伝達影響係数法による大規模構造物の振動解析に関 する研究
井上, 卓見
Graduate School of Engineering, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3099882
出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
平成6年 12月
九州大学大学院工学研究科 機械工学専攻
井 上 卓 見
第 1章 序 論
1 . 1 大 規 模 構 造 物 の 線 形 振 動 解 析 に 関 す る 従 来 の 研 究 1.2 多 自 由 度 系 の 非 線 形 振 動 解 析 に 関 す る 従 来 の 研 究 1.3 本 研 究 の 目 的
第 2章 二次元,三次元樹状構造物の線形強制振動解析 2.1 面 内 縦 ・ 曲 げ 連 成 強 制 振 動 解 析
1 1 A 4
ハUベdベd
唱‑ ‑
A ' a a
‑ ‑ 噌 ・
E a・
2.1.1 解 析 モ デ ル 15
2.1.2 動 的 影 響 係 数 マ ト リ ッ ク ス と 変 位 の 補 正 ベ ク ト ル 16 2.1.3 動 的 影 響 係 数 お よ び 補 正 ベ ク ト ル の 伝 達 員U 18
2.1.4 系 の 左 端 の 取 扱 い 21
2.1.5 状 態 変 数 ベ ク ト ル の 伝 達 計 算 21
2.1.6 強 制 変 位 励 振 22
2.2 縦 ・ 曲 げ ・ ね じ り 連 成 強 制 振 動 解 析 2.2.1 状 態 変 数 の 定 義
2.2.2 座 標 変 換
2.2.3 伝 達 影 響 係 数 法 の 適 用 2.3 数 値 計 算 結 果
2.4 まとめ
第3章 逆 反 復 法 に 対 す る 伝 達 影 響 係 数 法 の 適 用 3.1 直 線 状 は り 構 造 物 の 自 由 振 動 解 析 3.2 逆 反 復 法 の 基 本 原 理 と 初 期 値 の 設 定 法
3.2.1 基 本 原 理
3.2.2 初 期 値 の 設 定 法 3.3 伝 達 影 響 係 数 法 の 適 用
3.3.1 動 的 影 響 係 数 と 変 位 補 正 量 3.3.2 連 立 方 程 式 の 解 法
3.3.3 計 算 手 順 の ま と め
4 4 5 7 7 4 5 5 7 7 7 9 9 0 2 2 2 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3 3 4 4
3.4 複 素 固 有 値 問 題 43
3.5 数 値 計 算 結 果 44
3.5.1 実固有値問題 45
3.5.2 複素固有値問題 49
3.6 まとめ 53
第4章 直列形非線形構造物の強制振動解析 54
4.1 増分伝達影響係数法のための準備 54
4.1.1 節 点jの質点の運動方程式 55
4.1.2 運動方程式の増分表示 56
4.1.3 近似解の仮定 56
4.1.4 力 お よ び そ の 増 分 57
4.1.5 奇数次解の取扱い 58
4.1.6 増 分 調 和 バ ラ ン ス 法 59
4.2 増分伝達影響係数法の定式化 60
4.2.1
1 j
お よ びDjの導入 614.2.2 r;.お よ びDjの伝達計算則の導出 61
4.2.3 系の左端の取扱い 61
4.2.4 IlX}の計算 62
4.2.5 計算手順のまとめ 62
4.3 噌分伝達マトリックス法的な取扱い 63
4.4 断 片 線 形 系 の 取 扱 い 64
4.5 数 値 計 算 結 果 67
4.5.1 計算時間およびメモリ量の比較 68
4.5.2 計算精度の比較 69
4.5.3 区分積分法の計算精度 69
4.6 まとめ 72
第 5章 定常周期解の安定判別法 74
5.1 基礎的事項 74
5.1 .1 変分方程式 74
5.1.2 フ ロ ー ケ の 定 理
5.1.3 特 性 指 数μの 決 定 方 程 式 5.1.4 一般 的 判 別 法
5.2 無 限 次 元 行 列 式 の 性 質
5.3 ベ ク ト ル 軌 跡 法 に よ る 安 定 判 別 5.3.1 偏 角 原 理 の 応 用
5.3.2 像 曲 線Fの 回 転 数
5.3.3 ベ ク ト ル 軌 跡 法 の 能 率 的 な 計 算 方 法 5.3.4 奇 数 次 解 の 場 合
5.3.5 不 安 定 領 域 の 類 別 5.4 数 値 計 算 結 果
5.4.1 連 続3次 曲 線 ぱ ね 非 線 形 系 の 周 波 数 特 性 5.4.2 断 片 線 形 系 の 周 波 数 特 性
5 5 6 7 8 9 9 0 2 2 4 5 3
司IウI勺I
弓 / 守
f勺f勺
I 0 0 0 0 0 0 0 0 0 o n y
5.4.3 主 特 性 指 数 の 計 算 精 度 に 対 す る 考 察 98
5.5 まとめ 104
第6章 結 論 106
謝 辞 109
参 考 文 献 110
付 録 1 左 固 有 ベ ク ト ル の 計 算 方 法 118
付 録 2 無 減 衰 対 称 形 1自 由 度 ガ タ 系 の 厳 密 解 の フ ー リ エ 級 数 表 示 122
1.1 大 規 模 構 造 物 の 線 形 振 動 解 析 に 関 す る 従 来 の 研 究
大 規 模 構 造 物 を 線 形 系 と し て 取 扱 っ た 振 動 ・ 構 造 解 析 は , コ ン ピ ュ ー タ の 発 達 とともに幅広く行われてきており,解析手法に関しでも研究および開発が精力的 に 続 け ら れ て い る . 最 近 の 半 導 体 技 術 の 発 達 は , パ ー ソ ナ ル コ ン ビ ュ ー タ (PC) やエンジニアリング・ワークステーション (EWS)な ど に お い て も , 大 き な 性 能 向 上をもたらし,ハードウェア的にはかつての大型計算機並みの処理も行なえるよ うになってきた. しかしながら,従来の振動・構造解析手法をそのまま適用する のでは,計算精度,計算時間および記憶容量の問題が障害となり,特にオベレー テ ィ ン グ シ ス テ ム (OS)な ど の 基 本 ソ フ ト ウ ェ ア に 制 約 の 多 いPCで は , こ れ ら が深刻な問題となり得る.そのため,現状のPCあるいはEWSなどでも,振動・
構 造 工 学 上 重 要 な 諸 問 題 に 対 し て , 十 分 に 高 速 か っ 高 精 度 の 解 析 を 可 能 と す る 手 法の開発が切望されている.
大規模系の振動・構造解析手法としてよく用いられるものでは,有限要素法(1)
お よ び 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法(2)な ど を 挙 げ る こ と が で き る . 有 限 要 素 法 は , 大 規 模かつ複雑な構造物に対しても原理的にはまったく問題なく取扱いが可能であり,
プログラム開発も比較的容易に行なえるため,汎用性の面では非常に優れた手法 である.また,多くの市販ソフトも存在することから,振動・構造解析に限らず 様々な分野で活発に利用されている. しかしながら,数値計算的には,一般に大 規模な線形連立方程式の解法に帰着され,高速かつ大容量の計算機による解析を 余 儀 な く さ れ る の が 現 状 で あ る . 有 限 要 素 法 に 対 し て も , 計 算 速 度 の 向 上 お よ び 必要なメモリ量の低減など,数多くの工夫もなされてはいるが,上記の性質を娘 本 的 に 変 化 ・ 改 善 さ せ る も の で は な く , 基 本 的 に は 高 級EWS以 上 の 計 算 機 向 き の手法であるといえよう.したがって,後述する本研究の目的に鑑み,以下では 有限要素法に関して更なる言及は行わないこととする.
一 方 , 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法 は , 特 に 直 列 状 構 造 物 の 解 析 に 適 し て お り , 有 限 要 素法に比べて要素内の変位関数に厳密解を使用し得ること,一般に計算時間およ び 記 憶 容 量 が は る か に 少 な く て す む な ど の 利 点 が あ り , 有 限 要 素 法 よ り は PCあ
るいはEWSに 適 し た 手 法 と い え る . そ れ ゆ え , 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法 は , そ の 歴 史 的 概 観 が 文(3)の 学 位 論 文 に 詳 し く 記 さ れ て い る よ う に , 実 用 的 な 面 で 様 々 な 振動・構造解析に利用されるようになってきた.
しかしながら,伝達マトリックス法に対しては,自由振動解析において高次の 固 有 振 動 数 を 求 め る 場 合 や , 構 造 物 の 中 間 に 半 固 定 の よ う な 硬 い 弾 性 支 持 が 存 在 す る 場 合 , あ る い は , 層 状 構 造 物 の 中 間 に 層 間 の 硬 い 支 持 が 存 在 す る 場 合 な ど の 数 値 計 算 上 の 難 点 (4)ー(6)が 指 摘 さ れ , 細 長 い 構 造 物 を 分 布 系 と し て 取 扱 っ た 場 合(7),(8), 同 じ 引 数 を 持 つ 指 数 関 数 と 三 角 関 数 の 和 ( 差 ) に 起 因 す る 桁 落 ち が生じ得る (9)な ど , 様 々 な 問 題 を 抱 え て い る こ と も 指 摘 さ れ て い る . こ れ ら を 克服するために提案された改良法としては, Riccati法(10)や Frontal法(11)などが ある. Riccati法 は 系 の 左 端 の 条 件 や 中 間 条 件 な ど に よ り 状 態 変 数 の 入 れ 替 え を 行い, Frontal法 は 系 の 各 分 割 点 で 未 知 と 既 知 状 態 変 数 に 分 け , 既 知 変 数 を 消 去 す る 方 法 で あ る . と も に 計 算 精 度 を 保 持 し よ う と す る 点 で 確 か に 有 効 な 方 法 で は あるが,状態変数の入れ替えなどでプログラムの構造が複雑になったり,伝達マ トリックス要素間または要素内に数値的アンバランスが生じていると,計算精度 保 持 の ア ル ゴ リ ズ ム が 有 効 に 働 か な い こ と が あ る . ま た , こ れ ら の 方 法 の 振 動 数 方 程 式 に は 固 有 振 動 数 で あ る 零 点 ( 真 の 根 ) の ほ か に 極 が 多 数 存 在 す る に も か か わ ら ず , 文 献(10),(11)で は こ の 極 の 発 生 に つ い て 言 及 さ れ て い な い . さ ら に , 振動数方程式の解法として一般に用いられる二分法(12)を 適 用 し た 場 合 , 零 点 で ある真の根と反対称極である偽の恨の区別のために特別の工夫が必要となること,
お よ び 両 者 が 極 め て 接 近 し た 場 合 に は 真 の 根 の 求 解 が 不 可 能 と さ え な る な ど , 数 値計算,計算時間の面でまだ問題の残るものである.
上述のような伝達マトリックス法による自由振動解析の問題点を克服する形で,
末 岡 ・ 近 藤 ら に よ り 新 た に 提 案 さ れ た 解 析 手 法 が 伝 達 影 響 係 数 法 で あ る (13)‑(23).
伝 達 影 響 係 数 法 は , 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法 と 適 用 対 象 が 類 似 し て お り , 対 象 構 造 物 を仮想的にいくつかの基本要素に分割する取扱いも同様であるが,各分割点で広 義 の 変 位 ベ ク ト ル と 広 義 の カ ベ ク ト ル と の 間 の 関 係 を 表 す よ う に 定 義 さ れ た , 動 的影響係数マトリックスの逐次伝達概念に基づく解法であることが伝達マトリッ クス法と異なる点である.伝達マトリックス法は,状態変数ベクトルを順次伝達
させる概念に基づく解法であり,その伝達のためのマトリックス(格問および格 点伝達マトリックス)が影響係数と剛性係数の混在する形となっているため,系 の 中 間 に 半 固 定 の よ う な 硬 い 弾 性 支 持 が 存 在 す る と , 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 内 に 数 値 的 ア ン バ ラ ン ス が 生 じ , 桁 落 ち な ど の 数 値 的 不 安 定 現 象 が 生 じ る 要 因 と な っ て い る.これに対し,伝達影響係数法は,動的影響係数マトリックス(同JI性マトリッ クスの逆マトリックス)の伝達計算であるため,中間の硬い弾性支持に対しても マトリックス内の数値は小さくなり,逆に弾性支持が存在しない場合でも慣性力 や慣性偶カの影響で相応の値が存在する. したがって,数値的不安定の恐れがな く安定した計算が可能であり,系の中間の支持条件のみならず,自由端や固定端 など様々な境界条件に対しても,ばね定数の適当な数値的調整による統一化が行 なえる.このことは,プログラムの簡潔化の上で大きな利点となっている.さら に,伝達影響係数法では,取扱うマトリックスの次元が通常の伝達マトリックス 法の半分であるため,計算速度および必要なメモリ量の面でもその優位性は明白 である.偽の根の問題についても,反対称極を対称極へと変換する極めて簡潔で かつ基本的アルゴリズムにもよく適合する方法を提案し,二分法によって,必要 な固有振動数(真の根・零点)や固有モードのみを一気に求めることを可能として いる.
これらの優れた点は,まず,集中系として取扱った回転軸系の面内曲げ自由振 動 解 析 (13)で確認され,分布曲げ系への応用(14)で,双曲線関数と三角関数の和,
差に起因する桁落ちなどにも十分対応できることを示した.また,配管系やロー タ‑基礎系などでしばしば見られる多層構造物に対して拡張を行い,系を集中系 とした取扱し、(15),(16)および分布系とした取扱い (17),(18)ともに,系の中聞に硬い基 礎支持や層間支持が存在する場合でも柔軟性をもって対応することができ,上述 の優れた点を継承し得ることを示した.さらに,多層構造物で連成している領域 が全域に比べて極端に小さい場合,二層構造物で層の長さが極端に異なる場合の 計 算 の 効 率 化 や , 角 変 位 と 変 位 が 不 連 続 性 を 有 す る レ リ ー ス と ロ ー ル に 対 し て , ぱね定数を用いて統合・一般化した取扱いをも提案している(19). 同様の拡張は,
工作機械の基本形態の一つである F型構造物,多関節マニピュレータや配管系な どに代表される樹状構造物に対しても行なわれている (20),(21). こ の 場 合 の 動 的 影
響係数マトリックスの逐次伝達計算は,系内に屈曲部や分岐系を有することから 座 標 変 換 を 併 用 し た 伝 達 則 を 用 い て お り , 二 次 元 お よ び 三 次 元 樹 状 構 造 物 に 対 す
る数値計算結果から,上述の有効性はすべて保持されることも確認している.
上記の自由振動解析アルゴリズムでは,各分割点の聞の伝達計算過程において,
基 本 要 素 に 対 す る 運 動 方 程 式 の 一 般 解 を 必 要 と し て お り , そ の 適 用 範 囲 は , こ れ が解析的に求められる構造物(例えば一様断面ばり)に限定されている.ところ が , 実 際 の 構 造 物 で は , 形 状 が 連 続 的 に 変 化 す る 場 合 な ど , 基 本 要 素 の 運 動 方 程 式が変係数を有する微分方程式で記述されることが多い.このような系(可変ノ〈
ラメータ系)では,特別な場合を除いてその一般解を解析的に求めることは困難 であり (24), 上 記 の ア ル ゴ リ ズ ム を そ の ま ま 適 用 す る こ と は 不 可 能 で あ る . こ の 可変パラメータ系に対しては,伝達影響係数法の概念を拡張・変形して適用した 変形伝達影響係数法(22),(23)を提案している.変形伝達影響係数法では,基本要素 両端間の格間伝達則を,カベクトル,変位ベクトルおよび,それらの混合ベクト ルの聞を関係づける動的影響係数や動的剛性係数などに関する 4種類の 1階 常 微 分方程式の中から,積分軸方向への解の変化率が最も小さい微分方程式を,各ス テップごとに 1種 類 選 択 し な が ら 直 接 数 値 積 分 を 実 行 し て 求 め る こ と が 大 き な 特 徴である.具体的な適用例としては,変断面ばり (22)や 変 厚 円 板(23)に 対 し て ア ル
ゴリズムの定式化および数値計算を行なっている.
このように,伝達影響係数法系統の解法は,工学上重要な種々の構造物に対し てアルゴリズムが定式化され,数値計算を行なうことによってその優れた点が実 証されてきた. しかしながら,これまでの適用は自由振動解析のみに限定されて お り , 解 析 手 法 と し て の 一 般 性 は 未 だ 不 十 分 と 言 わ ざ る を 得 な い . 伝 達 影 響 係 数 法が振動解析における体系化された手法であるとの評価を獲得するためには,こ れ ま で の 自 由 振 動 解 析 の み な ら ず , 振 動 工 学 上 重 要 な 強 制 ・ 過 渡 振 動 問 題 や 安 定 性 問 題 , さ ら に 非 線 形 振 動 問 題 な ど へ と 拡 張 を 行 い , 上 述 の 優 位 性 を 継 承 ・ 発 展
させることが必須である.
1.2 多 自 由 度 系 の 非 線 形 振 動 解 析 に 関 す る 従 来 の 研 究
線形振動解析については,上述の解析手法の発達ならびにコンピュータ性能の
目 覚 ま し い 向 上 に よ り , 大 規 模 か つ 複 雑 な 形 状 の 構 造 物 に 対 し て も か な り の 程 度 まで解析が行われるようになってきた. し か し な が ら , 機 械 シ ス テ ム に 対 す る 高 効 率 化 や 高 精 度 化 の 要 望 が 高 ま る に つ れ て , そ の 軽 量 化 や 高 速 化 が 志 向 さ れ る よ
う に な り , 大 規 模 構 造 物 に 対 し て も , 系 内 に 不 可 避 的 に 含 ま れ て い る 各 種 の 非 線 形性を考慮しなければ対処できない振動問題が急増してきた.
非 線 形 振 動 解 析 に つ い て は 古 く か ら 様 々 な 研 究 が 行 わ れ て い る が , 多 く は 1自 由度系に関するものであり, 2自由度以上の系に関する研究は1950年 頃 か ら 見 ら れるようになる. し か し な が ら , 実 際 の 構 造 物 の よ う な 複 雑 か つ 大 規 模 な 系 を 想 定したものではなく,最も基本的な直列形ぱねー質点系の 2ないし 3自由度程度 の系の解析がほとんどで, 1自 由 度 系 の 簡 単 な 拡 張 の 感 が 強 い . 以 下 , こ れ ら 多 自 由 度 非 線 形 系 の 周 期 解 に 関 す る 研 究 の 中 で , 基 礎 的 な も の に つ い て 簡 単 な 整 理 を試みる.
初期のものとしては, K10抗er(25)の 多 ル ー プ 電 気 回 路 系 と 多 自 由 度 非 線 形 振 動 系 (ぱねー質点系)との物理的関連を示したものがある.彼は, 3次 曲 線 ぱ ね の 非 線 形 性 を も っ 2自 由 度 系 に つ い て 平 均 法 的 な 解 析 を 行 な っ て い る . 同 様 の 系 に つ い て, Huangら(26)とSe血ne(27)は摂動法を適用し,特にSethneは 共 振 曲 線 に 内 部 共 振 による分枝が生じることを示した.また, Rosenbergら(28)は 線 形 振 動 モ ー ド を 利 用した多自由度系の自由度低減を図り, Iwan (29)は 復 元 力 が ヒ ス テ リ シ ス を 描 く
2自 由 度 系 に 平 均 法 を 用 い た 解 析 を 行 な っ た . 我 国 で も , 権 木 ら (30)の2自由度 ばねー質点系に対する図式解法による研究がある.
1970年 頃 か ら は , 内 部 共 振 や 結 合 共 振 な ど , 多 自 由 度 非 線 形 系 特 有 の 現 象 に 触 れ た も の が 見 ら れ る よ う に な る . Dooren (31 )は2つ の 異 な る 振 動 数 を 持 つ 調 和 外 力が2自由度系に加わる場合の結合共振の研究を行い,山本ら (32),(33)は2自由度 ばねー質点系の内部共振に関する研究を, Crespo (34)は 多 重 尺 度 法 適 用 に よ る 回 転 し て い る ば ね ー 質 点 系 の 内 部 共 振 に 関 す る 研 究 な ど を 行 な っ て い る . な お , 多 重 尺度法については,その開発者であるNayfehとM
∞
kの 著 書(35)に多くの適用例と ともに詳しく示されている.1980年 以 降 で は , 多 自 由 度 系 に お い て も , 定 常 解 の 安 定 判 別 か ら 様 々 な 分 岐 現 象 を 調 べ , 概 周 期 振 動 や カ オ ス 様 振 動 な ど の 予 測 , お よ び 数 値 的 な シ ミ ュ レ ー
ションを行なうものがよく見られるようになってきた. Tousiら(36)は2自由度弱 非線形系における周期倍分岐について調べ, Natsiavasら(37),(38)は 非 線 形 動 吸 振 器 を同様の取扱いで解析した.Asrar(39)は同じく 2自 由 度 弱 非 線 形 系 に お い て 係 数 励振と自励振動の影響を考慮、し, Vakakis (40)は分数調波振動について触れている.
また, Nayfehら(41)は2次曲線ばねの弱非線形性を有する 3自 由 度 系 に つ い て 問 機の解析を行なっている.
上 記 の よ う に , 多 自 由 度 非 線 形 系 の 周 期 解 に 関 す る 基 礎 的 な 研 究 で は , 適 用 例
における非線形性が小さいと仮定したものが多く,解析手法についても,平均法,
摂動法および多重尺度法など準線形系に対して開発されたものが用いられている.
しかしながら,実際の機械構造物には,ガタや乾燥摩擦など非線形性の強い要素 が数多く存在しているため,現実的には強非線形系の存在を前提とした解析,な らびにそれに適した手法を用いることが必要となる.強非線形系の解析に適した 手 法 と し て は , 一 般 に 調 和 バ ラ ン ス 法 が 知 ら れ て い る . 調 和 バ ラ ン ス 法 は ガ レ ル キン法に基礎を置いており,厳密解への収束性が,非自律周期系については占部
(42),(43)により,自律系に関しては渡辺ら (44),(45)によりほぼ解決されている.すな わち,数学的厳密性が保証された手法である.また,近似の項数および系の自由 度の増加に対応する計算手続に整然とした規則性があるため,コンビュータ利用 にも適しており,内部共振など多自由度系に特有の現象に関しても,平均法など ではその発生を予測した処理が必要であるのに対し,適当な近似の項数を設定す るだけで自動的にその解析を行なうことができる. したがって,調和バランス法 は,強非線形系かつ多自由度系の定常周期振動解析に最も適した手法の一つであ るといえよう.
この調和バランス法を基調とし,近藤ら (46)は , 任 意 の 自 由 度 の 非 線 形 系 に お ける定常振動の高精度近似解を求める計算手法と,その近似解計算手続きとの適 合性を考慮、した高精度の安定判別法を提案し, 1自由度系 Duffing方 程 式 の 高 次 近 似 解 析(46}‑‑{48)を行っている.末岡ら (49}‑‑(52)は こ れ ら の 手 法 に 基 づ い て , 大 規 模 な 多 自 由 度 系 で あ る ロ ー ラ ー チ ェ ー ン の 幾 何 学 的 非 線 形 性 を 考 慮 し た 振 動 特 性 に関する解析的および実験的研究を行なっている.ただし,供試ローラーチェー ンはかなり大きな自由度(約40)を 有 す る こ と か ら , 低 次 の 近 似 解 を 用 い た 解 析
に留まっている. 一方, Bajkowskiら(53)は, 3次 曲 線 ぱ ね の 弱 非 線 形 性 を 有 す る 2自由度系の内部共振現象について,調和バランス法系統の手法と平均法の両者 を適用し,数値シミュレーションとの比較から,調和バランス法系統の手法 の 平 均法に対する計算精度の優位性を示している.
調 和 バ ラ ン ス 法 系 統 の 解 析 で は , 定 常 解 の 振 幅 に 関 す る 連 立 非 線 形 代 数 方 程 式 を,ニュートン・ラフソン法的な解法により逐次近似的に収束計算することが多 い.このような取扱いの中では, Cheungや Lauらの近似解の修正量の導出過程に 増分法の概念を導入した増分調和バランス法が明快な手法であるように思われる.
彼 ら は こ の 手 法 を 用 い て , 連 続 体 の 復 元 カ の 非 線 形 性 を 考 慮 し た一様はり (54), 板,シェル(55)の解析(空間的な変形は形状関数を仮定して規定しており,自由度
としては 1自由度の取扱しつ,ならびに 3次 曲 線 ぱ ね の 非 線 形 性 を 有 す る 直 列 形 多 自 由 度 系 の 解 析 を 行 な っ て い る (56). 非 線 形 定 常 振 動 解 析 以 外 に も , 多 重 尺 度 法 に 対 し て 増 分 調 和 バ ラ ン ス 法 を 組 み 入 れ た , 概 周 期 的 な 振 動 の 解 析(57),一様 はりの座屈荷重の臨界値や,非線形定常振動解の不安定領域を求めた,係数励振 系 に 対 す る 拡 張(58)も 見 ら れ る . こ の ほ か , 増 分 調 和 バ ラ ン ス 法 の 適 用 例 と し て は, Pierreらによる面内周期外力が加わる板(59), お よ び 乾 燥 摩 擦 カ が 作 用 す る 直 列形多自由度系の解析(60)などがある.
これらの解析例からも分かるように,増分調和バランス法は,強非線形系に対 す る 近 似 解 の 高 精 度 化 , な ら び に 多 自 由 度 系 に 対 す る 拡 張 に つ い て も 十 分 対 応 で きる非線形定常振動解析手法であるが,計算手JI慎の主要部が線形連立方程式の反 復 計 算 に 帰 着 さ れ る た め , 自 由 度 の 大 き な 系 に 対 し て 高 精 度 の 解 を 求 め よ う と す ると,係数マトリックスの次元が極めて大きくなり,計算に多大の労力を要する ことになる.これに対し,安田ら (61)は,文献(56)と同様の系を対象に,伝達マ トリックス法に増分法の概念を導入した増分伝達マトリックス法を提案した.こ れは,調和バランス法における逐次近似計算の能率的な処理方法のーっともみな す こ と が で き , 有 力 な 手 法 で あ る と 思 わ れ る が , 計 算 能 率 の 向 上 な ど 改 良 の 余 地 も残されている.なお,モード解析法への適用を目的として,非線形要素の等価 伝達関数を用いた多自由度非線形系の応答解析手法が渡部ら (62),(63)により提案さ れ て い る が , こ れ は , 本 質 的 に 調 和 バ ラ ン ス 法 の 1項近似解に相当するもので,
精 度 的 に 十 分 な 手 法 と は言い難い.また,定式化の基本部分についても若 干問 題 があると思われる.
以 上 に 示 し た 研 究 は , 基 本 的 な ぱ ね ー 質 点 系 に 関 す る も の , そ れ 以 外 で も 系 の 自由度を 1自由度に直して取扱ったものが主であった.これに対し,実際の構造 物に対する多自由度非線形振動解析も近年数多く見受けられるようになってきた.
次 に , そ れ ら の 中 で も 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法 で 取 扱 わ れ る こ と の 多 い , は り や 回 転 軸系の定常振動を取扱った研究について整理する.
これらの構造物は,本質的には大規模な多自由度系ではあるが,解析の困難さ からか,低次の線形モード形状などによって変位を規定したもの(ωト(66),質量の ない軸に一つの円板が取付けられた単純なモデル化(67}‑(69)など,自由度を 1もし くは 2自由度程度に縮小させた取扱いが現在に至るまでよく行われている.ここ で対象とする任意の自由度に対する非線形系の取扱いは, 1970年 代 後 半 頃 か ら 散 見されるようになる.
初 期 の も の で は , 多 円 板 回 転 軸 系 に お け る 真 円 油 膜 軸 受 の 非 線 形 カ を , 調 和 バ ランス法の一項近似解を用いて表し,伝達マトリックス法を利用して逐次近似計 算 を 行 っ た 富 沢 ら (70)の 研 究 が あ る . こ れ 以 降 に つ い て も , こ の 種 の 問 題 に は , ほ と ん ど の 場 合 調 和 バ ラ ン ス 法 系 統 の 解 法 が 用 い ら れ て い る . 佐 藤(71)は,重力 を 考 慮 し た 段 付 は り の 非 線 形 振 動 解 析 の た め , 一 様 断 面 部 分 の 変 形 量 を 定 数 項 および調和成分で表した後,それぞれの成分に対して調和バランス法を適用して 伝 達 マ ト リ ッ ク ス を 導 出 し , 自 由 振 動 に つ い て 様 々 な 数 値 計 算 を 行 な っ て い る . 山内 (72)は,非線形要素が軸受部もしくは軸継手部に限られるものとし, 3次曲 線ぱねの非線形性を仮定した軸受や軸継手の非線形カを FFTを利用して求め,そ の中のいくつかの振動数成分に着目して調和バランス法を適用している.この問 題 の よ う に , 非 線 形 性 の 存 在 が 系 の 一 部 分 に 限 ら れ る 場 合 に は , 計 算 量 低 減 の た め系の運動方程式を線形部分と非線形部分に分離して表し,縮小された非線形部 分のみに非線形解析を適用して,線形部分の解との合成により系全体の応答を求 め る 方 法 が し ば し ば 用 い ら れ て い る . そ の 一 例 と し て , 小 林 ら (73)は , モ ー ド 解 析 で 用 い ら れ て い る 部 分 構 造 合 成 法 を 非 線 形 振 動 の 解 析 に 利 用 す る こ と を 試 み ている.すなわち,回転軸系を軸・軸受・ケーシングの三つの部分構造に分離し,
非線形性は摩擦ダンパやスクィーズフィルムダンパなど軸受部のみに存在するも のとして,非線形部分に関して縮小した関係式に,文献(72)と同様の取扱いを適 用 し て 非 線 形 軸 受 カ を 求 め た 後 , 系 全 体 の 応 答 を 求 め て い る . 同 様 の 例 と し て, Natarajら(74)やShiauら(75)の , 軸 継 手 部 の 摩 擦 や ス ク ィ ー ズ フ ィ ル ム ダ ン パ の 非 線形性を考慮、した研究, Dowell (76)の , 部 分 的 に 乾 燥 摩 擦 が 作 用 す る は り に 対 す る研究などがある. 一方, Hwangら(77)は , 軸 の 変 形 を 多 項 式 で 表 し , そ の 係 数 である一般化座標を調和バランス法的解法で求める手法を提案し, Leeら(78)は,
3次曲線ばねの非線形性をもっ軸受を対象とした解析に,伝達マトリックス法 的 取 扱 い を 導 入 す る こ と で 能 率 的 な 解 析 を 試 み て い る . ガ タ に 関 す る も の で は , Kimら (79),(80)の軸受すきまの影響を考慮したものがある.
このように,実際的な問題においても,ほとんどの場合調和バランス法的なア プローチがとられている.しかしながら,仮定した解は 1次近似程度の低い精度 のものが多く,調和バランス法の高精度性を生かした解析は行われていない.こ のような低精度の解析では,特にガタなどの強非線形系に対して定量的のみなら ず定性的にも十分な結果が得られる期待は薄く,高精度の近似解を仮定しでもな お高速な処理が可能であるような解析手法の確立が望まれる.
一方,非線形定常振動解析に不可欠な問題として,得られた定常解の安定判別
が あ る . 非 線 形 常 微 分 方 程 式 の 安 定 性 に は 多 く の 定 義 が あ る が (81), 工 学 的 に は 定常解に付加された微小変分の挙動から定常解自身の安定性を調べる無限小安定 性の判別法がよく利用され,なかでも, Hill (82)が月の運動を解析する際最初に導 入した,無限次元行列式方程式から変分方程式(周期係数型常微分方程式)に付 随する特性指数を求める手法がよく知られている.この方法は, 1自由度系の 場合にはいわゆる Mathieu‑Hill型 方 程 式 の 安 定 問 題 に 帰 着 さ れ , こ の 問 題 は 古 く から詳しく研 究 さ れ て お り , 無 限 次 元 行 列 式 の 収 束 性 も 証 明 さ れ て い る (83),(84).
Hillの方法を多自由度系に拡張した研究は,弾性系の動的安定性を調べるために Bolotin (85)が用いたものが著名であり,我国でも小寺ら (86),(87)や高橋ら (88),(89)な どにより研究されている.また,これらの研究では触れられなかった無限次元行 列式の収束性についても, Noahら(90)や近藤ら (46)により証明されている.なかで も,文献(46)で提案された安定判別法は,自然対数の多価性を考慮することで特
性 指 数 中 最 も 高 精 度 な 主 特 性 指 数 を 定 義 し , こ れ の み を 利 用 す る こ と で 安 定 判 別 の高精度化を実現しており,文献(89)に見られるような精度的な問題を解決して いる.この手法はまた,近似解の精度と安定判別の精度を定量的に比較すること もできるが,計算手I}頃が固有値問題に帰着され,多自由度系に対して高精度の安 定 判 別 を 行 な お う と す れ ば , 固 有 値 問 題 の 次 元 が 極 端 に 大 き く な る こ と か ら 数 値 計算上の問題を抱えている.
なお,これとは異なる概念、に基づく多自由度係数励振系の安定問題の解法とし ては,数値積分的に系の推移行列を求め,その固有値(特性乗数)から安定判別 を行なう HSU(91),(92)の 方 法 も 著 名 で あ り , 比 較 的 多 く の 自 由 度 を 有 す る 系 に も 対 応 で き る こ と か ら よ く 利 用 さ れ る . し か し な が ら , 定 常 周 期 解 の 近 似 精 度 と 安 定 判 別 の 精 度 と の 聞 の 関 連 が 明 確 で な い た め , 推 移 行 列 を 求 め る 際 の 数 値 積 分 の 精 度を経験的に設定せざるを得ないなどの問題を有している.
1.3 本 研 究 の 目 的
1.1節では,大規模構造物の線形振動解析における伝達マトリックス法から伝 達影響係数法に至る経緯を概観するとともに,伝達マトリックス法では取扱い困 難 な 問 題 に 対 し て も , 伝 達 影 響 係 数 法 は 特 別 な 処 理 を 必 要 と せ ず 高 速 ・ 高 精 度 で 解 析 す る こ と が 可 能 で あ り , か つ 計 算 に 必 要 な メ モ リ 量 も 少 な く て す む 優 れ た 解 析 手 法 で あ る こ と を 示 し た . そ の 一 方 で , 伝 達 影 響 係 数 法 の 適 用 範 囲 は 現 在 ま で のところ自由振動解析に限られており,振動解析手法としての一般性を高めるた めには,振動工学上重要な他の問題,例えば強制・過渡振動問題,安定性問題お よび非線形振動問題などに対する,より一層の拡張が必要不可欠となることを指 摘した.
そのための第一歩として,第 2章 で は , 線 形 強 制 振 動 解 析 に 対 す る ア ル ゴ リ ズ ム の 定 式 化 を 行 な う . 近 年 , 機 械 構 造 物 の 軽 量 化 や 高 精 度 化 を 実 現 す る た め に , 部材要素を弾性体とみなした振動制御の必要性が増加しており (93),(94), そ の た め の基礎として,構造物の周波数特性を高速かっ高精度で求める手法の確立が要求 されることからも,線形強制振動解析への拡張は重要な課題と考えられる.本研 究 で は , 一 般 的 な 二 次 元 , 三 次 元 樹 状 構 造 物 に 対 し て 伝 達 影 響 係 数 法 を 適 用 し ,
線 形 強 制 振 動 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 定 式 化 を 行 な う (95). 樹 状 構 造 物 は , プ ラ ン ト の 配 管 系 や ロ ボ ッ ト ア ー ム な ど に 代 表 さ れ る よ う に , 系 内 に 屈 曲 部 や 分 岐 系 は 存 在 す る が 閉 ル ー プ は 存 在 し な い 構 造 物 で あ る . 本 研 究 で は , こ れ を 格 問 要 素 の 構 造減衰を考慮、して分布系として取扱っている.また,二次元,三次元両構造物を 対 象 と し た 数 値 計 算 を 行 い , 線 形 強 制 振 動 解 析 に お け る 伝 達 影 響 係 数 法 の 有 効 性 を 確 認 す る . な お , 自 由 振 動 解 析 で 大 き な 問 題 と な っ た 反 対 称 極 に 起 因 す る 偽 の 根(13)‑‑(23)については,強制振動解析では問題の性質上,取扱う必要はない.
と こ ろ で , 従 来 の 伝 達 影 響 係 数 法 に よ る 自 由 振 動 解 析(13)‑(23)は , 固 有 値 解 析 の 見 地 か ら は , 不 減 衰 系 に お け る 実 固 有 値 ( 不 減 衰 固 有 振 動 数 ) を 求 め る も の で あり,手法的には行列式探索法(96)に二分法(12)を 組 入 れ た も の と み な す こ と が で き る . 振 動 問 題 一 般 に お い て は , 実 固 有 値 問 題 だ け で な く , す べ り 軸 受 の 安 定 性 解 析 や 複 素 モ ー ド 解 析 な ど で 必 要 と な る 複 素 固 有 値 問 題 も 重 要 な 課 題 の 一 つ で あ る.このような問題に対処するには,一般的な固有値問題を考える必要がある.
固 有 値 解 析 法 は 振 動 解 析 に お け る 主 要 課 題 の 一 つ で あ り , 従 来 か ら 様 々 な 手 法 が 提 案 さ れ て き た(97)‑‑(101). そ の う ち , 相 似 変 換 に 基 づ く ヤ コ ビ 法 やQ R法 , お よ び ベ ク ト ル 反 復 法 系 統 の べ き 乗 法 , 逆 反 復 法 , サ プ ス ペ ー ス 法 な ど が 現 在 よ く 利 用 さ れ て い る . 前 者 は , 中 規 模 な 系 の す べ て の 固 有 値 を 求 め る こ と に 適 し た 方 法 で あ る が , 大 規 模 な 系 に な る と 取 扱 う マ ト リ ッ ク ス の 次 元 が 急 激 に 増 大 し , 計 算 時 間 や 必 要 な メ モ リ 量 の 点 で 実 用 上 問 題 が あ る . こ の と き , 高 次 の 固 有 値 の み な ら ず 低 次 の 固 有 値 の 計 算 精 度 も か な り 悪 化 す る . こ れ に 対 し て , ベ ク ト ル 反 復 法 系 統 の 解 法 は , 大 規 模 な 系 の 高 次 ま た は 低 次 か ら 数 個 の 固 有 値 と 固 有 ベ ク ト ル を 求 め る こ と に 適 し て お り , 振 動 ・ 構 造 解 析 向 き の 方 法 で あ る と い え る . な か で も,逆反復法は,アルゴリズムの主要部が連立 1次 方 程 式 の 反 復 計 算 に 帰 着 さ れ る こ と , 絶 対 値 が 最 小 の 固 有 値 か ら 順 に 求 解 可 能 な こ と , 原 点 移 動 に よ り 収 束 の 加 速 が 可 能 な こ と な ど の 特 長 を 持 つ 手 法 で あ る が , 大 規 模 な 系 に 対 し て は 大 次 元 の連立 1次 方 程 式 を 解 く 必 要 が あ り , 数 値 計 算 に 大 き な 労 力 を 要 す る こ と に 難 点 がある.
これに対して,第2章 で 定 式 化 し た 伝 達 影 響 係 数 法 に よ る 線 形 強 制 振 動 解 析 の 計 算 手 順 は , 一 面 で は ま た , 上 述 の 大 次 元 連 立 1次 方 程 式 の 非 常 に 効 率 的 な 解 法
とみなすこともできる.この性質を利用して,第3章では,逆反復法の主要 部 で あ る 連 立 1次 方 程 式 の 計 算 過 程 に 伝 達 影 響 係 数 法 的 な 取 扱 い を 導 入 し , そ の 高 速 ・ 高 精 度 性 を 活 用 す る こ と に よ っ て , 大 規 模 固 有 値 問 題 に 対 す る 逆 反 復 法 の 計 算速度と計算精度の向上,ならびに必要なメモリ量の低減を実現する(l02). ここ で は 理 論 の 明 確 化 の た め , 最 も 基 本 的 な 直 線 状 は り 構 造 物 に お け る 固 有 値 問 題 (不減衰および減衰自由振動解析)を例にとってアルゴリズムを定式化し,具体 的 な 数 値 計 算 に よ り そ の 有 効 性 を 確 認 す る . 直 線 状 は り 構 造 物 の 固 有 値 問 題 は , 具体的には回転軸系における危険速度問題,すべり軸受の安定性問題などへの応 用が考えられる.なお,伝達影響係数法が適用可能なより一般 的 な 構 造 物 に 対 し ても,原理的には本手法と同様の取扱いが可能であり,複素固有値解析も可能で あることから,複素モード解析への発展も期待される.
非線形定常振動解析では, 1.2節で触れたように,実際の複雑な構造物に対し ても,ガタなどの非線形性を考慮、した振動解析が数多く行われるようになってき た.これらの解析には調和バランス法系統の解法が多く用いられているが,大部 分の系のモデル化は 1ないし 2自由度程度であり,任意の自由度を有する構造物 を取扱ったものでも,実際に仮定した解は 1次近似程度のものが多く,そのうえ,
定常解の安定性に関する議論はほとんど見受けられなかった.もちろん,低次の 解でも実験により裏付けられるか,もしくは実験結果を十分に説明できる結果が 得られるならば,実用的に見て相応の意味を持つことは明らかである. しかしな がら,定常解の精度はその安定判別に対して大きな影響を及ぼすことに注意しな ければならない.すなわち,安定判別の処理をし、かに高精度化したとしても,先 行して求めた定常解の精度が厳密解の性質を反映させるに不十分なものであれば,
正しい安定判別を実行できず,分岐現象やカオスの発生の予測など,定性的な意 味でも誤差をともなうことが十分に考えられるからである.これはたとえば,代 表的な強非線形系である断片線形系を取扱った解析(l03)‑( 1 07)に顕著に現れており,
低次の近似解では正確な安定判別が困難であることが知られている(103),(105). こ のことは非線形性が大きくなるほど,また自由度が増加するほど系の振動状態、が 復雑になることからより深刻な問題になるであろう. したがって,系の全般的な 特性を網羅するためにも,多自由度かつ強非線形系に十分対応できる高速・高精
度の定常振動解析手法の開発が望まれる.
そ こ で 第4章 で は , 調 和 バ ラ ン ス 法 の 逐 次 近 似 計 算 過 程 に , 伝 達 影 響 係 数 法 の 概念を援用した増分伝達影響係数法を新たに提案する(108),(109). 増 分 伝 達 影 響 係 数 法 は , 調 和 バ ラ ン ス 法 の 数 学 的 厳 密 性 , お よ び 伝 達 影 響 係 数 法 の 高 速 性 や 精 度 の 高 さ , 各 種 境 界 条 件 や 中 間 支 持 条 件 の 取 扱 い の 容 易 さ な ど の 長 所 を 継 承 し て い る . こ こ で は , 多 自 由 度 非 線 形 振 動 系 の 中 で も 最 も 基 本 的 な 直 列 形 構 造 物 を 対 象 と し て , ま ず 増 分 伝 達 影 響 係 数 法 の 基 礎 で あ る 増 分 調 和 バ ラ ン ス 法 の 取 扱 い に つ い て 述 べ た 後 , 増 分 伝 達 影 響 係 数 法 の 基 本 的 か っ 一 般 的 な ア ル ゴ リ ズ ム を 定 式 化 す る . ま た , こ れ と の 比 較 の た め , 増 分 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法 に 若 干 の 改 良 を 加 え たアルゴリズムをも示す.
一 方 , 第4章 で は , 実 際 の 機 械 構 造 物 で 問 題 と な る こ と が 多 い ガ タ 系 を 含 む よ
う な 断 片 線 形 系 に 対 す る 高 精 度 の 計 算 法 に つ い て も 検 討 を 行 う . 調 和 バ ラ ン ス 法 系統の解法でよく併用される FFTを 断 片 線 形 系 に 対 し て 適 用 し た 場 合 , 十 分 な 計 算 精 度 を 確 保 で き ず 全 体 的 な 計 算 速 度 や 計 算 精 度 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す こ と が 多 い . そ こ で , こ の 問 題 を 避 け る た め , 断 片 線 形 系 の 実 フ ー リ エ 係 数 を 求 め る た め の 効 果 的 な 計 算 式 を 導 出 す る . こ れ は 増 分 伝 達 影 響 係 数 法 に 限 ら ず , 調 和 バ ラ ン ス法系統の手法で断片線形系を取扱う際に非常に有効な計算法である.
増 分 伝 達 影 響 係 数 法 に よ り , 高 速 ・ 高 精 度 の 近 似 解 計 算 が 実 現 で き れ ば , 次 に そ れ に 対 応 し た 高 速 ・ 高 精 度 の 安 定 判 別 法 の 整 備 が 必 要 と な る . 安 定 判 別 法 と し て文献(46)に 示 さ れ た 手 法 は , 系 に 付 随 す る 変 分 方 程 式 ( 多 自 由 度 係 数 励 振 系 ) の 特 性 指 数 を , 大 次 元 非 対 称 行 列 の 固 有 値 と し て 直 接 高 精 度 で 求 め る 方 法 (一般 的判別法)であった. し か し な が ら , こ の 方 法 で は , 系 の 自 由 度 と 仮 定 す る 近 似 解 の 次 数 の 増 加 に 伴 っ て 計 算 時 間 と 必 要 な メ モ リ 量 と が と も に 急 激 に 増 大 す る の で, PCやEWSの利用に関しては不利である.
そ こ で , 第 5章 で は , こ の 欠 点 を 克 服 す る 高 速 ・ 高 精 度 の 安 定 判 別 法 と し て , 偏角原理(110)を利用した安定判別法(ベクトル軌跡法と呼ぶ)を新たに提案する
(111). こ の 方 法 で は , 様 々 な 分 岐 に 対 応 す る す べ て の 不 安 定 領 域 を 見 い 出 し て 類 別することが可能であり, し か も そ の 計 算 過 程 に 増 分 伝 達 影 響 係 数 法 的 な 計 算 方 法 を 援 用 で き る の で , 高 速 で 必 要 な メ モ リ 量 も 少 な く て す む 利 点 を 有 す る . こ の
安定判別法の計算原理の明確化のため,増分伝達影響係数法の定式化と対応して,
最 も 基 本 的 な 直 列 形 非 線 形 構 造 物 を 対 象 に 論 じ る が , 本 方 法 は 一 般 的 な 多 自 由 度 係数励振系の安定判別問題に適用可能である.
第 5章 の 後 半 で は , 第4章で提案した増分伝達影響係数法による近似解計算と,
ベ ク ト ル 軌 跡 法 に よ る 安 定 判 別 の 有 効 性 に つ い て , 種 々 の 数 値 計 算 例 に よ り 比 較 検 証 す る . ま た , 近 似 解 の 精 度 と 安 定 判 別 の 精 度 と の 定 量 的 な 比 較 を 一 般 的 判 別 法を用いて行い,近似解と安定判別の精度の設定について一つの示唆を与える.
第6章は,前章までのまとめを述べ結論とした.
なお,本論文中で用いる記号は,第4章と第5章 で は 基 本 的 に 同 一 の 記 号 で 同 ーの物理量を表しているが,これらの章と第 2章および第 3章 と は 原 則 と し て 独 立している.そのため,各章間では同一記号で別種の物理量を表す場合があるの で注意されたい.
第 2章 二 次 元 , 三 次 元 樹 状 構 造 物 の 線 形 強 制 振 動 解 析
本 章 で は , 従 来 の 伝 達 影 響 係 数 法 に 関 す る 研 究 で す で に 定 式 化 さ れ て い る , 二 次 元 お よ び 三 次 元 樹 状 構 造 物 の 線 形 自 由 振 動 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム (20),(21)を拡張し,
樹 状 構 造 物 の 面 内 縦 ・ 曲 げ 連 成 強 制 振 動 ( 二 次 元 ) お よ び 縦 ・ 曲 げ ・ ね じ り 連 成 強 制 振 動 ( 三 次 元 ) に 対 す る 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム を 定 式 化 す る . 樹 状 構 造 物 は 構 造 減衰を考慮、した分布系として取扱い,線形強制振動解析を可能とするため,線形 自 由 振 動 解 析 で 導 入 さ れ た 動 的 影 響 係 数 マ ト リ ッ ク ス に 加 え , 新 た に 変 位 の 補 正 ベ ク ト ル を 導 入 す る . ま た , 強 制 振 動 問 題 と し て は , 強 制 力 が 作 用 す る 場 合 だ け で な く , 構 造 物 に 直 接 的 に 強 制 変 位 が 作 用 す る 場 合 も 考 え ら れ る が , こ の 場 合 に も , 伝 達 影 響 係 数 法 で は , ば ね 定 数 の 値 を 適 宜 変 化 さ せ る だ け で 容 易 に 取 扱 う こ と が 可 能 で あ る . こ の こ と は , ア ル ゴ リ ズ ム と プ ロ グ ラ ミ ン グ の 簡 潔 化 の た め に 大きな役割を果たすことになる.
ア ル ゴ リ ズ ム の 定 式 化 に あ た っ て は , ま ず , 比 較 的 取 扱 い が 容 易 な 二 次 元 樹 状 構 造 物 の 場 合 に つ い て 詳 論 し , 次 に , よ り 一 般 的 な 三 次 元 樹 状 構 造 物 に 対 し て 変 更すべき点のみを示す.
2.1 面 内 縦 ・ 曲 げ 連 成 強 制 振 動 解 析 2.1.1 解 析 モ デ ル
図2.1に二次元樹状構造物の解析モデ ルを示す.系はひとつの主系 (Mainsys‑
Main systern
︐ ーー
ベ コ
:S山 yst肌図2.1 二次元樹状構造物の解析モデ、ル
tem)と , 主 系 に 結 合 す る 複 数 個 の 分 岐 系 (Subsystem)と か ら 構 成 さ れ , す べ て の 屈 曲 部 , 分 岐 系 と の 結 合 部 お よ び 広 義 の カ ベ ク ト ル ( 後 述 ) が 不 連 続 に な る 点 に お い て 必 ず 分 割 さ れ て い る . 各 分 割 点 を 主 系 の 相 対 的 な 左 端 か ら 右 端 に か け て 節 点0,…,節点nと 呼 び , 節 点 間 の 部 材 要 素 を 主 部 材 (Mainmember)お よ び 分 岐 部 材 と 呼 ぶ . 分 岐 系 で は , 主 系 と 結 合 し て い な い 端 を 左 端 , 結 合 し て い る 端 を 右 端 と み な す . ま た , 主 系 お よ び 分 岐 系 の 各 節 点 は , 互 い に 直 交 す る 二 方 向 の せ ん 断 お よ び 回 転 に 関 す る ば ね と , 粘 性 減 衰 要 素 か ら な る 基 礎 支 持 要 素 (Supportsystem) に よ っ て 基 礎 に 支 持 さ れ て い る . な お , 各 部 材 要 素 に は 構 造 減 衰 を 考 慮 す る た め , 物 理 量 は 本 来 す べ て 複 素 数 で 記 述 さ れ る が , 実 数 計 算 で 済 む よ う 実 部 お よ び 虚 部 に分離して定式化する.
以 下 , 本 章 で 使 用 す る 頭 号 , 肩 号 お よ び 添 字 は 原 則 と し て 以 下 の よ う な 意 味 を 持つ.
( 1 ) 頭号「ーjは , 主 系 の 節 点 の 左 側 の 物 理 量 を , そ う で な い 記 号 は 右 側 の 物 理量を表す.
( 2 ) 頭号「ーJおよび「八Jは , そ れ ぞ れ 分 岐 系 お よ び 基 礎 支 持 要 素 に 関 す る 物 理量を示す.
(3 ) 右 上 お よ び 右 下 添 字jは , そ れ ぞ れ / 番 め 主 部 材 座 標 系 で 表 さ れ た 物 理 量 お よ び 節 点 jないし j番め基本要素に関する物理量を示す.
(4 ) 下 添 字 fRJお よ び f1 Jは , そ れ ぞ れ 対 応 す る 物 理 量 の 実 部 お よ び 虚 部 を 表 す.
(5) 右 肩 号 「 川 は , 分 岐 部 材 座 標 系 あ る い は 基 礎 支 持 要 素 座 標 系 で 表 さ れ た 物理量を示す.
こ こ に , 主 部 材 座 標 系 , 分 岐 部 材 座 標 系 お よ び 基 礎 支 持 要 素 座 標 系 は,X軸 を そ れ ぞ れ 主 部 材 , 分 岐 部 材 の 長 手 方 向 お よ び 基 礎 支 持 要 素 の 一 つ の せ ん 断 ぱ ね の 取 り 付 け 方 向 に と り,X軸 か ら 時 計 回 り に 900回 転 し た 方 向 に Y軸 を と る 局 所 直 交座標系とする(図 2.3).
2.1.2 動 的 影 響 係 数 マ ト リ ッ ク ス と 変 位 の 補 正 ベ ク ト ル
図2.2に 伝 達 影 響 係 数 法 適 用 の 概 念 図 を 示 す . 図2.2の ① は , す で に 設 定 さ れ た 主 系 の 左 端 か ら 任 意 の 節 点j ‑ 1右側までの構造物を表し,この右側に主部材,
X~ ‑;ア愈 I
ム ト 多 i j :
伝達影響係数法の基本概念図
x ; + I
,V j + I
,v ; +
j+l̲/
ィ r ; + 1
xL v ;
,v ;
捧 .
N ;
X~図2.2
r" e・1・0
"
‑
m e m n寸 正.3 M e
. d
N o
変位および力の正方向の定義(二次元)
図2.3
これが伝達 分岐系および基礎支持要素からなるj番め基本要素を剛に結合する.
j番めとノ + 1番 め の 両 主 部 材 座 標 節 点 / の 時 間 関 数 と し て の 縦 変 位 (xjなど),横変位 (y;など),
角変位 (ψjなど),軸カ
( Y /
など),せん断力(可など)およびモーメント(Nj
な ど)の正方向を図 2.3のように定義する.影響係数法適用の基本過程である. ここで,
系で表された,
複素振幅の それらを複素化した上で,
実部と虚部とからなる,節点j両側の広義の変位(振幅)ベクトル (djなど)と広 義のカ(振幅)ベクトル
( f j
など)との間の関係を次式で定義する.dj=
宅
jff+可
dj=Tffj+sj dj+1=17+lf/+1+sj+1
ここに,左肩号
r
t Jを転置記号とすると,dj=t(XR,yR,ψR, X/, Y/'ψ1 )~., dj+1=t(XR,yR,ψR,X,JYI,ψI);+l
(2.1) (2.2) (2.3)
i /
= f(九尽,万R,巧,ぁ,m j, f/=t(均,FR, NR , 凡凡的)~. (2.4)1 / + 1
= t(均,FR,NR,η,乃,NI)j+1式(2.1)""' (2.3)に お け る 刀 打 お よ び 寸lは,節点jに関連する動的影響係 数マトリックス (6x 6次元)である. 一方, 可,sjお よ びsflは強制振動解析に おいて新たに導入された物理量であり,強制力あるいは強制変位の作用に基づく 変位の補正ベクトル (6次元)である.以後これを単に補正ベクトルと呼ぶ.
また,j番 め お よ びj+1番 め 主 部 材 座 標 系 で 表 さ れ た 節 点jの状態変数ベク トルの聞には,
R j
を座標変換マトリックスとして次の関係、が成立する(図 2.3).dj=Rjdj
ぺ 1 /
=R j 1 / + 1
(2.5)、,、‑1 ....
、一、‑,...,
ICOS α‑S1Oα01
R j =
Diag[Rム Rjl R j =
1 sin αCOSα01 (2.6)L
0 01 J
jDiag [...]はプロック対角マトリックスを表す.また,式(2.6)から明らかに RJI
= f R j
である. したがって, j番 め お よ びj+1番 め の 主 部 材 座 標 系 で 表 さ れ た 節点j右 側 の 動 的 影 響 係 数 マ ト リ ッ ク ス お よ び 補 正 ベ ク ト ル の 関 係 は , 式(2.2),(2.3), (2.5)から次式で与えられる.
17+1=tRjTfRj, sfl=tRjsj (2.7)
2.1.3 動的影響係数および補正ベクトルの伝達則
(a) 格聞の状態量の関係、 j番め部材両端間(格問)の状態変数ベクトル聞 の 関 係 は , 伝 達 マ ト リ ッ ク ス 法(2)における格間伝達マトリックスを援用して,
次式のように表される (j番め主部材座標表示).
[ d [ = [ A Bmf
f J
;‑1LC
DJ
iLf J
Iここに, Aj, Bj ,Cjお よ び
D j
は,格間伝達マトリックスから得られる部分マト リックスである.これらは,各部材要素内の構造減衰を考慮すると本来は複素量と(2̲8)
なるが,実数計算を行うためにそれぞれの部分マトリックスを実部および虚部に分 離して再構成すると,部材要素が一様分布オイラぱりであるとき,次のような 6X6 実マトリックスとなる(右上下添字j省略).
A = [ A X A ' i ぺ AR ' l
c = [
Ci ' 勺
C完r
B = [ B K ‑ 勺
B i ' BR I
D=[DX‑DYl D
' i
DRJ
A" = Diag[cosy, A'], B" = Diag[ ‑1 sin y / yEcA, B'] C" = Diag[μlω2 sin y / y, C'], D" = Diag[cosy, D']
A'=[ λ / 1
c = [ ; 2 1 B ' = [ 之 ー と c c /
︑ unJI ︐ ︐l
a ︐ ︐ ー ﹂ 1‑llI・J
a斗
Q υ .
‑ O Q
t
l1111﹂﹁ t ︐ ︐
D 一 一
11 11 1E lJ
G G
︐ ︐
I
II
‑ 2
の山
r
︺1 J
Co = (cosh s + COS s) / 2, Cl = (sinh s + sin s) / 2s C2 = (cosh s ‑cos s) / 2s2, C3 = (si凶 s‑sin s) / 2s3
α= 12 / (Ecl), s4 =μal2ω2, Y = 1ω[μ / (EcA)] 112, Ec = E(l + jη)
(2,9) ここに,j2 = ‑ 1であり, Ej, Aj , lj ,
η j
,りおよびμ j ‑
は そ れ ぞ れj番 め 部 材 の縦弾性係数,断面積,断面二次モーメント,損失係数,長さおよび線密度であり,
ωは強制外力および強制変位の円振動数である.
(b) 格 点 両 側 聞 の 状 態 量 の 関 係 図 2.2に 示 す よ う に , 節 点jに は 分 岐 部 材 お よ び 基 礎 支 持 要 素 が,j番 め 主 部 材 か ら そ れ ぞ れ ん お よ び ん だ け 傾 い て 結 合 し て お り , さ ら に 節 点jお よ び 節 点jの 基 礎 に は , そ れ ぞ れ 振 幅 ベ ク ト ル
q j
の 強 制 力 お よ び 振 幅 ベ ク ト ル
u ;
の強制変位が作用するものとする.ここに,q j
お よ び
u ;
は , そ れ ぞ れ 節 点 右 側 の カ お よ び 変 位 ベ ク ト ル と 要 素 が 対 応 す る よ うに , 次 の よ う な6次元実ベクトルで定義される.
qj
=
t(qxR. qyR. q帆,争J, qyI. q"ltl )~.u;=t(ud,uyR,
w
,uxI,uyI,U1411); (2.10)い ま , 分 岐 系 に 次 項 で 導 出 す る 格 間 格 点 伝 達 則 を 適 用 し , 節 点jに 結 合 す る 端 に お い て 分 岐 系 の 動 的 影 響 係 数 マ ト リ ッ ク ス 行 お よ び 補 正 ベ ク ト ル 可 が 求 め ら
れ て い る と す る ま た , 基 礎 支 持 要 素 の 今 方 向 , 今 方 向 お よ び 回 転 方 向 の ぱ ね 定 数 と 粘 性 減 衰 係 数 を わ 勺 ,
k ; . ,
勺 , 々 お よ び 々 と す る と , 分 岐 系 右 端 の カ ベクトル//および基礎支持要素の反カベクトルえjは 次 の よ う に 表 さ れ る (j番 め主部材座標表示).] j
=( i j ) ‑ l ( d j ‑ i j )
=昨
(dj‑可), J/=tj(dj‑uj)(211)=
‑ = ‑
,こ,毛 ( = ( i / ) ‑ l = R
1 (行 ) 一
11kl,Kj=R
1k ; t R
1,叫ん ‑ 4 [
ωKc Kk 1,
孟 1 ; = d i a g ( んしめ?
£ ; = d i a g ( 5 x , ゐ , C ) ;
u!1 . = .R; uU ) .. *J
(2.12)
ffお よ び
J J
は , 式(2.4)の万およびその要素の頭号「一Jを,おのおの「ーjおよ び「八Jに置き換えて定義される.また, Rjお よ び R1は , そ れ ぞ れ 分 岐 部 材 座 標 系 お よ び 基 礎 支 持 要 素 座 標 系 と 主 部 材 座 標 系 と の 聞 の 座 標 変 換 マ ト リ ッ ク ス で あ
り,式(2.6)中のαjを,それぞれa1お よ び ん に 置 き 換 え て 定 義 さ れ る .
したがって,節点j左右問(格点間)のカベクトルの釣合いは次のようになる (j番め主部材座標表示).
J/+f/+Jf=f/+qj (2.13 ) (c) 格 間 格 点 伝 達 則 以上に示した格問および格点の状態量の関係から,
節 点j‑1右 側 か ら 節 点j右側へ,漸化的に動的影響係数マトリックス 171お よ び 補 正 ベ ク ト ルsjを伝達計算する格間格点伝達則が得られる.すなわち,式(2.1) ..̲ (2.3), (2.8), (2.11)および式(2.13)から,格問格点伝達則として次式を得る.
Gjrf=Hj, Gj sj=sj‑I+Hj
r j
(2.14 )、関、・ 1..,..
、一、一町'‑,