こ と で , 破 填 靭 性 を 損 な う こ と な く , 高 強 度 を 確 保 し て い る こ と に あ る 。
Structure Temperature Conventional Process I Thermo‑Mechanical Control Process
Recrystallized ( Equi‑Axid )
Normal Slab Heating Temperature
R.:Rolling C.R.:Control Rolling W.C.:Water Cooling
Austenite フ コe
η‑
r
・ 工
u
z t
・ 1 a l r m
m小
町h
MNqi
Non‑Recrystallized ( Elongated )
Austenite
Ar3 Austenite , Ferrite
Ar1 Ferrite , Pearlite
(Ferrite , Bainite) Nolmalized Non‑AcC Non‑AcC AcC
Fig. 1.1 Schematic rolling and cooling diagrams of Conventional Process and Thermo‑Mechanical Control Process for producing 50kgf/mm2‑class high tensile steel plates 1.1)
なお, AcC type T M C P法 に お い て は , 制 御 圧 延 に よ る 強 度 上 昇 と と も に , 制 御 冷 却 す る こ と に よ る 強 度 の 上 昇 も 併 せ て 期 待 で き
るため, 最 近 使 用 さ れ て い る 厚 板 の
T M C P
鋼板は, AcC typeT M C P
法 に よ っ て 製 造 さ れ た 鋼 板 が 大 部 分 を 占 め る よ う に な っ て いる。 ただし, 約 15mm以 下 の 厚 鋼 板 製 造 時 に お い て は , 従 来 の 圧 延 条 件 で も 冷 却 速 度 が 速 い た め に 制 御 冷 却 す る 必 要 が な く , 通 常 は Non‑
AcC type T M C P法 に よ り 製 造 ぎ れ て い る 。
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T M CP鋼 板 は, 合 金 成 分 を 増 加 き せ ず に 結 品 粒 の 微 細 化 に よ っ て 高 強 度 を 得 て い る た め に,
F
i g •1 . 2
1 . 1 )に 示 す よ う に , 同 程 度 の 強 度 を 有 す る 従 来 圧 延 型 鋼 板 に 比 ベて, 炭 素 当 量 が か な り 低 く な っ ている。 し た が っ て , 従 来 圧 延 型 高 張 力 鋼 板 の 加 工 時 に 行 わ れ て い た 複 雑 な 溶 接 施 工 上 の 制 限 や , 線 状 加 熱 加 工 条 件 の 制 約 を , T M C P鋼 板 で は 緩 和 す る こ と が 可 能 で あ る と 報 告 1. 2 )さ れ て い る 。と こ ろ が ,
Non‑AcC
typeT M
0.50
0.45
ぷ 0.35
J 2 0お
二 相 域 で の 強 い 制 御 圧 延 を 行 っ た 鋼 板 の 鋼 構 造 物 へ の 使 用 は 避 け ら れ て い る 。
しかし, 二 相 域 で 強 圧 延 を 行 っ た 鋼 板 は 破 壊 靭 性 が 向 上 し, 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 が 非 常 に 向 上 す る こ と が 明 ら か に さ れ て お り 1.3), セ パ レ } シ ョ ン の 発 生 が 鋼 徳 造 物 の 安 全 性 に お よ ぽ す 堅 手 筈 が 実 用 上 問 題 な い 程 度 な ら ば , 二 相 域 で の 強 い 制 御 圧 延 に よ る 効 果 を 有 効 利 用 し て 鋼 板 の 高 性 能 化 を 図 る こ と が で き る も の と 期 待 さ れ る。
1 . 2
研 究 の 目 的T M C P法は, ス ラ プ の 低 温 加 熱 , オ ー ス テ ナ イ ト の 再 結 晶 域 お よ び 来 再 結 晶 域 で の 制 御 圧 延 , 制 御 冷 却 を 行 う が , 初 期 の T M C P 法では, オ ー ス テ ナ イ ト の 一 部 が ブ エ ラ イ ト に 変 態 し た 後 の 二 相 域
ま で 制 御 圧 延 が 行 わ れ る こ と も あ っ た 。 二 相 域 に お い て 制 御 圧 延 を
‑ 5
・行うと, 最 終 変 節 組 織 が 加 工 さ れ る た め に , フ ェ ラ イ ト が 加 工 硬 化 し, 集 合 組 織 が 発 達 す る と い う 現 象 が 生 じ る 。
二 相 域 に お け る 仕 上 げ 圧 延 温 度 を 低 下 さ せ て 制 御 圧 延 す る ほ ど , 圧 延 方 向 , 圧 延 直 角 方 向 , お よ び 圧 延 方 向 か ら 面 内
45
0 方 向 そ れ ぞ れ の 降 伏 応 力 や 引 張 り 強 き が 著 し く 向 上 す る と い う 報 告 1. 4 )がある。さらに, シ ャ ル ピ ー 衝 撃 試 験 に お い て , 圧 延 方 向 や 圧 延 直 角 方 向 の 脆 性 破 面 率 遷 移 温 度 が 低 温 側 に 移 行 す る と い う 報 告 1. 4 )がある。 ま た, 温 度 勾 配 型
E S S 0
試験, お よ び 温 度 勾 配 付 標 猶 型 二 重 引 張 試 験 に よ っ て 求 め ら れ た , 圧 延 方 向 の 脆 性 き 裂 伝 矯 停 止 特 性 が 非 常 に 向 上 す る と い う 報 告 1. 3 ) • 1 .い も あ る 。と こ ろ が , 二 相 域 に お い て 制 御 圧 延 さ れ た 鋼 板 で は , シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 に お い て , 圧 延 直 角 方 向 と 面 内
45
0 方 向 の 吸 収 エ ネ ル ギ ー 値 が 減 少 し , 面 内45
0 方 向 の 脆 性 破 面 率 遷 移 温 度 が 高 温 側 に 移 行 す る と い う 報 告 1. 5 )がある。 さらに, 鋼 板 を 破 壊 し た 場 合 , そ の 破 面 に セ バ レ ー シ ヨ ン と 呼 ば れ る , 圧 延 面 に 平 行 で , か つ 破 面 に 垂 直 な 割 れ が 発 生 す る 。 こ れ ら の こ と か ら , 吸 収 エ ネ ル ギ ー の 減 少 や セ バ レ ー シ ヨ ン の 発 生 が 鋼 構 造 物 に と っ て 実 用 上 危 険 で あ る か 否 か の 検 討 を 行 う こ と な く , 定 性 的 に 圧 延 直 角 方 向 , 面 内45
0 方向, お よ び 板 厚 方 向 の 靭 性 が 低 下 し て い る も の と 判 断 し て , 二 相 域 で 制 御 圧 延 し た T M C P鋼 板 は 実 用 化 さ れ て い な い 。 し た が っ て , 現 在 使 用 さ れ て い る T M C P鋼板は, A r 3変 態 点 直 上 で 制 御 圧 延 を 終 了 し , そ の 直 後 に 制 御 冷 却 を 行 う こ と に よ り セ パ レ ー シ ヨ ン の 発 生 を 抑 え て , 強 度 や 破 域 靭 性 を 磯 保 し た も の で あ る 。セ パ レ } シ ヨ ン に つ い て は , セ パ レ } シ ョ ン が 発 生 す る 冶 金 的 要 因 や セ パ レ ー シ ヨ ン の 発 生 が 鋼 板 の 破 域 靭 性 に お よ ぽ す 影 響 に つ い て 調 査 し た 研 究 が あ り , い く つ か の 成 果 が 報 告 さ れ て い る 。 現在,
あ え て 二 相 域 で 制 御 圧 延 し た 鋼 板 は 製 渇 き れ な く な っ た た め , セ バ レ ー シ ヨ ン が 発 生 す る 冶 金 的 要 因 , お よ び セ パ レ ー シ ョ ン の 発 生 が 鋼 板 の 諮 特 性 に お よ ぽ す 影 響 が 十 分 に 把 損 さ れ な い ま ま , セ バ レ ー
シ ョ ン に 関 す る 研 究 が 中 断 さ れ た よ う に 見 受 け ら れ る 。
現在, セ パ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る こ と が 報 告 さ れ て い る
Non‑AcC
type
T M
CP
鋼 板 だ け で な く ,AcC
typeT M
CP
鋼 板 で も A r 3変 態 点 以 下 の 二 相 域 で 制 御 圧 延 し た 場 合 に は セ バ レ ー シ ヨ ン が 発 生 す る こ と が 考 え ら れ る 。 また, 二 相 域 で 制 御 圧 延 す る こ と に よ っ て , 両 type の T M C P鋼 板 は 従 来 の 研 究 で 報 告 さ れ て い る よ う な 優 れた 特 性 を 有 す る こ と が 推 察 さ れ , こ の よ う な 鋼 板 を 鋼 構 造 物 に 有 効 利 用 す る こ と は 意 義 が あ る と 考 え ら れ る 。 二 相 域 で 制 御 圧 延 を 行 っ た 鋼 板 が 鋼 構 造 物 へ 使 用 可 能 と な れ ば , 鋼 板 を 使 用 す る 側 に は , よ
り 低 い 炭 素 当 量 で も 高 強 度 で , か つ 高 靭 性 で , 優 れ た 脆 性 き 裂 伝 矯 停 止 特 性 を 有 し た 鋼 板 が 利 用 で き , さらに, 溶 接 性 が 非 常 に ょ い と い う 利 点 が あ る た め に , 経 済 的 で 高 性 能 な 鋼 構 造 物 を 製 作 す る こ と が で き る 。 また, 鋼 板 を 製 造 す る 側 に は , 圧 延 条 件 の 選 択 範 囲 が 広
く な る と い う 利 点 が あ る 。
二 相 域 で 制 御 圧 延 し た 鋼 板 の 長 所 を 有 効 に 利 用 す る た め に は , 圧 延 直 角 方 向 , お よ び 圧 延 面 内 45。 方 向 の 吸 収 エ ネ ル ギ } 低 下 や セ バ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る こ と に よ る 板 厚 方 向 の 破 壊 靭 性 が , 銅 梅 造 物 に 適 用 す る 場 合 に ど の 程 度 問 題 と な る の か を 明 ら か に す る 必 要 が あ る白 さらに, セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 量 に よ る 鋼 板 の 諸 特 性 へ の 影 響 度 を 定 量 的 に 抱 撮 す る 必 要 が あ る 。 また, セ バ レ ー シ ヨ ン の 発 生 量 を 定 量 的 に 評 価 す る 場 合 に , セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 霊 を 正 確 に 計 測 で き て い な い と い う 問 題 も あ る 。
そこで, 本 論 文 で は , まず, セ パ レ ー シ ヨ ン に 関 す る 従 来 の 研 究 内 容 を 整 理 す る 。 こ れ ら の 結 果 か ら , 二 相 域 圧 延 鋼 板 を 鋼 梅 造 物 に 実 用 化 す る 場 合 に 懸 念 さ れ て い る 特 性 に 関 す る 検 討 課 題 , お よ び 未 検 討 の 特 性 に 関 す る 課 題 に つ い て 整 理 す る 。 セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 の 影 響 度 を 定 量 的 に 評 価 す る 上 で 重 要 と な る セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 を 定 量 的 に 表 わ す た め の 計 測 基 猶 に つ い て 検 討 す る と と も に , 定 量 的 表 示 法 に つ い て 考 察 す る 。 懸 念 さ れ て い る 特 性 に 関 す る 検 討 課 題 に つ い て は , 同 じ 化 学 成 分 を 有 し , セ パ レ } シ ョ ン の 発 生 量 が 異 な る T M C P鋼 板 の 圧 延 方 向 や 板 厚 方 向 の 引 張 特 性 , 衝 撃 特 性 , お よ び 破 壊 靭 性 を 調 査 す る こ と に よ り , セ パ レ } シ ョ ン 発 生 量 が 鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぽ す 影 響 に つ い て 考 察 す る 。 さらに, 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 試 験 結 果 に よ り , 上 述 し た そ れ ぞ れ の 特 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 影 響 に つ い て 調 査 し , そ れ ぞ れ の 特 性 の 観 点 か ら セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 許 容 備 を 設 け る べ き か , 否 か を 考 察 する。
さらに, 二 相 域 圧 延 鋼 板 に 関 す る 未 検 討 の 特 性 に 関 す る 課 題 に つ い て 調 査 し , 二 相 域 圧 延 の 影 響 を 明 ら か に し て , そ の 挙 動 を モ デ ル 化 し た 解 析 法 を 提 案 す る 。 まず, 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 圧 延 方 向 や 板 厚 方 向 の 疲 労 強 度 を 調 査 し て , 二 相 域 圧 延 の 影 響 に つ い て 考 察 す る 。
ー
7
・また, 疲 労 破 面 に 現 わ れ る 微 小 セ バ レ ー シ ヨ ン が 疲 労 き 裂 伝 播 に お よ ぽ す 影 響 に つ い て 検 討 す る 。 セ バ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る 鋼 板 の 板 厚 貫 通 き 裂 , お よ び 表 面 き 裂 の 疲 労 き 裂 伝 機 挙 動 に つ い て 調 査 し て , 微 小 セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 影 響 を 考 慮 、 し た 疲 労 き 裂 の 伝 播 解 析 法 を 提 案 す る 。 こ の 解 析 法 を 利 用 し て 半 楕 円 表 面 き 裂 の 伝 播 挙 動 に お よ ぽ す 最 大 セ バ レ ー シ ョ ン 指 数 ( セ パ レ ー シ ョ ン 長 さ の 総 和 を 破 断 面 積 で 除 し た セ パ レ ー シ ョ ン 指 数 の 温 度 に 対 す る 分 布 の 最 大 値 ) の 影 響 に つ い て 考 察 す る 。 つ ぎ に , 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 を 調 査 し て , そ の 向 上 の 原 因 に つ い て 検 討 す る 。 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 商 内 破 填 靭 性 分 布 を 調 査 し , 脆 性 き 裂 の 折 れ 曲 が り 現 象 に つ い て 考 察 す る 。 また, 脆 性 き 裂 発 生 方 向 や 脆 性 き 裂 の 伝 播 経 路 を 推 定 す る 解 析 法 を 提 案 し て , 解 析 結 果 か ら , 脆 性 き 裂 伝 矯 停 止 特 性 向 上 の 原 因 に つ い て 考 察 す る 。
こ れ ら の 検 討 に よ り , 数 々 の 利 点 、 を 有 し て い る こ 相 域 で 制 御 圧 延 し た T M C P鋼 板 を 鯛 構 造 物 に 適 用 す る 上 で , 有 害 性 が 不 明 の ま ま 危 険 性 を 懸 念 さ れ て い る , セ バ レ ー シ ヨ ン の 発 生 が 鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぽ す 影 響 を 明 ら か に し て , 二 相 域 で 制 御 圧 延 し た T M C P鋼 板 の 実 用 化 の 可 能 性 を 探 る こ と を 目 的 と す る 。
1 . 3
本 論 文 の 構 成本 論 文 は ,
8
章 よ り 構 成 さ れ て い る 。第
1
章は, 序 論 で , 本 論 文 に お け る 研 究 の 背 景 と 目 的 に つ い て 述 べた。第
2
章 で は , 従 来 の 制 御 圧 延 法 に よ る 50キ ロ 級 高 張 力 鋼 板 に 発 生 す る セ パ レ ー シ ョ ン と T M C P型 の 50キ ロ 級 高 張 力 鋼 板 に 発 生 す る セ バ レ ー シ ヨ ン に お い て , 現 在 ま で に 行 わ れ た セ バ レ ー シ ョ ン に 関 す る 研 究 に つ い て 調 査 し た 結 果 を 整 理 し た 。第 3章 で は , 第 2章 で 調 査 し た 従 来 の 研 究 で 述 べ ら れ て い る セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 の 問 題 点 や 未 検 討 課 題 を 整 理 し て , 鯛 構 造 物 に 二 相 域 圧 延 鋼 板 を 実 用 化 す る た め の 検 討 課 題 を 明 ら か に し た 。 また, セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 の ミ ク ロ 組 織 や ピ ッ カ ー ス 硬 さ を 調 査 し た 。 きらに, セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 を 定 量 的 に 表 わ す た め の 手 法 , お よ び セ パ レ ー シ ョ ン の 計 測 方 法 に つ い て 検 討 し た ロ
第 4章 で は , 従 来 の 研 究 に よ っ て 問 題 視 さ れ て い る も の の , セ パ
レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 影 響 が 明 確 に さ れ て い な い 点 に つ い て 検 討 す る ために, 同 一 化 学 成 分 で セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 霊 を 変 え た
3
種 類 のNon‑AcC
typeT M C P
鋼 板 を 用 い て , 圧 延 方 向 や 板 厚 方 向 の 引 張 特性, 衝 撃 特 性 , お よ び 破 壊 靭 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 影 響 に つ い て 考 察 し た 。 また, 現 在 ま で に 試 験 し た セ バ レ ー シ ヨ ン を 発 生 す る , 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 引 張 特 性 , 衝 撃 特 性 , お よ び 破 壊 靭 性 に お よ ぽ す セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 影 響 に つ い て 調 査し, そ れ ぞ れ の 特 性 の 観 点 か ら セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 許 容 値 を 設 け る か , 否 か の 検 討 を 行 っ た 。第 5 章では, 従 来 の 研 究 で ほ と ん ど 検 討 さ れ て い な い 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 疲 労 強 度 , お よ び 疲 労 き 裂 伝 播 挙 動 に つ い て 調 査 し , 疲 労 破 面 に 発 生 し た 微 小 セ バ レ ー シ ョ ン が 疲 労 き 裂 伝 播 挙 動 に お よ ぽ す 影 響 に つ い て 考 察 し た 。 また, 微 小 セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 の 影 響 を 考 慮 し た 疲 労 き 裂 の 伝 播 解 析 法 を 提 案 し , こ の 解 析 法 を 半 楕 円 表 面 き 裂 の 伝 播 に 適 用 し て 最 大 セ バ レ ー シ ョ ン 指 数 の 影 響 に つ い て 考 察 し た 。
第
6
章では, 従 来 の 研 究 に よ っ て 報 告 さ れ て い る こ 相 域 圧 延 鋼 板 の 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 の 向 上 の 原 因 に つ い て 考 察 し た 。 また, 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 が 向 上 す る 鋼 板 に お い て , 脆 性 き 裂 が 折 れ 曲 が る 現 象 の 原 因 に つ い て 考 察 し て 脆 性 き 裂 の 折 れ 曲 が る 方 向 と そ の 伝 播 経 路 を 解 析 す る 方 法 を 提 案 し た 。 さらに, 種 々 の 化 学 成 分 を 有 す る 鋼 板 の 試 験 結 果 か ら , 脆 性 き 裂 伝 播 停 止 特 性 に お よ ぽ す 最 大 セ パ レ } シ ヨ ン 指 数 の 影 響 に つ い て 考 察 し た 。第
7
章では, 前 章 ま で の 結 果 に 基 っ き , 二 相 域 圧 延 鋼 板 の 総 合 評 価 を 行 っ た 。第 8章では, 前 章 ま で に 得 ら れ た 主 要 な 結 論 を 述 べ た 。
‑ 9 ‑
1 . 4
本 論 文 で 使 用 す る 試 験 方 向 を 表 わ す 記 号 説 明本 論 文 に お い て 調 査 す る 試 験 方 向 は ,
Fig.l.3
に 示 す よ う に 鋼 板 の 圧 延 方 向 に 対 す る 試 験 片 の 方 向 に よ っ て 表 わ し , 図 中 に 示 し た 記 号 を 用 い る こ と に す る 。T ( R90 ) Direction : 900 to Rolling Direction
﹁ ︐ li l‑
‑t '1 11 11 11 11 21 11
﹂1
Tt II EE I﹄
El st il li
‑‑ 11 11 1i ri s‑
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1l 'l '1 21 ai ES
‑‑ t﹄' EE L
R60 Direction : 600 to Rolling Direction
R45 Direction : 450 to Rolling Direction
R30 Direction
300 to Rolling Direction
Rolling Direction
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ミ ‑‑‑‑‑‑‑‑00 to Rolling Direction
Z Direction : Thickness Direction
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Fig. 1.3 Indication method of testing directions
負き 2 重量
セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 す る 鋼 板 に 関 す る 従 来 の 研 究
‑ 1 1
・2. 1
緒 言以前, イ ン ゴ ッ ト で 製 造 さ れ て い た セ ミ キ ル ド 銅 に お い て , し ば し ば ラ ミ ネ ー シ ヨ ン と 呼 ば れ る 層 状 の 内 部 欠 陥 が 存 在 し , ガ ス 切 断 が 不 可 能 に な っ た り , 試 験 片 の 主 破 面 に お い て 圧 延 面 に 平 行 な 割 れ が 観 察 さ れ る こ と が あ っ た 。 しかし, 連 続 鋳 遣 さ れ る よ う に な っ て イ オ ウ 含 有 量 や リ ン 含 有 量 の 低 減 技 術 が 進 歩 し た た め に , 従 来 の ラ
ミ ネ ー シ ョ ン は ほ と ん ど 認 め ら れ な く な っ た 。
と こ ろ が , 制 御 圧 延 技 術 の 噂 入 に 伴 っ て , 鋼 板 を 破 壊 さ せ た 場 合 に セ パ レ } シ ョ ン と 呼 ば れ る 圧 延 面 に 平 行 な 割 れ が 主 破 面 に 観 察 さ れ る よ う に な り , セ パ レ ー シ ョ ン の 発 生 機 構 や セ パ レ ー シ ヨ ン を 発 生 す る 鋼 板 の 使 用 性 能 に 関 し て 研 究 が 進 め ら れ る よ う に な っ た 。 こ の セ バ レ ー シ ヨ ン は , シ ヤ ル ピ ー 試 験 片 の 破 面 に 観 察 さ れ る 形 態 が ラ ミ ネ ー シ ヨ ン と 類 似 し て い る た め , し ば し ば ラ ミ ネ ー シ ヨ ン と 混 同 さ れ た り , ラ ミ ネ ー シ ヨ ン と 同 様 に 鋼 板 の 諸 特 性 が 劣 化 し て い る の で は な い か と の 推 察 の み で , 鋼 構 造 物 の 安 全 上 問 題 が あ る と さ れ て い る 。
従 来 の セ パ レ ー シ ョ ン に 関 す る 研 究 は ,
1970
年 代 初 め 頃 か ら 従 来 型 の 制 御 圧 延 を し た ラ イ ン パ イ プ 周 鋼 板 を 対 象 に し て , また,1970
年 代 後 半 か ら はT M C P
鋼 板 を 対 象 に し て , 製 鉄 所 の 研 究 に よ り そ の 成 果 が 報 告 さ れ て い る 。 こ れ ら の 報 告 で は , セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 冶 金 的 要 因 , セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 に お よ ぽ す 各 種 合 金 元 素 含 有 量 の 影 響 , お よ び セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 が 鋼 板 の 強 度 や 靭 性 に お よ ぽ す 影 響 に つ い て , 主 に 冶 金 学 的 な 見 地 よ り 検 討 さ れ て い る 。 また,セ パ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る 鋼 板 の シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 に お け る 吸 収 エ ネ ル ギ ー 量 の 変 化 や 脆 性 破 面 率 遷 移 温 度 の 変 化 に つ い て 定 性 的 に 明 ら か に さ れ て い る 。
しかし,
Non‑AcC type T M C P
法 に お い てA
r 3変 態 点 以 下 の 温 度 域 で の 制 御 圧 延 が 避 け ら れ た り ,A
r 3変 態 点 付 近 で の 制 御 圧 延 終 了 直 後 に 制 御 冷 却 す るAcC type T M
CP
法 に よ り 鋼 板 が 製 造 さ れ る よ う に な っ て セ パ レ } シ ョ ン の 発 生 が ほ と ん ど 認 め ら れ な く な り ,1980
年 代 中 頃 か ら は , 著 者 ら の 報 告 以 外 に , セ パ レ ー シ ョ ン に 関 す る 研 究 は ま っ た く 公 表 さ れ て い な い 。本 章 で は , 本 論 文 に お い て 取 り 扱 う 研 究 項 目 を 明 確 に す る た め に , 現 在 ま で に 報 告 さ れ て い る セ パ レ ー シ ョ ン に 関 す る 研 究 成 果 に つ い
て 調 査 し , そ の 結 果 を 整 理 す る 。
調 査 結 果 は , 冶 金 学 的 観 点 か ら の セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 要 因 や セ パ レ ー シ ョ ン 形 成 機 構 に 関 す る も の , セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 法 に 関 す る も の , お よ び セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 が 鋼 板 の 諸 特 性 に お よ ぽ す 影 響 に 関 す る も の に 分 け て , そ の 内 容 を 整 理 し た 。
2 . 2
セ バ レ ー シ ヨ ン の 発 生 要 因 と 発 生 条 件1970
年 代 前 半 に 発 表 さ れ た 報 告 の 大 部 分 は , 従 来 型 の 制 御 圧 延 を 行 っ た ラ イ ン パ イ プ 用 鋼 板 を , また,1970
年 代 後 半 か ら の 報 告 の ほ と ん ど はT M C P
鋼 板 を 対 象 と し て い る 白 主 な セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 要 因 と し て は , 非 金 属 介 在 物 の 影 響 , 集 合 組 織 の 影 響 , バ ン ド 組 織 の 影 響 , お よ び 焼 き 戻 し 脆 性 の 影 響 に 分 け ら れ る 。 こ れ ら の 発 生 要 因 を ま と め る と 以 下 の よ う に な る 。1
) 非 金 属 介 在 物 の 影 響飯 野 2 . 1 )は, セ バ レ ー シ ヨ ン ( 著 者 は ラ ミ ネ ー シ ヨ ン と 似 て い る た め に デ ラ ミ ネ ー シ ョ ン と 名 付 け て い る 。 ) の 発 生 点 は , 圧 延 で 延 び た 非 金 属 介 在 物 (
M
nS
) で あ る こ と を 明 ら か にし て い る 。 その他,
N
含 有 量 2.2), お よ び ,P
含 有 量 やM o
含 有 量 2 . 3 ) が セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 量 に お よ ぽ す 影 響 に つ い ても 調 査 さ れ て い る 。
と こ ろ が , Kozasuら2. 4 )は, 伸 長 さ れ た 大 型 介 在 物 が セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 の 原 因 と な る が , 介 在 物 だ け で は 大 き く 伝 播 し な い こ と を 示 し て い る ロ また, 稲 垣 ら 2. 5 )は, 極 低
S
化 に よ り 介 在 物 を 減 少 さ せ ,C
a添 加 に よ り 介 在 物 を 球 状 化 し て も セ パ レ ー シ ョ ン は 発 生 す る と 述 べ て い る 。2
) 集 合 組 織 の 影 響セ バ レ ー シ ョ ン が 発 生 す る 要 因 と し て 集 合 組 織 の 影 響 を 指 摘 す る 報 告 に は 若 干 の 異 論 が あ り , 二 つ の 機 構 が 提 案 さ れ て い る 。
最 も 一 般 的 に 知 ら れ た セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 機 構 は , 圧 延 面 に 平 行 な {
1 0 0 }
集 合 組 織 が 発 達 し て ,z
方 向 の 靭 性 が 低 下 す る た め で あ る と い う 説 で あ る 。 こ の 説 に よ る 三 好 ら 2. 6 )は, セ パレ ー シ ヨ ン は 圧 延 面 に 平 行 に 存 在 す る 腕 化 層 に 起 因 し , そ の 脆 化 層 の 成 因 は , 低 温 領 域 で の 圧 延 に よ り 形 成 さ れ る 圧 延 面 に 平 行 な {
1 0 0 }
集 合 組 織 と 密 接 な 関 係 が あ る こ と を 明 ら か に し て おり, 柚 烏 ら 2 . 7 ) • 2 . 8 )は, 仕 上 げ 圧 延 温 度 が 低 い ほ ど 強 い 集‑ 1 3
・合 組 織 が 発 達 し , セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 は ブ エ ラ イ ト + オ ー ス テ ナ イ ト 域 で 圧 延 さ れ た 鋼 板 で 著 し い こ と を 明 ら か に し て い る 。
しかし, ブ エ ラ イ ト 相 で の 圧 延 集 合 組 織 は ,
{100}
よ り も{ 111}
の ほ う が 強 く 発 達 す る こ と , セ パ レ ー シ ヨ ン 面 に は 努 関 破 壊 以 外 に 粒 界 割 れ が 存 在 す る こ と , 塑 性 変 形 を 生 ず る よ う な シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 に お け る 破 面 遷 移 温 度 領 域 で 多 く 発 生 す る こ と な ど の 理 由 に よ り , 集 合 組 織 に よ る 参 考 関 税 の み で は セ バレ ー シ ヨ ン 発 生 機 構 を 統 一 的 に 説 明 す る こ と が 困 難 と な っ た 。 そこで,
Chao
2 .9 )に よ る{100}
, お よ び {111
} 集 合 組 織 の 塑 性 異 方 性 に 着 目 し て , 松 田 ら 2• 1 o )は, こ れ ら の 集 合 組 織 の 塑 性 異 方 性 に よ り 二 相 域 で 制 御 圧 延 さ れ た 鋼 板 の セ バ レ ー シ ョン 発 生 機 構 を 提 案 し た 。 こ の 説 は , 二 相 域 に お け る 制 御 圧 延 に よ り {
100}
と {111}
集 合 組 織 が 発 達 し て 集 合 組 織 の 増 加 に つ れ て{100}
,{111}
コ ロ ニ ー サ イ ズ は 大 き く な り 圧 延 面 に 平 行 な 層 状 に 分 布 す る こ と , および, 主 き 裂 の 発 生 に 先 立 っ て 局 所 的 な 塑 性 変 形 が 生 じ て い る こ と を 考 慮 し て ,z
方 向 の 収 縮 が 極 め て 容 易 な {100}
コ ロ ニ ー と 収 縮 が 困 難 な {111}
コ ロ ニ ー と の 境 界 に お い て , 三 軸 拘 束 場 の た め に 発 生 す るZ
方 向 応 力 に よ り 塑 性 変 形 が 増 加 し て そ の 連 続 性 を 維 持 す る こ と が 困 難 に な ると, 両 コ ロ ニ ー の 境 界 に 沿 っ た 割 れ の 起 点 が 形 成 さ れ て セ バレ ー シ ヨ ン の 発 生 に 到 る と い う も の で あ る 。
3
) セ メ ン タ イ ト 層 状 組 織 の 影 響稲 垣 ら 2 . 1 1 ) に よ っ て 提 案 さ れ た セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 機 構 は , 切 欠 先 端 近 傍 の 弾 塑 性 境 界 上 で
(100)
, ,̲(311) (011)
方 位 の 粗 大 コ ロ ニ ー 内 の パ ー ラ イ ト に 割 れ が 生 じ た 後 , こ の 割 れ が 脆 性 き 裂 と な っ て 隣 接 し た 粗 大 コ ロ ニ ー へ 伝 播 し て , 臨 界 サ イズ を 越 え る と セ バ レ ー シ ョ ン は 力 学 的 効 果 に よ り 種 々 の 異 方 位 の コ ロ ニ ー を 突 破 し て 成 長 す る と い う も の で あ る 。 なお, セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 の 温 度 依 存 性 は ,
z
方 向 の 脆 性 破 綴 応 力 と L,T方 向 の 破 嬢 応 力 と の 温 度 依 存 性 の 差 に よ り 説 明 さ れ ,
z
方 向 が 延 性 破 壊 す る よ う に な る と セ パ レ } シ ョ ン は 発 生 し な い よ う に な る と し て い る 。丁 子 ら 2. 1 2 )は, 高 強 度 制 御 圧 延 鋼 板 を 製 造 す る 場 合 に , C r を 添 加 す る こ と に よ り セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 が 減 少 す る こ と を 明 ら か に し , こ の C rの セ パ レ } シ ヨ ン 抑 制 効 果 は 層 状 組 織 の
軽 減 に よ る も の と 思 わ れ る と 述 べ て い る 。
森 ら 2. 1 3 )は, 集 合 組 織 の み で な く , 従 来 の 制 御 圧 延 鋼 板 の 圧 延 面 に 平 行 な 広 が り を も っ パ ー ラ イ ト , ま た は ベ ー ナ イ ト か
ら な る 層 状 組 織 に よ っ て も , セ パ レ ー シ ョ ン の 発 生 量 , お よ び 発 生 過 程 は 変 化 し , (200) 相 対 強 度 , お よ び 層 状 組 織 密 度 が 大 き く な る ほ ど , セ パ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 は 多 く , こ れ ら い ず れ が 大 き く て も セ バ レ ー シ ョ ン は よ り 早 期 に 形 成 さ れ る こ と を 明 ら か に し て い る 。 また, セ パ レ ー シ ョ ン の 発 生 時 期 は , 主 破 面 形 成 よ り 先 行 し て 発 生 す る 場 合 , 主 破 面 形 成 と 同 時 期 に 発 生 す る場合, お よ び 主 破 面 形 成 よ り 遅 れ て 発 生 す る 場 合 が あ る こ と を 示 し て い る 。
岡 部 ら 2. 1 4 )は, T M C P 鋼 に お い て 層 状 組 織 の 存 在 が セ パ レ } シ ヨ ン の 発 生 を 容 易 に す る と 同 時 に そ の 伝 播 経 路 と な る こ と に よ っ て , 層 状 組 織 密 度 が 高 い ほ ど セ バ レ ー シ ヨ ン 発 生 量 は 増 加 す る こ と , また, (100) 集 合 組 織 は セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 や 伝 播 に 対 し て 層 状 組 織 と 同 様 の 影 響 を 与 え る が , 硫 化 物 系 非 金 属 介 在 物 は セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 に 必 要 な エ ネ ル ギ ー を 低 下 さ せ る だ け で , 伝 播 に は 大 き な 影 響 を 与 え な い こ と を 明 ら か に し て い る 。
. 4
) 偏 析 層 の 影 響福 田 ら 2. 1 5 )は, ホ ッ ト ・ コ イ ル に 発 生 す る セ パ レ ー シ ヨ ン は, 焼 き 戻 し 脆 性 促 進 元 素 で あ る P, M nの 増 量 で 顕 著 と な り , 焼 き 戻 し 脆 性 抑 制 元 素 で あ る M 。 の 増 量 と と も に 著 し く 減 少 す
ること, セ バ レ ー シ ョ ン は Pの 偏 析 層 と 対 応 が よ く , セ パ レ ー シ ョ ン に は 優 先 的 に ブ エ ラ イ ト の 粒 界 割 れ が 認 め ら れ る こ と な ど を 明 ら か に し て い る 。 そ れ ら の 結 果 か ら , ホ ッ ト ・ コ イ ル に 発 生 す る セ バ レ ー シ ョ ン は , pの 偏 析 層 内 に 含 ま れ る フ ェ ラ イ ト 粒 の 粒 界 へ の 巻 き 取 り 後 の 除 冷 中 に 生 じ た Pの 微 視 的 な 移 動 に 基 づ く 焼 き 戻 し 脆 性 に 起 因 す る と 推 察 し て い るD
三 好 ら 2. 1 6 )は, セ バ レ ー シ ヨ ン の 生 成 を 促 進 す る 要 因 と し て は , 低 温 圧 延 条 件 の 強 化 ( 加 工 度 の 増 大 , 仕 上 げ 圧 延 温 度 の 低 下 ) や , ス ラ プ 加 熱 温 度 の 低 下 が 影 響 す る こ と を , また, 低 温 圧 延 後 の 焼 き 戻しは, セ バ レ ー シ ョ ン の 生 成 を 抑 制 し て 防 止 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。 さらに, 圧 延 後 の 冷 却 速 度 , 圧 延 後 の 焼 き な ら し ,
s
含有量, お よ び 硫 化 物 の 形 態 制 御 な ど は , セ パ レ ー シ ョ ン の 生 成 に 無
‑ 1 5
・関 係 で あ る と 述 べ て い る 。
以 上 の よ う な セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 要 因 に 関 す る 研 究 と 共 に , セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 条 件 や 発 生 機 構 に つ い て の 研 究 も 行 わ れ て い る 。
引 張 試 験 に お い て は , セ パ レ ー シ ヨ ン は 破 断 寸 前 の 伸 び が 25% と な る 時 点 で 発 生 す る こ と , また, セ バ レ ー シ ヨ ン が 発 生 す る 鋼 板 で は, 最 高 荷 重 を 過 ぎ た
15
% 伸 び 以 上 で ポ イ ド が 生 成 し 始 め , 歪 の 増 加 と と も に ポ イ ド は 成 長 し て , 破 断 寸 前 で 急 激 に ポ イ ド の 合 体 が 進 み セ バ レ ー シ ヨ ン が 発 生 し た 後 に 破 断 す る が , セ バ レ ー シ ョ ン を 発 生 し な い 鯛 で は ,2 0
% 伸 び 以 上 で ポ イ ド が 生 成 し 始 め , 歪 の 増 加 と と も に ボ イ ド は 成 長 す る が , セ パ レ } シ ョ ン を 発 生 す る こ と な く 破 断 す る こ と を , 山 口 ら 2. 1 7 ) が 明 ら か に し て い る 。柚 鳥 ら 2 . 8 )は, シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 結 果 か ら 仕 上 げ 圧 延 温 度 を 低 下 さ せ る と セ パ レ } シ ョ ン 発 生 開 始 温 度 が 上 昇 し , 再 結 晶 オ ー ス テ ナ イ ト 域 圧 延 率 を 増 大 さ せ る と セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 開 始 温 度 や セ パ レ } シ ョ ン 最 大 発 生 温 度 が 低 温 側 に 移 行 す る こ と を 明 ら か に し て い る。 さらに, セ バ レ ー シ ョ ン 発 生 開 始 温 度 は uTrs
(Z)
に, セ バレ ー シ ョ ン 最 大 発 生 温 度 は υ Tr S (L) に, セ バ レ ー シ ョ ン 最 大 発 生 数 は υTrS (L) とuTrs (Z) の 差 の 大 き さ に 依 存 す る こ と を 明
ら か に し て い る 白 また, υTrS (L) とuTrs (Z) が ほ ぼ 等 し い 場 合 に は セ バ レ ー シ ョ ン の 発 生 は 認 め ら れ な く な る と 述 べ て い る 。
稲 垣 ら 2. 1 8 )は, セ パ レ ー シ ヨ ン 発 生 条 件 を 破 壊 靭 性 に よ っ て 検 討し,
L
,R 4 5
, お よ びT
方 向 に お け る 破 壊 時 の 応 力 拡 大 係 数 (K
値 ) がZ
方 向 よ り 高 く な っ て 延 性 破 壊 を 生 じ 始 め る 温 度 で セ パ レ ーシ ョ ン が 発 生 し 始 め ,
L
,R 4 5
, お よ びT
方 向 に お け る 全 面 隊 伏 時 の K値 と Z方 向 の 破 壊 時 の K値 が 等 し く な り 始 め る 温 度 で セ バ レ ー シ ヨ ン が 発 生 し な く な る 傾 向 が あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。2 . 3
セ パ レ ー シ ョ ン 発 生 量 の 定 量 的 表 示 法セ バ レ ー シ ョ ン は , 二 相 域 に お い て 制 御 圧 延 さ れ た Non‑AcC type T M C P鋼 板 の み に 発 生 す る も の で は な く , 従 来 の 制 御 圧 延 を し た パ イ プ ラ イ ン 用 鋼 板 が 破 壊 し た 場 合 に も 認 め ら れ る 現 象 で あ る 。 そ こで, パ イ プ ラ イ ン 用 鋼 板 , お よ び T M C P鋼 板 が 破 壊 し た 場 合 に 発 生 す る セ パ レ ー シ ョ ン を 対 象 に し て 調 査 し た 結 果 , 現 在 ま で に 報 告 さ れ て い る セ バ レ ー シ ョ ン の 定 量 的 表 示 方 法 に は , 次 の よ う な も
の が あ っ た 。
1 )
シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 破 面 上 に お け る セ パ レ ー シ ヨ ン 長 さ の 合 計 2. t )2 )
シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 破 面 上 のlmm
以 上 の セ バ レ ー シ ョ ン 長 さ の 総 和 を 破 面 の 面 積 で 除 し た 値 2. t )3) シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 の 破 面 に , 板 厚 方 向 に
O.5mm
間 隔 の 平 行 線 を 引 き , こ れ ら と セ パ レ ー シ ヨ ン と の 交 点 の 総 数 2. 2 )4) 引 張 試 験 片 に お い て , 破 断 部 近 傍 の 試 験 片 表 面 に 現 れ た セ パ レ ー シ ヨ ン の 長 さ 2. 3 )
5 ) T
方 向 の シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 破 面 を5
倍 の 投 影 機 で 測 定 し た セ バ レ ー シ ョ ン の 長 さ の 総 和 2. t 4 )6) シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 の 破 面 を 貫 通 す る 約
8mm
の 長 さ の も の を 1本 と し た 本 数 2 . t 5 )7 )
シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 の 破 面 を ほ ぼ 貫 通 す る 長 さ を 有 す る も の を1
本 と し た 本 数 2. t 6 )8)
シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 の 破 面 上 に 現 れ た セ パ レ ー シ ョ ン の 数 2 . t 9 )9) シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 片 破 面 上 の セ パ レ ー シ ョ ン 長 さ を 破 断 長 さ (8 m m) で 除 し た 値 の 総 和 2. 2 " )
10)
シ ヤ ル ピ ー 衝 撃 試 験 ,D W T T
, プ レ ク ラ ッ クD W T T
, お よ び 実 管 試 験 の 試 験 片 破 面 上 に お い て , 主 破 面 が セ バ レ ーシ ョ ン を 断 ち 切 っ て 破 壊 し た 場 合 と , 主 破 面 が セ バ レ ー シ ヨ ン の 間 で 明 断 破 緩 し た 場 合 の セ バ レ ー シ ョ ン の う ち 長 さ
lmm
以 上 の も の の 総 和 を 破 断 面 積 で 除 し た 値 2. 2 t )1 1 )
破 壊 靭 性 試 験 し たC T
型 試 験 片 や 三 点 曲 げ 試 験 片 の 破 面 上 の セ バ レ ー シ ョ ン 深 さ の 総 和 を 試 験 片 板 厚 で 除 し た 値 2. 2 2 )以 上 の 結 果 か ら , 安 藤 ら 2 . 22)の Separation Depth lndex ( 評 価 法