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博 士 ( 工 学 ) 宮 崎 俊 之

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 宮 崎 俊 之

学 位 論 文 題 名

ス ペ ク ト ル 領 域 法 に よ る 平 面 型 マ イ ク ロ ス ト リ ッ プ ァ ン テ ナ の 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  電磁界ベクトルの形で表される電磁波のもつ情報を完全に利用するレーダーは,現代の電磁 界センサーや画像技術の分野における不可欠な技術となっており,地殻のりモー卜センシング などの分野における役割はますます大きくなっている.当初のレーダーは振幅,周波数の情報 のみを利用していたが ,位相と振幅の偏波的な情報をレーダ一信号やイメージ処理に取入れ ることにより,ホ口グラフィやコンピュータを用いたトポロジー,およびそれらの応用である 合成開口レーダー(SAR),逆合成開口レ―ダー(ISAR)が開発,実用化された.このりモート センシングへの応用を考えた場合,偏波情報を正確に測定することは非常に重要となり,偏波 状 態 を 電 気 的 ・ 物 理 的 に 変 え る こ と の で き る ア ン テ ナ が 求 め ら れ る .   誘電体基板上にプリント技術を用いて製作されるマイクロストリップァンテナは,移動体搭 載のアンテナとして非常に適している.なかでも給電線と放射素子が同ー平面上にある共平面 型アンテナは片面のみで製作でき,アンテナを多層構造とする場合などと比較し,より薄型化・

軽畳化することが可能となり,製作行程も少なくてすむ.偏渡面切り替え可能であることが求め らる衛星あるいは移動体搭載型のりモートセンシング用アンテナの候補として,間隙を介して 半無限給電線路により励振するマイクロストリップ素子(Proximity feed Microstrip Antenna

:PMA)が 提 案 さ れ て い る, 共 平面 構造 をも つPMAは ,1組のPIN‑diodeとLow‑passフ ィ ル タ を 用 い て 給 電 線 終 端 のOPEN―ENDとSHORT―ENDを 切り 替え る こと によ り,PMAの 動作原理であるニつの結合(誘導性結合と容量性結合)に支配されるニつの偏波状態を電気的 に切り替え可能である.放射素子として方形パッチを用いると直交するニつの直線偏波を,ま た円偏波素子を用いる 事により右旋円偏波と左旋 円偏波を切り替えることも可能である,

  PMAは製作の容易さ に加え,高速な偏波切替の要 求にも応えることができ,給電線部の構 造の単純化により部品点数が減少し信頼性の向上も期待できる.アレー化の際にも,給電線の 両側にPMAを複数配置 し,給電線終端部の開放・短 絡の切り替えにより偏波切替ができるな ど設計の自由度も高い.

  高速な動作が期待できる電気的偏波切替の方法として,従来より多数のダイオードを用いる ものなどが提案されてきたが,給電部の複雑化にともない製作が難化し,またその数値解析は 非常に困難であった.

  本 論文 の目的は ,このPMAの解析手法を確立 し,その物理的な特性を明 らかにすること である,このために,多眉平面構造をもつマイクロストリップァンテナの解析に有用であり・

現在盛んに研究が行な われているスペクトル領域 法を導入した.PMAは給電線による入力特 性,偏波特性への影響,更に間隙を介して表面波による強い結合が予想されるため従来の手法 では厳密な解析が不可 能であった.スペクトル領 域法は厳密なGreen関数を数値解析中に導

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入しているため,空間波による結合だけではなく表面波による結合など,すべての電磁界現象 を考慮したfull―wave解析が可能である.しかし,電流基底選択,配置など解析対象のモデル 化にその解析の精度,計算速度は大きく依存する.また,スペクトル領域法は波数領域におけ るりアクションの数値積分を伴うため,極における発散,積分空間が2次元空間全面にわたる 積分を取り扱うことによる収束性の問題など,これを慎重に取り扱うことが必要となる.そこ で,本論文ではまずスペクトル領域法の一般的な定式化を行なった上で,数値解析に関する各 種手 法について述べる.これらはPMA解析のモデル化の基礎となると共に,他のアンテナ,

共振器等,導波路等のマイク口ストリップ素子一般にスペクトル領域法を適用する際にも応用 可能なものである.

  PMAの 特徴は,1/100A付近の非常に狭い間隙を介して給電線と放射素子が近接配置されて いることである,この間隙の影響は,アンテナ系全体の共振周波数などに影響を及ぼす.マイ クロストリップアンテナは小型軽量・低姿勢で航空機等の移動体への搭載に向いている反面,

この 長所と 引き換 えに低 効率, 高Qとぃ う短所 をもつ ,した がってPMAの厳密 な共振周波 数を解析することは,アンテナ設計のために欠くことができない条件である.本論文では一般 的なマイクロストリップアンテナの共振特性解析に有用である複素共振周波数解析を導入し た.マイクロストリップを共振系として考えた場合,放射によって失われるエネルギーを含ん だ形で定式化を行なう必要があり,スペクトル領域法におけるりアクション積分の積分経路の 設定を十分に考察する必要がある.この定式化を行なうとともに,この複素共振周波数解析に よっ て得られた結果がPMAに対しても有効であることを示した,これにより共振系としての PMAの解析が可能となった.

  また,本論文ではPAIAの放射系としての解析を行なった,まずスペクトル領域法を適用す るた め,PMAの動作 原理を示 した.PMAは給 電線上の 電流と 放射素 子上の 電流は分布的に 結合しており,給電線上の進行波はこれにより散乱を生じる,この影響を完全に考慮した給電 線上の電流モデルを決定するとともに,このモデルの妥当性を実験値との入力特性の比較に より示した,

  更にモーメント法を用いて給電線上,放射素子上の電流を決定することにより,偏波の状 態,誘導性結合・容量性結合の様子を数値的に解析を行なった.放射素子の横にダイポールを 配 置 す る従 来 の 解 析モ デ ル で はOPENーEND時,SHORT‑END時の解 析以外 は困難 であった が,本論文で提案したモデル化は実態に即しており,スタブ長を任意に変化させて給電線上の 電流状態を変化させた場合でも解析が可能である.これにより定在波状態,間隙長,パッチの 大きさを変えることにより,様々な偏波状態をもつアンテナの設計も可能であると思われる.

また,物理的な考察が可能であるというスペクトル領域法の長所を生かして,従来の解析では 不 可 能 で あ っ た 偏 波 特 性 , 共 振 状 態 以 外 で の 特 性 を 明 ら か に し た .   PMAは これまで給電線の終端の開放・短絡を切り替えることにより偏波を切り替え可能で あることが実験により示されていたが,これを数値的に解析できたことにより厳密な解析が 可能となった,将来の本モデルの整合問題等の解決に役立っと考えられる.またここで用いた 解析手順は普遍的であり,他のモデルヘの応用も可能である.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

スペクトル領域法による平面型 マ イク口ストリップァンテナの研究

  

電磁波の利用技術であるレーダーは,人工衛星や航空機に搭載することにより,地 球環境のりモ―トセンシングに用いられるなど,その役割はますます大きくなってい る,振幅,周波数の情報に加えて,偏波情報をレーダ一信号やイメージ処理に取り入 れることにより高度な情報処理が可能となる.このりモートセンシングへの応用を考 えた場合,偏波情報を正確に測定することは非常に重要となり,偏波状態を電気的・

物理的に変えることのできるアンテナが求められる.

  

誘電体基板上にプリント技術を用いて製作されるマイク口スドリップァンテナは,

移動体搭載のアン テナとして非常に適している.偏波面切り替え可能であることが 求められる衛星あ るいは移動体搭載型のりモートセンシング用アンテナの候補とし て,間隙を介して半無限給電線路により励振する共平面型のマイクロストリップ素子

(Proximity fed Microstrip Antenna

:PMA)が 提案されている.共平面構造をもつ

PMA

は , 薄型 ・軽量という特長に加えて,1組のPIN―

diode

とLow‑passフィルタを 用 い て 給 電 線 終 端 の

OPEN

END

SHORT

END

を 切 り 替 え る こ と に よ り ,

PMA

の動作原理であるニつの結合(誘導性結合と容量性結合)に支配されるニつの偏波状態 を電気的に切り替え可能である.

  

本論文の目的は ,スペクトル領域法を用いた

PMA

の厳密な解析手法を確立し,そ の物理的な特性を明らかにすることである.しかし,実際にスペクトル領域法を用い よ う と し た 場 合 , 解 析 の 精 度 , 計 算 速 度 な ど に 問 題 が あ っ た .

  

本論文ではまずスペクトル領域法の一般的な定式化を行なった上で,数値解析に関 する各種手法につ いて述べている.これらはPMA解析のモデル化の基礎となると共 に,他のマイクロストリップ素子一般にスペクトル領域法を適用する際にも応用可能 である.

  

マイクロストリップァンテナは小型軽量・低姿勢で航空機等の移動体への搭載に向 いている反面,こ の長所と引き換えに低効率,高Qという短所をもつ.したがって

P1¥IA

の厳密な共振周波数を解析することは,アンテナ設計のために欠くことができ ない条件である. しかしながら,PMAでは,1/100A付近の非常に狭い間隙を介して

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彦 彦

則 孝

精 吉

正 恭

藤 川

柴 川

伊 小

小 小

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

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給電線と放射素子が近接配置されており,アンテナ系全体の共振周波数などに影響を 及ぼす,本論文では一般的なマイク口ストリップアンテナの共振特性解析に有用であ る複素共振周波数解析を導入した.アンテナを共振系として考えた場合.放射によっ て失われるエネルギーを含んだ形で定式化を行なう必要がある,この定式化を行なう とともに ,この 複素共振 周波数 解析によって得られた結果がPMAに対しても有効で あ る こ と を 示 し た . こ れ に よ り 共 振 系 と して のPMAの 解 析 が可 能 と なっ た .   ま た ,本 論 文 ではPMAの 放 射 系として の解析を 行なっ た.PMAは給電 線上の電 流と放射素子上の電流は分布的に結合しており,給電線上の進行波はこれにより散乱 を生じる.この影響を完全に考慮した給電線上の電流モデルを決定するとともに,こ のモデルの妥当性を実験値との入力特性の比較により示した.

  更にモーメント法を用いて給電線上,放射素子上の電流を決定することにより,偏 波の状態,誘導性結合・容量性結合の数値解析を行なった.従来の解析モデルでは OPEN‑END時,SHORT‑END時 以 外は 解 析 が困 難 で あっ た が ,本論 文で提 案したモ デルは実態に即しており,給電線上の電流状態を変化させた場合でも解析が可能であ る.これにより定在波状態,間隙長,パッチの大きさを変えることにより,様々な偏 波状態をもつアンテナの設計も可能である.

  PMAはこれまで給電線の終端の開放・短絡を切り替えることにより偏波を切り替え 可能であることが実験により示されていたが,これを数値的に解析できたことにより 厳密な解析が可能となった.将来の本モデルの整合問題等の解決に役立っと考えられ る.また,ここで用いた解析手順は普遍的であり,他のモデルヘの応用も可能である.

  これを要するに著者は偏波切り替え可能な平面型マイクロストリップァンテナの諸 特性をスペクトル領域法を用いることにより詳細に検討し,有益な知見を得ており,

アンテナ工学の進歩に寄与するところ大なるものがある.

  よって,著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あ蚤ものと認める.

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参照

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