<総 説>
X線照射後のがん細胞で見られる様々な細胞死
1.東北大学 加齢医学研究所 病態臓器構築研究分野 2.東北薬科大学 薬学部 放射薬品学教室 桑原義和1*、及川利幸1、落合泰史1、福本 基1、栗原 愛1、 野間直十1、志村 勉1、大久保恭仁2、福本 学1
1.はじめに
放射線療法は、手術療法や化学療法と並ぶ、がんの三大治療法の1つである。X線治療に限っ ても強度変調放射線治療(intensity-modulated radiotherapy; IMRT)など治療器機の向上は目 覚ましい反面(1)、放射線耐性細胞の存在や出現といった解決すべき課題が存在している。そこ で我々は、放射線耐性細胞の性質を理解して、より有効な放射線療法を開発するために、標準的 な放射線療法である2 Gy/日のX線を30日以上照射し続けても増殖を続ける細胞を臨床的放射線 耐性(clinically relevant radioresistant, CRR)細胞と定義し、その樹立に取り組んだ。その結果、
ヒト細胞株であるHepG2、SAS、H1299、HeLa、KBからCRR細胞の樹立に成功した(2, 3)。本 稿では、X線で誘発される細胞死に焦点を当て、どのような細胞死が放射線耐性に関与している のかを紹介する。特に、最近注目されているオートファジーを伴った細胞死(autophagic cell death; 以下、オートファジー細胞死)が細胞の放射線耐性に関与しているという我々の研究結果 について紹介する(4)。
抗がん剤処理やX線照射を受けたがん細胞は、アポトーシス(apoptosis; type I programmed cell death)、オートファジー細胞死(type II programmed cell death)、ネクローシス(necrosis;
type III programmed cell death)、細胞老化(senescence)、mitotic catastropheなど様々な細胞 死を誘発することが知られている(5, 6)。これらの中でアポトーシスを中心とした研究が最も盛 んであるものの、特に固形がんの場合にはアポトーシス以外の細胞死も考慮する必要がある(7, 8)。近年、抗がん剤処理やX線照射でオートファジー(自食作用)の誘発が知られるようになっ てきている(9, 10)。オートファジーは、近年注目を集めている生命現象の1つでありユビキチン -プロテオソーム系と並ぶタンパク質の分解機構として知られている(11)。ユビキチン-プロテ
キーワード:アポトーシス、オートファジー細胞死、放射線療法、臨床的放射線耐性細胞、X線 *〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町4丁目1番地
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放射線生物研究 46(3),2011 P271 ~ 282
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