氏名・(本 籍)
学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目
論文審査委員
望 月 徹 (静岡県)
工 学 博 士
工博乙第 6 号 昭和60年 2 月21日 学位規則第5条第2項該当
MOLYBDENUM DISILICIDE GATES AND INTERCONNECTIONS FOR VLSI
(VLSIのゲート及び配線電極としてのモリブデンシリサ
(蓑貝毒)安藤隆男
教 授 山田 祥二 教 授 水晶 静夫 教 授 助川 徳三 教 授 熊川 征司 教 授 藤安 洋
論文内 容の要 旨
半導体集積回路の高集積化に当っては,素子間を有機的に結合する相互配線技術が重要な役割を もつようになってきている。現在,MOS型大規模集積回路(MOSLSI)におけるゲrト電極及び 相互配線電極として,LSI製造工程中で化学的に安定な多結晶シリコンが広く用いられている。
しかしながら,その抵抗率は1mn一cm と大きく,配線電極による信号伝播遅延を増大させるの で大規模集積化に当っては大きな制約となっている。多結晶シリコンに代わる配線電極として,抵 抗率の低いモリブデン等の高融点金属が提案されているが,これ等の金属は,MOSLSI作製工程 中で用いられる酸類や高温酸化性雰囲気中での耐性が無いのでLSIへの応用に際しては大きな難 点をともなう。
これ等に代わるゲート電極及び配線材料として,高融点金属磋化物が著者等によって提案され た。高融点金属珪化物は抵抗率が0.1mn一cmと小さく,多結晶シリコンと同程度の化学的な安 定性を示す。
この論文で著者は,モリブデンシリサイトがLSIのゲrト及び配線電極材料として優れた性質 を持つことを示し,これをゲート電極として用いる場合に必要な事項に関しての広汎な研究結果に ついて記述する。
モリブデソシリサイドの形成にはモリブデンシリサイドの微小粉末を成形したターゲットを用い たスバッタによる方法,及びモリブデンとシリコンの同時蒸着による方法の2つの方法を用いた。
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組成としてはモリブデンシリサイドのうち最も安定であるMoSi2を用いた。MoSi2薄膜は形成直 後は非晶質であり,アニrルによって六万品或いは正方晶系の微細粒子よりなる多結晶構造を示 し,前者は比較的低温領域で,後者は高温領域で支配的となる。MoSi2膜にはアニrルによって大 きな応力が発生する。これはモリブデンとシリコンの反応による桂化物形成時の体積収縮の結果生 ずる引張り応力と,高温で安定な結晶となったMoSi2 とシリコンとの間の熱膨張係数の差によっ て発生する引張り応力とからなる。前者は約400℃でのアニrルにより急激に発生し,六方晶系の 微粒子の出現と極めてよく一致している。
MoSi2膜の抵抗率は形成直後は約1mfl一cmであるが,1,000℃のアニrルによって急激に低 下し0.1mn−cmとなる。これはMoSi2膜の結晶粒径の増大によって説明される。この膜の抵抗 率の温度依存性は正であり,金属のそれと同じである。MoSi2膜は,プラズマエッチで多結晶シリ コンと同等もしくはそれ以上に良好なパターン形成が可能であり,非等万エッチングもプラズマ中 で実現される。MoSi2膜の熱酸化はシリコンの場合と同等の機構で記述されることが明らかとなっ た。即ち,薄いSiO2膜がMoSi2膜表面に形成されると,そのSiO2膜が酸化の保護膜となり酸 素の拡散を律速し,MoSi2膜中のシリコンがモリブデンよりも選択的に酸素と反応してSiO2膜 を形成する。したがって,MoSi2膜中にシリコンが十分な濃度で存在する場合はシリコン単体の酸 化機構と同等になる。また,MoSi2膜表面に形成された酸化膜の電気的特性も多結晶シリコン上に 形成された酸化膜と同程度の品位を保持している。その他,MoSi2膜はシリコンと同等の化学的性 質を保持していることも確認された。
MoSi2とシリコンを直接接触させるとショットキr接合が形成される。ショットキー接合の障壁 の高さは,P型シリコン基板に対してはアニール温度とともに大きくなり,N型シリコン基板に対 してはアニール温度とともに低下する。この現象は,薄い酸化膜などの介在層及び界面準位の導入 によって説明される。即ち,アニール温度の増加とともに介在層が厚くなり,見掛け上の障壁高さ はP型シリコンに対しては高くなり,N型シリコンに対しては低くなるものと解釈される。MoSi2 膜と高濃度不純物を含んだシリコンとの接触抵抗は,アニrル温度の上昇とともに急激に増加す る。この傾向は高濃度N型不純物を含んだシリコンに対しても同様であり,ショットキr障壁のア ニール温度依存性から求められる抵抗値とは一致しない。更にシリコン基板中の不純物の外への拡 散による界面濃度の減少のみでは説明できない。これらの現象もアニrルにより酸化膜がMoSi2 とシリコン界面に成長するモデルによって説明される。この酸化膜の形成はシリ コン中よりも MoSi2膜中の万が酸素の平衡分EEが高いことに起因する。界面の酸化膜の成長は,MoSi2中に過剰
なシリコンやハフニウム等の平衡酸素分圧の低い金属等を導入することによって抑制できる。
MoSi2膜とアルミニウム電極はシソター後も極めて安定であり,その接触抵抗も低い。
MoSi2膜をMOSFETのゲrト電極として用いた場合,その特性は多結晶シリコンゲrトのそ れと比較して,仕事関数差による閥値の差以外本質的な差異はないことが明らかとなった。MoSi2 の大きな仕事関数(4.8eV)はPMOSに対しては有利に作用するが,NMOSに対してはシリコ
ン基板の不純物濃度を低く抑えなければならないので不利である。しかし,埋込み型のチャンネル 構造を採用することにより微細Nチャンネルトランジスタを実現した。
このように,MoSi2を用いることにより,特性上シリコンゲrトMOSFETと遜色のないMoSi2
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ゲート MOSFETと多結晶シリコンを用いる場合より抵抗の1桁小さい配線とを実現できるので,
高速なLSIの実現が可能となった。また,MoSi2膜のLSI製造工程中での耐酸化性等の化学的 性質も多結晶シリコンと同等であるので,従来のシリコンゲrト工程を大幅に変えることなく高速 なLSIの製造が可能となった。
MoSi2をゲ.ト電極として8KビットマスクROMに応用して,その低い抵抗率により多結晶シ リコンを用いた場合よりも15%も速い動作速度を実現できた。また,MoSi2の大きな仕事関数の利 点を活かして,4Kビット CMS/SOSスタティックRAMに応用し,その低抵抗性とSOSの小さ な寄生容量と相まって18nsという高速動作を可能にした。さらに,VLISの第1世代である256K ビットダイナミックRAMにも応用され,MoSi2ゲrト技術はすでに工業化されている。
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