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学位名 博士(医療リハビリテーション学)

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Academic year: 2021

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大腿骨近位部骨折を受傷した女性高齢者における退 院後の生活空間と転倒自己効力感との関連性:継続 入院者を対照とした横断研究

著者 小枝 充耶

学位名 博士(医療リハビリテーション学)

学位授与機関 神戸学院大学 学位授与年度 2017年度

学位授与番号 34509乙第69号

URL http://doi.org/10.32129/00000007

Creative Commons : 表示 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nd/3.0/deed.ja

(2)

論 文 内 容 の 要 旨

専攻 医療リハビリテーション学専攻

専攻領域 リハビリテーション科学領域 専攻分野 生活支援補完分野

氏 名 小枝允耶

論文題目

大腿骨近位部骨折を受傷した女性高齢者における退院後の生活空間と転倒自己効力感 との関連性:継続入院者を対照とした横断研究

指導教員 備酒 伸彦 教授

(3)

目的

転倒による骨折は、男性に比べて女性の割合が 2 倍以上となっている。特に、

高齢者の 4 大骨折部位のひとつである大腿骨近位部骨折において、受傷前に比 べて歩行能力が低下することが多く、退院後に閉じこもりのリスクが高まるこ とが報告されている。転倒後の心理的問題として転倒後症候群である転倒恐怖 感が挙がられる。この転倒恐怖感は、歩行時の身体動揺、自宅退院の遅延、運 動機能改善の遅延に関係しており、結果的に高齢者の活動性を抑制し、高齢者 の「心身機能」「活動」「参加」を全般に阻害する。そのため、転倒恐怖感は高 齢者の生活機能低下をもたらす負の連鎖の重大因子であり、転倒恐怖感を軽減 すること自体が高齢者リハビリテーションの目的及び手段としてとらえるこ とができる。先行研究にて転倒恐怖感に最も関連する要因として転倒自己効力 感がある。この転倒自己効力感は行動を制御する要因として働き、行動変容に 関わっており転倒自己効力感を高めることが転倒恐怖感を軽減することにつ ながると考えられる。

本研究は、大腿骨近位部骨折後の女性高齢者において、長期入院患者(以下、

入院群)と、4 週間で退院が可能となった患者(以下、退院群)の 2 群に分け て転倒自己効力感の差異と、転倒自己効力感に影響を及ぼす要因について生活 空間の面から検討した。

方法

大腿骨近位部骨折にて手術療法を受けリハビリテーションを行った女性高齢 者 46 名を、1 週間目、4 週間目、8 週間目まで経過を追った。参加者は、標準 クリニカルパスである 4 週間で自宅退院した者を入院群、クリニカルパス期間 を超えても家族・施設の受け入れ困難や退院・転院先の確保困難、住環境整備 の不備、介護者の不都合などにおる地域・社会的バリアンスによる者を退院群 とし、2 群に分けて調査を行なった。調査項目は、基本情報(年齢、身長、体 重、Body Mass Index:以下 BMI、Mini Mental State Examination:以下 MMSE)、 転倒歴、術式、転倒自己効力感(Modified Falls Efficacy Scale:以下 MFES)、 運動機能として、バランス能力(Timed Up and Go test)、歩行能力(10m 歩 行時間)、膝伸展筋力、心理機能として、うつ症状(Geriatric Depression Scale)、 日 常 生 活 活 動 ( Functional Independence Measure: 以 下 FIM )、 生 活 空 間

(Life-Space Assessment:以下 LSA)を測定した。これらの項目を入院群と 退院群で、Mann-Whitney検定とΧ2検定を実施した。また、転倒 自己効力感に最も影響を与えている要因について検討するため、MFES項目 を従属変数として、ステップワイズ法にて重回帰分析を行った。

結果

研究参加候補者 88 名から除外項目に該当した 42 名を除外し、46 名を調査参 加者とした。入院群 22 名と退院群 24 名の年齢、BMI、MMSE、入院前の FIM、

入院前の LSA は 2 群間に有意差はなく、入院前の FIM や LSA の高い高齢者であ った。また、転倒歴と術式の違いによる偏りはなかった。

MFES と運動・心理機能、退院後 LSA を入院群と退院群で比較した結果、8 週間 目の MFES と、退院後 LSA で退院群に有意に高い傾向がみられた。相関行列表

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にて 10m 歩行と TUG の間に r=.98 とかなり高い相関がみられた。そのため、多 重共線性の影響を考慮し、10m 歩行の項目を除外し、8 週間目の MFES を従属変 数として、転倒歴、8 週間目の運動・心理機能、退院後 LSA を独立変数とした 重回帰分析を行った。結果、退院後 LSA では標準偏回帰係数β.567(p<.00)

で r=.63 となり、8 週間目 FIM では標準偏回帰係数β.356(p<.00)で r=.45 と、転倒自己効力感に影響を及ぼしており、かなりの相関関連がみられた。

結論

入院群であっても退院群であっても、日常生活活動能力や運動機能、心理機能 の面では 8 週間目の時点で有意差はなかった。しかしながら、退院して生活空 間が拡大した退院群においては転倒自己効力感が有意に改善していた。日常生 活活動練習の反復練習が転倒自己効力感を高めたことに関する報告があるが、

今回の調査では転倒自己効力感の改善には、各々の運動機能が単独で影響する ことはなく、日常生活活動能力に加え、さらに自宅退院後の行動範囲の広さや 行動頻度の高さである生活空間が最も関連していた。転倒による大腿骨近位部 骨折受傷後の女性高齢者は転倒恐怖感が在宅復帰の阻害因子となること、退院 後に閉じこもり傾向となることが報告されており、退院後のネガティブな側面 がみられやすい。しかしながら、社会的サポート形成のもと退院し、住み慣れ た自宅で生活上必要な活動を行いながら成功体験を積み強固な信念を作り上げ ることで転倒自己効力感が増すことが考えられた。

参照

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