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博 士 ( 工 学 ) 岡 崎 茂 俊

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 岡 崎 茂 俊

学 位 論 文 題 名

LB 膜 中 に お け る 色 素 分 子 の 電 場 変 調 光 物 性 と 分 子 素 子 へ の 応 用

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年、光機能分子材料の開発が盛んに行われ、そこで用いられる機能性色素の光物理化 学的性質を調ぺることが重要になっている。ここで問題とする機能性色素とは、特に光と の相互作用において発現する種々の現象、光導電性、可逆的光化学反応(フォトクロミッ ク反応)、非線形光学現象、光起電カなど実用上新しい機能性材料に関する現象を担う色 素の総称である。これらの色素分子に対して、特殊な官能基を導入したり、色素骨格その ものを変えることの他に、色素分子を一定の配向と配列をもった特定の集合体をっくるこ とによって、高度な機能性を発現させることが可能となる。多数の分子が一定の配列・配 向をもって並ぺられた分子組織体は、高分子フイルム、液晶、ラングミュア・ブロジェツ ト(LB)膜を用いることによってつくることができるが、中でも種々異なる分子のヘテ ロ積層構造をっくるためにはLB膜の方法が用いられる。LB膜は、ステアリン酸などの 両親媒性化合物を清浄な水面上に単分子膜として展開し、一方から加圧することにより凝 縮膜を形成させ、これを固体基板上に移し取ってっくられる累積多層膜である。この手法 によれば比較的任意にへテロ分子積層体を作製することができることから、最近では基礎 から応用に至る広い分野において興味がもたれている。このLB膜の物理化学的性質につ いて は す でに 多 く の 研究 が な され て い るが 、 未 だ多くの 問題が 残されて いる。

  本研究では、先ずLB膜中の色素分子の基本的な性質、すなわち色素分子の分散構造、

エネルギー準位構造に関するStark効果、および励起工ネルギー移動について調ペ、次いで 励起エネルギー移動およびフォトクロミック反応を利用した光スイッチング素子を試作 し、その適応性に関する評価を行った。本論文はこれらの研究結果をまとめたものである が、以下にその概要を記す。

  第2章においては、典型的な色素であるシアニン系色素について、LB膜中において形 成される会合状態を、Stark効果すなわちLB膜の両面に蒸着したアルミニウム薄膜電極を 通して印加した外部電場によるエネルギー準位構造の変化を調ぺ、光励起に伴って起こ る、色素分子の電気双極子モーメントおよび分極率に関する基底状態と励起一重項状態の 問の変化を、いくっかの特徴的な吸収帯について求めた。その結果、LB膜中においては

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いくっかの二畳体および高次会合体が形成されることを見いだすと共に、それらの光励起 に 伴 う 電 気 双 極 子 モ ー メ ン ト や 分 極 率 の 変 化 を は じ め て 明 ら か に し た 。   第3章においては、シアニン系色素であるオキサシアニンを用いてLB多層膜における 層間の励起エネルギー移動について、ピコ秒時間分解螢光スベクトルを測定・解析し、励 起エネルギー移動のサイト選択性について調ぺた。その結果、エネルギー移動によってな される励起と通常の光励起の場合とでは異なる螢光スペクトルを与えることがわかり、層 間 エ ネ ル ギ ー 移 動 に お い て は サ イ ト 選 択 が 起 こ る こ と が 明 ら か と な っ た 。   第4章におぃては、シアニン系色素LB多層膜の中にフォトクロミック分子を含む単分 子膜を組み込み光スイッチング並列演算素子の試作を行った。フォトクロミック分子とし てスピロピラン/メ.ロシアニンを用い、UV光あるいは可視光照射によって決まる光化学 反応に応じて、励起工ネルギー移動をスイッチすることができ、これを2次元並列演算素 子として用いた場合の特性について検討した。その結果、ドナー層、アクセプター層から の螢光はUV光または可視光の照射により変調され、励起エネルギー移動のスイッチングが 行われていることが判り、そのスイッチング速度は適当な光源を用いた場合104 s‑lと求め られた。この光スイッチング素子の演算性能Pを見積ると、P゜ lx l012 NOT演算s.1とな り、現在研究が進められている光スイッチング素子、すなわち液晶ライトバルブ(P=7x 109)、光双安定素子(P゜7x l012)、光・電子ハイブリッドデバイス(P 6x l014)およ びOPALS(P ̄lxl019)等の光スイッチング素子とほぽ同等の性能を持ち、ここで試作し たフォトクロミックLB膜は光スイッチング分子素子、とりわけ光コンピューターにおける 2次元光変調器として応用できることが判った。

  第5章においては、第4章における光スイッチングLB多層膜の動作特性を測定するた めの高感度螢光分光光度計の製作について述ぺた。申請者が作製したこの装置は市販の装 置と比較して約100倍高感度であることがわかった。

  第6章においては、本研究における総括を行い、これらの研究の意義を明確にした。

  以上のように申請者は、LB膜中における色素分子の電気的および光化学的特性を明らか に し 、 そ の 分 子 素 子 と し て の 適 応 性 お よ び 有 効 性 を 明 ら か に し た 。

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学 位 論 文 審査 の要 旨 主査   教授   山崎   巌

副査   教授   吉田   宏

副査   教授   下村政嗣(理学研究科)

副査   助教授   太田信廣

学 位 論 文 題 名

LB 膜 中 に お け る 色 素 分 子 の 電 場 変 調 光 物 性 と 分 子 素 子へ の応 用

  近年、光機能分子材料の開 発研究が盛んに行われ、色素分子を一定の距離と配向を も って 配列 させ たLB膜な どの 分子 組織 体が 注目 され ているが、そこに組み込まれた 機能包素分子の光物理化学的 性質を調べることが重要になっている。本研究では、先 ずLB膜 中の 色素 分子 の基 本的 な性 質、 すな わち 色素 分子の分散構造、エネルギー準 位 構造 に関 するStark効 果、 および励起エネルギ―移動について調ベ、次いで励起エ ネルギー移動およびフォトク ロミック反応を利用した光スイッチング素子を試作し、

その実用性に関する評価を行 った。本論文はこれらの研究結果をまとめたものである。

  第1童に おい ては 、典 型的 な 色素 であ るシ アニ ン系 色素 がLB膜中 にお いて 形成さ れ る会 合状 態を 、Stark効果 す なわ ちLB膜の 両面 に印 加し た外 部電 場に よる ェネル ギー準位構造の変化を調ベ、 光励起に伴って起こる、色素分子の電気双極子モーメン ト およ び分 極率 の変 化を 求め 、そ の結 果、LB膜 中に おぃてはいくっかの二量体およ び 高 次 会 合 体 が 形 成 さ れ 、 そ れ ら の 物 理 化 学 的 性 質 を は じ め て 明 ら か に し た 。   第2章に おぃ ては 、シ アニ ン 色素 を用 いてLB多 層膜 にお ける 層間 の励 起エ ネルギ ー移動について、ピコ秒時間 分解螢光スペク卜ルに基づぃて解析し、エネルギー移動 によってなされる励起と通常 の光励起の場合とでは異なる螢光スベクトルを与えるこ と 、 す な わ ち サ イ 卜 選 択 が 起 こ る こ と を 見 い 出 し 、 そ の 機 構 を 明 ら か と し た 。   第3章に おい ては 、シ アニ ン 色素LB多 層膜 の中 にフ オ卜 クロ ミッ ク分 子を 含む単 分 子膜 を組 み込 み光 スイ ッチ ング 並列 演算 素子 の試 作を行い、UV光あるいは可視光 照射によって決まる光化学反 応に応じて、励起エネルギー移動をスイッチすることが で き 、 こ れ を2次 元 並 列 演 算 素 子 と し て 適 用 で き る こ と を 明 ら か に し た 。   以上 のよ うに 本論 文は 、LB膜中 の分 子の 興味 ある 光物性を明らかし、これを新し い 光 論 理 素 子 の モ デ ル ヘ 応用 し、 分子 機能 学の 進歩 に 寄与 する とこ ろ大 であ る。

  よって著者は、北海道大学 博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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   よ って、 著者は 、北海道 大学博士 (工学 )の学位 を授与 される資 格ある ものと認 める。.

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