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円柱後流渦度分布の変化

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

円柱後流渦度分布の変化

烏谷, 隆

九州大学応用力学研究所 : 助手

船越, 満明

九州大学応用力学研究所 : 助教授

星野, スマ子

九州大学応用力学研究所 : 文部技官

https://doi.org/10.15017/4785189

出版情報:九州大学応用力学研究所所報. 66, pp.187-193, 1988-10. 九州大学応用力学研究所 バージョン:

権利関係:

(2)

九 州 大 学 応 用 力 学 研 究 所 所 報 第66号 昭 和63年

円 柱 後 流 渦 度 分 布 の 変 化

烏 谷 隆 * 船 越 満 明

t

星 野 ス マ 子

1

概 要

円 柱 後 流 の 可 視 化 実 験 の ビ デ オ 画 像 か ら , 画 像 処 理 装 置 を 用 い て , 速 度 お よ び 渦 度 分 布 の 時 間 発 展 を 求 め た . カ ル マ ン 渦 列 の 崩 壊 と 二 次 渦 列 の 生 成 の 過 程 を 渦 度 分 布 の 変 化 よ り 捉 え る こ と が で き た . カ ル マ ン 渦 列 の 崩 壊 は , 渦 度 の 流 れ 方 向 へ の 拡 散 に よ る , 近 似 平 行 二 重 渦 層 流 れ へ の 移 行 で あ る と 思 わ れ る . ま た , 二 次 渦 列 の 生 成 は こ の 流 れ の 不 安定性によると思われる.

Key words : Image‑processing, Karman vortex street, Flow visualization 

1. 序 論

187 

以前の論文因以後論文Iと記す,においてカルマン渦列の崩壊と二次渦列の生成の過程を調べるため に,円柱後流の渦度分布の時間発展について論じた.論文Iでは.実験装置や解析の方法について詳細 に述べた.また,レイノルズ数が103の時の渦度分布の時間発展について調べた.その結果,カルマン 渦列の崩壊の過程として,円柱直後に渦列が形成された後,局在していた渦度が主として流れの方向に 拡散し近似的に二重渦層型の平行流へ移行してゆくことを明らかにした.しかし,解析領域の狭さのた め,二次渦列の生成については確認することができなかった.

本論文は,カルマン渦列の崩壊と二次渦列の生成についてさらに探求したものである.実験はレイノ

ルズ数が104と140の場合について行った.その結果,両方ともカルマン渦列が崩壊し二次渦列が生成

される過程を捉えることができた.

第2節では実験条件について簡単に述べる.第 3節では解析結果について記す.第 4節はまとめであ る.

2. 実 験 条 件

実験には,円柱として直径1.〇〔cm〕のステンレスパイプを用いた.作業流体としては水を使用した.

*九州大学助手,応用力学研究所

t九州大学助教授,応用力学研究所 し文部技官,九州大学応用力学研究所

(3)

188  烏谷・船越・星野

流れを可視化するため,粒子径75 15゜〔μ m〕のポリエチレン粉末を用いた.ポリエチレン粉末は比重 を調節するため,接着剤のアロンアルファーで表面をコーティングした.実験装置の詳細については論 文Iに示している.実験はレイノルズ数R (R = Ud/!.1,

u:

円柱の速度, d:円柱の直径, !.I:動粘性 係数)が104と140の場合につきそれぞれ10回以上くり返した.そのなかで,粘子数や粒子の分布の適 当なものでコントラストの高いものについて解析を行った.

3. 結 果

解析はレイノルズ数が104と140の場合について行った.解析の方法は論文Iの方法と同じであり,

詳細は論文Iに述べてある.

図1,2はそれぞれレイノルズ数が104と140の時の渦度分布の変化の様子である.円柱は図の右側か ら左側の方向へ移動している.実線と破線はそれぞれ,正と負の等渦度線を表わしている.図中の数字 は各図の円柱からの距離を円柱の直径で規格化した値である(L/d).これらの図で,等渦度線を引く渦 度の値は各距離での渦度の最大値(正の渦度の時)及び最小値(負の渦度の時)の0.1倍きざみになっ ている.そのため,各図問で等渦度線の値は一致していない.

図1のレイノルズ数104の場合,円柱近くでは正負の渦度の領域がたがい違いに局在しカルマン渦列 を形成していることが解る.このたがい違いに局在している渦度の領域が,円柱から離れるにつれて,

それぞれ主に流れの方向へ拡散してゆく.そして,円柱からの距離が円柱直径の約llO倍の所で平行二 重渦層に近い状態になっている.さらに円柱から離れた所では,渦度の集中化が見られ,約190倍の所 では,カルマン渦列よりもより長波長の二次渦列が形成されているのが明瞭に見て取れる.このカルマ

ン渦列の近似的な平行二重渦層流への移行は論文Iでも示した.

上で述べた状況はレイノルズ数が140の時の図2でも同様である.円柱近くでは局在化していた渦度 の領域が流れの方向へ拡散する,そして距離が約70倍の所で平行二重渦層的になり,さらに下流では渦 度の集中化が起こり,約100倍の所で二次渦列が形成されると言う状況がより明瞭に示されている.

図3はレイノルズ数が140の時の縦方向速度の分布図である.図中の曲線は平均速度を示している.

平均操作は,周期が明瞭な場合には1周期に渡り平均した.周期が明瞭でない場合については全領域に 渡り平均を行った.また図中の横棒は各横軸位置での最高速度と最低速度の差を表わしている.この図 からも,円柱からの距離が円柱直径の約70倍の所で速度差が小さくなり,平行二重渦層的流れ(近似剪 断流)になっていることがうかがえる.

カルマン渦列を特長づける物理置について,渦度分布の図より測定した値を表1に示す.量aは波長,

量hは正と負の渦列間の中心距離である.表の値はすべて円柱の直径で規格化してある.この表は,ヵ ルマン渦列及び二次渦列の周期性が明瞭な,レイノルズ数が140の時の値である.距離が103.7と150. 6の時のaの値は二次渦列の値である.

渦度分布図より測定したカルマン渦列の波長4.3,...̲,4.8はTaneda2)の値の4.8,...̲,5.0とよく一致して いる.さらに二次渦列とカルマン渦列の波長の比約1.8もTanedaの値1.8,...̲,2.0とよい一致を示して いる.また,もっとも平行二重渦層流れに近くなった時の距離の値約70も, Honji3>のカルマン渦列が

(4)

円柱後流渦度分布の変化

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図1 R = 104の時の渦度分布

189 

(5)

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(6)

円柱後流渦度分布の変化 191 

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33.3 

115.4 

Q. S•V 0. sV 

45.0  150.6 

o. S•V o5"v 

68.5  185.8 

5. oo 

o. S•V o.  sV

3 140の時の縦方向速度分布

(7)

192  烏谷・船越・星野

表1 各Lに対するいくつかの物理量 L/d  a/d  h/d  h/a  9.9  4.8  1.0  0.21  21.6  4.8  1.6  0.33  33.3  4.3  2.2  0.52  45.0  4.8  2.4  0.51  103.7  7.6  2.6  0.34  150.6  9.1  3.6  0.39 

崩壊する距離の値50 60とよく対応している.

以上のことより,カルマン渦列及び二次渦列は渦度分布の図1,2の渦度の局在した状態として明確に 捉えられていることが解る.さらに,カルマン渦列の崩壊と二次渦列の生成の過程は,渦度分布の変化

として,同様に図1, 2により明確に捉えられている.

4. ま と め

カルマン渦列の崩壊と二次渦列の生成の過程について,円柱後流の渦度分布を求めることにより研究 した.カルマン渦列の崩壊の過程は局在していた渦度が主に流れ方向に拡散し,近似的に平行二重渦層 になることに対応していることが解った.この間,渦度の集中している領域が近づいたりあるいは離れ たりすることはなく,これはMatuiとOkudeの渦の合併による渦列の崩壊・再配列の結果とは一致し ない叫彼らの結果は外部より強制的に二次渦列に対応する振動を加えているので,本論文の結果と直接 比較することには無理があるのかもしれない.

二次渦列の生成は,平行二重渦層に近い流れができたのち,その流れの不安定性により振動を生じ渦 列が形成されると考えられる.

ここで,二次元後流の線型安定性理論と比較してみる.縦方向速度分布をガウス曲線で近似すると,

局所レイノルズ数Re及び規格化された波数Gは次のようになる.

Re  W  b d

ふ ;

R, 

a =  

‑ w  ゎ

a. 

,

'' )  1 2   (︑ ,`

ここで, W は曲線と横軸との間の面積, bは速度の最大値と円柱の速度との比, aは波数である.

図3の速度分布の内もっとも平行剪断流に近い68.5の場合に1式を適用すると,局所レイノルズ数は 71となる.この局所レイノルズ数の値は臨界レイノルズ数の値4.5より大きい.また,二次渦列の波長 7.6dより規格化された波数は1.4になる.この値は不安定領域に入っている見しかし,この波数がもっ とも不安定なモードに対応しているかどうかは,もっと詳細な解析が必要である.

以上の結果は,二次渦列の生成が速度分布の不安定に起因すると言う考えと矛盾していない.カルマ ン渦列の崩壊と二次渦列の生成の過程は,渦度の流れ方向への拡散により,カルマン渦列が平行二重渦 層的流れに移行し,その流れの不安定性により二次渦列が生成されると解釈できる.

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円柱後流渦度分布の変化 193 

謝 辞

データの解析等にあたっては,応用力学研究所の FACOM M‑360AP計算機システムを使用しまし た.

参 考 文 献

1)  烏谷 隆,船越満明,星野スマ子:画像解析システムによる円柱後流の渦度分布の研究,九州大 学応用力学研究所所報 65  (1987)  199. 

2)  Taneda, S.:  Downstream development of the wakes behind cylinders, 

J .  

Phys. Soc. Japan 14  (1959) 84. 

3)  Honji, H.: Downstream persistence  of regular  vort streets,J.  Phys. Soc. Japan 55 (1986)  2897. 

4)  Matui, T. and Okude, M.: Formation of the secondary vorl streetin  wakes of a circular  cylinder, Prot. IUTAM Symposium Marseille 1982, Springer (1983) 156;  Vortex paingin  a  Karman vorl street,Proc. 7th Biennial Symp. on Turbulence, Univ. of Missouri‑Rolla 1981,  (1983) 303. 

(昭和63年5月31日受理)

参照

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