熱帯医学 第11巻 第2号107‑120頁, 1969年10月 107
八重山群島住民の指紋および手掌理紋の研究
玉沢一郎
長崎大学医学部解剖学第二教室(主任:安中正哉教授)
(Received for Publication September 10, 1969)
Anthropological Studies on the Fingerprints and Palmar Dermatoglyphics of the Inhabitants in the Yaeyama
Archipelago, the Ryukyus
Ichiro TAMAZAWA
Second Department of Aサ Nagasaki University School of Medicine
(Director: Prof二 Dr. M, YASUNAKA〕
Abstract
In February 1963, anthropological studies of the fingerprints and palmar dermatoglyphics were made on the inhabitants of three islands, viz. Ishigakijima, Taketomijima and Kuroshima Islands in the Yaeyama Archipelago, the Ryukyus.
The data were compared with those of previous studies on the inhabitants of the northern and southern districts in Okinawa Island, Tokunoshima Island in Amami Archipelago, Satsuma and Osumi of Kagoshima Prefecture. The samples of the studies consisted of 983 males and 1,012 females.
The results obtained were as follows.
1) In the fingerprints, in both sexes, type S was detected most frequently, followed by type OW, ODS and B, except Kuroshima Island in male (OW, S, ODS and B type).
2) The frequency of type OW was higher in Kuroshima Island than in Ishigakijima and Taketomijima Islands. However, B and S types, in both sexes, were less frequent in Kuroshima Island.
3) As to the dermatoglyphics, in botn sexes, the frequencies of Negro type and type 7 were higher in Kuroshima Island than in other two islands. However,
White type and type 11 were higher frequent in Ishigakijima and Taketomijima
本論文の要旨は¥yi
l'ii和41年8月,第71回「1本解剖学会総会において発表した・
108 玉 択 一 那
Islands.
4) In comparison with other districts, it was pointed out that the fin- gerprints and dermatoglyphics of the inhabitants in Ishigakijima and Taketomijima Islands were similar to those in Okinawa and Tokunoshima Islands. But the inhabitants in Kuroshima Island was relatively similar to those in Satsuma and Osumi of Kagoshima Prefecture.
緒 岩 琉球列島住民に関する形質人奨学的研究ほ古くから
多くの業績が報告されているが,新分類法による指紋 の研究ほ第2次大戦後の特殊な事情のために行なわれ ていなかった・ 1960年以来,安中教授指導のもとに琉 球列島住民の生体計測と共に手掌皮膚隆線の人類学的
研究が開始され,すでに同門阿部,長井らによって, 沖縄本島住民の指紋および手掌理紋の研究が発表され
ている.著者も本研究の一環として, 1963年2月,八 重山群島住民の指紋および手掌理紋を調査する機会を 得た.
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八重山群島住民の指紋および手掌理紋の研究 八重山群島ほ琉球列島の最南西部に位する島々であ
るが,現在もなお古い琉球の風俗習慣をとどめ,人的 移動の少ない地方で,人類学的研究にはきわめて興味 深い地方である.
著者は同地方件民の指紋および手掌理紋の統計的観
109
察をなすと共に,沖縄本島 奄美群島の徳之島,ある いは九州本土の薩鮮および大隅地方化民の成績と比較 検討して,八重山群島住民が手掌皮膚隆線の面におい て占める人類学的地位を明らかにしたので,その結果 を報告する・
研究材料およ び研究方法 調査地域は琉球列島の南端に位する八重山群島のう
ち,石垣島,竹富島および黒島の3ケ島である.材料 の詳細ほ表Ⅰに示すとおりであるが,各島において, 土着住民の子弟を厳選し,男性983名,女性1,012名, 合計1,995名より得た指紋印影像19,950,および手掌 理紋印影像3,990である・
研究方法ほ指紋は小池の新分類法により観察し,辛 掌理紋はWilderの旧法および Cumminsの記載法
研 究 A.指 紋
a.八重山群島住民の成績
石垣島,竹富島および黒鳥住民の五指計および十指 計における各型指紋の出現頻度は表(i, ii, iii)に 示すとおりである.
・ 1 ' 7f. ft ,il
男性 石垣島および竹富島においては,左右共にS 型が最も高く, OW型がこれに次ぎ, ODS, B型の順
によったが,指間三叉線のみはWilderの新法にした がった・
出現頻度の比較にほ,誤差論による自̀分率の差の検 定を行ない, %1‑%2/1/mi皇了品{2≧3 の場合を確 差とし, ≧2の場合を傾向差とした・総合的比較には
Ⅹ2検定を行ない,その有意性を検定したが,危険率 はすべて0.01とした・
成 績
表l 材 料
間lヰr.Jlli第る・こ)
ff M: i∴】j う‑y vi'i・ >'llj
.L}る; ,'.',;
i
リ川=̲L疾二 int.
フ87810 7373 123129
手掌理紋 指 紋
印 患t良一 る:ミi川手' '.'*'.三 3194 15970 292 1460 504 2520
983 101 3990 19950
表 ∬ (i) 石 垣 島 作 民 の 指 紋
8 ?
実数 %士 m 実数 %土m
五 右
描
計 左
十 描 計
冒i oDS
。w暑 ,良 o。患s2
29 2078 33 1795
45 2136 96 1658
0.74土1.14 31 ・77±0・14 52・81±0・ 2491 61・51土0・76 0.84±0・15 31 0.77土0・14 45・62± 1497 36・96士0.76
1.14±0.17 54.28±0.79 2.44土0.25 42.13±0.79
40 0.99土0.16 2306 土0.78 56 土0.18 1648 40・69士0・77 74).94土0.1171
421453.55土0・56 oDS
。w三1…4ミニ器≡。o:三31…,7
0・88±0.10 59・22土0・55 1.07土0.ll 38.83土0.54
110 玉 沢
表 ≠ (ii) 竹 富 島 住 那
民 の 指 紋
8
実数 %土 m 実数
?
% 土 m
五 右
描
計 左
十 指 計
。…s∈
ow∃
B I S
OD S OW
2 188 5 170
3
ら 19芸 163
1
1.55土0.39 51・51土2.62
1二37土0・61
46・58土2・61
0.82土0・47 53.15±2.61 1・37±0.61 44.66土2.60
0.82士0.47 232 63.56土2.52 1.92土1.72 123 33.70土2.47
0.82±0.47 227 62・19土2.54 10 2・74±0・85 125 34.25±2.<
B 5 0・68土0・30 0.82土0・33 382 52・33土1.85 459
oDS 喜 10 1.37土0・43 17
ow 333 45・62土l.i 248
表I (ill) 黒 島 住 民 の 指 紋
62.88±1.79
2二33土1.56
33.97土1.75
8 ?
実数 %土m 実数 %土m
B S
五 右 oDS∃
OW
描
汁
十 描 計
B 左S oDS ow
1 290 5 319
3 313 13 286
1.16土0・16 47・15土2・01 1.81土).36 51.87土2.01 0・49土0.28 50・89土2・02 2.11土0.58 46・50±2・01
B S
OD S OW
4 603 18 605
).47土0・27 336 52.09土1.97 ).47土1.27 303 46・98±2.00
0・33土0・16
0.62土1.31 334 51・78土1.97
7 1二09土1.41
300 46.51土1.96 0.54土0・20 49・02±1・43 670 51.94土1・39 1.46土1.34 10 ).78± 1.24 49.19土1二43 603 46.74土1・39
に低い頻度を示している・黒島のみほ,左側では石拒, 竹富両島と同様であるが,右側においてほ, ow型が 最も高く,次いでS塑となり,以下CDS,B型の順 に低い頻度を示している.
女性 石垣島,竹富島,黒鳥の3島は左右共に, S 型が最も高く, OW型がこれに次いでいる・さらに左 側ではいずれもODS, B型の順となっているが,右 側の場合は,石垣島および黒島でほODS型とB型と が全く同一頻度を示し,竹富島のみは左側と同様に
ODS, B型の順に低い頻度を示している・
側別差,性別差
側別に見ると,男性においては, B, SおよびODS の3型では左側に, OW型では右側に多く現われてい るが,石垣島におけるODS型およびOW型でほ, 左右の差に確差が見られる.女性においてほ,男性に みられたような傾向が明らかでなく,石垣島ではS型 が右側に, OW型が左側に多く現われている.
性別には, S型では女性に, OW型では男性に多く
八重山群島住民の指紋および手掌理紋の研究 現われているが・ B型およびODS型では明らかな傾
向ほみられない.これらのうち,石垣島および竹富島 の右側においてほ, S型でほ女性に, OW型でほ男性 に多く・また石垣島の場合のみ左側ODS型において, 男性に多く現われている.
(2)十 指 計
男性 石穎島および竹富島においてほ s, ow, ODS.B型の風こ低くなっていることは,五指計によ
る順位からも当然であるが,黒島ではOW型がS型 よりもわずかに多く現われ,次いでODS,B型の順に 低い頻度を示している.
女性 石垣島,竹富島および柴島の3島において, 各型の出現順位はいずれも同じで, S型が最も高く, OW型がこれに次ぎ,以下ODS, B型の順に低い頻 度を示している・
性別差 性別にみると, S型でほ女性に, OW型で は男性に多く現われていることは, 3島共に共通して いるが B, ODS両型でほ各島によって異なってい る・これらのうち,石垣島および竹富島でほS型およ びOW型において,それぞれ確差が認められ,また 石垣島の場合はODS型でも男性に頻度高く,確差が 存在している・
(3)各島間の比較
3島における各型指紋の出現順位についてほすでに 述べたとおりであるが,次いで十指計における各型の 出現頻度について各島間の比較を試みたい・
V ¥'¥(
B型においては,石垣島(o.94%〕に次いで竹富島 (0・68%〕が高いが,黒島(0・33%〕のみほかなり低 い頻度を示し,石垣島と黒島との間にの克確差が認め
られる・
表 m 指 紋 (i) 男 性
的Ill
S型においてほ,石垣島〔53・55%)と竹富島(52.33
%〕でほほとんど差がみられぬが,石垣島と黒鳥(49
・02%)との間にのみ確差が認められる・
ODS型においては,石垣島(1.64%),黒島〔1.37
%),竹富島(1.37%〕の順となり3島共に近似した 数flflを示している・
OW奉・J.いこおいては. S型とは逆に. 8繁鳥が49.19%
で最も高く,竹富島〔45.62%),石垣島(43.88%〕
の順に低くなっているが,石在El島と黒鳥との間にの長 篠某が認められる・
女 性
B執こおいては,石垣島〔0.88%)と竹富島(0.82
%〕とほほとんど差がなく,崇島(o・54%〕がやや低 い頻度を示しているが,各島間にはいずれも確差はみ
られない.
S型においてほ,竹富島(62・88%)および石垣島 (59.22%〕では著しく高く,黒鳥は51.94%で.石垣 島,竹富島に比してかなり低い頻度がみられ,それぞ れ確差が認められる・
OW型においてほ,黒島が46・74%で最も高く,石 垣島〔38.83%),竹富島〔33.97%)の順に低くなり, 黒島と石垣島および竹富島との間にそれぞれ確差が認 められる・
b・他地方住民との比較
八重山群島石垣島,竹富島および黒鳥住民の指紋に おける成績を,すでに業績の報告されている沖縄本島 北部および南部,奄美群島の徳之島,九州本土の薩摩 および大隅の5地方化拭の戒蘇と比較した.以下その 成績について述べる.
ぐ1)各型指紋の出現頻度による比較
各型指紋の十指計における比較成績ほ表1 (i, iり
の 比 較
r
B S
地 方 %土m i地 方 %土m
i
石垣島 1.94土0二11第 沖縄北部 53・92土0.40 沖縄北部 o・75土0.07
竹富島 0.68土0.30 大 隅 o・65士0・04
OD S 地 方 % 土 m 大 隅 4・39土0二09 石垣島 53.55±1.56 薩 摩 4・34土0・10 竹富島 52.33土1・85
沖縄南部 51.94土0・35
沖縄北tf$ 2.37士.12 沖縄南部 2.36±0.10 徳之島 1.91±0・09 石垣島 l.f 土0.14 黒 鳥 1・46土0.34 竹富島 1.37土0.43
OW
地 方 % 土 m
黒 鳥 大 隅
!.'茂f二 上
¥J>‑ yv │X
沖縄南部 薩 摩
if hi. >:,';
沖縄北部
49.19±1・43 45・69土0・22 45・66±0・35
45二62土1.84 45・13ニヒ1.35
44.97土0.25 43.88±0・56 42.94土0・40
112
(ii) 女 性
‥1,‑; ;iこ 那
表 m 指 紋 の 比 較
ち S
■
CDS OW
TJ ・ ‑‑‑ ・ '> ,. I‑) ・・・I I, ・ =‑ ・l lr二 J ‑‑一
徳之島 1.18土0.08
川.純‑ILfvl 大 隅
石垣島
沖純Ififi二
竹富島
'K ,1;.';
薩 摩
l
竹富島 62・88土1.79 1・10土0・08 沖縄北部 59.84土).39 1.96土0.04 石垣島 59.22土1.55 0・88土0・10 沖縄南部 57.46±0・36 o.88土0.07 徳之島 56.07土1.35 1.82土).33 薩 摩 54.78士1.25 0・54土0・20宴 大 隅 54・45±0.22 1.50土0.03I黒 島 51二94土1・39
に示すとおりである・
1■る・ [)二j !'!;
B型
石垣島(0・94%)は全比較地方のうちて最も高く, 黒島(0.33%)は道に最も低い頻度を示しているが, 竹富島(0.68%)ほ沖縄北部,大隅,沖縄南部,徳之 島などと近似している.
石垣島を基準にして他地方との比較を行なうと,沖 縄南部,徳之島および薩摩との間にそれぞれ確差が認 められる.
S型
石垣島(53.55%)および竹富島(52・33%)ほ沖縄 北部に次いで高く,沖縄南部,徳之島などと近似して いるが,慧島(49.02%)は比較諸地方のうちで最も 低い頻度を示し,薩摩,大隅などと近似している.
石垣島と他地方との比較では,薩摩および大隅との 間にそれぞれ確差が認められる.
ODS型
石垣島(1.64%),黒島(1.46%)および竹富島(1・37 浴)の3島は比較地方よりも低い頻度を示しているが, そのうちでは徳之島に比較的近似している・
石垣島と他地方との比較でほ,徳之島を除く4地方 との間にそれぞれ確差が認められる.
OW>W
黒島(49.19%)ほ比較諸地方のうちで最も高く,石 垣島(43・88%)は沖縄北部に次いで低い頻度を示して いるが,竹富島(45・62%)ほ比較諸地方のうち中位 を占め,比較諸地方との間に著しい差異がみられない・
石垣島と他地方との比較では,大隅との間にのみ確 差が認められる.
大 隅 4.23土0・09 薩 下 3二97土0.10 沖縄南部 2.67土0・12 竹富島 2.33±1.56 徳之島 1.85土0.09 沖維北部 1・35±0.09 石垣島 1.07±0.ll 黒 島 0.78±0.24
i
黒 島 46.74土1.39 徳之島 40.91土1.35 薩 摩 40.75±0・25 大 隅 40・37土0.22 沖縄南部 38.98±1.36 石垣島 38.83土0・54 f→1維北部 37.70士0・39 竹富島 33.97土1.75
二∴1 k 二1‑
B型
石垣島(0.88%)および竹富島(0・82%)ほ薩摩を 除く他の比較諸地方と著しい差がみられないが,黒島
(o.54%′)ほ薩摩に次いで低い頻度を示している.
石垣島と他地方との比較でほ,薩摩との間にのみ確 差が認められる・
S型
竹富島(62・88%)および石垣島(59・22%)は沖縄北 部,南部と共に高い頻度を示しているが,黒鳥(51・94
%)ほ比較諸地方のうちて最も低い・
石垣島と他地方との比較でほ,徳之島,薩摩および 大隅との問にそれぞれ確差が認められる.
ODS型
石垣島(1・07%)および黒島(0.78%〕ほ最も低い 頻度を示しているが,竹富島(2.33%)のみは比較諸 地方のほぼ中位を占めている.
石垣島と他地方との比較では,徳之島を除く4地方 との問にそれぞれ確差が認められる・
OW型
石垣島〔38.83%)および竹富島(33.87%)は沖沌 北部,南部と共に最も低いが,黒鳥(46.74タ;6)は比 較諸地方のうち最高で,著しく高い頻度を示している・
石垣島と他地方との比較では,徳之島および薩摩と の間にそれぞれ確差が認められる.
x2検凪こよる比較
石垣島,竹富島および黒島と比較諸地方との各型指 紋における関係はすでに述べたとおF)てあるが・ここ においては,総合的に比較するため,石垣島を基準に して,指紋十指計の全型分布を用い竹富島,黒島およ
八重山群島杜氏の指紋および手掌理紋の研究 表N X2伯〔基準:石穎島)
3 e
・v'j二
男 沖 縄 沖 縄
I.1! '.'.
醍 大
富 島 島
lるt¥
北 之
1・42 14.57 15・73
部 29.34 68・30 祁 16・33 7・99 島 21.56 42・25 摩 180・18 208.81 隅 166.( 216.76
甲‑ 3 X2 〔 11.34
び比較5地方との間にⅩ2検定を行なった.その成績 は表Nに示すとおf)である・
1)男 性
石垣島に対するX2検rjEにおいては,竹富島(1・42) のみ有意差がなく,その他の全地方との問には有意差 が認められるが, Ⅹ2値についてみるならば,黒島
〔15・73),沖縄北部(16.33),徳之島(21.56),沖縄 南部(29.34)などでは比較的小さく,大隅(166.(
および薩摩(180.18)では大きい値を示している.
.る L な二 II:
石垣島に対して,沖縄北部(7.99)のみは有意差が なく,その他の全地方との間にほ有意差が認められる が, Ⅹ2偶についてほ,竹富島(14.57),黒鳥(30.07), 徳之島(42・55),沖縄南部(68・30)などでほ比較的 小さく,薩摩〔208・81〕および人隅(216.76〕でほ人
きい伯を示している.
B.手掌理紋
a・八重山群島住民の成績 (1)掌指三叉線
1) Wilder手式および手式種
石垣島,竹富島および黒鳥住民,男性983名,女性 1,012名,合計3,990手掌におけるWilder手式は, 106種であったが,そのうち最低値を示す手式ほ石垣 島の男性および黒鳥の女性における0551で,最高値を 示すものほ石垣島男性における131197である・
すでに多くの業蔚において指摘されているように,
‑般に低い手式値ほ左側に多く,女性にやや多く現わ れ,高い手式伯は右側に多く,やや男性に多く出現し ている.
手式種は,石垣島が99種,竹富島が45種,黒島が38 種であるが,これらのうち共通のものを除くと,合計 106種となっている.手式種は男女共に左側に多く現
113
i‑I)れているか,これも従来の報告と同様である.
2)代表的手式
石垣島,竹富島および慧島におけるWilder手式の うち出現頻度の高いものから4式ずつを挙げると,表
Ⅴに示すとおりである.
表 V 代 表 的 手 式 iniiv
石垣島1197575537559753 8竹富島119757553 黒鳥75539755119759753 石垣島7551197575539753
?竹富島1197575575557553 崇島75539755755511975
')];二1‑:
石垣島および竹富島では,第1位が11975,次いで 7553,第3位ほ9755あるいほ9753である.第4位 ほ石垣島でほ9フ53,竹富島でほ11973となっている.
崇島の場合は多少異なり,第1位が7553,次いで 9755,11975,9753の順に間現している.
すなわち,代表的手式4種は3島共に同じであるが, その順位については石垣,竹富両島と黒鳥とでは異な った傾向が認められる.
女件
第1位ほ,石垣島が9755,第2位カミ11975となっ ているが,竹富島でほ順位が入れ代わって,第1位が ユ1975,第2位が9755となっている・第3位は石垣島 が7553,第4位は9753となっているが,竹富島でほ 7555,7553の順に出現している・黒島でほ,両島の 場合と多少異なF),第1位が7553,次いで9755,7555, 11975の順にni
i.li現している.
すなわち,石垣島と竹富島では,種額あるいは順位 に多少の相異はあるが,頬似の傾向がみられるのに反 し,黒鳥では異なった憤向がうかがわれる.
3〕崇人型および白人手式
Wilder氏のいう黒人型手式(7553‑7555)および 白人型手式〔11972‑11975)の出現頻度ほ表Ⅵに示す とおF)である.
リJII疾̲
石垣島および窯島では黒人型の頻度は白人型のそれ より高いが,竹富島でほ白人型が多く出現Lている.
黒人型においては,黒鳥(29・67%)が最も高く.
石垣島(23・25%〕がこれに次いでいるが,竹富島ほ
114
表11黒人型および白人型手式
玉 沢
r 黒 人 型 白 人 型
i: ‑: I′l, Ili i '.. "., in
石垣島】366 23.25土1.06 297 ・87土0.09 8 竹富島 26 17.81±3.17 39 26・71士3.66
鷲 島 73 29.67土2.91 32 13.01土2.14 石垣島 367 22・65土1.04 263 16.23±0.92
?汁ft ft
.'.V< tf疾:j
28 19.18土 36 24.66±3.57 93 36.05土2.99 10・85±1・94
17・81%で著しく低く,黒鳥との問に傾向差がみられ る.
白人型においては,竹富島(26・71%)が著しく高 く,石垣島(18・87%〕がこれに次いでいるが,黒島 は13.01%で最も低く,竹富,石垣両島との間にそれ ぞれ確差が認められる・
女 性
男性の場合と同様に黒島および石垣島でほ黒人型の 頻度は白人型のそれより高いが,竹富島では白人型が 黒人型よりも多く出現している.
黒人型においては,黒島が36.05%で著しく高く, 石垣島(22・65%),竹富島(19.18%)の順となって いるが,黒島と石垣,竹富両島との間にはそれぞれ確 差が認められる.
白人型においては,竹富島(24.66%)が最も高く, 石垣島(16.23%)がこれに次いでいるが,黒島は 10.85%で著しく低い頻度を示し,竹富,石垣両島と の間にそれぞれ確差が認められる.
) Cummins・Midlo手式
Cummins の記載法により, 7型, 9塑, 11型の3 型に分類して,それぞれ出現頻度を求むれば,表Ⅶに
HI;
示すとおりである・
リI l'二'E二.
石垣島では9型(33二99%),フ型(33・10%), 11型
〔32.91%)の順に出現しているが, 3型の出現頻度 ほほとんど同じである・竹富島では11型(39・04%), 7型〔31.51%), 型(29・45%)の順に出現してい るが,黒島では7型〔43.09%), 9型(34.15%), ll 型(22・76%〕の順に現われている・すなわち,石垣 島が9, 7, 11型の順に,竹富島が11, 7, 9型,黒島 が7, 9, 11型の順位を示している・
7型においてほ,黒鳥が43・09%で著しく高く,次い で石垣島(33二10%),竹富島(31.51%)の順に低い 頻度を示しているが,黒島と石垣,竹富両島との間に
はそれぞれ傾向差がみられる.
9型においては,黒島(34.15%),石垣島(33.99
%),竹富島〔29・45%)の順に低い頻度を示している が, 3島間には著い、差ほみられない.
11型においては,竹富島(39・04%)が最も高く石 垣島(32・91%)がこれに次ぎ,黒島ほ22.76%で著し く低い頻度を示しているが,黒鳥と竹富,石垣両島と の間にはそれぞれ確差が認められる・
女 性
石垣島では9型(37・22%)が最も多く,フ型(31.67
%)と11塑(31・11%〕とはほとんど同じ頻度を示し ている・竹富島では11型(36.30%), 9型(34.25%), 7型〔29・45%二)の順に二 また黒鳥でほ7型(48.45%), 9型(32.56%), 11型(18.99%)の順に出現している る.すなわち石垣島では9, 7, 11型,竹富島では11, 9, 7型,黒島でほ7, 9, 11型の順となっている・
7型においてほ,果島が48.45%で著しく高く,石 垣島(31・67%),竹富島〔29二45%)の順に低い頻度 を示しているが,黒島と石垣,竹富両島との問にほそ
表1'1 Cummins二Midlo 手 式
7 型 9 型 11 盟 実数 %土 m 実数 %± m 実数 %土m 石 垣 島 ㌻ 521
8 竹 富 島 46 黒 島 106
33二10±1・19 535 33.99土1・19 31・51±3.84 43 29.45土3・77 43.09±3.16 84 34.15土3・02
石 垣 島 513
? 竹 富 島 43 黒 島; 125
31.67土1.16 29.45土3.77 48.45±3.ll
603 37.22土1.20 50 34.25士3.93 32・56土2.90
518 32.91土1.18 57 39・04土4・04 56 22・76土2.67
504 31二11土1.15
53 36・30土3.<
49 18・99土2二44
八重山群島伴民の指紋および手掌理紋の研究 れぞれ確差が認められる.
9型においてほ,石垣島(37.22%)が最も高く, 竹富島(34・25%),黒島(32.56%)の順に低い頻度 を示しているが, 3島問の差は著しいものでほない.
11型においては,竹富島(36・30%)が最も高く, 石垣島(31・11%)がこれに次いでいるが,黒鳥ほ18・99
%で著しく低い頻度を示し,黒鳥と竹富,石垣両島間 にはそれぞれ確差が認められる.
(2)指間三叉線
全柿間三叉線(allt)の出現頻度は表1′Ⅶに示すとお りである・
表1Ⅶ 指 間 三 叉 線
宴 8 ?
喜
漢数 %土m 実数 %±m
石垣島128 2.71土).24 100芯
竹富島 27 6.16土1.15 23 5.25土1・07 黒 島 21 2.85土1.61 19 ・45±1.56
'.サ] i‑l‑:
竹富島は6・16%で著しく高いが,黒島(2.85%), 石也島(2・71%)でほ低い頻度を示し,竹富島と,石 垣島および黒鳥との問にほそれぞれ傾向差が認められ
る・
女 作
男性の場合と全く同様の傾向がみられ,竹富島は 5・25%で高く,黒島(2.45%),石垣島〔2.06%)ほ 低い頻度を示し,竹富島と黒島,石垣両島との間には それぞれ傾向差がみられる.
(3)小指球理紋
全小指球理紋(allH)の出現頻度は表Ⅸに示すとお i)である.
男 性
石垣島が24・27%で最も高く,次いで竹富島〔21・92
%),黒島(21.54%)の順となっているが, 3島問の 差は小さい・
表Ⅸ 小 指 球 理 紋
】
1 1
ト便数
8 9
% 土 m 実数 %土 m
重富冨患3
82 24・27土l.( 413 25.49土1・08 32 21.92土3.42 47 32・19土3二87 53 21・54土2.62 71 27・52土2.78
115
女 性
竹富島が32.19%で最も高く,黒島(27・52%〕,石 垣島(25.49%)の)l常こ低い頻度を示し,竹富島と他 の2島との間に多少の差ほ見られるが,確差ほ認めら れない.
〔4〕母指球理紋および第一一指間理紋
全母指球理紋(allTh〕および全第一指問理紋(alii〕
の州税頻度は表Xrに示すとおりである・
表 X 母指球理紋および第‑一指間理紋
"f'1111.患!]
Ijj 8竹富島 1暮二'」!
all Th all I 実数 %土 m 実数 %土 m
190 12.07士0館82 173 10・99土0.79 10 6・85土2.11 10 6.85土2・11 16 6.50土ユ・57 土1.32
石垣島;166 ユ0・25土0.フ 143 8.83土0.70
1
9 竹富島 19 13.01± 21 14・38士2・90 黒 島 27 10・47土王91 21 8・14±1.7C
男 性
allThにおいてほ,石垣島が12.07%で著しく高い が,その他では竹富島〔6.85%),黒鳥(6・50%)の )常,こ低い頻度を示し,石垣島と,竹富,黒鳥両島との 間にほそれぞれ傾向差がみられる.
allIにおいても,石垣島が10.99%で著しく「lnっく・
次いで竹富島〔6.85%),黒鳥(4・47′%)の順に低い 頻度を示しているが,石垣島と黒島との間にほ確美が 認められる・
二/{L ・i‑'k
allThにおいてほ,竹富島(13.01%)が最も高く, 次いで黒鳥(10・47%),石垣島(10・25%)の順とな
っているが, 3島共に比較的高い頻度を示し,いずれ も確差は認められない・
allIにおいては,竹富島が14.38%で著しく高く, 次いで石垣島(8.83%),男島(8・14%)の順に低い 頻度を示し,竹富島と他の2島との間にかなりの差が みられるが,確差は認め得ない.
b.他地方住民との比較
八重山群島の石垣島,竹富島および黒鳥什民の手掌 理紋における城続を,すでに業績の報告されている沖 縄本島北部および南弧徳之島,薩摩および大隅作民 のそれと比較した.以Tその成績について述べる・
(1、)各型の出現頻度による比較
116
(i) 男 性
1二:) .るrこ I'!二二
表XI Cummins‑Midlo手式の比較
丁 .■茂H J 9 二!?J
地 方 %± m 地 方 %土 m 黒 鳥 43・09±3.16
薩 摩 39.98土0.84 大 隅 38.50土3二44 徳之島 34・86土○・74 沖縄北部 34.42土1.85 石垣島 33.10±1.19 沖縄南部 31・75±0・75 竹富島 31二51±3.1
大 隅 35.50±3.38 徳之島 34.19土0.74
窯 島 34.15土3.02 沖縄南部 33.45土0・76 石垣島 33・99土1.19 薩 牽 32.91士0・80 沖縄北部 32・07土0.84 竹富島 29・45土3・77
11 型 地 方 %士 m 竹富島 39・04土4.(
沖縄南部 34・80士1.76 沖縄北部 33.52士0.85 石垣島 32.91士1・18 徳之島 30・95土0.72 薩 摩 27.11土0.76 大 隅 26.(い二3・10 黒 島 22・76土2・67
表氾 Cnmmins‑Midlo手式の比較 (ii) 女 性
7 型 9 型 1 1 1f'J 地 方 %土 m 地 方 %土 m 地 方 %± m 黒 鳥 48.45土3.ll
薩 摩 40.03土0・87 大 隅 38・40±3.31 沖縄南部 35・30土0・81 沖縄北部 34・79±0・86 徳之島 32.10士0二74 石垣島 31・67±1・16 竹富島 29・45±3.77
石垣島 37.㌶土1.20 徳之島 35・50±1.76 大 隅 35.20土3.25 竹富島 34.25土3・93 沖縄北部 33.40土1.85 沖縄南部 32.94士0・78 黒 島 32.56士2.90 薩 摩 32.13土(.83
1 ) Cummins‑Midlo手式
Cummins‑Midlo手式における出現頻度の比較ほ真 刀(i, ii)に示すとおりである・
男 性
7型においては,黒島(48・09%)ほ比較諸地方の うちで最も高いが,石垣島(33.10%)および竹富島 (31.51%)は徳之島,沖縄北部,南部などと共に低 く,とくに竹富島ほ最低頻度を示している.
石垣島を基準として他地方との比較をしてみると, 薩摩との間にのみ確差が認められる・
9型においては,黒鳥(34・15%)および石垣島 (33.99%)はほぼ中位を占めているが,竹富島〔29・45
%)のみは比較諸地方のうち最も低い頻度を示してい る.
石垣島と他地方との比較では,いずれも比較的近似 し,確差は認められない・
11型においては,竹富島(39.04%)は比較諸地方
竹富島 36.30土3.;
徳之島 32.40±0・74 沖縄北部 31.81±0.84 沖縄南部 31.77土0・79 石垣島 31・11土1.15 薩 摩 27.84±1.79 大 隅 26.40土3二00 黒 島 18.99士2.44
のうちで最も高く,黒鳥(22.76^)は最も低い頻度 を示しているが,石垣島(32・91%)ほ沖縄北部,南 部,徳之島などと共にほぼ中位を占めている・
石垣島と他地方との比較でほ,薩摩との間にのみ確 差が認められる・
女 性
7型においては,黒島(48.45%)ほ比較諸地方の うちで最も高い頻度を示しているが,石垣島(31.67
%)は徳之島,沖縄北部,南部などと共に比較的低く, さらに竹富島(29二45%:は最も低い頻度を示してい る.
石垣島と他地方では.薩摩との間にのみ確差が認め られる.
9型においてほ,石垣島(37・22%)ほ比較諸地方 のうちで最も高く,竹富島(34・25%)は中位を占め ているが,黒島(32・56%)は薩摩に次いで低い頻度 を示している.
八重山群島住民の指紋および手掌理紋の研究 石垣島と他地方との比較でほ,薩摩との問にのみ確
差が認められる・
11型においてほ,竹富島(36・30%)ほ比較諸地方 のうちで最も高く,窯島(18・99%)ほ最も低い頻度 を示しているが,石柘島(31.11%)はほはるる中位を占 め,沖縄北部および南部と近似している.
石垣島と他地方との比較でほ,いずれも確差ほ認め られない.
2)指問三叉線
全指問三叉線(allt)の出現頻度比較は表Ⅶに示す とおりである.
表Ⅶ 指問三叉線の比較
8 雪
地 方 % 土 m 地 方 %± m 竹富島
薩 摩 沖縄北部
I;L国uL二丁二.二IIに
.'る11 Mi
ll二る4.上,','.',
Lli J:ill二ti
6・16土1・15
4.40±0二20
4.01土0.2o 3・54土0.17
2.85土0二61
2.75土0・27 2.71土0.24
竹富島
薩 摩 沖縄北部 黒 鳥 i'l一札h'・川こ ff hi &
i二‥ヱ.',';
5.25土1・07 3・94±0・20 3・29土0・19 2・45土0・56
2二35土0二15
2.06土0.20 2・00土0.13
9j 性
竹富島(6・16%〕は比較諸地方のうちで最も高いが, 窯島(2・85%:および石垣島(2・71%)は徳之島と共 に最も低い頻度を示している・
石垣島と他地方との比較でほ,薩摩および沖縄北[る ft との間にそれぞれ確差が認められる・
k I'I疾.
竹富島(5.25%〕ほ男性の場合と同様に比較諸地方 のうちで最も高く,黒島(2・45%)および石垣島(2.06
%)は沖縄南部,徳之島などと共に低い掛こ属してい る・
石垣島と他地方との比較でほ.薩摩および沖縄北部 との間にそれぞれ確差が認められる・
3)小指球理紋
全小指球理紋(allH)の出現頻度比較ほ表Xmに示 すとおりである.
'J r¥:
石垣島〔24.27%),竹富島(21・92%〕および黒鳥
〔21・54%〕ほいずれも沖縄北部より低い頻度を示し ているが,その他の比較諸地方とほ若い、差がみられ
ない.
表XⅢ 小指球理紋の比較
117
s
地 方 % ニヒ m
沖縄北部 31二72土0.83 石垣島 24,27土1・08 薩 摩 22.19士0.71 竹富島 21.92土3.42 黒 島 21.54土2.62 大 隅 21.50土2・90
?
地 方 %土 m 沖縄北部 35.05土0.86 竹富島 32.19土3.8フ 大 隅 31.50土3.16 黒 島 27.52土2・78 徳之島 27.25±0・70 石垣島 25・49土l.(
徳之島 21.07土J.63 薩 摩 25.33土1.77 沖縄南部 20・57土0・65 沖縄南部 23・46±0二71
石垣島と他地方との比較では.沖縄北部との問にの み確差が認められる.
k ll‑:
竹富島(32・19%)ほ沖縄北部に次いで高く,崇島
〔27.52%)および石垣島(25.49%)ほ徳之島,薩摩 などと共に低い部に属しているが,沖縄南部よりは高 い頻度を示している.
石垣島と他地方との比較でほ,沖縄北部との間にの み確差が認められる.
4)母指球埋紋および第‑一指間理紋
全村指球理紋(allTh)および全第一指間理紋(ain;
の出現頻度比較ほ表XⅣに示すとおりである・
男 性
allTh においてほ,石垣島(12・07%)ほ比較諸地 方のうち最も高いが,竹富島〔6.85%〕および黒鳥
〔6.50%)ほ大隅,薩摩などと共に低い部に属しで〕、
る・
石垣島と他地方との比較では 薩摩との間に確;きカるl 認められる.
allIにおいても,石垣島(10.99%)は比較諸地方 のうちで最も高いが.竹富島(6・85%)および黒島 (4.4フ%)は薩摩,大隅などと共に低い頻度を示して いる・
石垣島と他地方との比較でほ二 大隅および薩摩との 問にそれぞれ確差が認められる.
女 性
allThにおいては,竹富島(13.01%)は比較諸地 方のうちで最も高いが,黒島(10.47%)および石垣島 (10.25%)はほぼ中位を占め,沖縄北部,徳之島など
と近似Lている.
石垣島と他地方との比較では,薩摩およびる人隅との 間にそれぞれ確某が認められる.
118 1二る一疾 <'i ' HI二
表‡Ⅳ 母指理紋および第一指問理紋の比較
8 ?
all Th all I all Th all I
地 方 %土 m 地 方
イ二JL l二:u ,t.n
i"と口良北,‑vi:
osl.之to 沖縄南部 大 隅 rr?K u l u
12.07士0・82 ll.47土1.57 10.38土0.47 9.05土0・46 7・00土1.
6・85土2.ll 6.50土1.57
%±m ∈地 方 %土 m 地 方 %士 m IS i:>i &
i'l'縄北.:lil) 徳之島
沖用F3二fl ii i
竹富島
大 隅 黒 島
10.99±0・79 10・38土0.55 9・66土0・46 8・32土0・44 6・85土2・11 5.00士1.54 4・47土1・32 薩 摩 5・92士0.40 薩 摩 3・19土1.30
竹富島 13.01土2.78 竹富島 14・38土2.90 徳之島 11・03土0.50 沖縄北部 10.10±0・54 沖縄北部 10・78土0.56 徳之島 9.63土1.47 黒 島 10.47土1.91 石垣島 8・83土0・70 石垣島 10・25土1.75 黒 鳥 8・14土1・70 沖縄南部 8・76土0・48 沖縄南部 7.65土0.45 薩 摩 6・68土1.44 薩 撃 4・04士0.35 大 隅 4・20土1.36 大 隅 2.f 土1・12
aliiにおいては,竹富島(14.38%)ほ比較諸地 方のうちで最も高く,黒島(8.14%)および石垣島 (8.83%)は徳之島,沖縄南部などと共に中位を占め ているが,いずれも薩摩,大隅よりほ高い頻度を示し ている.
石垣島と他地方との比較でほ,薩摩および大隅との 間にそれぞれ確差が認められる.
(2) X2検定による比較
石垣島,竹富島および黒鳥と比較諸地方との手掌理 紋各型における関係ほすでに述べたとおりであるが,
ここにおいてほ,総合的に比較するために,石垣島を 基準にして,人類学上長も重要と思われるCummins・
Midlo手式の3型について, Ⅹ2検定を行なった.そ の成熟ま表XVに示すとおりである・
男 性
石垣島に対するⅩ2検定においてほ,八重山群島の 竹富島の他,沖縄南部,北部,徳之島および大隅で は有意差なく,その他の黒島(13・10)および薩摩
(26・36)では有意差が認められる・
女 性
総 括 お よ
琉球列島に属する八重山群島のうち石垣島,竹富島 および黒島において,土着住民の子弟,男性983名, 女性1,012名,計1,995名の指紋および手掌理紋を採取
し,指紋ほ小池の新分類により,手掌理紋は Wilder の一口法およびCumminsの記載法にしたがって観察し, 各島間の比較をなすと共に,すでに業績の報告されて いる寸̀・い縄鳥北ffi,同南部,奄美群島の徳之島,九州木
表xv x2検定 (基準:石垣島)
8 ?
ft 7rt 黒 沖 縄 南 l・二I】縄 ‑It 徳 之 薩 大
ti 良
I:I; ・;
.るft
良 磨 隅
2.42 ・67 13.10 30.87
1・ 10・37 1・82 7・71
2・44 1二61
26.36 32.40 4.29 5.28
㌧.、 ‑ 2 Xコ、o・o1' ‑ 9.21
石垣島に対して,奄美群島の竹富島の他に沖縄北部, 徳之島および大隅では有意差がなく,その他の地方で は有意差がみられるが, Ⅹ2値は沖縄南部(10・37)で は小さく,八重山群島の黒島(30・87)および薩摩
(32・40)でほかなり大きい値を示している.
ただし,男女共に,大隅との間に有意差を認め得な いのは,資料数(男性100名,女性106名)の不定によ るものと考えられる.
び 結 論
土の薩摩および大隅地方住民の成績と比較検討した・
以上述べたところを総括すれば次のとおりである・
A.指 紋
1.五指計においては,男性でほ,石垣島,竹富島 の両側,および〜繁島の左側でほ, S,OW,ODS,B型の 順に現われているが,黒鳥の右側のみほOW,S,ODS,
八重[Lj群島f̲るl一疾拭の指紋および手掌理紋の研究 ユ19
B型の順に出現している.
女性でほ,石垣島,黒鳥の左側,および竹富島の両 側でほ, S, OW, ODS, B型の順に現われ,石垣島
および黒鳥の右側でほ, s, ow型につづいてODS型 とB型とが同一頻度を示している.
2.十指計においては,石垣島,竹富島の男女,お よび黒島の女性でほ, S, OW, ODS, B型の順に現 われ,黒島の男性のみほOW, S, ODS, B型の順に
出現している.
3・八重山群島の各島問の比較でほ,黒鳥は男女共 に石垣島および竹富島に比して, B型およびS型では 低く, OW型では高い頻度を示しているが, ODS型で
は著しい差がみられない.
4・他地方との比較では,石垣島および竹富島は, 男女共に, B型およびS型でほ比較諸地方のうちで高
く, ODS型およびOW型では低い頻度を示し,全型を 通じて沖縄北部,南部および徳之島と近似している・
黒島はB,S, CDS型では比較講地方より低く, OW 型では高い頻度を示し 薩摩および大隅地方に近い傾 向がみられる.
5.石垣島に対するⅩ2検定では,至引^ニおける竹 富島および女性における沖縄北部との間に有意差なく, その他の地方との間には有意差がみられるが, Ⅹ2値 は竹富島,黒島,沖縄北部,同南部および徳之島でほ 小さく,薩摩および大隅地方でほ)こきい伯を示してい
る・
B・手掌理紋
1. Wilder手式においてほ,手式種が106種で, 最低f掛ま0551,最高値は131197である.
2.代表的手式においては,石垣島および竹富島ほ, 男性でほ11975, 7553,女性では9755, 11975が第1位, 2位を占めているが,黒鳥では男女共に7553, 9755が それぞれ第1位, 2位を占めている・
3.黒人型および白人型手式においては.石垣島お よび黒島では男女共に黒人型が白人型よりも多く現わ れているが,竹富島では逆に白人型が多く出現Lてい る・
4. Cummins‑Midlo手式においては,石垣島では, 男女共に, 9, 7,ユ1型の順に出現してL}るるが, 3型が ほとんど同一・頻度を示している.竹富島では11型が最
も多く,ついで男性でほ7, 9型の順に,女性でほ9, 7型の順に出現している.黒鳥でほ,男女共に, 7, ), 11型の順に出現している・
5・相聞三叉線においてほ,竹富島ほ男女共に,石 垣島および黒鳥より多くHi現している.
6.小指球理紋においてほ, 3ケ島の出現頻度は, 男性でほ24・27%‑21.54%,女性では32・19%‑25・49
%を示している.
7.母指球理紋においては,男性でほ12・07%‑
6.50%,女性ではユ ー10.25%,第一指間理紋で は,男性でほ10.99%^ 女性では14,38%‑
8.14%を示している.
8◇ 八重山群島の各島問の比較でほ,黒島ほ,男女 共に,黒人型あるいはCummins‑Midlo手式における 7型手式が多く現われ,竹富島は白人型手式あるいは 11型手式が多く出現しているが,石垣島では両者の中 間値を占め,竹富島に近い傾向がみられる・
9.他地方との比較では, Cummins‑Midlo手式に おいて,竹富島ほ,男女共に, 7型でほ最も低く,ユ1
‑Il‑1‑一∴Uiいir,.j;,二る・!1;fi'二」A‑7pる・し二.こ る,二る. fjJ‑│i,Cu∴ 「†",'!.二
おいて沖縄北帯 同南洋2;および徳之島と近似し,薩摩 および大隅地方とは異なってTいるる・黒島ほ竹富島と逆 に, 7型でほ最も高く† 11型でほ最も低い頻度を示し, 比較諸地方のうちでは薩摩および大隅地方に近い傾向
がみられる・
1患0. dhi.i,,';∴り二.トニX‑'Kサトii: し・ ftvtfttiリl二 女・■.\∴
沖縄北B疾r5 (男,女る),同南部〔男),徳之島(男,女) および大隅(男,女)との間に有意差がなく,黒鳥
ぐ男,女),沖縄南部〔女)および薩摩(男,女)と a疾)間に有意差がみられる.
C・要 約
以上要するに,八重山群島住民の手掌皮膚隆線の性 状は,石垣島および竹富島は,指紋ではS型が多く, OW型が少なく,また手掌理紋では,白人型および Cummins‑Midlo手式における11型など高位の手式が 多く出現し,沖繩島,徳之島など南西諸島住民にみら れる一連の特徴をもっているが,黒島は石垣島および 竹富島と異なり,指紋ではS型が少なく,OW型が 多く現われ,また手掌理紋では,黒人型あるいは Cummins‑Midlo手式における7型など低位の手式が 多く出現し,特異な性状がうかがわれる.
120 玉 択 一一 郎
(欄筆するに当たり,ご指導とご校閲の労を賜わった恩師安中正哉教授に深甚なる謝意を表すると 共に,資料採取にご協力いただいた内藤,平安両学兄および八重山群島内の各小,中学校当局に感謝 の意を表する・)
主 要
1) Cummins, Keith and others : Revised Methods of Interpreting and Formulating pal‑
mar Dermatoglyphics. Amer二J. Physic. Anthro・
pol・, 12(3) : 415‑473, 1929・
2〕 Wilder, l.W・ : The morphology of the palmar digital triradii and main lines・ Jour・
Morphol・ and Phygiology, 49(1): 152‑208 1930・
3)小池敬事:指紋の新分類法に就いて・干葉医会 誌, 21(10):55, 1943.
4)小池敬事:指紋の形態学的研究及びその新分類 法について.解剖誌, 21(12) : 790‑791, 1943.
5)阿部治美:沖繩本島北部住民の指紋および手掌 理紋の研究・長崎医会誌, 38(12) : 884‑908, 1963.
文 献
6)長井一郎:沖繩島南部住民の指紋および手掌理 紋の研究・長崎医会誌, 39(3) : 204二221, 1964.
7)布広茂雄:奄美群島徳之島住民の指紋および手 掌理紋の研究.長崎医会誌, 41(6) : 513‑528, 1966・
8)尾立源二:薩摩国住民の指紋に関する究研.良 大医学部解剖学第二教室業績集. 2号: 1‑82, 1953・
9)池田琢郎:大隅国住民の指紋に関する研究.良 大医学部解剖学第二教室業績集. 2号: 1953・
10)三宅宗悦:大隅国住民の手掌理紋の研究.人類 誌, 52(1):1‑15, 1937.
11)牧田汎耕:薩摩地方住民の手掌理紋皮膚隆線系 統に関する研究.鹿児島大医学部解剖学教室開講十周 年記念論文集・ 3冊: 117‑134, 1953.