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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 金 井 徳 子

     学位論文題名

Structural characterization of carbon materials withalow   crystammtyusingn10di 丘 edmethodsfordataI 甜 ysiS      (改良したデー夕解析方法による低結晶性炭素材料の構造評価)

学位論文内容の要旨

  近年、環境・エネルギ 一問題に配慮した産業活動 の必要性が国際的に認識されつっある。炭素 材料は活性炭による汚染 物質の吸着・回収等で古く からこの分野に貢献してきた。最近では低温 処理 炭素材料がりチウム2次電池 負極材として期待されてい る。多くの炭素材料は炭素六 角網面 及びその積層体を結晶子 とする、黒鉛類似の多結晶 体と見なされる。一方、上記の活性炭や低温 処理 炭素 は、1nm前後 の 炭素網 面2‑3枚から成る微小積層体 から組織が形成され、また六 角網面 周辺の置換基や直鎖部分 にも炭素原子が存在する。 このような低結晶性炭素材料の構造は一般に 複雑で、比較的結晶性の 高い炭素材料の構造解析に 通常用いられる測定法では明確な結果が得ら れず、そのデー夕解析は 非常に困難である。本研究 では、低結晶性炭素材料の構造を定量的に評 価する目的で、実験デー 夕解析方法の改良を行った 。手法としては、実測デ一夕の解析に裏付け となる理論の適用性、及 び統計的解釈の適用を試み た。さらにこれらの改良から得た結果を他の 実験結果と照らし合わせ 、各試料の構造を多角的に 考察した。

  本論文は6章で構成さ れる。

  第1章では、低結晶性炭素材料 の用途とその構造に関する 従来の研究をまとめた。また 、本研 究の目的及び論文の構成 を記した。

  第2章 では 、炭 素原 子 間の 結合 が多 様で あ るこ とで 知ら れ る、 非晶 質水 素化炭素膜(a‑C:H) の構 造を 調べ た 。試 料に は高 周 波プ ラズ マCVDに より調製 したa・C:H膜を用いた。元素 分析及 び赤外分光スペクトルの 解析から、炭素原子の40a'/oは水素原子と結合する一方、芳香環に結合す る 水 素 原 子は 非常 に少 な いこ とが 知ら れた 。 透過 型電 子顕 微鏡(TEM)観 察 及び 電子 線回 折か ら、 炭素 原子 の ネッ トワ ーク内 には2−3環の炭素六角網面 及び0.7nm程度の4配位炭素ク ラスタ ーが存在することが予想 された。また炭素原子の混 成軌道状態を調べるため、電子エネルギ一損 失分光スペクトルの低エ ネルギー領域を測定し、結 果をエネルギー損失関数及び有効電子数の理 論を 用い て解 析 した 。そ の結 果 、兀 電子(兀 )、spL及びsp3混成 軌道 に関 与するo電子(a″及 びad)の比は約兀:og:ad 1:6:4とわかった。さらに、以上の解析結果を満たすa‑C:Hの新規モ デル を提示し、従来報告されて いるa‑C:Hのモデルに比較し て機械的強度やネットワーク 中の水 素原子の状態をよく説明 できることを示した。

  第3章では、微小積層 体を基本構造単位として含む ミクロ孔性活性炭を薬品賦活により調製し、

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賦 活温 度と 多 孔質 構造との関係を調べた。 賦活温度が500‑600℃の間で 試料のBET比表面積が急 増 し、 同時 に 、積 層構造の状態を示すTEM002格子像には湾曲した炭素六 角網面が観察された。

次 に積 層構 造 の状 態を定量的に評価するた め、試料のTEM002格子像に画 像解析を施した。その 結果、高比 表面積化に伴い出現した湾 曲した網面が、積層体中の網面の枚数及び網面径の減少に 関係するこ とがわかった。さらに賦活 温度を上昇させた場合、試料 の比表面積は800℃まで漸次 増 加す る。TEM002格子 像の 画像 解 析に よる と、 この 温 度領 域で は、積 層枚数が減少するにも 関わらず網 面径がほとんど変化しないことがわかった。元素分析値の温度変化を考え合わせると、

この温度領 域での比表面積増加は、賦 活反応過程で網面が部分的に破壊されることで積層構造内 の 規 則 性 が 失 わ れ る た めに 生じ た 微小 な欠 陥が 、 細孔 とし て寄 与す る もの と考 えら れた 。   第4章で は、異なる原料及び賦活方法 で調製した4種類の活性炭の細孔及び固体部分の構造を、

試 料 の 窒 素 吸 着 等 温 線 及 び 密 度 測 定 結 果 か ら 検 討 し た 。 さ ら に 細 孔 部 分 は 吸 着等 温線 の Dubinin―Radusbkevich解析の考え方に 基づき、大小のミクロ孔及び窒素分子が侵入できない閉孔 等の潜在孔 の3通りに分類し、試料の各 細孔及び固体部分の体積分 率を計算した。その結果、こ れら体積分 率は試料の調製方法に依存 し、特にビッチ系の賦活時間の短い活性炭及びヤシ殻系活 性 炭に つい て は潜 在孔 の存 在を 明 らか にす ることができた。さらに各 試料の小角X線散乱を測 定した。測 定強度をDebye・Buecheプロ ットにより解析し相関長及び固体・細孔各部分の平均横断 長を計算し た。平均横断長はその部分 を全方向から切った場合の平均長さであることから、吸着 等温線から 得た細孔径と関連づけるこ とで各試料の細孔の平均的形状を推定した。すなわち、ピ ッ チ系 で賦 活 時間 の長い試料及び薬品賦活 で調製した試料は直線部分の 短い入り組んだ細孔構 造 を 有 し 、 ヤ シ 殻 系 の 試 料 は 球 の よ う な 対 称 形 の 細 孔 か ら な る こ と が 予 想 さ れ た 。   第5章で は、 アセ チルアセトナート(acac)金属錯体を各種石炭中に分 散後賦活し、金属担持 メ ソ孔 性活 性 炭の 調製 を試 みた 。 試料 のメ ソ孔 構造 は 窒素 吸着 等温線 のBET及びBJH解析から 評 価し た。 ま ず12種のacacを用い検討した ところ、鉄、コバルト、二ッ ケル及びチタン錯体が 石 炭化 度の 異 なる3種の 石 炭(Morwell炭 、 太平洋炭及び三池炭)のいず れについてもメソ孔生 成に有効で あることが知られた。さら にMorwell炭と鉄、コバルト 、二ッケルの各acac錯体から 調 製し た活 性 炭の 組織を評価した。金属は10nm程度の酸化物微粒子とし て低結晶性の炭素部分 に メソ 孔と 共 に分 散し てい るこ と がTEM観 察よりわかった。メソ孔は粒 子表面における賦活反 応 促進 によ り 形成 され ると の予 想 から 、吸 着測定から得たメソ孔径をTEM写真の画像解析から 求めた粒子 径と比較したが、その分布 の様子は異なっていた。これは反応中における微粒子の成 長及び移動 が影響するものと考察され た。また、3種の石炭とチタ ン錯体を用いて得た活性炭の 組織を同様 に調べたところ、いずれの 試料もルチル等の酸化チタン微粒子が低結晶性炭素組織中 に 分 散 し て い る が 、 細 孔 径 及 び 粒 子 径 分 布 は 炭 種 に よ り 多 少 異 な る こ と が わ か っ た 。   第6章で は、各実験の結論を総合的に 考察し得られた、当研究に おける結論をまとめた。また 低結晶性炭 素材料の構造研究における 今後の展望を述べた。

  以上、本 研究により、低結晶性炭素 材料の構造解析においては、実験データの解析方法を工夫 することで その構造を明確に記述でき ることが明らかになった。

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学位論文審査の要旨

主査    教 授   稲垣 道夫 副査    教 授   小平 紘平 副査    教 授   嶋田 志郎

副査    教 授   金子 克美 (千葉大学大学院理学研究科)

     学 位 論 文 題 名

Structural characterization of carbon materials withalow   crystauinity using modified methods for data analysis      ( 改 良 し た デ ー 夕 解 析 方 法 に よ る 低 結 晶 性 炭 素 材 料 の 構 造 評 価 )

   近年,地球規模での環境を考える必要性が指摘され,多くの問題提起がなされると 同時に,具体的な環境改善のための方式についても多くの検討がなされている,環境 維持・改善のために活性炭で代表される低結晶性炭素材料の重要性がますます高くな って いる .し かし ,その 結晶 構造 が強 く乱 され てい るた めに,その構造を理解する ことは非常に困難であることが指摘されている.

   本論文は,これらの低結晶性炭素材料の構造を定量的に評価することを目的に,多 種類の低結晶性炭素材料についての各種の測定を行うとともに,そのデータを化学結 合や 微細 組織 レベ ルの具 体的 な構 造情 報に 結び っけ るた めの理論を再検討するとと もに,分布状態が重要な意味を持っデータヘの統計的解釈の導入によルデータの解析 手法を改良した.そして,これらの検討から得られた結果を他の実験結果と照らし合 わせ,低結晶性炭素材料の構造を多角的に検討した.

   低 結晶 性炭 素材 料のー つで ある非晶質水素化炭素膜(a‑C:H) について,赤外分光,

透過電子顕微鏡観察,電子線回折,電子工ネルギー損失分光による測定及び元素分析 を行った.それらの測定結果を,多様な炭素原子間結合の存在を考慮した解析法を適 用することによって解析した,また,電子工ネルギー損失分光スベクトルの形状に比 例す るエ ネル ギー 損失関 数を 用い るこ とに よっ て, 兀電 子およびsp2 とsp3 混成軌道 に関 与す るそ れぞ れのs 電子 の比を推定した.これらの解析結果から,新しい構造モ デルを構築した.試料とした炭素膜では,炭素原子の40 %は水素原子と結合する一方,

芳 香 環 に 結 合 す る 水 素 原 子 が 非 常 に 少 な い こ と が 明 ら か と な っ た .

   ミク口孔を持つ活性炭について,その多孔構造を窒素吸着等温線測定,透過電子顕

微鏡観察及び元素分析によって検討した,電子顕微鏡による格子像に画像解析を施す

ことによって,炭素六角網面の大きさ及び湾曲の状態,積層枚数などを決定した.電

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子 顕微 鏡観 察に 基ずく 炭素 網面 の状 態と 窒素 吸着 等温 線の 解析 から 求められるガス 吸 着特 性お よび 細孔構 造と の対 応を 明ら かに し, その 賦活 温度 依存 性を解明した,

   次に ,異 なる原料及び賦活方法を用いて調製した活性炭について,その細孔および 固 体部 分の 構造を検討した.窒素吸着等温線および密度測定によって,これらの活性 炭 中に は, 窒素分子が侵入できない閉孔で代表される潜在孔が存在し,その体積分率 が 原料 およ び調 整方法 に強 く依 存す るこ とを示した.さらに,小角X 線散乱強度の解 析 によ り汎 用性 の高い デバ イの 方法 を適 用す るこ とに よっ て, 固体 および空隙(細 孔 )部 分の 平均横断長さを決定し,吸着等温線の解析から得た細孔径と関連づけるこ とによって,細孔の形状を推定した.

   さら に, 鉄,コバルトなど種々の金属のアセチルアセトナート錯体を各種石炭中に 分 散し 賦活 することによって,これらの金属を担持したヌソ孔を主体とした細孔構造 を 持つ 活性 炭の調製を試み,そのヌソ孔構造の解析を行った,その結果,金属錯体が ヌ ソ 孔 生 成 に 有 効で あり ,そ れらの 金属 は10 nm 程度 の酸 化物微 粒子 とし て分 散し て いる こと を見出した.透過電子顕微鏡像の画像解析によって求めた微粒子の大きさ と 窒素 ガス 吸着等温線から求めたヌソ孔の径との対応関係を検討し,賦活過程での微 粒 子の マイ グレーションと成長との関連を議論した.また,チタン錯体を用いて,各 種 の石 炭か ら活性炭を調製し,原料石炭中の酸素含有量に金属微粒子の粒径分布とヌ ソ孔の量とが依存することを明らかにした.

   本論 文で は,低結晶性炭素材料の構造解析あたって,いくっかの分光スベクトルの 解 析に 炭素 原子間結合が多様にわたることを考慮すること,透過電子顕微鏡像に画像 解 析を 導入 することなどの改良を加えることによって,定量的な構造解析を行い得る ことを示している,他の測定法による結果を併用あるいはそれとの整合性の検討から,

低 結晶 性炭 素材料の構造をより正確に理解することが可能になった.さらに,それら の 構 造 が 原 料 や 調 製 条 件 に ど の よ う に 依 存 し て い る か を 解 明 し て い る .    これ を要 するに,著者は低結晶性炭素材料の構造評価のためのデー夕解析方法に改 良 を加 え, その乱れた構造のよりよい理解に導くとともに,それらの解析方法の有効 性 を明 らか にしたものであり,炭素材料を中心とした材料工学の新しい発展に貢献す るところ大なるものがある.

   よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める,

参照

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