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博士(医学)加藤千恵次 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)加藤千恵次 学位論文題名

周波数空間バターワースフィルタおよび ウィナーフィルタを用いた核医学画像処理に

関する基礎的および臨床的検討

学位論文内容の要旨

1.はじめに

  核医学画像に1ま多くの雑音成分が含まれている。全周波数域に均 一に存在する統計雑音、および装置の性能に起因する低周波雑音が 存在する。核医学画像の定量性を改善させるためには、これらの雑 音成分の抑制が重要で、種々のフアルタ処理が試みられている。バ タ―ワースフィルタは高周波雑音成分の除去、ウィナーフアルタは 高周波および低周波雑音成分の除去を目的に設計されたものである。

一般にフアルタ処理には実空間フィルタが用いられている。これは フィルタの周波数応答を近似させた行列を直接、画像に重畳する方 法で、短時間で周波数空間処理に近似した結果を得るが、問題点は、

近似計算であるため正確さを欠くこと、実空間上では対象となる画 像から理論的にフアルタの最適パラメータを算出できない点である。

それに対し、画像をフーリエ変換し、周波数空間でフィルタ関数を 乗算する周波数空間処理は、画像に対して最適パラメータを理論的 に算出でき、正確なフィルタ処理を行うことができるため、実空間 フアルタ処理よりも定量性の向上が期待できる。各画像に対し最適 な周波数空間フアルタのパラメータを求める方法を開発し、実空間 および周波数空間フアルタ処理によって核医学検査から得る定量的 指標 の改善を 、ファント ム実験お よび臨床データより検討した。

2.対象と方法

  対象画像をフーリエ変換し各周波数のパヮースペク卜ル平均強度 分布曲線を求め、これより雑音成分が対象画像の信号成分より多い     −73−

(2)

高周波域の境界周波数(遮断周波数)、雑音と対象画像の信号比を算 出した。遮断周波数はバターワースフアルタのパ,ラメータになる。

ウィナ ーフィルタのパラメータは2っあり、雑音と対象画像の信号 比と、画像のぼけの程度を示す線像分布関数の半値幅(F賈HH)である。

FIVHHは線状線源によるファントム実験から求めた。この方法よって 適切なフアルタのパラメータが導出されているかを、カウント数の 異なるファントム像を用いて検討した。

  定量性の検討として、臨床データは心電図同期心プールシンチグ ラフアを用い、また心プール像をモデル化したファントム実験を行 な い 、 フ ア ル タ 処 理 後 の 駆 出 率 の 改 善 を 検 討 し た 。   ファントム実験は、9゜。Tc溶液0.0121lBq/mlを満たした円簡形容器 に99 Tc溶液0.0741lBq/mlを封入した容積を可変できるバルーンを置 いた。バルーン容積100mlの像を最大拡張期像のモデルとした。5ml 刻みで バルーン容積を変えて5〜95mlの像を収集し最大収縮期像の モデルとした。像は20秒、 60秒収集の2種類撮り、収集カウントの 少ない臨床例、カウントの十分な臨床例と同程度のカウントになる 像を得た。これらの像に平滑化実空間処理、およびバターワース、

ウィナーフアルタによる周波数空間処理を行ない、駆出率を算出し た。既知の駆出率と各フィルタ処理後の像から算出した駆出率との 相関をt検定を用いて比較検討した。

  臨床データに用いた対象は心プールシンチグラフアと心臓カテー テル検 査を3週間以内に施行した31例である。心プールシンチグラ フアはピロリン酸(10mg)静注後の99 Tc(740lIBq)の静脈内投与によ る生体内赤血球標識法で行った。各症例とも心電図同期画像に平滑 化実空間処理、および´くタ―ワースおよびウィナーフアルタによる 周波数空間処理を行ない、左室駆出率を算出した。心臓カテ―テル 検査と各フアルタ処理後の心プールシンチグラフアの左室駆出率の 相関をt検定を用いて比較検討した。

3.結果

  考案した周波数空間バターワース、ウィナーフアルタのパラメー 夕算出法で適切なフアルタ設計が行なわれることをファントム実験 によって確認した。

  平滑化処理、周波数空間バターワース、ウィナ―フアルタ処理を     −74−

(3)

行なったファントム像か ら求めた駆出率をそれぞれS.EF、B.EF、賈.EF と 表現 した 。60秒収 集像 にお ける既知の駆出率Actual EFとS.EF、B. EF、賈.EFとの相関係数はそれぞれO.935、0.965、0.978であり、S.EFと B.EF.S.EFと賈.EFの間には1%以下、B.EFと賈,EFの間には5%以下の 危 険 率 で 有 意 差 を 認 め た 。 ま た20秒 収 集 像 につ いて 同様 の検 討を 行 なったところ、Actual EFとS.EF、B.EFおよび賈.EFとのそれぞれの相 関係数は0.884、0.931、0.959であり、S.EFとB.EF¥S.EFと賈,EF.B.EF とW.EFの 間 に は 、 い ず れ も1% 以 下 の 危 険 率 で 有 意 差 を 認 め た 。   平 滑 化 処 理 、 周 波 数 空 間 バ タ ー ワ ー ス 、 ウィ ナー フア ルタ 処理 を 行 なった心プール像から求めた左室駆出 率をそれぞれS. LVEF、B.LVE F、賈.LVEFと表現した。心カテ検査による左室駆出率LVGEFとS.LVEF.

B.LVEF丶|.LVEFとの相関係数はそれぞれ0.83¥0.86、0.88であった。

対応のあるt検定でS.LVEFとB.LVEF、S.LVEFと賈.LVEFの間には1%以 下¥B.LVEFとW.LVEFの 間 に は5% 以 下 の 危 険率 で有 意差 を認 めた 。 カ ウン トが100,000以下 の9症 例で 同様 の検 討を 行な い、LVGEFとS.L VEF、B.LVEFおよびW.LVEFとのそれぞれの相関係数は0.79、0.83、O.85 であった。対応のあるt検定でS.LVEFとB.LVEF、S.LVEFと賈,LVEF.B. LVEFとW.LVEFの間には、いずれも1%以 下の危険率で有意差を認めた。

4.考察

  核医 学画 像の 定 量性 は画 像の 信号 成分 を損 わず に雑 音成分をより 多 く除 去す るフ ア ルタ 処理 で、 より 良く 改善 され ると 考える。バタ ー ワー スフ アル タ は理 論的 に遮 断周 波数 を導 いた 上で 高周波成分を 除 去す るの に対 し 、平 滑化 実空 間処 理の 高周 波成 分抑 制は遮断周波 数 が不 明で あり 画 像の 信号 成分 損失 の危 険を 伴う 。ま たバターワー ス フア ルタ は雑 音 の高 周波 成分 のみ 除去 する のに 対し ウィナーフィ ル タは 雑音 の高 周 波成 分お よび 低周 波成 分の 除去 を行 なう。これよ り 定量 性の 改善 は 平滑 化実 空間 処理 よル バタ ―ワ ―ス フィルタの方 が 優れ、さらに´くター ワースフィルタよルウィナーフィルタの方が 優 れて いる 結果 を 得た と考 える 。カ ウン トの 少な い画 像は雑音成分 が 多く なる ため 、 雑音 成分 を抑 制す る効 果の 大き いウ ィナーフィル タ 処 理 は カ ウ ン ト の 少 な い 画 像 で よ り 有 効 で あ っ た と 考 え る 。

75―

(4)

5.結語

  周波数空間でのバタ―ワースフィルタ、ウィナーフィルタのパラ メー夕算出法を考案し、その適切性を基礎的実験により確認した。

  ファントム実験および心電図同期心プール像において、駆出率の 改善は平滑化実空間処理と比較してバタ―ワースフィルタの方が優 れており、さらにバターワースフアルタよルウィナーフアルタの方 が優れていた。ウィナーフアルタ処理はカウントの少ない画像でよ り有効であった。

  今回検討した処理方法は核医学画像の定量性の改善において有効 な手段であると考えられた。

−76− ・

(5)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

周 波数空間バターワースフアルタおよび ウィナーフィルタを用 いた核医学画像処理に

関する基礎的および臨床的検討

1.;まじめに

  核 医学画 像に 対し 、最適な周波数空同フィルタのバラメータを求める方法を開 発し 、実空 間お よび 周波 数空 間フ ィル タ処 理に よっ て核 医学 検査か ら得 る定 量 的指 標が改 善さ れる ことを、フんントム実験および臨床応用によって確認した.

2.対象と方法

  対 象酉像 をフ ーリ エ変 換し 各周 波数 のパ ワー スペ クト ル平 均強度 分布 曲線 を 求め 、これ より 雑音 成分 が対 象酉 像の 信号 成分 より 多い 高周 波域の 境界 周波 数

(遮 断周波 数) 、雑 音と対象画像の信号比を算出した。遮断周波数はバターワー ス フィ ル タ の バ ラ メ ー タ に な る。 ウィ ナー フィ ルタ のパ ラメ ータは2っ あり 、 雑音 と対象 酉像 の信 号比 と、 画像 のぽ けの 程度 を示 す綴 像分 布関数 の半 笆幅 で ある 。半値 幅は 線状 線源 によ るフ んン トム 実験 から 求め た. この方 法よ って 適 切な フィル タの バラ メー タが 導出 され てい るか を、 カウ ント 致の異 なる 核医 学 酉像 を用い て検 討し た。フんントム実験は、99:iTc溶液を封入したバルーンを、

容積 を変え て像 を収 集し 最大 ・最 小収 縮期 像の モデ ルと した 。像は20秒 、60秒 収 集の2種 類 撮 り 、 収 集 カ ウ ント の少な い臨 床例 、カ ウン トの 十分 な臨 床例 と 同程 度のカ ウン トに なる 像を 得た 。こ れら の像 に平 滑化 実空 間処理 、バ ター ワ ース ・ウィ ナー フア ルタ によ る周 波数 空間 処理 を行 ない 、駆 出率を 算出 した 。 臨床 データ に用 いた 対象 は心 プー ルシ ンチ グラ フィ と心 臓カ テーテ ル検 査を 施 行した31例に同様な処理を行ない、左室駆出率を算出した。

3.結果

  平 滑化処 理、 周波 数空 間バ ター ワー ス、 ウィ ナー フィ ルタ 処理を 行な った フ ァントム像から求めた駆出率をそれぞれS. EF、B.EF、W.EFと表現した。60秒収集 像における既知の駆出率Actual EFとS.EF、B.EF、W.EFとのの間には1%以下、B. EFとW.EFの間 に1よ5% 以下 の危 険率で 有意 差を 認めた。また20秒収集像につい て同様の検討を行なったところ、Actual EFとS.EF、B.EFおよびW.EFとのそれぞ れの 聞に1ま、 いず れも1%以 下の 危険 率で 有意 差を 認め た。 平滑化 処理 、周 波 数空 間バタ ーワ ース 、ウ ィナ ーフ ィル タ処 理を 行な った 心プ ール像 から 求め た

‑ 77 ‑

従 男 康 正 和 富 舘坂 山 古宮 小 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(6)

左室駆出率をそれぞれS.LVEF、B.LVEF、W.LVEFと表現した。心カテ検査による左 室駆出率LVGEFとS.LVEF、B.LVEF、W.LVEFとの相関係数はそれぞれ0.83、O.86、0. 88であった。対応のあるt検定でS. LVEFとB.LVEF、S.LVEFとW.LVEFの間には1% 以下、B. LVEFとW.LVEFの間に は5%以下 の危険率で有意差を認めた.カウント が100,000以下の9症例で同様の検討を行ない、LVGEFとS.LVEF、B.LVEFおよびW. LVEFと の そ れ ぞ れ の 間 に 絃 、 い ず れ も1% 以下 の 危 険率 で 有意 差 を 認め た 。 4.考察

  核医学酉像 の定量性1ま酉像の 信号成分 を損わず に雑音成 分をより多 く除去す るフ ィ ルタ 処 理 で、 よ り良く改 善される と考える 。バター ワースフ ィルタ艫理 論的 に 遮断 周 波 数を 導 いた上で 高周波成 分を除去 するのに 対し、平 滑化実空間 処理 の 高周 波 成 分抑 制 は遮断周 波数が不 明であり 面像の信 号成分損 失の危険を 伴う.また バターワ ースフィ ルタIま雑 音の高周 波成分の み除去する のに対しウ イナ ー フィ ル タ は雑 音 の高周波 成分およ び低周波 成分の除 去を行な う。これよ り定量性の 改善は平 滑化実空 間処理よ ルバターワースフィルタの方が優れ、さ らに バ ター ワ ー スフ ィ ルタよル ウィナー フィルタ の方が優 れている 結果を得た と考 え る。 カ ウ ント の 少ない酉 像は雑音 成分が多 くなるた め、雑音 成分を抑制 す る 効 果 の 大 き い ウ ィ ナ ー フ ィ ル タ 処 理jよ よ り 有 効 で あ っ た と 考 え る . 5.結語

  周 波数 空 間 での バ ター ワースフ ィルタ、 ウィナー フィルタ のパラメ ー夕算出 法を 考 案し 、 そ の適 切 性を確認 した。フ ァントム 実験およ び心電図 同期心ブー ル像 に おい て 、 駆出 率 の改善は 優れてい る方から ウィナー フィルタ 、バターワ ース フ ィル タ 、 平滑 化 実空間処 理の願で あった。 ウィナー フィルタ 処理はカウ ントの少ない画像でより有効であった。

本研 究 の価 値 判 定: 本 研究は核 医学画像 の定量性 の改善に おいて有 効な手段で あると考えられ、学位授与に笛すると考えられる。

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参照

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