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博士(医学冫高橋光彦 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学冫高橋光彦 学位論文題名

換気陸作業閾値前後における筋電図および´ふ電図RR 間隔変動のスベクトル解析による運動特陸に関する研究

    緒言

  近年、新しい運動強度の指標として有酸素運動で行いうる最大強度、すなわち無酸素性 作業閾値(anaerobic threshold:」气りが注目されている。ATレベルの運動が身体に及ぽす 影響については、血中乳酸濃度の上昇がほとんどなく、長時間の運動が可能であり、循環 系に対する負荷は軽度で、脂肪組織からの脂肪酸の遊離を促し、筋組織内で消費させ、総 コレステロールとトリグリセリドが有意に低下することなどが報告されているが、筋肉や 自律神経系に及ぼす影響についてはまだ十分明らかにされていない。本研究は運動強度の 指標としての換気性作業閾値NT)に着目し、VT強度を指標とした一定運動負荷の特性を 明らかにすることを目的として筋電図およびRR間隔変動の最大工ントロピー法によるス ペクトル解析(MEM解析)を行い検討した。

    方法

1.対象と運動方法:被験者は健康男子学生11名(平均年齢23歳)を被験者として、室温22 度、湿度50〜60%に環境制御された実験室へ入室させた後、安静閉眼坐位で5分間経過 後、自転車工ルゴヌーターを50回/分で漕ぐことを指示された。0.4kpの負荷で3分間のウ オーミングアップ後、1分毎に0.2kpづっ負荷量を増加するランプ運動負荷を心拍数が毎 分170〜180になるまで行わせ、ランプ運動負荷中の酸素摂取量と二酸化炭素排泄量から VTを求めた 。VTを指標と した一定運 動負荷試験 では、VTの運 動強度(VT条件)、VT より20%負荷を増した十20%強度(十20VT条件)、およびVTより20%負荷を少なくした

―20%強度(ー20VT条件)の3条件の強度で、それぞれO.4kpのウォーミングアップ3分 後、17分間の持続運動を行わせた。

2.スペクトル解析:運動中の内側広筋の筋電図を1KHzのサンプリング周波数でAD変換 を行い 、2秒間 毎にMEM解 析を行った 。筋電図は20−50Hz、50―100Hz、100一150Hz、 150−200Hzの4周波数帯域に区分し、各々の帯域のバワースペクトル密度(PSD)及び20― 200Hzの全 パ ワー 値のPSD(TotmPSD)を求 めた。RR間隔 変動のスベ クトル解析 は、

心電図 波形をサン プリングタ イム1KHzでAD変換後 、波形解析 ソフトでRR間隔を計測 し、MEM解析を行 った。RR間隔 変動のスペクトル解析の帯域区分は日本自律神経学会

(2)

の区分に従い、LF成分は0.04ー 0.15 Hz、HF成分は0.15−0.4Hzとし各帯域毎にPSDを求 め、さらにL/H比を算出した。

3、統計:統計処理は、Student'sーt検定およびピアソンの相関分析により検討した。す べての有意水準の決定は、5%以下の危険率とした。

    結  果

  ランプ 運動負荷中 のTotalPSDは開始時0.0098土0.003rrlV2/Hz(平均土SE以下同 じ)、13分経過時は0.0897土0.036mV2/Hzであり、開始時に比較して7分目より有意に 増加レた。各周波数帯域の%PSDでは、負荷開始時からの1分間に比較し、20−50Hz帯域 では7分目より、50―100Hz帯域では8分目から、100―150Hz帯域では7分目から11分目 までいずれも有意な増加が認められ、150ー200Hz帯域は6分目のみ有意な増加が認められ た 。RR間隔 変 動のHF成分は 開始時では216.8土37.3msec2/Hz、13分終了 時は38.7土 26.8msec2/Hzであり運動負荷の増加に対し、HF成分は9分目を除いて6分目より13分目 まです べての時間 は開始時に 比べて有意 の減少を示 した。L/H比は開始直後307.5土 186.3%、終了時211.7土26.8%を示し、運動負荷による有意な変動は認められなかっ た。

  一定運動負荷におけるTotal PSDは十20VT条件がVT条件とー20VT条件に比較して有意 の増加をした。%PSDは20一50Hz帯域および50―100Hz帯域では3条件間に有意な差が認 められなかった。100一150Hz帯域では、十20VT条件は―20VT条件に比較し13分目と16分 目に有意な増加が認められ、150一200Hz帯域では十20VT条件は―20VT条件に比較して14 分目を除いて11分目から13分目と15分目から17分目まで有意な増加が認められた。一定 運動負荷におけるHF成分は運動負荷開始時に比較して各条件ともに、3分目より有意な減 少を認めた。各条件間の比較では、十20VT条件は−20VT条件に比較して5、6、8、9、 10、12、13、15、17分目に有意な減少が認められ、十20VT条件はVT条件に比較して開 始後4分目から13分目までと、16、17分目に有意な減少が認められた。L/H比は十20VT 条件ばVT条件に比較して3、6、11、17分目に有意な増加を認め、ー20VT条件はVT条件 に比較して3分目、11分目に有意な増加が認められた。

    考  察

  ランプ 負荷運動に おいて20ー50Hz、50−100Hz帯域では運動負荷の増加に伴い、%

PSDが増加し、さらに100−150Hzにおいても%PSDの増加が認められたことは運動負荷 の増加に伴い、夕イプ1線維、夕イプ2線維による筋収縮が増加することを示唆してい る。一定負荷運動では十20VT条件で20一50Hz、50−100Hz帯域の%PSDに変化は認めら れない が、100―150Hz、150―200Hz帯域の%PSDが経時的に増加することが明らかに なった。十20%VT条件での100Hz以上の帯域の経時的な増加は一定運動負荷の維持にタ イプ2B線維による筋収縮が増えてきたことを示唆している。

本研究では一定運動負荷のHF成分は運動負荷の強度に依存して減少したことから、HF成 分は運 動強度と関 連すること が推測され た。一方、L/Hratioに 関して―20VT、VT、 十20VT条件間では有意な差が認められず、L/H比はV′r前後での運動負荷の強度と関連が ないことが示唆された。以上より一定運動負荷中のRR間隔変動のHF成分は副交感神経

(3)

の指標となる考えは支持されたが、L/H比を交感神経の指標とする考えは支持されない ことが示された。

    結  論

  VTより20%強い運動強度は筋電図スペクトルの全バワー値の増加と経時的に100Hz以 上の帯域の増加をもたらすことが明らかになり、VTを越える運動強度は筋肉への負担が 大きく過度な運動であることが示された。従って、運動強度としてはVT以下の強度が望 ましいことが示唆された。RR間隔変動のスベクトル解析では、HF成分は運動負荷量の 増加に伴い減少することが明らかになり、副交感神経系の指標とする考えが支持された。

(4)

主 査 教 授 齋藤 和雄 副 査 教 授 岸    玲子 副 査 教 授 真野 行生

学 位 論 文 題 名

換気陸作業閾値前後における筋電図および´心電図RR 間隔変動のスベクトル解析による運動特性に関する研究

  近年 、新しい 運動強度 の指標と して有酸素 運動で行 いうる最 大強度、 すなわち無酸素性 作 業 閾値(anaerobic threshold: AT)が注目さ れている 。ATレベル の運動が 筋肉や自 律神 経系 に及ぽす 影響につ いては、 まだ十分明 らかにさ れている とはいえ ない。本研究は運動 強 度 の指 標 とし て の 換気 性 作 業閾 値(VT)に着 目し 、VT強度を 指標とした 一定運動 負荷の 影 響 を明 ら かに す る こと を 目 的と し て筋 電 図 および心 電図RR間隔変 動の最大 エント口 ピ ー法 によるス ベク卜ル 解析(MEM解析 )を行い検 討した。

  被験 者は健康 男子学生11名(平均 年齢23歳)で 安静閉眼坐位で5分間経過後、自転車工ル ゴ ヌ ータ ー を用 い て1分 毎に0.2kpづ っ 負荷 量 が増加 するラン プ運動負荷 を心拍数 が毎分 170180に な るま で 行 わせ 、 ラ ンプ 運 動負 荷 中の酸 素摂取量 と二酸化炭 素排泄量 からVT を 求 め た 。VTを 指 標 と し た 一 定 運 動 負 荷 試 験 で は 、VTよ り20% 負 荷 を 少 な く し た − 20VT条 件 、VTの 運 動 強 度(VT条 件 ) 、VTよ り20% 負 荷 を 増 し た 十20VT条 件 の3条 件 で 、 それ ぞ れ0.4kpのウ ォ ー ミン グ アッ プ3分 後、17分 間の持続 運動を行わ せ、内側 広筋 の 筋 電 図 と 心 電 図 を 導 出 し た 。 筋 電 図 はAD変 換 後2秒 毎 のMEM解 析 を 行 っ た 。 筋 電 図 2050Hz50100Hz100150Hz150200Hzに 区分 し 、各 々 の 帯域 の バワース ペ ク ト ル 密 度(PSD)及 び20200Hzの 全 バ ワ 一 値 のPSD (Total PSD)を求 め た 。心 電 図RR 間 隔 変 動 のMEM解 析 は1分 毎 に 行 い 、LF成 分 は0.040.15HzHF成 分 は0.150.4Hz し、 各帯域毎 にPSDを求め 、さらにL/H比を算出し た。

  ラン プ 運 動負 荷中 のTotalPSDは開始 時に比較 して7分目 より有意 に増加した 。各周波 数 帯 域 の%PSDでは 、負 荷開始時 からの1分 間に比較 し、2050Hz帯 域では7分目 より、50 100Hz帯 域 で は8分 目 か ら 、100150Hz帯 域 で は7分 目 から11分目 ま で有 意 な 増加 が 認 め ら れ 、150200Hz帯 域 は6分 目 の み 有 意 な 増 加 が 認め ら れた 。 心 電図RR間隔 変 動の HF成分 は9分 目を 除 い て6分目 よ り13分 目ま で すべて の時間は 開始時に比 べて有意 の減少 を 示 した 。L/H比 は 運 動負 荷 に よる 有 意な 変 動 は認 め られ な か った 。 一定 運 動負荷に お け るTotal PSDは 十20VT条 件 がVT条 件 と −20VT条 件 に 比 較 し て 有 意 の 増 加 を し た 。

(5)

%PSDは20−50Hz帯域および50―100Hz帯域では3条件間に有意な差が認められなかった が100−150Hz帯域と150―200Hz帯域では十20VT条件は―20VT条件に比較して有意な増加 が認められた。一定運動負荷におけるHF成分は運動負荷開始時に比較して各条件とも に、3分目より有意な減少を認めた。各条件間の比較では、十20VT条件は−20VT条件に比 較して有意な減少が認められ、十20VT条件はVT条件に比較して有意な減少が認められ た。L/H比は一定の変動が認められなかった。これらのことから、一定負荷運動では +20VT条件で20−50Hz、50―100Hz帯域の%PSDに変化は認められないが、100―150Hz

、150―200Hz帯域の%PSDが経時的に増加することが明らかになった。十20%VT条件で の10 0Hz以上の帯域の経時的な増加は一定運動負荷の維持にtype IIb線維による筋収縮が 増えてきたことを示唆している。一定運動負荷のHF成分は運動負荷の強度に依存して減 少 し た こ と か ら 、 HF成 分 は 運 動 強 度 と 関 連 す る こ と が 推 測 さ れ た 。   審査にあたって、副査の岸教授から、VTを指標とした意味と筋電図および心電図RR 間隔変動との関係、さらに運動負荷強度にともなう心拍数および呼吸数の増加と心電図R R間隔 変動HF成分L/H比に 与え る影響、ATを基準とした運動の高齢者や障害者への応 用に関して、次いで副査の真野教授から内側広筋を選んだ理由、type IIbの経時的参加の 増加の割合について質問を受けた、申請者からはこれらの質問に対して十分満足する回答 が得られた。

  本論文は無酸素性作業閾値(AT)を基準としたレベルの運動の有効性を明らかにした もので、審査員一同はこれらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受ける のに価するものと判定した。

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