長崎大学教育学部自然科学研究報告第25号69‑78 (1974)
第四アンモニウム塩基および関連化合物の
イオン交換ペーパークロマトグラフィ(2)
竹友一成
長崎大学教育学部化学教室 (昭和48年10月51日受理)
Rapid Separation and Identification of Quaternary Ammonium Bases and Related Compounds
with Ion Exchange paper (2)
Kazushige TAKETOMO
Chemical Laboratory, Faculty of Education Nagasaki University, Nagasaki
(Received for Publication, October 31 ,1973)
Abstract
In order to apply ion exchange paper chromatography to forensic chemistry, quaternary ammonium bases and related compounds, in the form of reineckates, were examined whether they were chromatographically detected with ion ex‑
change paper. The ion exchange paper, amberlite SA‑2 was used. A dimethyl sulfoxide solution of the reineckate was spotted at the starting point that was at a 4cm distance from the bottom edge of the ion exchange paper strip. The strip was hung in a chamber at 30℃, the bottom edge of strip was immersed in lM‑Na2HPO4‑NaOH buffer solution (pH 13.30), and the ascending develop‑
ment was applied. After the run was completed, the strip was dried and passed
through a freshly prepared solution of 2% phosphomolybdic acid in lM hydro‑
chloric acid. The presence of the bases was evidenced by the appearance of the yellow spot.
Under such a condition, Rf values of the bases were as follows: 0.44 for choline, 0.20 for neurine, 0.18 for tetraethylammonium, 0.79 for betaine alde‑
*この報文をイオン交換ベーパ‑クロマトグラフィーの裁判化学への応用(第4報)とする。
70 竹友一成
hyde, 0.74 for creatinine, and 0.39 for antipyrine. It was impossible to detect betaine, atropine, and trimethylamine oxide by the above method.
Irradiation of light on a dimethyl sulfoxide solution of choline remeckate had effect on the rate of release of choline from choline reineckate. Also,
other careful investigation of the release showed that the release was caused by amberlite SA‑2 during the run.
Beside, this method was applied to the detection of choline in the plants.
I.緒言
先に,著者1)は,第四アンモニウム塩基および関連化合物(以下,有機塩基)のイオン交換 ペーパークロマトグラフィ‑を試み,これら有機塩基の過ヨウ化物を試料とし, Na之HPO4‑
NaOH緩衝液を展開液として用いれば,有機塩基の遊離再生のための特別の操作を行なうこ となく,展開中有機塩基が遊離再生され,かつ充分分離可能であることを報告した。
そこで,今回は,過ヨウ化物にかえてライネッケ‑トを用い,前報1)の方法を通用した場合 の有機塩基の遊離再生の有無,および各有機塩基の分離検出の可能性などについて検討した。
他方,応用例として植物液汁よりコリンの分離検出を試み,一応,満足すべき結果を得たの で,これらについて報告する。
2.実験材料および方法
2.1供試化合物:第四アンモニウム塩基類として,塩化コリン(市販, GR),塩化ノイリ ン(自家合成2)) ,塩化テトラエチルアンモニウム(市販GR)ベタイン(市販, GR) ベタインアルデヒド(自家合成3))を用いたはか,クレアチニン(市販EP)アンチピリ ン(市販,局方),硫磯アトロピン(市販GR)およびトリメチルアミンオキド(市販, GR)を供試した。なお,コリンおよびアンチピリンについては,さらに,これらを再結晶し て用いた。
2.2試料:イオン交換ペ‑パ‑クロマトグラフィr用試料として,上記有機塩基のライネ ッケートジメチルスルホキシド溶液を用いたOこの溶液の調製法は次のようである。
有機塩基を希塩酸に溶解させ(PH1.0) ,これにライネツケ試薬(ライネッケ塩5gをメチ ルアルコール100m/に溶解)を過剰に加え,充分ふりまぜ,生成したライネツケ‑トを遠心 分離により分離した.これを冷水もしくは冷メチルアルコールで洗浄後,遠心分離を行なっ た。この操作を3回繰り返えし,得られたライネツケ‑トをジメチルスルホキシドに溶解した。
2.3イオン交換紙:イオン交換紙として,日本オルガノ商会販売のアンバーライトSA‑2 (Na型)を未処理のまま使用した。
2.4展開液1 M‑Na2HP04‑NaOH緩衝液(PH13.30)を展開液として用いた。
2.5イオン交換紙への試料の付着:イオン交換紙下端4.0cm部を原点として,試料ライネ ツケートをジメチルスルホキシドに溶解後,直ちに,超微量ピペット(0.005m/)を用いて, 付着試料の直径が0.9‑1.0cmになるように付着せしめた。 ̀付着試料を乾燥後,次の展開操作 を行なった。
第四アンモニウム塩基および関連化合物のイオン交換ぺ 一パークロマトグラフィー(2) 71 2.6 展開,発色および定量:前報1)の如く行なった。
3.実験結果
3.1発現スポットおよびRf値:有機塩基のライネッケートを展開し,風乾したイオン交 換紙を2%リンモリブデン酸の1M塩酸溶液中を通過せしめることにより,スポヅトとして発 現した有機塩基は,コリン,ノイリン,テトラエチルアンモニウム,ベタインアルデヒド,ク
レアチニン,およびアンチピリンであった。ただし,クレアチニンに関しては,そのライネッ ケートをジメチルスルホキシドに溶解後,直ちに付着,展開した場合,スポットの発現は不充 分であった。
これら有機塩基による発現スポットは類黄色で,テイリング現象およびスポットの拡大(ア ンチピリンなどを除く)等,スポットの乱れは,ライネッケート付着量の多量の場合を除き,
殆んど認められなかった。試料として,有機塩基および有機塩基のライネッケートを用いた場 合のRf値を示せば第1表のようである。
第1表 有機塩基のRf値
(展開液 1皿一Na2KPO4−NaOH 緩衝液 pH13・30)
化 合 物 Rf値(色調)
塩基塩基ライラッケート
塩 化 コ 、リ ン 塩 化 ノ イ リ ン 塩化テトラエチルアンモニウム ベ タ イ ン
塩化ベタインアルデヒド
ク レ ア チ ニ ン ア ン チ ピ リ ン
硫 酸 ア ト ロ ピ ン トリメチルアミンオキシド
0.44(黄)
0.20(黄)
0.18(黄)
0.95(黄)
0.79(黄)
0.74(黄)
0.59(黄)
0.09(黄)
0.44(黄)
0.20(黄)
0.18(黄)*一)
一 ? 0.79(黄)
0.74(黄)*2)
0.59(黄)
曇一)微にテイリングあり
*2)微にスポットの乱れあり
これより明らかなように,ベタイン,アトロピン,およびトリメチルアミンオキシドの各ラ イネッケートを試料とする場合には,該当するスポットを認めることができなかった。なお,
カフェイン等若午数の有機塩基については,ライネッケートの沈殿生成が認められず,本法の 適用は不可能であった。
3.2混合ライネッケートのクロマトグラム:若干数のラィネッケートを混合溶解せしめた ジメチルスルホキシド溶液について,本法を試みるに,これら混合ライネッケートの分離識別 は,Rf値差が比較的大きい有機塩基間では一応満足すべき結果を得た。しかし,Rf値差の小 さい有機塩基間の分離は充分でなかった。その代表例のクロマートグラムを示せば第1図のよう である。
3.3Rf値に及ぽす展開液pHの影響:コリンラィネッケートについて検討し,得られた結 果を第2図に示す。
これより明らかなように,pHの値が大きくなるにしたがって,コリンのRf値は大きくな
ワ2 竹 友 一 成
1.O
o9
α3
Rチα7
値α6 αぎ α4 α3 α2 α1 α
一
Q
O
O
クレみン
コリン
ノイリン
一
0 ∩》∩∪ べ桝ン批テtド
〃レア艦ン
コリン
ノイリン ラトラIL6Ψ
アンモリ幽
第1図 混合有機塩基ライネッケートのクロマトグラム
σ.5』
α辱Rf 値 α3
α2
α1
α0
に 13 14
pH 第2図 Rf値に及ぽす展開液pHの影響
◎展開液1M−Na2HPO4−NaOH × 展開液 0.1M−HC1
った。他方,酸性側での展開を目的として,特に0.1M塩酸を展開液とする展開を試みたが,
スポットの発現があり,アリカリ性側での展開に比較して,さらにRf値の小さくなることが 認められた。
3.4Rf値に及ぽす試料ライネッケート付着量の影響:コリン,ノィリン,テトラエチルァ ンモニウム,クレアチニン,およびアンチピリンの各ラィネッケートについて試み,得られた 結果を第3図に示す。
これより明らかなように,検討した範囲内では,Rf値に対する試料ラィネッケート付着量 の影響は殆んど認められなかった。
3.5
第四アンモニウム塩基および関連化合物のイオン交換ぺ一パークロマトグラフィー(2) 75
1.0 08
一一〇9げ4高ン Rf
値 α6
》一:3リン 04 7ン今ピリン α2 幽 ノイリソ
ー チトラエ4」レアンモニウA α0
0 8.0 呂0 呂0 40 ライネッケート重量( 3》
第3図 Rf値に及ぼすラィネッケート付着量の影響
定量:スポットの大きさに切り取った印画紙(三菱印画紙・月光R−2)の重量との関 0
黍loo ド 宣90 量
ω980
70
50
40
30
20
10
0
・、
5匂 隼
・、
へ
@
〆許
/ . 0
第4図
1.0 20 30 40 50 ライ才ッケート重量(胤3)
有機塩基ライネッケートの検量線
ワ4 竹 友 一 成
係は,第4図に示されるように,コリンライネッケート0.58 》4.55mg,テトラエチルァンモ ニウムライネッケート0.75・》2.20mg,クレアチニンライネッケート0.69^》2.76mg,およびア ンチピリンライネッケート0.29 》1.46mgの範囲内で,また第4図には示されていないがノイ リンライネッケート0.86 )1.56mgの範囲内で,それぞれスポット重量とライネッケート重量 との間に,直線関係の存在することが認められた。ただし,クレアチニンおよびアンチピリン に関しては,試料ライネッケートジメチルスルホキシド溶液のイオン交換紙への付着を,ジメ チルスルホキシド溶液調製後,クレアチニンでは50日を経て,またアンチピリンでは20日を経 てそれぞれ行なったものである。
3.6 有機塩基の遊離再生:有機塩基ラィネッケートからの有機塩基の遊離再生に関与する 因子として,光エネルギー,アンバーライトSA−2,および展開液などを仮定し,この因子の 検討を行なった。
(1)光エネルギー:コリンライネッケートジメチルスルホキシド溶液調製後,これを直ち に二分し,その一を非遮光下(無色ガラス試験管)に,他の一を遮光下(かっ色ガラス試験管)に 静置し, それぞれについて逐日的にイオン交換ぺ一パークロマトグラフィーを試みた。 ただ し,コリンラィネッケート付着量はいずれも1mgで,展開は,付着試料を暗室内17時間乾燥 させたもの(乾燥後展開)と,未乾燥のもの(付着直後展開)とについてそれぞれ行なった。
第5図にその結果を示す。
ス 80 ポ
ツ ト
重 60旦 呈
(磁β)
40
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0
1¢、、
ノ ヤ
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/!二/1 、x乾燥
β〆ノ1
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〃/
諺.齢 ● 鹸
/ _乾燥
0 3 ワ 4 21 28
経EI数(日)
第5図 有機塩基の遊離再生に及ぼす光の影響 遮光下 ◎ 付着直後展開 非遮光下 x 乾燥後展開
これより明らかなように,乾燥後展開したものも,付着直後展開したものも,いずれも,非
第四アンモニウム塩基および関連化合物のイオン交換ぺ一パークロマトグラフィー(2) 75 遮光下の実験で遽光下のそれより有機塩基の遊離再生が顕著である結果を得た。すなわち有機 塩基の遊離再生に光エネルギーの関与が推定された。
(2)アンバーライトSA−2および展開液:試料として,コリンライネッケートジメチルス ルホキシド溶液のほか,ベタインライネッケートジメチルスルホキシド溶液を用い,イオン交 換ぺ一パークロマトグラフィーおよびぺ一パークロマトグラフィーを試み,有機塩基の遊離再 生の因子を検討した。展開液としては,1M−Na2HPO4−NaOH:緩衝液(pH15.50)のほか,
エチルアルコール(19)一28%アンモニア水(1)を用いた。 なお,実験はすべて暗室内にて 行なった。その実験結果を示せば第2表のようである。
第2表 ラィネッケートから有機塩基の遊離再生
試 料
イオン交換ぺ一パークロマトグラフィー ぺ一パークロマトグラフィー Na2HPO4−NaOH EtOH(19) Na2HPO4−NaOH EtOH(19)
緩衝液 アンモニア水(1) 緩衝液 アンモニア水(1)
コ リ ン ライネッケート ベ タ イ ン ライネッケート
十 十
十
+ 有機塩基の遊離再生あり 有機塩基の遊離再生なし
イオン交換ぺ一パークロマトグラフィーでは,展開液が1M−Na2HPO4−NaOH緩衝液で も,またエチルアルコールーアンモニア水でも,それぞれコリンラィネッケートからコリンの 遊離再生が認められたが,ペーパークロマトグラフィーではコリンの遊離再生を認め得なかっ た。この結果よりして,コリンに関する限り,アンバーラィトSA−2が遊離再生の一因子と なっているものと推定され,展開液が遊離再生に関与するとは推定し難い。
4.適 用
植物液汁のなかには,Florence反応陽性を呈するものが比較的多数見出されている。 特に ノゲシなどの乳白様液汁でFlorence反応陽性のものが多い4)。
そこで,アキのノゲシに本法を適用し,コリンをはじめとする有機塩基検出.の可能性の有無 を検討した。
アキのノゲシ採取後20時間経過時に,その葉茎部5609をジューサー(富士 J C800)にて 粉砕し,粗液汁290m1を得た。これを直ちに吸引ロ過器にかけ,そのロ液を植物原液として,
第6図記載の術式にしたがって処理し,アルカリ性液からラィネケートの沈殿AおよびBを,、
また酸性液からライネッケートの沈殿Cを得た。この各ライネッケートに本法を適用し,第3 表に示される結果を得た。
ラィネッケートの沈殿Bよりコリンに相当するスポットが認められ,沈殿AおよびCからは 遊離塩基を検出し得なかった。
また,オニタビラコの葉茎部液汁についても,略同様の方法により比較的簡単かつ迅速にコ リンを検出することができた。
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植療液 塩酸(p助、ド,ワα雌酸 逗lu分離
上澄液 鴻 隻
アンし亀ア7k(pH 9)
ライわケ試葉 遡肥分離
沈 殺 叡懸濁
面¢分盤
(500笛Rm・)
二3液
繁鎌
遠肥分離
沈殿A 渇汲重雌艦 澄液 沈殿C
(30007:ρm・)
上5蘇 沈祓B
第6図 アキのノゲシ液汁より有機塩基ライネッケートの分離 第3表 ノゲシ液汁より得られたライネッケートのイオン交換 ぺ・一パークロマトグラフィーによる分析
ライネッケート Rf値 備 考
A B C
コリンライネッケート
0.44
0.44
その他のスポットなし
5.総括および考察
5.1クロマトグラフィー用試料:前報1)で有機塩基の過ヨウ化物を試料とするイオン交換 ぺ一パークロマトゲラフィーについて報告したが,ヨウ素試薬をライネッケ試薬と比較した場 合, ヨウ素試薬は,分析試薬上要求される選択性(selectivity)の点で非選択性が強く,第 四アンモニウム塩基やアルカロィド以外のものも過ヨウ化物として沈殿分離させる。例えば,
カフェインなどは酸性下ヨウ素試薬で過ヨウ化物として沈殿する5)が,ラィネッケ試薬ではラ イネッケートとして沈殿することはない6)。
このライネッケ試薬の選択性を,前報一)において述べた有機塩基を水に難溶性の過ヨウ化物 として沈殿分離させることに利用するならば,より純粋に有機塩基をラィネッケートとして沈 殿分離できるわけで,これを目的に,今回,ラィネッケートを試料とするイオン交換ぺ一パー
クロマトグラフィーを検討した。
ライネッケートの適当な溶媒は少なく,Bregoff g≠α1.7)はアセトンを溶媒として用い
第四アンモニウム塩基および関連化合物のイオン交換ぺ一パークロマトグラフィー(2) 77 ている。しかしコリンをはじめとする多くの有機塩基のライネッケートはアセトンに僅かに溶 解するのみである。著者は種種検討の結果,溶解度に重点をおき,ジメチルスルホキシドをラ
イネッケートの溶媒として用いた。
そこで,イオン交換紙アンバーライトSA−2,展開液1M−Na2HPO4−NaOH,試料ライネ ッケートジメチルスルホキシド溶液を用いるイオン交換ぺ一パークロマトグラフィーを試みた ところ,コリンをはじめとする若干数の第四アンモニウム塩基類において,ライネッケートか らの有機塩基の遊離再生が認められ,遊離再生したもとの有機塩基をクロマトグラム上,スポ ットとして検出することができた(第1表,第1図)。
5.2有機塩基の遊離再生:Bregoff o≠σ1.7)は,第四アンモ乙ウム塩基およびその関連化 合物のぺ一パークロマトグラフィーで,それら化合物のライネッケートをぺ一パークロマトグ ラフィー用試料として用いているが,コリンライネッケートからコリンを遊離再生せしめるた めには,展開に先だち0.1M硝酸銀で処理しなければならないことを報告している。また,
Bregoff6∫oJ.7)も結論づけているように,展開操作中に,誘導体(ライネッケート)から もとの化合物(有機塩基)が遊離再生される乙とは,クロマトグラフィーのためには極めて望 ましいことである。 しかるに,本法においては,Bregoff6加1.7)の方法では遊離再生の困 難であるコリンをはじめとして,多くの有機塩基のライネッケートから,特別の操作を行なう
ことなく,もとの有機塩基が遊離再生した。
前報一)で述べたように,過ヨウ化物からのコリンなどの有機塩基の遊離再生には,展開液中 の水酸化ナトリウムが大きな役割をはたしている。しかし,今回の有機塩基の遊離再生には,
展開液が特にその因子になっているとは推定し難く(第2表),有機塩基の遊離再生の因子と推 定されるものは,光エネルギーおよびアンバーライトSA−2であった(第5図,第2表)。し たがって,有機塩基の遊離再生の機構は過ヨウ化物の場合どは根本的に異なるようである。光 エネルギーによる有機塩基の遊離再生は・コリンラィネッケートジメチルスル亦キセド溶液の 経時的色調変化から推定して,恐らくライネッケー、トのライネッケ試薬部分〔Cr(NH3)2(NC S)。)の光分解にもとづくものと思料される。また,アンバーライトSA−2による有機塩基の 遊離再生は,ライネッケートの有機塩基部分,例えばコリンでは,(CH3)3N+CH2CH、OH陽
イオンのイオン交換にもとづくものではなかろうか。
5.3 クロマトグラム:展開緩衝液のpHおよび濃度が有機塩基のRf値に大きな影響を及ぼ す乙とは,コリン過ヨウ化物およびノィリン過ヨウ化物を試料とするイオン交換ぺ一パークロ マトグラ7イーで報告8、したが,コリンラィネッケートについても展開液pHが遊離コリンの Rf値に大きな影響を及ぼし(第2図),pHの値が大きくなるにしたがってRf値も大きくな
った。しかし,付着ライネッケート量の多寡はRf値に殆んど影響を与えなかった(第3図)。
クロマトグラム上のスポットから,有機塩基の定量は可能であった(第4図〉が,ラィネッ ケートからの有機塩基の遊離再生には,上述の如く光エネルギーの関与するところが大である ことから,本法にょる定量のためには,光に対する管理その他の条件を厳にする必要がある。
以上の結果にもとづいて,アキのノゲシおよびオニタビラコの各葉茎部液汁から得られたラ イネッケート(第6図)に本法を適用したところ,迅速かつ簡単にコリンを検出することがで きた(第3表)。
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6.要 約
有機塩基のライネッケートを試料とするイオン交換ぺ一パークロマトグラフィーを試み,次 の結果を得た。 . .
(1)イオン交換紙としてアンバーライトSA−2を,展開液として1M−Na2HPO4−NaOH:
緩衝液(pH15.50)を用いて,有機塩基のラィネ、ッケートからもとの有機塩基を遊離再生せし めるための特別の操作を行なうことなく,有機塩基の分離,検出および定量を迅速かつ簡単に 行なうことができた。
(2)有機塩基の遊離再生に関与する因子は光エネルギーおよびアンバーライトSA−2であ
った◎
(乙)本法をアキのノゲシおよびオニタビラコに適用し,それぞれコリンを迅速かつ簡単に 検出することができた。
,本研究は窪田喜代子氏のご協力におうところ大で南った。稿を終るにのぞみ深謝の意を表します。
本論文の要旨は日本化学会第29秋季年会(広島,1975年)において口頭発表した。
文 献
1)竹友一成,本誌,22号,55(1971)。
2)K.Taketomo,Bull.of Yamaguchi Medical School,6〔5〕,59(1959)。
5)M.Jellinek6!召」.,J.Biol.Chem.,234,11ワ1(1959).
4)竹友一成,科学警察研究所報告,23〔1〕,48(19ワ0).
5)竹友一成,山口医学,14〔2〕,54(1965).
6)竹友一成,未発表。
7)H.M.Bregoff6知」.,」.BioL Chem,,205,565(1955).
8)竹友一成,山口医学,14〔5・4),16(1965).