博 士 ( 工 学 ) 金 井 徳 子
学位論文題名
Structural characterization of carbon materials withalow crystammtyusingn10di 丘 edmethodsfordataI 甜 ysiS (改良したデー夕解析方法による低結晶性炭素材料の構造評価)
学位論文内容の要旨
近年、環境・エネルギ 一問題に配慮した産業活動 の必要性が国際的に認識されつっある。炭素 材料は活性炭による汚染 物質の吸着・回収等で古く からこの分野に貢献してきた。最近では低温 処理 炭素材料がりチウム2次電池 負極材として期待されてい る。多くの炭素材料は炭素六 角網面 及びその積層体を結晶子 とする、黒鉛類似の多結晶 体と見なされる。一方、上記の活性炭や低温 処理 炭素 は、1nm前後 の 炭素網 面2‑3枚から成る微小積層体 から組織が形成され、また六 角網面 周辺の置換基や直鎖部分 にも炭素原子が存在する。 このような低結晶性炭素材料の構造は一般に 複雑で、比較的結晶性の 高い炭素材料の構造解析に 通常用いられる測定法では明確な結果が得ら れず、そのデー夕解析は 非常に困難である。本研究 では、低結晶性炭素材料の構造を定量的に評 価する目的で、実験デー 夕解析方法の改良を行った 。手法としては、実測デ一夕の解析に裏付け となる理論の適用性、及 び統計的解釈の適用を試み た。さらにこれらの改良から得た結果を他の 実験結果と照らし合わせ 、各試料の構造を多角的に 考察した。
本論文は6章で構成さ れる。
第1章では、低結晶性炭素材料 の用途とその構造に関する 従来の研究をまとめた。また 、本研 究の目的及び論文の構成 を記した。
第2章 では 、炭 素原 子 間の 結合 が多 様で あ るこ とで 知ら れ る、 非晶 質水 素化炭素膜(a‑C:H) の構 造を 調べ た 。試 料に は高 周 波プ ラズ マCVDに より調製 したa・C:H膜を用いた。元素 分析及 び赤外分光スペクトルの 解析から、炭素原子の40a'/oは水素原子と結合する一方、芳香環に結合す る 水 素 原 子は 非常 に少 な いこ とが 知ら れた 。 透過 型電 子顕 微鏡(TEM)観 察 及び 電子 線回 折か ら、 炭素 原子 の ネッ トワ ーク内 には2−3環の炭素六角網面 及び0.7nm程度の4配位炭素ク ラスタ ーが存在することが予想 された。また炭素原子の混 成軌道状態を調べるため、電子エネルギ一損 失分光スペクトルの低エ ネルギー領域を測定し、結 果をエネルギー損失関数及び有効電子数の理 論を 用い て解 析 した 。そ の結 果 、兀 電子(兀 )、spL及びsp3混成 軌道 に関 与するo電子(a″及 びad)の比は約兀:og:ad 1:6:4とわかった。さらに、以上の解析結果を満たすa‑C:Hの新規モ デル を提示し、従来報告されて いるa‑C:Hのモデルに比較し て機械的強度やネットワーク 中の水 素原子の状態をよく説明 できることを示した。
第3章では、微小積層 体を基本構造単位として含む ミクロ孔性活性炭を薬品賦活により調製し、
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賦 活温 度と 多 孔質 構造との関係を調べた。 賦活温度が500‑600℃の間で 試料のBET比表面積が急 増 し、 同時 に 、積 層構造の状態を示すTEM002格子像には湾曲した炭素六 角網面が観察された。
次 に積 層構 造 の状 態を定量的に評価するた め、試料のTEM002格子像に画 像解析を施した。その 結果、高比 表面積化に伴い出現した湾 曲した網面が、積層体中の網面の枚数及び網面径の減少に 関係するこ とがわかった。さらに賦活 温度を上昇させた場合、試料 の比表面積は800℃まで漸次 増 加す る。TEM002格子 像の 画像 解 析に よる と、 この 温 度領 域で は、積 層枚数が減少するにも 関わらず網 面径がほとんど変化しないことがわかった。元素分析値の温度変化を考え合わせると、
この温度領 域での比表面積増加は、賦 活反応過程で網面が部分的に破壊されることで積層構造内 の 規 則 性 が 失 わ れ る た めに 生じ た 微小 な欠 陥が 、 細孔 とし て寄 与す る もの と考 えら れた 。 第4章で は、異なる原料及び賦活方法 で調製した4種類の活性炭の細孔及び固体部分の構造を、
試 料 の 窒 素 吸 着 等 温 線 及 び 密 度 測 定 結 果 か ら 検 討 し た 。 さ ら に 細 孔 部 分 は 吸 着等 温線 の Dubinin―Radusbkevich解析の考え方に 基づき、大小のミクロ孔及び窒素分子が侵入できない閉孔 等の潜在孔 の3通りに分類し、試料の各 細孔及び固体部分の体積分 率を計算した。その結果、こ れら体積分 率は試料の調製方法に依存 し、特にビッチ系の賦活時間の短い活性炭及びヤシ殻系活 性 炭に つい て は潜 在孔 の存 在を 明 らか にす ることができた。さらに各 試料の小角X線散乱を測 定した。測 定強度をDebye・Buecheプロ ットにより解析し相関長及び固体・細孔各部分の平均横断 長を計算し た。平均横断長はその部分 を全方向から切った場合の平均長さであることから、吸着 等温線から 得た細孔径と関連づけるこ とで各試料の細孔の平均的形状を推定した。すなわち、ピ ッ チ系 で賦 活 時間 の長い試料及び薬品賦活 で調製した試料は直線部分の 短い入り組んだ細孔構 造 を 有 し 、 ヤ シ 殻 系 の 試 料 は 球 の よ う な 対 称 形 の 細 孔 か ら な る こ と が 予 想 さ れ た 。 第5章で は、 アセ チルアセトナート(acac)金属錯体を各種石炭中に分 散後賦活し、金属担持 メ ソ孔 性活 性 炭の 調製 を試 みた 。 試料 のメ ソ孔 構造 は 窒素 吸着 等温線 のBET及びBJH解析から 評 価し た。 ま ず12種のacacを用い検討した ところ、鉄、コバルト、二ッ ケル及びチタン錯体が 石 炭化 度の 異 なる3種の 石 炭(Morwell炭 、 太平洋炭及び三池炭)のいず れについてもメソ孔生 成に有効で あることが知られた。さら にMorwell炭と鉄、コバルト 、二ッケルの各acac錯体から 調 製し た活 性 炭の 組織を評価した。金属は10nm程度の酸化物微粒子とし て低結晶性の炭素部分 に メソ 孔と 共 に分 散し てい るこ と がTEM観 察よりわかった。メソ孔は粒 子表面における賦活反 応 促進 によ り 形成 され ると の予 想 から 、吸 着測定から得たメソ孔径をTEM写真の画像解析から 求めた粒子 径と比較したが、その分布 の様子は異なっていた。これは反応中における微粒子の成 長及び移動 が影響するものと考察され た。また、3種の石炭とチタ ン錯体を用いて得た活性炭の 組織を同様 に調べたところ、いずれの 試料もルチル等の酸化チタン微粒子が低結晶性炭素組織中 に 分 散 し て い る が 、 細 孔 径 及 び 粒 子 径 分 布 は 炭 種 に よ り 多 少 異 な る こ と が わ か っ た 。 第6章で は、各実験の結論を総合的に 考察し得られた、当研究に おける結論をまとめた。また 低結晶性炭 素材料の構造研究における 今後の展望を述べた。
以上、本 研究により、低結晶性炭素 材料の構造解析においては、実験データの解析方法を工夫 することで その構造を明確に記述でき ることが明らかになった。
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